説明

レーダビデオ処理装置

【課題】非同期でフォーマットの異なる複数のレーダから入力するビデオ信号を容易に合成する処理装置を提供する。
【解決手段】複数のレーダ2a,2bから入力するレーダビデオ信号を同期させるリードイネーブル信号、複数のレーダビデオ信号のフォーマットを統一させるライトイネーブル信号を出力する制御手段14と、入力レーダビデオ信号をメモリ121a,121bに書き込み、リードイネーブル信号の読み出し要求に従って、他のレーダから入力したレーダビデオ信号と同期させるタイミングでメモリ121a,121bから読み出す入力信号処理手段12a,12bと、読み出されたレーダビデオ信号を、ライトイネーブル信号の書き込み要求に従って統一フォーマットに変換してメモリ131a,131bに書き込み、新たなレーダビデオ信号をメモリ131a,131bから読み出す出力信号処理手段13a,13bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーダから入力するレーダビデオ信号を合成するレーダビデオ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象レーダ、航空レーダ、海洋レーダ等の様々な分野でレーダが利用されており、同一又は異なる種類の複数のレーダから出力されるレーダビデオ信号を、合成用の装置で合成して利用する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このレーダと合成用の装置との間の伝送は、高速なシリアル通信が用いられている。シリアル通信を用いることで、多量のデータ伝送が可能になる。一方、レーダと装置間のラインレートは統一されていても、レーダの性能によって、各レーダから装置へ送信されるデータの伝送レートが異なることがある。また、レーダは、回転しながら各方位に対する信号を検出するが、通常はこれら複数のレーダの回転は同期しておらず、回転速度も異なっている。さらに、各レーダは、最大探知距離や距離分解能等のフォーマットも異なっている。
【0004】
そのため、このレーダビデオ信号の合成用の装置では、異なる送信レートで各レーダから受信した非同期であるレーダビデオ信号を同期させるとともに、一定のフォーマットに変換した後に、合成する必要がある。したがって、従来はレーダビデオ信号の合成の処理が複雑になる問題があった。
【特許文献1】特許第3990830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のレーダビデオの合成用の装置は、レーダによってタイミングやフォーマット等が異なるレーダビデオ信号が入力されているため、合成が複雑で困難である問題があった。
【0006】
したがって本発明は、非同期でフォーマットの異なる複数のレーダから入力するレーダビデオ信号を容易に合成するレーダビデオ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴に係るレーダビデオ処理装置は、複数のレーダからそれぞれ非同期でフォーマットの異なるレーダビデオ信号を入力し、入力した複数の前記レーダビデオ信号を同期させるとともに統一フォーマットに変換して、合成するレーダビデオ処理装置であって、予め定められるタイミングに従って、前記複数のレーダから入力するレーダビデオ信号を同期させるそれぞれ各レーダに対応する複数のリードイネーブル信号を出力するとともに、前記複数のレーダから入力するレーダビデオ信号のフォーマットを統一させるそれぞれ各レーダに対応する複数のライトイネーブル信号を出力する制御手段と、入力するレーダビデオ信号をメモリに書き込むとともに、前記リードイネーブル信号の読み出し要求に従って、他のレーダから入力したレーダビデオ信号と同期させるタイミングで前記レーダビデオ信号を前記メモリから読み出す入力信号処理手段と、入力信号処理手段で読み出されたレーダビデオ信号を、前記ライトイネーブル信号の書き込み要求に従って前記統一フォーマットに変換した新たなレーダビデオ信号をメモリに書き込むとともに、前記新たなレーダビデオ信号を前記メモリから読み出す出力信号処理手段と、複数の新たなレーダビデオ信号を入力すると、複数の前記新たなレーダビデオ信号を合成するレーダビデオ合成手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非同期でフォーマットの異なる複数のレーダから入力するレーダビデオ信号を容易に合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を用いて本発明の最良の実施形態に係るレーダビデオ処理装置について説明する。以下の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、類似の構成には類似の符号を付して説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明に係るレーダビデオ処理装置1は、第1レーダ2aと第2レーダ2bの2台のレーダと接続されており、シリアル通信を行なうことが可能である。ここでは、例えば、第1レーダ2aが航空レーダであり、第2レーダ2bが気象レーダであるとする。レーダビデオ処理装置1は、第1レーダ2aから入力した第1レーダビデオ信号と、第2レーダ2bから入力した第2レーダビデオ信号とを合成する。
【0011】
また、レーダビデオ処理装置1は、合成したレーダビデオ信号をレーダビデオ表示装置3に出力する。レーダビデオ表示装置3は、レーダビデオ処理装置1で合成されたレーダビデオ信号を直交座標系に変換(スキャンコンバート)してディスプレイ4に表示する。
【0012】
図2に、中心をレーダ2a,2bの位置とし、各レーダ2a,2bのアンテナにより検出されたレーダビデオ信号を表示した場合の一例を示している。具体的には、図2(a)が第1レーダ2aから入力した第1レーダビデオ信号の表示例であり、図2(b)が第2レーダ2bから入力した第2レーダビデオ信号の表示例である。また、図2(c)が第1レーダビデオ信号と第2レーダビデオ信号とを合成して得られたレーダビデオ信号の表示例である。なお、図2に示す例では、第1レーダ2aと第2レーダ2bの位置が一致しているが、第1レーダ2aと第2レーダ2bとの位置が一致していない場合であっても、予め把握している各レーダ間の距離を考慮してレーダビデオ信号を合成することができる。
【0013】
ここで、レーダビデオ処理装置1がレーダ2a,2bから入力する信号は、図3に示すように、「ヘッダ部」、「データ部」、「無効データ部」を有するシリアルデータである。この「データ部」に含まれる情報が、図2で一例を示したレーダビデオ信号に相当する。また、「ヘッダ部」には、レーダ2a,2bのアンテナの回転の角度(方角)に関する情報が含まれており、レーダビデオ信号の合成に利用される。また、「無効データ部」には、信号の生成時に発生する不要な部分である。
【0014】
上述したように、複数のレーダの距離分解能はそれぞれ異なるが、この距離分解能が「データ部」のデータ長を決定するため、「データ部」のデータ長はレーダによって異なっている。また、「無効データ部」のデータ長もレーダによって異なっている。したがって、図3に示すように、レーダによって、出力する信号のデータ長も異なる。図3では、図3(a)に示す信号をレーダビデオ処理装置1が第1レーダ2aから入力する第1入力信号の一例とし、図3(b)に示す信号をレーダビデオ処理装置1が第2レーダ2bから入力する第2入力信号の一例とする。この図3に示す信号は、1つ分のデータのデータ長は8ビットである。例えば、図3(a)に示す信号のデータ部のデータ長(ビット数)は8000ビットであり、1000のデータに相当する。また、図3(b)に示す信号のデータ部のデータ長(ビット数)は12000ビットであり、1500のデータに相当する。
【0015】
図4を用いて、レーダビデオ処理装置1の構成について説明する。レーダビデオ処理装置1は、レーダ2a,2bからの入力信号をシリアルデータからシリアル/パラレル変換によってパラレルデータに変換する複数の変換手段11a,11bと、パラレルデータに変換されたレーダ2a,2bからの入力信号を同期化する入力信号処理手段12a,12bと、入力信号処理手段12a,12bから信号に基づいてレーダビデオ表示装置3のフォーマットに統一させる信号を出力する出力信号処理手段13a,13bと、入力信号処理手段12a,12b及び出力信号処理手段13a,13bに制御のための信号を出力する制御手段14と、各手段にクロック信号を出力するクロック信号出力手段15と、出力信号処理手段13a,13bから出力された信号を合成するレーダビデオ合成手段16と、レーダビデオ合成手段16で合成された信号をパラレル/シリアル変換によってシリアルデータに変換する変換手段17とを備えている。
【0016】
第1変換手段11aは、第1レーダ2aに対応し、シリアルデータである第1入力信号から得られた「ヘッダ部」と、「データ部」(レーダビデオ信号)とのパラレルデータを第1入力信号処理手段12aに出力する。また、第2変換手段11bは、第2レーダ2bに対応し、シリアルデータである第2入力信号から得られた「ヘッダ部」と、「データ部」とのパラレルデータを第2入力信号処理手段12bに出力する。
【0017】
第1入力信号処理手段12aは、第1変換手段11aから入力したデータを書き込むFIFO(First In First Out)方式のメモリ121aを内部に有する手段である。第1入力信号処理手段12aは、制御手段14から入力する第1リードイネーブル信号RE-1とクロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って、メモリ121aに書き込んだ信号を順に読み出し、第1出力信号処理手段13aに出力する。具体的には、第1入力信号処理手段12aは、第1リードイネーブル信号RE-1の読み出し要求に従って、第1レーダ2aから入力したデータを、他のレーダ(第2レーダ2b)から入力したデータと同期させるタイミングでメモリ121aから読み出す。
【0018】
また、第2入力信号処理手段12bも第1入力信号処理手段12bと同様に、第2変換手段11bから入力したデータを内部のメモリ121bに書き込み、制御手段14から入力する第2リードイネーブル信号RE-2とクロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って、メモリ121bに書き込んだデータを順に読み出して第2出力信号処理手段13bに出力する。具体的には、第2入力信号処理手段12bは、第2リードイネーブル信号RE-2の読み出し要求に従って、第2レーダ2bから入力したデータを、他のレーダ(第1レーダ2a)から入力したデータと同期させるタイミングでメモリ121bから読み出す。
【0019】
第1出力信号処理手段13aは、FIFO(First In First Out)方式のメモリ131aを内部に有する手段である。第1出力信号処理手段13aは、制御手段14から入力する第1ライトイネーブル信号WE-1とクロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って、第1入力信号処理手段12aから入力したデータをメモリ131aに書き込む。その後、第1出力信号処理手段13aは、書き込んだデータをメモリ131aから順に読み出してレーダビデオ合成手段16に出力する。具体的には、第1出力信号処理手段13aは、第1ライトイネーブル信号WE-1の書き込み要求に従って、第1レーダ1aから入力したデータを出力するデータのフォーマットに変換した新たなデータをメモリ131aに書き込む。
【0020】
また、第2出力信号処理手段13bも第2出力信号処理手段13aと同様に、制御手段14から入力する第2ライトイネーブル信号WE-2とクロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って、内部のメモリ131bに第2入力信号処理手段12bから入力したデータを書き込んだ後、書き込んだデータをメモリ131bから順に読み出してレーダビデオ合成手段16に出力する。具体的には、第2出力信号処理手段13bは、第2ライトイネーブル信号WE-2の書き込み要求に従って、第2レーダ1bから入力したデータを出力するデータのフォーマットに変換した新たなデータをメモリ131bに書き込む。
【0021】
制御手段14は、予め設定されているタイミングと、クロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って、リードイネーブル信号RE-1,RE-2とライトイネーブル信号WE-1,WE-2を出力する。各レーダ2a,2bから入力する入力信号の「ヘッダ部」のデータ長は全て同一であるが、「データ部」のデータ長はレーダ2a,2bによって異なる。制御手段14には、この「ヘッダ部」のデータ長と、各レーダ2a,2bから入力する入力信号の「データ部」のデータ長が予め設定されている。したがって、制御手段14は、設定されているデータ長の入力信号から、レーダビデオ表示装置3のフォーマットに統一(データ長を統一)した出力信号を出力させるためのリードイネーブル信号RE-1,RE-2とライトイネーブル信号WE-1,WE-2を生成して出力するタイミングが設定されている。制御手段14が出力するリードイネーブル信号RE-1,RE-2とライトイネーブル信号WE-1,WE-2の詳細については、図5乃至図7を用いて後述する。
【0022】
クロック信号出力手段15は、入力信号処理手段12a,12bにおける信号読み出し、出力信号処理手段13a,13bにおける信号の書き込み、制御手段14における信号の出力、レーダビデオ合成手段16における信号の合成に利用するクロック信号CLKを、入力信号処理手段12a,12b、出力信号処理手段13a,13b、制御手段14及びレーダビデオ合成手段16に出力する。
【0023】
レーダビデオ合成手段16は、第1出力信号処理手段13aから出力された信号と、第2出力信号処理手段13bから出力された信号とを、クロック信号出力手段15から入力するクロック信号CLKに従って合成し、第3変換手段17に出力する。出力信号処理手段13a,13bから入力する各信号は、レーダビデオ処理装置3のフォーマットに統一させているため、レーダビデオ合成手段16では、信号を容易に合成することができる。
【0024】
第3変換手段17は、パラレルデータで入力されたデータをパラレル/シリアル変換によってシリアルデータに変換し、レーダビデオ表示装置3に出力する。
【0025】
以下に、制御手段14が出力するリードイネーブル信号RE-1,RE-2、ライトイネーブル信号WE-1,WE-2について説明する。ここで、レーダ2a,2bから入力した入力信号のデータ部(レーダビデオ信号)のデータ数を「入力データ数NI」とし、レーダビデオ表示装置3に出力するデータ部のデータ数を「出力データ数NO」とする。例えば、図3(a)に示す第1入力信号の入力データ数NIは「1000」であり、第3(b)に示す第2入力信号の入力データ数NIは「1500」であって各入力データ数NIは異なっている。したがって、レーダビデオ処理装置1では、第1入力信号と第2入力信号のレーダビデオ信号は、合成後のレーダビデオ信号のデータ数(出力データ数NO)に統一させる。
【0026】
《入力データ数NI>出力データ数NOの場合》
まず、図5を用いて、入力データ数NIが出力データ数NOよりも大きい場合について説明する。入力データ数NI>出力データ数NOの場合、すなわち、レーダ2a,2bから入力するレーダビデオ信号のデータ数が統一のフォーマットのデータ数よりも長いとき、入力信号処理手段12a,12b及び出力信号処理手段13a,13bは、入力したレーダビデオ信号を間引く処理を実行する。そのため、ライトイネーブル信号WE-1,WE-2で出力信号処理手段13a,13bでのメモリ131a,131bへの書き込みをコントロールする。具体的には、制御手段14は、レーダビデオ信号をメモリ12a,12bから連続して読み出すリードイネーブル信号RE-1,RE-2を入力信号処理手段12,12に出力し、入力信号処理手段12a,12bで読み出されたレーダビデオ信号を統一のフォーマットと同一のデータ数の新たなレーダビデオ信号に変換してメモリ13a,13bに書き込むライトイネーブル信号WE-1,WE-2を出力する。
【0027】
ここで、入力信号処理手段12a,12bは、制御手段14から入力するリードイネーブル信号RE-1,RE-2が「High」のときにメモリ121a,121bから信号を読み出し、「Low」のときにはメモリ121a,121bからの信号の読み出しを停止する。また、出力信号処理手段13a,13bは、制御手段14から入力するライトイネーブル信号WE-1,WE-2が「High」のときに入力する信号をメモリ131a,131bに書き込み、「Low」のときにはメモリ131a,131bへの信号の書き込みを停止する。
【0028】
例えば、第1入力信号の入力データ数NI1が「1000」であり、出力データ数NO1が「500」であるとき、制御手段14は、図5に示すように、「High」が1000のデータ(8000ビット)連続して読み出す第1リードイネーブル信号RE-1を第1入力信号処理手段12aに出力する。したがって、第1入力信号処理手段12aは、メモリ121aから1000データ分の信号を連続して読み出す。
【0029】
また、制御手段14は、図5に示すように、1データ分の「High」と1データ分の「Low」とを交互に繰り返して合計が1000のデータになる第1ライトイネーブル信号WE-1を第1出力信号処理手段13aに出力する。したがって、第1出力信号処理手段13aのメモリ131aには、第1入力信号処理手段12aから入力した信号のうち、500データ分の信号が書き込まれ、残りの500データ分の信号は捨てられる。すなわち、第1出力信号処理手段13aからは、第1レーダ2aから入力した第1レーダビデオ信号のうち半分のデータ数の信号が間引かれた500データ分の信号が出力される。
【0030】
さらに、第2入力信号の入力データ数NI2が「1500」であり、出力データ数NO2が「500」であるとき、制御手段14は、図5に示すように、「High」が1500のデータ(12000ビット)連続して読み出す第2リードイネーブル信号RE-2を第2入力信号処理手段12bに出力する。したがって、第2入力信号処理手段12bは、メモリ121bから1500データ分の信号を連続して読み出す。
【0031】
また、制御手段14は、図5に示すように、1データ分の「High」と2データ分の「Low」とを交互に繰り返して合計が1500のデータになる第2ライトイネーブル信号WE-2を第2出力信号処理手段13bに出力する。したがって、第2出力信号処理手段13bのメモリ131bには、第2入力信号処理手段12bから入力した信号のうち、500データ分の信号が書き込まれ、残りの1000データ分の信号は捨てられる。すなわち、第2出力信号処理手段13bからは、第2レーダ2bから入力した第2レーダビデオ信号のうち3分の2のデータ数の信号が間引かれた500データ分の信号が出力される。
【0032】
上述のようにした場合、第1出力信号処理手段13aと第2出力信号処理手段13bとから出力される信号はともに500データであるため、レーダビデオ合成手段16では、これらの信号を容易に合成することができる。
【0033】
《入力データ数NI<出力データ数NOの場合》
次に、図6を用いて、入力データ数NIが出力データ数NOよりも小さい場合について説明する。入力データ数NI<出力データ数NOの場合、すなわち、レーダ2a,2bから入力するレーダビデオ信号のデータ数が統一のフォーマットのデータ数よりも短いとき、入力信号処理手段12a,12b及び出力信号処理手段13a,13bは、入力したレーダビデオ信号に不足分のデータ数のデータを追加する処理を実行する。そのため、リードイネーブル信号RE-1,RE-2で出力信号処理手段13a,13bでのメモリ131a,131bからの読み出しをコントロールする。具体的には、制御手段14は、レーダビデオ信号をメモリ12a,12bから不連続に読み出すリードイネーブル信号RE-1,RE-2を入力信号処理手段12,12に出力し、入力信号処理手段12a,12bで読み出されたレーダビデオ信号を統一のフォーマットと同一のデータ数の新たなレーダビデオ信号に変換してメモリ13a,13bに書き込むライトイネーブル信号WE-1,WE-2を出力する。
【0034】
例えば、第1入力信号の入力データ数NI1が「1000」であり、出力データ数NO1が「3000」であるとき、制御手段14は、図6に示すように、1データ分の「High」と2データ分の「Low」とを交互に繰り返して合計が3000のデータ(24000ビット)になる第1リードイネーブル信号RE-1を第1入力信号処理手段12aに出力する。すなわち、第1入力信号処理手段12aは、メモリ121aから1000データ分の信号を不連続に読み出す。
【0035】
また、制御手段14は、図6に示すように、「High」が3000のデータ連続する第1ライトイネーブル信号WE-1を第1出力信号処理手段13aに出力する。このとき、第1出力信号処理手段13aには、第1入力信号処理手段12aから信号が1データ分入力した後、2データ分は信号が入力されない。第1出力信号処理手段13aでは、このように信号の入力がないときに第1ライトイネーブル信号WE-1が「High」である場合には、前に入力した信号と同一の値をメモリ121aに書き込む。すなわち、第1出力信号処理手段13aからは、第1レーダ2aから入力した1000のデータの信号に対して、3倍である3000のデータの信号が出力される。
【0036】
さらに、第2入力信号の入力データ数NI2が「1500」であり、出力データ数NO2が「3000」であるとき、制御手段14は、図6に示すように、1データ分の「High」と1データ分の「Low」とを交互に繰り返して合計が3000のデータ(24000ビット)になる第2リードイネーブル信号RE-2を第2入力信号処理手段12bに出力する。すなわち、第1入力信号処理手段12aは、メモリ121aから1500データ分の信号を不連続に読み出す。
【0037】
また、制御手段14は、図6に示すように、「High」が3000のデータ連続する第2ライトイネーブル信号WE-2を第2出力信号処理手段13bに出力する。このとき、第2出力信号処理手段13bには、第2入力信号処理手段12bから信号が1データ分入力した後、2データ分は信号が入力されない。第2出力信号処理手段13bでは、このように信号の入力がないときに第2ライトイネーブル信号WE-2が「High」である場合には、前に入力した信号と同一の値をメモリ131bに書き込む。すなわち、第1出力信号処理手段13bからは、第1レーダ2bから入力した1500のデータの信号に対して、2倍である3000のデータの信号が出力される。
【0038】
上述のようにした場合、第1出力信号処理手段13aと第2出力信号処理手段13bとから出力される信号はともに3000のデータであるため、レーダビデオ合成手段16では、これらの信号を容易に合成することができる。
【0039】
《入力データ数NI=出力データ数NOの場合》
続いて、図7を用いて、入力データ数NIが出力データ数NOと同一の場合について説明する。入力データ数NI=出力データ数NOの場合、すなわち、レーダ2a,2bから入力するレーダビデオ信号のデータ数が統一のフォーマットのデータ数と同一のとき、入力したレーダビデオ信号をそのままデータの合成に利用できる。具体的には、制御手段14は、レーダビデオ信号をメモリ12a,12bから連続して読み出すリードイネーブル信号RE-1,RE-2を入力信号処理手段12,12に出力し、入力信号処理手段12a,12bで読み出されたレーダビデオ信号を新たなレーダビデオ信号としてメモリ13a,13bに書き込むライトイネーブル信号WE-1,WE-2を出力する。
【0040】
例えば、第1入力信号の入力データ数NI1が「500」であり、出力データ数NO1が「500」であるとき、制御手段14は、図6に示すように、「High」が500のデータ(4000ビット)連続する第1リードイネーブル信号RE-1を第1入力信号処理手段12aに出力する。すなわち、第1出力信号処理手段12aは、メモリ121aから500データ分の信号を連続して読み出す。
【0041】
また、制御手段14は、図7に示すように「High」が500データ分連続する第1ライトイネーブル信号WE-1を第1出力信号処理手段13aに出力する。すなわち、第1出力信号処理手段13aからは、第1レーダ2aから入力したレーダビデオ信号の全てが連続して出力される。
【0042】
なお、第2入力信号の入力データ数NI2が「1000」であり、出力データ数NO2が「500」であるときには、制御手段14は、図5で上述した場合と同様に第2出力信号処理手段13bでのメモリ131bへの書き込みをコントロールして、500データ分の信号をメモリ131bに書き込む。
【0043】
上述のようにした場合、第1出力信号処理手段13aと第2出力信号処理手段13bとから出力される信号はともに500データであるため、レーダビデオ合成手段16では、これらの信号を容易に合成することができる。
【0044】
本発明の実施形態に係るレーダビデオ処理装置1は、上述したように、入力信号処理手段12a,12bで同期化の処理を実行し、出力信号処理手段13a,13bでレーダビデオ表示装置3のフォーマットへ統一させる処理を実行している。これにより、レーダビデオ合成手段16において複数レーダ2a,2bから入力する非同期でフォーマットの異なるレーダビデオ信号を容易に合成することができる。
【0045】
上述した例では、レーダビデオ処理装置1は、2台のレーダ2a,2bから信号を受信する例を示したが、レーダビデオ処理装置1に接続されるレーダの数は2台に限られない。レーダビデオ処理装置1に接続されるレーダの数が増えた場合には、レーダビデオ処理装置1が備える入力信号処理手段及び出力信号処理手段の数も追加されるとともに、制御手段14は、追加されたこれらの各入力信号処理手段及び出力信号処理手段にもリードイネーブル信号とライトイネーブル信号を出力する。
【0046】
なお、上述の説明では、入力データ数NIが出力データ数NOよりも大きい場合、出力信号処理手段13a,13bは、出力データ数NOに合わせて余りの信号を捨てるものとして説明した。しかし、例えば、出力信号処理手段13a,13bは、入力した信号を平均化する等のようにして、出力データ数NOに合わせた信号を生成してもよい。
【0047】
また、上述の説明では、入力データ数NIが出力データ数NOよりも小さい場合、出力信号処理手段13a,13bは、出力データ数NOに合わせた信号を出力するため、同一の信号の値を連続した信号を生成するものとして説明した。しかし、例えば、出力信号処理手段13a,13bは、前後の信号の値から、新たな値を求めて出力データ数NOに合わせた信号を生成してもよい。
【0048】
さらに、上述した例では、入力データ数NIに対して出力データ数NOが倍数又は約数として説明したが、倍数や約数とならない場合には、「High」と「Low」の周期を変動させる等によって調整することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るレーダビデオ処理装置に接続される装置について説明するブロック図である。
【図2】本発明の最良の実施形態に係るレーダビデオ処理装置で合成されるレーダビデオ信号について説明する図である。
【図3】本発明の最良の実施形態に係るレーダビデオ処理装置に入力される信号の一例である。
【図4】本発明の最良の実施形態に係るレーダビデオ処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図5】制御手段が出力する信号の一例を説明する図である。
【図6】制御手段が出力する信号の他の例を説明する図である。
【図7】制御手段が出力する信号の他の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1…レーダビデオ処理装置
11a…第1変換手段
11b…第2変換手段
12a…第1入力信号処理手段
121a…メモリ
12b…第2入力信号処理手段
121b…メモリ
13a…第1出力信号処理手段
131a…メモリ
13b…第2出力信号処理手段
131b…メモリ
14…制御手段
15…クロック信号出力手段
16…レーダビデオ合成手段
17…第3変換手段
2a…第1レーダ
2b…第2レーダ
3…レーダビデオ表示装置
4…ディスプレイ
RE-1…第1リードイネーブル信号
RE-2…第2リードイネーブル信号
WE-1…第1ライトイネーブル信号
WE-2…第2ライトイネーブル信号
CLK…クロック信号
NI…入力データ数
NO…出力データ数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーダからそれぞれ非同期でフォーマットの異なるレーダビデオ信号を入力し、入力した複数の前記レーダビデオ信号を同期させるとともに統一フォーマットに変換して、合成するレーダビデオ処理装置であって、
予め定められるタイミングに従って、前記複数のレーダから入力するレーダビデオ信号を同期させるそれぞれ各レーダに対応する複数のリードイネーブル信号を出力するとともに、前記複数のレーダから入力するレーダビデオ信号のフォーマットを統一させるそれぞれ各レーダに対応する複数のライトイネーブル信号を出力する制御手段と、
入力するレーダビデオ信号をメモリに書き込むとともに、前記リードイネーブル信号の読み出し要求に従って、他のレーダから入力したレーダビデオ信号と同期させるタイミングで前記レーダビデオ信号を前記メモリから読み出す入力信号処理手段と、
入力信号処理手段で読み出されたレーダビデオ信号を、前記ライトイネーブル信号の書き込み要求に従って前記統一フォーマットに変換した新たなレーダビデオ信号をメモリに書き込むとともに、前記新たなレーダビデオ信号を前記メモリから読み出す出力信号処理手段と、
複数の新たなレーダビデオ信号を入力すると、複数の前記新たなレーダビデオ信号を合成するレーダビデオ合成手段と、
を備えることを特徴とするレーダビデオ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記レーダから入力するレーダビデオ信号のデータ長が前記統一フォーマットのデータ長よりも長いとき、
前記レーダビデオ信号を連続して前記メモリから読み出すリードイネーブル信号を出力し、
読み出された前記レーダビデオ信号を、前記統一フォーマットと同一のデータ長の新たなレーダビデオ信号に変換して前記メモリに書き込むライトイネーブル信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーダビデオ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記レーダから入力するレーダビデオ信号のデータ長が前記統一フォーマットのデータ長よりも短いとき、
前記レーダビデオ信号を不連続に前記メモリから読み出すリードイネーブル信号を出力し、
読み出された前記レーダビデオ信号を、前記統一フォーマットと同一のデータ長の新たなレーダビデオ信号に変換して前記メモリに書き込むライトイネーブル信号を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1に記載のレーダビデオ処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記レーダから入力するレーダビデオ信号のデータ長と前記統一フォーマットのデータ長が一致するとき、
前記レーダビデオ信号を連続して前記メモリから読み出すリードイネーブル信号を出力し、
読み出された前記レーダビデオ信号を、新たなレーダビデオ信号として書き込むライトイネーブル信号を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のレーダビデオ処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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