説明

レースゲームプログラム、情報記憶媒体、及びゲーム装置

【課題】コース上の最短経路や最速経路を常時変化させることができ、プレイヤがコース取りの戦略を楽しむことが可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】仮想空間に形成されたコース上で着順を競うゲームを実行可能なゲーム装置において、プレイヤの操作に応じて移動した移動体の位置に対応するコースの領域を判定する手段と、前記領域に設定された抵抗値に基づいて移動体の移動可能速度を決定する速度決定手段と、前記移動体の位置に対応するコースの範囲に設定された抵抗値を減少させる手段とを備え、更に、前記速度決定手段は前記抵抗値が大きいほど移動体の移動可能速度を遅く設定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間に形成されたコース上を移動する移動体の速度制御に係る技術に関し、特に、コース上における移動体の移動経路に応じてコースの路面抵抗値を可変すると共に、移動体の最高速度の増大時に消費されるブースト値を可変前の路面抵抗値の大きさに応じて加算する機能を有するレースゲームプログラム及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤ(遊戯者)が操作する自車と他車とを仮想空間内で走行させて競争させるゲーム装置は従来から広く知られている。このようなゲーム装置においては、プレイヤが操作する自車と対戦者又はコンピュータが操作する他車とが、仮想空間に形成された周回路などのコース上で抜きつ抜かれつの白熱した攻防を展開することが大きな楽しみとなっている。
【0003】
スポーツカーやフォーミュラカーなどによるカーレースを模したレーシングゲーム装置では、コース上に沿って車両が走行するように、コースの内外を区画するためのサイドウォール(側壁)を設けたり、走行負荷の大きな砂利道などをコースの外側に設けたりしている。そして、車両が側壁に接触したときやコースから外れて走行しているときは、そのときに車両が受ける減速抵抗を算出し、その減速抵抗に応じて車両の速度を減速させるようにしている。また、意図的に側壁に接触させて素早くコーナリングするなど、上級者の裏技テクニック(実際の車両ではありえない走行テクニック)を抑制するために、側壁から離れた後、あるいはコース外からコース内に復帰した後も、所定時間又は距離に亘って移動体の移動速度の上限値や加速度を制限するなど、プレイヤに対して所定のペナルティを付与するようにしたものもある(特許文献1参照)。
【0004】
また、プレイヤの操作によって仮想乗物の最高速度の上限値を変更できるようにしたゲーム装置としては、例えば、左右に対をなした推進装置によって航行する仮想乗物を操縦するゲーム機において、上記仮想乗物が障害物等に衝突または接触してダメージを受けていない(又は修復が終っている)という条件が成立しているときに、プレイヤがブーストボタンユニットを押圧操作すると、仮想乗物の最高飛行速度がさらに増大するようにしたものもある(特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献1,2に開示されているように、移動体の速度制御に係る従来技術としては、移動体の移動速度の上限値や加速度を制限するものや、プレイヤが特定のボタンを押すと、移動体の最高速度が増大するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−088682号公報
【特許文献2】特開2001−170367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のレースゲーム装置は、特許文献1において従来技術として開示されているように、プレイヤによるハンドル,アクセル,ブレーキ等の入力操作に対応して、移動体に働く路面抵抗,空気抵抗,遠心力,慣性モーメント等から、移動体のピッチ角度,ヨー角度,ロール角度,走行速度,加速度などをシミュレーションして、実車と同様な動きをゲーム画面に表示するようにしたものが知られている。しかし、リアリティの追求に重点を置きすぎると、技能の未熟な人はゲームを楽しむことができず、また、ゲームならではの演出効果でプレイヤを楽しませるという側面が手薄となってしまうという課題が生じる。
【0008】
また、仮想空間内に形成されたサーキットや市街地などのコース上を走行させるタイプのレースゲームでは、コース上の路面抵抗や車両の接地面積などが変化しない限り、目的地までの最短経路や最速経路は物理的には一意に決定される。そのため、コーナリング時などの走行テクニックを習得しないと他車について行けないことが多く、その結果、プレイヤはレースゲームを楽しむことができず、逆にストレスを感じることもあった。
【0009】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、コース上の最短経路や最速経路を常時変化させることができ、プレイヤがコース取りの戦略を楽しむことができると共に、従来のレースゲームにはないレース展開を楽しむことが可能なレースゲームプログラム及びゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、レースゲームプログラム、情報記憶媒体、及びゲーム装置に関するものであり、本発明の上記目的は、
レースゲームプログラムに関しては、仮想空間に形成されたコース上で、複数の移動体によって着順を競うレースゲームを実行するためのレースゲームプログラムにおいて、コンピュータを、プレイヤによる操作手段の操作に応じて前記コース上で前記移動体を移動させる移動手段、前記操作に応じて移動した前記移動体の位置に対応する前記コースの領域を判定する判定手段、前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、前記移動体の移動可能速度を決定する速度決定手段、及び、前記移動体の位置に対応する前記コースの範囲に設定された抵抗値を減少させる抵抗値減少手段、として機能させ、更に、前記速度決定手段は、前記抵抗値が大きいほど前記移動体の移動可能速度を遅く設定することによって達成される。
【0011】
さらに、前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、メモリに記憶された前記移動体のブースト値に加算する加算量を算出する算出手段、前記ブースト値を消費して、前記移動体の移動可能速度を前記速度決定手段により決定される移動可能速度よりも速い速度に設定する加速手段として、前記コンピュータを更に機能させ、前記算出手段は、前記抵抗値が大きいほど前記加算量を多く算出すること、
前記プレイヤの操作に基づく前記レースゲーム中のイベントの発生によって、前記抵抗値が減少した前記コース上の所定範囲の抵抗値を、前記抵抗値減少手段が減少する前の抵抗値の大きさに回復させる抵抗値回復手段として、前記コンピュータを更に機能させること、
前記抵抗値減少手段は、前記抵抗値を減少させる範囲を、前記判定手段によって判定される領域と同一とすること、
前記抵抗値減少手段は、前記抵抗値を減少させる範囲を、前記判定手段によって判定される領域と異なる大きさにすること、
前記加速手段によって移動可能速度が設定された場合には、前記抵抗値減少手段は、前記範囲における抵抗値を変更せず、前記算出手段は、前記加算量を算出しないこと、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0012】
また、情報記憶媒体に関しては、コンピュータ読取可能な情報記憶媒体であって、上記レースゲームプログラムを記憶した構成とすることによって達成される。
【0013】
また、ゲーム装置に関しては、仮想空間に形成されたコース上で、複数の移動体によって着順を競うレースゲームを実行可能なゲーム装置において、プレイヤによる操作手段の操作に応じて前記コース上で前記移動体を移動させる移動手段と、前記操作に応じて移動した前記移動体の位置に対応する前記コースの領域を判定する判定手段と、前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、前記移動体の移動可能速度を決定する速度決定手段と、前記移動体の位置に対応する前記コースの範囲に設定された抵抗値を減少させる抵抗値減少手段と、を有し、更に、前記速度決定手段は、前記抵抗値が大きいほど前記移動体の移動可能速度を遅く設定することによって達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仮想空間内のコース上を移動する移動体の位置に対応する領域に設定された抵抗値に基づいて高速移動用ブースト値を加算するとともに、移動体の位置に対応するコースの範囲に設定された抵抗値を減少させ、抵抗値が大きいほど移動体の移動可能速度を遅く設定し、抵抗値が大きいほど上記ブースト値の加算量を多く算出するようにしている。その結果、抵抗値が小さい経路を走行すると、移動体の速度は速くなるが、ブースト値の蓄積量は少なくなることになる。そのため、レースゲームの駆け引きが生まれ、プレイヤがコース取りの戦略を楽しむことができると共に、従来のレースゲームにはないレース展開を楽しむことが可能となる。また、移動体の走行負荷となる抵抗値が、移動経路に応じて変化することになるので、コース上の最短経路や最速経路が常時変化するレースゲームを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用されるゲーム装置の一例を示す外観図である。
【図2】図1に例示したゲーム装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である
【図3】本発明に係るゲーム処理手段の主要部の構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】移動体領域と抵抗値を減少させる範囲との関係を示す第1の模式図である。
【図5】移動体領域と抵抗値を減少させる範囲との関係を示す第2の模式図である。
【図6】コース上の芝と移動体の移動可能速度との関係を示す模式図である。
【図7】仮想空間内に設定されるオーバルコースの基本構成の一例を示す模式図である。
【図8】図7中のコースのA−A線を矢印方向から見た断面を示す模式図である。
【図9】芝オブジェクトを側面図で示す模式図である。
