説明

レーダ装置

【課題】レーダ装置における受信部のゲイン調整時に発生する信号の歪みの影響を低減し、受信信号の劣化を改善する。
【解決手段】パルス生成部101で送信信号としてパルス信号を生成し、アンテナ104より一定時間間隔で繰り返し送信する。アンテナ106で受信された物体からの反射波を含む受信信号を、増幅器107で増幅し、可変減衰器108でゲイン調整を行った後、距離検出部111で反射波の受信パルスを検出して物体までの距離を算出する。可変減衰器108は、ゲイン調整部113からのゲイン制御信号に応じて調整されたゲインによって受信信号を減衰する。可変減衰器108のゲイン(減衰量)は、パルス信号の送信直後が最も大きく、時間が経過するに伴って小さくなるように制御する。また、タイミング調整部112からのゲイン調整タイミング信号に基づき、パルス信号の送信毎に、減衰量を変更するゲイン調整タイミングが異なるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置に関するもので、特に広帯域パルス技術を利用したレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電波を送信し、この送信信号が物体において反射した反射波を受信することで物体の位置を特定するレーダ装置が存在する。この種のレーダ装置は、送信信号として無線周波数に変換したパルス信号を使用することが多い。パルス信号の信号電力は、送信されてから物体に反射して再び受信されるまでに減衰する。
【0003】
したがって、受信信号の電力は、近距離の物体からの反射波ほど大きくなり、遠距離の物体からの反射波ほど小さくなる。このため、レーダ装置においては、遠距離の物体からの反射波を増幅するための回路が必要になる。レーダ装置の増幅回路として、従来からSTC(Sensitive-Time-Control)回路が用いられてきた。
【0004】
図17は、従来例のレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置において、送信機1001で発生させたパルス信号の送信信号を、送受切り替え器1002を介して空中線1003より空間へ送信する。また空間から空中線1003にて受信した受信信号は、送受切り替え器1002を介して受信機1004に入力される。受信機1004においては、受信信号を増幅器1005、1006で増幅し、復調処理を施し、復調信号を得る。復調された受信信号はモニタ等の指示器1007に送られて表示される(特許文献1参照)。
【0005】
図18(a)〜(c)は、従来例のレーダ装置の動作を説明するための波形図である。図18(a)は、レーダ装置における受信信号を表したものである。図において、縦軸は受信電力を、横軸は距離(時間)を表している。この図18(a)は、時間0で送信されたパルス信号が、時間の経過と共に減衰し受信される様子を示している。
【0006】
また、図18(a)中のe1、e2、e3は、反射物からの強い反射波を示している。反射物の大きさや形状によって電波の反射係数は異なるものの、レーダ装置においては、反射物の距離が受信信号の信号電力に大きく影響する。
【0007】
図18(b)は、レーダ装置の受信機における増幅器の増幅率を表したものである。図において、縦軸は増幅率を、横軸は時間(距離)を表している。受信信号を増幅する際の増幅率は、パルス信号を送信してからの経過時間に従って増加させるように制御される。これにより、近くの物体からの反射波を受信した場合には、増幅率が小さくなり、遠くの物体からの反射波を受信した場合には、増幅率が大きくなる。
【0008】
図18(c)は、レーダ装置における増幅後の信号電力を表したものである。図において、縦軸は信号電力を、横軸は時間(距離)を表している。このように、近い距離からの反射波と遠い距離からの反射波との受信電力の差を小さくすることができる。
【0009】
上記のような方法を用いて、増幅器の増幅率を距離(時間)に応じて調整することによって、受信信号のダイナミックレンジを減らし、受信機の後段に続くAD変換器の量子化ビット数を減らすことができる。
【0010】
また、特許文献2には、増幅器の増幅率を調整する方法の代わりに、増幅器の前段または後段に接続する減衰器(STC減衰器)の減衰率を変化させる構成が開示されている。この構成の場合、図18(b)に示した増幅器の増幅率制御方法とは逆に、時間が経過するにつれて減衰器の減衰率を減らす制御を行う。これにより、図18(c)に示した受信信号と同様の信号を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61−77775号公報
【特許文献2】特開平11−23696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の船舶等に用いるレーダ装置では、増幅器または減衰器のゲイン(増幅率または減衰率)調整時に発生する信号の歪みの影響は大きくなく、特に問題は発生しない。しかし、10メートル以下の近距離の位置を含めて探知領域とするセンシングのような用途に使用する場合、高分解能なレーダ装置が求められる。送信信号にパルス信号を用いるパルスレーダの場合、高分解能化の手法は、広帯域なパルス信号を用いることである。
【0013】
広帯域なパルス信号は、パルス幅が非常に短い。したがって、増幅器または減衰器のゲインを制御するゲイン制御信号を入力してから実際にその設定が反映されるまでの応答時間よりも、パルス幅が短い場合に問題が生じる。この場合、受信信号のパルス幅に対して、応答時間における信号の歪みの影響が大きくなり、無視できなくなる。また、受信信号を直交復調する方式、あるいは直交復調した信号を信号処理する方式では、応答時間における信号の歪みの影響を無視できない場合がある。
【0014】
一般的なTTL等によって構成される減衰器では、応答速度(応答時間)は75ナノ秒(ns)程度である。これは、減衰率を設定してから減衰率が設定した値で安定するまでに時間が75ナノ秒必要であることを示している。例えば、0.3メートル(m)の分解能を得るためには、1ナノ秒幅のパルスを用いる必要がある。
【0015】
3メートルの分解能では10ナノ秒幅のパルスとなる。上記応答時間はパルス幅に対して無視できる時間ではない。したがって、増幅器または減衰器のゲイン調整の応答時間中に受信した受信信号は、歪みにより劣化し、受信パルスの検出精度が低下するという課題が発生する。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、レーダ装置における受信部のゲイン調整時に発生する信号の歪みの影響を低減し、受信信号の劣化を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るレーダ装置は、所定の信号幅及び信号間隔を持つ間欠信号である送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を測定対象空間に無線送信する送信RF部と、物体からの反射波を含む受信信号を、前記測定対象空間から受信する受信RF部と、可変ゲインによって前記受信信号のレベルを調整するレベル調整部と、前記レベル調整部におけるゲインを調整するゲイン制御信号を生成するゲイン調整部と、前記レベル調整部におけるゲイン調整タイミングを制御するゲイン調整タイミング信号を生成するタイミング調整部と、前記受信信号に基づいて物体を検出する物体検出部と、を備え、前記ゲイン調整部は、前記受信信号のレベルを、前記送信信号の送信時点から時間経過に伴って大きくするゲイン制御信号を生成し、前記タイミング調整部は、前記レベル調整部における前記ゲイン調整タイミングが、前記送信信号の送信毎に異なるゲイン調整タイミング信号を生成する、ものである。
