説明

レーダターゲットシミュレータ装置

【課題】ターゲットを擬似する電波信号の周波数帯域に依存しないで広帯域化が図れるレーダターゲットシミュレータ装置を得ること。
【解決手段】電光変換器3は擬似信号発生装置2が出力するターゲットを擬似する電波信号と波長可変光源4が出力する光信号とに基づき、擬似信号発生装置2が出力する電波信号を搬送する模擬光信号を生成する。アレー導波路グレーティングファイバ6は模擬光信号を波長に応じて分波し、ファイバアレー7を介して複数の光電変換器8の中の対応するものへ送出する。光電変換器8は受け取った模擬光信号から電波信号を復調して対応するアンテナ素子9に出力する。つまり、ターゲットを模擬する電波信号をアンテナ素子まで光信号で搬送する過程で、その搬送波となる光信号の領域にてターゲットの移動模擬を制御する。ターゲットを擬似する電波信号の周波数帯域に依存しないで広帯域化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ装置に要求されるターゲットの捕捉・追尾性能を評価するのに用いるレーダターゲットシミュレータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダターゲットシミュレータ装置としては、例えば特許文献1に示されたものがある。すなわち、従来のレーダターゲットシミュレータ装置は、擬似信号発生装置が出力するターゲットを模擬する電波信号を受けてレーダ装置に対して模擬用の電波を放射するターゲット模擬アンテナを、複数の素子アンテナと、2個または4個の給電回路と、前記複数の素子アンテナの中から選択した2個または4個の素子アンテナを前記2個または4個の給電回路に接続する複数のスイッチと、前記電波信号の振幅を制御して前記2個または4個の給電回路に出力する可変電力分配器とで構成している。
【0003】
つまり、ターゲットが移動する動作の模擬を、前記複数の素子アンテナのうち放射する2個または4個の素子アンテナを前記スイッチで切り換えることで実現している。ターゲットが移動する方向の把握は、離散的に配置される素子アンテナのピッチ間隔によって制限されるが、2個または4個の素子アンテナから放射される模擬用電波の振幅強度を前記可変電力分配器にて制御することで、ターゲットが移動する方向を素子アンテナのピッチ間隔による制限を少なくして連続的に把握できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−148887号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレーダターゲットシミュレータ装置では、給電回路やスイッチ、可変電力分配器等の電波機器の使用帯域は、最大でも1オクターブ程度の帯域であるので、シミュレーション毎に擬似信号発生装置から出力されるターゲットを擬似する電波信号の周波数に対応する電波機器に取り替える必要があった。
【0006】
また、従来のレーダターゲットシミュレータ装置では、ターゲットの模擬数が複数に増えた場合に、増えた数の倍数に比例して給電回路の個数が増える構成であるので、装置が大規模化するのを避けるために、ターゲットの模擬数に制約を設ける必要があった。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ターゲットを擬似する電波信号の周波数帯域に依存しないで広帯域化が図れるレーダターゲットシミュレータ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、この発明は、評価対象であるレーダ装置と対向して配置され、ターゲットを模擬する電波信号に従って前記レーダ装置に向けて電波放射を行う複数の素子アンテナを備えるレーダターゲットシミュレータ装置において、指定された波長または周波数の前記ターゲットを模擬する電波信号を発生する擬似信号発生装置と、指定された波長または周波数の光信号を発生する波長可変光源と、前記擬似信号発生装置が出力する電波信号と前記波長可変光源が出力する光信号とに基づき、前記擬似信号発生装置が出力する電波信号を搬送する模擬光信号を生成する電光変換器と、前記模擬光信号を波長に応じて分波する光分波機器と、前記複数の素子アンテナと1対1の関係で配置され、かつ前記光分波機器が分波した模擬光信号を波長対応で受け取るように配置され、前記光分波機器から入力される前記模擬光信号から前記電波信号を復調して対応する前記素子アンテナに出力する複数の光電変換器とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ターゲットを擬似する電波信号の周波数帯域に依存しないで広帯域化が図れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明にかかるレーダターゲットシミュレータ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダターゲットシミュレータ装置の概略構成と評価対象のレーダ装置との配置関係とを示す図である。図2は、図1に示すレーダターゲットシミュレータ装置の詳細構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、この実施の形態1によるレーダターゲットシミュレータ装置は、計算機1と、計算機1からの指示を受けて動作する擬似信号発生装置2及び波長可変光源4と、擬似信号発生装置2及び波長可変光源4の各出力を受ける電光変換器3と、電光変換器3の出力を受けるビルボード5と、複数の素子アンテナ9とで構成される。符号10は、評価対象のレーダ装置である。これらの全体が電波暗室25内に配置される。電波暗室25の内壁面には、電波吸収体26が不要な反射波を抑えるために配置されている。