【図10】地面に敷設される芝を平面図で示す画像例である。
【図11】芝情報を管理するために芝情報テーブルの構成例を示す模式図である。
【図12】移動体の一例である芝刈り機を示す模式図である。
【図13】芝刈り機の芝刈り機構の動作例を説明するための模式図である。
【図14】移動体の操作を説明するためのコントローラの模式図である。
【図15】芝刈り機レースにおけるゲーム画像の第1の例を示す模式図である。
【図16】フェイス・アイコンを説明するための模式図である。
【図17】芝刈り機レースにおけるゲーム画像の第2の例を示す模式図である。
【図18】刈った芝とブーストとの関係を示す第1の模式図である。
【図19】刈った芝とブーストとの関係を示す第2の模式図である。
【図20】芝の深さの描画分けを説明するための模式図である。
【図21】アイテムが存在する場所を示すエフェクト画像の一例を示す模式図である。
【図22】アイテム入手時の画像例を示す模式図である。
【図23】アイテムを示すアイコンの具体例を示す模式図である。
【図24】アイテム入手時の移動体の動作例を説明するための模式図である。
【図25】本発明に係るゲーム処理の全体の流れを説明するためのフローチャートである。
【図26】本発明に係るゲーム処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図27】本発明に係るゲーム処理を説明するための第2のフローチャートである。
【図28】図27の分図である。
【図29】本発明に係るゲーム処理を説明するための第3のフローチャートである。
【図30】本発明に係るゲーム処理を説明するための第4のフローチャートである。
【図31】本発明に係るゲーム処理を説明するための第5のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照にしながら本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、本発明が適用される「ゲーム装置の構成」と「本発明に係るレースゲームの概要」について順次説明し、その後、本発明に係るゲーム処理について詳細に説明する。
【0017】
《ゲーム装置の構成》
図1は、本発明が適用されるゲーム装置の一例を示す外観図あり、このゲーム装置は、一般的な家庭用ゲーム装置の一例を示している。図1において、ゲーム装置の本体1(以下「ゲーム機本体」と呼ぶ)には、操作信号の入力端子(1a〜1d)と、映像信号及び音声信号の出力端子とが設けられており、操作者が操作する操作コントローラ2が接続ケーブル7を介して接続され、ゲーム画像などを表示するための表示装置3が映像/音声接続ケーブル6を介して接続される。
【0018】
コンピュータをゲーム処理手段として機能させるためのゲームソフトウェア(ゲームプログラム及び制御データ類)は、本例では外部記憶媒体4に格納されており、その外部記憶媒体4(本例ではDVD−ROM)は、ゲーム機本体1に設けられている蓋体1Aの部分から装填される。画像表示手段としての表示装置3は、本例ではテレビジョン受像機であり、ディスプレイ(画像表示装置)31とスピーカ32a,32bと映像/音声入力端子(映像信号入力端子33及び音声信号入力端子34,35)とを備えている。
【0019】
操作コントローラ2には、ゲームの開始を指令するスタートボタン21と、アナログジョイスティック22,23と、各種操作ボタン24と、方向キー25とが配設されており、これらの入力操作スイッチには、遊戯するゲームに応じて様々な機能が割り当てられている。本例では、4つの操作コントローラ2がゲーム機本体1に接続可能であり、最大4人の遊戯者が1つのゲームに同時に参加してゲームを楽しめるように構成されている。
【0020】
このような構成において、ゲーム装置は、操作コントローラ2から出力される入力操作情報に基づいてゲームプログラムを実行し、ゲームに係る画像データと音声データを生成して、テレビジョン受像機3のモニタ(ディスプレイ31)にゲーム画像を表示すると共にスピーカ32a,32bから効果音等を発生させる。
【0021】
図2は図1に例示したゲーム装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ゲーム機本体1には、制御基板10と外部記憶媒体4の読取装置20(本例ではDVD−ROM読取装置)とが内蔵されている。なお、説明の便宜上、本発明に係るゲームの処理を実行する全体の情報処理手段を「ゲーム処理手段」として定義し、画像情報生成手段や音声情報生成手段については、ゲーム処理手段の一部の構成要件として説明する。
【0022】
制御基板10には、ゲームプログラムに従って動作するゲーム処理手段としてのメインCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶手段としてのROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)13と、ゲームプログラムによって生成された画像情報を基に、画像表示装置31に出力する映像信号を生成する画像処理回路14と、スピーカ32に出力する音声信号を生成する音声処理回路15と、入出力制御手段としての入出力機器用I/F(interface)回路16と、通信制御手段としての通信用I/F回路17とが搭載され、これらはバス18を介して接続されている。
【0023】
ROM12にはゲーム装置の起動用プログラム等の基本ソフトウェアが格納されており、RAM13には、ゲームの進行に従って得られる移動体の移動情報や仮想空間の地形情報などが一時的に記憶される。
【0024】
画像処理回路14は、CPU11からの指示に応じて動作する画像処理ユニット14aとグラフィックメモリ14b等から構成され、画像情報生成手段としてCPU11を機能させるゲームプログラムに従って生成された画像情報(3次元仮想空間にモデル化されたポリゴンオブジェクト,仮想光源,仮想カメラなどの情報)に基づいて、3次元座標から2次元座標への座標変換処理やレンダリング処理(シェーディング,テクスチャーマッピング,レートレーシング法,ラジオシティ法などによる画像処理)を行い、ゲーム画像を画像表示装置31に表示させる処理を行う。なお、画像処理ユニット14aやレンダリングプロセッサなどの3次元グラフィックス処理用の補助プロセッサを備えていないゲーム装置の場合は、ゲームプログラムによって上記のような座標変換処理やレンダリング処理などを実行する形態となる。
【0025】
音声処理回路15は、サウンド処理ユニット15aとサウンドメモリ15b等から構成され、音声情報生成手段としてCPU11を機能させるゲームプログラムに従って生成された音声情報に基づいて、効果音等の音声データを生成して音声信号を出力する処理を行う。
【0026】
入出力機器用I/F回路16は、本例では、操作コントローラ用のI/F回路16a、画像データ出力用のI/F回路16b、音声データ出力用のI/F回路16c、及びDVD−ROM読取装置用のI/F回路16dを備えている。通信用のI/F回路17は、インターネット通信網等の通信ネットワーク5を介したオンラインゲームを行う場合などに使用される通信制御手段である。
【0027】
なお、操作者が移動体を操作する操作手段としての操作コントローラ2は、図1に例示した操作コントローラ2の構成に限るものではなく、ワイヤレスの操作コントローラや、コントローラ本体の動きを検知するセンサ(コントローラの画面に対する位置や方向、コントローラの傾きやX,Y,Z軸方向の加速度を検知するセンサなど)を備えたものや、タッチパネルやデジタイザ等のポインティングデバイスにて構成されたものなど、遊戯者が入力操作した情報をゲーム装置側に伝達できるものであれば良い。また、ゲームソフト(ゲームプログラム及びデータ)を格納する外部記憶媒体4は、DVD−ROMに限るものでなく、コンピュータにより読取可能な任意の情報記憶媒体を用いることができる。また、ゲーム機本体1内のRAM13若しくは他の内部記憶媒体にネットワークを介してゲームソフトをダウンロードする形態とした場合は、外部記憶媒体4及びその読取装置20は不要である。
【0028】
《本発明に係るレースゲームの概要》
次に、本実施形態に係るレースゲーム(コンピュータゲーム)について、その概要を説明する。
【0029】
本発明に係るゲーム装置で実行されるレースゲームは、フォーミュラカーやスポーツカーのような高速走行が可能な競技用車両を模した移動体を操作して仮想空間内のサーキットや市街地を高速で疾走させるタイプのゲームとは異なり、コースの路面とは摩擦係数が異なる芝草や雪,粉粒体などの被覆物(以下「敷設物」と呼ぶ)で路面上が覆われたフィールドを仮想空間内に設け、そのフィールド内で複数の移動体によりレースを展開させるゲームである。
【0030】
レース用の移動体としては、路面上の敷設物(芝,雪,凸凹のある地面の凸部の土,塵,仮想の物質など)を除去及び収容しながら移動可能な仮想の移動体を用いている。さらに、その移動体は、収容した物質の量を「ブースト値」として消費することで移動可能最高速度を増大させることが可能な移動体としている。具体的には、実際の車両を模した移動体とするのが好ましく、例えば、芝刈り機,除雪車,凸凹道を馴らす車両,掃除をする車両などの特殊車両をレース用の移動体とするのが好ましい。
【0031】
本発明に係るゲーム装置では、移動体の速度制御に係るゲーム処理手段の主要な機能としては、コース上における移動体の移動経路に応じてコースの路面抵抗(走行抵抗)の値を可変する機能と、移動体の最高速度の増大時に消費されるブースト値を可変前の路面抵抗値の大きさに応じて加算する機能とを備えている。
【0032】
以下、仮想空間に設置されたコース上に敷かれる敷設物(除去対象物)を「芝」とし、そのコース上を移動する移動体を「芝刈り機」とし、芝が全面に敷かれたフィールド内で競技するゲームを例として説明する。なお、複数の芝刈り機によるレースの種類としては、オーバルコース(周回コース)を走るタイムを競うことをルールとした第1レースと、フィールド内を自由に走り、制限時間内での芝を刈った量(面積若しくは体積)を競うことをルールとした第2レースとがあるが、ここでは、第1レース(以下「芝刈り機レース」と呼ぶ)を例として説明する。
【0033】
〈芝刈り機レースの概要〉
