ロータリーキルンおよび当該ロータリーキルンにより製造される電池材料
【課題】金属粉が電池材料に混入するのを抑制可能なロータリーキルンを提供することを課題とする。
【解決手段】ロータリーキルン1は、軸回りに回転し径方向内側に熱処理室52を持つ筒状のレトルト5を有し、熱処理室52で被処理物Aに熱処理を施すことにより電池材料Bを製造する。レトルト5は、炭素材料製であることを特徴とする。レトルト5は炭素材料製であるため、電池材料Bに悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料Bに混入するのを抑制することができる。
【解決手段】ロータリーキルン1は、軸回りに回転し径方向内側に熱処理室52を持つ筒状のレトルト5を有し、熱処理室52で被処理物Aに熱処理を施すことにより電池材料Bを製造する。レトルト5は、炭素材料製であることを特徴とする。レトルト5は炭素材料製であるため、電池材料Bに悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料Bに混入するのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池材料を製造するのに用いるロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器の電源として、広く用いられている。また、二次電池は、環境保護的な観点から近年人気が高まっている、ハイブリッド自動車のモータ駆動用の電源としても、広く用いられている。
【0003】
二次電池の正極活物質などとして用いられる電池材料は、従来、バッチ式キルンにより製造されていた。ところが、上述したように、近年、二次電池に対するニーズは著しく高まっている。そこで、バッチ式キルンよりも処理能力に優れる、連続式キルンが注目されている。連続式キルンの電池材料と接触する部分の材質には、一般的に、耐熱性、耐酸化性に優れる、SUS(ステンレス鋼)が用いられる。
【0004】
しかしながら、連続式キルンの電池材料と接触する部分の材質としてSUSを用いると、SUS中のCr(クロム)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)などの金属粉が、電池材料に混入するおそれがある。この場合、電池材料の性能が低下してしまう。
【0005】
そこで、特許文献1、2には、金属成分の混入を抑制可能な電池材料の製造方法が紹介されている。特許文献1の製造方法によると、まずロータリーキルンで電池材料を製造し、次いで製造後の電池材料を解砕し、それから解砕後の電池材料に磁力を加えている。すなわち、電池材料に磁力を加えることにより、電池材料からFe粉、SUS粉を除去している。また、特許文献2の電池材料の製造方法によると、ロータリーキルンのSUS製のレトルトの内周面に、Al(アルミニウム)メッキ処理を施している。メッキ処理により、レトルトの内周面には被膜が形成される。当該被膜により、SUS製のレトルトから、Cr、Fe、Niが電池材料に混入するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−119027号公報
【特許文献2】特開2003−267729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の製造方法によると、電池材料に磁力を加える工程が必要である。このため、生産能力が低下する。また、電池材料に磁力を加える設備が必要である。このため、設備コストが高くなる。
【0008】
また、特許文献2の製造方法によると、レトルトの内周面に形成された被膜が剥離し、SUS製の地肌が露出するおそれがある。この場合、レトルトから電池材料に、Cr、Fe、Niが混入してしまう。
【0009】
本発明のロータリーキルンは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、金属粉が電池材料に混入するのを抑制可能なロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンは、軸回りに回転し径方向内側に熱処理室を持つ筒状のレトルトを有し、該熱処理室で被処理物に熱処理を施すことにより電池材料を製造するロータリーキルンであって、前記レトルトは、炭素材料製であることを特徴とする(請求項1に対応)。ここで、「電池材料」には、最終製品は勿論、最終製品の前駆体、中間体も含まれる。
【0011】
本発明のロータリーキルンは、電池材料製造用である。レトルトは炭素材料製である。このため、電池材料に悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料に混入するのを抑制することができる。したがって、電池材料の性能が低下するのを抑制することができる。
【0012】
また、金属粉の混入を避けるという観点からは、レトルトをセラミックス製にすることも考えられる。セラミックス製のレトルトを有するロータリーキルンと比較して、本発明のロータリーキルンは、レトルトの加工性、耐熱衝撃性に優れている。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、さらに、前記レトルトの径方向内側および径方向外側に非酸化性ガスを供給するガス供給部を有する構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0014】
レトルトの径方向内側には、被処理物に熱処理を施すための、熱処理室が配置されている。このため、熱処理に伴い、レトルトの温度は上昇する。レトルトの温度が上昇すると、炭素材料製であるレトルトが、酸化するおそれがある。
【0015】
この点、本構成によると、ガス供給部が配置されている。ガス供給部は、レトルトの径方向内側および径方向外側に、非酸化性ガスを供給する。このため、レトルトの内周面および外周面が酸化するのを抑制することができる。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、前記レトルトから前記電池材料を排出する排出部を有し、該排出部のうち該電池材料が接触する材料接触部は、炭素材料製である構成とする方がよい(請求項3に対応)。本構成によると、排出部のうち少なくとも材料接触部が炭素材料製である。このため、熱処理後の炭素材料に、金属粉が混入するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、金属粉が電池材料に混入するのを抑制可能なロータリーキルンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるロータリーキルンの斜視図である。
【図2】同ロータリーキルンの透過前面図である。
【図3】同ロータリーキルンの左側部分の分解斜視図である。
【図4】同部分の左右方向断面図である。
【図5】図4の円V内の拡大図である。
【図6】同ロータリーキルンの右側部分の分解斜視図である。
【図7】同部分の左右方向断面図である。
【図8】図7の円VIII内の拡大図である。
【図9】同ロータリーキルンの中央部分の斜視図である。
【図10】同ロータリーキルンのレトルトの透過分解斜視図である。
【図11】同ロータリーキルンの左側部分のレトルト交換時における透過前面図である。
【図12】同ロータリーキルンの右側部分のレトルト交換時における透過前面図である。
【図13】同ロータリーキルンの左側部分のスクリューフィーダー交換時における透過前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明する。
【0020】
<ロータリーキルンの構成>
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。以下の図においては、左側が供給側(上流側)、右側が排出側(下流側)に、それぞれ相当する。また、説明の便宜上、図10以外の図においては、レトルト5の三枚のフィン56を省略して示す。図1に、本実施形態のロータリーキルンの斜視図を示す。図2に、同ロータリーキルンの透過前面図を示す。
【0021】
図1、図2に示すように、本実施形態のロータリーキルン1は、供給部品台車2と、供給側支持台車3と、排出側支持台車4と、レトルト5と、排出シュート6と、供給側連結筒部7と、加熱部8と、架台90と、駆動部91と、を備えている。排出シュート6は、本発明の排出部に含まれる。
【0022】
[架台90]
架台90は板状を呈している。架台90は、工場の敷地に敷設されている。架台90は、供給側線路部900と、排出側線路部901と、製品抜出孔902と、を備えている。図2に示すように、製品抜出孔902は、架台90に穿設されている。供給側線路部900は、一対のレール900aを備えている。レール900aは、鋼製であって左右方向に延在している。レール900aの左右方向両端には、各々、ストッパ900bが配置されている。排出側線路部901は、一対のレール901aを備えている。レール901aは、鋼製であって左右方向に延在している。レール901aの左右方向両端には、各々、ストッパ901bが配置されている。
【0023】
[駆動部91]
図1に示すように、駆動部91は、モータ910と、シャフト911と、供給側駆動スプロケット912と、排出側駆動スプロケット913と、を備えている。モータ910は、架台90の上面に配置されている。シャフト911は、モータ910の回転軸に連結されている。供給側駆動スプロケット912は、シャフト911の左端に固定されている。排出側駆動スプロケット913は、シャフト911の右端に固定されている。
【0024】
[供給部品台車2]
図3に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分の分解斜視図を示す。図4に、同部分の左右方向断面図を示す。図3、図4に示すように、供給部品台車2は、下段部20と、四つの車輪21と、四本の連結ピラー22と、中段部23と、四本の連結ロッド24と、上段部25と、一対の軸受部26と、スクリューフィーダー27と、シール部28と、供給ホッパー29と、を備えている。シール部28は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0025】
下段部20は、鋼製であって長方形板状を呈している。下段部20の右端には、連結板200が配置されている。四つの車輪21は、下段部20の四隅付近に配置されている。四つの車輪21は、一対のレール900a上を、左右方向に転動可能である。つまり、供給部品台車2は、一対のレール900aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0026】
中段部23は、鋼製であって長方形板状を呈している。中段部23は、下段部20の上方に配置されている。四本の連結ピラー22は、各々、角柱状を呈している。四本の連結ピラー22は、下段部20と中段部23との間に介装されている。
【0027】
上段部25は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部25は、中段部23の上方に配置されている。四本の連結ロッド24は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド24は、中段部23と上段部25との間に介装されている。
【0028】
一対の軸受部26は、上段部25の上面に配置されている。一対の軸受部26は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。供給ホッパー29は、鋼製であって、下方に向かって尖る円錐状を呈している。供給ホッパー29は、上段部25の上面に配置されている。供給ホッパー29は、一対の軸受部26の右側に配置されている。供給ホッパー29には、被処理物Aが貯留されている。
【0029】
スクリューフィーダー27は、スクリュー収容筒部270と、スクリュー271と、を備えている。スクリュー収容筒部270は、鋼製であって円筒状を呈している。スクリュー収容筒部270は、供給ホッパー29の下端から右側に突設されている。スクリュー271は、スクリュー収容筒部270に収容されている。スクリュー271は、モータ(図略)の駆動力により、軸回りに回転する。スクリュー271の軸部271aは、供給ホッパー29の左壁を貫通している。軸部271aの貫通端は、一対の軸受部26により、軸回りに回転可能に支持されている。
【0030】
シール部28は、供給ホッパー29の左壁と、スクリュー271の軸部271aと、の間に介装されている。シール部28は、軸部271aの回動を許容しつつ、供給ホッパー29の左壁と軸部271aとの間の隙間を封止している。シール部28の構成は、後述する供給側支持台車3のシール部35の構成(図5参照)と同様である。シール部28からは、矢印Y1で示すように、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、本発明の非酸化性ガスに含まれる。窒素ガスは、供給ホッパー29内部、スクリュー収容筒部270内部に拡散する。
【0031】
[供給側支持台車3]
供給側支持台車3は、下段部30と、四つの車輪31と、上段部32と、四本の連結ロッド33と、一対の軸受部34と、シール部35と、連結板36と、供給側回転軸37と、供給側ホルダ38と、供給側ギア390と、供給側ピニオン391と、供給側スプロケット392と、を備えている。シール部35は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0032】
下段部30は、鋼製であって長方形板状を呈している。下段部30の左端には、連結板300が配置されている。連結板300は、連結板200と、ボルト−ナット機構を介して連結可能である。すなわち、供給側支持台車3と供給部品台車2とは、連結可能である。四つの車輪31は、下段部30の四隅付近に配置されている。四つの車輪31は、一対のレール900a上を、左右方向に転動可能である。つまり、供給側支持台車3は、一対のレール900aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0033】
上段部32は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部32は、下段部30の上方に配置されている。四本の連結ロッド33は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド33は、下段部30と上段部32との間に介装されている。
【0034】
一対の軸受部34は、上段部32の上面に配置されている。一対の軸受部34は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。連結板36は、鋼製であって長方形板状を呈している。連結板36は、上段部32の右端に配置されている。連結板36には、供給側回転軸挿入孔360が穿設されている。供給側回転軸37は、鋼製であって円筒状を呈している。供給側回転軸37は、一対の軸受部34により、軸回りに回転可能に支持されている。供給側回転軸37の右端は、供給側回転軸挿入孔360に挿入されている。
【0035】
図5に、図4の円V内の拡大図を示す。図5に示すように、シール部35は、供給側回転軸37と、供給側回転軸挿入孔360と、の間に介装されている。シール部35は、内環部350と、外環部351と、ガス配管352と、を備えている。外環部351は、SUS304製であって左方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。外環部351の右方底壁には、供給側回転軸37が挿通されている。外環部351の側周壁は、供給側回転軸挿入孔360の内周面に固定されている。内環部350は、SUS304製であってリング状を呈している。内環部350は、外環部351の左方開口を封止している。内環部350は、外環部351に固定されている。ガス配管352は、外環部351の側周壁を貫通している。ガス配管352からは、矢印Y2で示すように、外環部351の径方向内側に、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、矢印Y3で示すように、後述する供給側連結筒部7内部に拡散する。
【0036】
図3、図4に戻って、供給側ホルダ38は、鋼製であって右方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。供給側ホルダ38は、連結板36の右側に配置されている。供給側回転軸37は、供給側ホルダ38の径方向内側を貫通している。供給側ホルダ38は、供給側回転軸37の右端外周面に固定されている。
【0037】
供給側ギア390は、鋼製であって円板状を呈している。供給側ギア390は、供給側回転軸37の外周面に固定されている。供給側ギア390は、一対の軸受部34の間に配置されている。供給側ピニオン391は、鋼製であって円板状を呈している。供給側ピニオン391は、供給側ギア390と噛合している。供給側スプロケット392は、鋼製であって円板状を呈している。供給側スプロケット392と供給側ピニオン391とは、同一のシャフトに固定されている。図1に一点鎖線で示すように、供給側スプロケット392と供給側駆動スプロケット912との間には、チェーン914が巻き架けられている。
【0038】
[排出側支持台車4]
図6に、本実施形態のロータリーキルンの右側部分の分解斜視図を示す。図7に、同部分の左右方向断面図を示す。図6、図7に示すように、排出側支持台車4は、下段部40と、四つの車輪41と、上段部42と、四本の連結ロッド43と、一対の軸受部44と、シール部45と、連結板46と、排出側回転軸47と、排出側ホルダ48と、排出側ギア490と、排出側ピニオン491と、排出側スプロケット492と、冷却管493と、を備えている。シール部45は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0039】
下段部40は、鋼製であって長方形板状を呈している。四つの車輪41は、下段部40の四隅付近に配置されている。四つの車輪41は、一対のレール901a上を、左右方向に転動可能である。つまり、排出側支持台車4は、一対のレール901aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0040】
上段部42は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部42は、下段部40の上方に配置されている。四本の連結ロッド43は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド43は、下段部40と上段部42との間に介装されている。
【0041】
一対の軸受部44は、上段部42の上面に配置されている。一対の軸受部44は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。連結板46は、鋼製であって長方形板状を呈している。連結板46は、上段部42の左端に配置されている。連結板46には、排出側回転軸挿入孔460が穿設されている。排出側回転軸47は、鋼製であって円筒状を呈している。排出側回転軸47は、一対の軸受部44により、軸回りに回転可能に支持されている。排出側回転軸47の左端は、排出側回転軸挿入孔460に挿入されている。
【0042】
シール部45は、排出側回転軸47と、排出側回転軸挿入孔460と、の間に介装されている。シール部45の構成は、前述した供給側支持台車3のシール部35の構成(図5参照)と同様である。シール部45からは、矢印Y4で示すように、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、後述する排出シュート6内部に拡散する。
【0043】
排出側ホルダ48は、鋼製であって左方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。排出側ホルダ48は、連結板46の左側に配置されている。排出側ホルダ48は、排出側回転軸47の左端に固定されている。
【0044】
排出側ギア490は、鋼製であって円板状を呈している。排出側ギア490は、排出側回転軸47の外周面に固定されている。排出側ギア490は、一対の軸受部44の間に配置されている。排出側ピニオン491は、鋼製であって円板状を呈している。排出側ピニオン491は、排出側ギア490と噛合している。排出側ギア490の肉厚T1は、排出側ピニオン491の肉厚T2よりも、大きい。このため、排出側ピニオン491に対して、排出側ギア490が左右方向にずれても、排出側ピニオン491と排出側ギア490とは噛合可能である。排出側スプロケット492は、鋼製であって円板状を呈している。排出側スプロケット492と排出側ピニオン491とは、同一のシャフトに固定されている。図1に一点鎖線で示すように、排出側スプロケット492と排出側駆動スプロケット913との間には、チェーン915が巻き架けられている。
【0045】
図8に、図7の円VIII内の拡大図を示す。なお、冷却管493は断面で示す。図8に示すように、冷却管493は、左端が封止された二重円筒状を呈している。すなわち、冷却管493は、内筒部493aと外筒部493bとを備えている。冷却水Wは、図7に矢印Y5で示すように、給水管494から内筒部493aに供給される。冷却水Wは、内筒部493aの径方向内側を左側に進行し、冷却管493の左端で折り返す。折り返した冷却水Wは、内筒部493aから外筒部493bに流れ込む。流れ込んだ冷却水Wは、外筒部493bと内筒部493aとの間の隙間を右側に進行し、図7に矢印Y6で示すように、排水管495から外部に排出される。冷却水Wにより、排出側回転軸47、一対の軸受部44、排出側ギア490、シール部45などを冷却することができる。
【0046】
[加熱部8]
図9に、本実施形態のロータリーキルンの中央部分の斜視図を示す。なお、図9に示すのは開状態である。図9に示すように、加熱部8は、下分割部80Dと、上分割部80Uと、を備えている。
【0047】
下分割部80Dは、外殻800Dと、断熱材801Dと、を備えている。外殻800Dは、鋼製であって、上方に開口する直方体箱状を呈している。外殻800Dは、一対の支持ブロック81を介して、架台90の上面に固定されている。断熱材801Dは、セラミックファイバーまたは断熱煉瓦製であって、外殻800Dの内面に、所定の厚さで固定されている。
【0048】
上分割部80Uは、外殻800Uと、断熱材801Uと、を備えている。上分割部80Uの構成は、下分割部80Dの構成と、同様である。上分割部80Uと下分割部80Dとは、ヒンジ部(図略)を介して、連結されている。上分割部80Uは、下分割部80Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部80Uは、下分割部80Dの後方に並置されている。一方、図4、図7に示すように、閉状態においては、上分割部80Uは、下分割部80Dの上方に伏置されている。閉状態においては、断熱材801D、801Uに囲まれて、加熱室82が区画されている。加熱室82には、ヒータ(図略)が配置されている。また、図4、図9に示すように、閉状態において、加熱部8左側外部と加熱室82との間には、供給側レトルト挿入孔83が形成されている。並びに、図7、図9に示すように、加熱部8右側外部と加熱室82との間には、排出側レトルト挿入孔84が形成されている。
【0049】
[レトルト5]
レトルト5は、カーボン製であって、円筒状を呈している。カーボンは、本発明の炭素材料に含まれる。レトルト5は、加熱部8を左右方向に貫通している。すなわち、レトルト5の左端は、供給側レトルト挿入孔83から外部に突出している。また、レトルト5の右端は、排出側レトルト挿入孔84から外部に突出している。レトルト5の胴部は、加熱室82に収容されている。レトルト5は、左から右に向かって下降するように、若干傾斜している。
【0050】
図10に、本実施形態のロータリーキルンのレトルトの透過分解斜視図を示す。図10に示すように、レトルト5は、供給側隔壁50と、排出側隔壁51と、熱処理室52と、三つの排出孔53と、五枚の供給側断熱板54と、九枚の排出側断熱板55と、三枚のフィン56と、を備えている。
【0051】
供給側隔壁50は、円板状を呈している。供給側隔壁50は、レトルト5の左端付近に配置されている。供給側隔壁50には、供給側回転軸挿入孔500が穿設されている。排出側隔壁51は、円板状を呈している。排出側隔壁51は、レトルト5の左端付近に配置されている。
【0052】
熱処理室52は、供給側隔壁50と排出側隔壁51との間に区画されている。図4、図7に示すように、熱処理室52は、加熱室82の径方向内側に配置されている。図10に戻って、排出孔53は、排出側隔壁51の左側に配置されている。排出孔53は、熱処理室52に連通している。三つの排出孔53は、レトルト5の周方向に120°ずつ離間して、配置されている。
【0053】
供給側断熱板54は、セラミックファイバーまたはセラミックボード製であって、円板状を呈している。供給側断熱板54には、供給側回転軸挿入孔540が穿設されている。五枚の供給側断熱板54は、積層された状態で、供給側隔壁50の左側に、配置されている。排出側断熱板55は、セラミックファイバーまたはセラミックボード製であって、円板状を呈している。九枚の排出側断熱板55は、積層された状態で、排出側隔壁51の右側に、配置されている。
【0054】
フィン56は、リブ状を呈している。フィン56は、レトルト5の内周面に配置されている。フィン56は、供給側隔壁50と三つの排出孔53との間に配置されている。三枚のフィン56は、レトルト5の周方向に120°ずつ離間して、配置されている。
【0055】
図4に示すように、レトルト5の左端は、供給側ホルダ38に収容されている。レトルト5と供給側ホルダ38とは、ボルトにより固定されている。レトルト5の供給側回転軸挿入孔540、500には、左側から供給側回転軸37が貫通している。供給側回転軸37の貫通端開口は、熱処理室52に連通している。
【0056】
図7に示すように、レトルト5の右端は、排出側ホルダ48に収容されている。レトルト5と排出側ホルダ48とは、固定されていない。このため、レトルト5は、排出側ホルダ48に対して、左右方向、周方向に移動可能である。
【0057】
[供給側連結筒部7]
図9に示すように、供給側連結筒部7は、下分割部70Dと、上分割部70Uと、を備えている。下分割部70Dは、鋼製であって上方に開口する半角筒状を呈している。下分割部70Dは、加熱部8の下分割部80Dの左端に配置されている。下分割部70Dの左端には、フランジ分割部700Dが配置されている。
【0058】
上分割部70Uは、鋼製であって、開状態において、上方に開口する半角筒状を呈している。上分割部70Uは、加熱部8の上分割部80Uの左端に配置されている。上分割部70Uの左端には、フランジ分割部700Uが配置されている。開状態における、上分割部70Uの下壁からは、ガス配管701Uが突設されている。ガス配管701Uは、本発明のガス供給部に含まれる。
【0059】
上分割部70Uは、下分割部70Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部70Uは、下分割部70Dの後方に並置されている。一方、図4に示すように、閉状態においては、上分割部70Uは、下分割部70Dの上方に伏置されている。閉状態においては、フランジ分割部700D、700Uが合体することにより、供給側ホルダ挿入孔71が形成される。フランジ分割部700D、700Uは、供給側支持台車3の連結板36に、ボルト−ナット機構を介して連結されている。閉状態においては、供給側連結筒部7の内部に、レトルト5の左端が収容されている。また、ガス配管701Uからは、矢印Y7で示すように、供給側連結筒部7の内側に、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、供給側レトルト挿入孔83を介して、加熱室82内部に拡散する。
【0060】
[排出シュート6]
図9に示すように、排出シュート6は、下分割部60Dと、上分割部60Uと、を備えている。下分割部60Dは、鋼製であって下方に尖る角錐状を呈している。下分割部60Dは、加熱部8の下分割部80Dの右端に配置されている。下分割部60Dの右端には、フランジ分割部600Dが配置されている。図7に示すように、下分割部60Dの下端は、製品抜出孔902に収容されている。下分割部60Dのテーパ部分の内面には、カーボン製の保護板601Dが配置されている。下分割部60Dのテーパ部分は、本発明の材料接触部に含まれる。
【0061】
図9に戻って、上分割部60Uは、鋼製であって、開状態において、上方に開口する半角筒状を呈している。上分割部60Uは、加熱部8の上分割部80Uの右端に配置されている。上分割部60Uの右端には、フランジ分割部600Uが配置されている。
【0062】
上分割部60Uは、下分割部60Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部60Uは、下分割部60Dの後方に並置されている。一方、図7に示すように、閉状態においては、上分割部60Uは、下分割部60Dの上方に伏置されている。閉状態においては、フランジ分割部600D、600Uが合体することにより、排出側ホルダ挿入孔61が形成される。フランジ分割部600D、600Uは、排出側支持台車4の連結板46に、ボルト−ナット機構を介して連結されている。閉状態においては、排出シュート6の内部に、レトルト5の右端が収容されている。
【0063】
<電池材料製造時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンの電池材料製造時の動きについて説明する。まず、図1に示すように、モータ910を駆動する。モータ910の駆動力は、シャフト911→供給側駆動スプロケット912→チェーン914→供給側スプロケット392→供給側ピニオン391を介して、供給側ギア390に伝達される。並びに、モータ910の駆動力は、シャフト911→排出側駆動スプロケット913→チェーン915→排出側スプロケット492→排出側ピニオン491を介して、排出側ギア490に伝達される。図2に示すように、供給側ギア390は、供給側回転軸37に固定されている。また、供給側回転軸37には、供給側ホルダ38が固定されている。また、供給側ホルダ38には、レトルト5の左端が収容されている。このため、供給側ギア390が回転すると、レトルト5が回転する。また、図2に示すように、排出側ギア490は、排出側回転軸47に固定されている。また、排出側回転軸47には、排出側ホルダ48が固定されている。このため、排出側ギア490が回転すると、排出側ホルダ48が回転する。このように、供給側ギア390によりレトルト5を、排出側ギア490により排出側ホルダ48を、それぞれ軸回りに回転させる。
【0064】
次いで、図4に示すように、スクリューフィーダー27を駆動する。そして、被処理物Aを、供給ホッパー29から熱処理室52まで搬送する。続いて、図10に示すように、回転するレトルト5の内部において、三枚のフィン56で撹拌しながら、被処理物Aを右側に移動させる。熱処理室52は、加熱室82により、所定の温度パターンで加熱されている。このため、熱処理室52を通過させることにより、被処理物Aに所定の熱処理を施すことができる。
【0065】
それから、図7に示すように、熱処理後の電池材料Bを、回転するレトルト5の排出孔53から払い出す。払い出された電池材料Bは、排出シュート6内部を、保護板601Dに衝突しながら滑り落ちる。滑り落ちた電池材料Bは、排出シュート6下方に配置された製品収容部(図略)に収容される。このようにして、被処理物Aに熱処理を施すことにより、電池材料Bを製造する。
【0066】
なお、図4に示すように、電池材料Bを製造する際、シール部28(矢印Y1)から、レトルト5の径方向内側に、窒素ガスが供給される。また、シール部35(矢印Y2)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。また、ガス配管701U(矢印Y7)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。また、図7に示すように、シール部45(矢印Y4)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。このように、電池材料B製造時においては、レトルト5の径方向内側および径方向外側に、窒素ガスが供給されている。また、図8に示すように、電池材料Bを製造する際、排出側回転軸47は、冷却管493により冷却されている。
【0067】
<レトルト交換時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンのレトルト交換時の動きについて説明する。図11に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分のレトルト交換時における透過前面図を示す。図12に、本実施形態のロータリーキルンの右側部分のレトルト交換時における透過前面図を示す。
【0068】
まず、図4に示すように、ボルトからナットを外すことにより、供給側支持台車3の連結板36と、フランジ分割部700U、700Dと、の連結を解除する。また、図7に示すように、ボルトからナットを外すことにより、排出側支持台車4の連結板46と、フランジ分割部600U、600Dと、の連結を解除する。また、図11に示すように、ボルトを外すことにより、レトルト5の左端と供給側ホルダ38との連結を解除する。
【0069】
次いで、一対のレール900aに沿って、供給部品台車2と供給側支持台車3とを、左側に移動させる。そして、供給側回転軸37および供給側ホルダ38を、供給側連結筒部7から抜き出す。並びに、一対のレール901aに沿って、排出側支持台車4を右側に移動させる。そして、排出側回転軸47および排出側ホルダ48を、排出シュート6から抜き出す。
【0070】
続いて、図9に示すように、供給側連結筒部7、加熱部8、排出シュート6を、閉状態から開状態に切り替える。開状態に切り替えることにより、レトルト5が露出する。それから、ジャッキやウインチやクレーンなどにより、レトルト5を撤去する。
【0071】
その後、新しいレトルト5を加熱部8に装着し、供給側連結筒部7、加熱部8、排出シュート6を、開状態から閉状態に切り替え、供給部品台車2、供給側支持台車3、排出側支持台車4を復動させる。そして、各ボルト、ナットを締結する。このようにして、レトルト5の交換を行う。
【0072】
<スクリューフィーダー交換時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンのスクリューフィーダー交換時の動きについて説明する。図13に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分のスクリューフィーダー交換時における透過前面図を示す。
【0073】
まず、図4に示すように、ボルトからナットを外すことにより、供給部品台車2の連結板200と、供給側支持台車3の連結板300と、の連結を解除する。次いで、一対のレール900aに沿って、供給部品台車2を左側に移動させる。そして、スクリューフィーダー27を、供給側回転軸37から抜き出す。続いて、スクリューフィーダー27を撤去する。その後、新しいスクリューフィーダー27を供給部品台車2に装着し、供給部品台車2を復動させる。そして、ボルト、ナットを締結する。このようにして、スクリューフィーダー27の交換を行う。
【0074】
<作用効果>
次に、本実施形態のロータリーキルンの作用効果について説明する。本実施形態のロータリーキルン1のレトルト5は、カーボン製である。このため、電池材料Bに悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料Bに混入するのを抑制することができる。したがって、電池材料Bの性能が低下するのを抑制することができる。また、カーボン製のレトルト5は、加工性に優れている。このため、図10に示すように、供給側隔壁50、排出側隔壁51、排出孔53、フィン56などの部材を、簡単にレトルト5に配置することができる。これらの部材は、カーボンブロックを削りだしたり、あるいはボルトなどで後付けすることにより、レトルト5に配置することができる。また、カーボン製のレトルト5は、耐熱衝撃性に優れている。
【0075】
また、レトルト5の径方向内側には、熱処理室52が配置されている。このため、熱処理に伴い、レトルト5の温度は上昇する。レトルト5の温度が上昇すると、カーボン製のレトルト5が酸化するおそれがある。
【0076】
この点、本実施形態のロータリーキルン1によると、図4のシール部28(矢印Y1)、図5のシール部35(矢印Y2)、図4のガス配管701U(矢印Y7)、図7のシール部45(矢印Y4)から、各々、窒素ガスが供給される。このため、レトルト5の内周面および外周面が酸化するのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図7に示すように、排出シュート6にカーボン製の保護板601Dが配置されている。このため、鋼製の下分割部60Dから電池材料Bに、金属粉が混入するのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、加熱部8の熱などで、レトルト5の軸方向(左右方向)全長が伸縮する場合であっても、対応することができる。すなわち、図5にシール部35を援用して示すように、シール部45の内環部350と外環部351とは、軸方向に摺動代を確保している。また、図7に示すように、一対の軸受部44はドライメタルタイプの軸受部であり、排出側回転軸47を軸方向に摺動可能に支持している。また、図6に示すように、排出側ギア490の肉厚T1は、排出側ピニオン491の肉厚T2よりも、大きく設定されている。このため、排出側ピニオン491に対して、排出側ギア490が左右方向にずれても、排出側ピニオン491と排出側ギア490とは噛合可能である。このように、本実施形態のロータリーキルン1は、レトルト5の軸方向全長の伸縮に対応することができる。
【0079】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図1に示すように、単一のモータ910により、供給側ギア390、排出側ギア490が駆動されている。このため、供給側ギア390の回転速度と排出側ギア490の回転速度とが一致しやすい。したがって、排出側ホルダ48とレトルト5とが相対的に摺動しにくい。言い換えると、レトルト5が摩耗しにくい。
【0080】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図4に示すように、供給側ホルダ38はレトルト5にボルト締結されている。一方、図7に示すように、排出側ホルダ48はレトルト5に固定されていない。このため、仮に供給側ギア390の回転速度と排出側ギア490の回転速度とが異なる場合であっても、レトルト5に捻り力が加わりにくい。
【0081】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト5ではなく、供給側回転軸37および排出側回転軸47が、回転駆動されている。このため、レトルト5に直接ギアを配置する必要がない。したがって、レトルト5の加工が容易である。また、レトルト5の径に応じて供給側ホルダ38の径、排出側ホルダ48の径を変更することにより、あらゆる径のレトルト5を装着することができる。このため、レトルト5の径に対する汎用性が高い。
【0082】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト5の点検、交換が容易である。すなわち、図11に示すように供給部品台車2および供給側支持台車3を移動させ、図12に示すように排出側支持台車4を移動させ、図9に示すように、供給側連結筒部7と加熱部8と排出シュート6とを閉状態から開状態に切り替えるだけで、簡単にレトルト5の点検、交換を行うことができる。
【0083】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、スクリューフィーダー27の点検、交換が容易である。すなわち、図13に示すように供給部品台車2を移動させるだけで、簡単にスクリューフィーダー27の点検、交換を行うことができる。
【0084】
また、レトルト5が金属製の外層とカーボン製の内層とを有する二層筒状である場合、一般的に、内層は外層にボルトなどにより止着されている。ここで、内層と外層との間には、微小な隙間、つまり空気層が介在しやすい。このため、外層から内層に熱が伝わりにくい。これに対して、本実施形態のロータリーキルン1のレトルト5は、カーボンからなる一体物である。このため、外面から内面に熱が伝わりやすい。このように、レトルト5は、熱伝導性に優れている。
【0085】
<その他>
以上、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0086】
例えば、ロータリーキルン1のタイプは特に限定しない。供給側の部材や排出側の部材が不動のロータリーキルンに、本発明を用いてもよい。また、非酸化性ガスの種類は特に限定しない。不活性ガス(ヘリウム、アルゴンなど)、還元性ガス(一酸化炭素ガスなど)を用いてもよい。また、レトルト5は、カーボンブロックに切削加工を施して作製してもよい。また、レトルト5は、カーボン織布を巻回することにより作製してもよい。また、レトルト5は、押出成形、CIP(Cold Isostatic Press)成形などの成形方法により作製してもよい。
【0087】
また、被処理物Aとしては、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池の正極材であるLiFePO4や、負極材であるカーボン粉末などを用いることができる。この場合、レトルト5のカーボンが正極材に混入しても、金属粉が混入する場合と比較して、正極材に与える影響は小さくなる。また、レトルト5のカーボンが負極材に混入しても、負極材自体がカーボンであるため、負極材に与える影響は小さくなる。
【符号の説明】
【0088】
1:ロータリーキルン、2:供給部品台車、3:供給側支持台車、4:排出側支持台車、5:レトルト、6:排出シュート(排出部)、7:供給側連結筒部、8:加熱部。
20:下段部、21:車輪、22:連結ピラー、23:中段部、24:連結ロッド、25:上段部、26:軸受部、27:スクリューフィーダー、28:シール部(ガス供給部)、29:供給ホッパー、30:下段部、31:車輪、32:上段部、33:連結ロッド、34:軸受部、35:シール部(ガス供給部)、36:連結板、37:供給側回転軸、38:供給側ホルダ、40:下段部、41:車輪、42:上段部、43:連結ロッド、44:軸受部、45:シール部(ガス供給部)、46:連結板、47:排出側回転軸、48:排出側ホルダ、50:供給側隔壁、51:排出側隔壁、52:熱処理室、53:排出孔、54:供給側断熱板、55:排出側断熱板、56:フィン、60D:下分割部、60U:上分割部、61:排出側ホルダ挿入孔、70D:下分割部、70U:上分割部、71:供給側ホルダ挿入孔、80D:下分割部、80U:上分割部、81:支持ブロック、82:加熱室、83:供給側レトルト挿入孔、84:排出側レトルト挿入孔、90:架台、91:駆動部。
200:連結板、270:スクリュー収容筒部、271:スクリュー、271a:軸部、300:連結板、350:内環部、351:外環部、352:ガス配管、360:供給側回転軸挿入孔、390:供給側ギア、391:供給側ピニオン、392:供給側スプロケット、460:排出側回転軸挿入孔、490:排出側ギア、491:排出側ピニオン、492:排出側スプロケット、493:冷却管、493a:内筒部、493b:外筒部、494:給水管、495:排水管、500:供給側回転軸挿入孔、540:供給側回転軸挿入孔、600D:フランジ分割部、600U:フランジ分割部、601D:保護板、700D:フランジ分割部、700U:フランジ分割部、701U:ガス配管(ガス供給部)、800D:外殻、800U:外殻、801D:断熱材、801U:断熱材、900:供給側線路部、900a:レール、900b:ストッパ、901:排出側線路部、901a:レール、901b:ストッパ、902:製品抜出孔、910:モータ、911:シャフト、912:供給側駆動スプロケット、913:排出側駆動スプロケット、914:チェーン、915:チェーン。
A:被処理物、B:電池材料、T1:肉厚、T2:肉厚、W:冷却水、Y1〜Y7:矢印。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池材料を製造するのに用いるロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器の電源として、広く用いられている。また、二次電池は、環境保護的な観点から近年人気が高まっている、ハイブリッド自動車のモータ駆動用の電源としても、広く用いられている。
【0003】
二次電池の正極活物質などとして用いられる電池材料は、従来、バッチ式キルンにより製造されていた。ところが、上述したように、近年、二次電池に対するニーズは著しく高まっている。そこで、バッチ式キルンよりも処理能力に優れる、連続式キルンが注目されている。連続式キルンの電池材料と接触する部分の材質には、一般的に、耐熱性、耐酸化性に優れる、SUS(ステンレス鋼)が用いられる。
【0004】
しかしながら、連続式キルンの電池材料と接触する部分の材質としてSUSを用いると、SUS中のCr(クロム)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)などの金属粉が、電池材料に混入するおそれがある。この場合、電池材料の性能が低下してしまう。
【0005】
そこで、特許文献1、2には、金属成分の混入を抑制可能な電池材料の製造方法が紹介されている。特許文献1の製造方法によると、まずロータリーキルンで電池材料を製造し、次いで製造後の電池材料を解砕し、それから解砕後の電池材料に磁力を加えている。すなわち、電池材料に磁力を加えることにより、電池材料からFe粉、SUS粉を除去している。また、特許文献2の電池材料の製造方法によると、ロータリーキルンのSUS製のレトルトの内周面に、Al(アルミニウム)メッキ処理を施している。メッキ処理により、レトルトの内周面には被膜が形成される。当該被膜により、SUS製のレトルトから、Cr、Fe、Niが電池材料に混入するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−119027号公報
【特許文献2】特開2003−267729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の製造方法によると、電池材料に磁力を加える工程が必要である。このため、生産能力が低下する。また、電池材料に磁力を加える設備が必要である。このため、設備コストが高くなる。
【0008】
また、特許文献2の製造方法によると、レトルトの内周面に形成された被膜が剥離し、SUS製の地肌が露出するおそれがある。この場合、レトルトから電池材料に、Cr、Fe、Niが混入してしまう。
【0009】
本発明のロータリーキルンは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、金属粉が電池材料に混入するのを抑制可能なロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンは、軸回りに回転し径方向内側に熱処理室を持つ筒状のレトルトを有し、該熱処理室で被処理物に熱処理を施すことにより電池材料を製造するロータリーキルンであって、前記レトルトは、炭素材料製であることを特徴とする(請求項1に対応)。ここで、「電池材料」には、最終製品は勿論、最終製品の前駆体、中間体も含まれる。
【0011】
本発明のロータリーキルンは、電池材料製造用である。レトルトは炭素材料製である。このため、電池材料に悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料に混入するのを抑制することができる。したがって、電池材料の性能が低下するのを抑制することができる。
【0012】
また、金属粉の混入を避けるという観点からは、レトルトをセラミックス製にすることも考えられる。セラミックス製のレトルトを有するロータリーキルンと比較して、本発明のロータリーキルンは、レトルトの加工性、耐熱衝撃性に優れている。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、さらに、前記レトルトの径方向内側および径方向外側に非酸化性ガスを供給するガス供給部を有する構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0014】
レトルトの径方向内側には、被処理物に熱処理を施すための、熱処理室が配置されている。このため、熱処理に伴い、レトルトの温度は上昇する。レトルトの温度が上昇すると、炭素材料製であるレトルトが、酸化するおそれがある。
【0015】
この点、本構成によると、ガス供給部が配置されている。ガス供給部は、レトルトの径方向内側および径方向外側に、非酸化性ガスを供給する。このため、レトルトの内周面および外周面が酸化するのを抑制することができる。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、前記レトルトから前記電池材料を排出する排出部を有し、該排出部のうち該電池材料が接触する材料接触部は、炭素材料製である構成とする方がよい(請求項3に対応)。本構成によると、排出部のうち少なくとも材料接触部が炭素材料製である。このため、熱処理後の炭素材料に、金属粉が混入するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、金属粉が電池材料に混入するのを抑制可能なロータリーキルンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるロータリーキルンの斜視図である。
【図2】同ロータリーキルンの透過前面図である。
【図3】同ロータリーキルンの左側部分の分解斜視図である。
【図4】同部分の左右方向断面図である。
【図5】図4の円V内の拡大図である。
【図6】同ロータリーキルンの右側部分の分解斜視図である。
【図7】同部分の左右方向断面図である。
【図8】図7の円VIII内の拡大図である。
【図9】同ロータリーキルンの中央部分の斜視図である。
【図10】同ロータリーキルンのレトルトの透過分解斜視図である。
【図11】同ロータリーキルンの左側部分のレトルト交換時における透過前面図である。
【図12】同ロータリーキルンの右側部分のレトルト交換時における透過前面図である。
【図13】同ロータリーキルンの左側部分のスクリューフィーダー交換時における透過前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明する。
【0020】
<ロータリーキルンの構成>
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。以下の図においては、左側が供給側(上流側)、右側が排出側(下流側)に、それぞれ相当する。また、説明の便宜上、図10以外の図においては、レトルト5の三枚のフィン56を省略して示す。図1に、本実施形態のロータリーキルンの斜視図を示す。図2に、同ロータリーキルンの透過前面図を示す。
【0021】
図1、図2に示すように、本実施形態のロータリーキルン1は、供給部品台車2と、供給側支持台車3と、排出側支持台車4と、レトルト5と、排出シュート6と、供給側連結筒部7と、加熱部8と、架台90と、駆動部91と、を備えている。排出シュート6は、本発明の排出部に含まれる。
【0022】
[架台90]
架台90は板状を呈している。架台90は、工場の敷地に敷設されている。架台90は、供給側線路部900と、排出側線路部901と、製品抜出孔902と、を備えている。図2に示すように、製品抜出孔902は、架台90に穿設されている。供給側線路部900は、一対のレール900aを備えている。レール900aは、鋼製であって左右方向に延在している。レール900aの左右方向両端には、各々、ストッパ900bが配置されている。排出側線路部901は、一対のレール901aを備えている。レール901aは、鋼製であって左右方向に延在している。レール901aの左右方向両端には、各々、ストッパ901bが配置されている。
【0023】
[駆動部91]
図1に示すように、駆動部91は、モータ910と、シャフト911と、供給側駆動スプロケット912と、排出側駆動スプロケット913と、を備えている。モータ910は、架台90の上面に配置されている。シャフト911は、モータ910の回転軸に連結されている。供給側駆動スプロケット912は、シャフト911の左端に固定されている。排出側駆動スプロケット913は、シャフト911の右端に固定されている。
【0024】
[供給部品台車2]
図3に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分の分解斜視図を示す。図4に、同部分の左右方向断面図を示す。図3、図4に示すように、供給部品台車2は、下段部20と、四つの車輪21と、四本の連結ピラー22と、中段部23と、四本の連結ロッド24と、上段部25と、一対の軸受部26と、スクリューフィーダー27と、シール部28と、供給ホッパー29と、を備えている。シール部28は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0025】
下段部20は、鋼製であって長方形板状を呈している。下段部20の右端には、連結板200が配置されている。四つの車輪21は、下段部20の四隅付近に配置されている。四つの車輪21は、一対のレール900a上を、左右方向に転動可能である。つまり、供給部品台車2は、一対のレール900aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0026】
中段部23は、鋼製であって長方形板状を呈している。中段部23は、下段部20の上方に配置されている。四本の連結ピラー22は、各々、角柱状を呈している。四本の連結ピラー22は、下段部20と中段部23との間に介装されている。
【0027】
上段部25は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部25は、中段部23の上方に配置されている。四本の連結ロッド24は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド24は、中段部23と上段部25との間に介装されている。
【0028】
一対の軸受部26は、上段部25の上面に配置されている。一対の軸受部26は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。供給ホッパー29は、鋼製であって、下方に向かって尖る円錐状を呈している。供給ホッパー29は、上段部25の上面に配置されている。供給ホッパー29は、一対の軸受部26の右側に配置されている。供給ホッパー29には、被処理物Aが貯留されている。
【0029】
スクリューフィーダー27は、スクリュー収容筒部270と、スクリュー271と、を備えている。スクリュー収容筒部270は、鋼製であって円筒状を呈している。スクリュー収容筒部270は、供給ホッパー29の下端から右側に突設されている。スクリュー271は、スクリュー収容筒部270に収容されている。スクリュー271は、モータ(図略)の駆動力により、軸回りに回転する。スクリュー271の軸部271aは、供給ホッパー29の左壁を貫通している。軸部271aの貫通端は、一対の軸受部26により、軸回りに回転可能に支持されている。
【0030】
シール部28は、供給ホッパー29の左壁と、スクリュー271の軸部271aと、の間に介装されている。シール部28は、軸部271aの回動を許容しつつ、供給ホッパー29の左壁と軸部271aとの間の隙間を封止している。シール部28の構成は、後述する供給側支持台車3のシール部35の構成(図5参照)と同様である。シール部28からは、矢印Y1で示すように、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、本発明の非酸化性ガスに含まれる。窒素ガスは、供給ホッパー29内部、スクリュー収容筒部270内部に拡散する。
【0031】
[供給側支持台車3]
供給側支持台車3は、下段部30と、四つの車輪31と、上段部32と、四本の連結ロッド33と、一対の軸受部34と、シール部35と、連結板36と、供給側回転軸37と、供給側ホルダ38と、供給側ギア390と、供給側ピニオン391と、供給側スプロケット392と、を備えている。シール部35は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0032】
下段部30は、鋼製であって長方形板状を呈している。下段部30の左端には、連結板300が配置されている。連結板300は、連結板200と、ボルト−ナット機構を介して連結可能である。すなわち、供給側支持台車3と供給部品台車2とは、連結可能である。四つの車輪31は、下段部30の四隅付近に配置されている。四つの車輪31は、一対のレール900a上を、左右方向に転動可能である。つまり、供給側支持台車3は、一対のレール900aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0033】
上段部32は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部32は、下段部30の上方に配置されている。四本の連結ロッド33は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド33は、下段部30と上段部32との間に介装されている。
【0034】
一対の軸受部34は、上段部32の上面に配置されている。一対の軸受部34は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。連結板36は、鋼製であって長方形板状を呈している。連結板36は、上段部32の右端に配置されている。連結板36には、供給側回転軸挿入孔360が穿設されている。供給側回転軸37は、鋼製であって円筒状を呈している。供給側回転軸37は、一対の軸受部34により、軸回りに回転可能に支持されている。供給側回転軸37の右端は、供給側回転軸挿入孔360に挿入されている。
【0035】
図5に、図4の円V内の拡大図を示す。図5に示すように、シール部35は、供給側回転軸37と、供給側回転軸挿入孔360と、の間に介装されている。シール部35は、内環部350と、外環部351と、ガス配管352と、を備えている。外環部351は、SUS304製であって左方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。外環部351の右方底壁には、供給側回転軸37が挿通されている。外環部351の側周壁は、供給側回転軸挿入孔360の内周面に固定されている。内環部350は、SUS304製であってリング状を呈している。内環部350は、外環部351の左方開口を封止している。内環部350は、外環部351に固定されている。ガス配管352は、外環部351の側周壁を貫通している。ガス配管352からは、矢印Y2で示すように、外環部351の径方向内側に、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、矢印Y3で示すように、後述する供給側連結筒部7内部に拡散する。
【0036】
図3、図4に戻って、供給側ホルダ38は、鋼製であって右方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。供給側ホルダ38は、連結板36の右側に配置されている。供給側回転軸37は、供給側ホルダ38の径方向内側を貫通している。供給側ホルダ38は、供給側回転軸37の右端外周面に固定されている。
【0037】
供給側ギア390は、鋼製であって円板状を呈している。供給側ギア390は、供給側回転軸37の外周面に固定されている。供給側ギア390は、一対の軸受部34の間に配置されている。供給側ピニオン391は、鋼製であって円板状を呈している。供給側ピニオン391は、供給側ギア390と噛合している。供給側スプロケット392は、鋼製であって円板状を呈している。供給側スプロケット392と供給側ピニオン391とは、同一のシャフトに固定されている。図1に一点鎖線で示すように、供給側スプロケット392と供給側駆動スプロケット912との間には、チェーン914が巻き架けられている。
【0038】
[排出側支持台車4]
図6に、本実施形態のロータリーキルンの右側部分の分解斜視図を示す。図7に、同部分の左右方向断面図を示す。図6、図7に示すように、排出側支持台車4は、下段部40と、四つの車輪41と、上段部42と、四本の連結ロッド43と、一対の軸受部44と、シール部45と、連結板46と、排出側回転軸47と、排出側ホルダ48と、排出側ギア490と、排出側ピニオン491と、排出側スプロケット492と、冷却管493と、を備えている。シール部45は、本発明のガス供給部に含まれる。
【0039】
下段部40は、鋼製であって長方形板状を呈している。四つの車輪41は、下段部40の四隅付近に配置されている。四つの車輪41は、一対のレール901a上を、左右方向に転動可能である。つまり、排出側支持台車4は、一対のレール901aに沿って、左右方向に移動可能である。
【0040】
上段部42は、鋼製であって長方形板状を呈している。上段部42は、下段部40の上方に配置されている。四本の連結ロッド43は、各々、丸棒状を呈している。四本の連結ロッド43は、下段部40と上段部42との間に介装されている。
【0041】
一対の軸受部44は、上段部42の上面に配置されている。一対の軸受部44は、所定間隔だけ離間して、左右方向に並んでいる。連結板46は、鋼製であって長方形板状を呈している。連結板46は、上段部42の左端に配置されている。連結板46には、排出側回転軸挿入孔460が穿設されている。排出側回転軸47は、鋼製であって円筒状を呈している。排出側回転軸47は、一対の軸受部44により、軸回りに回転可能に支持されている。排出側回転軸47の左端は、排出側回転軸挿入孔460に挿入されている。
【0042】
シール部45は、排出側回転軸47と、排出側回転軸挿入孔460と、の間に介装されている。シール部45の構成は、前述した供給側支持台車3のシール部35の構成(図5参照)と同様である。シール部45からは、矢印Y4で示すように、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、後述する排出シュート6内部に拡散する。
【0043】
排出側ホルダ48は、鋼製であって左方に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。排出側ホルダ48は、連結板46の左側に配置されている。排出側ホルダ48は、排出側回転軸47の左端に固定されている。
【0044】
排出側ギア490は、鋼製であって円板状を呈している。排出側ギア490は、排出側回転軸47の外周面に固定されている。排出側ギア490は、一対の軸受部44の間に配置されている。排出側ピニオン491は、鋼製であって円板状を呈している。排出側ピニオン491は、排出側ギア490と噛合している。排出側ギア490の肉厚T1は、排出側ピニオン491の肉厚T2よりも、大きい。このため、排出側ピニオン491に対して、排出側ギア490が左右方向にずれても、排出側ピニオン491と排出側ギア490とは噛合可能である。排出側スプロケット492は、鋼製であって円板状を呈している。排出側スプロケット492と排出側ピニオン491とは、同一のシャフトに固定されている。図1に一点鎖線で示すように、排出側スプロケット492と排出側駆動スプロケット913との間には、チェーン915が巻き架けられている。
【0045】
図8に、図7の円VIII内の拡大図を示す。なお、冷却管493は断面で示す。図8に示すように、冷却管493は、左端が封止された二重円筒状を呈している。すなわち、冷却管493は、内筒部493aと外筒部493bとを備えている。冷却水Wは、図7に矢印Y5で示すように、給水管494から内筒部493aに供給される。冷却水Wは、内筒部493aの径方向内側を左側に進行し、冷却管493の左端で折り返す。折り返した冷却水Wは、内筒部493aから外筒部493bに流れ込む。流れ込んだ冷却水Wは、外筒部493bと内筒部493aとの間の隙間を右側に進行し、図7に矢印Y6で示すように、排水管495から外部に排出される。冷却水Wにより、排出側回転軸47、一対の軸受部44、排出側ギア490、シール部45などを冷却することができる。
【0046】
[加熱部8]
図9に、本実施形態のロータリーキルンの中央部分の斜視図を示す。なお、図9に示すのは開状態である。図9に示すように、加熱部8は、下分割部80Dと、上分割部80Uと、を備えている。
【0047】
下分割部80Dは、外殻800Dと、断熱材801Dと、を備えている。外殻800Dは、鋼製であって、上方に開口する直方体箱状を呈している。外殻800Dは、一対の支持ブロック81を介して、架台90の上面に固定されている。断熱材801Dは、セラミックファイバーまたは断熱煉瓦製であって、外殻800Dの内面に、所定の厚さで固定されている。
【0048】
上分割部80Uは、外殻800Uと、断熱材801Uと、を備えている。上分割部80Uの構成は、下分割部80Dの構成と、同様である。上分割部80Uと下分割部80Dとは、ヒンジ部(図略)を介して、連結されている。上分割部80Uは、下分割部80Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部80Uは、下分割部80Dの後方に並置されている。一方、図4、図7に示すように、閉状態においては、上分割部80Uは、下分割部80Dの上方に伏置されている。閉状態においては、断熱材801D、801Uに囲まれて、加熱室82が区画されている。加熱室82には、ヒータ(図略)が配置されている。また、図4、図9に示すように、閉状態において、加熱部8左側外部と加熱室82との間には、供給側レトルト挿入孔83が形成されている。並びに、図7、図9に示すように、加熱部8右側外部と加熱室82との間には、排出側レトルト挿入孔84が形成されている。
【0049】
[レトルト5]
レトルト5は、カーボン製であって、円筒状を呈している。カーボンは、本発明の炭素材料に含まれる。レトルト5は、加熱部8を左右方向に貫通している。すなわち、レトルト5の左端は、供給側レトルト挿入孔83から外部に突出している。また、レトルト5の右端は、排出側レトルト挿入孔84から外部に突出している。レトルト5の胴部は、加熱室82に収容されている。レトルト5は、左から右に向かって下降するように、若干傾斜している。
【0050】
図10に、本実施形態のロータリーキルンのレトルトの透過分解斜視図を示す。図10に示すように、レトルト5は、供給側隔壁50と、排出側隔壁51と、熱処理室52と、三つの排出孔53と、五枚の供給側断熱板54と、九枚の排出側断熱板55と、三枚のフィン56と、を備えている。
【0051】
供給側隔壁50は、円板状を呈している。供給側隔壁50は、レトルト5の左端付近に配置されている。供給側隔壁50には、供給側回転軸挿入孔500が穿設されている。排出側隔壁51は、円板状を呈している。排出側隔壁51は、レトルト5の左端付近に配置されている。
【0052】
熱処理室52は、供給側隔壁50と排出側隔壁51との間に区画されている。図4、図7に示すように、熱処理室52は、加熱室82の径方向内側に配置されている。図10に戻って、排出孔53は、排出側隔壁51の左側に配置されている。排出孔53は、熱処理室52に連通している。三つの排出孔53は、レトルト5の周方向に120°ずつ離間して、配置されている。
【0053】
供給側断熱板54は、セラミックファイバーまたはセラミックボード製であって、円板状を呈している。供給側断熱板54には、供給側回転軸挿入孔540が穿設されている。五枚の供給側断熱板54は、積層された状態で、供給側隔壁50の左側に、配置されている。排出側断熱板55は、セラミックファイバーまたはセラミックボード製であって、円板状を呈している。九枚の排出側断熱板55は、積層された状態で、排出側隔壁51の右側に、配置されている。
【0054】
フィン56は、リブ状を呈している。フィン56は、レトルト5の内周面に配置されている。フィン56は、供給側隔壁50と三つの排出孔53との間に配置されている。三枚のフィン56は、レトルト5の周方向に120°ずつ離間して、配置されている。
【0055】
図4に示すように、レトルト5の左端は、供給側ホルダ38に収容されている。レトルト5と供給側ホルダ38とは、ボルトにより固定されている。レトルト5の供給側回転軸挿入孔540、500には、左側から供給側回転軸37が貫通している。供給側回転軸37の貫通端開口は、熱処理室52に連通している。
【0056】
図7に示すように、レトルト5の右端は、排出側ホルダ48に収容されている。レトルト5と排出側ホルダ48とは、固定されていない。このため、レトルト5は、排出側ホルダ48に対して、左右方向、周方向に移動可能である。
【0057】
[供給側連結筒部7]
図9に示すように、供給側連結筒部7は、下分割部70Dと、上分割部70Uと、を備えている。下分割部70Dは、鋼製であって上方に開口する半角筒状を呈している。下分割部70Dは、加熱部8の下分割部80Dの左端に配置されている。下分割部70Dの左端には、フランジ分割部700Dが配置されている。
【0058】
上分割部70Uは、鋼製であって、開状態において、上方に開口する半角筒状を呈している。上分割部70Uは、加熱部8の上分割部80Uの左端に配置されている。上分割部70Uの左端には、フランジ分割部700Uが配置されている。開状態における、上分割部70Uの下壁からは、ガス配管701Uが突設されている。ガス配管701Uは、本発明のガス供給部に含まれる。
【0059】
