説明

ロチゴチン含有組成物及びその使用並びにこの組成物を含む経皮貼付剤

本発明は、ロチゴチン含有組成物、及びロチゴチンを含む経皮貼付剤の製造するためのロチゴチン含有組成物の使用に関する。該組成物は、アクリル系感圧接着剤及びシロキサン感圧接着剤である2類の接着剤及びポリビニルピロリドンから特定の重量比で組み合わせてなる混合マトリックスに基いて(1)混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が約1〜25%であり、(2)混合システムにおけるシロキサン感圧接着剤の重量比が約65〜98%であり、及び(3)混合システムにおけるポリビニルピロリドンの重量比は約1〜10%であり、並びに、組成物の総重量で、ロチゴチンの含有量は約1〜40%である。本発明は、さらに、該組成物を含む改善されたロチゴチン経皮貼付剤に関する。該貼付剤は、ロチゴチンの溶解、放出及び投与初期の薬物の透過量の面で改善された優れる性能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロチゴチン含有組成物、及びロチゴチンを含む経皮貼付剤を製造するためのロチゴチン含有組成物の使用に関する。該組成物は、アクリル系感圧接着剤及びシリコーン感圧接着剤の組み合わせ及びポリビニルピロリドンを特定の重量比で含んでなる混合マトリックスに基づく。本発明は、さらに、該組成物を含む改善されたロチゴチン経皮貼付剤に関する。該貼付剤はロチゴチンの溶解、放出及び投与初期の薬物の透過量の面で改善された優れる性能を有する。
【背景技術】
【0002】
ロチゴチン(Rotigotine)は、1種の非ジヒドロエルゴトキシンD3/D2/D1 ドーパミンレセプターアゴニストである。長期研究により、ロチゴチンは多くの中枢神経及び精神系統疾患に対して治療作用があることを発見した。今まで、ロチゴチンは、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、精神分裂症、憂鬱病等の治療又は症状改善及びパーキンソン病の予防性治療(WO2005/063237)に対して優れた効果を有することが知られている。特に、パーキンソン病に対する治療及び症状改善効果はすでに大量の動物模型研究及び臨床実験に確認された(Neurology, Vol.65 Suppl1: S3−S5/movement disorders Vol. 9 No.2 P147−154;ARCH NEUROL, Vol.60, Dec.2003: 1721−28)。最初、ロチゴチンは経口製剤に調製されたが、該製品は経口投与された後、高すぎるクリアランス及び相対的に短い有効期間を示し、治療効果が生じる薬物血中濃度に達することができないか、又は頻繁に投与しなければならないので実際に応用されることが困難となる(Neurology, Vol.65 Suppl1: S3−S5)。そのため、それを経皮貼付剤に調製することは試みられた。
【0003】
WO99/49852には、アクリレート又はシロキサンを基礎とした、ロチゴチンを含む経皮投与システムを開示した。該システムに用いられる接着剤はアクリレート又はシリコーンであり、それらはそれぞれ活性薬物と単一接着剤を使用するシステムを組み合わせる。ここで、アクリレートを接着剤組成とするシステムは、その薬物放出率が低い。シリコーンを接着剤組成とするシステムは、その薬物負荷量が小さく、製品の薬物初期放出量は低い。
【0004】
WO2002/089778は、抗パーキンソン病の薬物を製造するための、シリコーンを基剤とする経皮治療システムの使用を開示した。該経皮治療システムはロチゴチンを活性成分として含有する。しかし、該システムの薬物放出速度は低く、特に有効量に達するまでの時間は長すぎるため、下記の2つの面で問題が存在している。即ち、1、有効な薬物血中濃度を達成するために、該経皮貼付剤を頻繁に替えなければならない。例えば、24時間ひいてはもっと短い時間ごとに1回替えなければならない。こうして、貼付剤の患者に使用の便利さというメリットを発揮できない。2、該経皮剤の初期透過量は相対的に低いため、貼付剤の貼り付けから薬効を発揮するまでの時間が長すぎて、患者病状のコントロールを遅らせることとなる。
【0005】
本発明者は、大量の実験により、従来のロチゴチン経皮投与システムに存在する固有の欠点を鋭意研究した結果、アクリル系感圧接着剤及びシロキサン感圧接着剤の組み合わせ及びポリビニルピロリドンを特定の重量比で含んでなる混合マトリックスシステムを採用すれば、ロチゴチンを十分に溶解させると共に、有効量のロチゴチンを放出させることができ、しかも、ロチゴチンの投与初期の薬物の透過量を向上することもでき、ロチゴチン経皮投与システムの薬物放出性能が改善されたことを見出し、本発明に至ったものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
本発明は、ロチゴチン含有組成物を提供する。ロチゴチン含有組成物は、前記組成物の総重量に基づき、60〜99重量%、好ましくは70〜95重量%、より好ましくは75〜90重量%、特に好ましくは79〜84重量%のマトリックス混合システム、および、1〜40重量%のロチゴチンを含み、前記マトリックス混合システムは、アクリル系感圧接着剤とシリコーン感圧接着剤との組み合わせ、およびポリビニルピロリドンから成り、前記アクリル系感圧接着剤、前記シリコーン感圧接着剤および前記ポリビニルピロリドンは特定の重量比で存在し、
(1)前記アクリル系感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約1〜25重量%の量で存在し、
(2)前記シリコーン感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約65〜98重量%の量で存在し、及び
(3)前記ポリビニルピロリドンは、前記マトリックス混合システム中に約1〜10重量%の量で存在する。
【0007】
もう一つの面は、本発明は、ロチゴチンを含む経皮貼付剤の製造するための、ロチゴチン含有組成物の使用を提供する。
【0008】
もう一つの面は、本発明は、薬物含有マトリックス層が、アクリル系感圧接着剤及びシロキサン感圧接着剤の組み合わせ及びポリビニルピロリドンを特定の重量比で含んでなるマトリックス混合システムに基づくことを特徴とするロチゴチン含有経皮貼付剤を提供する。ここで、
(1)前記アクリル系感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約1〜25重量%の量で存在し、
(2)前記シリコーン感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約65〜98重量%の量で存在し、及び
(3)前記ポリビニルピロリドンは、前記マトリックス混合システム中に約1〜10重量%の量で存在し、並びに、
薬物含有マトリックス層の総重量で、ロチゴチンの含有量は約1〜40%である。
【0009】
一つの実施例において、本発明は、支持層、活性成分であるロチゴチンを含む薬物含有マトリックス層及び薬物含有マトリックス層の上を覆う保護層を含有する多層複合構造を有するロチゴチンを含む経皮貼付剤であって、前記薬物含有マトリックス層はアクリル系感圧接着剤及びシロキサン感圧接着剤の組み合わせ及びポリビニルピロリドンを特定の重量比で含んでなるマトリックス混合システムに基づくことを特徴とする。ここで、
(1)前記アクリル系感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約1〜25重量%の量で存在し、
(2)前記シリコーン感圧接着剤は、前記マトリックス混合システム中に約65〜98重量%の量で存在し、及び
(3)前記ポリビニルピロリドンは、前記マトリックス混合システム中に約1〜10重量%の量で存在し、並びに、
薬物含有マトリックス層の総重量で、ロチゴチンの含有量は約1〜40%である。
【0010】
本発明のロチゴチン含有組成物において、前記マトリックス混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量は、好ましくは約3〜22重量%、より好ましくは約4〜20重量%、特に好ましくは約5〜19重量%、さらに好ましくは約6〜12.5重量%である。
【0011】
本発明のロチゴチン含有組成物において、前記マトリックス混合システムにおけるシリコーン感圧接着剤の含有量は、好ましくは約70〜96重量%、より好ましくは約75〜95重量%、特に好ましくは約79〜94重量%、さらに好ましくは約86.5〜93重量%である。
【0012】
本発明のロチゴチン含有組成物において、前記マトリックス混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量は、好ましくは約1〜8重量%、より好ましくは約1〜5重量%、特に好ましくは約1〜2重量%、さらに好ましくは約1〜1.5重量%である。
【0013】
本発明のロチゴチン含有組成物において、ロチゴチンの含有量は、組成物の総重量に基づき、好ましくは約3〜20重量%、より好ましくは約5〜15重量%、特に好ましくは約8〜11重量%である。
【0014】
本発明のロチゴチン含有組成物はさらに、経皮吸収促進剤、酸化防止剤等のような経皮投与システムによく用いられる添加剤を随意に含むことができる。
【0015】
本発明のロチゴチン含有組成物は好ましくは経皮吸収促進剤を含む。組成物の総重量に基づき、経皮吸收促進剤の含有量は約0〜15重量%であり、好ましくは2〜13重量%、より好ましくは5〜11重量%、特に好ましくは8〜10重量%である。
【0016】
本発明のロチゴチン含有組成物は酸化防止剤を含んでもよい。組成物の総重量に基づき、酸化防止剤の含有量は約0〜0.1重量%である。
【0017】
本発明の組成物の好ましい一実施の形態において、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づき、約75〜90重量%、好ましくは約75〜90重量%の前記マトリックス混合システム、前記組成物の総重量に基づき、約3〜20重量%、好ましくは約5〜15重量%のロチゴチン、及び前記組成物の総重量に基づき、約0〜15重量%、好ましくは約2〜13重量%の経皮吸収促進剤を含み、前記マトリックス混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量が約3〜22重量%、好ましくは約4〜20重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるシリコーン感圧接着剤の含有量が約70〜96重量%、好ましくは約75〜95重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量が約1〜8重量%、好ましくは約1〜5重量%である。
【0018】
本発明の組成物のより好ましい一実施の形態において、前記組成物の総重量に基づき、約75〜90重量%、特に約79〜84重量%の前記マトリックス混合システム、前記組成物の総重量に基づき、約5〜15重量%、特に約8〜11重量%のロチゴチン、及び前記組成物の総重量に基づき、約5〜11重量%、特に約8〜10重量%の経皮吸収促進剤を含み、前記マトリックス混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量が約5〜19重量%、特に6〜12.5重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるシリコーン感圧接着剤の含有量が約79〜94重量%、特に約86.5〜93重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量が約1〜2重量%、特に約1〜1.5重量%である。
【0019】
本発明に記載のアクリル系感圧接着剤は、アクリル系感圧ポリマー又はアクリル系感圧ポリマーとEudragit系アクリル樹脂との組合せを指す。
【0020】
前記「アクリル系感圧ポリマー」は、本分野において公知である、アクリル酸及びその誘導体を共重合して生成した高分子物質を指し、飽和炭化水素主鎖とエステル基側鎖を備え、共重合モノマー及び側鎖基を変えることによって粘性のあるアクリル系感圧ポリマーを得ることができる。よく用いられるモノマーとしては、感圧ポリマーの粘着性を向上するためのソフトモノマー、感圧ポリマーの凝集力を向上するためのハードモノマー、化学架橋を生成するための官能基モノマーが挙げられる。ここで、ソフトモノマーとしては、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はイソオクチルアクリレート、ブチルアクリレートが挙げられる。ハードモノマーとしては、ビニルアセテート、メチルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸C1−10アルキルエステルが挙げられる。ここでメタクリル酸C1−10アルキルエステルとしては、例えば、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート等が挙げられる。官能基モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、マレイン酸、無水マレイン酸などが挙げられる(楊玉崑、『感圧接着剤』、科学出版社、1994年6月出版、149〜150頁)。本発明に使用されるアクリル系感圧ポリマーは、ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミドおよびα−メタアクリル酸モノマーを共重合してなるのが特に好ましい。特に、例えばCN1640500A(北京康倍得医薬技術開発有限公司)第21頁表1中の実施例2の共重合体(A)、即ち、PAS−10−Kである。PAS−10−Kは、ブチルアクリレート33.1%、イソオクチルアクリレート40.9%、ビニルアセテート21.0%、アクリルアミド3.8%およびα−メタアクリル酸モノマー1.2%が共重合してなるのである。ここで、CN1640500Aを本発明は引用して援用する。
【0021】
前記「Eudragit系アクリル樹脂」としては、ドイツRoehm会社製のEudragit(登録商標) L100、Eudragit(登録商標) S100、Eudragit(登録商標) RL100、Eudragit(登録商標) RS100、Eudragit(登録商標) E100、 Eudragit(登録商標) L100−55、Eudragit(登録商標) E PO、Eudragit(登録商標) RL PO、Eudragit(登録商標) RS PO等、及び江蘇連雲港ヨード製造工場製のEudragit No. I、II、III 、IVが挙げられる。しかし、「Eudragit系アクリル樹脂」は上記挙げられたものに制限されない。
【0022】
本発明において、前記アクリル系感圧接着剤は、好ましくはアクリル系感圧ポリマーとEudragit系アクリル樹脂との混合物であり、より好ましくはCN1640500A(北京康倍得医薬技術開発有限公司)に記載の、アクリル系感圧ポリマーとEudragit(登録商標) E100とからなるアクリル接着剤組成物(CN1640500A、第24頁表4実施例に使用された接着剤組成物)、即ちPAS−10−Kと、含有量の異なるEudragit(登録商標) E100とからなる接着剤組成物であり、特に好ましくはPAS−10−KとEudragit(登録商標) E100の比が9:1である。
【0023】
本発明に記載のシリコーン感圧接着剤は、低粘性ジメチルシリコーンポリマー(12000〜15000cp)とシリコーン樹脂を、適量な有機溶媒に溶解してなる感圧接着剤である。そのうち、樹脂とポリマーの比率及びシラノール基の含有量はシリコーン感圧接着剤性能を決定する重要なパラメータである(Sobieski, et al., “Silicone Pressure Sensitive Adhesives,” Handbook of Pressure Sensitive Technology, 2nd ed., 508−517, Van Nostrand Reinhold, New York (1989))。本発明において、前記シリコーン感圧接着剤は好ましくは市販されたものであり、Dow corning Corporation製の商品名としてBIO−PSA(登録商標) 4600 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4500シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4400 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4300 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4200シリーズ、及びBIO−PSA(登録商標) 4100シリーズであるシリコーン感圧接着剤が挙げられる。より好ましくは、抗アミン型シロキサン感圧接着剤BIO−PSA(登録商標) 4300シリーズ 又は BIO−PSA(登録商標) 4200シリーズである。
【0024】
本発明に使用されるポリビニルピロリドンは、経皮製剤において結晶抑制剤として使用されることが可能である。ポリビニルピロリドン即ち「PVP」は、非イオン型水溶性高分子化合物であり、N−ビニルピロリドンが一定の条件で重合してなるものである。経皮製剤におけるポリビニルピロリドンの使用は、EP0524776にすでに記載された。適切なPVPとして、ドイツBASF会社製の商標名Kollidonの製品が挙げられる。本発明において、好ましくはKollidon 17PF、 25、30 及び 90、特に好ましくはKollidon 30 及び Kollidon 90である。
【0025】
本発明者らは大量の実験から、アクリル系感圧接着剤とシリコーン感圧接着剤とを特定の割合で含む組み合わせを含むマトリックスシステムを採用すれば、薬物の溶解度及び皮膚透過性が明らかに改善され、さらに低い含有量のポリビニルピロリドンを加えると、貼付剤の力学性能に影響することなく薬物の負荷量と透過量をさらに向上することができることを見出した。マトリックスシステムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が高くなると、薬物の溶解度を向上し、薬物の初期拡散速度を向上できるものの、システムにおける薬物の持続放出能力を低下し、その結果、使用後の貼付剤の薬物残留量が多くなる。マトリックスシステムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が低くなると、薬物の初期拡散速度を向上するという作用を発揮できなくなる。従って、アクリル系感圧接着剤とシリコーン感圧接着剤の用量割合の面で、制限的な割合の範囲がある。ポリビニルピロリドンは溶解の促進及び結晶の抑制という作用を有する。その適宜な用量は、当業者が慣用的な実験を介して確定できる。システムにおけるポリビニルピロリドンの割合は高くなりすぎると、貼付剤の力学性能に影響する。適宜な用量のポリビニルピロリドンを用いれば、システムにおける薬物の分散状態を改変することができる。
【0026】
本発明のロチゴチンを含む経皮貼付剤において、前記混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量は約1〜25重量%であり、好ましくは約3〜22重量%、より好ましくは4〜20重量%、特に好ましくは約5〜19重量%、さらに好ましくは約6〜12.5重量%である。
【0027】
本発明のロチゴチンを含む経皮貼付剤において、前記混合システムにおけるシロキサン感圧接着剤の含有量は約65〜98重量%であり、好ましくは約70〜96重量%、より好ましくは75〜95重量%、特に好ましくは約79〜94重量%、さらに好ましくは約86.5〜93重量%である。
【0028】
本発明のロチゴチンを含む経皮貼付剤において、前記混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量は約1〜10重量%であり、好ましくは約1〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%、特に好ましくは約1〜2重量%、さらに好ましくは約1〜1.5重量%である。
【0029】
本発明のロチゴチンを含む経皮貼付剤において、ロチゴチンの含有量は薬物含有マトリックス層の総重量に基づき約1〜40重量%、好ましくは約3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは約8〜11重量%である。
【0030】
本発明のロチゴチンを含む経皮貼付剤において、前記マトリックス混合システムは、前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づきの60〜99重量%であり、好ましくは70〜95重量%、より好ましくは75〜90重量%、特に好ましくは79〜84重量%である。
【0031】
本発明の経皮貼付剤において、前記薬物含有マトリックス層は、経皮吸収促進剤、酸化防止剤等のような、経皮投与システムによく用いられる添加剤を随意に含み、貼付剤の性能を改善する。
【0032】
本発明の経皮貼付剤は好ましくは経皮吸収促進剤を含む。薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、経皮吸収促進剤の含有量は約0〜15重量%であり、好ましくは2〜13重量%、より好ましくは5〜11重量%、特に好ましくは8〜10重量%である。
【0033】
本発明の経皮貼付剤は好ましくは酸化防止剤を含む。薬物貯蔵層の総重量で、酸化防止剤の含有量は約0〜0.1%である。
【0034】
本発明の経皮貼付剤の好ましい一実施の形態において、経皮貼付剤の薬物含有マトリックス層は、前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約75〜90重量%、好ましくは約75〜90重量%の前記マトリックス混合システム、前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約3〜20重量%、好ましくは約5〜15重量%のロチゴチン、及び前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約0〜15重量%、特に約2〜13重量%の経皮吸収促進剤を含み、前記マトリックス混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量が約3〜22重量%、好ましくは約4〜20重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるシリコーン感圧接着剤の含有量が約70〜96重量%、好ましくは約75〜95重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量が約1〜8重量%、好ましくは約1〜5重量%である。
【0035】
本発明の経皮貼付剤の好ましい一実施の形態において、経皮貼付剤の薬物含有マトリックス層は、前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約75〜90重量%、特に約79〜84重量%の前記マトリックス混合システム、前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約5〜15重量%、特に約8〜11重量%のロチゴチン、及び前記薬物含有マトリックス層の総重量に基づき、約5〜11重量%、特に約8〜10重量%の経皮吸収促進剤を含み、前記マトリックス混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の含有量が約5〜19重量%、特に6〜12.5重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるシリコーン感圧接着剤の含有量が約79〜94重量%、特に約86.5〜93重量%であり、前記マトリックス混合システムにおけるポリビニルピロリドンの含有量が約1〜2重量%、特に約1〜1.5重量%である。
【0036】
本発明に使用される経皮吸収促進剤は、(1)ツイーン、スパン、ラウリルアルコール硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のような界面活性剤、(2)アルコール系、多価アルコール系、エステル系、ジメチルスルホキシド及びその類似物のような有機溶媒類、具体的に、酢酸エチル、プロピレングリコールジエチルエステル、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド等が挙げられる、(3)オレイン酸、乳酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸イソプロピル等のような脂肪酸、脂肪族アルコール及び脂肪酸エステル、(4)N−メチルピロリドン、1,5−ジメチルピロリドン、5−カルボキシピロリドン等のようなアゾン系化合物及びピロリドン誘導体、(5)サリチル酸、尿素等のような角質保湿及び軟化剤、(6)メントール、樟脳等のようなテルペン系化合物から選ばれてよい。好ましくはミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸又はN−メチルピロリドンである。
【0037】
本発明に適用される酸化防止剤の種類は多い。例えば、無機及び有機酸化防止剤から適切な酸化防止剤を選択し、本分野従来の安定性試験により確認することができる。前記酸化防止剤が、ビタミンE、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、メタ亜硫酸ナトリウム又これらの混合物から選ばれてよい。好ましくはビタミンE、アスコルビン酸パルミチン酸エステルである。
【0038】
本発明に使用される活性薬物ロチゴチンは、ロチゴチン遊離塩基又はロチゴチンの薬学的に許容され得る塩であってよい。例えば、ロチゴチン塩酸塩、ロチゴチン硫酸塩、ロチゴチン硝酸塩又はロチゴチン琥珀酸塩等が挙げられる。好ましくはロチゴチン遊離塩基である。
【0039】
本発明の経皮貼付剤において、支持層は、当業者によく知られる支持材料、例えばアルミ箔、ポリテレフタル酸ジメチルエステル、ポリエチレン又は不織布等からなる。本発明の経皮貼付剤において、薬物貯蔵層の上に被覆された保護層は、当業者によく知られる保護材料、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリテレフタル酸エチレングリコールエステル等のフィルムからなるか、上記フィルムに対して、薬物貯蔵層と直接に接触するフィルム表面にシロキサン樹脂又はフッ素樹脂等を塗布することなどを含む従来の放出コーティング処理を行う。本発明の経皮貼付剤の保護層は、好ましくは表面にフッ素樹脂が塗布されているポリエステルフィルムである。
【0040】
本発明の経皮貼付剤は、必要に応じして各種の形状及び寸法に調製することができる。その表面積は、好ましくは1.0〜150cmであり、その製品規格は、好ましくは4.5mgロチゴチン/10 cm、9mgロチゴチン/20 cm、13.5mgロチゴチン/30 cm、18mgロチゴチン/40 cmである。
【0041】
本発明のロチゴチン含有経皮貼付剤の薬物含有マトリックス層の厚さは、20μm−80μmであり、好ましくは40−60μmである。
【0042】
本発明のロチゴチン経皮貼付剤の薬物含有マトリックス層は単層であってもよく、本分野でよく知られる多層複合の形式であってもよい。このような経皮貼付剤構造は、支持層、高含有量の活性薬物ロチゴチン層及び/又は中含有量の活性薬物ロチゴチン層、と低含有量の活性薬物ロチゴチン層、並びに保護層を含んでもよい。
【0043】
本発明のロチゴチン含有組成物は、本分野の既知技術で製造されることができる。例えば、配合量のポリビニルピロリドンを量って適宜な容器に入れ、適当の量の酸化防止剤(もし含まれていれば)エタノール溶液を加えて、攪拌し、ポリビニルピロリドンを溶解させる。さらに、配合量の薬物ロチゴチン、シリコーン感圧接着剤、アクリル酸系感圧接着剤(そのうち、CN1640500A第20〜21頁実施例中に記載の、(メタ)アクリルアミド又はそのN,N置換モノマーを含む(メタ)アクリレート共重合体の製造方法でアクリル酸系感圧ポリマーを製造する)及び任意の経皮吸収促進剤を量って上記容器に入れ、適当の量の溶媒、例えば酢酸エチルエステルを、一定の体積となるまで加えて、攪拌して各成分を十分に溶解させる。最後に、適当の量のエタノールを加えて、30分超音波をかけてポリビニルピロリドンを完全に溶解させて、ロチゴチン含有組成物を得ることができる。
【0044】
本発明の経皮貼付剤は本分野の既知技術で製造されることができる。例えば、
1.配合量のポリビニルピロリドンを量って適宜な容器に入れ、適当の量の酸化防止剤(もし含まれていれば)エタノール溶液を加えて、攪拌し、ポリビニルピロリドンを溶解させる。
2.さらに、配合量の薬物ロチゴチン、シリコーン感圧接着剤、アクリル酸系感圧接着剤(そのうち、CN1640500A第20〜21頁実施例中に記載の、(メタ)アクリルアミド又はそのN,N置換モノマーを含む(メタ)アクリレート共重合体の製造方法でアクリル酸系感圧ポリマーを製造する)及び任意の経皮吸収促進剤を量って上記容器に入れ、適当な分量の溶媒、例えば酢酸エチルエステルを、一定の体積となるまで加えて、攪拌して各成分を十分に溶解させる。
3.さらに、適当の量のエタノールを加えて、30分超音波をかけてポリビニルピロリドンを完全に溶解させる。この場合、ゴム糊は澄みきって透明である。これにより、経皮貼付剤の薬物貯蔵層用物質を得る。
4.配合されたゴム糊は、一定の厚みで平らな支持材料に塗布され、空気で乾燥させてから、オーブンに移送して、80℃で2時間乾燥して、揮発性溶媒を除去した後、取り出して冷却する。そして、保護材料層でその上に被覆し、最後に一定面積及び形状の貼付剤を打ち抜く。
【0045】
薬物貯蔵層が多層複合形式である本発明の経皮貼付剤は、本分野の既知の慣用的な製造方法で製造されることができる。例えば、先ず、活性薬物の含有濃度が同じ又は異なるマトリックスを配合する。そして、スクレーパーを用いて各種のマトリックスを支持材料及び特製の粘性防止転移材料に塗布して、乾燥、成形してから、粘性防止転移材料に塗布されているマトリックス層を、支持材料に塗布されたマトリックス層に転移し、粘性防止転移材料を剥離する。順に層ごとに転移し、各層を積層してから、保護材料層でその上を覆う。最後に、一定面積及び形状のを打ち抜き、多層複合形式の薬物貯蔵層の貼付剤を得る。(梁秉文、『経皮投与製剤』、中国医薬科技出版社、1992年9月出版、329〜334を参照)。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、充分に溶解でき且つ有効量を放出できるロチゴチンの経皮貼付剤を提供する。該貼付剤は、ロチゴチンの初期透過量を向上した。この特徴により、臨床応用上に、本発明のロチゴチン経皮貼付剤は臨床使用において、薬効の発現までの時間が比較的短いと予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、実施例1(本発明)、NEUPRO(登録商標)(比較例1)及び比較例2〜5の経皮貼付剤における1〜72時間のロチゴチン体外経皮累積放出量(mg/cm2)を示す曲線である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0049】
経皮貼付剤の製造
実施例1
ポリビニルピロリドン(Kollidon 30、ドイツBASF会社製)0.05gを量って適切な容器に入れる。該容器に3 mg/mlの酸化防止剤であるアスコルビン酸パルミチン酸エステル(北京晨奥高科技発展有限公司製)エタノール溶液1 mlを加えて、攪拌してポリビニルピロリドンを溶解させる。また、ロチゴチン塩基(ロチゴチン塩基は、文献「Synthesis and radioreceptor binding activity of N−0437, a new, extremely potent and selective D2 dopamine receptor agonist」, Pharm Weekbl Sci, Vol.7.1985:208−211に記載の方法で合成製造される)0.45g、60%の固体含有量を含むシリコーン感圧接着剤(BIO−PSA(登録商標) 7−4302 Dow Corning Corporation)6.25g、35%固体含有量を含むアクリル酸系感圧接着剤(製造方法は下記の通り:CN1640500A第20〜21頁実施例に記載の、(メタ)アクリルアミド又はN,N置換モノマーを含む(メタ)アクリレート共重合体の製造方法に従って、その実施例2に使用されるモノマーを用いてアクリル酸系感圧ポリマーを製造し、そして、製造し得たアクリル酸系感圧ポリマーとEudragit(登録商標) E100(ドイツRoehm会社製)とを9:1(乾燥重量)の割合で混合する)0.72g、及びミリスチン酸イソプロピル(江蘇昆山市華新日用化学品有限公司製)0.5gを量って、上記容器に入れる。そして、適当な分量の酢酸エチル(北京有機化工工場製、化学純)を、一定の体積となるまで加え、攪拌して各成分を充分に混合させる。そして、また適当な分量のエタノール(北京益利精細化学品有限公司製、化学純)を加えて、30分超音波をかけてポリビニルピロリドンを完全にゴム糊に溶解させる。この場合、ゴム糊は澄みきって透明である。配合されたゴム糊を、一定の厚みで平らなポリエステルフィルム(SCOTCHPAK(登録商標) 1109)支持材料に塗布して、薬物含有マトリックス層を製造する。そして、85℃条件下で2〜3時間を乾燥させ、乾燥後の厚みが約40μmとなるように乾燥させる。それから、フッ素層が塗布されているポリエステルフィルム(SCOTCHPAK(登録商標) 1022)で薬物含有マトリックス層の上を覆って、最後に一定の面積及び形状の貼付剤を打ち抜いて、本発明の経皮貼付剤を得た。該貼付剤のロチゴチン薬物の含有量は約0.45mg/cmであり、そのうち、各成分の含有量(重量部)を表1に示す。
【0050】
実施例2〜3
実施例1の方法で、表1に示す薬物含有マトリックス層中の各成分及び含有量(重量部)に従って、実施例2及び実施例3の貼付剤を製造する。
【0051】
実施例4〜8
実施例1の方法で、実施例4〜8の貼付剤を製造する。各貼付剤の薬物含有マトリックス層中の各成分及び含有量(重量部)を表2に示す。
【0052】
比較例1
市販入手可能なロチゴチン貼付剤製品NEUPRO(登録商標) (Schwarz Pharm AG.ロチゴチンの含有量は0.45mg/cm)。
【0053】
比較例2〜5
実施例1の方法によって貼付剤を製造する。そのうち、比較例2の処方にはシリコーン感圧接着剤を含まない。比較例3の処方にはアクリル酸系感圧接着剤を含まない。比較例4の処方にはポリビニルピロリドン(比較例4の貼付剤の製造過程からポリビニルピロリドンを溶解する工程を除去する)を含まない。比較例5の処方において、アクリル酸系感圧接着剤及びシリコーン感圧接着剤の含有量は何れも本発明の範囲外である。各貼付剤の薬物含有マトリックス層の具体的な処方を表1に示す。
【0054】
経皮貼付剤中のロチゴチン放出量の測定
上記貼付剤は、『経皮投与製剤』(梁秉文、中国医薬科技出版社、1992年9月出版、252頁を参照)に紹介された実験方法で体外経皮実験を行う。
【0055】
【表1】

【0056】
サンプル数:5(各実施例又は比較例の貼付剤の測定品は平行に5個のサンプルを選ぶ)
貼付剤表面積:10cm
拡散媒介:pH6.2リン酸塩緩衝液
測定方法:高効率の液相クロマトグラフィー(紫外検出器、Waters会社、型番2487)
実施例1及び比較例1〜5の貼付剤の1〜72時間ロチゴチンの累積放出量(mg/cm)を測定し、結果を図1に示す。実施例1〜3及び比較例2〜5の貼付剤の0〜12時間ロチゴチン累積放出量(mg/cm)を表1に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
図1から見えるように、本発明の要求を満たす実施例1はNEUPRO(登録商標) 及び他の比較例の貼付剤と比べて、高い経皮放出量を有し、しかも、0次放出の特徴を表した。より重要なのは、図1から見えるように、NEUPRO(登録商標) (比較例1)と比べて、本発明の経皮貼付剤は拡散期間内の最初の12時間に薬物透過量が著しく増大した。即ち、薬物の発現はより速いことを意味する。図1及び表1からわかるように、比較例2〜5の貼付剤と比べて、本発明の経皮貼付剤はロチゴチンの経皮速度に対して独特のメリットを示し、より持続的な、均一な放出性能を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量で60〜99%、好ましくは70〜95%、より好ましくは75〜90%、特に好ましくは79〜84%のアクリル系感圧接着剤及びシロキサン感圧接着剤である2類の接着剤、並びにポリビニルピロリドンを特定の重量比で組み合わせてなるマトリックス混合システムを含む、ロチゴチン含有組成物であって、
(1)混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が約1〜25%であり、
(2)混合システムにおけるシロキサン感圧接着剤の重量比が約65〜98%であり、及び
(3)混合システムにおけるポリビニルピロリドンの重量比が約1〜10%、並びに、
組成物の総重量でロチゴチンの含有量が約1〜40%であるロチゴチン含有組成物。
【請求項2】
前記混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が、約3〜22%、より好ましくは約4〜20%、特に好ましくは約5〜19%、さらに好ましくは約6〜12.5%である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合システムにおけるシロキサン感圧接着剤の重量比が、約70〜96%、より好ましくは約75〜95%、特に好ましくは約79〜94%、さらに好ましくは約86.5〜93%である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合システムにおけるポリビニルピロリドンの重量比が、約1〜8%、より好ましくは約1〜5%、特に好ましくは約1〜2%、さらに好ましくは約1〜1.5%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ロチゴチンの含有量が、好ましくは約3〜20%、より好ましくは約5〜15%、特に好ましくは約8〜11%である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
さらに、経皮吸收促進剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物重量で約75〜90%、特に約79〜84%の前記マトリックス混合システム、及び約5〜11%、特に8〜10%の経皮吸收促進剤を含む請求項6に記載の組成物であって、前記混合システムにおけるアクリル系感圧接着剤の重量比が約5〜19%、特に6〜12.5%であり、前記混合システムにおけるシロキサン感圧接着剤の重量比が約79〜94%、特に約86.5〜93%であり、前記混合システムにおけるポリビニルピロリドンの重量比が約1〜2%、特に約1〜1.5%であり、組成物の総重量でロチゴチンの含有量が約5〜15%、特に約8〜11%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記経皮吸收促進剤は、界面活性剤と、アルコール系、多価アルコール系、エステル系、ジメチルスルホキシド及びその類似物、脂肪酸、脂肪族アルコール及び脂肪酸エステル、アゾン系化合物及びピロリドン誘導体、サリチル酸、テルペン系化合物を含む有機溶媒類とから選ばれ、好ましくはミリスチン酸イソプロピルエステル、ラウリン酸又はN−メチルピロリドンである請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸化防止剤が、ビタミンE、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、メタ亜硫酸ナトリウム又はその混合物から選ばれ、好ましくはビタミンE、アスコルビン酸パルミチン酸エステルである請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記アクリル系感圧接着剤が、アクリル系感圧ポリマー又はアクリル系感圧ポリマーとEudragit系アクリル樹脂との組合せから選ばれ、好ましくはアクリル系感圧ポリマーとEudragit系アクリル樹脂との組合である請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記アクリル感圧ポリマーが、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はイソオクチルアクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテート、メチルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミドのうちの少なくとも2種のモノマーから共重合されてなり、好ましくはブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、及びα−メタアクリル酸モノマーから共重合されてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記Eudragit系アクリル樹脂が、Eudragit(登録商標) L100、 Eudragit(登録商標) S100、Eudragit(登録商標) RL100、Eudragit(登録商標) RS100、Eudragit(登録商標) E100、Eudragit(登録商標) L100−55、Eudragit(登録商標) E PO、Eudragit(登録商標) RL PO、Eudragit(登録商標) RS PO及びその混合物から選ばれ、好ましくはEudragit(登録商標) RS100又はEudragit(登録商標) E100である請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記シロキサン感圧接着剤が、BIO−PSA(登録商標) 4600 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4500シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4400 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4300 シリーズ、BIO−PSA(登録商標) 4200シリーズ、及びBIO−PSA(登録商標) 4100シリーズのシロキサン感圧接着剤及びその混合物から選ばれ、好ましくはBIO−PSA(登録商標) 4200シリーズ 又は BIO−PSA(登録商標) 4100シリーズである請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリビニルピロリドンが、Kollidon 17PF、Kollidon 25、Kollidon 30 及びKollidon 90から選ばれ、好ましくはKollidon 30 又は Kollidon 90である請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ロチゴチンが、ロチゴチン遊離塩基又はロチゴチンの薬学的に許容されうる塩から選ばれ、好ましくはロチゴチン塩基である請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
薬物貯蔵層が請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物を含むことを特徴とするロチゴチンを含む経皮貼付剤。
【請求項17】
前記貼付剤は複合層構造を有し、少なくとも支持層、活性成分であるロチゴチンを含む薬物貯蔵層及び薬物貯蔵層の上に覆われる保護層を含む請求項16に記載の貼付剤。
【請求項18】
ロチゴチンを含む経皮貼付剤を製造するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のロチゴチン含有組成物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−532390(P2010−532390A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515339(P2010−515339)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001267
【国際公開番号】WO2009/006787
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510007160)北京康倍得医薬技術開發有限公司 (1)
【Fターム(参考)】