芝刈り機レースでは、プレイヤが操作する芝刈り機は、芝を刈った量によってブーストゲージが溜まり、プレイヤがブーストを使用すると、芝を刈らずに高速で走行することができるようにしている。また、通常走行(芝を刈りながら走行している状態)では、芝刈り機の速度は低い芝上ではやや減速し、高い芝上では大きく減速する一方、既に芝が刈られた箇所では芝刈り機の速度は減速しないというように、ゲーム処理手段では、路面抵抗(芝が生えている路面の抵抗)に応じて芝刈り機の速度を変化させると共に、芝刈り機が通った後のコースの路面抵抗(芝が刈られた地面の抵抗)に応じて芝刈り機の速度を変化させるようにしている。
【0034】
言い換えると、芝刈り機が走行したコース(移動経路)は芝が刈られた路面となるので、後続の他の芝刈り機(あるいは周回した自己の芝刈り機)が、その路面上を走行する場合は、芝が生えている路面(抵抗値が大きな路面)よりも速く走行することができる。他方、芝を刈りながら走行すれば、芝刈り機の速度が減速するが、刈った芝をブーストとして使用することで、芝が存在する場所でも高速で走行することができる。その結果、ゴールまでの最短(最適)コースが常時変化するため、プレイヤのコース取りの戦略も常時変化することになる。
【0035】
なお、「ブースト」とは、刈った芝を消費することによって芝刈り機の加速度や最高速度を通常よりも増大させることができるパワーであり、本例では、刈り取った芝を燃焼させた際に生じる仮想的なエネルギーを利用して車両の移動可能最高速度(最大の移動可能速度)を増大させる機能のことを言う。また、「ブーストゲージ」は、溜まったブーストの量を画面上で示すゲージのことを言う。
【0036】
以下、ブースト機能を使用して走行している状態を「ブースト走行」と呼び、ブースト機能を使用しないで走行している状態を「通常走行」と呼ぶ。また、刈った芝の量に対応するエネルギーの量を「ブースト値」と呼び、そのブースト値を消費することで、移動体(本例では芝刈り機)の移動可能最高速度を増大させる機能を「ブースト機能」と呼ぶものとする。
【0037】
《本発明に係るゲーム処理の説明》
以下、本発明に係るゲーム処理手段の主要部の構成について説明し、その後、上記芝刈り機レースを具体例として、本発明に係るゲーム処理について詳細に説明する。
【0038】
先ず、本発明に係るゲーム処理手段の主要部の構成について説明する。
【0039】
<ゲーム処理手段の主要部の構成>
図3は、本発明に係るゲーム処理手段の主要部の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図3に示されるゲーム処理手段70の構成要素である各手段71〜77は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成を限定するものではない。
【0040】
本発明に係るゲーム処理手段70は、CPU11によって制御されるコンピュータ・プログラムで実現され、そのプログラムは、コンピュータによって読取可能な記憶媒体に記憶されている。なお、一部の処理をハードウェアで実装する形態も本発明に含まれる。
【0041】
ゲーム処理手段70の主要な構成要素としては、プレイヤによる操作に応じて移動体を移動させるための移動手段71と、コース上における移動体の領域を判定するための判定手段72と、コースの路面抵抗値(本例では芝や雪などの敷設物の高さに比例した移動負荷)に基づいて移動体の移動可能速度を決定するための速度決定手段73と、コースの路面抵抗値に基づいてブースト値の加算量を算出するための算出手段74と、ブースト値の消費に応じて移動体の速度を加速させるための加速手段75と、除去対象物を除去した範囲に応じてコースの路面抵抗値を減少させるための抵抗値減少手段76と、減少した路面抵抗値を回復させるための抵抗値回復手段77と、を備えている。
【0042】
以下に、それらの手段71〜77について、より詳しく説明する。なお、画像処理については説明を省略し、ここでは、移動体の速度制御に係る主要な処理について説明する。また、具体的なゲーム処理については、芝刈り機レースを例として後述するものとする。
【0043】
(1)移動手段71
移動手段71は、操作手段によるプレイヤの移動操作に応じて移動体の位置情報を更新し、仮想空間に形成されたコース上で移動体を当該位置へ移動させる処理を実行する。その際、速度決定手段73により決定された移動可能速度、及びプレイヤの移動操作(アクセル操作、ブースト機能の発動操作など)の情報に基づいて決定した移動速度で、移動体を当該位置へ移動させる。
【0044】
(2)判定手段72
判定手段72は、コース内の各エリア(フィールドの分割領域)と移動体(車体)との位置関係に基づいて、移動した移動体の位置に対応するコースの領域を「移動体領域」として判定する処理を実行する。
【0045】
(3)速度決定手段73
速度決定手段73は、上記移動体領域に設定された抵抗値に基づいて移動体の移動可能速度を決定する処理を実行する。ここで言う抵抗値とは、後述する実施の形態では、地面(芝が刈られている路面)及び芝の高さに応じて設定された抵抗値のことである。例えば、現在の路面が地面の場合には、速度決定手段73は地面の抵抗値(走行負荷)に基づいて移動体の移動可能速度を決定し、高さの高い芝が生えている路面の場合には、その高い芝に応じて設定されている抵抗値(若しくは高さを示す値に応じて算出した抵抗値)に基づいて移動可能速度を決定する。その際、速度決定手段73は、抵抗値が大きいほど(芝の高さが高いほど)移動体の移動可能速度を遅く設定する。
【0046】
(4)算出手段74
算出手段74は、上記移動体領域に設定された抵抗値に基づいて、メモリに記憶された移動体のブースト値に加算する加算量を算出し、ブースト値を更新する処理を実行する。その際、算出手段74は、現在の路面の抵抗値が大きいほど、ブースト値の加算量を多く算出する。例えば、移動体の一例である芝刈り機によって芝を刈った場合には、その芝の量(本例では芝の高さと移動体の幅に対応する芝の刈り込み範囲に基づいて決定される芝の量)を路面の抵抗値と見なして、その抵抗値に応じてブースト値の加算量が増大されることになる。
【0047】
また、算出手段74は、速度決定手段73によって設定された移動可能速度が加速手段75によって変更された場合、言い換えると、プレイヤによるブースト機能の発動操作によって移動体がブースト走行中の場合には、ブースト値の加算量を算出しないようにしている。これにより、例えば、先行する移動体は、後ろの移動体に対して芝が刈られていない部分(走行負荷の大きな路面)を走行させるような駆け引きを行うことができるようになる。
【0048】
(5)加速手段75
加速手段75は、ブースト値を消費して、移動体の移動可能速度を上記速度決定手段73により決定される移動可能速度よりも速い速度に設定する処理を実行する。本例では、プレイヤによるブースト機能の発動操作によってブースト走行が開始され、ブースト機能の停止操作によってブースト走行が終了し、そのブースト走行中の間は、ブースト値が走行距離又は経過時間に応じてブースト値が消費されるようにしている。その消費に伴うブースト値の更新処理は、前述の算出手段74によって行われる。
【0049】
(6)抵抗値減少手段76
抵抗値減少手段76は、移動体の位置に対応するコースの範囲(本例では芝を刈った範囲)に設定された抵抗値を減少させる処理を実行する。その際、抵抗値減少手段76は、速度決定手段73によって設定された移動可能速度が加速手段75によって変更された場合、言い換えると、プレイヤによるブースト機能の発動操作によって移動体がブースト走行中の場合には、上記抵抗値を減少させる処理を実行しないようにしている。
【0050】
本実施の形態では、抵抗値減少手段76では、抵抗値を減少させる範囲を、判定手段72によって判定された移動体領域と同一とする形態としているが、移動体領域と異なる大きさにする形態としても良い。
【0051】
ここで、移動した移動体の位置に対応するコースの領域(移動体領域)と、路面の抵抗値を減少させる範囲との関係について、図4を参照して説明する。
【0052】
図4は、移動体領域と抵抗値を減少させる範囲との関係を示す第1の模式図である。図4では、芝52aが生えている仮想空間内のコース50上を移動体(芝刈り機)60が、芝52aを刈りこみながら走行する様子を示している。移動した移動体の位置に対応するコースの領域は、矢印A1で示される領域であり、前述の判定手段72では、その領域を移動体領域A1として算出するようにしている。本例では、移動体領域A1内に芝52aが存在する場合は移動体60と芝52aが当たっていると判定し、その芝52aに設定されている抵抗値に基づいて、速度決定手段73が移動可能速度を決定すると共に算出手段74がブースト値の加算量を算出するようにしている。
【0053】
そして、移動体領域A1(便宜上「当たり判定範囲」と呼ぶ)を芝52aの刈り込み範囲として設定し、その刈り込み範囲(本例では移動体領域A1と同一の範囲)内の芝52aを移動体60が刈り込む様子を表示すると共に、図4中に示すように、芝52aを刈り取った後の路面(本例では地面)52bが現われるようにしている。
【0054】
抵抗値減少手段76では、上記移動体領域(当たり判定範囲)A1に設定された抵抗値を減少させる処理を実行するようにしている。言い換えると、図4の例では、移動した移動体の位置に対応するコースの領域(移動体領域)A1を芝の刈り込み範囲として、その範囲の路面抵抗値を芝の路面抵抗値から地面52aの路面抵抗値に切替えることにより、路面の抵抗値を減少させるようにしている。
【0055】
上記のような実施形態(第1形態とする)とした場合、芝を刈る範囲(抵抗値を減少させる範囲)と移動体領域(当たり判定範囲)とが同一となり、移動体それぞれに設定された芝刈り幅(範囲)によって、抵抗値が減少する範囲が異なり、プレイヤ同士の駆け引きが生まれることとなる。
【0056】
図5は、移動体領域と抵抗値を減少させる範囲との関係を示す第2の模式図である。本例は、抵抗値を減少させる範囲を、判定手段72によって判定された移動体領域A1と異なる大きさにする形態の一例を示している。図5において、移動体60aは先行車を示し、移動体60bは後続車を示している。矢印A2で示される領域は、芝を刈る範囲を示しており、本実施の形態(第2形態とする)では、抵抗値減少手段76は、芝を刈る範囲(抵抗値を減少させる範囲)A2を移動体領域(当たり判定範囲)A1よりも大きく設定する実施形態としている。この第2形態とすることにより、図5中の矢印Wの幅に示すように、芝を刈る範囲と移動体領域A2との差によって生じるスペースの余裕が生じ、既に刈られた場所52bを後続車60b(及び、オーバルコースにおける周回後の先行車60a)が通過するのが易しくなる。
