説明

レーザ装置

【課題】レーザ手術装置のプローブホルダを何らの工具を用いることなく機器本体から容易に着脱させて、従来は付着した血液や唾液を拭き取るしか術のなかった現状を、丸洗い洗浄を可能として清潔さを求められる洗浄医療現場の要求に応えたレーザ手術装置を提供する。
【解決手段】プローブホルダの素材をシリコンゴムとして、シリコンゴムの物理的特性を活かしてプローブホルダの穴と取付け軸の適切な寸法関係において適度な保持力を持たせて、プローブホルダ本来のプローブを保持する機能を維持しながら、機器本体から容易に着脱できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ装置に関し、特にプローブホルダの着脱に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用、歯科用などのレーザ装置(レーザ機器とも言う)が出血や痛みを伴わず治療効果にも優れていることからその需要が伸びてきている。かかるレーザ機器のプローブは先端チップを生体内に入れて治療を行う性質上、先端チップは元より、プローブホルダに付着した血液や唾液等を除去して常に清潔を保つことが要求される。
【0003】
プローブを本体に取付け、または、仮置きする構造としては、プローブの用途に応じていくつもの機構が一般的に知られている(例えば下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭63−122445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の医療用レーザ機器において、プローブを機器本体に保持させるプローブホルダは、本体にビスを用いて機械的に固定されていた。
【0005】
プローブホルダを確実に機器本体に固定するという面から優れているが、プローブホルダが着脱できない為に清潔さを保つという医療現場の要求には、ウエスで拭き取ることを奨めざるを得ない状況にあった。
【0006】
図5は従来例をしめす。プローブホルダ8には、ナット10がインサート成型され、操作盤の上パネル2には裏面(操作盤内面側)からネジ8で固定されている。この為に、確実に固定はできているが、着脱の為には機器の分解が必要で、医療現場では、プローブホラウダを機器本体から取り外して洗浄することは不可能で、プローブを介して付着した血液や唾液等を脱脂綿等で拭き取る程度である。
【0007】
本発明は上記課題を解決する為に、プローブホルダを容易に機器本体から取り外して洗浄し、洗浄後は再び容易に機器本体に取り付けることを実現させるプローブホルダを備えたレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレーザ装置は、レーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されたレーザを患部に入射するよう導くレーザ導波管と、前記導波管の先端に接続し患部に所定の状態でレーザを入射させるプローブと、装置の操作および状態を表示する操作パネル部とを有する。
【0009】
この構成により、これまで機器の本体から取り外して洗浄を行うことが不可能であったプローブホルダを、何らの工具を必要とすることなく取り外して洗浄し再び何らの工具を必要としないで本体に取り付けることを可能とし、清潔を求められる医療現場においての衛生上の効果は多大なものがある。
【0010】
また、非常に安価に提供することが可能となり、洗浄後の乾燥までの間にプローブを保持するためにはスペアのプローブホルダが必要であるが、負担が軽微で、付属品として提供することを可能とした。
【0011】
また、安価に提供できることにより、医療現場でも消耗部品として求めやすくなり、この点からも衛生上の多大な効果が期待できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によると、これまで機器の本体から取り外して洗浄を行うことが不可能であったプローブホルダを、何らの工具を必要とすることなく取り外して洗浄し再び何らの工具を必要としないで本体に取り付けることを可能とし、清潔を求められる医療現場においての衛生上の効果は多大なものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図1から図3を用いて説明する。図1は、レーザ装置の全体を示す外観を示す斜視図である。本体1の内部にはレーザ発振器、及びレーザの出力を制御するレーザ制御部が組み込まれている。制御されたレーザは、上パネル2に配置した出射口3からレーザ導波管4(ファイバーとも言う)を介してプローブ5の先端から患者患部に入射させる。レーザ装置のプローブ5を機器本体に保持させるプローブホルダ6の断面図を図2に示す。
【0014】
上パネル2には、1ケのプローブホルダ6に対して、プローブホルダ軸7が2本、裏面からネジ8で固定されている。プローブホルダ軸7は、ステンレスあるいは、他の金属材料で耐水性、耐溶剤性の高い表面処理を施したもので、プローブホルダ6に対してこのプローブホルダ軸7が圧入されるように装着する。図3は本発明の特徴であるプローブホルダ孔6a、6bとプローブホルダ軸7a、7bの関係をより詳細に示す。プローブホルダ孔6a、6bの入り口の直径φdは、奥よりも小さい直径(0.2〜1.0mm程度小さい)になっている。
【0015】
一般の樹脂の射出成型ではアンダーカットになって離型できないが、シリコンゴムでは弾力性を活かして無理なく成型することができるうえ、耐水性、耐薬品性にも優れ、頻繁に洗浄し清潔に保つ上で好ましい。
【0016】
また、プローブホルダ軸7a、7b先端部の直径φDは根元よりも太い直径(0.2〜1.0mm程度大きい)にしている。さらに、プローブホルダ孔6a、6bの入り口の直径φdは、プローブホルダ軸7a、7b先端部の直径φDとほぼ同じ(±0.2mm以内)としている。このことよりプローブホルダ6をプローブホルダ軸7に嵌合させたとき、プローブホルダ軸7a、7b先端部がプローブホルダ孔6a、6bの入り口に引っかかるため、操作者の通常動作としての、プローブ5をレーザ機器本体のプローブホルダ6への定置、取り外し操作においては、プローブホルダ6がプローブホルダ軸7から脱落することを防止している。
【0017】
また、洗浄時は、プローブホルダ6操作パネル面から引き上げることにより、プローブホルダ6がシリコンゴムで成型されたプローブホルダ6はその弾性でプローブホルダ軸7から容易に取り外すことが可能である。
【0018】
シリコンゴムの硬度と前述φdとφDの関係を、さらに適切に選ぶことにより、プローブ5のプローブホルダ6への保持力と、清掃時に特に関係の深いプローブホルダ6の着脱力を操作者の要望に応じて設定調整することができる。一般的な最大公約数としての快適な操作感を得る為にこれらの関係の設定に市場評価を交えながら苦労した。
【0019】
以上のように、プローブホルダを容易に機器本体から取り外して洗浄し、洗浄後は再び容易に機器本体に取り付けることを実現させるプローブホルダを備えたレーザ装置を提供することを目的とする。
【0020】
図4は本発明の効果を高める為の一例の説明図である。プローブホルダ軸を2ケ設けることにより位置規制をさせているが、その2ケの軸の勘合深さを同寸法にしないで図4に示すようにそれぞれ、プローブホルダ孔6a、6bの深さ寸法aとb、プローブホルダ軸7の長さ寸法AとBのように穴と軸が対応するように異なったものとすることで、プローブホルダ6をプローブホルダ軸7に取り付けるとき、逆装着を防止させている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、本発明にかかる容易に着脱できるプローブホルダは、常に清潔さの維持を要求される医療現場において、何らの工具を用いることなく機器本体から取り外して洗浄を行うことができることから、衛生的なプローブホルダとして大いに利用され、多大な効果が期待される。また、この発明は、他の清潔さを要求されながら、取り外しが難しかった取付け構造部品にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のレーザ装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明のプローブホルダの機器本体への取付け構造を示す説明図
【図3】本発明の着脱部構造の寸法関係説明図
【図4】本発明の効果を高める寸法関係図
【図5】従来のプローブホルダの機器本体への取付け構造説明図
【符号の説明】
【0023】
1 レーザ機器本体
2 上パネル
3 レーザ出射口
4 レーザ導波管(ファイバーともいう)
5 プローブ
6 プローブホルダ
6a,6b プローブホルダ孔
7,7a,7b プローブホルダ取付け軸
8 取付けビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ患者患部に入射するよう導くレーザ導波管と、前記導波管の先端に接続し患者患部に所定の状態でレーザを入射させるプローブと、装置の操作および状態を表示する操作パネル部とを有するレーザ装置にあって、前記操作パネル部は、操作面の一部に前記プローブを着脱可能に支持するプローブホルダを備え、前記プローブホルダは前記操作パネルの操作面から着脱可能としたレーザ装置。
【請求項2】
前記プローブホルダはシリコンゴム製である請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記プローブホルダは、前記操作パネルの操作面から突出したプローブホルダ支持軸に前記プローブホルダ底面に備えた穴部を嵌合させることで保持されることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。
【請求項4】
1つの前記プローブホルダが複数の前記プローブホルダ支持軸で保持されていることを特徴とする請求項3記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記複数のプローブホルダ支持軸の長さ、及び前記複数のプローブホルダ支持軸に対応する前記プローブホルダの複数の穴の深さが少なくとも2種類存在することを特徴とする請求項3または4記載のレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−97757(P2007−97757A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289807(P2005−289807)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】