ロッドレンズアレイの製造方法、および光プリンタヘッド、ならびに、それを用いた画像形成装置
【課題】濃度ムラのない良好な画像を得られるロッドレンズアレイの製造方法およびそれを用いた光プリンタヘッド、画像形成装置を提供する。
【解決手段】(1)ロッドレンズアレイを透過させた発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。(2)各光結像位置において、所定の強度閾値で3次元強度分布の断面積を求める。(3)各光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。(4)N個の光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関して3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。(5)各光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。
【解決手段】(1)ロッドレンズアレイを透過させた発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。(2)各光結像位置において、所定の強度閾値で3次元強度分布の断面積を求める。(3)各光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。(4)N個の光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関して3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。(5)各光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を発光させ、その素子像を記録媒体としての感光体面上に高精度で結像する、例えばLED(発光ダイオード)やOLED(有機発光ダイオード)等を用いた光プリンタヘッドにおいて、結像素子として用いられるロッドレンズアレイの製造方法、および該ロッドレンズアレイを有する光プリンタヘッドおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDプリンタ等に使用されている正立等倍の長尺の結像素子アレイとしては、レンズアレイが知られている。このようなレンズアレイの内、特にロッドレンズアレイが広く用いられている。ここで、ロッドレンズアレイとは、半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズを複数個、所定方向に周期的に配列したものである。
【0003】
図1に、前記のようなロッドレンズアレイを示す。ロッドレンズは、通常ロッド状のガラスにイオン交換を施して、屈折率分布を持たせることによって形成される。このような複数のロッドレンズが、図1の上下方向(以下、副走査方向と記す)に対して、1段あるいは2段、図1の左右方向(以下、主走査方向と記す)に配列されている。これらのロッドレンズは各々、物体の正立等倍像を所定距離離れた位置に結像する機能を有する。
【0004】
上記の複数のロッドレンズは高密度に配列され、これらが一対の側板によって挟持される。また、各ロッドレンズの間に不透明の樹脂が充填される。その結果、ロッドレンズアレイが製作される。
【0005】
図2に示すように、上記ロッドレンズアレイと発光手段により光プリンタヘッドが構成され、複数の発光素子から成る発光手段(発光素子アレイ)は、画像信号に応じて発光し複数の光束を出射する。これらの光束は、複数のロッドレンズをアレイ状に配列したロッドレンズアレイにより、該発光手段の反対側に配列された記録媒体としての感光体の表面上の同じポイント(結像スポット)上に正立等倍で結像される。そして、このことにより、例えば光プリンタの感光体表面上に潜像を形成することができる。上記ロッドレンズアレイは、多数のロッドレンズを配列させているため、一本のロッドレンズアレイ内で屈折率やレンズ厚さZ0の異なる等といった問題もしばしば発生していたが、多少結像特性が異なっていても、正立等倍結像であるため、感光体上の結像点はほとんど乱れないとされていた。
【0006】
一方、近年、プリンタの高精度化が進み、600dpiや1200dpiといった高解像度のプリンタも出てきている。このようなプリンタの高画質化に対しては、発光素子の光量バラツキを電気的に補正する手段が導入され始めている。これは、光プリンタヘッドに使用される複数個の発光素子は、発光特性が均一でないため、発光素子ごとに発光量が異なり、出力された画像上に濃度ムラが発生すると考えられているからである。
【0007】
しかしながら、上記のようなプリンタにおいて、精度良く光量補正を行っているにも関わらず、出力された画像上に濃度ムラが発生してしまうため、画質管理を的確に行えない状況にあった。本発明者は、この濃度ムラが発光量による問題ではなく、プリンタに使用されているロッドレンズアレイの屈折率および厚みZ0の誤差に起因する結像性能の問題であると考えた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、ロッドレンズの配列に、周期的に倍率関係が崩れるような歪曲収差やレンズ厚みZ0の異なる箇所などが存在すると、光束は感光体面上で一点に集光しなくなり、結像スポットのバラツキが発生してしまうため、発光量の均一化だけでは画像の濃度ムラは除去されない。
【0009】
ここでいう濃度ムラとは、印画の周期的なスジ状の濃度ムラを指しており、以降スジムラと称する。
【0010】
これに対し、従来からMTFによるロッドレンズアレイの特性判別が既知の技術として確立されており、特開2003−114305号公報および特開2002−27197号公報によれば、MTFの部分変動値、または前記MTFの最大値と最小値の管理によりスジムラを抑制できると記載されているが、図4に示すとおり、MTFによるスジムラ要素の抽出では、画像上のスジムラを精度よく管理できないことを本発明者は印画に基づくロッドレンズアレイと光プリンタヘッドの関係から実験的に求めている。
【0011】
MTF(Modulation Transfer Funciton)とは、画像の質、つまり解像力を表す指標で、これは矩形波格子パターンの像をスリットスキャン、あるいはCCDセンサで受光し、その光量レベルからSLAのレスポンス関数MTFを算出する方法である。関数は、
で示され、MTFが高い、つまり100%に近い程、原画に忠実な像が形成されていることになる。
【0012】
また、光プリンタヘッドとしての画質評価は、発光素子アレイ、ロッドレンズアレイ、感光体を組み合わせて装置を組み上げ、その後、実際に装置を動作させて感光、現像プロセスを行い、形成される画像のスジムラを評価していた。したがって、ロッドレンズアレイに原因するスジムラがあるか否かについては、装置組み上げ後でないと把握できず、ロッドレンズアレイが不良品であると判明した場合、同アレイの良品を用いて装置の組上げを再度行う必要がある。このため、1本の良品をとるまでに手間と時間が非常にかかり、装置としての生産性を落としていた。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的はスジムラのない良好な画質を得られるロッドレンズアレイとそれを用いた光プリンタヘッドならびに画像形成装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の別の目的は、ロッドレンズアレイに起因するスジムラを装置組み上げ前に評価することができ、生産性の向上を図ったロッドレンズアレイの検査方法を提供することにある。
【特許文献1】特開2003−114305号公報
【特許文献2】特開2002−27197号公報
