ロック機構及び電子機器
【課題】ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部に装着された場合に、ロック部材と係合部が破損することを防ぐ。
【解決手段】電池蓋15にスライド移動可能に設けられ、電池収納部14の開口に装着された電池蓋15をロックするロック位置と、電池収納部14の開口に対して電池蓋15を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材21と、電池収納部14内に設けられロック位置に移動されたロック部材21が係合する係合部22と、ロック部材21と一体的に設けられ、電池蓋15が電池収納部14の開口を閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体28と、を備える。
【解決手段】電池蓋15にスライド移動可能に設けられ、電池収納部14の開口に装着された電池蓋15をロックするロック位置と、電池収納部14の開口に対して電池蓋15を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材21と、電池収納部14内に設けられロック位置に移動されたロック部材21が係合する係合部22と、ロック部材21と一体的に設けられ、電池蓋15が電池収納部14の開口を閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体28と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電池が収納された収納部を閉じた蓋部材をロックするためのロック機構、及びこのロック機構を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機をはじめとする携帯機器は、いつでも、どこでも、だれとでも、というユビキタス社会の到来に伴って、様々な状況での利用が想定されている。様々な利用場面の1つには、水周りでの利用も想定されており、防水性を有する携帯機器が提案されている。
【0003】
一般に、携帯電話機は、電池パックが収納された電池収納部を覆って塞ぐ電池蓋を備えており、電池パックが充放電を繰り返して寿命を有しているので、電池パック及び電池蓋が、電池収納部に対して着脱可能に構成されている(例えば特許文献1参照)。このため、電池蓋は、ユーザーによる電池蓋の取り扱いによる誤操作、電池蓋の嵌め忘れや嵌め込み不足などに起因する装着状態によって、電池収納部内への浸水が発生しやすい構成部品である。
【0004】
したがって、特に防水仕様の携帯電話機などにおいて、電池蓋の係合爪を筐体の係合穴に係合させるだけのような単純な係合構造だけでは、電池収納部に対する電池蓋の装着状態が不安定になり、防水の信頼性が乏しいと考えられている。この対策として、電池収納部に正常に装着された電池蓋をロックするためのロック機構を追加することで、電池収納部に対する電池蓋の正常な装着状態をユーザーに促し、防水の信頼性の向上が図られている。
【0005】
本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構について簡単に説明する。図13に、本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図14に、本発明に関連するロック機構の分解斜視図を示す。図15に、本発明に関連するロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。図16に、本発明に関連するロック機構のロック部材がロック位置に移動された状態の断面図を示す。
【0006】
図13及び図14に示すように、本発明に関連する携帯電話機は、フロントケース111とリアカバー112を組み合わせて構成される筐体110と、電池パック113が収納される電池収納部114と、電池収納部114に着脱可能に設けられた電池蓋115と、電池収納部114を閉じた電池蓋115をロックするためのロック機構117と、を備えている。
【0007】
図13及び図14に示すように、ロック機構117は、電池収納部114及び電池蓋115と、電池蓋115に矢印X方向にスライド移動可能に設けられたロック部材121と、ロック部材121が係合する係合部122と、を備えている。
【0008】
電池収納部114は、筐体110のリアカバー112に設けられており、電池蓋115が着脱可能に設けられている。電池蓋115は、電池収納部114に対して、ロック部材121のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Z方向(図中の垂直方向)に移動されて装着される。また、電池蓋115には、図15に示すように、ロック部材121のツマミ部121bをスライド操作するための開口115bが設けられている。
【0009】
ロック部材121は、電池収納部114に装着された電池蓋115をロックするロック位置と、電池収納部114に対して電池蓋115を着脱可能にするロック解除位置とに移動可能に設けられている。ロック部材121には、スライド操作するためのツマミ部21bが設けられており、ツマミ部121bが電池蓋115の開口115b内に配置されている。係合部122は、図14及び図16に示すように、電池収納部114内に設けられており、ロック部材121の端部が挿入される凹部122aを有している。
【0010】
そして、ロック機構117は、図16に示すように、ロック部材121の端部が係合部122の凹部122aに係合されることで、電池収納部114に装着された電池蓋115がロックされる。
【0011】
また、本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構について簡単に説明する。図17に、本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図18に、本発明に関連する他のロック機構の分解斜視図を示す。図19に、本発明に関連する他のロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。図20に、本発明に関連する他のロック機構のロック部材がロック位置に移動された状態の断面図を示す。
【0012】
本発明に関連する他の携帯電話機は、上述した構成例と同一のロック機構を備えているが、電池収納部に対して装着される電池蓋の構造のみが異なっている。このため、以下の説明において、上述した構成例と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
図17及び図18に示すように、携帯電話機は、フロントケース131とリアカバー132を組み合わせて構成される筐体130と、電池パック113が収納される電池収納部134と、電池収納部134に着脱可能に設けられた電池蓋135と、を備えている。また、携帯電話機は、電池収納部134を閉じた電池蓋135をロックするためのロック機構137を備えている。ロック機構137は、上述したロック機構117と構造が同一であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
電池収納部134は、筐体130のリアカバー132に設けられており、電池蓋135が着脱可能に設けられている。電池蓋135は、電池収納部134に対して、ロック部材121のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Y方向(図中の水平方向)に移動されて装着される。また、電池蓋135には、図18及び図19に示すように、ロック部材121のツマミ部121bをスライド操作するための開口135bが設けられている。したがって、電池蓋135は、電池収納部134に対してY方向にスライド移動されることで着脱操作される。
【0015】
そして、この構成例のロック機構137においても、上述したロック機構117と同様に、ロック部材121の端部が係合部122の凹部122aに係合されることで、電池収納部134に装着された電池蓋135がロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8−306349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述したロック機構では、ロック部材をロック位置に位置させた状態のままで、電池蓋を電池収納部に装着しようとした場合、ロック部材が係合部に衝突し、ロック部材が係合部の外側に乗り上げてしまい、電池蓋で電池収納部を閉じることができないことがある。
【0018】
このような場合、一旦、ロック部材をロック解除位置に移動させた後に電池蓋を電池収納部に再度装着し直したり、ロック部材がロック位置に移動されている状態に気付かずに電池蓋を無理に電池収納部に装着させたりすることで、ロック部材や係合部を破損してしまうおそれがある。
【0019】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部に装着された場合であっても、ロック部材と係合部の破損を防ぐことができるロック機構及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した目的を達成するため、本発明に係るロック機構は、
開口を有し、被収納物が収納される電池収納部と、
電池収納部の開口に着脱可能に設けられた電池蓋と、
電池蓋にスライド移動可能に設けられ、電池収納部の開口に装着された電池蓋をロックするロック位置と、電池収納部の開口に対して電池蓋を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材と、
電池収納部内に設けられ、ロック位置に移動されたロック部材が係合する係合部と、
ロック部材と一体的に設けられ、電池蓋が電池収納部の開口を閉じるときにロック部材が係合部に当接した場合に、ロック部材によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体と、を備える。
【0021】
また、本発明に係る電子機器は、本発明のロック機構と、収納部が設けられた筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部の開口を閉じたときに、ロック部材が係合部に当接した場合にロック部材によって弾性体が押し潰されて弾性変形することで、ロック部材に作用する力を吸収してロック部材及び係合部の破損を防ぐことができる。また、弾性変形した弾性体は、弾性力を、ロック部材をロック位置からロック解除位置側に向かって移動させる力に変換して解放することによって、ロック部材がロック解除位置に移動されるので、ロック部材と係合部との干渉を回避することができる。また、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部の開口を閉じた場合であっても、ロック部材をロック解除位置に自動的に移動させることができるので、ロック機構の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態におけるロック機構を示す分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図4】第1の実施形態においてロック部材がロック位置に移動された状態を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態においてロック部材がロック解除位置に移動された状態を示す断面図である。
【図6】第1の実施形態において弾性体が弾性変形された状態を模式的に示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態におけるロック機構を示す分解斜視図である。
【図9】第2の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図10】第2の実施形態においてロック部材がロック位置に移動された状態を示す断面図である。
【図11】第2の実施形態においてロック部材がロック解除位置に移動された状態を示す断面図である。
【図12】第1の実施形態において弾性体が弾性変形された状態を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図14】本発明に関連するロック機構を示す分解斜視図である。
【図15】本発明に関連するロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図16】本発明に関連するロック機構のロック部材が電池蓋をロックしている状態を示す断面図である。
【図17】本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図18】本発明に関連する他のロック機構を示す分解斜視図である。
【図19】本発明に関連する他のロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図20】本発明に関連する他のロック機構のロック部材が電池蓋をロックしている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図2に、第1の実施形態におけるロック機構の分解斜視図を示す。図3に、第1の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。
【0026】
図1に示すように、第1の実施形態の携帯電話機は、フロントケース11とリアカバー12を組み合わせて構成される筐体10と、被収納物としての電池パック13が収納される電池収納部14と、電池収納部14に着脱可能に設けられた蓋部材としての電池蓋15と、を備えている。また、本実施形態の携帯電話機は、電池収納部14を閉じた電池蓋15をロックするためのロック機構17を備えている。
【0027】
図1及び図2に示すように、ロック機構17は、電池収納部14及び電池蓋15と、電池蓋15に矢印X方向にスライド移動可能に設けられたロック部材21と、ロック部材21が係合する係合部22と、を備えている。
【0028】
電池収納部14は、筐体10のリアカバー12に設けられており、電池蓋15が着脱可能に設けられる開口14aを有している。電池収納部14における、電池パック13が装着される凹部は防水構造を有している。また、電池収納部14は、電池蓋15が係合される係合穴14bが設けられている。
【0029】
電池蓋15は、電池収納部14の開口14aに対して、ロック部材21のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Z方向(図中の垂直方向)に移動されて、開口14aに装着される。電池蓋15には、図2に示すように、電池収納部14の係合穴14bに係合される係合爪15aが設けられている。
【0030】
また、電池蓋15には、図3に示すように、ロック部材21のツマミ部21bをスライド操作するための開口15bが設けられている。また、電池蓋15の裏面側の開口15bの近傍には、ロック部材21をスライド可能に支持する支持片24aを有するガイド部24が一体に形成されている。
【0031】
ロック部材21は、電池収納部14の開口14aに装着された電池蓋15をロックするロック位置と、電池収納部14の開口14aに対して電池蓋15を着脱可能にするロック解除位置とに移動可能に設けられている。
【0032】
ロック部材21の一端部には、係合部22に係合されるロック爪21aが設けられている。また、ロック部材21には、スライド操作するための操作部としてのツマミ部21bが設けられており、ツマミ部21bが電池蓋15の開口15bに挿通されて配置されている。また、ロック爪21aには、係合部22の外側に当接した場合に係合部22に対して摺接される第1の傾斜面25が形成されている。
