ロータリーカッター
【課題】金属箔のような塑性変形する薄い板状体を打ち抜く際に発生するバリやカエリを極力小さく押さえることが可能な切断機を得る。
【解決手段】凸状のパンチ3を備えたパンチロール1と、凹上のダイ4を備えたダイロールが協働することによりワークWを打抜くロータリーカッターにおいて、ダイの凹部に弾性体5を配置することにより、バリやカエリが極めて小さい剪断打抜き加工することができる。本発明は数μmから200μm程度の厚さの、金属を主とする延性材料の切断に好適する。
【解決手段】凸状のパンチ3を備えたパンチロール1と、凹上のダイ4を備えたダイロールが協働することによりワークWを打抜くロータリーカッターにおいて、ダイの凹部に弾性体5を配置することにより、バリやカエリが極めて小さい剪断打抜き加工することができる。本発明は数μmから200μm程度の厚さの、金属を主とする延性材料の切断に好適する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は箔を剪断加工にて打抜くロータリーカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーカッターは、代表的には刃先を有するダイカッターと刃を受けるアンビルロールとの両ロール間に薄板状の被切断物(以後「ワーク」と称する)を送り、両ロールを互いに反対方向に回転に回転することでワークを押し切りを主として打抜く技術として広く知られている。
【0003】
代表的なロータリーカッターを特許文献1に示す。このロータリーカッターは主に布や紙などのワークを押し切りし、打抜く。ロータリーカッターはその耐久性と、打抜きの効率に秀でており、非常に生産性が高い手段である。
【0004】
この方法は、布や紙などの押し切りが有効なワークには使用が容易である。しかし、押し切りによる切断加工は例えば延性金属の薄板を打抜こうとすると、切断以前に弾性変形についで塑性変形を生じ、バリやカエリなどが多発するために、切断面品質を要求される用途には使用できないという欠点がある。
【0005】
そのために、現在に至るまで様々な提案がなされている。
【0006】
特許文献2(実用新案文献)に示す文献は、鋭い刃先にてワークである紙に切り目を入れるロータリーカッターが示されている。カッター側のロールと受け側のロールの凹部には弾性体が充填されており、ワークの送りの性能を高めている。同様の切断方法では、鋭い刃による押し切りにて切断を主として行なうために、押された部分は切断以前に変形を起し、延性金属のような塑性変形を起こしやすいワークでは変形やバリが生じる。
【0007】
特許文献3には、金属箔の切断について改良された技術が述べられている。これは、従来のような硬質の材料でパンチを構成するのではなく、パンチが合成樹脂にて構成されており、ダイには所望の形状に穴があけられ、パンチとダイの接近により合成樹脂の変形部にてワークを打抜く方法が述べられている。この方法は例えば一片が10mm程度と小さな必要部を打抜くためにはある程度有効であるが、バリやカエリの発生に対しては十分な効果を発揮できない。また、前記必要部が不要部となる場合、すなわち必要部ではなく不要部とする製品を打抜くには、必要とする部分の全面に弾性体を介して大きな圧力が加わる。そのため、金属箔や圧力をかけると変形や破壊するような材質のワークには使用できない。
【0008】
特許文献4には、特許文献1〜3においても解決できていない、塑性変形などが起る箔状のワークを打抜く手段が述べられている。この方法は、ダイとパンチを嵌合する状態まで接近させずに切断を行なうという方法である。この方法を用いれば、延性金属などの塑性変形を起こしやすい材質からなる箔を打抜くことも可能である。しかしながら、この方法では、ワークが例えば銅箔のように比較的変形抵抗の大きい材料の場合は、図16に示すようにダイとパンチのエッジを支点としてダイの凹部内で銅箔がたわみ、逆にエッジ部分の前方と後方ではパンチ側にソリが生じる。また、特にロータリーカッターの場合は、切断時のワークの保持を十分に行なうことが難しいため、切断部にせん断力だけでなく引張り力も生じてしまうため、バリやカエリの発生に対して、十分な効果を発揮できないという課題があった。
【特許文献1】特許第2593570号公報
【特許文献2】実用登録6390号公報
【特許文献3】特開昭62−214835号公報
【特許文献4】国際公開番号WO2010/013818 A1 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、従来型のロータリーカッターで成しえなかった、金属や塑性変形を引き起こす材料の箔を、バリやカエリの発生を抑制しつつ良好に切断することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
箔を良好に切断するために、パンチロール側に凸状のパンチ、ダイロール側に凹状のダイをもつロータリーカッターを用い、箔と共に中間材を打抜く切断方法を採用した。さらに、この装置のダイの凹部に箔の打抜きを補助する目的の弾性体を設置することで、前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
ロータリーカッターを用いて、塑性変形を容易に起こす材料からなる箔を切断時の変形やバリを極力小さくして打抜くことができる。塑性変形を容易に起こす材料としては延性金属が挙げられるが、同様な塑性変形の現象を生じる金属含有物や有機物であっても本発明のロータリーカッターは良好に打抜くことができる。
【0012】
また、ロータリー方式であるために、その生産性は一般的なパンチとダイが上下動して打抜く金型方式に対して著しく高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
打抜き用のロータリーカッターには様々な種類があるが、代表的なものは図10に示すようにダイカッター側に略製品形状の凸部の刃先3があり、平滑なアンビルロール2との押し切りにより薄板状のワークWを打抜く方法である。この方法は押し切りであり、ワークを押しつぶして変形および切断するために、延性金属などの塑性変形を起こす箔状のワークに対しては、打抜き時に塑性変形による変形やバリ、カエリなどが大きく発生するため、使用できない。
【0014】
また打抜きではなく鋭い刃先をもつスリッターを使用したロータリーカッターもある。代表的な構造を図11に示す。この方法では、アンビルロールの表面に樹脂や弾性体の層17を設けて、そこにワークを介してスリッター16を押し付けることによって打抜きを行う。アンビルロールの比較的柔軟な層がなければ、刃先の欠損や摩耗が激しくなり連続的に使用できない。箔状の金属なども切断はできるが、やはり押し付けの圧縮力を主体として打抜くため、切断部近傍にバリやカエリが発生し、かつその周囲も樹脂や弾性体の変形にならって大きく変形するという問題が生じる。これらの技術はいずれも箔の押し切りによる加工である。押し切りによる加工を金属のような塑性変形する材料に用いると、押した部分が変形して潰れるために製品にどうしてもバリが残ってしまう。さらに、鋭い刃をもつロータリーカッターは、ロールの回転方向のみの切断であれば一度切断箇所が生じれば、その切断箇所の先端に応力が集中しやすく、バリの発生を制御しながらの切断も可能である。しかし、ロールの軸方向の切断は図10に示すような押し切りのロータリーカッターと機構は全く同じであり、同様の問題が発生する。本課題では打抜くワークの形状は、直線状だけでなく様々な形状に対応できるものを想定しているために、この形式のロータリーカッターは使用に適していない。
【0015】
本発明では極力押し切りにならないよう、剪断切りで箔を打抜くことによりバリやカエリの問題を解決した。
【0016】
本発明を以下に説明する。
【0017】
請求項1に記載の本発明は互いに反対方向に回転し、両者間を通過する箔を一工程にて打抜きする、パンチロールとダイロールの組み合わせとからなるロータリーカッターにおいて、前記パンチロールには略製品形状の凸部のパンチ、前記ダイロールにはパンチ形状に対応する略同形状の凹部であるダイを有し、前記パンチとダイにて箔を打抜く動作を通じてパンチとダイの作動最外周が互いに干渉せずに打抜き加工を行ない、前記箔と重なり合った状態で同時に移動する中間材を箔と同時に加工し、前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体が設置されたロータリーカッターである。
【0018】
図1に示すように、パンチロール側1には打抜きされる形状と同様の輪郭を少なくとも持つ凸状のパンチ部3を有する。また、ダイロール2には前記ダイに対応し、略同形状を持つ凹部4が形成されている。これらを用い凸状のパンチ部のエッジにあたる部分と、ダイ凹部のエッジによってそこに挟まれたワークを所望の形状に剪断力を与え、打抜くことによって行なわれる。
一工程にて、というのは、パンチとダイが1回接近することにより、打抜き加工が終了するという意味で用いる。例えば、パンチとダイにより一回目の接近で仮抜きをして、同じまたは異なるパンチとダイにて二回目の接近で完全に打抜くような技術とは異なる。
【0019】
このパンチとダイは、図2に示すようにその回転の作動最外周7、8が互いに干渉しない。図1に示すようにダイの凹部に設置する弾性体5、ワークや後述する中間材6を介して両者は初めて間接的に接触する。
【0020】
パンチロールとダイロールの回転によりワークWはそれに追従して同時に移動する。
また、ワークは少なくともロータリーカッターに供給される前から、薄板状の中間材6をその表裏いずれかに接触し、一体となった状態で送られる。中間材の位置はワークから見てパンチロール側でもダイロール側でもよいし、用途によってはその両面に用いてもよい。
【0021】
中間材はワークとともにパンチロールとダイロールに挟まれ、加工される。このとき、中間材はその厚さや材質の選択によってワークと同時に打抜くこともできるし、中間材は打抜かずに残すこともできる。請求項1における中間材への「加工」とは、このように打抜きすることも、打抜く以前の段階に留めることも含まれる。
【0022】
中間材は、ダイとパンチによる剪断力がワークに対して十分働くかどうかで選ぶ必要がある。このことを踏まえ、中間材として適当な材質はポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ベークライト、プラスチック、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、硬質ゴム、紙、ガラス板、アスファルト、合成繊維などが適している。これらの中から、ワークの性質に合い、費用がかからないものを選べばよい。
【0023】
供給されたワークは、パンチロールとダイロールの幅が一定以上に狭まる部分まで送られたときに、パンチ3の片側のエッジ部とダイ4のエッジ部間に剪断力が生じ、剪断切りされる。
【0024】
そして、本発明のロータリーカッターは、以上に説明したロータリーカッターにおいて、前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体5を設置することを特徴とする。
【0025】
箔を剪断切りする際は、例えば特許文献4に示されているように、パンチの凸部とダイの凹部、互いのエッジを結ぶ線上にて剪断力が強く働き、破断応力を超えた箇所から随時破断が進む。ところが、本発明はその切断の対象として箔をあげているが、箔は例えば一片が数mmのものから大きいものでは数100mmに及ぶ。そのために、前記の破断はパンチロールとダイロールの回転に応じて、対応するワークの箇所が順次切断されるという状態になる。
【0026】
このことを図12〜図15の模式図を用いて説明する。図中の凸パンチ3がワークWからひとつの製品部分を打抜くものとする。ダイとパンチの接近により、図12に示すようにまず製品部分の進行方向前側(先頭部)が先切断される(11)。切断の直前においてワークは、その進行方向前方にも後方にも繋がっているために、ワークの進行する前後方向に張力が働いている。またダイとパンチの接近により中間材は圧縮され、その反力としてワークをパンチとダイに押し付けるために、切断時にはパンチおよびダイのエッジ部とワークの切断箇所との相対的な位置が変わらず、これにより良好に剪断が行なわれる。一方、そのままパンチロール1とダイロール2が回転し、ワークWが進行すると、図13に示すように、先に剪断された先頭部24には進行方向に対する張力が働かなくなる。従って、製品の進行方向後ろ側の最後尾の切断時には、切断にかかるパンチおよびダイのエッジ部間で生じる応力がワークに対してせん断応力として働きにくくなるため、図14に示すように完全に切断することができない状態(18)や、あるいは、図15に示すように、切断できたとしても、バリやカエリ(19)が非常に大きいまま残ることになり、切断面品質に高品位を要求される製品用の切断には使用できない。
【0027】
そこで本発明では、ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体5を設置した。図3に示すように、ワークWは製品部分で先に切断される部分(先頭部)が切断された後も、切断された先頭部を含むワークが弾性体5と中間材6に挟まれた状態で固定される。そのため、製品の最後尾までパンチとダイが回転した際にも図4に示すように、最後尾の切断部分の前方部分が中間材と弾性体により固定された状態を維持できる。したがって、最後部の切断時にもワークには進行方向前後方向に張力が働いた状態を保てるため、先端部と同様に良好に打抜きすることができる。
【0028】
また、略製品形状の凸部のパンチサイズは、略同形状のダイ凹部のサイズ以上となる方が、切断時に製品を固定しやすいため好ましいが、本発明ではダイ凹部の弾性体の存在により、特にそのサイズを制限するものではない。
また、本発明のロータリーカッターはパンチとダイは接触せず、また、パンチの先端エッジ部またはダイの凹部のエッジ部が直接ワークと接触しないために、パンチやダイの寿命を長く保つことができる。さらに、ワークが金属質の場合には、ダイやパンチと接触することによるダイやパンチへの金属の凝着を防ぐことができる。
【0029】
なお、ロールの回転方向の切断に関しては、従来の技術でもある程度バリやカエリを小さくすることができ、主な問題点は軸方向の切断について生じている。そのために本説明では、ロールの軸方向の切断に対する問題点および解決法を主として示している。
【0030】
請求項2に記載の本発明は、前記弾性体がダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーカッターである。なお、本発明においては「ダイの作動最外周」という表現には、ダイの凹部に設置された弾性体が描く作動最外周は含まないものとする。
【0031】
図5にて、弾性体5はダイの凹部に設置されていて、前記の様に特に先頭部以外の製品部分の箔を切断、打抜きするのに有効である。そして、ダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることが好ましい。−2mm突き出した状態とは、ダイの作動最外周に対して2mm陥没した状態であり、0mmであればダイの円弧と同様となる(14、15)。
【0032】
この突き出し量は、大きすぎればワークや中間材の回転を妨げることになり、その上限は3mmである。3mm以下であれば多くのワークや中間材を使用する際に、回転中にワークや中間材の進行の妨げとならずにワークを固定する応力を加えることができる。また、突き出し量が小さすぎると、ワークを切断時に固定する応力が十分発揮できなくなる。突き出し量の下限は−2mmがより好ましい。これよりも低い値であれば、ワークの固定のための応力は十分確保されない場合があり、バリやカエリが大きくなり、製品の切断面の品質が劣化する可能性がある。
【0033】
また、弾性体の形状は、図5(A)〜(C)に示すように突き出した部分の形状が円弧状でも良いが、一例を図6(D)〜(G)に示すように、平坦な形状や内部にザグリが入ったもの、そのザグリの中に固定ブロック13を挿入したような形状でもよく、少なくとも切断時にワークを常に固定できればよい。
【0034】
また、弾性体には別の役割もある。図15に示すように、打抜き後のワークがダイの凹部に残ると、そこから取出すために別の装置を設けたり、凹部に取出し用の機構を設けたりする必要がある。また、高速で回転するロータリーカッターであるために、取出しが切断後速やかに行なわれないと、切断した箔が飛散する恐れもあり、それを集めるのにも費用がかかる。
【0035】
本発明では、切断後にダイの凹部に打抜かれた箔が残らず凹部の外に排出される。そのために打抜いた箔の回収は容易である。
【0036】
請求項3に記載の本発明は、前記弾性体がロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックのいずれか1種以上からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0037】
弾性体の材質は特に限定されるものではないが、ワークに対して摩擦が極端に低いものは好ましくない。摩擦が低すぎると先端部が切断されたワークを十分に固定する役割が果たせないことが考えられる。ワークである箔は、金属箔や塑性変形を示しやすい材料を主に対象としているが、これらに対して十分な摩擦を持つものが望ましい。より適している材料はロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックなどであった。
【0038】
請求項4に記載の本発明は、前記中間材が前記箔を打抜く際に切断されず、打抜き後の箔の搬送用に使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0039】
前述のように、本発明において中間材はワークと共に切断されてもされなくてもよい。切断しない場合は、ワークは打抜かれた状態で中間材にそのまま乗った状態で打抜き工程を終える。なお、ワークが中間材より下に面する場合は、パンチロールとダイロールの位置を逆転するか、打抜き時にワークの下面に中間材を流すようにすればよい。
【0040】
図8に示すように打抜きされていない中間材6は薄板状であるために、そのまま打抜き後のワーク20を載せ、搬送することができる。
【0041】
この機構がなければ打抜かれた製品形状の箔は、ロータリーカッターの周囲に散乱するために、飛散の際に損傷することもあり、収集の機構を別に設ける必要が生じるために製造費用的に不利になる。
【0042】
請求項5に記載の本発明は、前記中間材が、前記箔を打抜く際に箔と略同形状に打抜かれ、打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0043】
前述のように本発明において中間材は、ワークと共に切断されてもされなくてもよい。共に切断する場合は、中間材と製品形状の箔が1組切断されることになる。
【0044】
一方、特に切断後の箔は、直接同士を直接重ねることを嫌う。箔は重ねることで互いのバリなどで傷が付いたり、腐食の原因になったりしやすい。そのために搬送時や装置への供給段階では箔と箔の間にスペーサーを挟むのが一般的である。
【0045】
本発明では、図9に示すように中間材6の材質をこのスペーサー22として使用できる材質にすることで、打抜き後に切断後の箔同士の間にスペーサーを挟む工程を省くことができる。
【0046】
請求項6に記載の本発明は、パンチおよびダイの箔または中間材に接触する部分の少なくとも一部の材質が、弾性係数150GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0047】
本出願のロータリーカッターは、いずれもワークを剪断切りして打抜くものであるが、切断したい箇所に剪断応力を集中させるためには、パンチおよびダイが変形しにくいほうがより好ましい。ダイとパンチの両者が接近したときの中間材、ワーク、弾性体からの圧力による変形が大きい材料は好ましくない。そのために、パンチとダイの材質は弾性率が150GPa以上、好ましくは200GPa以上がよりよい。これに該当するのは、繊維強化プラスチック、錬鉄、鋼、工具鋼、超硬合金、セラミックスなどである。
【0048】
請求項7に記載の本発明はパンチおよびダイの少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、特に超硬合金であることを特徴とする請求項6に記載のロータリーカッターである。超硬合金は工具鋼などの材質に比べ、硬さが高く耐摩耗性に優れている。また、その弾性率は超硬合金の種類にもよるが450〜700GPaのものが多い。そのために、前項で述べたダイとパンチの変形のしにくさでは非常に優れている。また、硬さはロックウェル硬さAスケールで80〜95HRAと高い。硬さは耐摩耗性に強く影響するために、ワークや中間材と接触を繰り返すダイとパンチの材料としては優れている。
【0049】
また、本発明のロータリーカッターは図17に示すように、製品が打抜かれる部分の場合も、残った部分が製品形状になる場合にも適用することもできるし、図1に示すように中抜き部分があるような形状にも対応が可能である。
【実施例】
【0050】
以下に具体的な実施の例を示す。
(実施例1)
ワークを厚さが20μmの銅箔とした。
【0051】
ロータリーカッターには図1に示すような、製品形状に直線部も曲線部も有する閉じた鍵穴状のパターンを形成し、1分間の切断試料枚数を200枚(200rpm)としてそれぞれ切断を行なった。試験は50分間行い、1万枚切断した時点での評価とした。
【0052】
中間材としては、厚さが500μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
【0053】
ダイおよびパンチは超硬合金(弾性率450GPa)で製造し、弾性体は幅が約10mmで深さ15mmのダイの凹部に接着剤を用いて固定した。弾性体はその種類と突き出し量を数種類変えて実験を行なった。
【0054】
評価項目としては、各試料を切断し、切断できるかどうかの評価および切断できた場合のロール回転方向の寸法精度および最大バリ高さ(以後「バリ高さ」と表記)を比較した。
切断できるかどうかは、パターン形状が全て切断されているかの評価を行なった。
【0055】
回転方向の寸法精度は、図1のC−C’で示すダイロール部分に対応する切断品の長さを測定した。C−C’の長さの基準は、作製したダイロールのC−C’ 部の長さとし、その長さは100mmである。
【0056】
最大バリ高さ19は図7に示すように、切断品から最も突き出た部分の高さD1を測定し、切断品の切断前の厚さD2を減じた値D3とした。
【0057】
以上の条件にて弾性体の材質や突き出し量をそれぞれ変え前記条件にて運転し、それぞれ評価を行なった。
【0058】
表1にワークの材質を、表2にそれぞれの弾性体を用いたロータリーカッターの評価を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表中で「*」のついた番号の試料は、本発明の範囲外の比較試料である
【0061】
【表2】
【0062】
表中で「*」のついた番号の試料は、本発明の範囲外の比較試料である
表1および表2より以下のことが分かった。
【0063】
まず、弾性体を用いていない比較試料*20は、このワークに対しては外径に切残しが発生して全周を切断することができなかった。これに対して本発明のロータリーカッターは、試験終了後も良好に打抜きが行えた。また、その加工精度はいずれもダイの該当部寸法(100mm)と比較して0〜0.1mm以下であった。ワークが塑性変形を起こすために、いずれの試料についてもロールの回転方向に伸びが見られたが、その値はきわめて小さかった。また、バリ高さについては15μm以下とこれも良好であった。バリ高さについては、特に弾性体の突き出し量が−2mm以上+3mm以下が10μm以下と特に優れた結果であった。
【0064】
(実施例2)
実施例1ではワークとして厚さが20μmの銅箔を打抜いたが、本実施例ではワークの材質および厚さを変え、弾性体は実施例1で優れた特性を見せた突き出し量が−100μmの中間材No.4を用いて試験を行った。他の条件は実施例1と同等である。
【0065】
銅箔とアルミ箔はその変形のしやすさに違いがあり、アルミ箔は柔らかく比較的変形しやすいがバリが高くなる傾向がある。一方、銅箔はバリの高さはアルミ箔よりも低くなるが、切断には剪断力がより必要とされる。
また、電池用の活物質は剪断により切断しやすいが、切断部位外に高い圧力がかかると、割れや金属からの剥離の原因となり、好ましくない。
【0066】
ワークの材質および厚さを表3に、切断結果を表4に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表3および表4の結果より、本発明のロータリーカッターは銅箔およびアルミ箔のいずれの材質も良好に打抜きできることが確認できた。
【0070】
また、金属箔に電池用の活物質を塗布したワークに対しても、活物質に割れや剥離は見られずに、目立つ組織の破壊もなかった。このことより、本発明のロータリーカッターはワークの切断部位外には大きな圧力がかかっておらず、剪断力にて良好に切断していることが確認できた。
【0071】
さらに、材質をこのほかに鋼板、マグネシウム板、塑性変形する有機物箔などに変更しても同等精度およびバリ高さの品質での打抜き性能を確認できた。
【0072】
(実施例3)
次に実施例2とその外は同様の条件で、パンチとダイを超硬合金から別の材質に変更した試験を行った。ワークは厚さ20μmの銅箔とした。
【0073】
変更したパンチとダイの材質を表5に、前記ワークの打抜き結果を表6に示す。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
表5および6の結果より、ダイとパンチの弾性率は高いほうがバリ高さが低くなる傾向があり、弾性率が150GPa以上ではいずれもより良好に切断できることが分かった。
【0077】
また、パンチとダイの材質を異なる組み合わせにしても実施の上で問題がないが、精度やバリ高さは両者で弾性率の低い方の材料をパンチとダイに用いた結果とおよそ一致した。
【0078】
(実施例4)
実施例3と同条件にて、ダイとパンチの材質を超硬合金とした。
【0079】
ワークの下方に中間材が位置するように装置を設置し、中間材はワークと共に加工されても切断されない条件とし、図8に示すように打抜きが終了したワーク20をそのまま保持して搬送する構造とした。また、切断終了後にはワークの不要部分21をライン外に排出するようにした。
【0080】
その結果、搬送用の中間材の上で切断された製品部のみが乗ったまま送られるために、製品部を回収することや、次の工程にそのまま搬送することがきわめて容易になった。
(実施例5)
実施例と同条件にて、ダイとパンチの材質を超硬合金とした。
【0081】
ワークの下方に中間材が位置するように装置を設置し、中間材はワークと共に切断される条件とし、図9に示すように打抜きが終了した中間材22とワークの製品部20をあわせて回収した。回収した一対の中間材と製品部はそのまま重ねて積み上げられ、中間材はスペーサーの役目をして、効率よく次工程の準備をすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の形態を示す模式図
【図2】作動最外周に対する説明図
【図3】本発明による打抜きの模式図(先頭部〜)
【図4】本発明による打抜きの模式図(〜最後尾)
【図5】ダイ用弾性体の突出し量の模式図
【図6】ダイ用弾性体の一例
【図7】バリ高さの説明図
【図8】中間材を打抜き後の箔の搬送用として使用した模式図
【図9】中間材を打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用した模式図
【図10】従来のロータリーカッターの模式図
【図11】従来のロータリーカッターの模式図
【図12】打抜き不良の模式図(打抜き初期)
【図13】打抜き不良の模式図(打抜き中期)
【図14】打抜き不良の模式図(切断不良)
【図15】打抜き不良の模式図(バリ、カエリの発生)
【図16】ワークのソリの発生の模式図
【図17】本発明の実施の形態の一例
【符号の説明】
【0083】
1 パンチロール
2 ダイロール
3 パンチ(凸部)
4 ダイ(凹部)
5 弾性体
6 中間材
7 パンチの作動最外周
8 ダイの作動最外周
9 打抜き中のワークの先頭部
10 ロールの回転方向
11 剪断クラック
13 固定ブロック
14 ダイ用弾性体の突出し量(マイナス)
15 ダイ用弾性体の突出し量(プラス)
16 スリッター刃部
17 樹脂、弾性体の層
18 切断不良部
19 バリ、カエリ
20 打抜かれた製品部
21 ワークの不要部
22 打抜かれた中間材
23 製品部の回収、蓄積、搬送装置
24 打抜き中のワークの先頭部
W ワークと進行方向
A−A’ パンチロールの周方向の断面模式図
B−B’ ダイロールの周方向の断面模式図
C−C’ 評価時の寸法測定部に対応するパンチの部分
【技術分野】
【0001】
本発明は箔を剪断加工にて打抜くロータリーカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーカッターは、代表的には刃先を有するダイカッターと刃を受けるアンビルロールとの両ロール間に薄板状の被切断物(以後「ワーク」と称する)を送り、両ロールを互いに反対方向に回転に回転することでワークを押し切りを主として打抜く技術として広く知られている。
【0003】
代表的なロータリーカッターを特許文献1に示す。このロータリーカッターは主に布や紙などのワークを押し切りし、打抜く。ロータリーカッターはその耐久性と、打抜きの効率に秀でており、非常に生産性が高い手段である。
【0004】
この方法は、布や紙などの押し切りが有効なワークには使用が容易である。しかし、押し切りによる切断加工は例えば延性金属の薄板を打抜こうとすると、切断以前に弾性変形についで塑性変形を生じ、バリやカエリなどが多発するために、切断面品質を要求される用途には使用できないという欠点がある。
【0005】
そのために、現在に至るまで様々な提案がなされている。
【0006】
特許文献2(実用新案文献)に示す文献は、鋭い刃先にてワークである紙に切り目を入れるロータリーカッターが示されている。カッター側のロールと受け側のロールの凹部には弾性体が充填されており、ワークの送りの性能を高めている。同様の切断方法では、鋭い刃による押し切りにて切断を主として行なうために、押された部分は切断以前に変形を起し、延性金属のような塑性変形を起こしやすいワークでは変形やバリが生じる。
【0007】
特許文献3には、金属箔の切断について改良された技術が述べられている。これは、従来のような硬質の材料でパンチを構成するのではなく、パンチが合成樹脂にて構成されており、ダイには所望の形状に穴があけられ、パンチとダイの接近により合成樹脂の変形部にてワークを打抜く方法が述べられている。この方法は例えば一片が10mm程度と小さな必要部を打抜くためにはある程度有効であるが、バリやカエリの発生に対しては十分な効果を発揮できない。また、前記必要部が不要部となる場合、すなわち必要部ではなく不要部とする製品を打抜くには、必要とする部分の全面に弾性体を介して大きな圧力が加わる。そのため、金属箔や圧力をかけると変形や破壊するような材質のワークには使用できない。
【0008】
特許文献4には、特許文献1〜3においても解決できていない、塑性変形などが起る箔状のワークを打抜く手段が述べられている。この方法は、ダイとパンチを嵌合する状態まで接近させずに切断を行なうという方法である。この方法を用いれば、延性金属などの塑性変形を起こしやすい材質からなる箔を打抜くことも可能である。しかしながら、この方法では、ワークが例えば銅箔のように比較的変形抵抗の大きい材料の場合は、図16に示すようにダイとパンチのエッジを支点としてダイの凹部内で銅箔がたわみ、逆にエッジ部分の前方と後方ではパンチ側にソリが生じる。また、特にロータリーカッターの場合は、切断時のワークの保持を十分に行なうことが難しいため、切断部にせん断力だけでなく引張り力も生じてしまうため、バリやカエリの発生に対して、十分な効果を発揮できないという課題があった。
【特許文献1】特許第2593570号公報
【特許文献2】実用登録6390号公報
【特許文献3】特開昭62−214835号公報
【特許文献4】国際公開番号WO2010/013818 A1 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、従来型のロータリーカッターで成しえなかった、金属や塑性変形を引き起こす材料の箔を、バリやカエリの発生を抑制しつつ良好に切断することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
箔を良好に切断するために、パンチロール側に凸状のパンチ、ダイロール側に凹状のダイをもつロータリーカッターを用い、箔と共に中間材を打抜く切断方法を採用した。さらに、この装置のダイの凹部に箔の打抜きを補助する目的の弾性体を設置することで、前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
ロータリーカッターを用いて、塑性変形を容易に起こす材料からなる箔を切断時の変形やバリを極力小さくして打抜くことができる。塑性変形を容易に起こす材料としては延性金属が挙げられるが、同様な塑性変形の現象を生じる金属含有物や有機物であっても本発明のロータリーカッターは良好に打抜くことができる。
【0012】
また、ロータリー方式であるために、その生産性は一般的なパンチとダイが上下動して打抜く金型方式に対して著しく高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
打抜き用のロータリーカッターには様々な種類があるが、代表的なものは図10に示すようにダイカッター側に略製品形状の凸部の刃先3があり、平滑なアンビルロール2との押し切りにより薄板状のワークWを打抜く方法である。この方法は押し切りであり、ワークを押しつぶして変形および切断するために、延性金属などの塑性変形を起こす箔状のワークに対しては、打抜き時に塑性変形による変形やバリ、カエリなどが大きく発生するため、使用できない。
【0014】
また打抜きではなく鋭い刃先をもつスリッターを使用したロータリーカッターもある。代表的な構造を図11に示す。この方法では、アンビルロールの表面に樹脂や弾性体の層17を設けて、そこにワークを介してスリッター16を押し付けることによって打抜きを行う。アンビルロールの比較的柔軟な層がなければ、刃先の欠損や摩耗が激しくなり連続的に使用できない。箔状の金属なども切断はできるが、やはり押し付けの圧縮力を主体として打抜くため、切断部近傍にバリやカエリが発生し、かつその周囲も樹脂や弾性体の変形にならって大きく変形するという問題が生じる。これらの技術はいずれも箔の押し切りによる加工である。押し切りによる加工を金属のような塑性変形する材料に用いると、押した部分が変形して潰れるために製品にどうしてもバリが残ってしまう。さらに、鋭い刃をもつロータリーカッターは、ロールの回転方向のみの切断であれば一度切断箇所が生じれば、その切断箇所の先端に応力が集中しやすく、バリの発生を制御しながらの切断も可能である。しかし、ロールの軸方向の切断は図10に示すような押し切りのロータリーカッターと機構は全く同じであり、同様の問題が発生する。本課題では打抜くワークの形状は、直線状だけでなく様々な形状に対応できるものを想定しているために、この形式のロータリーカッターは使用に適していない。
【0015】
本発明では極力押し切りにならないよう、剪断切りで箔を打抜くことによりバリやカエリの問題を解決した。
【0016】
本発明を以下に説明する。
【0017】
請求項1に記載の本発明は互いに反対方向に回転し、両者間を通過する箔を一工程にて打抜きする、パンチロールとダイロールの組み合わせとからなるロータリーカッターにおいて、前記パンチロールには略製品形状の凸部のパンチ、前記ダイロールにはパンチ形状に対応する略同形状の凹部であるダイを有し、前記パンチとダイにて箔を打抜く動作を通じてパンチとダイの作動最外周が互いに干渉せずに打抜き加工を行ない、前記箔と重なり合った状態で同時に移動する中間材を箔と同時に加工し、前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体が設置されたロータリーカッターである。
【0018】
図1に示すように、パンチロール側1には打抜きされる形状と同様の輪郭を少なくとも持つ凸状のパンチ部3を有する。また、ダイロール2には前記ダイに対応し、略同形状を持つ凹部4が形成されている。これらを用い凸状のパンチ部のエッジにあたる部分と、ダイ凹部のエッジによってそこに挟まれたワークを所望の形状に剪断力を与え、打抜くことによって行なわれる。
一工程にて、というのは、パンチとダイが1回接近することにより、打抜き加工が終了するという意味で用いる。例えば、パンチとダイにより一回目の接近で仮抜きをして、同じまたは異なるパンチとダイにて二回目の接近で完全に打抜くような技術とは異なる。
【0019】
このパンチとダイは、図2に示すようにその回転の作動最外周7、8が互いに干渉しない。図1に示すようにダイの凹部に設置する弾性体5、ワークや後述する中間材6を介して両者は初めて間接的に接触する。
【0020】
パンチロールとダイロールの回転によりワークWはそれに追従して同時に移動する。
また、ワークは少なくともロータリーカッターに供給される前から、薄板状の中間材6をその表裏いずれかに接触し、一体となった状態で送られる。中間材の位置はワークから見てパンチロール側でもダイロール側でもよいし、用途によってはその両面に用いてもよい。
【0021】
中間材はワークとともにパンチロールとダイロールに挟まれ、加工される。このとき、中間材はその厚さや材質の選択によってワークと同時に打抜くこともできるし、中間材は打抜かずに残すこともできる。請求項1における中間材への「加工」とは、このように打抜きすることも、打抜く以前の段階に留めることも含まれる。
【0022】
中間材は、ダイとパンチによる剪断力がワークに対して十分働くかどうかで選ぶ必要がある。このことを踏まえ、中間材として適当な材質はポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ベークライト、プラスチック、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、硬質ゴム、紙、ガラス板、アスファルト、合成繊維などが適している。これらの中から、ワークの性質に合い、費用がかからないものを選べばよい。
【0023】
供給されたワークは、パンチロールとダイロールの幅が一定以上に狭まる部分まで送られたときに、パンチ3の片側のエッジ部とダイ4のエッジ部間に剪断力が生じ、剪断切りされる。
【0024】
そして、本発明のロータリーカッターは、以上に説明したロータリーカッターにおいて、前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体5を設置することを特徴とする。
【0025】
箔を剪断切りする際は、例えば特許文献4に示されているように、パンチの凸部とダイの凹部、互いのエッジを結ぶ線上にて剪断力が強く働き、破断応力を超えた箇所から随時破断が進む。ところが、本発明はその切断の対象として箔をあげているが、箔は例えば一片が数mmのものから大きいものでは数100mmに及ぶ。そのために、前記の破断はパンチロールとダイロールの回転に応じて、対応するワークの箇所が順次切断されるという状態になる。
【0026】
このことを図12〜図15の模式図を用いて説明する。図中の凸パンチ3がワークWからひとつの製品部分を打抜くものとする。ダイとパンチの接近により、図12に示すようにまず製品部分の進行方向前側(先頭部)が先切断される(11)。切断の直前においてワークは、その進行方向前方にも後方にも繋がっているために、ワークの進行する前後方向に張力が働いている。またダイとパンチの接近により中間材は圧縮され、その反力としてワークをパンチとダイに押し付けるために、切断時にはパンチおよびダイのエッジ部とワークの切断箇所との相対的な位置が変わらず、これにより良好に剪断が行なわれる。一方、そのままパンチロール1とダイロール2が回転し、ワークWが進行すると、図13に示すように、先に剪断された先頭部24には進行方向に対する張力が働かなくなる。従って、製品の進行方向後ろ側の最後尾の切断時には、切断にかかるパンチおよびダイのエッジ部間で生じる応力がワークに対してせん断応力として働きにくくなるため、図14に示すように完全に切断することができない状態(18)や、あるいは、図15に示すように、切断できたとしても、バリやカエリ(19)が非常に大きいまま残ることになり、切断面品質に高品位を要求される製品用の切断には使用できない。
【0027】
そこで本発明では、ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体5を設置した。図3に示すように、ワークWは製品部分で先に切断される部分(先頭部)が切断された後も、切断された先頭部を含むワークが弾性体5と中間材6に挟まれた状態で固定される。そのため、製品の最後尾までパンチとダイが回転した際にも図4に示すように、最後尾の切断部分の前方部分が中間材と弾性体により固定された状態を維持できる。したがって、最後部の切断時にもワークには進行方向前後方向に張力が働いた状態を保てるため、先端部と同様に良好に打抜きすることができる。
【0028】
また、略製品形状の凸部のパンチサイズは、略同形状のダイ凹部のサイズ以上となる方が、切断時に製品を固定しやすいため好ましいが、本発明ではダイ凹部の弾性体の存在により、特にそのサイズを制限するものではない。
また、本発明のロータリーカッターはパンチとダイは接触せず、また、パンチの先端エッジ部またはダイの凹部のエッジ部が直接ワークと接触しないために、パンチやダイの寿命を長く保つことができる。さらに、ワークが金属質の場合には、ダイやパンチと接触することによるダイやパンチへの金属の凝着を防ぐことができる。
【0029】
なお、ロールの回転方向の切断に関しては、従来の技術でもある程度バリやカエリを小さくすることができ、主な問題点は軸方向の切断について生じている。そのために本説明では、ロールの軸方向の切断に対する問題点および解決法を主として示している。
【0030】
請求項2に記載の本発明は、前記弾性体がダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーカッターである。なお、本発明においては「ダイの作動最外周」という表現には、ダイの凹部に設置された弾性体が描く作動最外周は含まないものとする。
【0031】
図5にて、弾性体5はダイの凹部に設置されていて、前記の様に特に先頭部以外の製品部分の箔を切断、打抜きするのに有効である。そして、ダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることが好ましい。−2mm突き出した状態とは、ダイの作動最外周に対して2mm陥没した状態であり、0mmであればダイの円弧と同様となる(14、15)。
【0032】
この突き出し量は、大きすぎればワークや中間材の回転を妨げることになり、その上限は3mmである。3mm以下であれば多くのワークや中間材を使用する際に、回転中にワークや中間材の進行の妨げとならずにワークを固定する応力を加えることができる。また、突き出し量が小さすぎると、ワークを切断時に固定する応力が十分発揮できなくなる。突き出し量の下限は−2mmがより好ましい。これよりも低い値であれば、ワークの固定のための応力は十分確保されない場合があり、バリやカエリが大きくなり、製品の切断面の品質が劣化する可能性がある。
【0033】
また、弾性体の形状は、図5(A)〜(C)に示すように突き出した部分の形状が円弧状でも良いが、一例を図6(D)〜(G)に示すように、平坦な形状や内部にザグリが入ったもの、そのザグリの中に固定ブロック13を挿入したような形状でもよく、少なくとも切断時にワークを常に固定できればよい。
【0034】
また、弾性体には別の役割もある。図15に示すように、打抜き後のワークがダイの凹部に残ると、そこから取出すために別の装置を設けたり、凹部に取出し用の機構を設けたりする必要がある。また、高速で回転するロータリーカッターであるために、取出しが切断後速やかに行なわれないと、切断した箔が飛散する恐れもあり、それを集めるのにも費用がかかる。
【0035】
本発明では、切断後にダイの凹部に打抜かれた箔が残らず凹部の外に排出される。そのために打抜いた箔の回収は容易である。
【0036】
請求項3に記載の本発明は、前記弾性体がロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックのいずれか1種以上からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0037】
弾性体の材質は特に限定されるものではないが、ワークに対して摩擦が極端に低いものは好ましくない。摩擦が低すぎると先端部が切断されたワークを十分に固定する役割が果たせないことが考えられる。ワークである箔は、金属箔や塑性変形を示しやすい材料を主に対象としているが、これらに対して十分な摩擦を持つものが望ましい。より適している材料はロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックなどであった。
【0038】
請求項4に記載の本発明は、前記中間材が前記箔を打抜く際に切断されず、打抜き後の箔の搬送用に使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0039】
前述のように、本発明において中間材はワークと共に切断されてもされなくてもよい。切断しない場合は、ワークは打抜かれた状態で中間材にそのまま乗った状態で打抜き工程を終える。なお、ワークが中間材より下に面する場合は、パンチロールとダイロールの位置を逆転するか、打抜き時にワークの下面に中間材を流すようにすればよい。
【0040】
図8に示すように打抜きされていない中間材6は薄板状であるために、そのまま打抜き後のワーク20を載せ、搬送することができる。
【0041】
この機構がなければ打抜かれた製品形状の箔は、ロータリーカッターの周囲に散乱するために、飛散の際に損傷することもあり、収集の機構を別に設ける必要が生じるために製造費用的に不利になる。
【0042】
請求項5に記載の本発明は、前記中間材が、前記箔を打抜く際に箔と略同形状に打抜かれ、打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0043】
