説明

レーダ画像処理装置

【課題】本発明の課題は、2重パルス式レーダの2次エコーの除去をデジタルデータで行うことにより、部品点数を少なく、小型で安価なレーダ画像処理装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信すると共に反射波を受信するアンテナ11及びレーダ装置12と、レーダ装置12から出力された受信信号をデジタルデータに変換するAD変換器13と、数値制御発信機14で生成した受信したいパルスの周波数に応じた信号とAD変換器13から出力されたデジタルデータの受信信号とが混合され、受信したい信号をベースバンドに変換するミキサ15と、ミキサ15からの出力信号が入力され、2次エコーを除去して受信したい信号を指示器へ出力するフィルタ16とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機等の飛翔体に搭載された1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信する2重パルス式レーダにおいて、2次エコーを除去するレーダ画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信する2重パルス式レーダのレーダ画像処理装置においては、レーダ装置に予め複数個の第1局部発振器を持ち、互いに周波数の異なる長パルスと短パルスに応じて第1局部発振器を選択し、受信信号の周波数を変更していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平8−501383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の2重パルス式レーダのレーダ画像処理装置は、第1局部発振器の周波数を変化させることで長パルスと短パルスの周波数を区別していた。このため、第1局部発振器及び関連回路を複数個必要とし、部品点数が増加する欠点があった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、2重パルス式レーダの2次エコーの除去をデジタルデータで行うことにより、部品点数を少なく、小型で安価なレーダ画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信する2重パルス式レーダのレーダ画像処理装置において、1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信すると共に反射波を受信するアンテナ及びレーダ装置と、前記レーダ装置から出力された受信信号をデジタルデータに変換するAD変換器と、周波数制御により受信したいパルスの周波数に応じた信号を生成する数値制御発信機と、前記数値制御発信機で生成した信号と前記AD変換器から出力されたデジタルデータの受信信号とが混合され、受信したい信号をベースバンドに変換するミキサと、前記ミキサからの出力信号が入力され、2次エコーを除去して受信したい信号を指示器へ出力するフィルタとを具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、回路が単純で部品点数も少なく、安価なレーダ画像処理装置を提供できることから、2重パルス式航法気象レーダに用いる等の実用に際し得られる効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るレーダ画像処理装置を示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る2次エコー除去の過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るレーダ画像処理装置を示す構成説明図であり、図2は本発明の実施形態に係る2次エコー除去の過程を示す説明図である。本発明の実施形態に係るレーダ画像処理装置は例えば航空機等の飛翔体に搭載された1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信する2重パルス式航法気象レーダのレーダ画像処理装置として用いられる。図1において、11はアンテナ、12はレーダ装置、13はAD変換器、14は数値制御発信機(以下NCOという)、15はミキサ、16はフィルタである。
【0011】
図1に示すように、レーダ装置12はアンテナ11を経由して1繰り返しの間に予め互いに異なる周波数の長パルスと短パルスの電波を送信すると共に反射波(目標からのエコー)を受信する。レーダ装置12が受信する受信信号は図2(a)に示すように送信周波数に応じて離れた周波数Aと周波数Bになる。
【0012】
レーダ装置12から出力される受信信号はAD変換器13に入力され、AD変換器13に入力された受信信号はデジタルデータに変換されてミキサ15に出力される。ミキサ15はAD変換器13から入力されたデジタルデータの受信信号とNCO14で生成された信号とが混合され、受信したい信号をベースバンドの周波数B−Aに変換する。NCO14はFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成され、FPGA内部のデジタルデータにおいて生成した周波数とデジタルデータの受信信号の周波数を混合することでベースバンドに周波数変換する。NCO14は周波数制御により受信したい送信パルスの周波数に応じた信号を生成する。ミキサ15からの混合後の出力信号は図2(b)に示すように、周波数B−Aの外に2次エコーCが存在する。
【0013】
ミキサ15からの混合後の出力信号はフィルタ16に入力される。フィルタ16はフィルタ特性Fにより受信したい信号の周波数B−Aのみ通過させ、不要なパルスの2次エコーCは遮断除去される。フィルタ16を通過した受信したい信号の周波数B−Aは指示器へ出力され、指示器に表示されて観測される。
【0014】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0015】
11…アンテナ、12…レーダ装置、13…AD変換器、14…数値制御発信機(NCO)、15…ミキサ、16…フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信する2重パルス式レーダのレーダ画像処理装置において、
1繰り返しの間に長パルスと短パルスの電波を送信すると共に反射波を受信するアンテナ及びレーダ装置と、
前記レーダ装置から出力された受信信号をデジタルデータに変換するAD変換器と、
周波数制御により受信したいパルスの周波数に応じた信号を生成する数値制御発信機と、
前記数値制御発信機で生成した信号と前記AD変換器から出力されたデジタルデータの受信信号とが混合され、受信したい信号をベースバンドに変換するミキサと、
前記ミキサからの出力信号が入力され、2次エコーを除去して受信したい信号を指示器へ出力するフィルタと
を具備することを特徴とするレーダ画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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