【0033】
係合部22は、図2に示すように、電池収納部14内に設けられており、ロック部材21の端部が挿入される凹部22aを有している。また、係合部22の外側には、ロック部材21の底面に対向する位置に、ロック部材21のロック爪21aの第1の傾斜面25が摺接する第2の傾斜面26が形成されている。第1及び第2の傾斜面25、26は、ロック部材21が係合部22に対して摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって移動させるように形成されている。
【0034】
また、ロック機構17は、図2及び図3に示すように、電池蓋15が電池収納部14の開口14aを閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体28を備えている。
【0035】
弾性体28は、例えばフッ素コートティングシリコーンゴムなどの摺動性を有するゴム材によって略直方体状に形成されている。弾性体28は、ロック部材21のツマミ部21bと嵌合される嵌合穴28aが設けられており、嵌合穴28aにロック部材21のツマミ部21bが嵌合されることで、ロック部材21と電池蓋15との間に配置され、ロック部材21と一体的に移動される。
【0036】
以上のように構成されたロック機構17について、電池収納部14に装着された電池蓋15がロックされる動作を説明する。図4に、第1の実施形態においてロック部材21がロック位置に移動された状態の断面図を示す。図5に、第1の実施形態においてロック部材21がロック解除位置に移動された状態の断面図を示す。図6に、第1の実施形態において弾性体28が弾性変形された状態の模式的な断面図を示す。
【0037】
まず、ロック機構17は、図4に示すように、電池収納部14に対して電池蓋15がZ方向から装着され、ロック部材21がロック位置に移動されることで、ロック爪21aが係合部22の凹部22aに係合される。これによって、電池蓋15は、電池収納部14に係合された状態でロックされる。
【0038】
また、ロック機構17は、図5に示すように、ロック部材21がロック解除位置に移動されることで、ロック部材21のロック爪21aと係合部22の凹部22aとの係合状態が解除される。このため、電池収納部14に装着された電池蓋15は、電池収納部14に対して取り外し可能にされる。
【0039】
そして、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で、電池蓋15が電池収納部14に対してZ方向から装着された場合、図6に示すように、ロック部材21のロック爪21aが係合部22の外側に当接して乗り上げてしまう。このため、電池収納部14に対して電池蓋15が装着されることで、ロック部材21が係合部22からZ方向に押圧力を受けて、ロック部材21と電池蓋15との間で弾性体28がZ方向に対して押し潰されて弾性変形する。このように、弾性体28がZ方向に弾性変形することで、ロック部材21と係合部22が当接したときにロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0040】
続いて、弾性体28は、弾性力を、ロック部材21がスライド可能な方向であるロック解除位置側に向かって移動させる力に変換して解放する。ロック部材21は、弾性体28によってロック解除位置側に向かって移動されることで、ロック爪21aが係合部22から退避されて、ロック部材21と係合部22との当接状態が解消される。このため、ロック部材21と係合部22が当接した状態が継続してロック部材21と係合部22が干渉することが回避されている。
【0041】
加えて、ロック部材21が係合部22の外側に当接したとき、ロック部材21の第1の傾斜面25と係合部22の第2の傾斜面26が摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動可能にされている。言い換えれば、ロック機構17は、ロック部材21と係合部22とが当接して互いに干渉したときに、ロック部材21のZ方向である垂直方向の移動を、X方向である水平方向の移動に変換する構造を有している。このため、ロック部材21は、ロック爪21aと係合部22とが当接した場合に、ロック位置からロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動される。
【0042】
したがって、ユーザーは、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、ロック部材21がロック解除位置に自動的に移動される。すなわち、ロック部材21がロック位置に移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、電池蓋15を電池収納部14から一旦、取り外して、ロック部材21をロック解除位置に移動させた後に、電池蓋15を電池収納部14に再度装着するといった煩雑な作業が不要になる。このため、ロック機構17は、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐと共に、電池収納部14に装着された電池蓋15をロックするときの操作性が向上される。
【0043】
上述したように、本実施形態のロック機構17は、電池蓋15が電池収納部14の開口14aを閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形されると共に弾性力によってロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる弾性体28を備えている。これによって、ロック機構17は、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐことができる。
【0044】
また、本実施形態では、弾性体28としてシリコーンゴムを使用することで、電池蓋15を電池収納部14に嵌め込んで装着するときに、弾性体28が押圧力で一時的に圧縮されるが、ロック部材21がロック解除位置に移動した後、弾性体28の弾性力で元の形状に復帰する。つまり、弾性体28は、弾性力を解放するので、無永久圧縮歪(塑性変形)を生じることなく、弾性体28の保守交換が不要である。
【0045】
また、本実施形態によれば、ユーザーはロック部材21の位置を気にかけることなく、電池蓋15を電池収納部14に装着することが可能になる。このため、電池蓋15の装着時のロック部材21をロック解除位置に移動させる煩わしさが解消され、ロック機構17の操作性を向上することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の携帯電話機は、電池収納部に対して装着される電池蓋の構造だけが第1の実施形態と異なっている。このため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図7に、第2の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構17の斜視図を示す。図8に、第2の実施形態におけるロック機構17の分解斜視図を示す。図9に、第2の実施形態におけるロック機構17を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。
【0048】
図7及び図8に示すように、第2の実施形態の携帯電話機は、フロントケース31とリアカバー32を組み合わせて構成される筐体30と、電池パック13が収納される電池収納部34と、電池収納部34に着脱可能に設けられた電池蓋35と、を備えている。また、本実施形態の携帯電話機は、電池収納部34を閉じた電池蓋35をロックするためのロック機構37を備えている。ロック機構37は、上述したロック機構17と構造が同一であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
