説明

ロボットコントローラー

【課題】筐体内に配置される回路基板の内部構造を簡素化することの可能なロボットコントローラーを提供することにある。
【解決手段】交流モーターが搭載されたロボットを制御するロボットコントローラーであって、交流電圧の出力電圧を直流電圧である駆動電圧に変換して出力する駆動電圧生成基板20と、駆動電圧生成基板20の出力電圧を多相交流電圧に変換して交流モーターに出力する駆動回路基板40と、駆動回路基板40の出力電圧を交流モーターの回転位置に基づいて制御するための制御信号を駆動回路基板40に出力する制御回路基板30とを備え、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが、筐体内の底面パネルに互いに並んで配置され、駆動回路基板40が、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに架設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動きを制御するロボットコントローラーに関するものであって、特にロボットが有する交流モーターの駆動を制御するための複数の回路基板が筐体の内部に配置されるロボットコントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、ロボットコントローラーの筐体の内部には、交流モーターの駆動を制御するための複数の回路基板が配置されている。図4は、回路基板の配置を示すロボットコントローラーの分解斜視図であって、筐体51の一側面である開閉パネル51Fが筐体51から取り外された状態のロボットコントローラーをその制御対象であるロボットとともに示す図である。
【0003】
図4に示されるように、ロボットコントローラーの制御対象であるロボットRは、例えば基体に連結された多関節のアームと、該アームの先端に連結された昇降シャフトと、昇降シャフトの下端に連結されたエンドエフェクターとから構成される水平多関節ロボットである。これら多関節アーム、昇降シャフト、及びエンドエフェクターを駆動する4つの交流モーターMの各々には、該交流モーターMの回転位置を検出するエンコーダーが搭載されている。
【0004】
ロボットコントローラーにおける筐体51内の底面には、CPUが搭載された指令生成基板52が固定され、また筐体51内の背面には、駆動制御基板53が固定されている。指令生成基板52は、各エンコーダーが出力する検出信号を受けて、ロボットRの移動先となる位置やロボットRの移動する速度を位置指令や速度指令として出力する。駆動制御基板53は、上記指令生成基板52が出力する指令に基づいて交流モーターMにおける各相の電圧指令を生成し、該電圧指令に応じたパルス信号をPWMなどの変調方式で出力する。このような駆動制御基板53には、該駆動制御基板53に対して直立する4つの駆動回路基板54がコネクター53cを介して接続されている。そして、4つの駆動回路基板54の各々は、それに搭載されたインバーター回路で、駆動制御基板53が出力するパルス信号に基づき、交流モーターMの各相に出力される駆動電圧のスイッチングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−175856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、駆動回路基板54が出力対象となる上記駆動制御基板53では、駆動電圧をスイッチングするためのパルス信号の他、該駆動電圧として例えば280Vの直流電圧が生成される。
【0007】
ここで、スイッチング用のパルス信号が駆動制御基板53で生成される過程では、指令生成基板52からの位置指令や速度指令に応じた速度で、基準となるクロック信号が変調される。そのため、駆動制御基板53のうち、上記パルス信号が生成される領域には、このような高速演算を実現させるうえで、通常、6層以上の多層構造が必要とされる。これに対し、200Vの交流電圧を例えば280Vの直流電圧に変換する際には、上述のような高速演算が必要とされないため、駆動制御基板53のうち、駆動電圧が生成される領域には、通常、2層程度の積層構造があればよい。
【0008】
しかしながら、駆動制御基板53のような実装基板では、積層構造の層数を特定の領域で変えることが製造工程の観点から困難であるため、実装基板の全体が同一の層数で構成されることが一般的である。それゆえに、上述した構成からなるロボットコントローラーでは、結局のところ、駆動電圧の生成される領域の層数をその機能に必要とされる層数よりも多くする必要があるため、駆動制御基板の内部構造を不要に複雑にすることが余儀なくされている。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、筐体内に配置される回路基板の内部構造を簡素化することの可能なロボットコントローラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、交流モーターが搭載されたロボットを制御するロボットコントローラーであって、交流電圧の出力電圧を直流電圧である駆動電圧に変換して出力する電源回路基板と、前記電源回路基板の出力電圧を多相交流電圧に変換して前記交流モーターに出力する駆動回路基板と、前記駆動回路基板の出力電圧を前記交流モーターの回転位置に基づいて制御するための制御信号を前記駆動回路基板に出力する制御回路基板とを備え、前記電源回路基板と前記制御回路基板とが、筐体内の底面に互いに並んで配置され、前記駆動回路基板が、前記電源回路基板と前記制御回路基板とに対して立てられた状態で前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、駆動回路基板に入力される駆動電圧が電源回路基板で生成されるとともに、駆動回路基板に入力される制御信号が制御回路基板で生成される。多相交流電圧を制御するための制御信号の生成される過程では、モーターの回転位置に基づく高速演算が必要とされるため、こうした制御信号を生成する制御回路基板では、その基板構造が自ずと多層構造になる。一方、交流電圧の出力電圧を直流電圧に変換する電源回路基板では、上述のような高速演算が必要とされないため、こうした電源回路基板に対しては、多層構造が必要とされない。
【0012】
この点、上述した構成であれば、互いに異なる機能を有した制御回路基板と電源回路基板とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。制御回路基板と電源回路基板とが一つの回路基板として構成される場合には、これらの互いに異なる要請を一つの回路基板が満たすために、該回路基板の多層化や複雑化が必要となるが、上述した構成によれば、筐体内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0013】
そのうえ、制御回路基板と電源回路基板とが筐体の底面に並んで配置され、且つこれらの出力を用いる駆動回路基板が、電源回路基板と制御回路基板とに対して立てられた状態で電源回路基板と制御回路基板とに架設される。それゆえに、駆動回路基板の接続先となる2つの回路基板に対し、これらが互いに離れることを抑えることが可能となる結果、駆動回路基板における配線の引き回しを簡素化すること、ひいては、駆動回路基板の内部構造を簡素化することが可能となる。
【0014】
なお、電源回路基板及び制御回路基板と駆動回路基板とが互いに平行となるように、電源回路基板及び制御回路基板に対して駆動回路基板が架設されると、電源回路基板と制御回路基板とが駆動回路基板によって覆われることとなる。一方、上述した構成であれば、駆動回路基板によって覆われる電源回路基板や制御回路基板の領域を最小限に抑えることが可能であるため、各々の回路基板に対するメンテナンス性を確保することが可能にもなる。
【0015】
この発明は、前記電源回路基板が、前記駆動電圧を出力する第1出力コネクターを有し、前記制御回路基板が、前記制御信号を出力する第2出力コネクターを有し、前記第1出力コネクターと前記第2出力コネクターとが、一つの方向に並んで配置され、前記駆動回路基板の周辺のうち、前記筐体内の底面側となる一辺には、前記第1出力コネクターに嵌着される第1入力コネクターと前記第2出力コネクターに嵌着される第2入力コネクターとが、前記一つの方向に並んで配設されていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、電源回路基板と駆動回路基板とが第1出力コネクターと第1入力コネクターとの嵌着によって接続され、制御回路基板と駆動回路基板とが第2出力コネクターと第2入力コネクターとの嵌着によって接続されている。それゆえに、回路基板間を接続するためのケーブルを用いることなく、これら制御回路基板及び電源回路基板と駆動回路基板とを直接接続することが可能であって、ロボットコントローラーの筐体内では、省配線化を図ることが可能にもなる。
【0017】
この発明は、前記筐体が、直方体形状であり、前記電源回路基板が、前記筐体内の底面における該筐体の背面側に配置され、前記制御回路基板が、前記筐体内の底面における該筐体の正面側に配置され、且つ前記交流モーターの回転位置を検出する検出器からの検出信号の入力されるポートを前記筐体の正面側に有し、前記ポートが、前記筐体の正面パネルに嵌め込まれていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、制御回路基板の正面側にポートが配置されて、交流モーターの回転位置を示す信号が該ポートに入力される。そして、交流モーターの回転位置を検出する検出器と制御回路基板とのインターフェースであるポートが、筐体の正面パネルに嵌め込まれている。それゆえに、上述したインターフェースがロボットコントローラーの背面や底面に配設される場合と比較して、ロボットコントローラーと検出器との接続や切断が容易なものとなる。そのうえ、制御回路基板とポートとを接続するためのケーブルを用いることなく、これら制御回路基板とポートとを接続することが可能であって、ロボットコントローラーの筐体内にて省配線化を進めることが可能にもなる。
この発明は、前記駆動回路基板が、前記筐体内の右側面と前記筐体内の左側面とのいずれか一方に配置されていることを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、電源回路基板、制御回路基板、駆動回路基板の各々が、直方体形状をなす筐体内の各側面に配置される。このような構成によれば、各回路基板の占める空間が筐体の各側壁に沿った空間となるため、筐体の内部空間が回路基板によって区画されることを抑え、ひいては配線や電子部品を配置するために必要とされる連続的な空間を筐体の内部で確保することが容易なものとなる。
【0020】
この発明は、複数の前記駆動回路基板を備え、前記複数の駆動回路基板の各々が、互いに平行となるように前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されていることを要旨とする。
【0021】
この発明によれば、複数の駆動回路基板の各々が互いに平行となるように配置されているため、複数の駆動回路基板の各々が交差するように配置される場合と比較して、これら複数の駆動回路基板の占める空間の大きさを小さくすることが可能である。ひいては、ロボットコントローラーの小型化を図ることが可能にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態におけるロボットコントローラーの外部構造を示す斜視図。
【図2】同じく一実施形態におけるロボットコントローラーの内部構造について電源の供給系を中心に示す斜視図。
【図3】同じく一実施形態におけるロボットコントローラーの内部構造について制御回路基板と電源回路基板とに対する駆動回路基板の配置を示す斜視図。
【図4】従来例におけるロボットコントローラーの内部構造を制御対象であるロボットとともに示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のロボットコントローラーを具体化した一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。なお、本実施形態におけるロボットコントローラーの制御対象は、先の図4にて説明されたロボットであって、4つの交流モーターMが搭載された水平多関節ロボットである。そのため、以下では、ロボットコントローラーの制御対象に関し、先に説明されたロボットRと同一の符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0024】
[ロボットコントローラーの外部構造]
まず、ロボットコントローラーの外部構造について図1を参照して説明する。図1に示されるように、水平方向に延びる直方体形状に形成された筐体1の正面パネル1Fには、該正面パネル1Fにおける右側端部に、外部電源コネクター2が配設されている。外部電源コネクター2は、ロボットコントローラーが設置される設備の外部電源プラグに接続されて、外部電源プラグから供給される200Vの交流電圧を筐体1の内部に供給する。正面パネル1Fにおいて外部電源コネクター2の上側には、サーキットプロテクター3の操作レバー3aが配設されている。サーキットプロテクター3の操作レバー3aは、筐体1の内部にて外部電源コネクター2に接続されて、外部電源プラグが供給する200Vの交流電圧に対し、ロボットコントローラーへの供給と遮断とを強制的に切り替える。
【0025】
一方、正面パネル1Fにおける左側端部には、上下方向に延びる矩形状の多相交流電圧コネクター4が嵌め込まれている。多相交流電圧コネクター4では、4つの交流モーターMに接続される複数の接続端子の各々が、上下方向に配列されている。多相交流電圧コネクター4は、上述した4つの交流モーターMの各々に接続されて、該4つの交流モーターMの各々に多相交流電圧を出力する。
【0026】
正面パネル1Fにおける下側端部のうち、正面パネル1Fの左側半分を占める部分には、左右方向に延びる外部通信用の3つのポートが嵌め込まれている。3つのポートを構成する位置検出器用ポート11、非常停止用ポート12、TP用ポート13の各々は、正面パネル1Fの下辺に沿って、正面パネル1Fの左側端部からこの順に、且つ各ポートの接続端子が左右方向に並ぶかたちに配設されている。
【0027】
位置検出器用ポート11は、4つの交流モーターMの各々の回転位置を検出するレゾルバやエンコーダーなどの4つの回転角センサーに接続されて、4つの回転角センサーの各々から該回転角センサーが検出した位置を示す位置検出信号が入力される。非常停止用ポート12は、ロボットコントローラーの外部に設けられた非常停止回路や安全扉回路など、ロボットコントローラーの設置された環境が非常時であるか否かを検出する装置に接続されて、該装置から非常停止信号が入力される。TP用ポート13は、ロボットコントローラーの周辺機器の一つであるティーチングペンダントに接続されて、ロボットRの教示に用いられるデータがティーチングペンダントから入力される。
【0028】
正面パネル1Fにおける下側端部のうち、TP用ポート13の右側には、シリアル通信用の2つのポートである第1USBポート14、及び第2USBポート15と、LANポート16が、右側端部に向けてこの順に嵌め込まれている。
【0029】
第1USBポート14は、ロボットコントローラーの周辺機器の一つである外部コンピューターにUSBを経由して接続されて、例えば外部コンピューターからの要求に応じ、ロボットコントローラーにおけるI/Oの状態など、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号を出力する。第2USBポート15は、例えばUSBメモリーに接続されて、ロボットコントローラーに格納されたログをUSBメモリーに出力する。LANポート16は、例えばロボットコントローラーが設置される設備のネットワークにイーサネット(登録商標)を経由して接続されて、例えばネットワークに接続された外部コンピューターからの要求に応じ、これもまたロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号を出力する。正面パネル1Fにおける下側端部のうち、第2USBポート15とLANポート16との間には、トリガースイッチ15aが配設されている。トリガースイッチ15aは、該トリガースイッチ15aが押されるたびに、上記第2USBポート15からのログの出力を許容する。
【0030】
正面パネル1Fの下側端部のうちで右側端部には、各種のデジタル信号の入力及び出力を取り扱うI/Oポート17が嵌め込まれている。I/Oポート17は、正面パネル1Fに配設されたコネクターのうち、左右方向の幅及び前後方向の幅が最も大きいコネクターである。I/Oポート17は、例えばロボットの動きを撮像するカメラやロボットの位置を検出するセンサーなど、ロボットを動かすために必要とされる周辺機器やロボットの動きに合わせて駆動される周辺機器に接続されている。そして、I/Oポート17は、ロボットそのものの状態やロボット周辺の状態を示す信号を周辺機器から入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号を周辺機器に対して出力する。
【0031】
正面パネル1FのうちTP用ポート13の上側には、シーケンサーポート18が嵌め込まれ、シーケンサーポート18の上側には、冷却用ファンFが交換可能に装着されている。シーケンサーポート18は、例えばRS−232Cを経由してシーケンサーに接続されて、ロボットを動かすための制御信号が該シーケンサーから入力される。冷却用ファンFは、筐体1の外部から筐体1の内部に向けて外気を吹き込むファンであって、該冷却用ファンFの外側ケースと正面パネル1Fとの間には、外気に含まれる埃や塵を捕獲するための外気フィルターFaが交換可能に挟まれている。
【0032】
正面パネル1FのうちLANポート16の上側には、上下方向に延びる矩形孔であるスロット孔が形成され、該スロット孔には、矩形板状をなす拡張パネル1Pが嵌め込まれている。また、拡張パネル1Pには、2つの拡張I/Oポート19が左右方向に並んで配設されている。2つの拡張I/Oポート19の各々は、例えばロボットの作業対象となるワークを撮像するカメラや該ワークの位置を検出するセンサーなど、ロボットを動かすために必要とされる周辺機器やロボットの動きに合わせて駆動される周辺機器に接続されている。そして、拡張I/Oポート19は、ロボットそのものの状態やロボット周辺の状態を示す信号を周辺機器から入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号を周辺機器に対して出力する。
【0033】
このように、ロボットコントローラーの正面パネル1Fには、筐体1の内部が開放されることなく行われる下記作業に対し、該作業に必要とされるインターフェースの全てが配設されている。
・ロボットコントローラーに対する電源の投入、及び該電源の遮断。
・ロボットコントローラーとその制御対象となるロボットRとの接続、及び切断。
・ロボットコントローラーとそれの周辺機器との接続、及び切断。
・冷却用ファンF及び外気フィルターFaの保守、及び点検。
【0034】
[ロボットコントローラーの内部構造]
次に、ロボットコントローラーの内部構造について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2では、ロボットコントローラーの内部構造を説明する便宜上、ロボットコントローラーの筐体1のうち、上述した正面パネル1F、背面パネル、天面パネルが省略され、さらに正面パネル1Fに配設された多相交流電圧コネクター4、及び冷却用ファンFが省略されている。また、各回路基板における機能とその配置とを説明する便宜上、回路基板間を接続するケーブル、回路基板と電子部品とを接続するケーブル、及び電子部品間を接続するケーブルが省略されている。
【0035】
図2に示されるように、筐体1の右側パネル1Rには、サーキットプロテクター3に接続されて、200Vの交流電圧を直流電圧に変換して出力する電源供給系が配置されている。また、筐体1の底面パネル1Bには、電源回路基板としての駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが各別に配置され、そして筐体1の左側パネル1Lには、2枚の駆動回路基板40が配置されている。
【0036】
筐体1の右側パネル1Rにおける上側中央には、ノイズフィルターNFが固定されている。ノイズフィルターNFは、入力ケーブルを介してサーキットプロテクター3に接続され、出力ケーブルを介して駆動電圧生成基板20に接続されている。そして、200Vの交流電圧がサーキットプロテクター3からノイズフィルターNFに入力されると、ノイズフィルターNFは、該交流電圧からノイズを除去し、該ノイズの除去された交流電圧を駆動電圧生成基板20に出力する。
【0037】
駆動電圧生成基板20は、底面パネル1Bの背面側に固定された矩形板状のプリント回路基板であって、底面パネル1Bの背面側の殆どを占める大きさに形成されている。駆動電圧生成基板20は、底面パネル1Bと平行な2層のプリント板が積層されてなるリジッド基板を有し、該リジッド基板の上面には、200Vの交流電圧を駆動電圧である280Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装されている。この駆動電圧生成基板20は、入力ケーブルを介してノイズフィルターNFに接続され、出力ケーブルを介して、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に各別に接続されている。また、駆動電圧生成基板20は、出力コネクターを介して駆動回路基板40に接続されている。そして、ノイズフィルターNFから駆動電圧生成基板20に交流電圧が入力されると、駆動電圧生成基板20は、該交流電圧を第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に分配する。さらに、駆動電圧生成基板20は、ノイズフィルターNFから入力された交流電圧を280Vの直流電圧である駆動電圧に変換し、該駆動電圧を駆動回路基板40に出力する。
【0038】
第1電源回路基板PS1は、右側パネル1Rの背面側上方に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を15Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第1電源回路基板PS1は、入力ケーブルを介して駆動電圧生成基板20に接続され、出力ケーブルを介して駆動電圧生成基板20に接続されている。そして、駆動電圧生成基板20から第1電源回路基板PS1に交流電圧が分配されると、第1電源回路基板PS1は、該交流電圧を15Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を駆動電圧生成基板20に出力する。
【0039】
第2電源回路基板PS2は、右側パネル1Rの背面側下方に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を5Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第2電源回路基板PS2は、入力ケーブルを介して駆動電圧生成基板20に接続され、出力ケーブルを介して制御回路基板30に接続されている。そして、駆動電圧生成基板20から第2電源回路基板PS2に交流電圧が分配されると、第2電源回路基板PS2は、該交流電圧を5Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を制御回路基板30に出力する。
【0040】
第3電源回路基板PS3は、底面パネル1Bのうち、駆動電圧生成基板20の右側に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を24Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第2電源回路基板PS2は、入力ケーブルを介して駆動電圧生成基板20に接続され、出力ケーブルを介して制御回路基板30に接続されている。そして、駆動電圧生成基板20から第3電源回路基板PS3に交流電圧が分配されると、第3電源回路基板PS3は、該交流電圧を24Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を制御回路基板30に出力する。
【0041】
制御回路基板30は、底面パネル1Bの正面側に固定された矩形板状のプリント回路基板であって、底面パネル1Bの正面側の全体を占める大きさに形成されている。制御回路基板30は、底面パネル1Bと平行な6層のプリント基板が積層されてなるリジッド基板を有し、該リジッド基板の上面には、駆動回路基板40の出力電圧を制御するための制御信号を回転角センサーから入力される検出信号に基づいて生成するための各種の電子部品が実装されている。この制御回路基板30は、正面パネル1Fの下側端部に配列された各コネクターに接続され、外部装置や周辺機器からの検出信号や指令が各コネクターを介して入力される。
【0042】
詳述すると、制御回路基板30には、上記位置検出器用ポート11が接続されて、4つの回転角センサーの各々からの検出信号が、位置検出器用ポート11を介して制御回路基板30に入力される。また、制御回路基板30には、非常停止用ポート12が接続されて、外部装置や周辺機器からの非常停止指令が、非常停止用ポート12を介して制御回路基板30に入力される。さらに、制御回路基板30には、TP用ポート13が接続されて、ティーチングペンダントからの教示指令が、TP用ポート13を介して制御回路基板30に入力される。
【0043】
また、制御回路基板30には、第1USBポート14が接続されて、外部コンピューターからの指令やデータが、第1USBポート14を介して制御回路基板30に入力される。また、制御回路基板30には、第2USBポート15が接続されて、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号が、トリガースイッチ15aからの入力信号に応じて制御回路基板30から出力される。さらに、制御回路基板30には、LANポート16が接続され、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号が、LANポート16と該LANポート16に接続されたネットワークとを介して制御回路基板30から出力される。また、制御回路基板30には、I/Oポート17が接続されて、周辺機器からの指令や検出信号が、I/Oポート17を介して制御回路基板30に入力される。また、周辺機器への指令や演算結果が、I/Oポート17を介して制御回路基板30から出力される。
【0044】
制御回路基板30の上面における背面側には、上述した冷却用ファンFと前後方向で向い合うように、CPUの搭載されたCPUボード31が積み重ねられている。CPUボード31は、ロボットRに教示位置を教示するための教示プログラムを解釈して実行し、また、ロボットRを所定の作業位置へ動かすためのプログラムを解釈して実行する。この際、CPUボード31は、まずティーチングペンダントから入力される教示位置や予め設定された作業位置と、各回転角センサーから入力される検出結果とを用い、ロボットRが教示位置や作業位置へ移動するための軌道を生成し、ロボットRの移動先を示す位置指令を生成する。続いて、制御回路基板30は、位置指令が示す位置へロボットRを動かすための交流モーターMの駆動量を算出するとともに、算出された駆動量に応じた各相の電圧指令を生成する。次いで、CPUボード31は、生成された電圧指令に応じたパルス信号をPWMなどの変調方式で制御信号として出力する。そして、CPUボード31は、回転角センサーから検出結果が入力される度に、こうした軌道の生成と、軌道に応じた駆動量の算出と、駆動量に応じた制御信号の出力とを行う。
【0045】
制御回路基板30の上面における正面側には、通信用インターフェース基板32が積み重ねられている。通信用インターフェース基板32には、シーケンサーポート18が接続されて、ロボットを動かすための制御信号が該シーケンサーから入力される。
【0046】
制御回路基板30の上面のうち、CPUボード31の右側には、前後方向に延びる3つの拡張用コネクター33が配設されている。3つの拡張用コネクター33の各々には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。そして、上記拡張I/Oポート19を搭載した拡張回路基板のピンが拡張用コネクターに嵌め込まれると、ロボット周辺の状態を示す信号が、拡張回路基板を介して制御回路基板30に入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号が、拡張回路基板を介して制御回路基板30から出力される。また、制御回路基板30の上面のうち、背面側の右側端部には、カード型記憶媒体34の装着されるメモリーコネクター35が配設されている。カード型記憶媒体34には、ロボットRが有するアームの長さ、ロボットRが有する駆動軸と交流モーターMとを連結する減速機の減速比など、ロボットコントローラーがロボットRを動かすために必要とされる各種のデータが記憶されている。そして、CPUボード31は、カード型記憶媒体34に格納された各種のデータを読み出し、該データを参照して上述した軌道の生成を実行する。
【0047】
[駆動回路基板の接続構造]
次に、駆動回路基板40の構造と、該駆動回路基板40と駆動電圧生成基板20及び制御回路基板30との接続構造とについて図3を参照して説明する。
図3に示されるように、駆動電圧生成基板20の上面のうち、正面側の左端部には、前後方向に延びる第1出力コネクター21が配設されている。第1出力コネクター21の上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されて、該第1出力コネクター21からは、駆動電圧生成基板20で生成された駆動電圧と第1電源回路基板PS1で生成された15Vの直流電圧とが出力される。
【0048】
また、制御回路基板30の上面のうち、背面側の左端部であって上記第1出力コネクター21の正面側には、これもまた前後方向に延びる第2出力コネクター36が配設されている。第2出力コネクター36の上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されて、該第2出力コネクター36からは、制御回路基板30で生成された制御信号が出力される。
【0049】
2枚の駆動回路基板40の各々は、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で、これら駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに架設されている。2枚の駆動回路基板40は、冷却用ファンFの吹き込み方向である前後方向に延びる矩形板状に形成されて、左右方向において互いに向かい合い、且つ互いに平行に配置されている。なお、これら2枚の駆動回路基板40は、筐体1に対する配置が左右方向で互いに異なり、且つ駆動対象となる交流モーターMが互いに異なる一方、それに搭載される電子部品の構成については互いに同じである。そのため、以下では、2枚の駆動回路基板40のうち、右側に配置された駆動回路基板40について説明し、左側に配置された駆動回路基板40については、右側に配置された駆動回路基板40と互いに異なる点のみを説明する。
【0050】
駆動回路基板40は、筐体1の左側パネル1Lから右側に延びる3つの支持プレート1Sによって3辺が支持される矩形板状のプリント回路基板であって、左側パネル1Lの凡そ半分を占める大きさに形成されている。駆動回路基板40は、左側パネル1Lと平行な4層のプリント板が積層されてなるリジッド基板を有し、駆動電圧生成基板20から出力される駆動電圧を多相交流電圧に変換するための各種の電子部品が実装されている。
【0051】
駆動回路基板40の底辺には、前後方向に延びる第1入力コネクター41と、同じく前後方向に延びる第2入力コネクター42とが、前後方向に並んで配設されている。第1入力コネクター41は、第1出力コネクター21のピン嵌合孔に嵌め込まれるピンを有し、該第1入力コネクター41に嵌め込まれることによって、駆動電圧生成基板20の出力電圧である駆動電圧と15Vの直流電圧とを駆動回路基板40に入力する。第2入力コネクター42は、第2出力コネクター36のピン嵌合孔に嵌め込まれるピンを有し、該第2入力コネクター42に嵌め込まれることによって、制御回路基板30からの制御信号を駆動回路基板40に入力する。なお、第1入力コネクター41には、駆動電圧生成基板20から2系統の駆動電圧が入力され、また駆動電圧生成基板20から2系統の15Vの直流電圧が入力される。また、第2入力コネクター42には、互いに異なる2つの交流モーターMを駆動するための2系統の制御信号が入力される。
【0052】
駆動回路基板40の右側面のうち、上下方向の略中央には、第1パワーモジュール43Bと第2パワーモジュール43Fとが、前後方向に並んで配設されている。また、第1パワーモジュール43Bの右側面、及び第2パワーモジュール43Fの右側面には、これらの全体が覆われるように、第1パワーモジュール43Bと第2パワーモジュール43Fとを冷却するための1つのヒートシンク44が固着されている。
【0053】
2つのパワーモジュール43B,43Fの各々は、駆動回路基板40における配置が前後方向で互いに異なり、且つ駆動対象となる交流モーターMが互いに異なる一方、それに搭載される回路構成については互いに同じである。そのため、以下では、2つのパワーモジュール43B,43Fのうち、背面側に配置された第1パワーモジュール43Bについて説明し、正面側に配置された第2パワーモジュール43Fについては、第1パワーモジュール43Bと互いに異なる点のみを説明する。
【0054】
第1パワーモジュール43Bには、第1入力コネクター41に入力される2系統の駆動電圧の一方が入力され、また第1入力コネクター41に入力される2系統の15Vの直流電圧の一方が入力される。さらに、第1パワーモジュール43Bには、第2入力コネクターに入力される2つの制御信号のうち、該第1パワーモジュール43Bの駆動対象に対応する制御信号が入力される。
【0055】
第1パワーモジュール43Bは、駆動電圧生成基板20が出力する15Vの直流電圧によって駆動される。この第1パワーモジュール43Bには、駆動電圧生成基板20が出力する駆動電圧を昇降圧する昇降圧コンバーターがパッケージングされており、駆動電圧生成基板20から入力される280Vの駆動電圧が、交流モーターMの駆動に適した電圧に昇圧される。また、第1パワーモジュール43Bには、制御回路基板30から入力される制御信号によってオン/オフ制御される複数のスイッチング素子からなるインバーター回路がパッケージングされている。そして、第1パワーモジュール43Bでは、制御回路基板30から入力される制御信号によってスイッチング素子がオン/オフ制御され、これにより、昇降圧コンバーターにて昇圧された電圧が、多相交流電圧として例えば3相交流電圧に変換される。
【0056】
駆動回路基板40の上辺には、前後方向に延びる第1モジュールコネクター45Bと、同じく前後方向に延びる第2モジュールコネクター45Fとが、前後方向に並んで配設されている。第1モジュールコネクター45Bの上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。第1モジュールコネクター45Bは、駆動回路基板40の内部において第1パワーモジュール43Bの出力端子に接続され、該第1モジュールコネクター45Bからは、上記第1パワーモジュール43Bで生成された多相交流電圧が出力される。一方、第2モジュールコネクター45Fの上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。第2モジュールコネクター45Fは、駆動回路基板40の内部において第2パワーモジュール43Fの出力端子に接続され、該第2モジュールコネクター45Fからは、上記第2パワーモジュール43Fで生成された多相交流電圧が出力される。
【0057】
そして、各モジュールコネクター45B,45Fが、出力ケーブルを介して上記多相交流電圧コネクター4に接続され、各パワーモジュール43B,43Fで生成される多相交流電圧が、該多相交流電圧コネクター4を介して各交流モーターMに出力される。
【0058】
次に、上述した構成からなるロボットコントローラーの作用について以下に説明する。
外部電源プラグから200Vの交流電圧が、サーキットプロテクター3を介して、ノイズフィルターNFに入力されると、ノイズフィルターNFによってノイズの除去された交流電圧が、ノイズフィルターNFから駆動電圧生成基板20に出力される。次いで、駆動電圧生成基板20に入力された交流電圧は、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に分配され、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3では、互いに異なる直流電圧に変換される。また、駆動電圧生成基板20では、ノイズフィルターNFからの交流電圧が、駆動電圧である280Vの直流電圧に変換される。そして、第1電源回路基板PS1で生成される15Vの直流電圧と、駆動電圧生成基板20で生成される駆動電圧とが、第1出力コネクター21及び第1入力コネクター41を介し、駆動電圧生成基板20から2つの駆動回路基板40の各々に入力される。
【0059】
一方、ロボットRを作業位置に動かすべく、周辺機器からの検出信号がI/Oポート17を介して制御回路基板30に入力されると、制御回路基板30では、位置検出器用ポート11を介して各回転角センサーの検出信号が取得される。次いで、制御回路基板30では、作業位置を示す位置指令と各回転角センサーの検出結果とに基づいて、ロボットRが作業位置へ移動するための軌道が生成され、該軌道に沿ってロボットRを動かすための交流モーターMの駆動量が算出される。そして、制御回路基板30では、算出された駆動量に応じた各相の電圧指令が生成され、該電圧指令に応じた制御信号が、第2出力コネクター36及び第2入力コネクター42を介し、制御回路基板30から2つの駆動回路基板40の各々に入力される。
【0060】
続いて、駆動回路基板40では、駆動電圧生成基板20から入力される駆動電圧が、交流モーターMの駆動に適した電圧に昇圧され、制御回路基板30から入力される制御信号のオン/オフ制御により、該昇圧された電圧が多相交流電圧に変換される。そして、ロボットコントローラーでは、駆動回路基板40に入力される制御信号の周波数を制御回路基板30が制御することによって、交流モーターMの駆動量に応じた電流が該交流モーターMの各相に供給される。
【0061】
この際、多相交流電圧を制御するための制御信号の生成される過程では、交流モーターMの回転位置に基づく高速演算が必要とされるため、こうした制御信号を生成する制御回路基板30では、その基板構造として自ずと多層構造が必要とされる。一方、交流電圧の出力電圧を駆動電圧に変換する駆動電圧生成基板20では、上述のような高速演算が必要とされないため、こうした駆動電圧生成基板20に対しては、多層構造が必要とされない。上述した構成であれば、互いに異なる機能を有した駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。なお、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが一つの回路基板として構成される場合には、これらの互いに異なる要請を一つの回路基板が満たすために、該回路基板の多層化や複雑化が必要となるが、上述した構成によれば、筐体1内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0062】
そのうえ、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが筐体1の底面パネル1Bに並んで配置され、且つこれらの出力を用いる駆動回路基板40が、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに架設される。それゆえに、駆動回路基板40の接続先となる2つの回路基板に対し、これらが互いに離れることを抑えることが可能となる結果、駆動回路基板40における配線の引き回しを簡素化すること、ひいては、駆動回路基板40の内部構造を簡素化することが可能となる。
【0063】
なお、駆動電圧生成基板20及び制御回路基板30と駆動回路基板40とが互いに平行となるように、駆動電圧生成基板20及び制御回路基板30に対して駆動回路基板40が架設されると、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが駆動回路基板40によって覆われることとなる。一方、上述した構成であれば、駆動回路基板40によって覆われる駆動電圧生成基板20の領域や制御回路基板30の領域を最小限に抑えることが可能であるため、各々の回路基板に対するメンテナンス性を確保することが可能にもなる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のロボットコントローラーによれば、以下に列記する効果を得ることができる。
(1)駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。それゆえに、筐体1内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0065】
(2)駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とが筐体1の底面パネル1Bに並んで配置されるため、駆動回路基板40の接続先となるこれら2つの回路基板に対し、これらが互いに離れることを抑えることが可能になる。その結果、駆動回路基板40における配線の引き回しを簡素化すること、ひいては、駆動回路基板40の内部構造を簡素化することが可能となる。
【0066】
(3)駆動回路基板40が、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で、駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに架設されるため、各々の回路基板に対するメンテナンス性を確保することが可能にもなる。
【0067】
(4)駆動電圧生成基板20と駆動回路基板40とが、第1出力コネクター21と第2入力コネクター42との嵌着によって接続され、制御回路基板30と駆動回路基板40とが、第2出力コネクター36と第2入力コネクター42との嵌着によって接続されている。それゆえに、回路基板間を接続するためのケーブルを用いることなく、これら駆動電圧生成基板20及び制御回路基板30と駆動回路基板40とを直接接続することが可能であって、ロボットコントローラーの筐体1内では、省配線化を図ることが可能にもなる。
【0068】
(5)筐体1の正面パネル1Fには、位置検出器用ポート11、非常停止用ポート12、TP用ポート13、第1USBポート14、第2USBポート15、LANポート16、I/Oポート17など、筐体1の内部が開放されることなく行われる作業に対し、該作業に必要とされるインターフェースの全てが嵌め込まれている。それゆえに、上述したインターフェースがロボットコントローラーの背面パネルや底面パネル1Bに配設される場合と比較して、ロボットコントローラーと外部機器との接続や切断が容易なものとなる。
【0069】
(6)筐体1の底面パネル1Bにおける正面側には、上述したインターフェースの接続先である制御回路基板30が配置されている。このような構成であれば、制御回路基板30と各ポートとを接続するためのケーブルを用いることなく、これら制御回路基板30と各ポートとを接続することが可能であって、ロボットコントローラーの筐体1内にて省配線化を進めることが可能にもなる。
【0070】
(7)駆動電圧生成基板20、制御回路基板30、駆動回路基板40の各々が、直方体形状をなす筐体1内の各側面に配置される。このような構成によれば、各回路基板の占める空間が筐体1の各側壁に沿った空間となるため、筐体1の内部空間が回路基板によって区画されることを抑え、ひいては配線や電子部品を配置するために必要とされる連続的な空間を筐体1の内部で確保することが容易なものとなる。
【0071】
(8)2つの駆動回路基板40の各々が互いに平行となるように配置されているため、2つの駆動回路基板40の各々が交差するように配置される場合と比較して、これら2つの駆動回路基板40の占める空間の大きさを小さくすることが可能である。ひいては、ロボットコントローラーの小型化を図ることが可能にもなる。
【0072】
なお、上記実施の形態は、以下のような態様によって実施することも可能である。
・複数の駆動回路基板40の各々は、互いに交差するように配置されてもよく、このような構成であっても、上記(1)〜(7)に準じた効果を得ることは可能である。要は、駆動回路基板40が、電源回路基板である駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で駆動電圧生成基板20と制御回路基板30とに架設される構成であればよい。
【0073】
・複数の駆動回路基板40は、右側パネル1R、及び左側パネル1Lの各々に配置される構成であってもよく、あるいは右側パネル1Rにのみ配置される構成であってもよい。例えば、制御対象であるロボットが6つの交流モーターMを有する場合には、3枚の駆動回路基板40が、左側パネル1L側に配置される構成であってもよく、あるいは2枚の駆動回路基板40が、左側パネル1L側に配置され、残りの1枚の駆動回路基板40が右側パネル1R側に配置される構成であってもよい。
また、駆動回路基板40の数量が1枚である場合には、該駆動回路基板40は、右側パネル1Rと左側パネル1Lのいずれか一方に配置される構成であればよい。このような構成であっても、上記(1)〜(7)に準じた効果を得ることが可能である。また、1以上の駆動回路基板40が、筐体1の左右方向における中央に配置される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることは可能である。
【0074】
・筐体1の底面パネル1Bにおける正面側に、駆動電圧生成基板20が配置され、且つ筐体1の底面パネル1Bにおける背面側に、制御回路基板30が配置される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(4)に準じた効果を得ることが可能である。しかも、ロボットコントローラーに接続される信号ケーブルや電源ケーブルがロボットコントローラーの背面側へ集約されるため、これらのケーブル類がロボットコントローラーのオペレーションに支障を来すことを抑えることが可能にもなる。
【0075】
・駆動電圧生成基板20と駆動回路基板40とが、接続ケーブルを介して接続される構成であってもよく、また制御回路基板30と駆動回路基板40とが、接続ケーブルを介して接続される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(3)に準じた効果を得ることは可能であって、また駆動回路基板40の配置の自由度や回路基板間を接続するためのコネクターの配置の自由度を高めることが可能でもある。
【0076】
・ロボットコントローラーは、上述した回路基板や電子部品とは異なる他の部材を筐体1の内部に収容することも可能である。例えば、ロボットRが減速するときにロボットコントローラーに戻ってくる電圧である回生エネルギーを熱に変換して消費するための回生抵抗が筐体の内部に収容される構成であってもよい。また、例えば、上述した回生エネルギーが上昇したときに、所定の電圧値で回生エネルギーを回生抵抗に供給するコンパレーター機能を有したコンパレーター基板が筐体の内部に収容される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
F…冷却用ファン、M…交流モーター、R…ロボット、Fa…外気フィルター、NF…ノイズフィルター、PS1…第1電源回路基板、PS2…第2電源回路基板、PS3…第3電源回路基板、1…筐体、1B…底面パネル、1F…正面パネル、1L…左側パネル、1P…拡張パネル、1R…右側パネル、1S…支持プレート、2…外部電源コネクター、3…サーキットプロテクター、3a…操作レバー、4…多相交流電圧コネクター、11…位置検出器用ポート、12…停止用ポート、13…TP用ポート、14…第1USBポート、15…第2USBポート、15a…トリガースイッチ、16…LANポート、17…I/Oポート、18…シーケンサーポート、19…拡張I/Oポート、20…駆動電圧生成基板、21…第1出力コネクター、30…制御回路基板、31…CPUボード、32…通信用インターフェース基板、33…拡張用コネクター、34…カード型記憶媒体、35…メモリーコネクター、36…第2出力コネクター、40…駆動回路基板、41…第1入力コネクター、42…第2入力コネクター、43…パワーモジュール、43B…第2パワーモジュール、43F…第2パワーモジュール、45B…第1モジュールコネクター、45F…第2モジュールコネクター、44…ヒートシンク、51…筐体、52…指令生成基板、53…駆動制御基板、54…駆動回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流モーターが搭載されたロボットを制御するロボットコントローラーであって、
交流電圧を直流電圧である駆動電圧に変換して出力する電源回路基板と、
前記電源回路基板の出力電圧を多相交流電圧に変換して前記交流モーターに出力する駆動回路基板と、
前記駆動回路基板の出力電圧を前記交流モーターの回転位置に基づいて制御するための制御信号を前記駆動回路基板に出力する制御回路基板とを備え、
前記電源回路基板と前記制御回路基板とが、筐体内の底面に互いに並んで配置され、
前記駆動回路基板が、前記電源回路基板と前記制御回路基板とに対して立てられた状態で前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されている
ことを特徴とするロボットコントローラー。
【請求項2】
前記電源回路基板が、前記駆動電圧を出力する第1出力コネクターを有し、
前記制御回路基板が、前記制御信号を出力する第2出力コネクターを有し、
前記第1出力コネクターと前記第2出力コネクターとが、一つの方向に並んで配置され、
前記駆動回路基板の周辺のうち、前記筐体内の底面側となる一辺には、前記第1出力コネクターに嵌着される第1入力コネクターと前記第2出力コネクターに嵌着される第2入力コネクターとが、前記一つの方向に並んで配設されている
請求項1に記載のロボットコントローラー。
【請求項3】
前記筐体が、直方体形状であり、
前記電源回路基板が、前記筐体内の底面における該筐体の背面側に配置され、
前記制御回路基板が、前記筐体内の底面における該筐体の正面側に配置され、且つ前記交流モーターの回転位置を検出する検出器からの検出信号の入力されるポートを前記筐体の正面側に有し、
前記ポートが、前記筐体の正面パネルに嵌め込まれている
請求項1又は2に記載のロボットコントローラー。
【請求項4】
前記駆動回路基板が、前記筐体内の右側面と前記筐体内の左側面とのいずれか一方に配置されている
請求項3に記載のロボットコントローラー。
【請求項5】
複数の前記駆動回路基板を備え、
前記複数の駆動回路基板の各々が、互いに平行となるように前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されている
請求項1〜4のいずれか一項に記載のロボットコントローラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate