説明

レーザ装置

【課題】従来のレーザ装置では、占有面積を小さくするという要求には応えていたものの横方向に容易に移動させることに対する配慮が欠けており、移動に不自由が強いられることがあった。
【解決手段】レーザ発振するレーザ発振器および前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部とを内部に備え上下方向に胴長形状の本体部と,レーザ制御部によって制御されて出力するレーザを患者患部に入射するよう導くレーザ導波管と、本体部の上部を覆って少なくとも一部を横方向に突き出した突き出し部を有する操作パネル部とを備え、操作パネル部の突き出し部裏面にくぼみ部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作部の横方向に突き出した突き出し部の裏面に手が入るくぼみ部を設け、移動しやすくしたレーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ装置はあらゆる分野で技術活用され発展しているが、特に、医療の分野でも日進月歩で応用化されその真価を発揮しつつある。なかでも歯科治療においても応用が進み、例えば炭酸ガスレーザなどのレーザ発振器を備えたレーザ治療器は診療現場で用いられている。
【0003】
従来の歯科用で用いられるレーザ装置の一例としては特許文献1で示すように各患者へのチェアサイドにレーザを分光するような技術が示されている。
【特許文献1】特開平10−286267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のレーザ装置では、占有面積を小さくするという要求には応えていたものの水平(横)方向に容易に移動させることに対する配慮が欠けており、移動に不自由が強いられることがあった。特に、コードレス化が叫ばれ、本体に電池を搭載する場合などには、さらに従来より重量が増し、本体を倒すことなく安全により容易に移動しやすくする方法が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決し、占有面積を小さくするとともに、容易に、安全に移動できるレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明におけるレーザ装置は、レーザ発振するレーザ発振器と前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部とを備えた本体部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザを被検体の照射対象部に入射するよう導くレーザ導波管とを備えたレーザ装置であって、前記本体部の上部を覆って少なくとも一部を横方向に突き出した突き出し部を有する操作パネル部と、設置場所を移動するための移動手段と、前記操作パネル部の突き出し部底面にくぼみ部を備えている。
【0007】
この構成により、操作者が、本体部を移動するにあたり、くぼみ部に手を入れて引くことで、容易にレーザ装置を移動することができる。
【0008】
また、本発明におけるレーザ装置は、前記突き出し部は本体部の前面側に突き出し、前記くぼみ部は、前記本体部の前面側に略垂直の面を有する。
【0009】
この構成により、操作者が、手前に引く場合でも、操作者の指がくぼみ部に引っかかりやすく、さらに操作者が椅子に座った状態であっても相対的に前記突き出し部は本体部の前面が突き出し部をよりも奥まった位置にあるため膝にあたり難い構成であり、容易にレーザ装置を移動することができる。
【0010】
また、本発明におけるレーザ装置は、前記くぼみ部と本体部の下部に設けた移動手段が床と接する接点とを結んだ仮想線上で、前記接点からの前記レーザ装置の重心までの長さの位置の高さよりも前記重心から床までの距離の方が低い関係にある。
【0011】
この構成により、レーザ装置を移動するためにくぼみ部を引いて牽引した場合、くぼみ部と接点とを結ぶ仮想線上での接点−くぼみ部間距離の位置のほうが高い位置にあるため、重心がいったん持ち上がって、この高さを乗り越えない限り本体が転倒することがない。つまり、移動において安全性を高めた構成としている。
【0012】
また本発明におけるレーザ装置は、前記くぼみ部が、本体部の下部に設けた複数の移動手段が床と接する点を結んで形成する仮想形状の内側に存在する構成とした。
【0013】
この構成により、重心位置だけでなく、くぼみ部の位置も仮想形状の内側に存在することから、より安定性の高い状態でレーザ装置を移動できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明は、操作部の横方向に突き出した突き出し部の裏面に手が入るくぼみ部を設けることにより、安全にかつ容易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図3を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
本発明のレーザ装置の実施の形態1における全体図を図1に示す。
【0017】
本実施の形態におけるレーザ装置100は、歯科診療所で使用される場合がある。歯科診療所ではさまざまな機材を置く必要があり、また操作者が狭い空間で作業ができることが必要なことから占有面積を極力小さくすることが求められる。
【0018】
そこで本実施の形態におけるレーザ装置100は、図1に示すように占有面積を小さくし、本体部3は上下方向に胴長の形状をし、操作パネル部4は胴長形状の本体の上部を覆い、操作者が立って手を下げた場合、または、椅子に腰掛けて、手をほぼ水平に伸ばした場合のどちらであっても、操作者の手に近い位置に設けられ、操作者がすぐに触れて操作しやすい位置になるようにしている。
【0019】
そして、操作パネル部4は操作に必要なスイッチ部や表示部が多く配置でき、操作性・視認性の維持を図るように、本体部3の水平(横)方向の断面積より大きい面積の操作面を有している。
【0020】
このため本体部3の上部を覆い操作者による操作ボタンや表示部を備えた操作パネル部4は、操作パネル部4の突き出し部4aを備え、占有する床面積を小さくしながらも極力必要な操作パネル部4および表示部が十分配置できるようにしている。
【0021】
さらにレーザ導波管5は、レーザ制御部2で制御されてレーザ発振器1が出力するレーザ(レーザ光)を患者患部(被検体の照射対象部位)にまで導く。
【0022】
なお導波管5の先端に設けられたプローブ6は、患者患部の部位や患部の状態、治療目的等により取替え可能なようになっており、多種類のものが用意されている。
【0023】
また本体部3を支える底部7には床面との間にキャスタ8を備え、容易に床面を移動できるようにしている。さらに本体部3の底部7には本レーザ装置100を商用電源に接続せずとも使用できるようにするための電池9が備えられている。