【0018】
上記構成により、レーダ装置は、レベル調整部のゲイン調整に必要な応答時間において発生する受信信号の劣化部分を、送信信号の送信毎に異なる区間に分散させることができる。このため、レーダ装置は、受信信号の劣化による反射波の信号の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レーダ装置における受信部のゲイン調整時に発生する信号の歪みの影響を低減し、受信信号の劣化を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態の距離検出部の構成を示すブロック図
【図3】本実施形態のレーダ装置において送受信される信号の一例を示した動作説明図
【図4】第1の実施形態における可変減衰器のゲイン調整方法を示す動作説明図
【図5】可変減衰器のゲイン制御と、この可変減衰器のゲインを変更したときに実際に設定されるまでの応答時間(減衰量変更の応答時間)との関係を示した図
【図6】第1の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図7】第1の実施形態の変形例における可変増幅器のゲイン調整方法を示す動作説明図
【図8】本発明の第2の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図9】第2の実施形態の距離検出部の構成を示すブロック図
【図10】第2の実施形態における可変減衰器のゲイン調整方法及びコンパレータの閾値設定方法を示す動作説明図
【図11】第2の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図12】第2の実施形態の変形例における可変増幅器のゲイン調整方法及びコンパレータの閾値設定方法を示す動作説明図
【図13】本発明の第3の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図14】第3の実施形態の位置検出部の構成を示すブロック図
【図15】第3の実施形態におけるアンテナスイッチによるアンテナ切り替え方法及び可変減衰器のゲイン調整方法を示す動作説明図
【図16】第3の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
【図17】従来例のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図18】従来例のレーダ装置の動作を説明するための波形図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態として、レーダ装置の構成例及びその動作を説明する。本実施形態では、レーダ装置の高分解能化を図るために、送信信号として広帯域のパルス信号を用いる場合の構成を例示する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。レーダ装置は、送信部として、パルス生成部101、周波数変換部102、増幅器103、アンテナ104、局部発振器105を備えている。また、レーダ装置は、受信部として、アンテナ106、増幅器107、109、可変減衰器108、周波数変換部110、距離検出部111、タイミング調整部112、ゲイン調整部113を備えている。
【0023】
ここで、周波数変換部102、増幅器103、アンテナ104が送信RF部の機能を実現する構成の一例として設けられる。また、アンテナ106、増幅器107、周波数変換部110が受信RF部の機能を実現する構成の一例として設けられる。
【0024】
パルス生成部101は、送信信号生成部の機能を実現する構成の一例であり、送信信号として、所定のパルス幅のパルス信号(送信パルス)を一定時間間隔で繰り返し生成し出力する。生成されたパルス信号は、周波数変換部102に入力される。この際、パルス生成部101は、パルス信号の生成タイミング(パルス送信タイミング)を示す送信タイミング信号を受信部の距離検出部111及びタイミング調整部112に出力する。
【0025】
送信信号にパルス信号を用いた場合、送信パルスの送信間隔は、測定できる距離を表す。つまり、レーダ装置よりパルス信号が送信されてから想定している最大検出距離の物体で反射し、再びレーダ装置で受信されるまでの時間よりも、長い時間(広い時間間隔)をパルス信号の送信間隔とする。また、送信パルスのパルス幅は、測定時の分解能に関連する。ここで、パルス幅が短いほど、複数の物体からの反射波を分離可能な距離が短くなり、高分解能化を図れる。
【0026】
なお、送信信号は、本実施形態では所定のパルス幅を持つ単一のパルス信号を所定周期で繰り返し送信するものを用いるものとするが、物体を検出する距離の範囲、及び分解能に応じて、所定の信号幅と信号間隔を持つ間欠信号であれば、これに限定されない。例えば、複数のパルス列を含むパルス信号、あるいは、単一または複数のパルス列を含むパルス信号が周波数変調または位相変調された変調信号などでもよい。
【0027】
周波数変換部102は、ミキサ等を有して構成され、パルス生成部101で生成されたパルス信号と局部発振器105から出力されるローカル信号とを混合してベースバンド帯域のパルス信号を無線周波数にアップコンバートする。アップコンバートされたパルス信号は、増幅器103に入力される。
【0028】
ここでは、周波数変換部102において、ミキサを用いてパルス信号を無線周波数へアップコンバートする構成を示したが、これに限定されない。例えば、ステップリカバリーダイオードを用いて、無線周波数のパルス信号を直接発振させるような構成としてもよい。
【0029】
増幅器103は、無線周波数にアップコンバートされた無線信号の送信信号を増幅する。増幅後の無線信号は、送信用のアンテナ104から測定対象空間へ送信される。測定対象空間に物体が存在する場合、レーダ装置のアンテナ104から送信された信号は、その物体で反射され、この反射波の信号が受信用のアンテナ106にて受信される。なお、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを1つのアンテナで共用する構成としてもよい。
【0030】
レーダ装置のアンテナ106で受信された無線信号は、前段の増幅器107に入力される。増幅器107は、アンテナ106で受信された無線信号の受信信号を増幅する。この受信信号には、物体からの反射波の信号が含まれる。増幅器107で増幅された受信信号は、可変減衰器108に入力される。
【0031】
可変減衰器108は、レベル調整部の機能を実現する構成の一例であり、減衰率を変更できる可変ゲイン型の減衰器を有して構成される。可変減衰器108は、ゲイン調整部113からのゲイン制御信号と増幅器107から入力される受信信号とを入力とする。可変減衰器108は、ゲイン制御信号に応じてゲイン(減衰量)を調整し、かつ、増幅器107から入力される受信信号を、調整したゲインにより減衰し、受信信号のレベルを調整する。
【0032】
このゲイン調整については後述する。後段の増幅器109は、可変減衰器108から出力される可変ゲイン減衰後の受信信号を増幅して出力する。増幅器109で増幅された信号は、周波数変換部110に入力される。
【0033】
周波数変換部110は、ミキサ等を有して構成され、増幅器109の出力信号と局部発振器105から出力されるローカル信号とを混合して無線周波数の受信信号をベースバンド帯域にダウンコンバートする。ダウンコンバートされた信号は、距離検出部111に入力される。
【0034】