【0057】
また、上記第2形態とは逆に、抵抗値減少手段76は、芝を刈る範囲(抵抗値を減少させる範囲)A2を移動体領域(当たり判定範囲)A1よりも小さく設定する実施形態(第3形態とする)としても良い。この実施形態とすることにより、既に刈られた場所52bを移動体が通過するのが難しくなる。これらの第2,第3形態とすることによって、それぞれの芝刈り範囲によってプレイヤの駆け引きが生まれることになる。また、第1乃至第3の形態をレース中に切替える形態(例えばレースゲーム中に発生するイベント、移動体の種類、若しくはゲーム中のプレイヤによる刈り込み範囲(敷設物の除去範囲)A2の操作に応じて切替える形態など)としても良い。
【0058】
抵抗値減少手段76によって、芝の路面から地面に変わるなど、コース上の路面の抵抗値が移動体の移動経路に応じて変化し、それに応じて移動体の速度が変化することになる。図6は、コース上の芝と移動体の移動可能速度との関係を示す模式図である。
【0059】
図6に示すように、移動体の移動可能速度は、例えば、「ブースト/芝無」,「通常/芝無」,「ブースト/低い芝」,「ブースト/高い芝」,「通常/低い芝」,「通常/ 高い芝」というように、ブースト走行中かどうか、芝の有無、芝の高低に応じて変化するようにしている。図6の例では、地面(芝を刈った路面)をブースト走行中の場合が、他と比較して最速で、高い芝の路面を通常走行中の場合が、他と比較して最低の速度となるように、移動体の速度を制御する形態としている。なお、図6中のMの範囲は、ブースト中は、芝の影響を受けない形態とするなど、実施形態によって変わる範囲を示している。
【0060】
(7)抵抗値回復手段77
抵抗値回復手段77は、プレイヤの操作に基づくレースゲーム中のイベントの発生によって、抵抗値が減少したコース上の所定範囲の抵抗値を、上記抵抗値減少手段76が減少する前の抵抗値の大きさに回復させる処理を実行する。上記イベントは、例えば、移動体が移動中に特定のアイテムを入手すると発生させる。そして、アイテムを入手した時点で、例えば既に芝を刈った場所に雨が降って芝が生えるシナリオを実行し、芝の復活に応じて路面抵抗値を変更することにより、芝が刈られる前の抵抗値の大きさに回復させる。
【0061】
《具体的な実施の形態の説明》
以下、本発明に係るゲーム処理について、レースゲームの具体例を示して詳細に説明する。先ず、本発明に係るレースゲームにおけるオーバルコースの構成について説明する。
【0062】
〈オーバルコースの構成〉
図7は、仮想空間内に設定されるオーバルコース(任意形状の周回コース)50の基本構成の一例を示している。オーバルコース50は、オーバルコースの区画体を表す区画オブジェクト51と、コースの路面を表す路面オブジェクト52とで構成される。オーバルコースを形成する区画オブジェクト51は、コースの外縁を形成する区画オブジェクト(以下「外側区画」と略称する)51aと、コースの内縁を形成する区画オブジェクト(以下「内側区画」と略称する)51bとで構成される。
【0063】
〈区画オブジェクトの形状〉
区画オブジェクト51の形状は任意であり、例えば、牧場にオーバルコースを設定する場合は、外側区画51aは、放牧地の柵(例えば矩形状の柵)を表す画像オブジェクトとし、内側区画51bは、例えば宿舎,木,池,岩などの自然物若しくは所定の人工物を表す画像オブジェクトとして、それらの区画51a,51bが仮想マップ上に配置される。その際、予め用意された区画形状モデルに基づいてオーバルコース50の形状を形成する形態としているが、例えば上記区画形状モデルを所定のアルゴリズムにより可変し、コースの外縁及び内縁の形状がそれぞれ毎回異なるオーバルコース50を自動的に形成してレースを開始する形態としても良い。
【0064】
〈路面オブジェクトの構成〉
図8は、図7中のオーバルコース50におけるA−A線を矢印方向から見た断面を示す模式図である。図8の模式図に示すように、路面オブジェクト52は、地面を表す地面オブジェクト(以下「地面」と略称する)52bと、その地面52bの上面に層設される芝を表す芝オブジェクト(以下「芝」と略称する)52aとから構成される。
【0065】
地面52bは、敷設物とは転がり抵抗等が異なる土,砂利,若しくはアスファルト等の舗装材を表す地形モデルのテクスチャで形成される画像オブジェクトである。本実施の形態では、地面52bは、起伏のない平面で形成された地形としている。芝52aは、高さが異なる複数の芝があり、それらの芝がオーバルコース50の所定エリア(本例では全域)に配置される。そして、本例では、地面52bに生えている芝52aが芝刈り機によって刈られることにより、高さのない芝となり、地面や舗装された路面等からなる本来の地面52bが現われるようにしている。その際、芝を刈った状態は、地面52b(T1)の画像が現われるように、例えば芝52aのアルファ値(透明度)を高くすること、或いは、刈られた範囲を地面52b(T1)の画像に切替えることなどにより表現される。
【0066】
以下、芝の種類の具体例を示して説明する。本実施の形態では、芝の種類は、以下のように芝の状態によって分類されており、ゲーム処理手段70では、芝の状態(T1)〜(T4)に対応して記憶されている路面抵抗値(若しくは路面抵抗に伴う芝刈り機の減速量)の情報に基づいて、芝刈り機の速度やブースト値の加算量を可変するようにしている。
【0067】
(芝の状態)
本実施の形態では、芝の状態を示すパラメータとして、以下のように4種類のパラメータを設けている。そして、抵抗値は、T1≦T2<T3<T4としている。
【0068】
(T1)芝が刈られている状態(=地面52b)
(T2)高さのない芝(芝は刈られていないが高さ=0の芝が存在する状態)
(T3)低い芝
(T4)高い芝
図9(A)〜(C)は、芝52a(T2)〜(T4)を側面図で示す模式図であり、図10(A)〜(C)は、地面52b(T1)に敷設される芝52a(T2)〜(T4)を平面図で示す画像例である。本実施の形態では、芝の状態を表す画像は、高さのない芝(T2)の場合は、地面を表す地形モデルのテクスチャを変えて表現し、低い芝52a(T3)の場合は、芝の状態を地形モデルとは独立した形態で表示し、高い芝52a(T4)の場合は、低い芝52a(T3)よりも高さのあるモデルで表示するようにしている。なお、ゲーム画像として表示する際には、プレイヤが芝の種類を瞬時に判別できるように、低い芝52a(T3)は例えば「淡い緑色又は黄色」、高い芝52a(T4)は例えば「濃い緑色又は緑色」というように、芝52aの種類(本例では高低)を色の濃淡若しくは原色や形状の違いにより示すようにしている。
【0069】
<芝情報の管理テーブルの構成について>
本実施の形態では、芝の種類を「地面(T1)と高さのない芝(T2)」と、「低い芝(T3)と高い芝(T4)」とに分類して、芝情報の管理及び処理を分けており、以降、「地面、高さのない芝」を「芝テクスチャ」、「低い芝、高い芝」を「芝モデル」と記述する。
【0070】
図11は、芝情報を管理する芝情報テーブルTITの構成例を示している。本実施の形態では、図7に例示したような矩形状のフィールドの状態を管理するために、仮想空間上における地面を表す平面を一定間隔で分割し、それぞれの領域(X,Y座標で管理されるX×Y個の分割領域)に対する情報を、メモリ空間の連続領域に格納している。本実施の形態では、「芝テクスチャ」を管理する芝情報テーブルTIT(1)と、「芝モデル」を管理する芝情報テーブルTIT(2)とで分けている。そして、「芝モデル」の管理テーブルは、フィールドの分割数を多くして、きめ細やかな芝の画像表示や芝刈り機との当たり判定処理を行えるようにしている。芝情報テーブルTIT(1)には、芝の状態(芝が生えているか否か=芝の有無=地面か否か)を表す数値が、フィールドの分割領域(X’,Y’)毎に格納され、芝情報テーブルTIT(2)には、別のメモリ空間に記憶されている芝の配置データに従って、芝の高さ(本例では芝の高低の2段階)及び芝が無いことを表す数値が、フィールドの分割領域(X,Y)毎に格納される。なお、これらのテーブルTIT(1),(2)は、初期値を格納するテーブルと現在値とをテーブルに分けている。そして、本実施の形態では、フィールド全面に芝を敷設する形態としているので、例えば、当該コースでのゲームの開始前に芝情報テーブルTIT(1)の内容を0クリアすることで、初期値(芝が生えている状態を表す値「0」)が設定されるようにしている。
【0071】
ゲーム処理手段70では、上記のような芝情報テーブルTIT(1),(2)に格納されている芝情報に基づいて、移動した草刈り機の位置に対応するコースの領域の判定処理や、芝刈り機の移動可能速度の決定処理や、刈った芝の量に応じたブースト値の加算量の算出処理などを実行するようにしている。
【0072】
なお、本実施の形態では、芝の高さの段階を高い芝と低い芝の2段階(高さ=0の芝を1段階と数えた場合は3段階)としているが、芝の高さ(若しくは長さ)の値自体を芝情報として記憶し、芝の長さにリニアな段階を持たせるようにしても良い。その場合、芝を刈った状態と刈っていない状態の他に、後述する芝刈り機の種類や芝刈り機構の刃(ブレード)の高さの調節操作等によって、芝を刈る高さを可変可能とし、芝刈り後の高さに応じて芝刈り機の減速速度を可変する形態としても良い。また、本実施の形態では、地面に対する芝の高さを芝刈り機の速度の可変要素としているが、同一の高さでも密度が異なる芝(本例では密度が高い芝)を用い、芝の密度に応じて芝刈り機の減速動作を制御するようにしても良い。また、本実施の形態では、敷設物は単体の芝としているが、異なる路面抵抗から成る二層以上の物体を敷設しておき、一層ずつ除去される毎に路面抵抗を変化させる形態としても良い。
【0073】
〈芝の配置形態〉
オーバルコース50に配置される芝52aは、本例では、低い芝52a(T3)を基本とし、高い芝52a(T4)及び高さのない芝52a(T1)をコース内の一部のエリアに配置し、それ以外の全エリアに低い芝52a(T3)を配置する形態としている。その際、ランダムに配置するようにしても良いが、本実施の形態では、例えば、高い芝52a(T4)は、インコースとアウトコースの両方若しくは一方に配置することを条件として、オーバルコース50の形状に応じて適宜配置する形態としている。その理由は、カーブの前後では、通常は、アウトコース,インコース,アウトコースの経路を通るのが最適コースとなるが、上記の配置形態とすることで、通常とは最適コースが変わることになる。その結果、プレイヤのコース取りに工夫が必要となり、通常のレーシングゲームとは異なるレースを展開させることが可能となる。
