説明

ロック機構付き鋏

【解決手段】鋏本体1を移動可能に支持した把持柄2を備え、把持柄2に対する鋏本体1の移動に伴い、把持柄2の頭端部2aから突出させた鋏本体1を把持柄2に対し開閉動可能にロック解除するロック解除状態Pと、鋏本体1を把持柄2に対し開閉動不能にロックするロック状態Qとを取る。鋏本体1を把持柄2に対しロック状態Qからロック解除状態Pにするように移動させる操作部材3を、把持柄2の頭端部2aに対し鋏本体1の移動方向Yで反対側になる把持柄2の尻端部2bに取り付けている。
【効果】ロック状態Qで把持柄2を手の平全体で包み込むように安定性良く把持しても、把持柄2の尻端部2bで操作部材3が露出するので、その操作部材3にキャップ4を被せたりその操作部材3を指で押したり物に軽く殴打したりして、把持柄に対する各種把持状態でロック解除操作を行うことができ、ロック機構付き鋏の使い勝手を良くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持柄に対する鋏本体の移動に伴い鋏本体がロック解除状態とロック状態とを取り得るロック機構付き鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、握りケース1(把持柄)に対し鋏本体(静刃体2及び動刃体3)が移動可能に支持され、この握りケース1に対するこの鋏本体の移動に伴い、鋏本体は図2(b)に示すロック解除状態と図2(a)に示すロック状態とを取る。このロック解除状態では、握りケース1の頭端部から突出させた鋏本体を握りケース1に対し開閉動可能にロック解除するように、鋏本体と握りケース1との間に設けられた係脱部(突部3c及び係合穴1d)が互いに離脱する。このロック状態では、握りケース1に収納した鋏本体を握りケース1に対し開閉動不能にロックするように、この係脱部が互いに係合する。
【特許文献1】実公平7−44297号公報
【特許文献2】特許第3390151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記鋏本体を前記握りケース1に対しロック状態とロック解除状態との間で移動させる操作部(スライダ4b)が、握りケース1の頭端部と尻端部との間の側部で鋏本体に設けられているので、前記ロック状態で握りケース1を複数の指により摘むように把持して操作部を手の平の内側に露出させた状態でその操作部を例えば親指によりロック解除操作しなければならない。そのため、握りケース1を手の平全体で包み込むように安定性良く把持した状態で操作部をロック解除操作することは難しい。
【0004】
なお、上記特許文献2は握り鋏本体1(握り柄2及び握り柄3)が移動可能に支持されるものではないが、ロック機構11の操作つまみ12をキャップ4により操作する点を参照されたい。
【0005】
この発明は、鋏本体を移動可能に支持した把持柄を備えたロック機構付き鋏において、鋏本体を把持柄に対しロック状態からロック解除状態にするように移動させる操作部材の位置を改良することにより、把持柄に対する各種把持状態でロック解除操作を行うことができるようにして使い勝手を良くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜7)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるロック機構付き鋏は下記のように構成されている。
このロック機構付き鋏は、両鋏片(5,6)を互いに開閉動可能に回動中心部(7)で支持した鋏本体(1)と、この鋏本体(1)を移動可能に支持した把持柄(2)とを備えている。このロック機構付き鋏としては、後記実施形態で例示した請求項3の発明のような西洋鋏でも、図示しないが、基端部で一体または別体に設けた回動中心部から延設された両鋏片の先端側に刃部を設けるとともにこの刃部と回動中心部との間で柄部を設けた握り鋏でもよい。この把持柄(2)に対するこの鋏本体(1)の移動に伴い、把持柄(2)の頭端部(2a)から突出させた鋏本体(1)を把持柄(2)に対し開閉動可能にロック解除するロック解除状態(P)と、鋏本体(1)を把持柄(2)に対し開閉動不能にロックするロック状態(Q)とを取り得るように、この鋏本体(1)とこの把持柄(2)との間に係脱部(20,26)を設けている。ちなみに、このロック状態(Q)では、後記実施形態で例示した請求項5の発明のように鋏本体(1)における両鋏片(5,6)の刃部(8,9)を把持柄(2)の頭端部(2a)から突出させてもよいし、図示しないが、鋏本体(1)を把持柄(2)内に収容してもよい。前記鋏本体(1)を前記把持柄(2)に対しロック状態(Q)からロック解除状態(P)にするように移動させる操作部材(3)を、この把持柄(2)の頭端部(2a)に対しこの鋏本体(1)の移動方向(Y)で反対側になる把持柄(2)の尻端部(2b)に取り付けている。ちなみに、この操作部材(3)については、後記実施形態で例示した請求項4の発明のように鋏本体(5,6)に対し相対移動し得るように把持柄(2)に対し移動可能に支持してもよいし、図示しないが、鋏本体(5,6)と一体に設けたり鋏本体(5,6)に取着して鋏本体(5,6)とともに移動し得るようにしてもよい。
【0007】
請求項1の発明では、図2(a)に示すロック状態(Q)で把持柄(2)を手の平全体で包み込むように安定性良く把持しても、把持柄(2)の尻端部(2b)で操作部材(3)が露出するので、その操作部材(3)を指で押したり物に軽く殴打したりしてロック解除操作を行うことができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記操作部材(3)は前記把持柄(2)の尻端部(2b)から鋏本体(1)の移動方向(Y)に沿って突出している。請求項2の発明では、把持柄(2)を把持した状態で操作部材(3)を露出させて操作し易い。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明は下記のように構成されている。
前記鋏本体(1)においては両鋏片(5,6)を回動中心部(7)で互いに交叉させてその回動中心部(7)よりも先端側で両鋏片(5,6)に刃部(8,9)を設けるとともにその回動中心部(7)よりも基端側で両鋏片(5,6)に柄部(10,11)を設けている。すなわち、西洋鋏である。この両鋏片(5,6)の柄部(10,11)のうち一方の柄部(10)を前記把持柄(2)に対し移動可能に支持している。ちなみに、一方の柄部(10)には回動中心部(7)も含むように解釈し、図示しないが、後記実施形態以外に、把持柄(2)に設けた長孔に沿って回動中心部(7)を移動可能に支持してもよい。前記係脱部(20,26)はこの両鋏片(5,6)の柄部(10,11)のうち他方の柄部(11)とこの把持柄(2)との間に設けられている。ちなみに、他方の柄部(11)には回動中心部(7)も含むように解釈し、この回動中心部(7)は一方の柄部(10)の一部でもあり他方の柄部(11)の一部でもある。前記操作部材(3)はこの両鋏片(5,6)の柄部(10,11)のうち一方の柄部(10)をこの把持柄(2)に対しロック状態(Q)からロック解除状態(P)にするように移動させる。例えば、他方の柄部(11)には指当部(21)を設け、ロック状態(Q)では一方の柄部(10)に対し他方の柄部(11)が閉じてこの指当部(21)が把持柄(2)の外側へ露出し、ロック解除状態(P)では一方の柄部(10)に対し他方の柄部(11)が開動ばね(16)により付勢されて把持柄(2)の外側へ開く。
【0010】
請求項3の発明では、西洋鋏において請求項1または請求項2の発明の効果を発揮させることができる。
請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記操作部材(3)は、前記鋏本体(5,6)に対し相対移動し得るように前記把持柄(2)に対し移動可能に支持され、この鋏本体(5,6)をロック状態(Q)からロック解除状態(P)にするように連動部(17,30)により鋏本体(5,6)と係合し得る。請求項4の発明では、操作部材(3)が鋏本体(5,6)に対し相対移動するので、操作部材(3)に対し不用意に触れてもそれらの連動部(17,30)で操作部材(3)から鋏本体(5,6)への伝動を和らげ、鋏本体(5,6)をロック解除状態(P)やロック状態(Q)で保持し易くなる。例えば、後記実施形態では、鋏本体(5,6)がロック解除状態(P)で操作部材(3)の動きの影響を受けにくくして、鋏本体(5,6)が不用意にロック解除状態(P)からロック状態(Q)になるのを規制する。
【0011】
請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項5の発明にかかる鋏本体(1)において、両鋏片(5,6)の刃部(8,9)はロック状態(Q)とロック解除状態(P)とで共に把持柄(2)の頭端部(2a)から突出している。請求項5の発明では、鋏本体(1)をロック状態(Q)とロック解除状態(P)とにする際に鋏本体(1)の移動距離を必要最小限に抑えて操作し易くするとともに、把持柄(2)の頭端部(2a)と尻端部(2b)との間の寸法を短くすることができる。