距離検出部111は、物体検出部の機能を実現する構成の一例である。この距離検出部111は、ベースバンド帯域にダウンコンバートされた受信信号を入力し、検波処理、パルス検出処理、距離検出処理の各処理を行い、物体までの距離を算出する。ここで、パルス検出処理は、物体からの反射波のパルス(受信パルス)を検出する処理であり、コンパレータ等を用いて受信信号中のパルス成分を検出する。
【0035】
距離検出処理は、前記反射波が発生した物体までの距離を検出する処理であり、パルス信号が送信されてから反射波の受信パルスが検出されるまでの時間を測定し、距離に換算する。距離検出部111は、算出した距離情報を後段の情報処理部、表示部等に出力する。この距離情報を用いて、情報処理部で検出物体に関する各種情報処理を行い、更に、表示部に距離情報を表示することが可能である。
【0036】
タイミング調整部112は、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号を入力とする。タイミング調整部112は、パルス送信タイミングからの経過時間を計測する。タイミング調整部112は、この経過時間に応じて可変減衰器108のゲインを調整するためのゲイン調整タイミング信号を生成し、ゲイン調整部113に出力する。このゲイン調整のタイミングの制御方法に関しては後述する。
【0037】
ゲイン調整部113は、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号を入力とする。ゲイン調整部113は、ゲイン調整タイミング信号に応じて、可変減衰器108のゲイン(減衰量)を、あらかじめ設定された値に設定するためのゲイン制御信号を生成し、可変減衰器108に入力する。
【0038】
図2は、第1の実施形態の距離検出部の構成を示すブロック図である。距離検出部111は、検波器121、コンパレータ122、加算部123、距離算出部124を有して構成される。
【0039】
検波器121は、ベースバンド帯域にダウンコンバートされた受信信号を入力とする。検波器121は、この受信信号の実部及び虚部の信号から電力の次元の信号(以下、これを「信号電力」と記載する)に変換し、電力値を表す信号電力(検波信号)を出力する。この電力の次元に変換された検波信号は、コンパレータ122に入力される。
【0040】
コンパレータ122は、反射波検出部の機能を実現する構成の一例である。このコンパレータ122は、入力される検波信号の信号電力と所定の閾値とを比較する。コンパレータ122は、比較結果から、信号電力が所定の閾値よりも大きいか小さいかを判定して受信パルスの検出(パルス検出)を行い、パルス検出結果を二値で出力する。この受信パルスのパルス検出結果は加算部123に入力される。
【0041】
加算部123は、送信部がパルス信号を送信してから、次のパルス信号を送信するまでの区間のパルス検出結果を所定回数加算する。加算回数は、後述する可変減衰器108のゲイン制御パターン数のN倍とする。ここでNは整数である。例えば、加算部123は、パルス検出結果を100回程度加算するものとする。この加算処理により、検出された受信パルスが平均化される。加算処理の先頭は、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号に応じて決定する。この加算結果は、距離算出部124に入力される。
【0042】
距離算出部124は、加算部123の出力の加算結果とパルス生成部101からの送信タイミング信号とを入力とし、送信パルスの送信タイミングから受信パルスが検出されるまでの時間を求めることで、この時間から物体までの距離を計算する。
【0043】
図3は、本実施形態のレーダ装置において送受信される信号の一例を示した動作説明図である。図3において、上段は送信信号を、下段は受信信号を示しており、横軸は時間tを、縦軸は信号電力Pをそれぞれ表している。なお、下段に示す受信信号は、可変減衰器108のゲイン調整を行わず、一定とした場合を示している。
【0044】
上段に示す送信信号は、1ns幅のパルス信号を1μs間隔で繰り返し送信した例である。このとき、1つのパルスを送信してから1μs経過するまでの間は、次のパルスを送信しない。なお、上記に示したパルス幅(1ns)、パルス送信間隔(1μs)は一例であり、これに限ったものではない。
【0045】
下段に示す受信信号は、物体(反射物)が3つ存在する場合の検波器121から出力される信号の例である。反射物はそれぞれ距離が異なり、反射物1がもっとも近い距離に配置され、反射物3が最も遠い距離に、反射物2は、反射物1と反射物3の間に存在するとする。
【0046】
この位置関係に反射物1、反射物2、反射物3が存在する場合の、レーダ装置の受信信号(検波器の出力)が、図3の下段に示す受信信号となる。この場合、反射物1からの反射波の受信パルスが到来波1、反射物2からの反射波の受信パルスが到来波2、反射物3からの反射波の受信パルスが到来波3である。
【0047】
反射物までの距離は、パルス信号を送信してから到来波を受信するまでの時間から、以下の式(1)を使って求める。
【0048】
L=c×t÷2 …(1)
ここで、Lは反射物までの距離、cは光速、tはパルス信号を送信してから反射波の到来波を受信するまでの時間である。
【0049】
反射物1までの距離は、上記式(1)のtにt=t1を代入することによって求められる。また、反射物2と反射物3についても同様に、上記式(1)のtにt=t2、t3をそれぞれ代入することによって求められる。
【0050】
送信信号は一定間隔で繰り返し送信されるため、到来波1、到来波2、到来波3は繰り返し受信される。
【0051】
図4は、第1の実施形態における可変減衰器108のゲイン調整方法を示す動作説明図であり、送信信号と可変減衰器のゲイン調整との時間関係を表したものである。図4において、横軸は時間tを表している。上段は送信信号を示しており、縦軸は信号電力Pを表している。下段は送信信号に対するゲイン制御量(ゲイン制御パターン)を示しており、縦軸は可変減衰器の減衰量Gatt(dB)を表している。図示例は、ゲイン制御パターン数が3の場合である。
【0052】
可変減衰器108のゲイン(減衰量)は、パルス信号が送信された直後が最も大きく、時間が経過するに伴い、小さくなるように制御する。すなわち、受信信号のレベルを、送信信号の送信時点から時間経過に伴って大きくするように、可変減衰器108のゲインを調整する。
【0053】
ここでは、可変減衰器108の減衰量の例として、三段階で調整する方法を用いて制御方法を説明する。なお、減衰量は三段階に限定されるものではない。ここで、説明のために、三段階の減衰量のうち、最も大きい減衰量を減衰量[1]、中間の減衰量を減衰量[2]、最も小さい減衰量を減衰量[3]とする。
【0054】
第1のパルス信号を送信するTxパルス1区間において、パルス信号を送信してから減衰量を減衰量[1]から減衰量[2]に変更するまでの時間をt1−1とする。さらに、パルス信号を送信してから減衰量を減衰量[2]から減衰量[3]へ変更するまでの時間をt2−1とする。
【0055】
同様に、第2のパルス信号を送信するTxパルス2区間において、パルス信号を送信してから減衰量を減衰量[1]から減衰量[2]へ変更するまでの時間をt1−2とし、減衰量[2]から減衰量[3]へ変更するまでの時間をt2−2とする。
【0056】
同様に、第3のパルス信号を送信するTxパルス3区間において、パルス信号を送信してから減衰量を減衰量[1]から減衰量[2]へ変更するまでの時間をt1−3とし、減衰量[2]から減衰量[3]へ変更するまでの時間をt2−3とする。
【0057】
ここで、減衰量を減衰量[1]から減衰量[2]へ変更するまでの時間は、t1−1≠t1−2≠t1−3とする。さらに、|(t1−1)−(t1−2)|=RTとし、|(t1−2)−(t1−3)|=RTとする。ここで、RTは、「減衰量調整に必要な応答時間」である。
【0058】
また、減衰量を減衰量[2]から減衰量[3]へ変更するまでの時間も同様に、t2−1≠t2−2≠t2−3とする。さらに|(t2−1)−(t2−2)|=RTとし、|(t2−2)−(t2−3)|=RTとする。
【0059】
すなわち、パルス信号の送信毎に、減衰量[1]から減衰量[2]へのゲイン調整タイミング、及び減衰量[2]から減衰量[3]へのゲイン調整タイミングが異なるようにする。また、各送信パルス区間のゲイン調整タイミングの差が、減衰量調整に必要な応答時間RT以上となるようにする。「減衰量調整に必要な応答時間」は、「減衰量変更の応答時間」でもあり、「ゲイン調整に必要な応答時間」の一例に相当する。
【0060】
換言すれば、可変減衰器108におけるゲイン調整に必要な応答時間以上の時間分、ゲイン調整タイミングを送信信号の送信毎にずらして減衰量を変更する。これにより、各送信パルス区間において、減衰器のゲインを制御するゲイン制御信号を入力してから実際にその設定が反映されるまでの応答時間が、他の送信パルス区間と重ならないようになる。すなわち、可変減衰器108においてゲイン調整が安定するまでの過渡期間が、他の送信パルス区間と重ならないようになる。
【0061】
なお、図示例では、ゲイン調整タイミングを変更したゲイン制御パターンを三種類示しているが、異なるゲイン調整タイミングの数は三種類に限定されるものではない。また、図示例では、受信信号における減衰量変更の応答時間の影響を回避するため、送信信号の送信毎に減衰量変更の応答時間だけ、ゲイン調整タイミングをずらすようにしているが、これに限定されない。
【0062】
可変減衰器等のレベル調整部の応答時間及び送信信号のパルス幅等に応じて、少なくともゲイン調整に必要な応答時間以上、送信信号の送信毎にゲイン調整タイミングを異なるようにすれば、受信信号の劣化を抑制できる効果を得られる。
【0063】
図5は、可変減衰器のゲイン制御と、この可変減衰器のゲインを変更したときに実際に設定されるまでの応答時間(減衰量変更の応答時間)との関係を示した図である。図5において、最上段は送信信号を、下段の3つは各送信パルス区間のゲイン制御量を示している。そして、横軸は時間tを表し、縦軸は、最上段の送信信号のみ送信電力Pを表し、それ以外は各送信パルス区間の可変減衰器の減衰量Gattを表している。
【0064】
図5中のTxパルス1区間においては、減衰量変更の応答時間内による受信信号の歪みが発生する区間は(1)と(4)である。Txパルス2区間においては、減衰量変更の応答時間内による受信信号の歪みが発生する区間は(2)と(5)である。Txパルス3区間においては、減衰量変更の応答時間内による受信信号の歪みが発生する区間は(3)と(6)である。
【0065】
上述したように、本実施形態では、パルス信号の繰り返し送信毎に、ゲイン調整タイミングをずらして、可変減衰器の減衰量を調整する。これにより、パルス信号の繰り返し送信区間毎(送信パルス区間毎)に、可変減衰器の減衰量変更の応答時間内に発生する受信信号の歪み部分を分散させることができ、受信信号の劣化による受信パルスの検出精度の低下を抑制できる。
【0066】
また、測定精度の劣化による、特定時間(距離)の測定できない区間の発生を分散させることができる。したがって、レーダ装置における受信部のゲイン調整時に発生する信号の歪みの影響を低減し、受信信号の劣化を改善することができる。また、ゲイン調整の応答速度が遅い減衰器を用いて、レーダ装置のAGCを実現できるため、レーダ装置の低コスト化が実現できる。
【0067】
なお、図2中の加算部123において、可変減衰器108の減衰量変更の応答時間内のデータを取り除いても良い。この場合、加算部123にはタイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号を入力し、ゲイン調整のタイミングに応じて加算処理を行う。このような処理によって、受信パルスのパルス検出結果の加算において、減衰量変更の応答時間内の歪みにより劣化した受信信号を除外することができるため、測定精度の劣化を抑えることができる。
【0068】
なお、加算部123にて加算する前に、減衰量変更の応答時間以外の受信信号、すなわちゲイン調整の影響を受けない受信パルスのパルス検出結果を出力してもよい。また、パルス信号の送信回数が多い場合、可変減衰器108のゲイン制御パターンはランダムにする方が好ましい。
【0069】
ここで、パルス信号を送信した後に次のパルス信号を送信するまでは可変減衰器のゲインを一定とし、次のパルス信号を送信する直前にゲインを変更する方法、すなわちパルス信号の送信毎に可変減衰器のゲインを変更する方法も考えられる。しかし、この場合、減衰量を小さくした場合に、近距離の反射物からの到来波が大きくなりすぎ、二つ目の増幅器の出力電力の上限を超える可能性がある。これにより、増幅器が飽和し、受信信号において到来波以降の部分への影響が発生するため、好ましくない。
【0070】
(第1の実施形態の変形例)
上述した第1の実施形態では、可変減衰器を備えた場合の例を説明したが、可変増幅器を設けて増幅器のゲイン調整を行う構成においても、これに対応したゲイン制御方法を適用することで同様の効果を得ることができる。以下に第1の実施形態の変形例の構成及び動作を説明する。
【0071】
図6は、第1の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。この変形例では、可変減衰器の代わりに可変増幅器151を備えており、ゲイン調整部152の動作が上述した第1の実施形態とは異なっている。その他は第1の実施形態と同様であり、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
可変増幅器151は、レベル調整部の機能を実現する構成の一例であり、増幅率を変更できる可変ゲイン型の増幅器を有して構成される。可変増幅器151は、ゲイン調整部152からのゲイン制御信号と増幅器107から入力される受信信号とを入力とする。可変増幅器151は、ゲイン制御信号に応じてゲイン(増幅量)を調整しながら、増幅器107から入力される受信信号を、調整したゲインにより増幅し、受信信号のレベルを調整する。
【0073】
ゲイン調整部152は、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号を入力とする。ゲイン調整部152は、ゲイン調整タイミング信号に応じて、可変増幅器151のゲイン(増幅量)を、あらかじめ設定された値に設定するためのゲイン制御信号を生成し、可変増幅器151に入力する。
【0074】
周波数変換部110は、可変増幅器151の出力信号と局部発振器105から出力されるローカル信号とを混合して無線周波数の受信信号をベースバンド帯域にダウンコンバートする。周波数変換部110以降の処理は第1の実施形態の可変減衰器を用いた場合と同様である。
【0075】
図7は、第1の実施形態の変形例における可変増幅器151のゲイン調整方法を示す動作説明図である。図7において、横軸は時間tを表している。上段は送信信号を示しており、縦軸は信号電力Pを表している。下段は送信信号に対するゲイン制御量(ゲイン制御パターン)を示しており、縦軸は可変増幅器の増幅量Gamp(dB)を表している。ここでは、可変増幅器151の増幅量の例として、三段階で調整する方法を用いて制御方法を説明する。
【0076】
可変増幅器151のゲイン(増幅量)を調整するゲイン調整タイミングは、可変減衰器の場合と変わらずに同じである。可変減衰器の場合は減衰量を経過時間に伴って小さくしたが、可変増幅器の場合は、ゲイン制御を示す縦軸は増幅量であるので、減衰量とは大小関係を反対にして、増幅量をパルス信号の送信タイミングからの経過時間に伴い大きくする。すなわち、受信信号のレベルを、送信信号の送信時点から時間経過に伴って大きくするように、可変増幅器151のゲインを調整する。
【0077】
このように、可変減衰器の代わりに可変増幅器を備える場合においても、可変増幅器のゲインを上記のように制御することで、可変減衰器の場合と同様の効果を得ることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態は、第1の実施形態のレーダ装置における距離検出部の構成及び動作を変更した例である。ここでは、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0079】
レーダ装置は、送信部として、パルス生成部101、周波数変換部102、増幅器103、アンテナ104、局部発振器105を備えている。また、レーダ装置は、受信部として、アンテナ106、増幅器107、109、可変減衰器108、周波数変換部110、距離検出部211、タイミング調整部112、ゲイン調整部113を備えている。
【0080】
距離検出部211は、周波数変換部110でベースバンド帯域にダウンコンバートされた信号と、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号と、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号とを入力とする。距離検出部211は、ダウンコンバートされた受信信号を入力し、検波処理、パルス検出処理、距離検出処理の各処理を行い、物体までの距離を算出する。
【0081】
図9は、第2の実施形態の距離検出部の構成を示すブロック図である。距離検出部211は、検波器121、コンパレータ222、加算部123、距離算出部124を有して構成される。第2の実施形態の距離検出部211は、第1の実施形態とはコンパレータ222の動作を変更したものであり、ここでは異なる部分を中心に説明する。
【0082】
コンパレータ222は、反射波検出部の機能を実現する構成の一例である。このコンパレータ222は、検波器121から出力される検波信号とタイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号とを入力とする。コンパレータ222は、検波器121から入力される信号電力と可変設定した閾値とを比較し、信号電力が閾値よりも大きい場合と小さい場合の二値に変換する。
【0083】
この比較処理により、受信パルスの検出(パルス検出)が行われる。コンパレータ222は、二値に変換された信号をパルス検出結果として出力する。この受信パルスのパルス検出結果は加算部123に入力される。ここで、コンパレータ222に設定する閾値は、ゲイン調整タイミング信号に応じて変化させる。
【0084】
図10は、第2の実施形態における可変減衰器108のゲイン調整方法及びコンパレータ222の閾値設定方法を示す動作説明図であり、送信信号、可変減衰器のゲイン調整、コンパレータの閾値調整の時間関係を表したものである。図10において、横軸は時間tを表している。
【0085】
上段は送信信号を示しており、縦軸は信号電力Pを表している。中段は送信信号に対するゲイン制御量(ゲイン制御パターン)を示しており、縦軸は可変減衰器の減衰量Gatt(dB)を表している。下段は可変減衰器のゲイン制御パターンに対するコンパレータの閾値制御として、閾値レベル設定値の変化を示しており、縦軸は閾値レベルの振幅THを表している。可変減衰器108のゲイン調整については、前述した第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0086】
コンパレータ222の閾値は、時間の経過と共に閾値レベルを小さくするように制御する。到来波の受信電力は、パルス信号を送信したタイミングから時間の経過と共に信号電力が小さくなる。これは、時間の経過と共に反射物とレーダ装置との距離が遠くなるからである。
【0087】
しかし、可変減衰器108のゲインを時間の経過と共に減少させるように変化させると、ゲインを変化させたタイミング(ゲイン調整タイミング)で、コンパレータ222へ入力される受信信号の信号電力も変化する。コンパレータ222へ入力される信号電力は、ゲイン調整タイミング後は、ゲイン調整タイミング前と比べて大きくなる。したがって、コンパレータ222の閾値もゲイン調整タイミングに応じて変更する必要がある。
【0088】
図10の下段に示すように、まず第1のパルス信号を送信するTxパルス1区間において、コンパレータ222は、パルス信号が送信されてから時間の経過と共に徐々に閾値レベルを下げるように制御する。ここで、コンパレータ222の閾値レベルを時間経過と共に徐々に小さくするには、例えば、デジタル信号処理回路を用いて実現可能である。この場合、デジタル信号処理回路において、時間を計時するカウンタのカウント値に応じて、1ステップずつ閾値レベルを減算することで、可変の閾値レベルを演算して設定することが可能である。
【0089】
そして、コンパレータ222は、時間の経過がゲイン調整タイミングであるt1−1のタイミングで、閾値レベルを上げるように制御する。図示例では、初期値まで閾値レベルを戻した場合を示している。この後、コンパレータ222は、t1−1から時間の経過と共に徐々に閾値レベルを下げるように制御する。そして、時間の経過がゲイン調整タイミングであるt2−1のタイミングで、閾値レベルを上げるように制御する。
【0090】
その後、コンパレータ222は、t2−1から時間の経過と共に徐々に閾値レベルを下げるように制御する。すなわち、コンパレータ222は、可変減衰器108のゲイン調整タイミングに同期して、受信信号のレベル調整と連動するように閾値レベルを変化させる。
【0091】
第2のパルス信号を送信するTxパルス2区間、第3のパルス信号を送信するTxパルス3区間においても、上記と同様に可変減衰器108のゲイン調整タイミングに合わせて、コンパレータ222の閾値レベルを制御する。
【0092】
Txパルス2区間では、ゲイン調整タイミングであるt1−2とt2−2でコンパレータ222の閾値レベルを大きくする。Txパルス3区間では、ゲイン調整タイミングであるt1−3とt2−3でコンパレータ222の閾値レベルを大きくする。それ以外の期間では、時間の経過と共に徐々に閾値レベルを小さくする。
【0093】
なお、コンパレータの閾値制御を行う際、デジタル信号処理によって閾値を調整すれば、応答時間は問題にならない。
【0094】
第2の実施形態によれば、可変減衰器のゲイン調整とコンパレータの閾値調整とを同期させて制御できるため、ゲイン調整のタイミングに合わせてコンパレータの閾値を最適な位置に調整することができ、反射波の受信パルスを精度良く検出することができる。
【0095】
また、受信信号の信号レベルとパルス検出のためのコンパレータ閾値とを適切な値に制御することができるため、受信信号をデジタル信号に変換するAD変換器を設ける場合に、AD変換器のダイナミックレンジが改善する。
【0096】
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、可変減衰器を備えた場合の例を説明したが、可変増幅器を設けて増幅器のゲイン調整を行う構成においても、これに対応したゲイン制御方法及びコンパレータ閾値設定方法を適用することで同様の効果を得ることができる。以下に第2の実施形態の変形例の構成及び動作を説明する。
【0097】
図11は、第2の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。この変形例では、可変減衰器の代わりに可変増幅器151を備えており、ゲイン調整部152の動作が上述した第2の実施形態とは異なっている。その他は第2の実施形態と同様であり、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0098】
可変増幅器151は、ゲイン調整部152からのゲイン制御信号に応じて増幅率を調整しつつ、増幅器107から入力される受信信号を、調整したゲインにより増幅する。ゲイン調整部152は、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号に応じて、可変増幅器151のゲイン(増幅量)を、あらかじめ設定された値に設定するためのゲイン制御信号を生成し、可変増幅器151に入力する。
【0099】
図12は、第2の実施形態の変形例における可変増幅器151のゲイン調整方法及びコンパレータ222の閾値設定方法を示す動作説明図である。図12において、横軸は時間tを表している。上段は送信信号を示しており、縦軸は信号電力Pを表している。中段は送信信号に対するゲイン制御量(ゲイン制御パターン)を示しており、縦軸は可変増幅器の増幅量Gamp(dB)を表している。下段は可変増幅器のゲイン制御パターンに対するコンパレータの閾値制御として、閾値レベル設定値の変化を示しており、縦軸は閾値レベルの振幅THを表している。
【0100】
可変増幅器151のゲイン調整については、前述した第1の実施形態の変形例と同様である。この場合、可変減衰器の場合の減衰量とは大小関係を反対にして、増幅量をパルス信号の送信タイミングからの経過時間に伴い、所定のゲイン調整タイミングにおいて大きくする。そして、第2の実施形態と同様に、距離検出部211のコンパレータ222の閾値は、パルス信号の送信タイミングから時間経過と共に徐々に閾値レベルを下げるように制御し、上記ゲイン調整タイミングにおいて、閾値レベルを上げるように制御する。
【0101】
このように、可変減衰器の代わりに可変増幅器を備える場合においても、可変増幅器のゲインを上記のように制御し、このゲイン調整に同期させてコンパレータの閾値を調整することで、可変減衰器の場合と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。第3の実施形態は、受信アンテナにアレーアンテナを用いて反射波の受信パルスの到来方向測定を行う、反射体位置測定機能を持ったレーダ装置の構成例である。到来波の到来方向測定を行う方法はいくつか開示されている。
【0103】
ここでは、一般的なビームフォーミング法を用いた構成を説明する。なお、ビームフォーミング法は、本発明とは直接関係ないため、ここでは詳細説明を省略する。
【0104】
レーダ装置は、送信部として、パルス生成部101、周波数変換部102、増幅器103、アンテナ104、局部発振器105を備えている。また、レーダ装置は、受信部として、複数のアンテナ306a、306b、306c、306d、アンテナ制御部314、アンテナスイッチ315、増幅器107、109、可変減衰器108、周波数変換部110、タイミング調整部112、ゲイン調整部113、位置検出部316を備えている。
【0105】
第3の実施形態は、第1または第2の実施形態に対して、アンテナ306a〜306d、アンテナ制御部314、アンテナスイッチ315が追加され、距離検出部の代わりに位置検出部316が設けられている。ここで、第1または第2の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
【0106】
受信用のアンテナとして設けられる複数のアンテナ306a〜306dは、一次元または二次元のアレー状に配置されてアレーアンテナを構成するものである。
【0107】
アンテナスイッチ315は、アンテナ切替部の機能を実現する構成の一例である。このアンテナスイッチ315は、アンテナ制御部314から入力されるアンテナ切り替えタイミング信号に応じて、接続された複数のアンテナ306a〜306dを切り替える。アンテナ制御部314は、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号を入力とする。
【0108】
アンテナ制御部314は、パルス送信タイミングに同期して所定タイミングでアンテナスイッチ315を切り替えるための制御信号としてアンテナ切り替えタイミング信号を生成する。このアンテナ切り替えのタイミングについては後述する。
【0109】
このようにアンテナスイッチ315及びアンテナ制御部314を設けてアンテナを切り替えることで、受信部のRF回路を共通としてコスト低減を図ることができる。複数のアンテナを切り替える場合、ゲイン調整タイミングを変更して複数回測定する間に、通信環境の変化の影響が生じることがある。第3の実施形態では、ゲイン調整タイミングに同期させてアンテナを適宜切り替えることで、通信環境の変化による受信信号の劣化を低減させる。
【0110】
位置検出部316は、物体検出部の機能を実現する構成の一例である。この位置検出部316は、周波数変換部110でベースバンド帯域にダウンコンバートされた信号と、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号と、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号と、アンテナ制御部314から出力されるアンテナ切り替えタイミング信号とを入力とする。
【0111】
位置検出部316は、ダウンコンバートされた受信信号を入力し、検波処理、パルス検出処理、距離検出処理、加算処理、ビームフォーミング処理、到来方向検出処理の各処理を行う。これにより、位置検出部316は、到来波が発生した地点までの距離と到来波の到来方向とを算出し、物体の位置を検出する。
【0112】
図14は、第3の実施形態の位置検出部の構成を示すブロック図である。位置検出部316は、検波器321、コンパレータ322、第1の加算部323、距離算出部324、第2の加算部325、ビームフォーミング部326、方向検出部327を有して構成される。
【0113】
検波器321は、ベースバンド帯域にダウンコンバートされた受信信号を入力とし、この受信信号の実部及び虚部の信号から電力の次元に変換した信号電力を求め、この電力値を表す信号電力(検波信号)を出力する。
【0114】
コンパレータ322は、検波器321から出力される検波信号とタイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号とを入力とする。コンパレータ322は、検波器321から入力される検波信号の信号電力と閾値とを比較する。コンパレータ322は、比較結果から、信号電力が閾値よりも大きいか小さいかを判定して受信パルスの検出(パルス検出)を行い、パルス検出結果を二値で出力する。この受信パルスのパルス検出結果は第1の加算部323に入力される。
【0115】
このコンパレータ322は、前述した第2の実施形態のコンパレータ222と同様に、パルス送信タイミングから時間経過と共に閾値レベルを小さくするように制御し、更に、可変減衰器108のゲイン調整タイミングに合わせて閾値レベルを上げるように閾値を制御する。あるいは、前述した第1の実施形態のコンパレータ122と同様に、所定の閾値でパルス検出を行ってもよい。
【0116】
第1の加算部323は、送信部がパルス信号を送信してから、次のパルス信号を送信するまでの区間のパルス検出結果を所定回数加算する。加算回数は、可変減衰器108のゲイン制御パターン数のN倍(Nは整数)とする。加算処理の先頭は、パルス生成部101から出力される送信タイミング信号に応じて決定する。この加算結果は、距離算出部324に入力される。
【0117】
距離算出部324は、第1の加算部323の出力の加算結果とパルス生成部101からの送信タイミング信号とを入力とし、送信パルスの送信タイミングから受信パルスが検出されるまでの時間を求め、この時間から物体までの距離を計算する。
【0118】
第2の加算部325は、ベースバンド帯域にダウンコンバートされた受信信号と、パルス生成部101からの送信タイミング信号と、アンテナ制御部314から出力されるアンテナ切り替えタイミング信号とを入力とする。第2の加算部325は、入力される受信信号のデータのうち、同じアンテナで受信された受信信号のデータで、同じ遅延時間の受信信号のデータについて加算処理を行う。
【0119】
この加算処理によって、加算データとして、アンテナ毎に、パルス送信周期の遅延時間によってそれぞれ加算された受信信号のデータが生成され、出力される。
【0120】
ビームフォーミング部326は、第2の加算部325から出力される加算データを入力とする。ビームフォーミング部326は、入力された加算データに対して所定の信号処理を行うことによりビームフォーミング処理を施す。このビームフォーミング処理によって、ビームフォーミング部326は、角度ごとの信号電力を算出し、出力する。
【0121】
ここで、ビームフォーミング処理について説明する。ビームフォーミング処理は、下記の式(2)に示すように、受信信号の加算データについてアンテナごとの相関値Rxxを計算する。このRxxを相関行列と呼ぶ。ここで、*は複素共役を表す。rnは、n番目のアンテナの受信信号を意味する。式(2)は受信アンテナが4本の場合の例である。
【0122】
【数1】

【0123】
次に、求めたRxxを下記の式(3)に代入し、角度ごとの信号電力Poutを計算する。ここで、a(θ)は、モードベクトルである。Hはエルミート転置を表す。ビームフォーミング処理の詳細は、以下の非特許文献に開示されている([非特許文献]菊間信良著、「アダプティブアンテナ技術」、オーム社、2003年10月、p.126参照)。
【0124】
【数2】

【0125】
方向検出部327は、ビームフォーミング部326から出力される角度ごとの信号電力Poutを入力とする。方向検出部327は、角度ごとに算出された信号電力から到来波の到来方向を検出する。到来方向の検出方法としては、例えば、信号電力の最も高い角度を到来波とする方法を用いることができる。方向検出部327は、到来方向の検出結果として検出角度を出力する。
【0126】
図15は、第3の実施形態におけるアンテナスイッチ315によるアンテナ切り替え方法及び可変減衰器108のゲイン調整方法を示す動作説明図であり、アンテナの切り替え、送信信号、可変減衰器のゲイン調整の時間関係を表したものである。図15において、横軸は時間tを表している。上段は送信信号を示しており、縦軸は信号電力Pを表している。下段は送信信号に対するゲイン制御量(ゲイン制御パターン)を示しており、縦軸は可変減衰器の減衰量Gatt(dB)を表している。
【0127】
また、送信信号の波形の上部には、パルス信号を送信する区間(Txパルス1区間〜Txパルス3区間)と、切り替えるアンテナ(1〜4)とを対応付けて示している。可変減衰器108のゲイン調整については、前述した第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0128】
まず、パルス信号の送信毎にゲイン調整タイミング(ゲイン制御パターン)を変更しながら可変減衰器108のゲイン制御を行い、アンテナ1(306a)で受信する。図示例では、1つの受信アンテナ毎に、所定のパルス送信周期で三回パルス信号を送信し(Txパルス1区間、Txパルス2区間、Txパルス3区間)、これらの送信パルス区間毎にゲイン調整タイミングを三種類切り替えて受信している。
【0129】
アンテナ1で三回のパルス信号の送信と受信をし終えた後に、アンテナ制御部314はアンテナ切り替えタイミング信号をアンテナスイッチ315へ出力し、アンテナ2(306b)にアンテナスイッチ315を切り替える。そして、アンテナ2によって、アンテナ1の場合と同様に、ゲイン調整タイミングを三種類切り替えて受信する。その後、アンテナ制御部314よりアンテナ切り替えタイミング信号を出力して、アンテナ3(306c)にアンテナスイッチ315を切り替える。同様の処理をアンテナ4(306d)まで繰り返す。
【0130】
このように、第3の実施形態では、アンテナスイッチ315による複数のアンテナ306a〜306dのアンテナ切り替えタイミングを、可変減衰器108のゲイン制御パターン数のM倍(Mは整数)の時間とする。すなわち、異なるゲイン調整タイミングを設定したゲイン制御パターン数の整数倍の時間毎に、アレーアンテナの切り替えを行うよう、アンテナ切り替え周期を設定する。図示例は、ゲイン制御パターン数が3、M=1の場合である。
【0131】
アンテナ1からアンテナ4までパルス信号の送受信を行って受信信号を取得し、位置検出部316によって、反射波の受信パルスを測定し、受信信号のアンテナごとの相関行列を計算する。この際、第2の加算部325において、可変減衰器108のゲインを切り替えて取得した受信信号のデータについては、パルス信号を送信してからの経過時間が同一のものについて加算する。なお、上記加算を行う場合に、可変減衰器108のゲインを切り替えたときに発生する減衰量変更の応答時間のデータを取り除いてもよい。
【0132】
第3の実施形態によれば、同じアンテナでの到来波測定時間、すなわち同じアンテナでのゲイン調整タイミングを変更しながら複数の受信信号を取得する際の取得時間を近い時間として、到来波方向の検出を行うことができる。これにより、物体が移動するような動的な環境下においても、ゲイン調整タイミングを変更しながら取得した受信信号のデータを加算するときの相関特性の劣化を少なくできる。このため、ゲイン調整の応答時間による受信信号の劣化をアンテナ毎に均等に分散でき、測定精度の劣化を抑えることができる。
【0133】
また、第3の実施形態では、アンテナ切り替えタイミングとゲイン調整タイミングとを同期させて実行する際に、アンテナ切り替えよりもゲイン調整タイミングの変更を優先させて行っている。この際、同じアンテナにおいてゲイン調整タイミングを変更しながら複数の受信信号を取得し、同じアンテナで受信された受信信号で、同じ遅延時間の受信信号について加算した結果を用いて自己相関の演算を行う。これにより、アンテナを切り替えながら取得した受信信号を用いて自己相関を演算する場合と比較して、自己相関演算結果の劣化を改善できる。
【0134】
(第3の実施形態の変形例)
上述した第3の実施形態では、可変減衰器を備えた場合の例を説明したが、可変増幅器を設けて増幅器のゲイン調整を行う構成においても、これに対応したアンテナ切り替え方法及びゲイン制御方法を適用することで同様の効果を得ることができる。以下に第3の実施形態の変形例の構成及び動作を説明する。
【0135】
図16は、第3の実施形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。この変形例では、可変減衰器の代わりに可変増幅器151を備えており、ゲイン調整部152の動作が上述した第3の実施形態とは異なっている。その他は第3の実施形態と同様であり、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0136】
可変増幅器151は、ゲイン調整部152からのゲイン制御信号に応じて増幅率を調整しつつ、増幅器107から入力される受信信号を、調整したゲインにより増幅する。ゲイン調整部152は、タイミング調整部112から出力されるゲイン調整タイミング信号に応じて、可変増幅器151のゲイン(増幅量)を、あらかじめ設定された値に設定するためのゲイン制御信号を生成し、可変増幅器151に入力する。
【0137】
可変増幅器151のゲイン調整については、図7に示した第1の実施形態の変形例、あるいは図12に示した第2の実施形態の変形例と同様である。この場合、可変減衰器の場合の減衰量とは大小関係を反対にして、増幅量をパルス信号の送信タイミングからの経過時間に伴い、所定のゲイン調整タイミングにおいて大きくする。
【0138】
そして、第3の実施形態と同様に、複数のアンテナを切り替えながら、アンテナ毎に、ゲイン調整タイミングを変更してゲイン調整を行った受信信号を複数回取得し、到来波が発生した地点までの距離と到来波の到来方向とを算出して、物体からの反射波の位置検出を行う。
【0139】
このように、可変減衰器の代わりに可変増幅器を備える場合においても、可変増幅器のゲインを上記のように制御することで、可変減衰器の場合と同様の効果を得ることができる。
【0140】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0141】
上記各実施形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0142】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0143】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0144】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、レーダ装置における受信部のゲイン調整時に発生する信号の歪みの影響を低減し、受信信号の劣化を改善することが可能となる効果を有し、送信信号に対する物体からの反射波に基づいて物体の位置を特定するレーダ装置、特に広帯域パルス技術を利用したレーダ装置等として有用である。
【符号の説明】
【0146】
101 パルス生成部
102、110 周波数変換部
103 増幅器
104、106、306a、306b、306c、306d アンテナ
105 局部発振器
107、109 増幅器
108 可変減衰器
111、211 距離検出部
112 タイミング調整部
113、152 ゲイン調整部
121、321 検波器
122、222、322 コンパレータ
123 加算部
124、324 距離算出部
151 可変増幅器
314 アンテナ制御部
315 アンテナスイッチ
316 位置検出部
323 第1の加算部
325 第2の加算部
326 ビームフォーミング部
327 方向検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号幅及び信号間隔を持つ間欠信号である送信信号を生成する送信信号生成部と、
前記送信信号を測定対象空間に無線送信する送信RF部と、
物体からの反射波を含む受信信号を、前記測定対象空間から受信する受信RF部と、
可変ゲインによって前記受信信号のレベルを調整するレベル調整部と、
前記レベル調整部におけるゲインを調整するゲイン制御信号を生成するゲイン調整部と、
前記レベル調整部におけるゲイン調整タイミングを制御するゲイン調整タイミング信号を生成するタイミング調整部と、
前記受信信号に基づいて物体を検出する物体検出部と、を備え、
前記ゲイン調整部は、前記受信信号のレベルを、前記送信信号の送信時点から時間経過に伴って大きくするゲイン制御信号を生成し、
前記タイミング調整部は、前記レベル調整部における前記ゲイン調整タイミングが、前記送信信号の送信毎に異なるゲイン調整タイミング信号を生成する、
レーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記タイミング調整部は、前記レベル調整部におけるゲイン調整に必要な応答時間以上の時間だけ、前記ゲイン調整タイミングが前記送信信号の送信毎に異なるゲイン調整タイミング信号を生成する、レーダ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記物体検出部は、異なる前記ゲイン調整タイミングによってそれぞれレベル調整された複数の受信信号を加算する加算部を備えるレーダ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記物体検出部は、
前記レベル調整後の受信信号より前記物体からの反射波の信号を検出する反射波検出部と、
前記反射波の検出結果に基づいて前記物体からの距離を算出する距離算出部と、を備えるレーダ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレーダ装置であって、
前記反射波検出部は、前記レベル調整後の受信信号を所定の閾値と比較して前記物体からの反射波の信号を検出するコンパレータを備え、
前記コンパレータは、前記ゲイン調整タイミングに同期して前記受信信号のレベル調整と連動させて前記閾値を変化させる、レーダ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記受信RF部は、アレー状に配置された複数のアンテナと、前記複数のアンテナの切り替えを行うアンテナ切替部と、前記アンテナ切替部を制御するアンテナ制御部と、を備え、
前記アンテナ制御部は、前記ゲイン調整タイミングに同期して、前記アンテナ切替部によるアンテナ切り替えタイミングが、異なる前記ゲイン調整タイミングを設定したゲイン制御パターン数の整数倍の時間毎のアンテナ切り替え周期とするアンテナ切り替えタイミング信号を生成する、レーダ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーダ装置であって、
前記ゲイン調整部は、前記アンテナ制御部によるアンテナ切り替えよりも前記ゲイン調整タイミングの変更を優先させて行う、レーダ装置。
【請求項8】
請求項6に記載のレーダ装置であって、
前記物体検出部は、
前記アンテナ切り替えタイミングに基づき、異なる前記ゲイン調整タイミングによってそれぞれレベル調整された複数の受信信号のうち、同じアンテナで受信された信号で同じ遅延時間の信号について加算する第2の加算部と、
第2の加算部の加算結果に基づき、前記物体からの反射波の到来方向を検出する方向検出部と、を備えるレーダ装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレーダ装置であって、
前記レベル調整部は、可変減衰器を有して構成され、
前記ゲイン調整部は、前記可変減衰器の減衰量を調整する、レーダ装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレーダ装置であって、
前記レベル調整部は、可変増幅器を有して構成され、
前記ゲイン調整部は、前記可変増幅器の増幅量を調整する、レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−32161(P2012−32161A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169293(P2010−169293)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】