説明

レーザ出力情報生成装置およびレーザ加工システム

【課題】木材の色の濃淡あるいは木目によらず、木材に対して一律なレーザ彫刻を行うことを可能とするレーザ出力情報生成装置およびレーザ加工システムを提供すること。
【解決手段】圧縮木材W表面の画像情報を記憶する画像情報記憶部24aと、圧縮木材W表面に生成する彫刻パターンに応じたレーザ光のレーザスポットの中心の軌跡の座標情報を記憶する座標情報記憶部24bと、画像情報に基づき、彫刻パターンを生成する領域を、木目領域、および木目領域以外の領域として色の濃淡に応じて定められる複数の色領域に区分する領域区分処理部25aと、座標情報と区分した領域の情報とを参照し、軌跡に照射するレーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーを含むレーザ出力情報を生成するレーザ出力情報生成部25bとを備え、レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、区分した領域ごとに設定され、複数の色領域のうち色が濃い領域ほど小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光による彫刻の対象となる木材のレーザ加工情報を生成するレーザ出力情報生成装置およびレーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材表面に彫刻を施す際、レーザ光を用いるものが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。このレーザ光を用いた彫刻では、木材表面に対してレーザ光を均一な強度で照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−1694号公報
【特許文献2】特開平3−143570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木材表面の色の濃淡によってレーザ光の吸収度合いが変化し、色の濃い領域ではレーザ光の吸収度合いが高くなる一方、色の淡い領域ではレーザ光の吸収度合いが低くなることによって彫刻の深さ、あるいは彫刻の幅がばらついてしまうことがあった。しかも木目領域は、色の濃淡の影響よりも硬いことによる影響を受けて彫刻の深さ、あるいは彫刻の幅がばらついてしまうため、レーザ光を用いて木材表面に一律な彫刻を行うことが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、木材表面の色の濃淡あるいは木目によらず、木材表面に一律なレーザ彫刻を行うことを可能とするレーザ出力情報生成装置およびレーザ加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレーザ出力情報生成装置は、レーザ光による彫刻の対象となる木材表面の画像情報を記憶する画像情報記憶部と、前記木材表面に生成する彫刻パターンに応じた前記レーザ光のレーザスポットの中心の軌跡の座標情報を記憶する座標情報記憶部と、前記木材表面の画像情報に基づいて、前記彫刻パターンを生成する領域を、木目領域、および前記木目領域以外の領域として色の濃淡に応じて定められる複数の色領域に区分する領域区分処理部と、前記座標情報記憶部が記憶する前記軌跡の座標情報と前記領域区分処理部が区分した領域の情報とを参照して、前記軌跡に沿って前記木材表面に照射するレーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーを含むレーザ出力情報を生成するレーザ出力情報生成部と、を備え、前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、前記領域区分処理が区分した領域ごとに設定され、前記複数の色領域のうち色が濃い領域ほど小さいことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るレーザ出力情報生成装置は、上記の発明において、前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、前記木目領域に照射する場合に最大であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るレーザ出力情報生成装置は、上記の発明において、前記レーザ出力情報は、少なくとも前記複数の色領域における前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーの値が、領域の変化に応じて不連続に変化することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るレーザ出力情報生成装置は、上記の発明において、前記レーザ出力情報は、少なくとも前記複数の色領域における前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーの値が、領域の変化に応じて連続的に変化することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るレーザ出力情報生成装置は、上記の発明において、前記木材表面を撮像して画像情報を生成する撮像部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るレーザ出力情報生成装置は、上記の発明において、前記木材は、圧縮成形されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るレーザ加工システムは、上記の発明に記載のレーザ出力情報生成装置と、前記レーザ出力情報生成装置が生成したレーザ出力情報に基づいて、前記木材表面にレーザ彫刻を行うレーザ加工装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るレーザ出力情報生成装置およびレーザ加工システムにおいては、木材表面に照射されるレーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、木目領域では所定の大きさに設定され、木目以外の領域では色の濃い領域は淡い領域に比して小さく設定されるので、木目以外の領域であって色の濃い領域を彫刻する場合のレーザ光の照射エネルギーの大きさを、淡い領域を彫刻する場合のレーザ光の照射エネルギーに比して小さくすることが可能となる。しかも、木目領域は、色の濃淡に関わらずレーザ光の照射エネルギーを所定の大きさに設定することができる。このため、木材表面の色の濃淡、あるいは木目によらず一律なレーザ彫刻を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工システムの加工対象である圧縮木材を示す斜視図である。
【図3】図3は、座標情報記憶部内に記憶されたレーザスポットの中心の軌跡の座標について説明するための図である。
【図4】図4は、レーザ設定情報記憶部内に記憶されたレーザ設定情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、領域区分処理部が生成する領域区分情報を概念的に説明するための図である。
【図6】図6は、レーザ出力情報生成部が生成するレーザ出力情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、レーザ出力情報生成装置が行うレーザ出力情報の生成処理手順を示したフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態の変形例に係るレーザ設定情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明にかかるレーザ加工システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工システムの構成を模式的に示す図である。レーザ加工システム1は、レーザ加工装置10、レーザ出力情報生成装置20およびレーザ加工システム制御部30を有する。レーザ加工システム1は、レーザ加工装置10、レーザ出力情報生成装置20およびレーザ加工システム制御部30を連携させることによって圧縮木材Wの表面にレーザ光による彫刻を行う。
【0017】
レーザ加工装置10は、移動ステージ11、レーザ照射部12、入力部13、記憶部14およびレーザ加工制御部15を有する。移動ステージ11は、レーザ光による彫刻の対象となる圧縮木材Wが載置される加工テーブル11aを有し、図示しない駆動機構によって2次元的な移動を行うことが可能である。加工テーブル11aの載置面が移動する平面内には、図1で左から右に向かうX軸、および図1の紙面手前から奥に向かうY軸を有するXY座標系が設定される。
【0018】
圧縮木材Wは、木材を圧縮成形したものである。より具体的には、圧縮木材Wは、板状の木材をプレス等によって圧縮することで密度を増加させ、表面を硬化させたものである。圧縮木材Wは、木質部の細胞壁の内部に含まれる物質が表面に抽出されることにより、その表面に色、つやが生じている。一般に、圧縮木材W表面の色は必ずしも一様ではない。このため、圧縮木材Wの表面は、木目領域、および木目領域以外の領域として色の濃淡に応じて定められる複数の色領域に分けられる。例えば、図2に示すように、木目領域A、木目以外の色の濃度が濃い領域B(以下、濃い領域Bという。)、および木目以外の色の濃度が淡い領域C(以下、淡い領域Cという。)の3つの領域に分けられる。
【0019】
レーザ照射部12は、図1に示すように、加工テーブル11aの上方に配置され、加工テーブル11a上に載置された圧縮木材Wの表面にレーザ光を照射する。入力部13は、キーボード、マウス等によって実現され、レーザ光による彫刻に関する各種情報の入力を受ける。記憶部14は、情報を磁気的に記憶するハードディスク等によって実現され、レーザ光による彫刻に関する各種情報を記憶する。
【0020】
レーザ加工制御部15は、CPU等によって実現され、レーザ加工装置10の各部の処理および動作を制御する。レーザ加工制御部15は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0021】
レーザ出力情報生成装置20は、撮像部21、入力部22、出力部23、記憶部24およびレーザ出力情報生成制御部25を有する。撮像部21は、CCDカメラ等によって実現され、レーザ光による彫刻の対象となる圧縮木材Wの表面を撮像し、圧縮木材W表面の画像情報を取得する。撮像部21は、この取得した圧縮木材W表面の画像情報をレーザ出力情報生成制御部25に出力する。
【0022】
入力部22は、キーボード、マウス等によって実現され、レーザ光による彫刻に関する各種情報の入力を受ける。出力部23は、ディスプレイ、プリンタ等によって実現され、レーザ光による彫刻に関する各種情報等を出力する。
【0023】
記憶部24は、情報を磁気的に記憶するハードディスク等によって実現され、レーザ光による彫刻に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、画像情報記憶部24a、座標情報記憶部24b、およびレーザ設定情報記憶部24cを有する。
【0024】
画像情報記憶部24aは、撮像部21によって出力された圧縮木材W表面の画像情報を記憶する。
【0025】
座標情報記憶部24bは、圧縮木材W表面に生成する彫刻パターンに応じたレーザ光のレーザスポットの中心の軌跡の座標情報を記憶する。例えば、図3に示すように、圧縮木材Wに対して彫刻する文字が、“CAMERA”である場合、この文字に沿ったレーザスポットの中心の軌跡の座標(X1,Y1),…,(Xe,Ye)が記憶される。
【0026】
レーザ設定情報記憶部24cは、レーザ設定情報を記憶する。ここでいうレーザ設定情報は、圧縮木材Wの木目領域Aに照射されるレーザ光の出力値を所定の大きさに設定するとともに、圧縮木材Wの木目以外の領域に照射されるレーザ光の出力値を、圧縮木材Wの色の濃い領域Bが淡い領域Cに比して小さくなるように設定した情報である。
【0027】
図4は、レーザ設定情報記憶部24c内に記憶されたレーザ設定情報の一例を示す図である。レーザ設定情報は、図4に示すように、木目領域A、濃い領域B、および淡い領域Cに対して、レーザ光の出力値のレベルを大、中、小の3つのレベルにそれぞれ設定した情報テーブルである。すなわち、硬い部分である木目領域Aではレーザ光の出力値を大きくし、レーザ光を吸収し易い濃い領域Bでは、レーザ光を吸収し難い淡い領域Cに比してレーザ光の出力値を小さくするように設定する。
【0028】
レーザ出力情報生成制御部25は、図1に示すように、レーザ出力情報生成装置20の各部およびレーザ加工システム制御部30に接続される。レーザ出力情報生成制御部25は、CPU等によって実現され、レーザ出力情報生成装置20の各部の処理および動作を制御する。レーザ出力情報生成制御部25は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。レーザ出力情報生成制御部25は、領域区分処理部25a、およびレーザ出力情報生成部25bを有する。
【0029】
領域区分処理部25aは、画像情報記憶部24a内に記憶された圧縮木材W表面の画像情報に基づいて、彫刻パターンを生成する領域を、木目領域A、濃い領域Bおよび淡い領域Cに区分する。この木目領域A、濃い領域Bおよび淡い領域Cの区分は、例えば、画像情報から得られる色の濃度、色の濃度の変化率等の情報に基づいた画像処理によって行われる。
【0030】
図5は、領域区分情報を概念的に説明するための図である。領域区分情報は、図5に示すように、レーザ光によって彫刻される部分を含み、レーザスポットの中心の軌跡Lの座標と同一座標系の座標を設定された領域を、木目領域A、濃い領域Bおよび淡い領域Cに区分する情報である。すなわち、レーザスポットの中心の軌跡Lの各座標(X1,Y1),…,(Xe,Ye)において、木目領域A、濃い領域B、淡い領域Cのそれぞれが対応付け可能となる情報である。
【0031】
レーザ出力情報生成部25bは、座標情報記憶部24bが記憶するレーザスポットの中心の軌跡の座標情報と領域区分処理部25aが区分した領域の情報とを参照して、レーザスポットの中心の軌跡に沿って圧縮木材W表面に照射するレーザ光の出力値を含むレーザ出力情報を生成する。図6は、レーザ出力情報の一例を示す図である。レーザ出力情報は、レーザスポットの中心の軌跡に沿って大、中、小の3つのレーザ出力値レベルが対応付けられた情報である。例えば、濃い領域Bに属する座標(Xe,Ye)に対しては、レーザ光の出力値レベルとしてレベル小が対応付けられる。淡い領域Cに属する座標(X1,Y1)に対しては、レーザ光の出力値レベルとしてレベル中が対応付けられる。木目領域Aに属する座標(Xm,Ym)に対しては、レーザ光の出力値レベルとしてレベル大が対応付けられる。
【0032】
レーザ加工システム制御部30は、図1に示すように、レーザ加工制御部15およびレーザ出力情報生成制御部25に接続される。レーザ加工システム制御部30は、CPU等によって実現され、レーザ加工システム1全体の処理および動作を制御する。レーザ加工システム制御部30は、レーザ加工制御部15、レーザ出力情報生成制御部25に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0033】
次に、図7に示すフローチャートを参照して、レーザ出力情報生成装置20が行うレーザ出力情報の生成処理手順を説明する。図7は、レーザ出力情報生成装置20が行うレーザ出力情報の生成処理の手順を示したフローチャートである。まず、レーザ出力情報生成装置20は、撮像部21が圧縮木材W表面の画像情報を取得したか否かを判断する(ステップS101)。撮像部21が圧縮木材W表面の画像情報を取得した場合(ステップS101,Yes)、レーザ出力情報生成装置20は、領域区分情報を生成する(ステップS102)。撮像部21は、例えば、撮像のために所定位置にセットされた圧縮木材Wの表面を撮像することにより、圧縮木材Wの表面であって、レーザ光によって彫刻される部分を含む表面の画像情報を取得する。
【0034】
その後、レーザ出力情報生成装置20は、レーザ出力情報を生成し(ステップS103)、生成したレーザ出力情報をレーザ加工システム制御部30へ出力する(ステップS104)。これによって、領域A,B,Cに応じて設定されたレーザ出力値を、レーザスポットの中心の軌跡の座標に対応させたレーザ出力情報をレーザ加工装置10側に送ることが可能となる。
【0035】
その後、レーザ出力情報生成装置20は本処理を終了させる。なお、レーザ加工システム制御部30は、レーザ出力情報生成装置20から出力されたレーザ出力情報をレーザ加工制御部15に出力し、レーザ加工装置10は、レーザ出力情報に基づいて圧縮木材Wに対するレーザ光による彫刻を行う。
【0036】
ステップS101において、撮像部21が圧縮木材W表面の画像情報を取得していない場合(ステップS101,No)、レーザ出力情報生成装置20は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0037】
本実施の形態では、圧縮木材W表面に照射されるレーザ光の出力値は、木目領域Aではレベル大に設定され、濃い領域Bではレベル小に設定され、淡い領域Cではレベル中に設定されるので、木目以外の領域であって色の濃い領域Bを彫刻する場合のレーザ光の出力値の大きさを、淡い領域Cを彫刻する場合のレーザ光の出力値の大きさに比して小さくすることが可能となる。しかも、木目領域Aは、色の濃淡に関わらずレーザ光のエネルギーを最大の大きさに設定することができる。このため、圧縮木材W表面の色の濃淡、あるいは木目によらず一律なレーザ彫刻を行うことが可能となる。
【0038】
つぎに、本実施の形態の変形例について説明する。図8は、本発明の実施の形態の変形例に係るレーザ設定情報の一例を示した図である。図8は、圧縮木材W表面の濃淡に応じて設定されるレーザ光の出力値を示すグラフである。図8において、横軸は圧縮木材W表面の色の濃度を表し、縦軸は、レーザ光の出力値を表している。この変形例では、圧縮木材Wを木目と、木目以外の2つの領域に分け、図8に示すように、木目以外の領域は、曲線Gに示すように圧縮木材W表面の色が淡い色から濃い色になるに従ってレーザ光の出力値を連続的に低下させるようにしている。この場合、木目以外の領域について、圧縮木材W表面の色の濃淡に応じてレーザ光の出力値をより細かく設定することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、木目領域Aのレーザ光の出力値を最大となるように設定するものを例示したが、これに限らず、木目領域Aのレーザ光の出力値は所定の出力値に設定可能であればよい。すなわち、木目以外の色の淡い領域のレーザ光の出力値が、木目領域Aのレーザ光の出力値よりも大きくなる設定であっても構わない。
【0040】
また、本実施の形態では、レーザ光による彫刻の対象となるものとして、圧縮木材Wを用いるものを例示したが、これに限らず、木材であればよい。
【0041】
また、本実施の形態では、レーザ出力情報生成装置20に組み込まれた撮像部21によって取得された圧縮木材W表面の画像情報に基づいて、レーザ出力情報を生成するものを例示したが、これに限らず、レーザ出力情報生成装置20とは別の撮像手段によって取得された圧縮木材W表面の画像情報をレーザ出力情報生成装置20に取得させて、レーザ出力情報生成装置20がこの取得した画像情報に基づいてレーザ出力情報を生成するようにしてもよい。この場合、撮像手段によって撮像された画像は、圧縮木材Wの表面であって、レーザ光によって彫刻される部分を含む表面の画像である。
【0042】
また、本実施の形態では、レーザスポットの中心の軌跡に沿って圧縮木材W表面に照射するレーザ光の出力値を変化させるものを例示したが、これに限らず、レーザスポットの中心の軌跡に沿って圧縮木材W表面に照射するレーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーを変化させることができればよい。例えば、レーザ光の出力値は一定とし、レーザスポットの中心の軌跡に沿ってレーザ光の照射時間を変化させるようにしてもよい。より具体的には、木目領域Aでは木目以外の領域B,Cに比してレーザ光の照射時間を長くするようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、レーザ出力情報生成装置20がレーザ設定情報を記憶するレーザ設定情報記憶部24cを有し、レーザ設定情報を用いてレーザ出力情報を生成するものを例示したが、これに限らず、レーザ出力情報を生成することができればよい。例えば、レーザ出力情報生成装置20がレーザ設定情報記憶部24cを有しない構成としてもよい。この場合、レーザ出力情報生成部25bが座標情報記憶部24b内のレーザスポットの軌跡の座標情報と、領域区分処理部25aによって区分された領域の情報とを参照してレーザ出力情報を生成する。
【0044】
また、本実施の形態では、レーザ加工装置10とレーザ出力情報生成装置20とがレーザ加工システム制御部30を介して接続するものを例示したが、これに限らず、レーザ加工装置10側にレーザ出力情報を出力し、レーザ加工装置10がレーザ出力情報に基づいてレーザ彫刻を行うことができればよい。例えば、レーザ加工装置10とレーザ出力情報生成装置20とをネットワークで接続し、レーザ加工装置10がネットワークを介して出力されたレーザ出力情報に基づいてレーザ彫刻を行うようにしてもよい。あるいは、レーザ出力情報生成装置20からUSBメモリ等の携帯型メモリにレーザ出力情報を出力し、レーザ加工装置10が携帯型メモリを介して出力されたレーザ出力情報に基づいてレーザ彫刻を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 レーザ加工システム
10 レーザ加工装置
11 移動ステージ
11a 加工テーブル
12 レーザ照射部
13,22 入力部
14,24 記憶部
15 レーザ加工制御部
20 レーザ出力情報生成装置
21 撮像部
23 出力部
24a 画像情報記憶部
24b 座標情報記憶部
24c レーザ設定情報記憶部
25 レーザ出力情報生成制御部
25a 領域区分処理部
25b レーザ出力情報生成部
A,B,C 領域
W 圧縮木材
L 軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光による彫刻の対象となる木材表面の画像情報を記憶する画像情報記憶部と、
前記木材表面に生成する彫刻パターンに応じた前記レーザ光のレーザスポットの中心の軌跡の座標情報を記憶する座標情報記憶部と、
前記木材表面の画像情報に基づいて、前記彫刻パターンを生成する領域を、木目領域、および前記木目領域以外の領域として色の濃淡に応じて定められる複数の色領域に区分する領域区分処理部と、
前記座標情報記憶部が記憶する前記軌跡の座標情報と前記領域区分処理部が区分した領域の情報とを参照して、前記軌跡に沿って前記木材表面に照射するレーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーを含むレーザ出力情報を生成するレーザ出力情報生成部と、
を備え、
前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、前記領域区分処理が区分した領域ごとに設定され、前記複数の色領域のうち色が濃い領域ほど小さいことを特徴とするレーザ出力情報生成装置。
【請求項2】
前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーは、前記木目領域に照射する場合に最大であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ出力情報生成装置。
【請求項3】
前記レーザ出力情報は、
少なくとも前記複数の色領域における前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーの値が、領域の変化に応じて不連続に変化することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ出力情報生成装置。
【請求項4】
前記レーザ出力情報は、
少なくとも前記複数の色領域における前記レーザ光の単位時間単位面積当たりの照射エネルギーの値が、領域の変化に応じて連続的に変化することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ出力情報生成装置。
【請求項5】
前記木材表面を撮像して画像情報を生成する撮像部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ出力情報生成装置。
【請求項6】
前記木材は、圧縮成形されたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ出力情報生成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のレーザ出力情報生成装置と、
前記レーザ出力情報生成装置が生成したレーザ出力情報に基づいて、前記木材表面にレーザ彫刻を行うレーザ加工装置と、
を備えることを特徴とするレーザ加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−183437(P2011−183437A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52380(P2010−52380)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】