【0074】
〈芝刈り機の構成〉
図12は、本発明に係る移動体(仮想乗物)の一例である芝刈り機60を示す模式図である。芝刈り機60は、芝を刈り込むための芝刈り機構61が装着されている自走式の芝刈り機である。芝刈り機構61によって刈り取られた芝は、芝刈り機60の筐体内に貯留され、ブースト機能を使用するための燃料として利用される。図12中の人物キャラクタ62は、芝刈り機60のプレイヤを表すオブジェクトであり、プレイヤ自身(若しくはCPUが操作する仮想プレイヤ)を表している。
【0075】
〈芝刈り機構の種類〉
本実施の形態では、芝刈り機構61をギア(競技アイテム)として、異なる性能の芝刈り機構61をプレイヤが選択できるようにしている。本例では、芝刈り機構61のシャーシ部分は共通であり、ブレード(刃)の部分が変更されることで、芝刈り機構61の性能が変化する形態としている。
【0076】
プレイヤの選択操作によって変更可能な芝刈り機構(以下「ブレード」とする)61は、その形状によって分類されており、本例では、「丸ノコ型」,「ハサミ型」,「カマ型」,「チェーンソウ型」,「ローラー型」など、形状及び性能の異なる複数種類のブレードが用意されている。そして、以下に示すように、それらの型毎に、性能パラメータ(芝の刈り込み性能に係るパラメータ)の値が設定されている。なお、P1は刈り込み幅(刈り込み量に比例する値)、P2はゲージ蓄積速度、P3は刈り込み速度(走行速度に比例する値)を示し、「普通」は基準値、「高低」は基準値に対する加減値を示している。
【0077】
(1)丸ノコ型 :P1=普通, P2=普通, P3=普通
(2)ハサミ型 :P1=やや高い,P2=低い, P3=やや高い
(3)カマ型 :P1=やや高い,P2=やや低い,P3=普通
(4)チェーンソウ型:P1=低い, P2=普通, P3=高い
(5)ローラー型 :P1=普通, P2=高い, P3=低い
プレイヤは、上記のような各種のブレードの中から、コースロケーションなどに応じて自分好みのブレードを選択して、そのブレードが装着された芝刈り機60によってレースに参加する。
【0078】
〈芝刈り機構の動作〉
図13(A)及び(B)は、芝刈り機60の芝刈り機構(ブレード61)の動作例を説明するための模式図であり、同図(A)は通常走行時のブレード61の状態を示し、同図(B)はブースト走行時又は停車時のブレード61の状態を示している。芝刈り機60のブレード61は、基本的には、芝刈り機60が芝の存在する場所に来ると、図13(A)に示すように車体外部に出て、芝刈り機60が芝の存在しない場所(本例では芝が刈られて地面が露出している場所)に来ると、図13(B)に示すように車体内部に引っ込む構造となっている。
【0079】
例えば、プレイヤによる操作コントローラの発進操作によって、停車状態から走行状態に遷移すると、図13(B)から図13(A)の状態となり、ブースト機能の発動操作によって、通常走行からブースト走行の状態に遷移すると、図13(A)から図13(B)の状態となる。ブレード61の状態と、芝刈り操作の有効/無効とは連動しており、本実施の形態では、例えば、芝刈り操作の有効/無効を示すフラグ(芝刈り操作フラグ)のオン/オフによって、芝刈り機60の画像切り替えや、ブレード61と芝との当たり判定処理のオン/オフの切り替えを行うようにしている。
【0080】
〈芝刈り機の走行性能〉
芝刈り機60の走行性能に係るパラメータとしては、例えば、(P11)車体の「加速度」,(P12)芝刈り時の減速の大きさを示す「芝刈り時減速量」,(P13)車体の上限速度を示す「最高速度」,(P14)アクセル操作がされていない時の自動的な減速度を示す「減速値」,(P15)コーナリング時のグリップ力を示す「曲がりやすさ」,(P16)車体が区画体に当たった時にスピンしながら所定方向へ進む時の速度を示す「衝突時挙動変化量」,(P17)同じ量の芝を刈った時のゲージの上昇量を示す「ゲージ蓄積速度」など、速度制御に係るパラメータの他に、車体の挙動を制御するパラメータや、ブースト値の増減速度を制御するパラメータなどがあり、それぞれのパラメータ毎に基本値(初期値及び現在値)が、芝刈り機60の種類に関連付けて設定されている。
【0081】
なお、本実施形態に係るレースゲームは、移動体がコース上の除去対象物(敷設物)を除去しながら移動することにより周回コースの状態が変わり、ゴールまでの最適コースが常時変化するようにしたゲームであり、一般路やサーキットを様々なレースカーにより高速で競走させるゲームのように、挙動が異なる車両の運転技術やコーナ等での走行テクニックを重視したゲームではない。そのため、レースは、基本的には同一の走行性能を有する移動体(本例では芝刈り機)60を用いて行われる。但し、異なる走行性能の芝刈り機60をプレイヤの選択操作により選択可能とする形態や、同一の車種であっても、所定の可変要素(プレイヤの成績の評価値,ゲームの進行状況,コースの種類,ゲームの難易度など)に応じて、上記パラメータ(1)〜(6)の基本値を可変する形態としても良い。本例では、プレイヤの選択操作により芝刈り機60の車種(及び芝刈り機構の種類)を変更可能とし、また、レース中のイベントの発生(後述する特定アイテムの入手)に応じて、上記パラメータ(1)〜(6)のうち1つ以上のパラメータの基本値を可変する形態としている。
【0082】
〈コントローラによる芝刈り機の基本操作〉
プレイヤは、上記のような芝刈り機60の動作を操作コントローラによって操作する。例えば図1に示した操作コントローラ2を用いた場合は、操作ボタン24の操作によって芝刈り機60の加速や減速、ブーストのオン/オフなどを操作する。また、アナログジョイスティック22又は23の傾動操作(又は操作ボタン24の押圧操作によって)によって芝刈り機60の進行方向に対する向きを操作する。
【0083】
また、傾きを検知するセンサを備えたリモートコントローラを用いた場合は、例えば、図14に示すように、リモートコントローラ2Aをハンドルと見なして左右に回転させる操作によって、芝刈り機60の進行方向に対する向きを操作する。また、操作ボタン24aをアクセルと見なして芝刈り機60の加速や減速を操作する。そして、操作ボタン24bの操作によって芝刈り機60のバック方向への走行を操作する。また、図14中のボタン24cがブースト機能を使用するための操作手段になり、そのボタン(「ブーストボタン」とする)24cを押すことによってブースト機能を発動させる。
【0084】
〈ゲーム画像〉
図15(A)及び(B)は、芝刈り機レースにおけるゲーム画像の第1の例を示す模式図であり、ゲーム画像を表示する際、通常は、図15(A)に示すように、オーバルコース50の上方から略真下に向けて全車両(本例では4台の芝刈り機60)を捉えた仮想カメラの視界画像G1を表示するようにしている。そして、図15(B)に示すように、レースの状況に応じて斜め方からズームアップした画像G2を表示するなど、各芝刈り機60の位置や周回状況に応じて、仮想カメラの移動とズーム等のカメラワークを制御する。
【0085】
ゲーム画像としては、各芝刈り機60の走行状態を表す画像の他に、例えば、同図15(A)及び(B)中に示すように、レース開始後の経過時間を示す画像G11が表示される共に、芝刈り機60を操作するプレイヤの情報として、後述するブーストゲージを示す画像G12,残りの周回数を示す画像G13などが、プレイヤを識別するための画像G14に対応して表示される。プレイヤを識別する情報は、例えば、図16に示すように、番号(1P,2P等)や色、顔のアイコン(「フェイス・アイコン」と呼ぶ)G15で表示される。また、各芝刈り機60は、車体の色が例えば青色,黄色,緑色,赤色で色分けされて、当該プレイヤの芝刈り機60が識別可能に表示される。ゲーム画面にフェイス・アイコンG15を表示する形態とした場合は、レース中の状況に応じて顔の表情を変化させるようにしている。本実施の形態では、例えば、(a)ゲーム画面が表示されてからレースのスタートの間、(b)移動体がスピンしている間、自己の移動体が有利となる特定のアイテムを入手してその効果が発揮中の間、(c)その他のアイテム取得から所定時間の間(例えば1秒間)、(d)周回コースにおけるLAP通過から所定時間の間(例えば3秒間)など、レース中の状況に応じて、異なる表情のフェイス・アイコンG15に切替えるようにしている。
【0086】
〈仮想カメラのカメラワーク〉
図17(A)〜(C)は、芝刈り機レースにおけるゲーム画像の第2の例を示す模式図であり、図17(A)に示すように、芝刈り機60を示すキャラクタ同士が遠いときはズームアウトして広く表示し、キャラクタ同士が近いときは、図17(B)から図17(C)へと拡大して表示する。その際も、仮想カメラの視野に、キャラクタ全てが収まるような画面構成として、カメラワークを制御するようにしている。
【0087】
〈芝刈りとブーストとの関係〉
図18及び図19は、刈った芝とブーストとの関係を示す模式図であり、図18(A)に示すように、芝刈り機60が通常状態(ブーストを作動させていない状態)で芝52aの上を走行すると、図12に例示したブレード61が作動して芝を刈り込んでいき、刈り込んだ芝の量に応じて、図18(B)に示すように、ブーストゲージ63で示されるゲージ(ブーストの量)63aが溜まっていき、現在のブースト値及びその変化が画像で認識できるようにしている。そして、ブースト値が所定値以上の状態で、例えば図14に例示したリモートコントローラ2Aのブーストボタン24cを押すと、ブースト機能が発動し、ゲーム画面上には、例えば図19(A)に示すように、ブースト機能が発動された状態を示すエフェクト画像60aが表示されると共に、芝刈り機60の基本速度が増大されて高速で走行する状態(ブースト状態)が表示される。ブースト機能を発動中は、図19(B)に示すように、ゲージで示されるブースト63aが減っていき、ブースト63aがなくなるまでブースト状態が続く。本例では、ブースト中は、芝刈り機のブレード61が車体内部に引っ込み、芝52aを刈ることが出来ないようにしている。そして、通常走行では、図9(B)に例示したような低い芝52a(T3)上ではやや減速し、図9(C)に例示したような高い芝52a(T4)上では大きく減速するというように、芝52aの上を走行している際は、芝の高さ(深さ)に応じて走行速度を減少させるようにしているが、ブースト走行では、芝の高さ(深さ)に関係なく、例えば芝刈り機の種類に対応して設定されているブースト時の速度で走行させる形態としている。