【0024】
なお、本レーザ装置100に電池9が備えられているのは、本レーザ装置100を操作者が移動して用いることが多く、そのために商用電源のケーブルがあると移動距離の限定、移動時の着脱の非効率、移動に際しての障害になるなどして、邪魔になって移動しにくいことがあるためケーブルをなくしたいという需要に応えるものである。また、そのため電池の重量分が従来のものより重くなり、重くても床面を移動しやすくする方法が求められる。
【0025】
また製品の安全上フットスイッチ10が操作者により踏み込まれてオンになっている時のみレーザ光が出力される。
【0026】
さらに図2は本発明のレーザ装置の実施の形態1における操作パネル部4を示す図で図2(a)はレーザ装置全体を上方から見た平面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面を断面で示す図である。そして前記操作パネル部4の突き出し部4aの裏面にくぼみ部12を備える。なお図2においてその他の図1で示す本実施の形態と同一構成物については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
そして図2で示すようなくぼみ部12を操作パネル部4の突き出し部4aの裏面に設けることで、取っ手11を引くことによって略水平方向に移動させる以外に、このくぼみ部12に手を入れることにより指を引っ掛け、同様に略水平方向に移動させることができる。これにより、裏側にくぼみ部を設けることでデザイン的品位を落とすことなく、また、上下に貫通する穴を設けて操作パネル部4の操作面スペース内に操作スイッチ以外の無駄な空間を構成することなく、操作スイッチレイアウトの省スペース化も図ることができる。
【0028】
以上のように、操作パネル部4の横方向に突き出した突き出し部の裏面に手が入るくぼみ部を設けることにより、移動方法のバリエーションを広げられ、使い勝手よく、安全にかつ容易に移動させることができる。
【0029】
なお、突き出し部4aは本体部3の前面(操作者)側に突き出し、くぼみ部12は、本体部の前面側に略垂直の面(鉛直面に対して約45゜程度の角度も含むこととする)を有する構成とすることで、操作者が、手前に引く場合でも、操作者の指がくぼみ部12に引っかかりやすく、特に略垂直の面に引っかかりやすく、更に突き出し部4aに対して、本体部3の前面は相対的に奥まった構成となっていることから、操作者の膝にあたり難いにくくして、容易にレーザ装置を移動することができる。
【0030】
さらにまた、くぼみ部12と本体部3下部に設けた移動手段(キャスタ−)が床と接する接点とを結んだ仮想線上で、接点からのレーザ装置の重心までの長さの位置の高さよりも重心から床までの距離の方が低い構成とすることで、レーザ装置100を移動するためにくぼみ部12を引いて牽引した場合、安定状態でのくぼみ部12と接点とを結ぶ仮想線上での接点−重心間距離の位置のほうが高い位置にあるため、重心がいったん持ち上がって、この高さを乗り越えない限り本体が転倒することがない。このように、移動において安全性を高めることができるとともに、操作者が、立った状態でも、椅子に座った状態でも、容易にレーザ装置を移動することが容易にでき、移動方法のバリエーションが広がる。ここで、単位体積あたりの重量の大きい電池9及び、交流電源用のトランス(不図示)などを本体部3下部に配置し、重心を下げ転倒しにくくしているのはいうまでもない。
【0031】
さらにまた、くぼみ部12が、本体部3下部に設けた複数の移動手段(キャスター)が床と接する接点を結んで形成する仮想形状の内側に存在する構成とすることで、重心位置だけでなく、くぼみ部の位置も仮想形状の内側に存在することから、キャスターが何か障害物にあたり停止した場合でも、モーメント的に、より安定性が高いため転倒しにくい構成としている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のレーザ装置は安全にかつ容易に移動させることができ、床面などを移動して用いるレーザ装置、特に、医科、歯科用のレーザ装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のレーザ装置の実施の形態1における全体図
【図2】(a)本発明のレーザ装置の実施の形態1における操作パネル部を示す平面図、(b)本発明のレーザ装置の実施の形態1における操作パネル部を示す正面図、(c)本発明のレーザ装置の実施の形態1における操作パネル部を示す側面の断面図
【符号の説明】
【0034】
1 レーザ発振器
2 レーザ制御部
3 本体部
4 操作パネル部
4a 突き出し部
5 レーザ導波管
6 プローブ
7 底部
8 移動手段(キャスタ−)
9 電池
10 フットスイッチ
11 取っ手
12 くぼみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振するレーザ発振器と前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部とを備えた本体部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザを被検体の照射対象部に入射するよう導くレーザ導波管とを備えたレーザ装置であって、前記本体部の上部を覆って少なくとも一部を横方向に突き出した突き出し部を有する操作パネル部と、設置位置を移動するための移動手段と、前記操作パネル部の突き出し部底面にくぼみ部を備えるレーザ装置。
【請求項2】
前記突き出し部は本体部の前面側に突き出し、前記くぼみ部は、前記本体部の前面側に略垂直の面を有することを特徴とした請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記くぼみ部と前記本体部の下部に設けた移動手段が床と接する接点とを結んだ仮想線上で、前記接点からの前記レーザ装置の重心までの長さの位置の高さよりも前記重心から床までの距離の方が低い関係にあることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記くぼみ部が、前記本体部の下部に設けた複数の移動手段が床と接する点を結んで形成する仮想形状の内側に存在することを特徴とする請求項1ないし3記載のレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−97756(P2007−97756A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289804(P2005−289804)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】