【0013】
ビルボード5は、部分球面を有した構造体である。前記複数の素子アンテナ9は、ビルボード5のレーダ装置10との対向面に配置されている。ビルボード5の内部には、図2に詳示するように、電光変換器3の出力を受けるアレー導波路グレーティングファイバ6と、複数の素子アンテナ9と1対1の関係で配置される複数の光電変換器8と、アレー導波路グレーティングファイバ6と複数の光電変換器8との間を接続するファイバアレー7とが設けられている。
【0014】
次に、図1と図2を参照して、動作について説明する。計算機1は、擬似信号発生装置2に対し、発生する「ターゲットを模擬する電波信号」の波長または周波数を指示する。また、計算機1は、波長可変光源4に対し、発生する光信号の波長または周波数を指示する。
【0015】
擬似信号発生装置2は、計算機1から指定された波長または周波数の「ターゲットを模擬する電波信号」を発生する。また、波長可変光源4は、波長λ1から波長λNの各波長の光信号を発生できる光源であり、その中の1つを計算機1から指定に従って発生する。
【0016】
電光変換器3は、擬似信号発生装置2が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」と波長可変光源4が発生する光信号とに基づき、「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する模擬光信号を生成する。このように動作する電光変換器3には、例えば、光の分野で公知の導波路型のニオブ酸リチウム変調器(LN)などを用いることができる。
【0017】
アレー導波路グレーティングファイバ6は、電光変換器3が出力する模擬光信号を波長に応じて分波し、ファイバアレー7内の波長毎に定められた複数の光ファイバを経由して複数の光電変換器8の対応するものへ送出する光分波機器である。なお、アレー導波路グレーティングファイバ6のこのような分波機能は、光の分野では公知である。
【0018】
例えば図2において、波長可変光源4が波長λ1の光信号を発生すると、電光変換器3は、擬似信号発生装置2が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する波長λ1の模擬光信号を生成する。アレー導波路グレーティングファイバ6は、その波長λ1の模擬光信号を波長λ1の光信号用に定めた光ファイバ7aに送出する。また、波長可変光源4が波長λNの光信号を発生すると、電光変換器3は、擬似信号発生装置2が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する波長λNの模擬光信号を生成する。アレー導波路グレーティングファイバ6は、その波長λNの模擬光信号を波長λNの光信号用に定めた光ファイバ7bに送出する。
【0019】
複数の光電変換器8は、ファイバアレー7の対応する光ファイバから入力される模擬光信号から「ターゲットを模擬する電波信号」を復調し、対応する素子アンテナ9に出力する。
【0020】
これによって、複数の素子アンテナ9が、入力される電波信号に従ってレーダ装置10に向けて電波放射を行い、レーダ装置10が受信することで、レーダ装置10の評価に必要なデータが収集される。
【0021】
ここで、ターゲット位置の移動は、計算機1が、波長可変光源4に対して、「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する光信号の波長または周波数を、順に変更しつつ指示することで実現する。波長可変光源4は、計算機1の指示に従って「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する光信号の波長または周波数が連続的に可変して出力する。例えば、図2において、波長λ1〜波長λNまで連続的に可変することで、ターゲットが矢印Aの方向へ移動する様子を模擬することができる。
【0022】
次に、図2に示したレーダターゲットシミュレータ装置の特徴を説明する。従来のレーダターゲットシミュレータ装置では、「ターゲットを模擬する電波信号」の分配機能を有する給電回路に周波数特性があるので、「ターゲットを模擬する電波信号」の周波数に対応した給電回路を、シミュレーション毎に交換していた。
【0023】
これに対して、図2に示したレーダターゲットシミュレータ装置では、従来のレーダターゲットシミュレータ装置においてターゲットの移動模擬に必要な分配機能を実現する給電回路の位置に、光分波機器であるアレー導波路グレーティングファイバを用いるので、ターゲットの移動を模擬する電波信号の分配を、その電波信号の周波数に依らず光信号の領域で行うことができる。
【0024】
つまり、図2に示したレーダターゲットシミュレータ装置は、如何なる波長或いは周波数の「ターゲットを模擬する電波信号」であっても、その電波信号をアンテナ素子まで光信号で搬送するで、その搬送波となる光信号の領域にてターゲットの移動模擬を制御することで、所望周波数の模擬用電波をレーダ装置10に向かう空間に放射することができ、非常に広帯域特性に優れたレーダターゲットシミュレータ装置となる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、擬似信号発生装置が発生する如何なる波長或いは周波数を有する「ターゲットを模擬する電波信号」を模擬電波としてレーダ装置に向かう空間に放射できるので、非常に広帯域特性に優れたレーダターゲットシミュレータ装置が得られる。その結果、従来のレーダターゲットシミュレータ装置のように、擬似信号発生装置が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」の波長或いは周波数に応じて電波機器を取り替える必要がなくなり、コストの低減も図れる。