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のロッドレンズアレイの製造方法は、発光素子を有する光源手段から出射した光を記録媒体上に結像させるロッドレンズアレイの製造方法において、順次下記(1)〜(5)の各工程を経て製作されることを特徴とする。(1)前記ロッドレンズアレイを透過させた前記発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。(2)各前記光結像位置において、所定の強度閾値で前記3次元強度分布の断面積を求める。(3)各前記光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、前記3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。(4)N個の前記光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関して前記3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。(5)各前記光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。ただし、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のロッドレンズアレイの製造方法によれば、各ロッドレンズアレイの持つスジムラ要素を精度よく抽出することができ、ロッドレンズアレイの生産性を向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、判別されたロッドレンズアレイを光プリンタヘッドに使用することでロッドレンズアレイに起因するスジムラのない画像形成装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、光プリンタヘッドに使用する正立等倍の結像素子アレイ(ロッドレンズアレイ)の斜視図であり、図2は本発明の一実施形態にかかる光プリンタヘッドLの分解斜視図であり、図3は光プリンタヘッドLを実装した画像形成装置の概略構成を示す正面図である。この装置は、大略的に、光プリンタヘッドLと、前記感光体Pとからなる。
【0020】
光プリンタヘッドLによれば、回路基板1の上面に複数個の発光素子アレイチップ2やドライバーIC4等を実装するとともに、これら発光素子アレイチップ2の発光面上に前記結像光学系であるロッドレンズアレイ5を配置したものである。これら各部材は、図示しないハウジングの内部に収容している。
【0021】
回路基板1は、ガラス布基材エポキシ樹脂やガラス、セラミック等の電気絶縁性材料からなる矩形状のベースの上面に多数の回路配線を所定パターンに被着させてなり、その上面でもって複数個の発光素子アレイチップ2やドライバーIC4等を支持する。
【0022】
回路基板1上に搭載した複数個の発光素子アレイチップ2は、回路基板1の主走査方向に沿って1列状に配置されており、各々の上面には、たとえば600dpi(dot per inch)の密度で直線状に配列した発光素子3と、この発光素子3に電気的に接続される多数の接続パッドとを有しており、これら各接続パッドはボンディングワイヤを介して回路基板1上の回路配線に電気的に接続される。
【0023】
発光素子3は、たとえばGaAlAs系やGaAsP系の発光素子等から成り、p型半導体とn型半導体とをpn接合して構成され、外部より回路配線および接続パッド等を介して発光素子3に電源電力が印加されると、p型半導体の内部に電子が、n型半導体の内部に正孔がそれぞれ注入され、これらキャリアをpn接合付近で再結合させ、この結合の際に生じたエネルギーを光に変換することによって発光素子3が所定の輝度で発光する。
【0024】
この発光素子3には、画像データに基づいて外部より所定のエネルギーが印加され、発光素子が画像データに対応した所定の時間だけ発光する。
【0025】
また、発光素子アレイチップ2上に配したロッドレンズアレイ5については、発光素子3の発する光を外部の感光体Pに照射・結像させるためのものであり、かかるロッドレンズアレイ5としては多数の棒状のレンズを直線状、あるいは千鳥状に配列させて成るロッドレンズアレイ等が用いられ、接着剤により図示しないレンズホルダー等によって所定位置に固定される。
【0026】
感光体Pについては、光プリンタヘッドLの発光素子アレイチップ2上に、光プリンタヘッドLと所定の距離だけ離間するようにして、光プリンタヘッドLと略平行に配置される。
【0027】
感光体Pは、アルミニウム等から成る円筒状基体の外表面にアモルファスシリコン等の無機半導体や有機半導体から成る光導電層を被着させた構造を有しており、印画動作時、図示しないモータ等によって軸周りに回転され、光導電層に光プリンタヘッドLからの光が照射されると、光導電層の比抵抗を急激に低下させて、光導電層に所定の潜像を形成する。そして、感光体Pに形成された潜像は、現像プロセスを経てトナー像となり、このトナー像を記録紙に転写、定着させることによって所定の画像が記録される。
【0028】
続いて、上記構成の光プリンタヘッドLに使用するロッドレンズアレイの検査方法について説明する。
【0029】
順次、(1)〜(6)の工程を経る。
【0030】
工程(1):まず、光源手段から出射した光束の該ロッドレンズアレイ透過光における強度分布を略結像位置にて測定する。測定には、図5に示すようなレンズ測定装置を用いればよい。
【0031】
図5に示すように、光プリンタヘッドの発光素子にあたる測定装置の光源手段には、LED光源を用い、スリットを設けた遮光板を配置することで擬似的な発光素子を形成している。また、使用するスリットは、円形状、非円形状を問わず、用途に合わせた形状とする。
【0032】
前記LED光源の光は、所定の位置に配置したロッドレンズアレイを介し、前記光源と対に位置する撮像装置にて読み込まれる。また、前記光源と前記撮像装置は、ロッドレンズアレイと平行に移動しながら、所定の距離に対しN箇所で測定を行う。N個の測定箇所は、N個の発光素子を有する光プリンタヘッドの各発光素子から出射させた光が感光体に照射される位置に対応する。したがって、LED光源は、N個の発光素子を有する光プリンタヘッドの各発光素子の配設位置に対応するように移動され、光結像位置と発光素子の配設位置は、ロッドレンズアレイの長手方向に関して対応することとなる。便宜上、以下では、N個の光結像位置を発光素子Di(i=1、2、・・・、N)と呼ぶこともある。撮像装置としては例えばCCDを使用され、該撮像装置によってロッドレンズアレイを透過した光の強度分布が電気信号として出力される。本装置は、ロッドレンズアレイを固定とし、光源と撮像装置が対となって移動する仕組みと成っているが、作業性、生産性の点からロッドレンズアレイが移動する仕組みでも問題はなく、用途に合わせて選択すると良い。
【0033】
これにより得られた光の強度分布は、発光素子の出射光の一部が周囲に向かって広がることによって、図6に示す3次元の斜視図に示すごとく、中央域にピーク値を有する山状の分布となっている。
【0034】
工程(2):次に上述の強度分布のうち、所定の強度閾値を等高線とする領域の断面積Si(1≦i≦N)を求める。この断面積を算出する所定の強度閾値は、感光体の露光感度と相関が認められるため、目的とする感光体の露光感度に基づいて設定した。
【0035】
あるピークを有する発光素子の感光体におけるE−V曲線、およびスポット電位分布、そして、光の3次元強度分布の関係は図7のようになる。E−V曲線(図7の第1象限)の縦軸は感光体表面の帯電電位を、横軸は感光体に露光される露光量をそれぞれ示す。光の3次元強度分布(図7の第2象限)の縦軸は発光素子の発光領域の幅を、横軸は発光素子の発する光の強度をそれぞれ示す。光の3次元強度分布の強度閾値は、E−V曲線における感光体の帯電電位が半減するのに必要な発光素子の強度を示す。そして、スポット電位分布(図7の第4象限)の縦軸は感光体の帯電電位を、横軸は発光素子の発光領域の幅をそれぞれ示す。スポット電位分布に示されるトナー閾値電位は、感光体の表面へのトナー付着が開始される感光体の表面電位であり、おおよそ感光体の帯電電位が半減した電位に相当する。