【0088】
〈芝の深さの描画分け〉
ここで、芝の深さを表現するための画像処理について説明する。
【0089】
図20(A)〜(F)は、芝の深さの描画分けを説明するための模式図であり、T1は芝の無い地面(刈られた跡)、T3は低い芝、T4は高い芝を示しており、60Aは高い芝T4を刈っている芝刈り機、60Bは低い芝T3を刈っている芝刈り機、60Cは芝の無い地面T1を走行する芝刈り機を示している。本例では、図20(F)に示すように、低い芝T3を表すテクスチャと、高い芝T3を表すテクスチャは、地面T1を表すテクスチャの上に一枚絵の層として敷き詰められている。その際、図20(B)〜(D)に示すように、高い芝T3は低い芝T1の層の上に立体物として配置される。そして、芝を刈る表現は、アルファ値によるディテクト処理にて実現している。例えば、芝T3,T4を描画する際には、ゲーム処理手段70では、地面モデル(芝刈った状態)T1をカラーのみ描画した後、走行した所(刈られた跡T1)のみを書き込んだアルファの板を地面モデルT1の次に描画し、芝モデルT3,T4を、アルファ参照をフレームバッファに設定して描画するようにしている。
【0090】
なお、本実施の形態では、芝の高さの段階を2段階(高い芝,低い芝)としているが、高い芝(立体芝)はパラメータとして高さ(数値)を持っており、図20E中の矢印Zに示すように、高い芝の中でも更に「見た目の高さ」に関してバリエーションを出すことが可能である。
【0091】
〈レース中に出現するアイテム〉
本実施の形態では、芝刈り機60の動きに影響するアイテムを、高い芝52a(T4)の中に予め配置しておき(若しくはゲームの進行状況に応じて動的に配置し)、芝刈り機60によってその部分の芝を刈ると、アイテムを出現させるようにしている。そして、アイテムが出現した場合に、(A1)芝刈り機をスピン状態にする、(A2)芝刈り機の速度を一定時間速くする、(A3)一定時間芝を刈れない状態にする、(A4)既に刈られている芝を復活させる、など、アイテムの属性に応じて、芝刈り機の速度の加減速に係る処理を実行するようにしている。
【0092】
図21は、アイテムが存在する場所を示すエフェクト画像の一例を示す模式図である。アイテムがある場所は、図21に示すような視覚的エフェクトやマーカで示される画像G4がゲーム画面上に表示されるが、何のアイテムかまでは、その画像G4をプレイヤが見ても判別できないようにしている。
【0093】
例えば図22に示すように、入手して効果を発するアイテムが隠れている場所を走行すると、芝52a(T4)の中からアイテムが出現し、図22に示すように芝刈り機60の頭上(若しくは路面上)に、入手アイテムに対応するアイコンG5が表示されるようにしている。入手アイテムは、出現した時点で効果を発揮するが、必ずしもアイテムを出現させたプレイヤに対して有利な効果ばかりではなく、上記(A1)や(A3)の例のように、プレイヤに対して不利な効果を与えるアイテムもある。
【0094】
図23(A)〜(E)は、アイテムを示すアイコンの具体例を示す模式図であり、図23(A)は「牛」のアイコンで示されるアイテム53a,同図(B)はブレードのアイコンで示されるアイテム53b,同図(C)は「岩」のアイコンで示されるアイテム53c,同図(D)は「ジョウロ」のアイコンで示されるアイテム53d,同図(E)は「矢印マーク」のアイコンで示されるアイテム53e,を示している。
【0095】
〈上記アイテムを用いた速度制御〉
図23(A)の「牛」アイテム53aの場合、ゲーム処理手段70は、アイテム53aの位置から牛を出現させると共に、例えば、その時点で先頭を走行中の芝刈り機に牛が襲いかかるように、牛の動作を制御すると共に、その様子を示す画像を生成して表示装置に表示させる制御を行う。また、その芝刈り機に牛が当たったと判定した場合は、牛にぶつかられた芝刈り機がスピンして、所定時間走行不能の状態となるように、芝刈り機の動作(回転しながら所定方向に減速しつつ停止させる動作等)を制御すると共に、その様子を示す画像を生成して表示装置に表示させる制御を行う。
【0096】
図23(B)の「ブレード」アイテム53bは、プレイヤによる選択操作により芝刈り機60に装着されるブレード61と比較して、高性能なパラメータ値が設定されている(又はゲーム状況に応じて値が可変される)ブレードであり、ゲーム処理手段70は、そのアイテム53bを入手した時点で芝刈り機60の速度が暫くの間(所定時間若しくは所定距離)速くなるように、当該芝刈り機60の速度を制御する。また、アイテム53bの効果が発揮している時間中は、ブレードの動きが倍速になり、芝の存在しない場所でもブレードを出したままで走行させるように、当該芝刈り機60の動作を制御する。そして、その間に、自己の芝刈り機60が正面から他の芝刈り機60にぶつかると、相手をスピン状態にさせるというように、自己の芝刈り機60が有利になるように、当該芝刈り機60の動作を制御する。
【0097】
図23(C)の「岩」アイテム53cは、その場所の芝を刈ると出現する障害オブジェクトの一例である。「岩」アイテム53cの様な障害オブジェクトの場合、図24(A)に示すように、芝刈り機60がブート走行中(芝を刈らずに走行中)のときには、その走行経路に芝52a(T4)に「岩」のような障害物が隠れていても、芝刈り機60が障害物に当たることなく、そのまま走行できるようにしている。そして、図24(B)に示すように、芝刈り機60が通常走行(芝を刈りながら走行)のときは、芝52a(T4)の中に隠れていた障害オブジェクト53cに、芝刈り機60が当たると、ゲーム処理手段70では、例えば、その芝刈り機60(及びその後に「岩」にぶつかった芝刈り機)に対するプレイヤの操作が一定時間不能となるように、操作信号の受付処理及び芝刈り機60の動作を制御する。
【0098】
図23(D)の「ジョウロ」アイテム53dは、ゲーム処理手段70では、そのアイテム53dが出現した場合に、コース内の所定エリアの芝を生長させる処理(例えば刈られた芝を復活(若しくは所定量成長)させる処理を実行することで、コース内の所定エリアの抵抗値を大きく設定し、芝刈り機60の走行負荷を増大させるようにする。そして、芝を生長させたエリアに進入して走行する芝刈り機60に対しては、生えた芝の属性(抵抗値:摩擦係数等から決定される走行負荷(及び芝刈りによる走行負荷))に応じて、当該芝刈り機60の減速動作を制御する。また、芝を生長させたエリアについては、アイテム53dを入手した時点(=アイテム53dが出現した時点)から一定時間、芝刈りゲージのゲージ蓄積速度を増大する(例えば通常の2倍にする)というように、通常とは異なる速度でゲージの上昇速度を可変する。
【0099】
本実施の形態では、芝の成長により路面の抵抗値を元の値に回復させるエリアは、芝を生やす候補位置群の中からランダムに選択した位置の近辺のエリア一帯を対象としているが、例えばジョウロが出現した位置を代表点として、その近辺のエリア一帯を対象としても良く、ゲームの進行状況に応じて決定したエリア、或いは入手アイテム(本例ではアイテム53d)をプレイヤが保持可能として例えばプレイヤがアイテムを利用した時点の芝刈り機60の後方エリアを対象としても良い。ゲーム画像としては、例えば、上記アイテム53dが出現した際には、例えば、所定のキャラクタ00がUFO(未確認飛行物体)などの飛行物体に乗って出現し、アイテム53dを取って所定のエリア一帯に水を撒くことにより、芝が刈られた地面52bに低い芝52aを生やしたり、低い芝52a(T3)を高い芝52a(T4)に成長させたりする画像を表示するようにしている。
【0100】
図23(E)の「矢印マーク」で示されるアイテム53eは、芝刈り機構の性能を強化するアイテムであり、ゲーム処理手段70では、例えば、一定時間、芝を刈った際のブーストゲージの上昇率がアイテム入手前よりも大きくなるように変化させる(例えば上昇率を2倍にする)ようにしている。このような芝刈り性能の可変制御は、例えば、前述の芝刈り性能に係る制御パラメータ(刈り込み幅P1,ゲージ蓄積速度P2,又は刈り込み速度P3)の基準値を一時的に変更することによって行う。
【0101】
<ゲーム装置の動作例>
次に、本発明に係るゲーム装置の動作例を説明する。
【0102】
以下、本発明に係るゲーム処理について、
(a)全体の処理の流れ
(b)芝を刈る処理および芝状態の変更処理
(c)移動可能最高速度の決定処理
(d)実移動速度の決定処理
(e)車体の位置情報の更新処理
(f)芝の回復処理
の順番で順次説明する。
【0103】
なお、フローチャートに示す処理の流れは一例であり、一部の処理の順序を変えた形態や並行処理による形態も本発明に含まれる。また、ここでは、画像処理については説明を省略し、既に説明した事項については省略若しくは簡略化して説明する。以下、「芝刈り機」は「移動体」若しくは「車体」と称して説明する。
【0104】
(a)全体の処理の流れ
先ず、本発明に係るレースゲーム処理の全体の流れを、図25のフローチャートを用いて説明する。
【0105】
ゲームプログラムが起動されると、ゲーム装置のゲーム処理手段70は、先ず、図12に例示した芝情報テーブルTITに示されるフィールドの分割領域毎に芝情報を初期化する。本例では、前述の「芝テクスチャ」用のテーブルTIT(1)には、それぞれの分割領域(X’,Y’)に対し、芝が生えている状態を表す値「0」を格納し、「芝モデル」用のテーブルTIT(2)には、芝の配置データに従って、該当の分割領域(X’,Y’)に対し、高い芝,低い芝,及び芝が無いことを表す数値を格納し、芝情報の初期化処理を終了する(ステップS1)。
【0106】
その後、レースゲームが開始されると、ゲーム処理手段70は、各エリア(図12に例示した分割領域)と車体の位置関係を判定し(ステップS2)、その位置関係に基づいて当該移動体が芝を刈ったと判定した場合は、刈った芝の状態(芝の量)をメモリに格納すると共に(ステップS3)、刈られた芝の状態を表す情報を更新(例えば「芝無し」を表す数値を設定)する(ステップS4)。続いて、ゲーム処理手段70は、移動体の走行状態(ブースト走行中,通常走行中)及び路面の抵抗値(芝の有無及び芝の高さに応じた抵抗値)に基づいて当該移動体の移動可能最高速度を決定すると共に(ステップS5)、プレイヤの操作(アクセル,ブースト等の速度に係る操作)に応じて当該移動体の実移動速度を決定する(ステップS6)。