電池収納部34は、筐体30のリアカバー32に設けられており、電池蓋35が着脱可能に設けられる開口34aを有している。電池収納部34における、電池パック13が装着される凹部は防水構造を有している。また、電池収納部34は、電池蓋35が係合される係合穴34bが設けられている。
【0050】
電池蓋35は、電池収納部34の開口34aに対して、ロック部材21のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Y方向(図中の水平方向)に移動されて、開口34aに装着される。電池蓋35には、図8に示すように、電池収納部34の係合穴34bに係合される係合爪35aが設けられている。
【0051】
また、電池蓋35には、図9に示すように、ロック部材21のツマミ部21bをスライド操作するための開口35bが設けられている。また、電池蓋35の裏面側の開口35bの近傍には、ロック部材21をスライド可能に支持する支持片34aを有するガイド部34が一体に形成されている。
【0052】
また、図10に示すように、電池蓋35には、Y方向に平行な側壁の内側に、電池収納部34に対してY方向にスライド移動するためのガイド爪38が設けられている。また、電池収納部34には、Y方向に平行な外周部に、電池蓋35のガイド爪38が係合するガイド溝39が設けられている。したがって、電池蓋35は、ガイド爪38がガイド溝39に沿ってY方向にスライド操作されることで、電池収納部34に対して着脱される。
【0053】
以上のように構成されたロック機構37について、電池収納部34に装着された電池蓋35がロックされる動作を説明する。図10に、第2の実施形態においてロック部材21がロック位置に移動された状態の断面図を示す。図11に、第2の実施形態においてロック部材21がロック解除位置に移動された状態の断面図を示す。図12に、第2の実施形態において弾性体が弾性変形された状態の模式的な断面図を示す。
【0054】
まず、ロック機構37は、図10に示すように、電池収納部34に対して電池蓋35がY方向から装着され、ロック部材21がロック位置に移動されることで、ロック爪21aが係合部22の凹部22aに係合される。これによって、電池蓋35は、電池収納部34に係合された状態でロックされる。
【0055】
また、ロック機構37は、図11に示すように、ロック部材21がロック解除位置に移動されることで、ロック部材21のロック爪21aと係合部22の凹部22aとの係合状態が解除される。このため、電池収納部34に装着された電池蓋35は、電池収納部34に対して取り外し可能にされる。
【0056】
そして、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で、電池蓋35が電池収納部34に対してY方向から装着された場合、図12に示すように、ロック部材21のロック爪21aが係合部22の外側に当接して乗り上げてしまう。このため、電池収納部34に対して電池蓋35が装着されることで、ロック部材21が係合部22からZ方向に押圧力を受けて、ロック部材21と電池蓋35との間で弾性体28がZ方向に対して押し潰されて弾性変形する。このように、弾性体28がZ方向に弾性変形することで、ロック部材21と係合部22が当接したときにロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0057】
続いて、弾性体28は、弾性力が解放されることで、ロック部材21がスライド可能な方向であるロック解除位置側に向かってロック部材21をスライドさせる。このため、ロック爪21aが係合部22から退避されて、ロック部材21と係合部22との当接状態が解消される。このため、ロック部材21と係合部22が当接した状態が継続してロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0058】
加えて、ロック部材21が係合部22の外側に当接したとき、ロック部材21の第1の傾斜面25と係合部22の第2の傾斜面26が摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動可能にされている。このため、ロック部材21は、ロック爪21aと係合部22とが当接した場合に、ロック位置からロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動される。
【0059】
したがって、ユーザーは、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、ロック部材21がロック解除位置に自動的に移動される。すなわち、ロック部材21がロック位置に移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、電池蓋35を電池収納部34から一旦、取り外して、ロック部材21をロック解除位置に移動させた後に、電池蓋35を電池収納部34に再度装着するといった煩雑な作業が不要になる。このため、ロック機構17は、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐと共に、電池収納部34に装着された電池蓋35をロックするときの操作性が向上される。
【0060】
上述したように、本実施形態においても、第1の実施形態のロック機構17と同様に、ロック機構37が弾性体28を備えることによって、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐことができる。また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0061】
13 電池
14 電池収納部
14a 開口
15 電池蓋
17 ロック機構
21 ロック部材
22 係合部
28 弾性体
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電池が収納された収納部を閉じた蓋部材をロックするためのロック機構、及びこのロック機構を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機をはじめとする携帯機器は、いつでも、どこでも、だれとでも、というユビキタス社会の到来に伴って、様々な状況での利用が想定されている。様々な利用場面の1つには、水周りでの利用も想定されており、防水性を有する携帯機器が提案されている。
【0003】
一般に、携帯電話機は、電池パックが収納された電池収納部を覆って塞ぐ電池蓋を備えており、電池パックが充放電を繰り返して寿命を有しているので、電池パック及び電池蓋が、電池収納部に対して着脱可能に構成されている(例えば特許文献1参照)。このため、電池蓋は、ユーザーによる電池蓋の取り扱いによる誤操作、電池蓋の嵌め忘れや嵌め込み不足などに起因する装着状態によって、電池収納部内への浸水が発生しやすい構成部品である。
【0004】
したがって、特に防水仕様の携帯電話機などにおいて、電池蓋の係合爪を筐体の係合穴に係合させるだけのような単純な係合構造だけでは、電池収納部に対する電池蓋の装着状態が不安定になり、防水の信頼性が乏しいと考えられている。この対策として、電池収納部に正常に装着された電池蓋をロックするためのロック機構を追加することで、電池収納部に対する電池蓋の正常な装着状態をユーザーに促し、防水の信頼性の向上が図られている。
【0005】
本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構について簡単に説明する。図13に、本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図14に、本発明に関連するロック機構の分解斜視図を示す。図15に、本発明に関連するロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。図16に、本発明に関連するロック機構のロック部材がロック位置に移動された状態の断面図を示す。