【0036】
例えば、感光体の表面電位が1/2まで低下するのに必要な感光体の半減露光感度が、2〜10cm2/μJである場合には、強度閾値として、各発光素子に対するピーク値の2〜5%の範囲、またはピーク値の平均値の2〜5%に相当する強度の範囲を選択することが望ましい。
【0037】
強度閾値についてもう少し説明を加える。発光素子の強度分布の内、強さ方向はデジタル値で表すこともでき、例えばデジタル出力が8ビットの場合、強度は20〜28、すなわち0〜255の範囲で表すことができる。同様に、10ビットの場合は、20〜210、すなわち0〜1023の範囲で表すことができる。
【0038】
デジタル出力8ビットの例では、各発光素子に対するピーク値の平均値で200であるとすると、ピーク値の平均値の2〜5%に相当する強度は4〜10ということになる。
【0039】
工程(3):次に、数1に示すように、k番目の発光素子Dk(1≦k≦N)を中心とする前後h1個の発光素子を含めたグループの強度分布の平均断面積、すなわち移動平均を計算し、これを理想断面積P(k)とする。
【数1】
【0040】
この移動平均の処理は、ローパスフィルタの役割を有し、これによって各発光素子の理想断面積P(k)から短い周期のばらつきを除去することができる。このh1の値を適切に選択してやることにより、理想断面積P(k)は、緩やかなうねりを有する曲線になる。
【0041】
この曲線は、図8に示すように測定された各発光素子の断面積から、人間の眼に敏感な短い周期のばらつきが除去され、長周期のばらつきのみを有していることになり、この曲線に基づきロッドレンズアレイのスジムラ要素を判定してやることで、出力される画像のムラ感が人間の視覚では認識されない良好なレベルであるということになる。
【0042】
なお、図8の横軸は、光の3次元強度分布を測定した各発光素子の配列を示し、縦軸は断面積値(任意単位)であり、また曲線Aは各発光素子の断面積Siであり、曲線Bは、曲線Aを移動平均した結果(理想断面積P(k))である。
【0043】
かかる移動平均によれば、h1の値を変えることによって、移動平均を行う区間の長さを変更し、除去されるばらつきの周期を選択することができる。この値を大きくすると、広い周期のばらつきを除去することができるが、大きくしすぎると、理想断面積P(k)は平坦な直線となるため、スジムラ要素の抽出精度が低下してしまう。
【0044】
また、この値h1を小さくすると、除去できるばらつきの範囲は小さくなるが、小さくしすぎると、人間の視覚に認識される短周期のばらつき成分を有するため、ローパスフィルタとしての効果がなくなってしまう。
【0045】
本発明者は、移動平均計算をおこなう区間長と、h1値と、スジムラとの関係を実験したところ、表1〜表3に示すような結果が得られた。なお、表1はロッドレンズアレイを構成する各ロッドレンズの径が0.9mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表2はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表3はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が1200dpiの場合の結果をそれぞれ示すものである。
【表1】
【表2】
【表3】
【0046】
同表において、◎、○、△、×、××の5通りに区分しており、◎印は人間の目ではスジムラがあるかどうか判別できない程度の良好なレベルである。○印は光の当て方によってわずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、△印は光の当て方によらず、わずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、×印、××印となるにつれて、スジムラが顕著に悪くなるという状態を示している。
【0047】
表1〜3によれば、いずれの場合であっても、移動平均計算をおこなう区間の長さが1.5〜15.7mmが好ましいことがわかる。具体的なh1の値については、たとえば、表1のケースの場合、h1の下限は2h1+1=1.5mm/0.0423mm=35であり(0.0423mmは各発光素子間の間隔)、これにより、h1=17となる。また、h1の上限は、2h1+1=15.7mm/0.0423mm=371であり、これにより、h1=185となる。表2の場合、表1の場合と比べて発光素子の配列密度が表1のケースと同じであるため、h1の値は変わっていない。表3の場合については、表1の場合と比べて発光素子の配列密度が倍になっているため、各発光素子間の間隔が1/2となる関係上、h1の値は約2倍となっており、h1の範囲は35〜371となっている。
【0048】
なお、当該発光素子Dkの前後にh1個の発光素子が存在しない場合(例えば、光プリンタヘッドの端部付近の発光素子の場合)には、P(k)を算出せず、スジムラ判定の対象外とする。
【0049】
工程(4):発光素子Di(i=1、2、・・・・・、N)をM個の区間に区分し、各区間の強度分布の平均断面積をSiとすると、数2に示すように、h2個の発光素子からなる各断面積の平均値、すなわち区間平均を計算し、それを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。なお、Q(l)は、l番目の区間に属する各光照射位置については、全て同じ値となる。
【数2】
【0050】
この区間平均化処理は、図9に示すがごとく、高周波ノイズフィルタの役割を果たす。これによって、各発光素子の断面積Siから高周波ノイズ成分を除去することができる。
【0051】
ここでいう高周波ノイズ成分とは、印画に寄与しないレベルの強度面積Siの高周波ばらつきや、断面積Siの測定系、つまりCCDカメラの暗電流等に起因するばらつきを示す。
【0052】
かかる区間平均化処理によれば、h2の値を変えることによって、平均化する区間の長さを変更し、除去されるばらつきの周期を選択することができる。この値を大きくすると、広い周期のばらつきを除去することができるが、大きくしすぎると、区間断面積Q(l)は、基準値に近くなるため、スジムラ要素の抽出精度が低下してしまう。
【0053】
また、このh2を小さくすると、除去できるばらつきの周期は小さくなるが、小さくしすぎると区間平均化処理そのものの効果、つまり高周波ノイズ成分の除去効果がなくなってしまう。
【0054】
本発明者は、区間平均化計算をおこなう区間長と、h2値と、スジムラとの関係を実験したところ、表4〜表6に示す結果が得られた。なお、表4はロッドレンズアレイを構成する各ロッドレンズの径が0.9mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表5はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表6はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が1200dpiの場合の結果をそれぞれ示すものである。
【表4】
【表5】
【表6】
【0055】
同表において、◎、○、△、×、××の5通りに区分しており、◎印は人間の目ではスジムラがあるかどうか判別できない程度の良好なレベルである。○印は光の当て方によってわずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、△印は光の当て方によらず、わずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、×印、××印となるにつれて、スジムラが顕著に悪くなるという状態を示している。
【0056】