【0026】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2によるレーダターゲットシミュレータ装置の構成を示すブロック図である。なお、図3では、図2(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0027】
この実施の形態2では、複数のターゲットを模擬する場合の構成例を、ターゲット数が2である場合を例に挙げて説明する。すなわち、図3に示すように、この実施の形態2によるレーダターゲットシミュレータ装置では、図2(実施の形態1)に示した構成において、擬似信号発生装置2に代えて擬似信号発生装置2a,2bが設けられ、波長可変光源4に代えて波長可変光源4a,4bが設けられ、電光変換器3に代えて電光変換器3a,3bが設けられている。
【0028】
次に、動作について説明する。擬似信号発生装置2aと波長可変光源4aと電光変換器3aとからなる系が、一方のターゲットに対する模擬光信号生成系であり、擬似信号発生装置2bと波長可変光源4bと電光変換器3bとからなる系が、他方のターゲットに対する模擬光信号生成系である。計算機1は、別個独立に2つのターゲットの位置及び移動を制御する。
【0029】
計算機1は、擬似信号発生装置2aと波長可変光源4aとに波長または周波数を指示することで、一方のターゲットを模擬する電波信号と、それを搬送する光信号とが電光変換器3aに入力される。電光変換器3aは、一方のターゲットを模擬する電波信号を搬送する模擬光信号をアレー導波路グレーティングファイバ6に出力する。
【0030】
また、計算機1は、擬似信号発生装置2bと波長可変光源4bとに波長または周波数を指示することで、他方のターゲットを模擬する電波信号と、それを搬送する光信号とが電光変換器3bに入力される。電光変換器3bは、他方のターゲットを模擬する電波信号を搬送する模擬光信号をアレー導波路グレーティングファイバ6に出力する。
【0031】
アレー導波路グレーティングファイバ6は、電光変換器3aから受け取った一方のターゲットに対する模擬光信号をその波長に応じて分波し、ファイバアレー7を介して対応する光電変換器8に送出する。
【0032】
また、アレー導波路グレーティングファイバ6は、電光変換器3bから受け取った他方のターゲットに対する模擬光信号をその波長に応じて分波し、ファイバアレー7を介して対応する光電変換器8に送出する。
【0033】
この場合、計算機1は、波長可変光源4aに与える波長または周波数を順に変更することで一方のターゲット位置の移動を制御する。また、計算機1は、波長可変光源4bに与える波長または周波数を順に変更することで他方のターゲット位置の移動を制御する。これによって、一方のターゲット位置と他方のターゲット位置とは、別個独立に制御でき、図3に示す矢印Aの方向への移動も別個独立に制御できる。
【0034】
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、擬似信号発生装置が発生する如何なる波長或いは周波数を有する「ターゲットを模擬する電波信号」を模擬電波として空間に放射できるので、非常に広帯域特性に優れたレーダターゲットシミュレータ装置が得られる。加えて、複数のターゲットを模擬できるレーダターゲットシミュレータ装置が得られる。
【0035】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置の構成を示すブロック図である。なお、図4では、図2(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
【0036】
図4に示すように、この実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置では、図2(実施の形態1)に示した構成において、波長可変光源4に代えて、計算機1の出力を並列に受ける複数の振幅可変光源(λ1)11a〜振幅可変光源(λN)11nが設けられている。また、電光変換器3に代えて、複数の電光変換器3a〜3nが複数の振幅可変光源(λ1)11a〜振幅可変光源(λN)11nと1対1の関係で設けられている。
【0037】
次に、動作について説明する。計算機1は、擬似信号発生装置2に対し、発生する「ターゲットを模擬する電波信号」の波長または周波数を指示する。また、計算機1は、複数の振幅可変光源(λ1)11a〜振幅可変光源(λN)11n対して同時に、発生する光信号の振幅(強度)を指示する。
【0038】
擬似信号発生装置2は、「ターゲットを模擬する電波信号」を、計算機1から指定された波長または周波数に従って発生する。また、複数の振幅可変光源(λ1)11a〜振幅可変光源(λN)11nは、それぞれ、計算機1から個別に指定された振幅の光信号をそれぞれの波長で発生する。
【0039】
複数の電光変換器3a〜3nでは、電光変換器3aが、擬似信号発生装置2が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」と振幅可変光源(λ1)11aが発生する波長λ1の所定振幅光信号とに基づき「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する波長λ1の所定振幅模擬光信号を生成してアレー導波路グレーティングファイバ6に出力する。以降同様に、電光変換器3nが、擬似信号発生装置2が発生する「ターゲットを模擬する電波信号」と振幅可変光源(λ1)11nが発生する波長λNの所定振幅光信号とに基づき「ターゲットを模擬する電波信号」を搬送する波長λNの所定振幅模擬光信号を生成してアレー導波路グレーティングファイバ6に出力する。
【0040】
この実施の形態3では、このようにアレー導波路グレーティングファイバ6に入力される振幅レベルの互いに異なる複数の模擬光信号で1つのターゲットを模擬することになるので、素子アンテナ9のピッチ間隔よりも細かな間隔でターゲットの移動模擬を実現することができる(図6参照)。なお、図4に示した構成は、ターゲットが1つの場合であるが、複数のターゲットを模擬する場合は、擬似信号発生装置2が複数の「ターゲットを模擬する電波信号」を計算機1の指示に従って発生するようにすればよい。
【0041】
次に、図5と図6とを参照して、実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置の特徴を説明する。なお、図5は、従来のレーダターゲットシミュレータ装置での複数ターゲットの模擬を説明する図である。図6は、実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置での複数ターゲットの模擬を説明する図である。
【0042】
まず、従来のレーダターゲットシミュレータ装置において複数のターゲットを模擬する場合について説明する。従来のレーダターゲットシミュレータ装置では、複数のターゲットを模擬する場合は、各々のターゲットに対して専用の給電回路と素子アンテナ群とを設ける必要がある。
【0043】
図5は、4つのターゲットを模擬する場合に、各々のターゲットに割り付ける素子アンテナの配置例を示している。図5において、符号12は、模擬する1つ目のターゲットの位置を示す。符号14は、模擬する2つ目のターゲットの位置を示す。符号16は、模擬する3つ目のターゲットの位置を示す。また、符号18は、模擬する4つ目のターゲットの位置を示す。
【0044】
そして、符号13a〜13hは、1つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群を示す。符号15a〜15hは、2つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群を示す。符号17a〜17hは、3つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群を示す。また、符号19a〜19hは、4つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群を示す。
【0045】
例えば、1つ目のターゲット位置12を模擬するためには、1つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群のうち、ターゲット位置12を最も隣接して囲う素子アンテナ13a,13b,13c,13dを用いて模擬する。同様に、2つ目のターゲット位置14は、素子アンテナ15e,15f,15g,15hを用いて模擬する。3つ目のターゲット位置16は、素子アンテナ17e,17f,17g,17hを用いて模擬する。4つ目のターゲット位置18は、素子アンテナ19a,19b,19b,19dを用いて模擬する。
【0046】
図5から理解できるように、ターゲットの数を多くすると、各々のターゲットを模擬する4つ素子アンテナ群の中に異なるターゲットを模擬する4つの素子アンテナ群がオーバーラップするように入り込むので、アンテナ間隔が広がり離散的なターゲットの移動模擬になってしまう。そのため、ターゲットの連続的な移動模擬が可能にするためには、ターゲット数に制限を加える必要がある。
【0047】
これに対して、実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置では、複数のターゲットを模擬する場合、各々のターゲットに対して専用の素子アンテナを必要とせず、図4に示した構成において擬似信号発生装置2に複数の「ターゲットを模擬する電波信号」を発生させるだけで、素子アンテナを、その都度、各々のターゲットに割り当てて動作させることができる。
【0048】
例えば、図6に示すように、1つ目のターゲット位置12は、隣接する素子アンテナ20a,20b,20c,20dを用いて模擬する。2つ目のターゲット位置14は、素子アンテナ21a,21b,21c,21dを用いて模擬する。3つ目のターゲット位置16は、素子アンテナ22a,22b,22c,21bを用いて模擬する。4つ目のターゲット位置18は、素子アンテナ23a,23b,23b,23dを用いて模擬する。これによって、アンテナ間隔が最小単位となり、ターゲット数に制限を加えることなく、ターゲットの連続的な移動模擬が可能になる。
【0049】
このように、実施の形態3においては、複数のターゲットを模擬する場合でも、アンテナ間隔の制約を少なくして連続的な移動模擬が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、この発明にかかるレーダターゲットシミュレータ装置は、ターゲットを擬似する電波信号の周波数帯域に依存しないで広帯域化が図れるレーダターゲットシミュレータ装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダターゲットシミュレータ装置の概略構成と評価対象のレーダ装置との配置関係とを示す図である。
【図2】図1に示すレーダターゲットシミュレータ装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダターゲットシミュレータ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】従来のレーダターゲットシミュレータ装置での複数ターゲットの模擬を説明する図である。
【図6】実施の形態3によるレーダターゲットシミュレータ装置での複数ターゲットの模擬を説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
1 計算機
2,2a,2b 擬似信号発生装置
3,3a,3b,〜3n 電光変換器
4,4a,4b 波長可変光源
5 ビルボード
6 アレー導波路グレーティングファイバ
7 光ファイバアレー
8 光電変換器
9 素子アンテナ
10 レーダ装置
11a,11b,〜11n 振幅可変光源
12 模擬する1つ目のターゲットの位置
13a〜13h 1つ目のターゲットを模擬するための専用の素子アンテナ群
14 模擬する2つ目のターゲットを位置
15a〜15h 2つ目のターゲットを模擬するための専用の素子アンテナ群
16 模擬する3つ目のターゲットの位置
17a〜17h 3つ目のターゲットを模擬するための専用の素子アンテナ群
18 模擬する4つ目のターゲットの位置
19a〜19h 4つ目のターゲットを模擬するための専用の素子アンテナ群
20a〜20d 1つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群
21a〜21d 2つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群
22a〜22c,21d 3つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群
23a〜23d 4つ目のターゲットを模擬するための素子アンテナ群
25 電波暗室
26 電波吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象であるレーダ装置と対向して配置され、ターゲットを模擬する電波信号に従って前記レーダ装置に向けて電波放射を行う複数の素子アンテナを備えるレーダターゲットシミュレータ装置において、
指定された波長または周波数の前記ターゲットを模擬する電波信号を発生する擬似信号発生装置と、
指定された波長または周波数の光信号を発生する波長可変光源と、
前記擬似信号発生装置が出力する電波信号と前記波長可変光源が出力する光信号とに基づき、前記擬似信号発生装置が出力する電波信号を搬送する模擬光信号を生成する電光変換器と、
前記模擬光信号を波長に応じて分波する光分波機器と、
前記複数の素子アンテナと1対1の関係で配置され、かつ前記光分波機器が分波した模擬光信号を波長対応で受け取るように配置され、前記光分波機器から入力される前記模擬光信号から前記電波信号を復調して対応する前記素子アンテナに出力する複数の光電変換器と、
を備えていることを特徴とするレーダターゲットシミュレータ装置。
【請求項2】
前記擬似信号発生装置と前記波長可変光源と前記電光変換器とからなる前記模擬光信号を生成する系が複数設けられ、
前記光分波機器は、前記複数の模擬光信号を生成する系が別個独立に生成する模擬光信号を、それぞれ、波長に応じて分波し前記複数の光電変換器の対応するものへ送出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーダターゲットシミュレータ装置。
【請求項3】
評価対象であるレーダ装置と対向して配置され、ターゲットを模擬する電波信号に従って前記レーダ装置に向けて電波放射を行う複数の素子アンテナを備えるレーダターゲットシミュレータ装置において、
指定された波長または周波数の前記ターゲットを模擬する前記電波信号を発生する擬似信号発生装置と、
互いに異なる波長の光信号を、それぞれ指定された振幅で発生する複数の振幅可変光源と、
前記複数の振幅可変光源と1対1の関係で設けられ、前記擬似信号発生装置が出力する電波信号と対応する前記振幅可変光源からの光信号とに基づき、前記擬似信号発生装置が出力する電波信号を搬送する模擬光信号を生成する複数の電光変換器と、
前記複数の電光変換器が出力する前記模擬光信号を、それぞれ波長に応じて分波する光分波機器と、
前記複数の素子アンテナと1対1の関係で配置され、かつ前記光分波機器が分波した模擬光信号を波長対応で受け取るように配置され、前記光分波機器から入力される前記模擬光信号から前記電波信号を復調して対応する前記素子アンテナに出力する複数の光電変換器と、
を備えていることを特徴とするレーダターゲットシミュレータ装置。
【請求項4】
擬似信号発生装置は、複数の前記ターゲットを模擬する電波信号を発生する、ことを特徴とする請求項3に記載のレーダターゲットシミュレータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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