【0006】
図13及び図14に示すように、本発明に関連する携帯電話機は、フロントケース111とリアカバー112を組み合わせて構成される筐体110と、電池パック113が収納される電池収納部114と、電池収納部114に着脱可能に設けられた電池蓋115と、電池収納部114を閉じた電池蓋115をロックするためのロック機構117と、を備えている。
【0007】
図13及び図14に示すように、ロック機構117は、電池収納部114及び電池蓋115と、電池蓋115に矢印X方向にスライド移動可能に設けられたロック部材121と、ロック部材121が係合する係合部122と、を備えている。
【0008】
電池収納部114は、筐体110のリアカバー112に設けられており、電池蓋115が着脱可能に設けられている。電池蓋115は、電池収納部114に対して、ロック部材121のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Z方向(図中の垂直方向)に移動されて装着される。また、電池蓋115には、図15に示すように、ロック部材121のツマミ部121bをスライド操作するための開口115bが設けられている。
【0009】
ロック部材121は、電池収納部114に装着された電池蓋115をロックするロック位置と、電池収納部114に対して電池蓋115を着脱可能にするロック解除位置とに移動可能に設けられている。ロック部材121には、スライド操作するためのツマミ部21bが設けられており、ツマミ部121bが電池蓋115の開口115b内に配置されている。係合部122は、図14及び図16に示すように、電池収納部114内に設けられており、ロック部材121の端部が挿入される凹部122aを有している。
【0010】
そして、ロック機構117は、図16に示すように、ロック部材121の端部が係合部122の凹部122aに係合されることで、電池収納部114に装着された電池蓋115がロックされる。
【0011】
また、本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構について簡単に説明する。図17に、本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図18に、本発明に関連する他のロック機構の分解斜視図を示す。図19に、本発明に関連する他のロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。図20に、本発明に関連する他のロック機構のロック部材がロック位置に移動された状態の断面図を示す。
【0012】
本発明に関連する他の携帯電話機は、上述した構成例と同一のロック機構を備えているが、電池収納部に対して装着される電池蓋の構造のみが異なっている。このため、以下の説明において、上述した構成例と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
図17及び図18に示すように、携帯電話機は、フロントケース131とリアカバー132を組み合わせて構成される筐体130と、電池パック113が収納される電池収納部134と、電池収納部134に着脱可能に設けられた電池蓋135と、を備えている。また、携帯電話機は、電池収納部134を閉じた電池蓋135をロックするためのロック機構137を備えている。ロック機構137は、上述したロック機構117と構造が同一であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
電池収納部134は、筐体130のリアカバー132に設けられており、電池蓋135が着脱可能に設けられている。電池蓋135は、電池収納部134に対して、ロック部材121のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Y方向(図中の水平方向)に移動されて装着される。また、電池蓋135には、図18及び図19に示すように、ロック部材121のツマミ部121bをスライド操作するための開口135bが設けられている。したがって、電池蓋135は、電池収納部134に対してY方向にスライド移動されることで着脱操作される。
【0015】
そして、この構成例のロック機構137においても、上述したロック機構117と同様に、ロック部材121の端部が係合部122の凹部122aに係合されることで、電池収納部134に装着された電池蓋135がロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8−306349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述したロック機構では、ロック部材をロック位置に位置させた状態のままで、電池蓋を電池収納部に装着しようとした場合、ロック部材が係合部に衝突し、ロック部材が係合部の外側に乗り上げてしまい、電池蓋で電池収納部を閉じることができないことがある。
【0018】
このような場合、一旦、ロック部材をロック解除位置に移動させた後に電池蓋を電池収納部に再度装着し直したり、ロック部材がロック位置に移動されている状態に気付かずに電池蓋を無理に電池収納部に装着させたりすることで、ロック部材や係合部を破損してしまうおそれがある。
【0019】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部に装着された場合であっても、ロック部材と係合部の破損を防ぐことができるロック機構及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した目的を達成するため、本発明に係るロック機構は、
開口を有し、被収納物が収納される電池収納部と、
電池収納部の開口に着脱可能に設けられた電池蓋と、
電池蓋にスライド移動可能に設けられ、電池収納部の開口に装着された電池蓋をロックするロック位置と、電池収納部の開口に対して電池蓋を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材と、
電池収納部内に設けられ、ロック位置に移動されたロック部材が係合する係合部と、
ロック部材と一体的に設けられ、電池蓋が電池収納部の開口を閉じるときにロック部材が係合部に当接した場合に、ロック部材によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体と、を備える。
【0021】
また、本発明に係る電子機器は、本発明のロック機構と、収納部が設けられた筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部の開口を閉じたときに、ロック部材が係合部に当接した場合にロック部材によって弾性体が押し潰されて弾性変形することで、ロック部材に作用する力を吸収してロック部材及び係合部の破損を防ぐことができる。また、弾性変形した弾性体は、弾性力を、ロック部材をロック位置からロック解除位置側に向かって移動させる力に変換して解放することによって、ロック部材がロック解除位置に移動されるので、ロック部材と係合部との干渉を回避することができる。また、ロック部材がロック位置に移動された状態で蓋部材が収納部の開口を閉じた場合であっても、ロック部材をロック解除位置に自動的に移動させることができるので、ロック機構の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態におけるロック機構を示す分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図4】第1の実施形態においてロック部材がロック位置に移動された状態を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態においてロック部材がロック解除位置に移動された状態を示す断面図である。
【図6】第1の実施形態において弾性体が弾性変形された状態を模式的に示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態におけるロック機構を示す分解斜視図である。
【図9】第2の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図10】第2の実施形態においてロック部材がロック位置に移動された状態を示す断面図である。
【図11】第2の実施形態においてロック部材がロック解除位置に移動された状態を示す断面図である。
【図12】第1の実施形態において弾性体が弾性変形された状態を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明に関連する携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図14】本発明に関連するロック機構を示す分解斜視図である。
【図15】本発明に関連するロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図16】本発明に関連するロック機構のロック部材が電池蓋をロックしている状態を示す断面図である。
【図17】本発明に関連する他の携帯電話機が備えるロック機構を示す斜視図である。
【図18】本発明に関連する他のロック機構を示す分解斜視図である。
【図19】本発明に関連する他のロック機構を電池蓋の裏側から示す分解斜視図である。
【図20】本発明に関連する他のロック機構のロック部材が電池蓋をロックしている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構の斜視図を示す。図2に、第1の実施形態におけるロック機構の分解斜視図を示す。図3に、第1の実施形態におけるロック機構を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。
【0026】
図1に示すように、第1の実施形態の携帯電話機は、フロントケース11とリアカバー12を組み合わせて構成される筐体10と、被収納物としての電池パック13が収納される電池収納部14と、電池収納部14に着脱可能に設けられた蓋部材としての電池蓋15と、を備えている。また、本実施形態の携帯電話機は、電池収納部14を閉じた電池蓋15をロックするためのロック機構17を備えている。
【0027】
図1及び図2に示すように、ロック機構17は、電池収納部14及び電池蓋15と、電池蓋15に矢印X方向にスライド移動可能に設けられたロック部材21と、ロック部材21が係合する係合部22と、を備えている。
【0028】
電池収納部14は、筐体10のリアカバー12に設けられており、電池蓋15が着脱可能に設けられる開口14aを有している。電池収納部14における、電池パック13が装着される凹部は防水構造を有している。また、電池収納部14は、電池蓋15が係合される係合穴14bが設けられている。
【0029】
電池蓋15は、電池収納部14の開口14aに対して、ロック部材21のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Z方向(図中の垂直方向)に移動されて、開口14aに装着される。電池蓋15には、図2に示すように、電池収納部14の係合穴14bに係合される係合爪15aが設けられている。
【0030】
また、電池蓋15には、図3に示すように、ロック部材21のツマミ部21bをスライド操作するための開口15bが設けられている。また、電池蓋15の裏面側の開口15bの近傍には、ロック部材21をスライド可能に支持する支持片24aを有するガイド部24が一体に形成されている。
【0031】
ロック部材21は、電池収納部14の開口14aに装着された電池蓋15をロックするロック位置と、電池収納部14の開口14aに対して電池蓋15を着脱可能にするロック解除位置とに移動可能に設けられている。
【0032】
ロック部材21の一端部には、係合部22に係合されるロック爪21aが設けられている。また、ロック部材21には、スライド操作するための操作部としてのツマミ部21bが設けられており、ツマミ部21bが電池蓋15の開口15bに挿通されて配置されている。また、ロック爪21aには、係合部22の外側に当接した場合に係合部22に対して摺接される第1の傾斜面25が形成されている。
【0033】
係合部22は、図2に示すように、電池収納部14内に設けられており、ロック部材21の端部が挿入される凹部22aを有している。また、係合部22の外側には、ロック部材21の底面に対向する位置に、ロック部材21のロック爪21aの第1の傾斜面25が摺接する第2の傾斜面26が形成されている。第1及び第2の傾斜面25、26は、ロック部材21が係合部22に対して摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって移動させるように形成されている。
【0034】
また、ロック機構17は、図2及び図3に示すように、電池蓋15が電池収納部14の開口14aを閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形させられると共に弾性力を、ロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体28を備えている。
【0035】
弾性体28は、例えばフッ素コートティングシリコーンゴムなどの摺動性を有するゴム材によって略直方体状に形成されている。弾性体28は、ロック部材21のツマミ部21bと嵌合される嵌合穴28aが設けられており、嵌合穴28aにロック部材21のツマミ部21bが嵌合されることで、ロック部材21と電池蓋15との間に配置され、ロック部材21と一体的に移動される。
【0036】
以上のように構成されたロック機構17について、電池収納部14に装着された電池蓋15がロックされる動作を説明する。図4に、第1の実施形態においてロック部材21がロック位置に移動された状態の断面図を示す。図5に、第1の実施形態においてロック部材21がロック解除位置に移動された状態の断面図を示す。図6に、第1の実施形態において弾性体28が弾性変形された状態の模式的な断面図を示す。
【0037】
まず、ロック機構17は、図4に示すように、電池収納部14に対して電池蓋15がZ方向から装着され、ロック部材21がロック位置に移動されることで、ロック爪21aが係合部22の凹部22aに係合される。これによって、電池蓋15は、電池収納部14に係合された状態でロックされる。
【0038】
また、ロック機構17は、図5に示すように、ロック部材21がロック解除位置に移動されることで、ロック部材21のロック爪21aと係合部22の凹部22aとの係合状態が解除される。このため、電池収納部14に装着された電池蓋15は、電池収納部14に対して取り外し可能にされる。
【0039】
そして、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で、電池蓋15が電池収納部14に対してZ方向から装着された場合、図6に示すように、ロック部材21のロック爪21aが係合部22の外側に当接して乗り上げてしまう。このため、電池収納部14に対して電池蓋15が装着されることで、ロック部材21が係合部22からZ方向に押圧力を受けて、ロック部材21と電池蓋15との間で弾性体28がZ方向に対して押し潰されて弾性変形する。このように、弾性体28がZ方向に弾性変形することで、ロック部材21と係合部22が当接したときにロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0040】