以上のとおり、表4のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.17〜1.35mm、表5のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.23〜1.24mm、表6のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.23〜1.02mmの範囲に収まるように選択されると良い。具体的なh1の値については、たとえば、表4の場合、h2の下限はh2=0.17mm/0.0423mm=4となる。また、h2の上限は、h2=1.35mm/0.0423mm=31となる。表5の場合、h2の下限は5、上限は29、表6の場合、h2の下限は10、上限は48である。
【0057】
工程(5):最後に、該ロッドレンズアレイのスジムラ指標となるXを算出し、同指標に基づいてロッドレンズアレイの良品を判定する。以上の工程を経ることにより、ロッドレンズアレイが完成する。スジムラ指標の算出方法は次のようになる。
【0058】
図10に示すがごとく、上記工程(4)で得たl番目の区間断面積Q(l)と隣接するl+1番目の区間断面積Q(l+1)の隣接間差となるQ(l+1)−Q(l)を算出した後、これを前記理想断面積P(k)で除算した値R(k)(j=1、2、・・・・、N)の標準偏差をロッドレンズアレイのスジムラ要素Xとする。これにより、該ロッドレンズアレイに起因する印画上のスジムラがどのレベルであるか判別可能となる。なお、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【0059】
これは、本発明者は、スジムラがロッドレンズアレイ内における局所的(部分的)な歪曲収差の存在により発生すると考えているためであり、そのため周辺ロッドレンズの特性差が大きいほどスジムラが顕著となることを指している。逆説的に言えば、隣接するロッドレンズのばらつきが小さいほどスジムラは発生しづらい、すなわち良好な画質が得られるということになる。
【0060】
本発明者が、レンズ検査でのスジムラ要素Xと印画上のスジムラの関係を実験したところ、図11に示すような結果が得られた。
【0061】
図11の横軸は、プリンタより出力した印画をスキャナーで取り込み、数値化した値を示している。図11の縦軸は、光の3次元強度分布における断面積に基づいたレンズ検査を実施した結果を示す。同図の数値は、その値が小さいほど画質に優れることを指しており、大きくなるにつれてスジムラが強くなる。
【0062】
本発明者は、スジムラのない優れた画質を提供可能なロッドレンズアレイに関して、600dpiの印字密度を有し、ロッドレンズアレイの個々のレンズ径が0.8mm〜1.0mmである光プリントヘッドについては、スジムラ要素Xが0.020以下、好ましくは、0.015以下であると実験により導き出している。ただし、これらの値は、使用する測定機、および画像形成装置によって、最適な値を選択すると良い。
【0063】
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において種々の変更、改良等は何ら差し支えない。
【0064】
(1)たとえば、上術の実施形態において、光源にはLEDを用いるようにしたが、これに代えてランプ等による光源手段を用いるようにしてもよい。
【0065】
(2)上述の実施形態において、LED光源とスリットを用いた光源手段としたが、これに代えて図12に示すように点光源等による光源手段を用いるようにしてもよい。
【0066】
(3)また、上述の実施形態における光源の点灯方法として、1素子ずつの点灯としたが、これに代えて図13に示すように、複数個の光源を同時点灯させて各素子の光の3次元強度分布を測定するようにしてもよい。
【0067】
(4)さらに、上述の実施形態における光源の点灯方法として、全素子分の光の3次元強度分布を測定したが、これに代えて図14に示すように、1素子毎または2素子毎に点灯させて光の3次元強度分布を測定するようにしてもよい。
【0068】
(5)上述の実施形態における光の3次元強度分布の測定には、CCDカメラを用いるようにしたが、これに代えてフォトダイオードなど他の光量検出手段を用いるようにしてもよい。
【0069】
(6)また、上述の実施形態において、スジムラの抽出には光の3次元強度分布の断面積を用いるようにしたが、径(縦あるいは横)などを用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明のロッドレンズアレイの斜視図である。
【図2】光プリントヘッドLの分解斜視図である。
【図3】画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
【図4】MTFによる検査結果と印画のスジムラの関係を示した図である。
【図5】ロッドレンズアレイの特性評価に用いるための装置概略図である。
【図6】発光素子の光の強度分布を示す3次元の斜視図である。
【図7】感光体におけるE−V曲線図である。
【図8】発光素子の強度断面積および移動平均演算を行って算出した理想断面積を示す図である。
【図9】区間平均化処理を行って算出した区間断面積を示す図である。
【図10】理想断面積、区間断面積に基づいて、スジムラ要素を導く計算方法を示す図である。
【図11】ロッドレンズアレイの検査結果と印画のスジムラの関係を示した図である。
【図12】光源ユニットとして点光源を用いて検査した場合の例を示した図である。
【図13】光源ユニットして複数個の光源を用いて検査した場合の例を示した図である。
【図14】複数個の光源ユニットを交互に点灯させて検査した場合の例を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
L・・・光プリントヘッド
P・・・感光体
1・・・回路基板
2・・・発光素子アレイチップ
3・・・発光素子
4・・・ドライバーIC
5・・・レンズアレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を発光させ、その素子像を記録媒体としての感光体面上に高精度で結像する、例えばLED(発光ダイオード)やOLED(有機発光ダイオード)等を用いた光プリンタヘッドにおいて、結像素子として用いられるロッドレンズアレイの製造方法、および該ロッドレンズアレイを有する光プリンタヘッドおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDプリンタ等に使用されている正立等倍の長尺の結像素子アレイとしては、レンズアレイが知られている。このようなレンズアレイの内、特にロッドレンズアレイが広く用いられている。ここで、ロッドレンズアレイとは、半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズを複数個、所定方向に周期的に配列したものである。
【0003】
図1に、前記のようなロッドレンズアレイを示す。ロッドレンズは、通常ロッド状のガラスにイオン交換を施して、屈折率分布を持たせることによって形成される。このような複数のロッドレンズが、図1の上下方向(以下、副走査方向と記す)に対して、1段あるいは2段、図1の左右方向(以下、主走査方向と記す)に配列されている。これらのロッドレンズは各々、物体の正立等倍像を所定距離離れた位置に結像する機能を有する。
【0004】
上記の複数のロッドレンズは高密度に配列され、これらが一対の側板によって挟持される。また、各ロッドレンズの間に不透明の樹脂が充填される。その結果、ロッドレンズアレイが製作される。
【0005】
図2に示すように、上記ロッドレンズアレイと発光手段により光プリンタヘッドが構成され、複数の発光素子から成る発光手段(発光素子アレイ)は、画像信号に応じて発光し複数の光束を出射する。これらの光束は、複数のロッドレンズをアレイ状に配列したロッドレンズアレイにより、該発光手段の反対側に配列された記録媒体としての感光体の表面上の同じポイント(結像スポット)上に正立等倍で結像される。そして、このことにより、例えば光プリンタの感光体表面上に潜像を形成することができる。上記ロッドレンズアレイは、多数のロッドレンズを配列させているため、一本のロッドレンズアレイ内で屈折率やレンズ厚さZ0の異なる等といった問題もしばしば発生していたが、多少結像特性が異なっていても、正立等倍結像であるため、感光体上の結像点はほとんど乱れないとされていた。
【0006】
一方、近年、プリンタの高精度化が進み、600dpiや1200dpiといった高解像度のプリンタも出てきている。このようなプリンタの高画質化に対しては、発光素子の光量バラツキを電気的に補正する手段が導入され始めている。これは、光プリンタヘッドに使用される複数個の発光素子は、発光特性が均一でないため、発光素子ごとに発光量が異なり、出力された画像上に濃度ムラが発生すると考えられているからである。
【0007】
しかしながら、上記のようなプリンタにおいて、精度良く光量補正を行っているにも関わらず、出力された画像上に濃度ムラが発生してしまうため、画質管理を的確に行えない状況にあった。本発明者は、この濃度ムラが発光量による問題ではなく、プリンタに使用されているロッドレンズアレイの屈折率および厚みZ0の誤差に起因する結像性能の問題であると考えた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、ロッドレンズの配列に、周期的に倍率関係が崩れるような歪曲収差やレンズ厚みZ0の異なる箇所などが存在すると、光束は感光体面上で一点に集光しなくなり、結像スポットのバラツキが発生してしまうため、発光量の均一化だけでは画像の濃度ムラは除去されない。
【0009】
ここでいう濃度ムラとは、印画の周期的なスジ状の濃度ムラを指しており、以降スジムラと称する。
【0010】
これに対し、従来からMTFによるロッドレンズアレイの特性判別が既知の技術として確立されており、特開2003−114305号公報および特開2002−27197号公報によれば、MTFの部分変動値、または前記MTFの最大値と最小値の管理によりスジムラを抑制できると記載されているが、図4に示すとおり、MTFによるスジムラ要素の抽出では、画像上のスジムラを精度よく管理できないことを本発明者は印画に基づくロッドレンズアレイと光プリンタヘッドの関係から実験的に求めている。
【0011】
MTF(Modulation Transfer Funciton)とは、画像の質、つまり解像力を表す指標で、これは矩形波格子パターンの像をスリットスキャン、あるいはCCDセンサで受光し、その光量レベルからSLAのレスポンス関数MTFを算出する方法である。関数は、
で示され、MTFが高い、つまり100%に近い程、原画に忠実な像が形成されていることになる。
【0012】
また、光プリンタヘッドとしての画質評価は、発光素子アレイ、ロッドレンズアレイ、感光体を組み合わせて装置を組み上げ、その後、実際に装置を動作させて感光、現像プロセスを行い、形成される画像のスジムラを評価していた。したがって、ロッドレンズアレイに原因するスジムラがあるか否かについては、装置組み上げ後でないと把握できず、ロッドレンズアレイが不良品であると判明した場合、同アレイの良品を用いて装置の組上げを再度行う必要がある。このため、1本の良品をとるまでに手間と時間が非常にかかり、装置としての生産性を落としていた。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的はスジムラのない良好な画質を得られるロッドレンズアレイとそれを用いた光プリンタヘッドならびに画像形成装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の別の目的は、ロッドレンズアレイに起因するスジムラを装置組み上げ前に評価することができ、生産性の向上を図ったロッドレンズアレイの検査方法を提供することにある。
【特許文献1】特開2003−114305号公報
【特許文献2】特開2002−27197号公報
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のロッドレンズアレイの製造方法は、発光素子を有する光源手段から出射した光を記録媒体上に結像させるロッドレンズアレイの製造方法において、順次下記(1)〜(5)の各工程を経て製作されることを特徴とする。(1)前記ロッドレンズアレイを透過させた前記発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。(2)各前記光結像位置において、所定の強度閾値で前記3次元強度分布の断面積を求める。(3)各前記光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、前記3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。(4)N個の前記光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関して前記3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。(5)各前記光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。ただし、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のロッドレンズアレイの製造方法によれば、各ロッドレンズアレイの持つスジムラ要素を精度よく抽出することができ、ロッドレンズアレイの生産性を向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、判別されたロッドレンズアレイを光プリンタヘッドに使用することでロッドレンズアレイに起因するスジムラのない画像形成装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、光プリンタヘッドに使用する正立等倍の結像素子アレイ(ロッドレンズアレイ)の斜視図であり、図2は本発明の一実施形態にかかる光プリンタヘッドLの分解斜視図であり、図3は光プリンタヘッドLを実装した画像形成装置の概略構成を示す正面図である。この装置は、大略的に、光プリンタヘッドLと、前記感光体Pとからなる。
【0020】
光プリンタヘッドLによれば、回路基板1の上面に複数個の発光素子アレイチップ2やドライバーIC4等を実装するとともに、これら発光素子アレイチップ2の発光面上に前記結像光学系であるロッドレンズアレイ5を配置したものである。これら各部材は、図示しないハウジングの内部に収容している。
【0021】
回路基板1は、ガラス布基材エポキシ樹脂やガラス、セラミック等の電気絶縁性材料からなる矩形状のベースの上面に多数の回路配線を所定パターンに被着させてなり、その上面でもって複数個の発光素子アレイチップ2やドライバーIC4等を支持する。
【0022】
回路基板1上に搭載した複数個の発光素子アレイチップ2は、回路基板1の主走査方向に沿って1列状に配置されており、各々の上面には、たとえば600dpi(dot per inch)の密度で直線状に配列した発光素子3と、この発光素子3に電気的に接続される多数の接続パッドとを有しており、これら各接続パッドはボンディングワイヤを介して回路基板1上の回路配線に電気的に接続される。
【0023】
発光素子3は、たとえばGaAlAs系やGaAsP系の発光素子等から成り、p型半導体とn型半導体とをpn接合して構成され、外部より回路配線および接続パッド等を介して発光素子3に電源電力が印加されると、p型半導体の内部に電子が、n型半導体の内部に正孔がそれぞれ注入され、これらキャリアをpn接合付近で再結合させ、この結合の際に生じたエネルギーを光に変換することによって発光素子3が所定の輝度で発光する。
【0024】
この発光素子3には、画像データに基づいて外部より所定のエネルギーが印加され、発光素子が画像データに対応した所定の時間だけ発光する。
【0025】
また、発光素子アレイチップ2上に配したロッドレンズアレイ5については、発光素子3の発する光を外部の感光体Pに照射・結像させるためのものであり、かかるロッドレンズアレイ5としては多数の棒状のレンズを直線状、あるいは千鳥状に配列させて成るロッドレンズアレイ等が用いられ、接着剤により図示しないレンズホルダー等によって所定位置に固定される。
【0026】
感光体Pについては、光プリンタヘッドLの発光素子アレイチップ2上に、光プリンタヘッドLと所定の距離だけ離間するようにして、光プリンタヘッドLと略平行に配置される。
【0027】
感光体Pは、アルミニウム等から成る円筒状基体の外表面にアモルファスシリコン等の無機半導体や有機半導体から成る光導電層を被着させた構造を有しており、印画動作時、図示しないモータ等によって軸周りに回転され、光導電層に光プリンタヘッドLからの光が照射されると、光導電層の比抵抗を急激に低下させて、光導電層に所定の潜像を形成する。そして、感光体Pに形成された潜像は、現像プロセスを経てトナー像となり、このトナー像を記録紙に転写、定着させることによって所定の画像が記録される。
【0028】
続いて、上記構成の光プリンタヘッドLに使用するロッドレンズアレイの検査方法について説明する。
【0029】
順次、(1)〜(6)の工程を経る。
【0030】
工程(1):まず、光源手段から出射した光束の該ロッドレンズアレイ透過光における強度分布を略結像位置にて測定する。測定には、図5に示すようなレンズ測定装置を用いればよい。
【0031】
図5に示すように、光プリンタヘッドの発光素子にあたる測定装置の光源手段には、LED光源を用い、スリットを設けた遮光板を配置することで擬似的な発光素子を形成している。また、使用するスリットは、円形状、非円形状を問わず、用途に合わせた形状とする。
【0032】
前記LED光源の光は、所定の位置に配置したロッドレンズアレイを介し、前記光源と対に位置する撮像装置にて読み込まれる。また、前記光源と前記撮像装置は、ロッドレンズアレイと平行に移動しながら、所定の距離に対しN箇所で測定を行う。N個の測定箇所は、N個の発光素子を有する光プリンタヘッドの各発光素子から出射させた光が感光体に照射される位置に対応する。したがって、LED光源は、N個の発光素子を有する光プリンタヘッドの各発光素子の配設位置に対応するように移動され、光結像位置と発光素子の配設位置は、ロッドレンズアレイの長手方向に関して対応することとなる。便宜上、以下では、N個の光結像位置を発光素子Di(i=1、2、・・・、N)と呼ぶこともある。撮像装置としては例えばCCDを使用され、該撮像装置によってロッドレンズアレイを透過した光の強度分布が電気信号として出力される。本装置は、ロッドレンズアレイを固定とし、光源と撮像装置が対となって移動する仕組みと成っているが、作業性、生産性の点からロッドレンズアレイが移動する仕組みでも問題はなく、用途に合わせて選択すると良い。
【0033】
これにより得られた光の強度分布は、発光素子の出射光の一部が周囲に向かって広がることによって、図6に示す3次元の斜視図に示すごとく、中央域にピーク値を有する山状の分布となっている。
【0034】
工程(2):次に上述の強度分布のうち、所定の強度閾値を等高線とする領域の断面積Si(1≦i≦N)を求める。この断面積を算出する所定の強度閾値は、感光体の露光感度と相関が認められるため、目的とする感光体の露光感度に基づいて設定した。
【0035】
あるピークを有する発光素子の感光体におけるE−V曲線、およびスポット電位分布、そして、光の3次元強度分布の関係は図7のようになる。E−V曲線(図7の第1象限)の縦軸は感光体表面の帯電電位を、横軸は感光体に露光される露光量をそれぞれ示す。光の3次元強度分布(図7の第2象限)の縦軸は発光素子の発光領域の幅を、横軸は発光素子の発する光の強度をそれぞれ示す。光の3次元強度分布の強度閾値は、E−V曲線における感光体の帯電電位が半減するのに必要な発光素子の強度を示す。そして、スポット電位分布(図7の第4象限)の縦軸は感光体の帯電電位を、横軸は発光素子の発光領域の幅をそれぞれ示す。スポット電位分布に示されるトナー閾値電位は、感光体の表面へのトナー付着が開始される感光体の表面電位であり、おおよそ感光体の帯電電位が半減した電位に相当する。
【0036】
例えば、感光体の表面電位が1/2まで低下するのに必要な感光体の半減露光感度が、2〜10cm2/μJである場合には、強度閾値として、各発光素子に対するピーク値の2〜5%の範囲、またはピーク値の平均値の2〜5%に相当する強度の範囲を選択することが望ましい。
【0037】
強度閾値についてもう少し説明を加える。発光素子の強度分布の内、強さ方向はデジタル値で表すこともでき、例えばデジタル出力が8ビットの場合、強度は20〜28、すなわち0〜255の範囲で表すことができる。同様に、10ビットの場合は、20〜210、すなわち0〜1023の範囲で表すことができる。
【0038】
デジタル出力8ビットの例では、各発光素子に対するピーク値の平均値で200であるとすると、ピーク値の平均値の2〜5%に相当する強度は4〜10ということになる。
【0039】
工程(3):次に、数1に示すように、k番目の発光素子Dk(1≦k≦N)を中心とする前後h1個の発光素子を含めたグループの強度分布の平均断面積、すなわち移動平均を計算し、これを理想断面積P(k)とする。
【数1】
【0040】
この移動平均の処理は、ローパスフィルタの役割を有し、これによって各発光素子の理想断面積P(k)から短い周期のばらつきを除去することができる。このh1の値を適切に選択してやることにより、理想断面積P(k)は、緩やかなうねりを有する曲線になる。
【0041】
この曲線は、図8に示すように測定された各発光素子の断面積から、人間の眼に敏感な短い周期のばらつきが除去され、長周期のばらつきのみを有していることになり、この曲線に基づきロッドレンズアレイのスジムラ要素を判定してやることで、出力される画像のムラ感が人間の視覚では認識されない良好なレベルであるということになる。
【0042】
なお、図8の横軸は、光の3次元強度分布を測定した各発光素子の配列を示し、縦軸は断面積値(任意単位)であり、また曲線Aは各発光素子の断面積Siであり、曲線Bは、曲線Aを移動平均した結果(理想断面積P(k))である。
【0043】
かかる移動平均によれば、h1の値を変えることによって、移動平均を行う区間の長さを変更し、除去されるばらつきの周期を選択することができる。この値を大きくすると、広い周期のばらつきを除去することができるが、大きくしすぎると、理想断面積P(k)は平坦な直線となるため、スジムラ要素の抽出精度が低下してしまう。
【0044】
また、この値h1を小さくすると、除去できるばらつきの範囲は小さくなるが、小さくしすぎると、人間の視覚に認識される短周期のばらつき成分を有するため、ローパスフィルタとしての効果がなくなってしまう。
【0045】
本発明者は、移動平均計算をおこなう区間長と、h1値と、スジムラとの関係を実験したところ、表1〜表3に示すような結果が得られた。なお、表1はロッドレンズアレイを構成する各ロッドレンズの径が0.9mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表2はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表3はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が1200dpiの場合の結果をそれぞれ示すものである。
【表1】
【表2】
【表3】
【0046】