前述のように本発明において中間材は、ワークと共に切断されてもされなくてもよい。共に切断する場合は、中間材と製品形状の箔が1組切断されることになる。
【0044】
一方、特に切断後の箔は、直接同士を直接重ねることを嫌う。箔は重ねることで互いのバリなどで傷が付いたり、腐食の原因になったりしやすい。そのために搬送時や装置への供給段階では箔と箔の間にスペーサーを挟むのが一般的である。
【0045】
本発明では、図9に示すように中間材6の材質をこのスペーサー22として使用できる材質にすることで、打抜き後に切断後の箔同士の間にスペーサーを挟む工程を省くことができる。
【0046】
請求項6に記載の本発明は、パンチおよびダイの箔または中間材に接触する部分の少なくとも一部の材質が、弾性係数150GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロータリーカッターである。
【0047】
本出願のロータリーカッターは、いずれもワークを剪断切りして打抜くものであるが、切断したい箇所に剪断応力を集中させるためには、パンチおよびダイが変形しにくいほうがより好ましい。ダイとパンチの両者が接近したときの中間材、ワーク、弾性体からの圧力による変形が大きい材料は好ましくない。そのために、パンチとダイの材質は弾性率が150GPa以上、好ましくは200GPa以上がよりよい。これに該当するのは、繊維強化プラスチック、錬鉄、鋼、工具鋼、超硬合金、セラミックスなどである。
【0048】
請求項7に記載の本発明はパンチおよびダイの少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、特に超硬合金であることを特徴とする請求項6に記載のロータリーカッターである。超硬合金は工具鋼などの材質に比べ、硬さが高く耐摩耗性に優れている。また、その弾性率は超硬合金の種類にもよるが450〜700GPaのものが多い。そのために、前項で述べたダイとパンチの変形のしにくさでは非常に優れている。また、硬さはロックウェル硬さAスケールで80〜95HRAと高い。硬さは耐摩耗性に強く影響するために、ワークや中間材と接触を繰り返すダイとパンチの材料としては優れている。
【0049】
また、本発明のロータリーカッターは図17に示すように、製品が打抜かれる部分の場合も、残った部分が製品形状になる場合にも適用することもできるし、図1に示すように中抜き部分があるような形状にも対応が可能である。
【実施例】
【0050】
以下に具体的な実施の例を示す。
(実施例1)
ワークを厚さが20μmの銅箔とした。
【0051】
ロータリーカッターには図1に示すような、製品形状に直線部も曲線部も有する閉じた鍵穴状のパターンを形成し、1分間の切断試料枚数を200枚(200rpm)としてそれぞれ切断を行なった。試験は50分間行い、1万枚切断した時点での評価とした。
【0052】
中間材としては、厚さが500μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
【0053】
ダイおよびパンチは超硬合金(弾性率450GPa)で製造し、弾性体は幅が約10mmで深さ15mmのダイの凹部に接着剤を用いて固定した。弾性体はその種類と突き出し量を数種類変えて実験を行なった。
【0054】
評価項目としては、各試料を切断し、切断できるかどうかの評価および切断できた場合のロール回転方向の寸法精度および最大バリ高さ(以後「バリ高さ」と表記)を比較した。
切断できるかどうかは、パターン形状が全て切断されているかの評価を行なった。
【0055】
回転方向の寸法精度は、図1のC−C’で示すダイロール部分に対応する切断品の長さを測定した。C−C’の長さの基準は、作製したダイロールのC−C’ 部の長さとし、その長さは100mmである。
【0056】
最大バリ高さ19は図7に示すように、切断品から最も突き出た部分の高さD1を測定し、切断品の切断前の厚さD2を減じた値D3とした。
【0057】
以上の条件にて弾性体の材質や突き出し量をそれぞれ変え前記条件にて運転し、それぞれ評価を行なった。
【0058】
表1にワークの材質を、表2にそれぞれの弾性体を用いたロータリーカッターの評価を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表中で「*」のついた番号の試料は、本発明の範囲外の比較試料である
【0061】
【表2】
【0062】
表中で「*」のついた番号の試料は、本発明の範囲外の比較試料である
表1および表2より以下のことが分かった。
【0063】
まず、弾性体を用いていない比較試料*20は、このワークに対しては外径に切残しが発生して全周を切断することができなかった。これに対して本発明のロータリーカッターは、試験終了後も良好に打抜きが行えた。また、その加工精度はいずれもダイの該当部寸法(100mm)と比較して0〜0.1mm以下であった。ワークが塑性変形を起こすために、いずれの試料についてもロールの回転方向に伸びが見られたが、その値はきわめて小さかった。また、バリ高さについては15μm以下とこれも良好であった。バリ高さについては、特に弾性体の突き出し量が−2mm以上+3mm以下が10μm以下と特に優れた結果であった。
【0064】
(実施例2)
実施例1ではワークとして厚さが20μmの銅箔を打抜いたが、本実施例ではワークの材質および厚さを変え、弾性体は実施例1で優れた特性を見せた突き出し量が−100μmの中間材No.4を用いて試験を行った。他の条件は実施例1と同等である。
【0065】
銅箔とアルミ箔はその変形のしやすさに違いがあり、アルミ箔は柔らかく比較的変形しやすいがバリが高くなる傾向がある。一方、銅箔はバリの高さはアルミ箔よりも低くなるが、切断には剪断力がより必要とされる。
また、電池用の活物質は剪断により切断しやすいが、切断部位外に高い圧力がかかると、割れや金属からの剥離の原因となり、好ましくない。
【0066】
ワークの材質および厚さを表3に、切断結果を表4に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表3および表4の結果より、本発明のロータリーカッターは銅箔およびアルミ箔のいずれの材質も良好に打抜きできることが確認できた。
【0070】
また、金属箔に電池用の活物質を塗布したワークに対しても、活物質に割れや剥離は見られずに、目立つ組織の破壊もなかった。このことより、本発明のロータリーカッターはワークの切断部位外には大きな圧力がかかっておらず、剪断力にて良好に切断していることが確認できた。
【0071】
さらに、材質をこのほかに鋼板、マグネシウム板、塑性変形する有機物箔などに変更しても同等精度およびバリ高さの品質での打抜き性能を確認できた。
【0072】
(実施例3)
次に実施例2とその外は同様の条件で、パンチとダイを超硬合金から別の材質に変更した試験を行った。ワークは厚さ20μmの銅箔とした。
【0073】
変更したパンチとダイの材質を表5に、前記ワークの打抜き結果を表6に示す。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
表5および6の結果より、ダイとパンチの弾性率は高いほうがバリ高さが低くなる傾向があり、弾性率が150GPa以上ではいずれもより良好に切断できることが分かった。
【0077】
また、パンチとダイの材質を異なる組み合わせにしても実施の上で問題がないが、精度やバリ高さは両者で弾性率の低い方の材料をパンチとダイに用いた結果とおよそ一致した。
【0078】
(実施例4)
実施例3と同条件にて、ダイとパンチの材質を超硬合金とした。
【0079】
ワークの下方に中間材が位置するように装置を設置し、中間材はワークと共に加工されても切断されない条件とし、図8に示すように打抜きが終了したワーク20をそのまま保持して搬送する構造とした。また、切断終了後にはワークの不要部分21をライン外に排出するようにした。
【0080】
その結果、搬送用の中間材の上で切断された製品部のみが乗ったまま送られるために、製品部を回収することや、次の工程にそのまま搬送することがきわめて容易になった。
(実施例5)
実施例と同条件にて、ダイとパンチの材質を超硬合金とした。
【0081】
ワークの下方に中間材が位置するように装置を設置し、中間材はワークと共に切断される条件とし、図9に示すように打抜きが終了した中間材22とワークの製品部20をあわせて回収した。回収した一対の中間材と製品部はそのまま重ねて積み上げられ、中間材はスペーサーの役目をして、効率よく次工程の準備をすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の形態を示す模式図
【図2】作動最外周に対する説明図
【図3】本発明による打抜きの模式図(先頭部〜)
【図4】本発明による打抜きの模式図(〜最後尾)
【図5】ダイ用弾性体の突出し量の模式図
【図6】ダイ用弾性体の一例
【図7】バリ高さの説明図
【図8】中間材を打抜き後の箔の搬送用として使用した模式図
【図9】中間材を打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用した模式図
【図10】従来のロータリーカッターの模式図
【図11】従来のロータリーカッターの模式図
【図12】打抜き不良の模式図(打抜き初期)
【図13】打抜き不良の模式図(打抜き中期)
【図14】打抜き不良の模式図(切断不良)
【図15】打抜き不良の模式図(バリ、カエリの発生)
【図16】ワークのソリの発生の模式図
【図17】本発明の実施の形態の一例
【符号の説明】
【0083】
1 パンチロール
2 ダイロール
3 パンチ(凸部)
4 ダイ(凹部)
5 弾性体
6 中間材
7 パンチの作動最外周
8 ダイの作動最外周
9 打抜き中のワークの先頭部
10 ロールの回転方向
11 剪断クラック
13 固定ブロック
14 ダイ用弾性体の突出し量(マイナス)
15 ダイ用弾性体の突出し量(プラス)
16 スリッター刃部
17 樹脂、弾性体の層
18 切断不良部
19 バリ、カエリ
20 打抜かれた製品部
21 ワークの不要部
22 打抜かれた中間材
23 製品部の回収、蓄積、搬送装置
24 打抜き中のワークの先頭部
W ワークと進行方向
A−A’ パンチロールの周方向の断面模式図
B−B’ ダイロールの周方向の断面模式図
C−C’ 評価時の寸法測定部に対応するパンチの部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対方向に回転し、両者間を通過する箔を一工程にて打抜きする、パンチロールとダイロールの組み合わせとからなるロータリーカッターにおいて、
前記パンチロールには略製品形状の凸部のパンチ、前記ダイロールにはパンチ形状に対応する略同形状の凹部であるダイを有し、
前記パンチとダイにて箔を打抜く動作を通じてパンチとダイの作動最外周がお互いに干渉せずに打抜き加工を行ない、
前記箔と重なり合った状態で同時に移動する中間材を箔と同時に加工し、
前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体が設置されたロータリーカッター。
【請求項2】
前記弾性体がダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーカッター。
【請求項3】
前記弾性体がロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックのいずれか1種以上からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項4】
前記中間材が前記箔を打抜く際に切断されない、もしくは部分的にしか切断されず、
打抜き後の箔の搬送用として使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項5】
前記中間材が、前記箔を打抜く際に箔と略同形状に打抜かれ、
打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項6】
パンチおよびダイの材質について、少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、弾性係数150GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項7】
パンチおよびダイの材質について、少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、特に超硬合金であることを特徴とする請求項6に記載のロータリーカッター。
【請求項1】
互いに反対方向に回転し、両者間を通過する箔を一工程にて打抜きする、パンチロールとダイロールの組み合わせとからなるロータリーカッターにおいて、
前記パンチロールには略製品形状の凸部のパンチ、前記ダイロールにはパンチ形状に対応する略同形状の凹部であるダイを有し、
前記パンチとダイにて箔を打抜く動作を通じてパンチとダイの作動最外周がお互いに干渉せずに打抜き加工を行ない、
前記箔と重なり合った状態で同時に移動する中間材を箔と同時に加工し、
前記ダイの凹部に打抜きを補助する目的の弾性体が設置されたロータリーカッター。
【請求項2】
前記弾性体がダイの作動最外周に対して−2mm以上、3mm以下外周方向に突き出していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーカッター。
【請求項3】
前記弾性体がロジン、天然ゴム、合成ゴム、天然スポンジ、合成スポンジ、ゴムスポンジ、発泡プラスチックのいずれか1種以上からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項4】
前記中間材が前記箔を打抜く際に切断されない、もしくは部分的にしか切断されず、
打抜き後の箔の搬送用として使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項5】
前記中間材が、前記箔を打抜く際に箔と略同形状に打抜かれ、
打抜き後の箔を重ねる際のスペーサーとして使用される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項6】
パンチおよびダイの材質について、少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、弾性係数150GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロータリーカッター。
【請求項7】
パンチおよびダイの材質について、少なくとも箔または中間材に接触する部分の材質が、特に超硬合金であることを特徴とする請求項6に記載のロータリーカッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−55974(P2012−55974A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198433(P2010−198433)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000229173)日本タングステン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000229173)日本タングステン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]