続いて、弾性体28は、弾性力を、ロック部材21がスライド可能な方向であるロック解除位置側に向かって移動させる力に変換して解放する。ロック部材21は、弾性体28によってロック解除位置側に向かって移動されることで、ロック爪21aが係合部22から退避されて、ロック部材21と係合部22との当接状態が解消される。このため、ロック部材21と係合部22が当接した状態が継続してロック部材21と係合部22が干渉することが回避されている。
【0041】
加えて、ロック部材21が係合部22の外側に当接したとき、ロック部材21の第1の傾斜面25と係合部22の第2の傾斜面26が摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動可能にされている。言い換えれば、ロック機構17は、ロック部材21と係合部22とが当接して互いに干渉したときに、ロック部材21のZ方向である垂直方向の移動を、X方向である水平方向の移動に変換する構造を有している。このため、ロック部材21は、ロック爪21aと係合部22とが当接した場合に、ロック位置からロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動される。
【0042】
したがって、ユーザーは、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、ロック部材21がロック解除位置に自動的に移動される。すなわち、ロック部材21がロック位置に移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、電池蓋15を電池収納部14から一旦、取り外して、ロック部材21をロック解除位置に移動させた後に、電池蓋15を電池収納部14に再度装着するといった煩雑な作業が不要になる。このため、ロック機構17は、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐと共に、電池収納部14に装着された電池蓋15をロックするときの操作性が向上される。
【0043】
上述したように、本実施形態のロック機構17は、電池蓋15が電池収納部14の開口14aを閉じるときにロック部材21が係合部22に当接した場合に、ロック部材21によって弾性変形されると共に弾性力によってロック部材21をロック解除位置側に向かって移動させる弾性体28を備えている。これによって、ロック機構17は、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋15が電池収納部14に装着された場合に、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐことができる。
【0044】
また、本実施形態では、弾性体28としてシリコーンゴムを使用することで、電池蓋15を電池収納部14に嵌め込んで装着するときに、弾性体28が押圧力で一時的に圧縮されるが、ロック部材21がロック解除位置に移動した後、弾性体28の弾性力で元の形状に復帰する。つまり、弾性体28は、弾性力を解放するので、無永久圧縮歪(塑性変形)を生じることなく、弾性体28の保守交換が不要である。
【0045】
また、本実施形態によれば、ユーザーはロック部材21の位置を気にかけることなく、電池蓋15を電池収納部14に装着することが可能になる。このため、電池蓋15の装着時のロック部材21をロック解除位置に移動させる煩わしさが解消され、ロック機構17の操作性を向上することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の携帯電話機は、電池収納部に対して装着される電池蓋の構造だけが第1の実施形態と異なっている。このため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図7に、第2の実施形態の携帯電話機が備えるロック機構17の斜視図を示す。図8に、第2の実施形態におけるロック機構17の分解斜視図を示す。図9に、第2の実施形態におけるロック機構17を電池蓋の裏側から見た分解斜視図を示す。
【0048】
図7及び図8に示すように、第2の実施形態の携帯電話機は、フロントケース31とリアカバー32を組み合わせて構成される筐体30と、電池パック13が収納される電池収納部34と、電池収納部34に着脱可能に設けられた電池蓋35と、を備えている。また、本実施形態の携帯電話機は、電池収納部34を閉じた電池蓋35をロックするためのロック機構37を備えている。ロック機構37は、上述したロック機構17と構造が同一であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
電池収納部34は、筐体30のリアカバー32に設けられており、電池蓋35が着脱可能に設けられる開口34aを有している。電池収納部34における、電池パック13が装着される凹部は防水構造を有している。また、電池収納部34は、電池蓋35が係合される係合穴34bが設けられている。
【0050】
電池蓋35は、電池収納部34の開口34aに対して、ロック部材21のスライド方向である矢印X方向と直交する矢印Y方向(図中の水平方向)に移動されて、開口34aに装着される。電池蓋35には、図8に示すように、電池収納部34の係合穴34bに係合される係合爪35aが設けられている。
【0051】
また、電池蓋35には、図9に示すように、ロック部材21のツマミ部21bをスライド操作するための開口35bが設けられている。また、電池蓋35の裏面側の開口35bの近傍には、ロック部材21をスライド可能に支持する支持片34aを有するガイド部34が一体に形成されている。
【0052】
また、図10に示すように、電池蓋35には、Y方向に平行な側壁の内側に、電池収納部34に対してY方向にスライド移動するためのガイド爪38が設けられている。また、電池収納部34には、Y方向に平行な外周部に、電池蓋35のガイド爪38が係合するガイド溝39が設けられている。したがって、電池蓋35は、ガイド爪38がガイド溝39に沿ってY方向にスライド操作されることで、電池収納部34に対して着脱される。
【0053】
以上のように構成されたロック機構37について、電池収納部34に装着された電池蓋35がロックされる動作を説明する。図10に、第2の実施形態においてロック部材21がロック位置に移動された状態の断面図を示す。図11に、第2の実施形態においてロック部材21がロック解除位置に移動された状態の断面図を示す。図12に、第2の実施形態において弾性体が弾性変形された状態の模式的な断面図を示す。
【0054】
まず、ロック機構37は、図10に示すように、電池収納部34に対して電池蓋35がY方向から装着され、ロック部材21がロック位置に移動されることで、ロック爪21aが係合部22の凹部22aに係合される。これによって、電池蓋35は、電池収納部34に係合された状態でロックされる。
【0055】
また、ロック機構37は、図11に示すように、ロック部材21がロック解除位置に移動されることで、ロック部材21のロック爪21aと係合部22の凹部22aとの係合状態が解除される。このため、電池収納部34に装着された電池蓋35は、電池収納部34に対して取り外し可能にされる。
【0056】
そして、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で、電池蓋35が電池収納部34に対してY方向から装着された場合、図12に示すように、ロック部材21のロック爪21aが係合部22の外側に当接して乗り上げてしまう。このため、電池収納部34に対して電池蓋35が装着されることで、ロック部材21が係合部22からZ方向に押圧力を受けて、ロック部材21と電池蓋35との間で弾性体28がZ方向に対して押し潰されて弾性変形する。このように、弾性体28がZ方向に弾性変形することで、ロック部材21と係合部22が当接したときにロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0057】
続いて、弾性体28は、弾性力が解放されることで、ロック部材21がスライド可能な方向であるロック解除位置側に向かってロック部材21をスライドさせる。このため、ロック爪21aが係合部22から退避されて、ロック部材21と係合部22との当接状態が解消される。このため、ロック部材21と係合部22が当接した状態が継続してロック部材21及び係合部22が破損することが防止されている。
【0058】
加えて、ロック部材21が係合部22の外側に当接したとき、ロック部材21の第1の傾斜面25と係合部22の第2の傾斜面26が摺接することで、ロック部材21がロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動可能にされている。このため、ロック部材21は、ロック爪21aと係合部22とが当接した場合に、ロック位置からロック解除位置側に向かって円滑にスライド移動される。
【0059】
したがって、ユーザーは、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、ロック部材21がロック解除位置に自動的に移動される。すなわち、ロック部材21がロック位置に移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、電池蓋35を電池収納部34から一旦、取り外して、ロック部材21をロック解除位置に移動させた後に、電池蓋35を電池収納部34に再度装着するといった煩雑な作業が不要になる。このため、ロック機構17は、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐと共に、電池収納部34に装着された電池蓋35をロックするときの操作性が向上される。
【0060】
上述したように、本実施形態においても、第1の実施形態のロック機構17と同様に、ロック機構37が弾性体28を備えることによって、ロック部材21がロック位置に誤って移動された状態で電池蓋35が電池収納部34に装着された場合に、ロック部材21及び係合部22の破損を防ぐことができる。また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0061】
13 電池
14 電池収納部
14a 開口
15 電池蓋
17 ロック機構
21 ロック部材
22 係合部
28 弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、被収納物が収納される収納部と、
前記収納部の前記開口に着脱可能に設けられた蓋部材と、
前記蓋部材にスライド移動可能に設けられ、前記収納部の前記開口に装着された前記蓋部材をロックするロック位置と、前記収納部の前記開口に対して前記蓋部材を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材と、
前記収納部内に設けられ、前記ロック位置に移動された前記ロック部材が係合する係合部と、
前記ロック部材と一体的に設けられ、前記蓋部材が前記収納部の前記開口を閉じるときに前記ロック部材が前記係合部に当接した場合に、前記ロック部材によって弾性変形させられると共に弾性力を、前記ロック部材を前記ロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体と、
を備える、ロック機構。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記収納部の前記開口に対して前記ロック部材のスライド方向と直交する方向に移動されることで、前記開口に装着される、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記弾性体は、前記ロック部材と前記蓋部材との間に配置されている、請求項1または2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロック部材の、前記係合部に係合する端部は、前記係合部の外側に摺接する第1の傾斜面を有し、
前記係合部の外側には、前記ロック部材の前記第1の傾斜面が摺接する第2の傾斜面が設けられ、
前記ロック部材の前記第1の傾斜面が、前記係合部の前記第2の傾斜面に沿って摺接することで、前記ロック部材を前記ロック解除位置側に向かって移動させる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記弾性体は、ゴム材によって形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記ロック部材を移動操作するための開口を有し、
前記ロック部材は、前記開口に挿通される操作部を有している、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロック機構と、
前記収納部が設けられた筐体と、
を備える、電子機器。
【請求項8】
前記被収納物が電池である、請求項7に記載の電子機器。
【請求項1】
開口を有し、被収納物が収納される収納部と、
前記収納部の前記開口に着脱可能に設けられた蓋部材と、
前記蓋部材にスライド移動可能に設けられ、前記収納部の前記開口に装着された前記蓋部材をロックするロック位置と、前記収納部の前記開口に対して前記蓋部材を着脱可能にするロック解除位置とに移動されるロック部材と、
前記収納部内に設けられ、前記ロック位置に移動された前記ロック部材が係合する係合部と、
前記ロック部材と一体的に設けられ、前記蓋部材が前記収納部の前記開口を閉じるときに前記ロック部材が前記係合部に当接した場合に、前記ロック部材によって弾性変形させられると共に弾性力を、前記ロック部材を前記ロック解除位置側に向かって移動させる力に変換する弾性体と、
を備える、ロック機構。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記収納部の前記開口に対して前記ロック部材のスライド方向と直交する方向に移動されることで、前記開口に装着される、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記弾性体は、前記ロック部材と前記蓋部材との間に配置されている、請求項1または2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロック部材の、前記係合部に係合する端部は、前記係合部の外側に摺接する第1の傾斜面を有し、
前記係合部の外側には、前記ロック部材の前記第1の傾斜面が摺接する第2の傾斜面が設けられ、
前記ロック部材の前記第1の傾斜面が、前記係合部の前記第2の傾斜面に沿って摺接することで、前記ロック部材を前記ロック解除位置側に向かって移動させる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記弾性体は、ゴム材によって形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記ロック部材を移動操作するための開口を有し、
前記ロック部材は、前記開口に挿通される操作部を有している、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロック機構と、
前記収納部が設けられた筐体と、
を備える、電子機器。
【請求項8】
前記被収納物が電池である、請求項7に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−54193(P2012−54193A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197785(P2010−197785)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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