同表において、◎、○、△、×、××の5通りに区分しており、◎印は人間の目ではスジムラがあるかどうか判別できない程度の良好なレベルである。○印は光の当て方によってわずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、△印は光の当て方によらず、わずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、×印、××印となるにつれて、スジムラが顕著に悪くなるという状態を示している。
【0047】
表1〜3によれば、いずれの場合であっても、移動平均計算をおこなう区間の長さが1.5〜15.7mmが好ましいことがわかる。具体的なh1の値については、たとえば、表1のケースの場合、h1の下限は2h1+1=1.5mm/0.0423mm=35であり(0.0423mmは各発光素子間の間隔)、これにより、h1=17となる。また、h1の上限は、2h1+1=15.7mm/0.0423mm=371であり、これにより、h1=185となる。表2の場合、表1の場合と比べて発光素子の配列密度が表1のケースと同じであるため、h1の値は変わっていない。表3の場合については、表1の場合と比べて発光素子の配列密度が倍になっているため、各発光素子間の間隔が1/2となる関係上、h1の値は約2倍となっており、h1の範囲は35〜371となっている。
【0048】
なお、当該発光素子Dkの前後にh1個の発光素子が存在しない場合(例えば、光プリンタヘッドの端部付近の発光素子の場合)には、P(k)を算出せず、スジムラ判定の対象外とする。
【0049】
工程(4):発光素子Di(i=1、2、・・・・・、N)をM個の区間に区分し、各区間の強度分布の平均断面積をSiとすると、数2に示すように、h2個の発光素子からなる各断面積の平均値、すなわち区間平均を計算し、それを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。なお、Q(l)は、l番目の区間に属する各光照射位置については、全て同じ値となる。
【数2】
【0050】
この区間平均化処理は、図9に示すがごとく、高周波ノイズフィルタの役割を果たす。これによって、各発光素子の断面積Siから高周波ノイズ成分を除去することができる。
【0051】
ここでいう高周波ノイズ成分とは、印画に寄与しないレベルの強度面積Siの高周波ばらつきや、断面積Siの測定系、つまりCCDカメラの暗電流等に起因するばらつきを示す。
【0052】
かかる区間平均化処理によれば、h2の値を変えることによって、平均化する区間の長さを変更し、除去されるばらつきの周期を選択することができる。この値を大きくすると、広い周期のばらつきを除去することができるが、大きくしすぎると、区間断面積Q(l)は、基準値に近くなるため、スジムラ要素の抽出精度が低下してしまう。
【0053】
また、このh2を小さくすると、除去できるばらつきの周期は小さくなるが、小さくしすぎると区間平均化処理そのものの効果、つまり高周波ノイズ成分の除去効果がなくなってしまう。
【0054】
本発明者は、区間平均化計算をおこなう区間長と、h2値と、スジムラとの関係を実験したところ、表4〜表6に示す結果が得られた。なお、表4はロッドレンズアレイを構成する各ロッドレンズの径が0.9mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表5はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が600dpiの場合、表6はロッドレンズの径が0.6mm、発光素子の配列密度が1200dpiの場合の結果をそれぞれ示すものである。
【表4】
【表5】
【表6】
【0055】
同表において、◎、○、△、×、××の5通りに区分しており、◎印は人間の目ではスジムラがあるかどうか判別できない程度の良好なレベルである。○印は光の当て方によってわずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、△印は光の当て方によらず、わずかにスジムラがあるのが認識できるレベルであり、×印、××印となるにつれて、スジムラが顕著に悪くなるという状態を示している。
【0056】
以上のとおり、表4のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.17〜1.35mm、表5のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.23〜1.24mm、表6のケースでは、平均化計算をおこなう区間の長さが0.23〜1.02mmの範囲に収まるように選択されると良い。具体的なh1の値については、たとえば、表4の場合、h2の下限はh2=0.17mm/0.0423mm=4となる。また、h2の上限は、h2=1.35mm/0.0423mm=31となる。表5の場合、h2の下限は5、上限は29、表6の場合、h2の下限は10、上限は48である。
【0057】
工程(5):最後に、該ロッドレンズアレイのスジムラ指標となるXを算出し、同指標に基づいてロッドレンズアレイの良品を判定する。以上の工程を経ることにより、ロッドレンズアレイが完成する。スジムラ指標の算出方法は次のようになる。
【0058】
図10に示すがごとく、上記工程(4)で得たl番目の区間断面積Q(l)と隣接するl+1番目の区間断面積Q(l+1)の隣接間差となるQ(l+1)−Q(l)を算出した後、これを前記理想断面積P(k)で除算した値R(k)(j=1、2、・・・・、N)の標準偏差をロッドレンズアレイのスジムラ要素Xとする。これにより、該ロッドレンズアレイに起因する印画上のスジムラがどのレベルであるか判別可能となる。なお、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【0059】
これは、本発明者は、スジムラがロッドレンズアレイ内における局所的(部分的)な歪曲収差の存在により発生すると考えているためであり、そのため周辺ロッドレンズの特性差が大きいほどスジムラが顕著となることを指している。逆説的に言えば、隣接するロッドレンズのばらつきが小さいほどスジムラは発生しづらい、すなわち良好な画質が得られるということになる。
【0060】
本発明者が、レンズ検査でのスジムラ要素Xと印画上のスジムラの関係を実験したところ、図11に示すような結果が得られた。
【0061】
図11の横軸は、プリンタより出力した印画をスキャナーで取り込み、数値化した値を示している。図11の縦軸は、光の3次元強度分布における断面積に基づいたレンズ検査を実施した結果を示す。同図の数値は、その値が小さいほど画質に優れることを指しており、大きくなるにつれてスジムラが強くなる。
【0062】
本発明者は、スジムラのない優れた画質を提供可能なロッドレンズアレイに関して、600dpiの印字密度を有し、ロッドレンズアレイの個々のレンズ径が0.8mm〜1.0mmである光プリントヘッドについては、スジムラ要素Xが0.020以下、好ましくは、0.015以下であると実験により導き出している。ただし、これらの値は、使用する測定機、および画像形成装置によって、最適な値を選択すると良い。
【0063】
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において種々の変更、改良等は何ら差し支えない。
【0064】
(1)たとえば、上術の実施形態において、光源にはLEDを用いるようにしたが、これに代えてランプ等による光源手段を用いるようにしてもよい。
【0065】
(2)上述の実施形態において、LED光源とスリットを用いた光源手段としたが、これに代えて図12に示すように点光源等による光源手段を用いるようにしてもよい。
【0066】
(3)また、上述の実施形態における光源の点灯方法として、1素子ずつの点灯としたが、これに代えて図13に示すように、複数個の光源を同時点灯させて各素子の光の3次元強度分布を測定するようにしてもよい。
【0067】
(4)さらに、上述の実施形態における光源の点灯方法として、全素子分の光の3次元強度分布を測定したが、これに代えて図14に示すように、1素子毎または2素子毎に点灯させて光の3次元強度分布を測定するようにしてもよい。
【0068】
(5)上述の実施形態における光の3次元強度分布の測定には、CCDカメラを用いるようにしたが、これに代えてフォトダイオードなど他の光量検出手段を用いるようにしてもよい。
【0069】
(6)また、上述の実施形態において、スジムラの抽出には光の3次元強度分布の断面積を用いるようにしたが、径(縦あるいは横)などを用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明のロッドレンズアレイの斜視図である。
【図2】光プリントヘッドLの分解斜視図である。
【図3】画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
【図4】MTFによる検査結果と印画のスジムラの関係を示した図である。
【図5】ロッドレンズアレイの特性評価に用いるための装置概略図である。
【図6】発光素子の光の強度分布を示す3次元の斜視図である。
【図7】感光体におけるE−V曲線図である。
【図8】発光素子の強度断面積および移動平均演算を行って算出した理想断面積を示す図である。
【図9】区間平均化処理を行って算出した区間断面積を示す図である。
【図10】理想断面積、区間断面積に基づいて、スジムラ要素を導く計算方法を示す図である。
【図11】ロッドレンズアレイの検査結果と印画のスジムラの関係を示した図である。
【図12】光源ユニットとして点光源を用いて検査した場合の例を示した図である。
【図13】光源ユニットして複数個の光源を用いて検査した場合の例を示した図である。
【図14】複数個の光源ユニットを交互に点灯させて検査した場合の例を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
L・・・光プリントヘッド
P・・・感光体
1・・・回路基板
2・・・発光素子アレイチップ
3・・・発光素子
4・・・ドライバーIC
5・・・レンズアレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する光源手段から出射した光を記録媒体上に結像させるロッドレンズアレイの製造方法において、順次下記(1)〜(5)の各工程を経て製作されることを特徴とするロッドレンズアレイの製造方法。
(1)前記ロッドレンズアレイを透過させた前記発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。
(2)各前記光結像位置において、所定の強度閾値で前記3次元強度分布の断面積を求める。
(3)各前記光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、前記3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。
(4)N個の前記光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関する前記3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。
(5)各前記光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。ただし、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【請求項2】
前記工程(2)において、所定の強度閾値を感光体の感度を基準として決定することを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
前記感光体の感度が半減露光感度である請求項2のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
前記半減露光感度を2〜10cm2/μJにして、前記強度閾値を各発光素子の3次元強度分布のピーク値の2〜5%の範囲に選択する請求項3に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
前記半減露光感度を2〜10cm2/μJにして、前記強度閾値を各発光素子の3次元強度分布のピーク値の平均値の2〜5%の範囲に選択する請求項3に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の製造方法により製作されたロッドレンズアレイと、該ロッドレンズアレイに光を出射する複数の発光素子と、を有する光プリンタヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載の光プリンタヘッドと、該光プリンタヘッドの光が照射される感光体と、を備えた画像形成装置。
【請求項1】
発光素子を有する光源手段から出射した光を記録媒体上に結像させるロッドレンズアレイの製造方法において、順次下記(1)〜(5)の各工程を経て製作されることを特徴とするロッドレンズアレイの製造方法。
(1)前記ロッドレンズアレイを透過させた前記発光素子からの光の3次元強度分布を異なるN個の光結像位置にて測定する。
(2)各前記光結像位置において、所定の強度閾値で前記3次元強度分布の断面積を求める。
(3)各前記光結像位置と、当該光結像位置の両側に位置する所定数の光結像位置とからなるグループに関して、前記3次元強度分布の断面積の移動平均値を算出し、これを理想断面積P(k)(1≦k≦N)とする。
(4)N個の前記光結像位置をM個の区間に区分し、各区間に関する前記3次元強度分布の平均断面積を算出し、これを区間断面積Q(l)(1≦l≦M)とする。
(5)各前記光結像位置に関して、R(k)=[Q(l+1)−Q(l)]/P(k)を算出し、該R(k)の値が所定の範囲内であるロッドレンズアレイを良品とする。ただし、Q(l)は、理想断面積P(k)を有するk番目の光結像位置が属する区間の区間断面積、Q(l+1)は、前記Q(l)の次の区間の区間断面積とする。
【請求項2】
前記工程(2)において、所定の強度閾値を感光体の感度を基準として決定することを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
前記感光体の感度が半減露光感度である請求項2のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
前記半減露光感度を2〜10cm2/μJにして、前記強度閾値を各発光素子の3次元強度分布のピーク値の2〜5%の範囲に選択する請求項3に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
前記半減露光感度を2〜10cm2/μJにして、前記強度閾値を各発光素子の3次元強度分布のピーク値の平均値の2〜5%の範囲に選択する請求項3に記載のロッドレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の製造方法により製作されたロッドレンズアレイと、該ロッドレンズアレイに光を出射する複数の発光素子と、を有する光プリンタヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載の光プリンタヘッドと、該光プリンタヘッドの光が照射される感光体と、を備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−275693(P2008−275693A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116061(P2007−116061)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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