【0012】
請求項5の発明を前提とする請求項6の発明においては、前記鋏本体(1)における両鋏片(5,6)の刃部(8,9)に被せるキャップ(4)を備えている。このキャップ(4)は、両鋏片(5,6)の刃部(8,9)から外されて前記操作部材(3)または把持柄(2)に取り付けられる際、すなわちキャップ(4)を操作部材(3)または把持柄(2)に接近させて取り付け始めてからその取り付けが終了するまでの間に、その操作部材(3)を移動させて鋏本体(1)を把持柄(2)に対しロック状態(Q)からロック解除状態(P)にするように連動部(3a,32b)により操作部材(3)または把持柄(2)と係合する。請求項6の発明では、キャップ(4)を両鋏片(5,6)の刃部(8,9)から外して操作部材(3)または把持柄(2)に保持する際同時に、そのキャップ(4)の移換動作を利用してロック解除状態(P)にすることができる。
【0013】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記キャップ(4)は前記操作部材(3)に被せられて前記把持柄(2)の尻端部(2b)に対し鋏本体(1)の移動方向(Y)に沿って並ぶ。請求項7の発明では、把持柄(2)とキャップ(4)とからなる形態が棒状になって把持柄(2)が把持し易くなる。
【0014】
請求項6または請求項7の発明を前提とする請求項8の発明において、前記キャップ(4)は両鋏片(5,6)の刃部(8,9)に被せられた状態で鋏本体(1)を移動させて鋏本体(1)を把持柄(2)に対しロック解除状態(P)からロック状態(Q)にするように連動部(22,32b)により鋏本体(1)と係合する。請求項8の発明では、キャップ(4)を両鋏片(5,6)の刃部(8,9)に被せる際同時に、そのキャップ(4)の移換動作を利用してロック状態(Q)にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、把持柄(2)に対する各種把持状態でロック解除操作を行うことができ、ロック機構付き鋏の使い勝手を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかるロック機構付きペン型鋏について図1〜7を参照して説明する。
このロック機構付きペン型鋏は、図4及び図7に示す鋏本体1と、図5に示す把持柄2と、図6に示す操作部材3と、図1〜3に示すキャップ4とを備え、図1(a)(b)(c)に示す不使用状態Aと、図2(c)に示す使用状態Bを取る。
【0017】
前記鋏本体1(西洋鋏)においては、両鋏片5,6が回動中心部7で互いにX状に交叉されて、その回動中心部7よりも先端側で両鋏片5,6にそれぞれ刃部8,9が設けられているとともに、その回動中心部7よりも基端側で両鋏片5,6に柄部10,11が設けられている。この両柄部10,11のうち一方の柄部10は、金属製の刃部8から一体に延設された支持部12と、この支持部12に取着されたプラスチック製のガイド13とを備えている。このガイド13は互いに分離された一対の挟持体14,15からなり、この両挟持体14,15間に支持部12が挟着されているとともに、この両挟持体14,15間に挟着された板状の開動ばね16がガイド13の外側へ突出している。このガイド13の頭端部13a間に回動中心部7が位置する。このガイド13は支持部12の端部12aから延設され、その尻端部13bに連動部17が形成されている。この両挟持体14,15の外側には頭端部13aと尻端部13bとを結ぶ長手方向Yに沿って細い筋状の案内溝18が形成されている。これらの案内溝18において尻端部13b側の端部には突起18aが形成されている。この両柄部10,11のうち他方の柄部11では、金属製の刃部9から操作部19が一体に延設され、その操作部19の端部19aに係脱部20が形成されているとともに、その端部19aから一定範囲で操作部19の外側に凹凸状の指当部21が形成されている。また、この操作部19で端部19aと回動中心部7との間の中間部には段差状の連動部22が形成されている。この操作部19が前記開動ばね16により付勢され、一方の柄部10に対し他方の柄部11が開動して両刃部8,9が互いに開く。この操作部19の指当部21を開動ばね16の弾性力に抗して押さえて操作部19の内側をガイド13の両挟持体14,15間に挿入すると、一方の柄部10に対し他方の柄部11が閉動して両刃部8,9が互いに閉じる。
【0018】
前記把持柄2は、プラスチックにより筒状に成形され、頭端部2a及び尻端部2bにそれぞれ開口23,24を有している。この把持柄2には頭端部2aの開口23に連続するスリット25が頭端部2aと尻端部2bとを結ぶ長手方向Yに沿って形成されている。このスリット25において頭端部2aに対する反対側の端部で把持柄2の内側に係脱部26が形成されている。この把持柄2の内面両側にはそれぞれ頭端部2aから延びる細い筋状の案内突条27がこの長手方向Yに沿って形成されている。これらの案内突条27において尻端部2b側の端部には切込み27aが形成されている。この把持柄2の尻端部2bの両側にはそれぞれこの長手方向Yで若干長い案内孔28が形成されている。
【0019】
前記鋏本体1が閉状態でこの把持柄2内に尻端部2bの開口24側から挿入され、両刃部8,9が頭端部2aの開口23側から突出して回動中心部7が頭端部2aに位置し、一方の柄部10でガイド13の両案内溝18に把持柄2内の両案内突条27が挿嵌されるとともにガイド13の尻端部13b側が尻端部2bの開口24から突出する。他方の柄部11で操作部19が把持柄2のスリット25に面している。この両案内溝18及び両案内突条27はそれぞれ頭端部13a,2a側から尻端部13b,2b側へ向うほど幅狭になるように傾斜しているため、それらが互いに挿嵌された状態で鋏本体1が把持柄2に対し頭端部13a,2aと尻端部13b,2bとを結ぶ長手方向Yへ若干移動し得る。ちなみに、鋏本体1は把持柄2に対しある程度の移動抵抗を有する。なお、前記鋏本体1において開動ばね16を省略してもよく、その場合には一方の柄部10に対し他方の柄部11を開閉動させ易いように操作部19で指当部21を環状に設け、その環状指当部21を把持柄2のスリット25から突出させる。
【0020】
前記操作部材3は、プラスチックにより有底筒状に成形され、内側の開口29と外側の底部30(連動部)とを有している。開口29側で操作部材3の両側にそれぞれ係止突片31が形成されている。この操作部材3の開口29側が把持柄2内に尻端部2bの開口24側から挿入され、この両係止突片31が把持柄2の尻端部2bの両案内孔28に係入される。前記一方の柄部10でガイド13の尻端部13b側がこの操作部材3内に開口29から挿入されてこの尻端部13bの連動部17が操作部材3の底部30と対向する。両係止突片31が両案内孔28に対し移動し得る範囲で操作部材3が把持柄2に対し鋏本体1と独立して前記長手方向Yへ若干移動し得る。この操作部材3は、前記鋏本体1が把持柄2から抜け落ちるのを阻止するストッパ蓋としても機能する。なお、操作部材3を把持柄2の尻端部2bから突出する向きへ圧縮コイルばね(図示せず)により付勢してもよい。
【0021】
プラスチックにより成形された前記キャップ4においては、蓋筒32の尻端部32bに開口33が形成され、この蓋筒32の頭端部32aの外側にクリップ34が一体的に形成されている。この開口33側で蓋筒32の内側には複数(4個)の小突起35が周方向へ並設されている。このクリップ34の根元には、図示しないキャラクター板を支持するための取付凹部36と、図示しないボールチェーンやストラップなどを通すための取付孔37とが形成されている。
【0022】
図1に示す不使用状態Aにおいては、鋏本体1で一方の柄部10に対し他方の柄部11が閉じて他方の柄部11における操作部19の指当部21が把持柄2のスリット25から極僅かに露出し、この操作部19の係脱部20がこの把持柄2の係脱部26に係止されて鋏本体1が開閉動不能にロックされるロック状態Qになっている。そのロック状態Qでキャップ4が蓋筒32の開口33から鋏本体1の両刃部8,9に被せられて把持柄2の頭端部2a側が蓋筒32の開口33側に挿入され、開口33の内側の各小突起35が把持柄2の頭端部2a側に押さえ付けられてキャップ4が把持柄2から抜け落ちることなく保持される。その保持状態では、操作部19の連動部22がキャップ4の尻端部32b(連動部)に押されて把持柄2に対する鋏本体1の移動が阻止されるとともに、一方の柄部10におけるガイド13の連動部17が操作部材3の底部30に当接して把持柄2に対する操作部材3の移動が阻止される。なお、その不使用状態Aで、両案内溝18の突起18aが両案内突条27の切込み27aから離脱している。ちなみに、この不使用状態Aにおけるペン型鋏の全長は約135mmである。
【0023】
図1に示す不使用状態Aでキャップ4を図2(a)に示すように把持柄2から外して鋏本体1の両刃部8,9を露出させると、キャップ4の尻端部32bが操作部19の連動部22から離れる。その場合でも、鋏本体1は、把持柄2に対し移動可能な状態のまま、操作部19の係脱部20と把持柄2の係脱部26とが互いに係止されたロック状態Qで維持される。その後、キャップ4を図2(b)に示すように蓋筒32の開口33から操作部材3に被せて操作部材3を蓋筒32の開口33側に挿入すると、開口33の内側の各小突起35が操作部材3の外周部3a(連動部)に押さえ付けられて操作部材3がキャップ4とともに把持柄2に対し移動する。操作部材3の両係止突片31が把持柄2の両案内孔28の端部に当接して操作部材3の移動が停止した後も、蓋筒32の尻端部32bが把持柄2の尻端部2bに当接するまでキャップ4が操作部材3及び把持柄2に対し移動して把持柄2に対し棒状に並ぶ。このように操作部材3がキャップ4により移動すると、操作部材3の底部30が一方の柄部10におけるガイド13の連動部17を押すため、鋏本体1の両案内溝18が把持柄2の両案内突条27に沿って移動した後にその両案内突条27で案内溝18の移動が阻止されるまで鋏本体1が把持柄2に対し移動して他方の柄部11における操作部19の係脱部20が把持柄2の係脱部26から離脱して図2(c)に示すように使用状態Bとなる。また、キャップ4を把持柄2から外す前に操作部材3を押すと、鋏本体1における操作部19の連動部22がキャップ4における蓋筒32の尻端部32bを押し、前述した場合と同様に両案内突条27で案内溝18の移動が阻止されるまで鋏本体1がキャップ4とともに把持柄2に対し移動して他方の柄部11における操作部19の係脱部20が把持柄2の係脱部26から離脱する。その際、キャップ4を把持柄2から容易に外すことができる程度にキャップ4と把持柄2とが互いに嵌め合わされた状態となる。その後、キャップ4を把持柄2から外すと、図2(c)に示すように使用状態Bとなる。
【0024】
その使用状態Bで、この両案内溝18の突起18aがこの両案内突条27の切込み27aに係入されて鋏本体1が把持柄2に対し位置決めされる。その位置決めにより、鋏本体1が把持柄2に対し尻端部2b側へ移動するのを阻止して、一方の柄部10に対し他方の柄部11を図3(a)に示すように押さえて閉じることができる。このような使用状態Bでは、一方の柄部10に対し他方の柄部11が開動ばね16により自動的に開き、鋏本体1を把持柄2に対し開閉動可能にロック解除するロック解除状態Pとなる。ちなみに、操作部材3はキャップ4とともに把持柄2に対し移動可能な状態となる。このように操作部材3を移動させる場合、必ずしもキャップ4による必要はなく、その操作部材3を指で触れて押したり物に軽く殴打したりしてもよい。また、必ずしも操作部材3を移動させる必要はなく、他方の柄部11における操作部19の指当部21を直接押して鋏本体1を移動させてもよい。
【0025】
図2(c)に示す使用状態Bで一方の柄部10に対し他方の柄部11を図3(a)に示すように押さえて閉じるとともに、他方の柄部11を押さえたまま図3(b)に示すようにキャップ4を操作部材3から外すと、操作部材3は単独で把持柄2に対し移動可能な状態となる。その後、キャップ4を鋏本体1の両刃部8,9に少し被せると、他方の柄部11を離しても一方の柄部10に対し他方の柄部11が閉じたままの状態となる。さらに、そのキャップ4を把持柄2の頭端部2a側に嵌め込むと、図3(c)に示すように操作部19の連動部22がキャップ4の尻端部32bに押されて鋏本体1が把持柄2に対し移動し、操作部19の係脱部20が把持柄2の係脱部26に係止されてロック状態Qとなり、図1に示す不使用状態Aに戻る。このように鋏本体1を移動させる場合、必ずしもキャップ4による必要はなく、他方の柄部11における操作部19の指当部21を直接押して鋏本体1を移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本実施形態にかかるロック機構付きペン型鋏において不使用状態を示す正面図であり、(b)は同じく正面側から見た断面図であり、(c)は同じく側面側から見た断面図である。
【図2】(a)(b)はそれぞれ上記ロック機構付きペン型鋏において不使用状態から使用状態に至る途中の状態を示す正面図であり、(c)は本実施形態にかかるロック機構付きペン型鋏において使用状態を示す正面図である。
【図3】(a)(b)(c)はそれぞれ上記ロック機構付きペン型鋏において使用状態から不使用状態に至る途中の状態を示す正面図である。
【図4】(a)は上記ロック機構付きペン型鋏において鋏本体を閉じた状態を示す正面図であり、(b)は同じく鋏本体を閉じた状態を示す背面図であり、(c)は同じく鋏本体を閉じた状態を示す側面図である。
【図5】(a)は上記ロック機構付きペン型鋏における把持柄を分解して示す正面図であり、(b)(c)はそれぞれこの把持柄を側面側から見た断面図である。
【図6】(a)は上記ロック機構付きペン型鋏における操作部材を分解して示す正面図であり、(b)は同じく側面図である。
【図7】(a)は図4(a)の鋏本体を開いた状態を示す正面図であり、(b)(c)はそれぞれこの鋏本体をさらに分解して示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1…鋏本体、2…把持柄、2a…頭端部、2b…尻端部、3…操作部材、4…キャップ、5,6…鋏片、7…回動中心部、8,9…刃部、10,11…柄部、20,26…係脱部、P…ロック解除状態、Q…ロック状態、Y…鋏本体の移動方向(長手方向)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両鋏片を互いに開閉動可能に回動中心部で支持した鋏本体と、この鋏本体を移動可能に支持した把持柄とを備え、この把持柄に対するこの鋏本体の移動に伴い、把持柄の頭端部から突出させた鋏本体を把持柄に対し開閉動可能にロック解除するロック解除状態と、鋏本体を把持柄に対し開閉動不能にロックするロック状態とを取り得るように、この鋏本体とこの把持柄との間に係脱部を設け、
前記鋏本体を前記把持柄に対しロック状態からロック解除状態にするように移動させる操作部材を、この把持柄の頭端部に対しこの鋏本体の移動方向で反対側になる把持柄の尻端部に取り付けた
ことを特徴とするロック機構付き鋏。
【請求項2】
前記操作部材は前記把持柄の尻端部から鋏本体の移動方向に沿って突出していることを特徴とする請求項1に記載のロック機構付き鋏。
【請求項3】
前記鋏本体においては両鋏片を回動中心部で互いに交叉させてその回動中心部よりも先端側で両鋏片に刃部を設けるとともにその回動中心部よりも基端側で両鋏片に柄部を設け、この両鋏片の柄部のうち一方の柄部を前記把持柄に対し移動可能に支持し、前記係脱部はこの両鋏片の柄部のうち他方の柄部とこの把持柄との間に設けられ、前記操作部材はこの両鋏片の柄部のうち一方の柄部をこの把持柄に対しロック状態からロック解除状態にするように移動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロック機構付き鋏。
【請求項4】
前記操作部材は、前記鋏本体に対し相対移動し得るように前記把持柄に対し移動可能に支持され、この鋏本体をロック状態からロック解除状態にするように鋏本体と係合し得ることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のロック機構付き鋏。
【請求項5】
前記鋏本体において両鋏片の刃部はロック状態とロック解除状態とで共に把持柄の頭端部から突出していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項に記載のロック機構付き鋏。
【請求項6】
前記鋏本体における両鋏片の刃部に被せるキャップを備え、このキャップは両鋏片の刃部から外されて前記操作部材または把持柄に取り付けられる際にその操作部材を移動させて鋏本体を把持柄に対しロック状態からロック解除状態にするように操作部材または把持柄と係合することを特徴とする請求項5に記載のロック機構付き鋏。
【請求項7】
前記キャップは前記操作部材に被せられて前記把持柄の尻端部に対し鋏本体の移動方向に沿って並ぶことを特徴とする請求項6に記載のロック機構付き鋏。
【請求項8】
前記キャップは両鋏片の刃部に被せられた状態で鋏本体を移動させて鋏本体を把持柄に対しロック解除状態からロック状態にするように鋏本体と係合することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のロック機構付き鋏。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate