説明

レール転倒防止器

【課題】 レールの設定替のレール緊張操作時に、レールの長手方向や上下方向の動きに対応してレールの転倒を防止し、レールに損傷を与えることのないレール転倒防止器を提供する。
【解決手段】 枕木bに着脱自在に止着する台枠1に支持部片2を立設し、該支持部片2の上端に横設した筒体3に、レールRの荷重を受ける受圧杆5を組付ける。そして、受圧杆5の先端に、球面状の奥壁16aを備えた保持穴16を設け、該保持穴16に、前記レールRの側面Raに接して転動する球体4を転動自在に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕木に着脱自在に止着する(直接又は間接的に)台枠に、支持部片を立設し、該支持部片の上端に横設した筒体に、受圧杆を組付け、該受圧杆の先端に、前記枕木上のレールの側面に接する転子を設けて、レール設定替操作時にレール転倒方向の荷重を受けるようにしてレールの転倒を防ぐようにしたレール転倒防止器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記構成の転倒防止器は、レールの設定替に際し、緊張器による緊張によってレールが転倒するのを防止するため、レールの長手方向の適所(殊にレールの曲部近傍)に固定的に配置し、転子であるローラ(転動輪)をレール側面に当接させてレール転倒方向の荷重を受けると共に、緊張操作によるレールの長手方向の移動に対処するようにしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2754425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、緊張器の緊張操作によって、レールが長手方向に移動(延び)するときは問題ないが、前記の緊張操作時に、レールに対して上下方向(高さ方向)の力が負荷される場合、軸回転するローラに対して回転方向に対して交差する方向の外力が負荷され、その結果、レールの転倒を防ぐには問題がないとしても、ローラの踏面がレールの側面をこすり、レールに対して多大な損傷を与えることがある。
【0005】
本発明は、斯様な常況に着目し、レールの設定替のレール緊張操作時に、レールの長手方向や上下方向の動きに対処して、レールの転倒を防ぐことは勿論、レールに損傷を与えることのないレール転倒防止器を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
枕木に着脱自在に止着する台枠に支持部片を立設し、該支持部片の上端に横設した筒体に、レールの荷重を受ける受圧杆を組付け、該受圧杆の先端に、前記枕木上のレールの側面に接して転動する受圧子を保持させ、該受圧子を球体で構成したことを基本的手段とし、この基本的手段に、球体の保持手段としては、具体的に前記受圧杆の先端に、球面状の奥壁を備えた保持穴を設け、該保持穴に球体を、一部を突出させて転動自在に保持させる、具体的な保持手段を付加することにより、球体が円滑に転動するようにしてレールの側面を損傷させることのない、レール転倒防止器を提供できるのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緊張器による緊張に伴って、レールが、長手(横)方向や高さ(縦)方向いずれの方向に移動しても、該レールの荷重を受けて球体は転動し、従って、レールの受圧子である球体の接触による損傷をすることなく、レールの転倒を防ぐことができる。
【0008】
また、球体は、球面状の奥壁を備えた保持穴に保持されるものであるから、レールの圧接に対応して球体は円滑に転動し、レールの緊張操作を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一部欠截側面図。
【図2】図1の一部欠截平面図。
【図3】受圧杆の斜視図。
【図4】受圧杆の一部拡大断面図。
【図5】レールに装置した状態の平面図。
【実施例】
【0010】
図面は本発明に係るレール転倒防止器の一実施例を示し、図示Aは転倒防止器で、転倒防止器Aは、上部片1aの両側に脚部片1b,1bを相対設した台枠1の上部片1aに支持部片2を立設し、該支持部片2の上端に横設した筒体3に、先端にレールRの側(腹)面Raに接する球体4を転動自在に保持した受圧杆5を組付け、この受圧杆5を、前記筒体3に設けたナット材3a螺合した締付けボルト7で押圧して、前記球体4の前記側面Raに対する接触状態を保持し、その荷重を受けるようにしたものである。
【0011】
そして、台枠1の脚部片1b,1bの下縁に設けた上下の段部8,8´の何れかを、枕木(PC枕木)bに設けた受部9又は9´で受止め、係止させ(段部8,8´は、そのいずれかが枕木bに設けた受部9又は9´に係止するように脚部片1bの下縁に設けてある)、台枠1の上部片1aの中央先端部に設けた切欠10に固定ボルト11を上方から挿通させて枕木bに設けたボルト穴20に螺合、締付けて台枠1を枕木bに固定し、該台枠1の上に横設した筒体3に先端側から嵌挿した受圧杆5の後端に、筒体3の後端側に螺合した調整ボルト7の先端を接触させ、該調整ボルト7の締付けで受圧杆5の先端に設けた球体4を前進させて、球体4をレール側面Raに接触させて、受止め状態位置を設定し(設定位置は、筒体3に半径方向に螺合し、先端が受圧杆5の側面に軸線方向に沿わせて相対して凹設し、しかも、後端の周溝12bによって互いに連通する案内溝12a,12aの一方に係合させた締付けねじ22の締付けによって維持される)、レールRの所謂小返りを防止するものである。
【0012】
前記受圧杆5は、前記溝12a,12bを設けた杆主体13Aの先端に偏心板14を設け、該偏心板14に、前記杆主体13Aと偏心させた保持杆15を備えて成り、保持杆15の先端に、奥壁16aを球面状とした保持穴16を設け、該保持穴16に前記球体4を、その一部が保持穴16より突出するように転動自在に嵌合し、保持穴16の開口端側の内壁に設けた周溝17に第一リング18を嵌着して保持穴16からの離脱を防ぐようにして保持させてある(この保持手段は実施例の構造に限定する必要はなく、要は、保持杆の先端に一部が突出するように転動自在に球体4を保持させてあれば良い)。
【0013】
球体4を保持した保持杆15を杆主体13Aに対して偏心させてあるのは、杆主体13Aの先端に設けた偏心板14に突設した保持杆15の先端の球体4を、レールRの種類(実施例の場合は50kgNと60kgレールのいずれか)に対応して適合する位置となるように、筒体3内で案内溝12a及び周溝12bを利用して受圧杆5を反転させて球体4位置を選択するようにしたもので、要は一種類のレール転倒防止器で高さの異なる50kgNと60kgレールのいずれにも適用して当該レールの転倒防止を行える構造のものを得るためである(この点は公知)。
【0014】
もっとも、本発明の実施に当っては50kgNや60kgレールに限らず、球体を他の種のレールに対応できるように配して当該他の種のレールに適用するようにしても不都合がないことは勿論である。
【符号の説明】
【0015】
1 台枠
2 支持部片
3 筒体
4 球体
5 受圧杆
16 保持穴
16a 奥壁
b 枕木
R レール
Ra レール側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕木に着脱自在に止着する台枠に支持部片を立設し、該支持部片の上端に横設した筒体に、レールの荷重を受ける受圧杆を組付け、該受圧杆の先端に、前記枕木上のレールの側面に接して転動する受圧子を備えて成り、前記受圧子を球体で構成した、レール転倒防止器。
【請求項2】
受圧杆の先端に、球面状の奥壁を備えた保持穴を設け、該保持穴に球体を転動自在に保持させた、請求項1記載のレール転倒防止器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−203212(P2010−203212A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53227(P2009−53227)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】