【0107】
続いて、ゲーム処理手段70は、移動体の現在の位置から、プレイヤによる車体の向きの操作方向に向けて実移動速度に従った移動量分だけ進めた位置を、当該移動体の移動先の位置として、車体の位置情報を更新する(ステップS7)。続いて、競技(レースゲーム)終了の判定処理を実行する。例えば全ての移動体がゴール位置に到達したと判定した場合に、競技終了と判定する(ステップS8)。そして、競技終了か否かを判定し(ステップS9)、競技終了ではないと判定した場合は、ステップS2に戻って処理を繰り返し、競技終了と判定した場合は、着順を決定して競技の終了処理を行い、当該競技の処理を全て終了する(ステップS10)。
【0108】
ここで、同着時における順位の決定方法について説明する。
【0109】
〈同着時の順位の決定方法〉
図3のコース50の例では、プレイヤ又はCPUによって操作される各移動体60が、スタート地点STからスタートして環状のコース50を規定回数周回し、ゴール地点(地点ST又は他の地点)に達した順位で勝敗を決定する。
【0110】
移動体の位置情報は、例えば10ミリ秒の間隔で記録しているが、ゴール地点に複数の移動体が同一タイミングで到着する場合がある。その場合、本実施の形態では、同着の移動体について、以下の優先順位でタイムをずらして順位を決定するようにしている。
【0111】
優先度1:残っているブーストの量
優先度2:刈った芝の量
優先度3:同着の移動体の操作者がプレイヤとCPUならば、プレイヤを優先
優先度4:プレイヤ番号の若い方を優先(プレイヤ1>プレイヤ2>・・・)
以下、上述したステップS2〜S7の処理について、フローチャートを参照して詳細に説明する。
【0112】
<(b)芝を刈る処理および芝状態の変更処理 >(ステップS2〜S4の詳細)
先ず、上記(b)の処理について、図26のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0113】
ゲーム処理手段70は、初期化処理として、刈った芝の量を保存するメモリを「0」で初期化する。このメモリは、レースに参加する各移動体に対応付けて管理されるメモリであり、本例では、(1)刈った芝の量を高さに応じて保存するメモリ(説明の便宜上「保存用メモリ」と呼ぶ)と、(2)刈った芝の総量を保存する「ブースト管理用メモリ」とがある。また、上記(1)の保存用メモリは、本例では、「高い芝」を刈った量を保存するメモリと、「低い芝」を刈った量を保存するメモリと、「高さのない芝(地中の芝)」を刈った量を保存するメモリと、がある(ステップS11)。
【0114】
レースが開始されると、ゲーム処理手段70は、各移動体がブースト中か否かを判定し(ステップS12)、ブースト中でないと判定した移動体、すなわち通常走行中の移動体を対象として、以下の処理を実行する。
【0115】
先ず、ゲーム処理手段70は、フィールドの指定エリア(例えば車体の代表点を中心とする所定範囲の分割領域)を仮想空間座標に変換し(ステップS13)、車種ごとのパラメータ(本例では「芝刈り機構」の刈り込み幅P1のパラメータ)に従い、刈れる範囲を算出する(ステップS14)。続いて、車体の代表点の位置座標とエリア(フィールドの分割領域)の代表点の位置座標とから2点間の距離を算出し(ステップS15)、算出した距離と芝を刈れる範囲とを比較し(ステップS16)、距離が芝を刈れる範囲未満であれば、芝を刈ることができると判定する。続いて、当該エリア(移動体の位置に対応するコースの領域:図4中の移動体領域A1)に格納されている値を参照(ステップS17)し、当該エリアに芝が生えているか否か(地面か否か)を判定する(ステップS18)。なお、上記ステップ17における参照値は、本例では、図4中の移動体領域A1に対応する前述の芝情報テーブルTIT(1)及び(2)内のメモリ領域(上記当該エリア)に格納されている「芝の有無」及び「芝の高さ」を表す数値である。
【0116】
上記ステップS18において、芝が生えていると判定した場合は、当該エリアに格納されている芝の高さ情報に従って刈った芝の量(=芝路面の抵抗値)を算出(ステップS19)、刈った芝の量を高さに応じた保存用メモリに格納する(ステップS20)と共に、刈った芝の量をブースト管理用メモリに加算する(ステップS21)。続いて、ゲーム処理手段70は、当該エリアに対応する芝情報テーブルTIT内の分割領域に記憶されている「芝の状態を表す情報」を「地面(芝無し)」に変更する(ステップS22)。続いて、フィールド上の全エリア(本例では各移動体の周囲のエリア)を判定したか否かをチェックし(ステップS23)、全エリアを判定していない場合は、ステップS31に戻って、次の指定エリアを対象としてステップS31移行の処理を繰り返し、全エリアを判定した場合は、ゲーム画像における1フレーム分の処理を終了する。
【0117】
<(c)移動可能最高速度の決定処理 >(ステップS5の詳細)
次に、上記(c)の処理について、図27及び図28のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0118】
ゲーム処理手段70は、刈った芝の量を保存するメモリを「0」で初期化した後(ステップS31)、各移動体がブースト中か否かを判定し(ステップS32)、ブースト中と判定した移動体を対象として、以下の処理を実行する。
【0119】
ブースト中の場合、すなわち、通常走行ではなくブースト走行中の場合は、移動体の車種ごとの速度データ(「最高速度」若しくは「最高速度」及び「加速度」)及び路面の抵抗値に基づいてブースト時の移動可能速度(最高速度)を求め、最高速用メモリに格納する(ステップS33)。なお、図6で説明したように、ブースト走行中に地形(芝の高さや芝の有無)による影響を与えて走行させる場合は、車種ごとの速度データに対し、上記路面の抵抗値に応じてブースト時の移動可能速度を可変する。また、地形の影響を受けずにブースト走行させる場合においては、上記路面の抵抗値は0として、ブースト時の移動可能速度を算出する。
【0120】
続いて、ゲーム処理手段70は、ブースト管理用メモリに格納されている値から一定値を減算し(ステップS34)、その減算値が0以下か否かを判定し(ステップS35)、減算値が0以下の場合、すなわち、芝を刈った量の残留値(ブースト値に対応する値)が一定値以下の場合は、ブースト走行から通常走行に遷移させるために、車体の状態を保存するメモリの内容を通常状態(ブーストではない状態)に変更する(ステップS36)。そして、車体の実速度(路面抵抗や走行性能、アクセル操作等から決定した実速度)が格納されているメモリを参照し(ステップS37)、実速度が最高速度(移動可能最高速度)の範囲か否か判定し(ステップS38)、範囲外であれば、車体の実速度が格納されているメモリに最高速度を格納する(ステップS39)。言い換えると、例えばプレイヤによるブーストボタンの押下操作によって、当該プレイヤの移動体がブースト走行中の場合は、ゲーム処理手段70は、芝を刈った量(路面抵抗値)に応じたブースト値が一定値溜まっていることを条件として、ブースト時の移動可能速度(通常走行よりも増大させた移動可能最高速度)の範囲内で、ブースト値を消費しながら高速走行できるようにしている。また、ブースト状態が終了した場合には、実速度が通常走行における最高速度を超えている場合があるため、通常走行における最高速度に戻す制御を行う。
【0121】
一方、ステップS32において、移動体がブースト中でないと判定した場合、すなわち、通常走行中と判定した場合は、高い芝を刈った量を保存する保存用メモリを参照し(ステップS41)、高い芝が刈られているか否かを判定し(ステップS42)、高い芝が刈られていると判定した場合は、車種ごとの速度データから、高い芝を刈ったときの速度を最高速用メモリに格納した後(ステップS43)、ステップS37に移行してステップS37以降の処理を実行する。
【0122】
一方、ステップS42において、高い芝が刈られていないと判定した場合は、低い芝を刈った量を保存するメモリを参照して(図28のステップS51)、低い芝が刈られているか否かを判定し(ステップS52)、低い芝が刈られていると判定した場合は、車種ごとの速度データから、低い芝を刈ったときの速度を最高速用メモリに格納した後(ステップS53)、ステップS37に移行してステップS37以降の処理を実行する。
【0123】
一方、ステップS52において、低い芝が刈られていないと判定した場合は、高さのない芝を刈った量を保存するメモリを参照して(ステップS54)、高さのない芝が刈られているか否かを判定する(ステップS55)。そして、高さのない芝が刈られていると判定した場合は、車種ごとの速度データから、高さのない芝を刈ったときの速度を最高速用メモリに格納し(ステップS56)、高さのない芝が刈られていないと判定した場合は、車種ごとの速度データから、地面を走ったときの速度を最高速用メモリに格納し(ステップS57)、それぞれステップS37に移行してステップS37以降の処理を実行し、移動可能最高速度の決定処理を終了する。
【0124】
<(d)実移動速度の決定処理 >(ステップS6の詳細)
次に、上記(d)の処理について、図29のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0125】
ゲーム処理手段70は、外部入力情報(本例では図2中の操作コントローラ2若しくは図4のリモートコントローラ2Aからの操作入力情報)を保存するメモリを参照(ステップS61)し、ブーストボタンが押されているか否かを判定する(ステップS62)。そして、ブーストボタンが押されていると判定した場合は、車体の状態を保存するメモリにブースト中を表す値を格納すると共に(ステップS63)、車種ごとの速度データから、ブースト時の速度を求めて実速度用メモリに格納し(ステップS64)、実移動速度の決定処理を終了する。
【0126】
一方、ステップS62において、ブーストボタンが押されていないと判定した場合は、アクセルボタンが押されているか否かを判定し(ステップS65)、アクセルボタンが押されていると判定した場合は、車種ごとの速度データから、実速度に加速値を加算し(ステップS66)、アクセルボタンが押されていないと判定した場合は、車種ごとの速度データから、実速度に減速値を加算(ステップS67)し、実移動速度の決定処理を終了する。
【0127】
<(e)車体の位置情報の更新処理 >(ステップS7の詳細)
次に、上記(e)の処理について、図30のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0128】
ゲーム処理手段70は、外部入力情報を保存するメモリを参照して(ステップS71)、ハンドル操作に対応する入力装置の値に従って車体の向きを変更する(ステップS72)。なお、ここで言う入力装置の値は、例えば、プレイヤにより操作されるコントローラの方向指示ボタンからの当該方向の操作信号の値、或いは、コントローラ本体の動きを検知するセンサからの当該方向の加速度検知信号の値である。
【0129】
ゲーム処理手段70は、上記車体の向きの変更処理を行うと共に、車体の現在位置の座標から、車体の向きの方向に実速度に従った移動量分進んだ座標を算出し(ステップS73)、現座標と移動後の座標間に障害物(他の車体、柵、岩など)があるか否かを判定する(ステップS74)。そして、障害物があると判定した場合は、障害物の属性に応じて車体の座標および移動速度を更新し(ステップS75)、障害物がないと判定した場合は、車体の座標を、算出した座標に更新し(ステップS76)、車体の位置情報の更新処理を終了する。
【0130】
<(f)芝の回復処理 >
移動体によって芝が刈られた場所は、地面が現われて路面の抵抗値が減少しているが、本実施の形態では、レースゲーム中に芝を回復させるイベントが発生すると、ゲーム処理手段70(抵抗値回復手段77)は、既に芝が刈られた所定の場所の芝を生やすことによって、路面(本例では芝)の抵抗値を元の抵抗値に回復させるようにしている。本例では、芝を生やす場所は、その候補のエリア(例えばコース上で高い芝又は低い芝を配置した分割領域の一部の候補エリア)を予め設定しておき、そのエリア内の芝をランダムな順序で元の芝に回復させることで、当該エリア内の抵抗値を、抵抗が減少する前の元の抵抗値に回復させるようにしている。なお、高い芝を刈った場合は低い芝になり、低い芝を刈った場合は地面になるというように、段階的に抵抗値を減少させる実施形態とした場合は、回復処理も段階的に抵抗値を増大させる形態となる。
【0131】
上記回復処理について、図31のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0132】
ゲーム処理手段70は、レースゲーム中に芝を回復させるイベントが発生すると、芝を生やす候補位置群の座標が格納されている領域より、1つの候補位置をランダムに選択し(ステップS81)、芝の状態を保存してあるメモリの位置情報を参照して(ステップS82)、既に芝が刈られた芝の位置(分割領域の座標位置)と候補位置との距離を算出する(ステップS83)。そして距離が一定距離以内か否かを判定し(ステップS84)、一定距離以内と判定した場合は、初期値に応じた芝の高さ情報を、芝状態を保存するメモリに格納する(ステップS85)。そして、芝を生やす候補位置群に対応する全エリアを判定したか否かをチェックし(ステップS86)、全エリアを判定していないのであれば、ステップS81に戻り、全エリアについて判定したのであれば、芝の回復処理を終了する。
【0133】
なお、上述した実施の形態にいては、芝刈り機によるレースを行うゲームを具体例として説明したが、移動体は、路面上に層設される物体を除去しながら移動する移動体であれば良く、芝刈り機に限らず、草刈機、除雪車、路面清掃車、ローラー車、又はブルドーザー、を模した特殊車両、或いは、生物を模したキャラクタや仮想的なキャラクタであっても良い。
【0134】
また、上述した実施の形態にいては、起伏のない平面で形成した地形を例とし、敷設物を除去することによって、異なる走行負荷の路面に地形が変化する場合を例として説明したが、起伏のある3次元形状の面に敷設物が敷かれたコースを仮想3次元空間内に設定し、その敷設物を除去すること、或いは、地面の起伏部を平坦にすることによって、異なる抵抗値の路面に地形を変化させと共に、その変化に応じて移動体に対する走行負荷を可変し、当該部分を移動する移動体の速度の加減速を制御する形態としても良い。また、上述した実施の形態にいては、移動体の位置に対応するコースの範囲に設定された抵抗値を減少させる場合を例として説明したが、それとは逆に抵抗値を増大させる形態とすることも可能である。
【0135】
さらに、上述した実施の形態にいては、家庭用ゲーム装置に適用した場合を例として説明したが、本発明は、据置型若しくは携帯型の家庭用ゲーム装置に限らず、業務用ゲーム装置(アーケード・マシン),ゲーム機能を有する一般的な携帯電話機,パーソナルコンピュータなど、コンピュータ・プログラムの実行制御が可能な任意の情報処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 ゲーム機本体
2,2A 操作コントローラ
3 テレビジョン受像機
4 外部記憶媒体(DVD−ROM)
10 制御基板
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 画像処理回路
14a 画像処理ユニット
14b グラフィックメモリ
15 音声処理回路
15a サウンド処理ユニット
15b サウンドメモリ
16 入出力機器用I/F回路
16a 操作コントローラ用I/F回路
16b 画像データ出力用I/F回路
16c 音声データ出力用I/F回路
16d DVD−ROM読取装置用I/F回路
17 通信用I/F回路
18 バス
20 DVD−ROM読取装置
50 オーバルコース
51 区画オブジェクト
51a 外側区画
51b 内側区画
52 路面オブジェクト
52a 芝
52a(T2) 高さのない芝
52a(T3) 低い芝
52a(T4) 高い芝
52b(T1) 地面
53 アイテム
60 芝刈り機
61 芝刈り機構(ブレード)
62 仮想プレイヤ
63 ブーストゲージ
70 ゲーム処理手段
71 移動手段
72 判定手段
73 速度決定手段
74 算出手段
75 加速手段
76 抵抗値減少手段
77 抵抗値回復手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に形成されたコース上で、複数の移動体によって着順を競うレースゲームを実行するためのレースゲームプログラムにおいて、コンピュータを、
プレイヤによる操作手段の操作に応じて前記コース上で前記移動体を移動させる移動手段、
前記操作に応じて移動した前記移動体の位置に対応する前記コースの領域を判定する判定手段、
前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、前記移動体の移動可能速度を決定する速度決定手段、及び、
前記移動体の位置に対応する前記コースの範囲に設定された抵抗値を減少させる抵抗値減少手段、
として機能させ、更に、
前記速度決定手段は、前記抵抗値が大きいほど前記移動体の移動可能速度を遅く設定することを特徴とするレースゲームプログラム。
【請求項2】
前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、メモリに記憶された前記移動体のブースト値に加算する加算量を算出する算出手段、
前記ブースト値を消費して、前記移動体の移動可能速度を前記速度決定手段により決定される移動可能速度よりも速い速度に設定する加速手段として、
前記コンピュータを更に機能させ、
前記算出手段は、前記抵抗値が大きいほど前記加算量を多く算出することを特徴とする請求項1に記載のレースゲームプログラム。
【請求項3】
前記プレイヤの操作に基づく前記レースゲーム中のイベントの発生によって、前記抵抗値が減少した前記コース上の所定範囲の抵抗値を、前記抵抗値減少手段が減少する前の抵抗値の大きさに回復させる抵抗値回復手段として、前記コンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項2に記載のレースゲームプログラム。
【請求項4】
前記抵抗値減少手段は、前記抵抗値を減少させる範囲を、前記判定手段によって判定される領域と同一とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレースゲームプログラム。
【請求項5】
前記抵抗値減少手段は、前記抵抗値を減少させる範囲を、前記判定手段によって判定される領域と異なる大きさにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレースゲームプログラム。
【請求項6】
前記加速手段によって移動可能速度が設定された場合には、前記抵抗値減少手段は、前記範囲における抵抗値を変更せず、前記算出手段は、前記加算量を算出しないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のレースゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のレースゲームプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。
【請求項8】
仮想空間に形成されたコース上で、複数の移動体によって着順を競うレースゲームを実行可能なゲーム装置において、
プレイヤによる操作手段の操作に応じて前記コース上で前記移動体を移動させる移動手段と、
前記操作に応じて移動した前記移動体の位置に対応する前記コースの領域を判定する判定手段と、
前記判定した領域に設定された抵抗値に基づいて、前記移動体の移動可能速度を決定する速度決定手段と、
前記移動体の位置に対応する前記コースの範囲に設定された抵抗値を減少させる抵抗値減少手段と、
を有し、更に、
前記速度決定手段は、前記抵抗値が大きいほど前記移動体の移動可能速度を遅く設定することを特徴とするゲーム装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−233828(P2010−233828A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85342(P2009−85342)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】