説明

ロック解錠装置

【課題】シリンダ錠のインナシリンダに作用する押し込み力を伝動索の牽引力に変換してロック機構のロック状態を解除する動力変換機構を備えるロック解錠装置において、インナシリンダの回動軸線に直交する平面内で伝動索を牽引し、シリンダ錠に対する伝動索の配索レイアウトの自由度を増大する。
【解決手段】動力変換機構50が、インナシリンダ25の回動軸線Cに直交する平面内に配置される第1回動軸線C1まわりに回動可能な第1レバー51と、インナシリンダ25の押し込み操作に応じて第1レバー51に押圧力を及ぼすことを可能としてインナシリンダ25に設けられる押圧部25dと、第1回動軸線C1と直交する平面内に配置される第2回動軸線C2まわりに回動することを可能として第1レバー51に連動、連結される第2レバー52とを備え、伝動索が第2レバー52に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定のシリンダボディに回動操作を可能としたインナシリンダが所定回動位置での押し込み操作を可能として挿入、支持されるシリンダ錠と、伝動索が牽引されるのに応じてロック状態を解除するロック機構と、前記所定回動位置での前記インナシリンダに作用する押し込み力を前記伝動索の牽引力に変換する動力変換機構とを備えるロック解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなロック解錠装置は、特許文献1によって知られている。
【特許文献1】特開平2002−205670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で開示されたロック解錠装置では、動力変換機構が、インナシリンダの回動軸線に直交する平面内に配置される回動軸線まわりに回動可能なレバーに伝動索が連結され、インナシリンダの回動軸線を含む平面と平行な平面で伝動索を牽引するように構成されており、シリンダ錠およびロック機構の相対配置によっては、伝動索を小さな曲率半径で彎曲して配索する必要が生じ、伝動索を牽引する際の作動抵抗が増大し、操作荷重が不安定となる可能性があり、シリンダ錠に対する伝動索の配索レイアウトが制限されることがある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、インナシリンダの回動軸線に直交する平面内で伝動索を牽引し得るようにして、シリンダ錠に対する伝動索の配索レイアウトの自由度を増大したロック解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、固定のシリンダボディに回動操作を可能としたインナシリンダが所定回動位置での押し込み操作を可能として挿入、支持されるシリンダ錠と、伝動索が牽引されるのに応じてロック状態を解除するロック機構と、前記所定回動位置での前記インナシリンダに作用する押し込み力を前記伝動索の牽引力に変換する動力変換機構とを備えるロック解錠装置において、前記動力変換機構が、前記インナシリンダの回動軸線に直交する平面内に配置される第1回動軸線まわりに回動可能な第1レバーと、前記所定回動位置での前記インナシリンダの押し込み操作に応じて第1レバーに押圧力を及ぼすことを可能として前記インナシリンダに設けられる押圧部と、前記第1回動軸線と直交する平面内に配置される第2回動軸線まわりに回動することを可能として第1レバーに連動、連結される第2レバーとを備え、前記伝動索が第2レバーに連結されることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記インナシリンダが備える軸部を支承するようにして該軸部を同軸に囲繞する支持筒部が前記シリンダボディに設けられ、第2レバーが、前記第2回動軸線を前記インナシリンダの回動軸線と同軸として前記支持筒部に回動可能に支承されることを特徴とする。
【0007】
さらに請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記第1レバーは、第1回動軸線の軸線に沿う方向に間隔をあけて配置される第1および第2側板部を一体に備え、前記シリンダボディには、第1側板部に外側から対向する第1回動支持板部と、第2側板部に内側から対向する第2回動支持板部とが設けられ、前記運動変換機構を覆って前記シリンダボディに取付けられるボディカバーに、第2側板部を第2回動支持板部との間に挟む抜け止め板部が設けられ、第1および第2側板部ならびに第1および第2回動支持板部の一方に軸線を第1回動軸線とした支軸部が一体に突設され、それらの支軸部を相対回動可能に嵌合せしめる支持孔が、第1および第2側板部ならびに第1および第2回動支持板部の他方に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、所定回動位置でインナシリンダを押し込み操作すると、該インナシリンダの押圧部から押圧力が作用する第1レバーは、インナシリンダの回動軸線に直交する平面内に配置される第1回動軸線まわりに回動可能であり、また第1レバーに連動、連結される第2レバーは、第1回動軸線と直交する平面内に配置される第2回動軸線まわりに回動可能であり、第2レバーに伝動索が連結されるので、伝動索は、第2回動軸線に直交する平面すなわちインナシリンダの回動軸線に直交する平面内で第2レバーによって牽引されることになり、伝動索を牽引する際の作動抵抗が増大することを回避して操作荷重を安定化させることを可能とするするためのシリンダ錠に対する伝動索の配索レイアウトの自由度を増大することができる。
【0009】
また請求項2記載の発明によれば、第2レバーをインナシリンダの周囲にコンパクトに配置してシリンダ錠の大型化を回避するとともに、第2レバーを軸支するための専用部品を不要として部品点数を低減することができる。
【0010】
さらに請求項3記載の発明によれば、両側板部および両回動支持板部の一方に突設された支軸部が、両側板部および両回動支持板部の他方に設けられた支持孔に相対回動可能に嵌合し、ボディカバーをボディに取付けた状態ではボディカバーの抜け止め板部が第1レバーの第2側板部をシリンダボディの第2回動支持板部との間に挟むので、少ない部品点数で第1レバーをシリンダボディに回動可能に支承するとともに、第1レバーのシリンダボディからの離脱を阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図10は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の簡略化した側面図、図2は図1の2矢視拡大図、図3は図2の3矢視図、図4はキー押し込み前の状態での図2の4−4線断面図、図5はキー押し込み状態での図4に対応した断面図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図4の7−7線断面図、図8は第1および第2レバーの相対配置を示すための斜視図、図9は図5の9−9線断面図、図10は第1レバーの組付け過程を順次示すための図である。
【0013】
先ず図1において、たとえばスクータ型の自動二輪車の車体後部には、乗員を乗せるための乗員用シート11が、上方を開放した箱形に形成されて該乗員用シート11の下方に配置されるラゲッジボックス12を上方から覆って閉鎖する位置と、前方側に回動してラゲッジボックス12を開放する位置との間で回動することを可能として、ラゲッジボックス12の前部に支軸13を介して回動可能に連結されており、ラゲッジボックス12の後部および乗員用シート11間には、ラゲッジボックス12を閉鎖した状態にある乗員用シート11の位置を維持するシートロック機構14が設けられ、このシートロック機構14の鎖錠状態は、伝動索であるケーブル15の牽引によって解錠される。
【0014】
一方、操向ハンドル16およびフロントフォーク17を操向可能に支承するヘッドパイプ18が車体フレームの前端に設けられており、このヘッドパイプ18には、操向ハンドル16の操向操作を不能とするステアリングロック機構19(図4および図9参照)の施・解錠操作ならびにイグニッションスイッチ20(図4および図9参照)のスイッチング態様切換え操作を可能としたシリンダ錠21が取付けられる。
【0015】
図2〜図4を併せて参照して、シリンダ錠21は、複数のボルト23…で前記ヘッドパイプ18に取付けられる固定のシリンダボディ24と、キー26を挿入した状態での回動操作による回動ならびに所定回動位置での押し込み操作による軸方向移動を可能としてシリンダボディ24に挿入、支持されるインナシリンダ25とを備える。
【0016】
前記シリンダボディ24の前端部(図4の左端部)には、円筒状のかしめ用筒部24aと、該かしめ用筒部24aで囲繞される平坦なリング状の受け面27とが設けられる。またシリンダボディ24には、前記受け面27に一端を開口する第1孔28と、第1孔28よりも小径にして第1孔28の他端に一端を同軸に連ならせる第2孔29と、第2孔29よりも小径にして第2孔29の他端に一端を同軸に連ならせる第3孔30と、軸方向に沿う間隔を第3孔30との間にあけて第3孔30の後方(図4の右方)に配置される第4孔31とが同軸に設けられるとともに、第3および第4孔30,31間に配置されてヘッドパイプ18とは反対側に開放する凹部32が設けられる。而して前記凹部32の開口端を覆うボディカバー33がシリンダボディ24に取付けられ、シリンダボディ24およびボディカバー33で収容室34が形成される。
【0017】
シリンダボディ24の後端部には、前記インナシリンダ25の回動動作に応じてスイッチング態様を変化させるイグニッションスイッチ20が取り付けられるものであり、該イグニッションスイッチ20が備えるコンタクトホルダ35を回動可能に嵌合せしめるスイッチ収容孔36がシリンダボディ24の後端部に設けられ、該スイッチ収容孔36および前記収容室34間を隔てるようにしてシリンダボディ24に設けられた隔壁24bに、収容室34およびスイッチ収容孔36間を結ぶようにして前記第4孔31が設けられる。
【0018】
前記インナシリンダ25は、図3で明示するように、ロック位置P1、オフ位置P2およびオン位置P4を順次占めるように回動することを可能として、シリンダボディ24に挿入、支持されるものであり、前記オフ位置P2および前記オン位置P4間の中間部にシートロック解錠位置P3が設定される。
【0019】
インナシリンダ25は、正規のキー26を挿入せしめるための有底のキー挿入孔38を有して第2および第3孔29,30に摺動可能に嵌合されるロータ部25aと、該ロータ部25aに連なってクランク状に形成されるとともに前記収容室34に収容される駆動部25bと、前記ロータ部25aと同軸にして前記駆動部25bに連なる軸部25cとを一体に有し、軸部25cは、隔壁24bに設けられた第4孔31に回動可能かつ軸方向の移動を可能として挿通され、イグニッションスイッチ20の前記コンタクトホルダ35に、軸方向の相対移動を可能としつつ軸線まわりの相対回動を阻止するようにして嵌合、連結される。しかもインナシリンダ25の軸部25cに装着されたばね受け板39およびコンタクトホルダ35間には戻しばね40が縮設され、この戻しばね40のばね力によりインナシリンダ25は前方側(図4の左方側)に弾発付勢される。
【0020】
前記インナシリンダ25のロータ部25aにおける前部には、複数たとえば一対の支持鍔41,42が半径方向外方に突出するようにして一体に突設されており、それらの支持鍔41,42は、シリンダボディ24における第1および第2孔28,29間に形成される環状の段部43と、前記受け面27に当接した状態で前記かしめ用筒部24aをかしめることによってシリンダボディ24に固定されるリング板44との間に挟まれて、シリンダボディ24の第1孔28に挿入される。
【0021】
而してインナシリンダ25がシートロック解錠位置P3に在るときに、前記支持鍔41,42にそれぞれ対応する部分で、第2孔29の内面には前記段部43に開口する溝45,46が設けられており、正規のキー26によってインナシリンダ25をシートロック解錠位置P3まで回動操作し、さらに前記キー26によってインナシリンダ25をプッシュ操作したときには、図5で示すように、前記支持鍔41,42が前記溝45,46に嵌合することでインナシリンダ25が押し込まれることになる。
【0022】
またインナシリンダ25のロータ部25aには、正規のキー26をキー挿入孔38に挿入するのに応じてシリンダボディ24との係合を解除する複数のタンブラー47…が、シリンダボディ24に係合する方向に弾発付勢されながら配設される。
【0023】
ステアリングロック機構19は、インナシリンダ25の軸線と直交する平面内でスライド作動することを可能としてシリンダボディ24に支承されるロック部材48を有しており、このロック部材48は、前記インナシリンダ25の回動に応じて転舵操作の許容および阻止を切換えるようにしてシリンダボディ24にスライド可能に支承され、収容室34内でインナシリンダ25の駆動部25bに連結される。すなわちロック部材48には、前記駆動部25bを挿通せしめる連結孔49が設けられるものであり、駆動部25bがクランク状に形成されていることにより、インナシリンダ25がロック位置P1およびオフ位置P2間で回動するのに伴って、ロック部材48がスライド駆動される。而してインナシリンダ25のロック位置P1では転舵操作を阻止すべく突出位置にあったロック部材48が、オフ位置P2では転舵操作を許容すべく図4の実線で示す位置まで後退することになる。
【0024】
図6および図7を併せて参照して、前記収容室34には、シートロック解錠位置P3にある前記インナシリンダ25に作用する押し込み力を前記ケーブル15の牽引力に変換する動力変換機構50が、前記ボディカバー33で覆われるようにして収容されており、この動力変換機構50は、前記インナシリンダ25の回動軸線Cに直交する平面内に配置される第1回動軸線C1まわりに回動可能な第1レバー51と、前記シートロック解錠位置P3での前記インナシリンダ25の押し込み操作に応じて第1レバー51に押圧力を及ぼすことを可能として前記インナシリンダ25に設けられる押圧部25dと、前記第1回動軸線C1と直交する平面内に配置される第2回動軸線C2まわりに回動することを可能として第1レバー51に連動、連結される第2レバー52とを備えており、前記ケーブル15が第2レバー52に連結される。
【0025】
前記第2回動軸線C2は前記インナシリンダ25の回動軸線Cと同軸であり、第2レバー52が前記シリンダボディ24で回動可能に支承される。すなわちインナシリンダ25の軸部25cを支承すべく該軸部25cを同軸に囲繞する支持筒部24cが、前記第4孔31の一部を形成するとともに収容室34側に突出するようにしてシリンダボディ24の隔壁24bに一体に設けられ、第2レバー52は、前記支持筒部24cで回動可能に支承される。
【0026】
前記支持筒部24cの収容室34側の端部には、収容室34側に臨む環状段部53を形成する小径筒部54が設けられており、この小径筒部54が、第2レバー52に設けられている挿通支持孔55に挿通される。しかも第2レバー52は、前記環状段部53と、小径筒部54の外周に装着されたE形止め輪56との間に挟まれるものであり、第2レバー52は、環状段部53およびE形止め輪56により軸方向の移動を阻止された状態で支持筒部24cの小径筒部54に回動可能に支承される。
【0027】
図8をさらに併せて参照して、第1レバー51は、第1回動軸線C1の軸線に沿う方向に間隔をあけて配置される第1および第2側板部51a,51bと、インナシリンダ25の回動軸線Cと直交する平面に配置されて第1および第2側板部51a,51bを連結する連結板部51cとを一体に備え、シリンダボディ24には、第1側板部51aに外側から対向する第1回動支持板部24eと、第2側板部51bに内側から対向する第2回動支持板部24fとが設けられ、第1および第2側板部51a,51bならびに第1および第2回動支持板部24e,24fの一方、この実施例では第1および第2回動支持板部24e,24fに軸線を第1回動軸線C1とした支軸部57,58が一体に突設され、それらの支軸部57,58を相対回動可能に嵌合せしめる支持孔59,60が、第1および第2側板部51a,51bならびに第1および第2回動支持板部24e,24fの他方、この実施例では第1および第2側板部51a,51bに設けられる。
【0028】
第1レバー51の連結板部51cには、インナシリンダ25の軸部25cを挿通せしめるスリット61が、ボディカバー33側に開放して設けられており、前記軸部25cの駆動部25b側の端部には、支持筒部24cとは反対側から前記連結板部51cに対向するようにして押圧部25dが設けられる。而してインナシリンダ25がシートロック解錠位置P3に在るときにキー26によってインナシリンダ25をプッシュ操作したときに、前記押圧部25dは第1レバー51の連結板部51cに押圧力を及ぼすことになり、それにより、第1レバー51が図5で示すように回動する。
【0029】
また第1レバー51には、インナシリンダ25の回動軸線Cと平行にして第1側板部51aから第2レバー52側に延びる押圧腕部51dが一体に連設されており、第2レバー52の一端部には、前記押圧腕部51dの先端に当接する受圧部52aが一体に設けられる。しかもシリンダボディ24の支持筒部24cを囲繞するねじりばね62が、第2レバー52およびシリンダボディ24間に設けられており、このねじりばね62が発揮するばね力により第2レバー52は受圧部52aを押圧腕部51dに当接させる側に回動付勢される。すなわち第2レバー52は第1レバー51に連動、連結されており、第1レバー51がインナシリンダ25の押圧部25dで押されて回動すると、図9で示すように、第2レバー52が第2回動軸線C2まわりに回動する。
【0030】
第2レバー52は、支持筒部24cの中心から半径方向外方に延びるケーブル連結部52bを一体に有しており、このケーブル連結部52bにケーブル15が連結される。すなわちケーブル15は、アウターケーブル63にインナーケーブル64が移動自在に挿通されて成るものであり、このケーブル15のシリンダ錠21寄りの部分は、第2レバー52の作動平面すなわち第2回動軸線C2に直交する平面に配置される。而して前記アウターケーブル63のシリンダ錠21側の端部はシリンダボディ24に固定されており、そのアウターケーブル63の端部から収容室34内に突入したインナーケーブル64の端部に設けられる係合駒65が、第2レバー52のケーブル連結部52bに係合、連結される。したがって、第2レバー52が、第1レバー51の押圧腕部51dで押されて回動すると、ケーブル15のインナーケーブル64が牽引されることになる。
【0031】
ところで運動変換機構50を覆うボディカバー33は、複数個たとえば3個のねじ部材67,67…でシリンダボディ24に取付けられるものであり、このボディカバー33には、図6で明示するように、第1レバー51の第2側板部51bをシリンダボディ24の第2回動支持板部24fとの間に挟む抜け止め板部33aが設けられる。而してボディカバー24には、第2回動支持板部24fを凹部32との間に介在させるようにして開口部68が設けられており、ボディカバー33は、第1レバー51の第2側板部51bを第2回動支持板部24fとの間に挟む前記抜け止め板部33aを前記開口部68に挿入するようにしてシリンダボディ24に取付けられる。
【0032】
第1レバー51のシリンダボディ24への組付け時には、図10(A)で示すように、第2レバー52およびねじりばね62をシリンダボディ24に組付けた後、図10(B)で示すように、シリンダボディ24が備える第1および第2回動支持板部24e,24fの支軸部57,58を第1レバー51の第1および第2側板部51a,51bに挿通し、さらにボディカバー33をシリンダボディ24に組付ける。そうするとボディカバー33の抜け止め板部33aは、シリンダボディ24の開口部68に挿入されることになり、第1レバー51の第2側板部51bがシリンダボディ24の第2回動支持板部24fおよび前記抜け止め板部33a間に挟まれるので、第1レバー51のシリンダボディ24からの離脱が阻止されることになる。
【0033】
次にこの実施例の作用について説明すると、シートロック解錠位置P3でインナシリンダ25に作用する押し込み力をケーブル15の牽引力に変換して、シートロック機構14のロック状態を解除するようにした動力変換機構50は、インナシリンダ25の回動軸線Cに直交する平面内に配置される第1回動軸線C1まわりに回動可能な第1レバー51と、シートロック解錠位置P3でのインナシリンダ25の押し込み操作に応じて第1レバー51に押圧力を及ぼすことを可能としてインナシリンダ25に設けられる押圧部25dと、第1回動軸線C1と直交する平面内に配置される第2回動軸線C2まわりに回動することを可能として第1レバー51に連動、連結される第2レバー52とを備えており、ケーブル15が第2レバー52に連結されている。
【0034】
したがってシートロック解錠位置P3でインナシリンダ25を押し込み操作すると、該インナシリンダ25の押圧部25dから押圧力が作用する第1レバー51は、インナシリンダ25の回動軸線Cに直交する平面内に配置される第1回動軸線C1まわりに回動することになり、第1レバー51に連動、連結される第2レバー52は、第1回動軸線C1と直交する平面内に配置される第2回動軸線C2まわりに回動するので、第2レバー52に連結されたケーブル15は、第2回動軸線C2に直交する平面すなわちインナシリンダ25の回動軸線Cに直交する平面内で第2レバー52によって牽引されることになり、ケーブル15を牽引する際の作動抵抗が増大することを回避して操作荷重を安定化させることを可能とするためのシリンダ錠21に対するケーブル15の配索レイアウトの自由度を増大することができる。
【0035】
またインナシリンダ25が備える軸部25cを支承するようにして該軸部25cを同軸に囲繞する支持筒部24cがシリンダボディ24に設けられており、第2レバー52が第2回動軸線C2をインナシリンダ25の回動軸線Cと同軸として前記支持筒部24cに回動可能に支承されるので、第2レバー52をインナシリンダ25の周囲にコンパクトに配置してシリンダ錠21の大型化を回避するとともに、第2レバー52を軸支するための専用部品を不要として部品点数を低減することができる。
【0036】
さらに第1レバー51は、第1回動軸線C1の軸線に沿う方向に間隔をあけて配置される第1および第2側板部51a,51bを一体に備え、シリンダボディ24には、第1側板部51aに外側から対向する第1回動支持板部24eと、第2側板部51bに内側から対向する第2回動支持板部24fとが設けられ、シリンダボディ24に取付けられるボディカバー33に、第2側板部51bを第2回動支持板部24fとの間に挟む抜け止め板部33aが設けられ、第1および第2回動支持板部24e,24fに軸線を第1回動軸線C1とした支軸部57,58が一体に突設され、それらの支軸部57,58を相対回動可能に嵌合せしめる支持孔59,60が、第1および第2側板部51a,51bに設けられているので、少ない部品点数で第1レバー51をシリンダボディ24に回動可能に支承するとともに第1レバー51のシリンダボディ24からの離脱を阻止することができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
上記実施例では、第1および第2回動支持板部24e,24fに支軸部57,58が一体に突設され、それらの支軸部57,58を相対回動可能に嵌合せしめる支持孔59,60が第1および第2側板部51a,51bに設けられていたが、第1および第2側板部51a,51bに支軸部が突設され、1レバー51をシリンダボディ24に回動可能に支承するとともに、第1および第2回動支持板部24e,24fに支持孔が設けられていてもよい。
【0039】
また本発明をシートロック機構14以外のロック機構に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】自動二輪車の簡略化した側面図である。
【図2】図1の2矢視拡大図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】キー押し込み前の状態での図2の4−4線断面図である。
【図5】キー押し込み状態での図4に対応した断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図4の7−7線断面図である。
【図8】第1および第2レバーの相対配置を示すための斜視図である。
【図9】図5の9−9線断面図である。
【図10】第1レバーの組付け過程を順次示すための図である。
【符号の説明】
【0041】
14・・・ロック機構
15・・・伝動索であるケーブル
21・・・シリンダ錠
24・・・シリンダボディ
24c・・・支持筒部
24e・・・第1回動支持板部
24f・・・第2回動支持板部
25・・・インナシリンダ
25c・・・軸部
25d・・・押圧部
33・・・ボディカバー
33・・・抜け止め板部
50・・・動力変換機構
51・・・第1レバー
51a・・・第1側板部
51b・・・第2側板部
52・・・第2レバー
57,58・・・支軸部
59,60・・・支持孔
C・・・インナシリンダの回動軸線
C1・・・第1回動軸線
C2・・・第2回動軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定のシリンダボディ(24)に回動操作を可能としたインナシリンダ(25)が所定回動位置での押し込み操作を可能として挿入、支持されるシリンダ錠(21)と、伝動索(15)が牽引されるのに応じてロック状態を解除するロック機構(14)と、前記所定回動位置での前記インナシリンダ(25)に作用する押し込み力を前記伝動索(15)の牽引力に変換する動力変換機構(50)とを備えるロック解錠装置において、前記動力変換機構(50)が、前記インナシリンダ(25)の回動軸線(C)に直交する平面内に配置される第1回動軸線(C1)まわりに回動可能な第1レバー(51)と、前記所定回動位置での前記インナシリンダ(25)の押し込み操作に応じて第1レバー(51)に押圧力を及ぼすことを可能として前記インナシリンダ(25)に設けられる押圧部(25d)と、前記第1回動軸線(C1)と直交する平面内に配置される第2回動軸線(C2)まわりに回動することを可能として第1レバー(51)に連動、連結される第2レバー(52)とを備え、前記伝動索(15)が第2レバー(52)に連結されることを特徴とするロック解錠装置。
【請求項2】
前記インナシリンダ(25)が備える軸部(25c)を支承するようにして該軸部(25c)を同軸に囲繞する支持筒部(24c)が前記シリンダボディ(24)に設けられ、第2レバー(52)が、前記第2回動軸線(C2)を前記インナシリンダ(25)の回動軸線(C)と同軸として前記支持筒部(24c)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項1記載のロック解錠装置。
【請求項3】
前記第1レバー(51)は、第1回動軸線(C1)の軸線に沿う方向に間隔をあけて配置される第1および第2側板部(51a,51b)を一体に備え、前記シリンダボディ(24)には、第1側板部(51a)に外側から対向する第1回動支持板部(24e)と、第2側板部(51b)に内側から対向する第2回動支持板部(24f)とが設けられ、前記運動変換機構(50)を覆って前記シリンダボディ(24)に取付けられるボディカバー(33)に、第2側板部(51b)を第2回動支持板部(24f)との間に挟む抜け止め板部(33a)が設けられ、第1および第2側板部(51a,51b)ならびに第1および第2回動支持板部(24e,24f)の一方に軸線を第1回動軸線(C1)とした支軸部(57,58)が一体に突設され、それらの支軸部(57,58)を相対回動可能に嵌合せしめる支持孔(59,60)が、第1および第2側板部(51a,51b)ならびに第1および第2回動支持板部(24e,24f)の他方に設けられることを特徴とする請求項1または2記載のロック解錠装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−217948(P2007−217948A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39345(P2006−39345)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)
【Fターム(参考)】