説明

レーザ発振器、レーザ発振器の出力制御方法、及びレーザ加工装置

【課題】設定が容易なレーザ発振器、レーザ発振器の出力制御方法、及びレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ10において生成されるパルス状のレーザ光に、励起レーザ21,31において生成される励起レーザ光を結合させることによりレーザ10において生成されるレーザ光を増幅するとともに、その増幅量が変更可能とされた増幅器40を備えたレーザ発振器において、レーザ10において生成されるレーザ光のパルスのデューティが変更可能とされており、設定されたデューティを基にレーザ10へ供給する電流値を調節することにより、いずれのデューティに設定されてもレーザ10において生成されるレーザ光の出力パワーが一定レベルとなるように補正する制御部3を備えたことを特徴とするレーザ発振器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発振器、レーザ発振器の出力制御方法、及びレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置としては、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。このレーザ加工装置は、パルス状のレーザ光を対象物に照射するレーザ発振器を備えている。このレーザ発振器は、種光源により生成されたパルス状のレーザ光を増幅させて出力する。ユーザは、この増幅されたレーザ光を利用して対象物を加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−108772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ加工装置で加工する対象物には、特定のデューティを有するレーザ光で照射されない限り加工できないものがある。従って、ユーザは対象物の材質等に応じて、対象物に照射するレーザ光のデューティを変更する必要がある。対象物に照射するレーザ光のデューティは、種光源により生成されるレーザ光のデューティに依存する。このため、対象物に照射するレーザ光のデューティを変更するには、種光源により生成されるレーザ光のデューティを変更する必要がある。しかしながら、種光源により生成されるレーザ光のデューティを変化させると、同レーザ光の出力パワーも変化する。従って、対象物に照射するレーザ光のデューティとともに、同レーザ光の出力パワーも変化する。例えば、レーザ加工装置を利用して対象物に文字をマーキングする際の文字の太さは、レーザ光の出力パワーに依存する。このため、種光源により生成されるレーザ光のデューティを変更しつつ、同レーザ光の出力パワーを維持したい場合には、同レーザ光の増幅率を変更する必要がある。このため、ある特定のデューティ及び出力パワーの出射光を得るためには、ユーザは、多岐で複雑な設定を行う必要があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、設定が容易なレーザ発振器、レーザ発振器の出力制御方法、及びレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、種光源において生成されるパルス状のレーザ光である種光に、励起レーザにおいて生成されるレーザ光を結合させることにより当該種光を増幅するとともに、その増幅量が変更可能とされた増幅器を備えたレーザ発振器において、前記種光のパルス条件であるデューティ及びくり返し周波数の少なくとも一方が変更可能とされており、設定されたパルス条件を基に種光源の電流値を調節することにより、前記種光がいずれのパルス条件に設定されても前記種光の出力パワーが一定レベルとなるように補正する制御手段を備えたことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、いずれのパルス条件に設定された場合であれ、増幅器へ送られるレーザ光の出力パワーは等しくなる。従って、パルス条件の変更前後において、出射光の出力パワーを維持したい場合には、増幅器における増幅量を設定し直す必要がない。このため、ユーザによるレーザ発振器における各種の設定が容易となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ発振器において、変更可能とされた前記パルス条件は、複数のパルス条件から選択可能とされたことを要旨とする。
同構成によれば、種光源が発振することのできないパルス条件が設定されることがない。従って、レーザ発振器は、ユーザによって設定されたパルス条件のレーザ光を発振させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレーザ発振器において、前記パルス条件と、そのパルス条件に対応して前記制御手段が前記種光の出力パワーを補正するための電流補正値とが対応付けて記憶されている記憶手段を備え、前記制御手段は、認識した前記種光の前記パルス条件に対応する電流補正値を前記記憶手段から読み込み、この読み込んだ補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、制御手段は、パルス条件を認識したときに、前記種光の出力パワーを補正するために必要な電流補正値を記憶手段から得ることができる。従って、この電流補正値を演算する演算手段等を設ける必要がない。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ発振器において、入力されたパルス条件を基に前記種光へ供給する電流補正値を算出する演算手段を備え、前記制御手段は、前記演算手段において算出された補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、パルス条件が限定されないレーザ発振器を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちいずれかに記載のレーザ発振器において、前記増幅器は、前記種光を増幅する前段増幅器と、同前段増幅器が増幅したものをさらに増幅する後段増幅器とにより構成されることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、増幅器が1つである場合よりも効率的にレーザ光を増幅させることができる。
請求項6に記載の発明は、種光源において生成されるパルス状のレーザ光である種光に、励起レーザにおいて生成されるレーザ光を結合させることにより当該種光を増幅するとともに、その増幅量が変更可能とされた増幅器を備えたレーザ発振器の出力制御方法において、前記種光のパルス条件であるデューティ及びくり返し周波数の少なくとも一方が変更可能とされており、設定されたパルス条件を基に種光源の電流値を調節することにより、前記種光がいずれのパルス条件に設定されても前記種光の出力パワーが一定レベルとなるように補正する制御手段を備えたことを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、いずれのパルス条件に設定された場合であれ、増幅器へ送られるレーザ光の出力パワーは等しくなる。従って、パルス条件の変更前後において、出射光の出力パワーを維持したい場合には、増幅器における増幅量を設定し直す必要がない。このため、ユーザによるレーザ発振器における各種の設定が容易となる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のレーザ発振器において、変更可能とされた前記パルス条件は、複数のパルス条件から選択可能とされたことを要旨とする。
同構成によれば、種光源が発振することのできないパルス条件が設定されることがない。したがって、レーザ発振器は、ユーザによって設定されたパルス条件のレーザ光を発振させることができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載のレーザ発振器の出力制御方法において、前記パルス条件と、そのパルス条件に対応して前記種光の出力パワーを補正するための電流補正値とが対応付けて記憶されている記憶手段を備え、前記制御手段は、認識した前記種光の前記パルス条件に対応する電流補正値を前記記憶手段から読み込み、この読み込んだ補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、制御手段は、パルス条件を認識したときに、前記種光の出力パワーを補正するために必要な電流補正値を記憶手段から得ることができる。従って、この電流補正値を演算する演算手段等を設ける必要がない。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のレーザ発振器の出力制御方法において、入力されたパルス条件を基に前記種光へ供給する電流補正値を算出する演算手段を備え、前記制御手段は、前記演算手段において算出された補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを要旨とする。
【0019】
同構成によれば、パルス条件が限定されないレーザ発振器の出力制御方法を提供することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜5のうち何れか一項に記載のレーザ発振器により生成されたレーザ光を利用して対象物へ加工を行うことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、パルス条件を変更する際の出力の設定が容易なレーザ加工装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、設定が容易なレーザ発振器、レーザ発振器の出力制御方法、及びレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態のレーザ加工装置についてその概略構成を示すブロック図。
【図2】制御部のメモリに記憶されたデューティとこれに対応した電流値とを示す対応図。
【図3】(a)は、デューティとそのときの電流値との関係を示すタイムチャート、(b)は、(a)のデューティが半分とされたときの電流値との関係を示すタイムチャート。
【図4】(a)は、別例におけるデューティとそのときの電流値との関係を示すタイムチャート、(b)は、(a)とデューティが同じで、くり返し周期が2倍とされたときの電流値との関係を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化したレーザ加工装置の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。なお、本実施形態のレーザ加工装置は、レーザ光の照射により加工対象物であるワークに文字や図形等のマーキングを行うものである。
【0024】
図1に示すように、レーザ加工装置1は、ユーザによって操作されて文字や図形等のマーキング情報をはじめとする各種の情報が入力される入力部2と、入力されたマーキング情報をもとに制御対象を制御する制御部3と、制御部3の制御対象であるレーザ生成部4と、同レーザ生成部4において生成されたレーザ光をワーク6に照射するヘッド部5とを備えている。ユーザが、入力部2にマーキング情報を入力すると、制御部3による制御のもと、レーザ生成部4において生成されたレーザ光がヘッド部5を介してワーク6に照射され、このワーク6に文字や図形等がマーキングされる。
【0025】
レーザ生成部4は、レーザ光をパルス発振する種光源としてのレーザ10を備えている。レーザ10への電流供給量の調節は、制御部3によるドライバ11の制御を通じて行われる。また、レーザ生成部4は、レーザ10において生成されたレーザ光増幅する増幅器40を備えている。増幅器40は、レーザ10において生成されたレーザ光を増幅する前段増幅器20と、同前段増幅器20が増幅したレーザ光をさらに増幅する後段増幅器30とにより構成されている。
【0026】
前段増幅器20は、レーザ10において生成されたレーザ光を励起させるためのレーザ光をパルス発振する励起レーザ21を備えている。励起レーザ21への電流供給量の調節は、制御部3によるドライバ12の制御を通じて行われる。また、前段増幅器20は、光結合部22が設けられるとともに、この光結合部22の下流側には、希土類ドープ光ファイバ23が設けられている。この希土類ドープ光ファイバ23は、希土類元素であるイットリビウム(Yb)を含むガラスファイバによって構成されている。なお、希土類ドープ光ファイバ23は、ボビンに多数回巻回されることにより所要長の光路が確保された構造を有している。光結合部22には、レーザ10において生成されたレーザ光、及び励起レーザ21において生成されたレーザ光がそれぞれ光ファイバを介して入射される。そして、光結合部22により結合されたレーザ10及び前段増幅器20からのレーザ光は、希土類ドープ光ファイバ23により励起される。なお、希土類ドープ光ファイバ23により励起されたレーザ光は、出力パワー不足であって、マーキング可能な状態ではない。この前段増幅器20におけるレーザ光の増幅量は、ドライバ12から励起レーザ21への電流供給量により調節される。
【0027】
後段増幅器30は、前段増幅器20と同様の構成である。このため、後段増幅器30を構成する励起レーザ31、光結合部32、及び希土類ドープ光ファイバ33の詳細な説明は省略する。なお、励起レーザ31への電流供給量の調節は、制御部3によるドライバ13の制御を通じて行われる。希土類ドープ光ファイバ23により励起されたレーザ光は、後段増幅器30により増幅されることにより、マーキング可能な出力パワーとなる。なお、後段増幅器30におけるレーザ光の増幅量は、ドライバ13から励起レーザ31への電流供給量により調節される。後段増幅器30により増幅されたレーザ光は、ヘッド部5を介してワーク6に供給される。
【0028】
ヘッド部5は、レーザ生成部4において生成されるレーザ光を平行光あるいは収束光に絞るコリメータレンズを始め、その絞られたレーザ光を所要の方向に反射させる2つのガルバノミラー、その反射されたレーザ光をスポットレーザ光に絞り込む集光レンズを備えている。そして、その絞り込まれたレーザ光がワーク6の表面上を走査することにより所望のマーキングが行われる。
【0029】
制御部3には、メモリ3aが設けられている。このメモリ3aには、レーザ10が生成するレーザ光における複数のデューティD及び複数の電流供給量としての電流値Iが予め記憶されている。これらデューティD及び電流値Iは、図2に示すように、レーザ10からレーザ光が発せられている時間τと電流値Iとの乗算により求められるレーザ光の出力パワーが一定となるように、対応付けられている。なお、本例におけるデューティは、一般的にデューティ比と言われるものである。デューティ比は、パルス幅をパルス周期で除算したものに100を乗算することで求められる。
【0030】
次に、レーザ加工装置1の作用について説明する。
ユーザがワークの材質等を考慮して入力部2へ所望のデューティDを入力すると、入力部2は、その旨示す信号を制御部3に送る。制御部3は、入力されたデューティDに対応する電流値Iをメモリ3aから読み込む。そして、制御部3は、これらデューティD及び電流値Iを基にレーザ10への電流供給量をドライバ11を介して制御する。レーザ10は、こうして入力されたデューティDのレーザ光を生成する。
【0031】
さて、ワークの材質が変更になる場合、レーザ光のデューティDの変更が必要な場合がある。例えば、デューティDを図3(a)に示すτ/Tから図3(b)に示す(τ/2)/Tへ変更する。この場合であれ、図3(a)(b)中において斜線部分の面積で示されるレーザ10により生成されるレーザ光の出力パワーは、等しくなる。すなわち、増幅器40に入力されるレーザ光の出力パワーは、デューティDが変更されても等しい。その結果、増幅器40による増幅後のレーザ光、すなわちワーク6に照射されるレーザ光の出力パワーは、デューティDの変更前後で等しくなる。従って、ユーザは、レーザ光の出力パワーを維持する場合において、デューティDの変更の際、増幅器40、詳しくは前段増幅器20及び後段増幅器30におけるレーザ光の増幅値を変更する必要がない。すなわち、前段増幅器20及び後段増幅器30の増幅値を制御するドライバ12,13の制御値を調整する必要がない。つまり、入力部2にドライバ12,13の制御値を入力し直す必要がないので、デューティDの変更前後におけるユーザの設定値の入力が容易となる。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)制御部3に、レーザ10からレーザ光が発せられている時間τと電流値Iとの乗算により求められるレーザ光の出力パワーが一定となるように対応付けられたデューティD及び電流値Iが予め記憶されたメモリ3aを設けた。制御部3は、このメモリ3aに記憶されたデューティD及び電流値Iをもとにドライバ11を介してレーザ10を制御する。これにより、レーザ10において生成されるレーザ光の出力パワーは、デューティによらず一定となる。すなわち、増幅器40に送られるレーザ光の出力パワーが一定であるので、出射光における出力パワーを維持しつつデューティのみ変化させる場合におけるユーザの設定が容易となる。
【0033】
(2)増幅器40を、レーザ10において生成されたレーザ光を増幅させる前段増幅器20と、同前段増幅器20が増幅させたものをさらに増幅させる後段増幅器30とにより構成した。これにより、増幅器が1つである場合よりも効率的にレーザ光を増幅させることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、増幅器40は、前段増幅器20と後段増幅器30とにより構成されたが、レーザ10において生成されたレーザ光を増幅させるものであれば、どちらか1つの構成とされてもよいし、さらに増幅器を増設してもよい。このように構成した場合であれ、上記実施形態の(1)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0035】
・上記実施形態において、ドライバ11は、フィードバック制御するようにしてもよい。例えば、レーザ10から出射されたレーザ光の一部を分岐用カプラにより分岐させ、その分岐したレーザ光をフォトダイオードに供給する。フォトダイオードに生じる電圧に基づきレーザ10において生成されたレーザ光の出力パワーを検出する。そして、その検出結果を制御部3にフィードバックさせる。制御部3は、フィードバックに応じてレーザ10への電流供給値をドライバ11を介して変更する。このように構成した場合、レーザ10から増幅器40へ送られる際のレーザ光の出力パワーの低下を抑制することができる。なお、フィードバック制御は、ドライバ12においても可能である。
【0036】
・上記実施形態において、レーザ10から出射されたレーザ光は、その出力を減衰させるアッテネータ又は音響光学素子(AOM:Acoust Optic Modulator)を介して増幅器40へ送るようにしてもよい。このように構成した場合であれ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この構成は、前段増幅器と後段増幅器との間に設けてもよい。
【0037】
・上記実施形態において、制御部3は、メモリ3aに記憶されたデューティとこれに対応した電流値とによりレーザ10へ供給する電流供給量を決定していたが、このメモリ3aに記憶されたデータに代えて演算によって電流供給量を算出してもよい。すなわち、制御部3は演算手段としても機能する。下式1に示すように、一定の周期Tにおけるレーザ光の出力パワーPは、レーザ光が発せられている時間τと電流値Iとの乗算により求められる。
【0038】
P=(τ/T)×I・・・(1)
ユーザにより設定されるデューティにより、周期T及び時間τは決定される。従って、時間τに加えて、ユーザがレーザ10に出射させるレーザ光の出力パワーPを設定するようにすれば、制御部3は、この上式(1)を下式(2)のように変形することで、レーザ10へ供給する電流供給量を決定することができる。
【0039】
I=P/(τ/T)・・・(2)
このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態において、デューティ(1パルスのパルス幅)の他にくり返し周期(くり返し周波数)を設定するようにしてもよい。この場合は、デューティに加え、くり返し周期が設定されたことを契機として電流供給量が決定される。例えば、図4(a)(b)は同じデューティであるが、くり返し周期はT,2Tというように異なる。このため、制御部3は、くり返し周期が2Tである場合には、くり返し周期がTである場合と比較して時間τにおけるレーザ10への電流供給量を2倍にする。このように構成した場合でも、レーザ10が発振して増幅器40に送られるレーザ光の出力パワーは等しい。従って、上記実施形態の(1)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0040】
・上記実施形態及び上記別例において、レーザ10から発振されるレーザ光の出力パワーが、ある周期において一定であればよい。すなわち、上式(1)で示される出力パワーPが一定となれば、レーザ光の発振時間(パルスの幅:時間τ)、レーザ光を発振するタイミングであるくり返し周期T、及び電流値Iがいずれに設定されてもよい。このように構成すれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
D…デューティ、I…電流補正値としての電流値、P…出力パワー、1…レーザ加工装置、2…入力部、3…レーザ発振器及び制御手段としての制御部、3a…記憶手段としてのメモリ、4…レーザ発振器としてのレーザ生成部、10…レーザ、20…前段増幅器、21,31…励起レーザ、30…後段増幅器、40…増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種光源において生成されるパルス状のレーザ光である種光に、励起レーザにおいて生成されるレーザ光を結合させることにより当該種光を増幅するとともに、その増幅量が変更可能とされた増幅器を備えたレーザ発振器において、
前記種光のパルス条件であるデューティ及びくり返し周波数の少なくとも一方が変更可能とされており、設定されたパルス条件を基に種光源の電流値を調節することにより、前記種光がいずれのパルス条件に設定されても前記種光の出力パワーが一定レベルとなるように補正する制御手段を備えたことを特徴とするレーザ発振器。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ発振器において、
変更可能とされた前記パルス条件は、複数のパルス条件から選択可能とされたことを特徴とするレーザ発振器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ発振器において、
前記パルス条件と、そのパルス条件に対応して前記制御手段が前記種光の出力パワーを補正するための電流補正値とが対応付けて記憶されている記憶手段を備え、
前記制御手段は、認識した前記種光の前記パルス条件に対応する電流補正値を前記記憶手段から読み込み、この読み込んだ補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを特徴とするレーザ発振器。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ発振器において、
入力されたパルス条件を基に前記種光へ供給する電流補正値を算出する演算手段を備え、
前記制御手段は、前記演算手段において算出された補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを特徴とするレーザ発振器。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のレーザ発振器において、
前記増幅器は、前記種光を増幅する前段増幅器と、同前段増幅器が増幅したものをさらに増幅する後段増幅器とにより構成されることを特徴とするレーザ発振器。
【請求項6】
種光源において生成されるパルス状のレーザ光である種光に、励起レーザにおいて生成されるレーザ光を結合させることにより当該種光を増幅するとともに、その増幅量が変更可能とされた増幅器を備えたレーザ発振器の出力制御方法において、
前記種光のパルス条件であるデューティ及びくり返し周波数の少なくとも一方が変更可能とされており、設定されたパルス条件を基に種光源の電流値を調節することにより、前記種光がいずれのパルス条件に設定されても前記種光の出力パワーが一定レベルとなるように補正する制御手段を備えたことを特徴とするレーザ発振器の出力制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザ発振器の出力制御方法において、
変更可能とされた前記パルス条件は、複数のパルス条件から選択可能とされたことを特徴とするレーザ発振器の出力制御方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のレーザ発振器の出力制御方法において、
前記パルス条件と、そのパルス条件に対応して前記種光の出力パワーを補正するための電流補正値とが対応付けて記憶されている記憶手段を備え、
前記制御手段は、認識した前記種光の前記パルス条件に対応する電流補正値を前記記憶手段から読み込み、この読み込んだ補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを特徴とするレーザ発振器の出力制御方法。
【請求項9】
請求項6に記載のレーザ発振器の出力制御方法において、
入力されたパルス条件を基に前記種光へ供給する電流補正値を算出する演算手段を備え、
前記制御手段は、前記演算手段において算出された補正値に基づき前記種光へ供給する電流値を調節することを特徴とするレーザ発振器の出力制御方法。
【請求項10】
請求項1〜5のうち何れか一項に記載のレーザ発振器により生成されたレーザ光を利用して対象物へ加工を行うレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−12534(P2013−12534A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143221(P2011−143221)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】