上分割部70Uは、下分割部70Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部70Uは、下分割部70Dの後方に並置されている。一方、図4に示すように、閉状態においては、上分割部70Uは、下分割部70Dの上方に伏置されている。閉状態においては、フランジ分割部700D、700Uが合体することにより、供給側ホルダ挿入孔71が形成される。フランジ分割部700D、700Uは、供給側支持台車3の連結板36に、ボルト−ナット機構を介して連結されている。閉状態においては、供給側連結筒部7の内部に、レトルト5の左端が収容されている。また、ガス配管701Uからは、矢印Y7で示すように、供給側連結筒部7の内側に、窒素ガスが供給される。窒素ガスは、供給側レトルト挿入孔83を介して、加熱室82内部に拡散する。
【0060】
[排出シュート6]
図9に示すように、排出シュート6は、下分割部60Dと、上分割部60Uと、を備えている。下分割部60Dは、鋼製であって下方に尖る角錐状を呈している。下分割部60Dは、加熱部8の下分割部80Dの右端に配置されている。下分割部60Dの右端には、フランジ分割部600Dが配置されている。図7に示すように、下分割部60Dの下端は、製品抜出孔902に収容されている。下分割部60Dのテーパ部分の内面には、カーボン製の保護板601Dが配置されている。下分割部60Dのテーパ部分は、本発明の材料接触部に含まれる。
【0061】
図9に戻って、上分割部60Uは、鋼製であって、開状態において、上方に開口する半角筒状を呈している。上分割部60Uは、加熱部8の上分割部80Uの右端に配置されている。上分割部60Uの右端には、フランジ分割部600Uが配置されている。
【0062】
上分割部60Uは、下分割部60Dに対して、開閉可能である。図9に示すように、開状態においては、上分割部60Uは、下分割部60Dの後方に並置されている。一方、図7に示すように、閉状態においては、上分割部60Uは、下分割部60Dの上方に伏置されている。閉状態においては、フランジ分割部600D、600Uが合体することにより、排出側ホルダ挿入孔61が形成される。フランジ分割部600D、600Uは、排出側支持台車4の連結板46に、ボルト−ナット機構を介して連結されている。閉状態においては、排出シュート6の内部に、レトルト5の右端が収容されている。
【0063】
<電池材料製造時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンの電池材料製造時の動きについて説明する。まず、図1に示すように、モータ910を駆動する。モータ910の駆動力は、シャフト911→供給側駆動スプロケット912→チェーン914→供給側スプロケット392→供給側ピニオン391を介して、供給側ギア390に伝達される。並びに、モータ910の駆動力は、シャフト911→排出側駆動スプロケット913→チェーン915→排出側スプロケット492→排出側ピニオン491を介して、排出側ギア490に伝達される。図2に示すように、供給側ギア390は、供給側回転軸37に固定されている。また、供給側回転軸37には、供給側ホルダ38が固定されている。また、供給側ホルダ38には、レトルト5の左端が収容されている。このため、供給側ギア390が回転すると、レトルト5が回転する。また、図2に示すように、排出側ギア490は、排出側回転軸47に固定されている。また、排出側回転軸47には、排出側ホルダ48が固定されている。このため、排出側ギア490が回転すると、排出側ホルダ48が回転する。このように、供給側ギア390によりレトルト5を、排出側ギア490により排出側ホルダ48を、それぞれ軸回りに回転させる。
【0064】
次いで、図4に示すように、スクリューフィーダー27を駆動する。そして、被処理物Aを、供給ホッパー29から熱処理室52まで搬送する。続いて、図10に示すように、回転するレトルト5の内部において、三枚のフィン56で撹拌しながら、被処理物Aを右側に移動させる。熱処理室52は、加熱室82により、所定の温度パターンで加熱されている。このため、熱処理室52を通過させることにより、被処理物Aに所定の熱処理を施すことができる。
【0065】
それから、図7に示すように、熱処理後の電池材料Bを、回転するレトルト5の排出孔53から払い出す。払い出された電池材料Bは、排出シュート6内部を、保護板601Dに衝突しながら滑り落ちる。滑り落ちた電池材料Bは、排出シュート6下方に配置された製品収容部(図略)に収容される。このようにして、被処理物Aに熱処理を施すことにより、電池材料Bを製造する。
【0066】
なお、図4に示すように、電池材料Bを製造する際、シール部28(矢印Y1)から、レトルト5の径方向内側に、窒素ガスが供給される。また、シール部35(矢印Y2)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。また、ガス配管701U(矢印Y7)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。また、図7に示すように、シール部45(矢印Y4)から、レトルト5の径方向外側に、窒素ガスが供給される。このように、電池材料B製造時においては、レトルト5の径方向内側および径方向外側に、窒素ガスが供給されている。また、図8に示すように、電池材料Bを製造する際、排出側回転軸47は、冷却管493により冷却されている。
【0067】
<レトルト交換時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンのレトルト交換時の動きについて説明する。図11に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分のレトルト交換時における透過前面図を示す。図12に、本実施形態のロータリーキルンの右側部分のレトルト交換時における透過前面図を示す。
【0068】
まず、図4に示すように、ボルトからナットを外すことにより、供給側支持台車3の連結板36と、フランジ分割部700U、700Dと、の連結を解除する。また、図7に示すように、ボルトからナットを外すことにより、排出側支持台車4の連結板46と、フランジ分割部600U、600Dと、の連結を解除する。また、図11に示すように、ボルトを外すことにより、レトルト5の左端と供給側ホルダ38との連結を解除する。
【0069】
次いで、一対のレール900aに沿って、供給部品台車2と供給側支持台車3とを、左側に移動させる。そして、供給側回転軸37および供給側ホルダ38を、供給側連結筒部7から抜き出す。並びに、一対のレール901aに沿って、排出側支持台車4を右側に移動させる。そして、排出側回転軸47および排出側ホルダ48を、排出シュート6から抜き出す。
【0070】
続いて、図9に示すように、供給側連結筒部7、加熱部8、排出シュート6を、閉状態から開状態に切り替える。開状態に切り替えることにより、レトルト5が露出する。それから、ジャッキやウインチやクレーンなどにより、レトルト5を撤去する。
【0071】
その後、新しいレトルト5を加熱部8に装着し、供給側連結筒部7、加熱部8、排出シュート6を、開状態から閉状態に切り替え、供給部品台車2、供給側支持台車3、排出側支持台車4を復動させる。そして、各ボルト、ナットを締結する。このようにして、レトルト5の交換を行う。
【0072】
<スクリューフィーダー交換時の動き>
次に、本実施形態のロータリーキルンのスクリューフィーダー交換時の動きについて説明する。図13に、本実施形態のロータリーキルンの左側部分のスクリューフィーダー交換時における透過前面図を示す。
【0073】
まず、図4に示すように、ボルトからナットを外すことにより、供給部品台車2の連結板200と、供給側支持台車3の連結板300と、の連結を解除する。次いで、一対のレール900aに沿って、供給部品台車2を左側に移動させる。そして、スクリューフィーダー27を、供給側回転軸37から抜き出す。続いて、スクリューフィーダー27を撤去する。その後、新しいスクリューフィーダー27を供給部品台車2に装着し、供給部品台車2を復動させる。そして、ボルト、ナットを締結する。このようにして、スクリューフィーダー27の交換を行う。
【0074】
<作用効果>
次に、本実施形態のロータリーキルンの作用効果について説明する。本実施形態のロータリーキルン1のレトルト5は、カーボン製である。このため、電池材料Bに悪影響を及ぼす金属粉が、電池材料Bに混入するのを抑制することができる。したがって、電池材料Bの性能が低下するのを抑制することができる。また、カーボン製のレトルト5は、加工性に優れている。このため、図10に示すように、供給側隔壁50、排出側隔壁51、排出孔53、フィン56などの部材を、簡単にレトルト5に配置することができる。これらの部材は、カーボンブロックを削りだしたり、あるいはボルトなどで後付けすることにより、レトルト5に配置することができる。また、カーボン製のレトルト5は、耐熱衝撃性に優れている。
【0075】
また、レトルト5の径方向内側には、熱処理室52が配置されている。このため、熱処理に伴い、レトルト5の温度は上昇する。レトルト5の温度が上昇すると、カーボン製のレトルト5が酸化するおそれがある。
【0076】
この点、本実施形態のロータリーキルン1によると、図4のシール部28(矢印Y1)、図5のシール部35(矢印Y2)、図4のガス配管701U(矢印Y7)、図7のシール部45(矢印Y4)から、各々、窒素ガスが供給される。このため、レトルト5の内周面および外周面が酸化するのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図7に示すように、排出シュート6にカーボン製の保護板601Dが配置されている。このため、鋼製の下分割部60Dから電池材料Bに、金属粉が混入するのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、加熱部8の熱などで、レトルト5の軸方向(左右方向)全長が伸縮する場合であっても、対応することができる。すなわち、図5にシール部35を援用して示すように、シール部45の内環部350と外環部351とは、軸方向に摺動代を確保している。また、図7に示すように、一対の軸受部44はドライメタルタイプの軸受部であり、排出側回転軸47を軸方向に摺動可能に支持している。また、図6に示すように、排出側ギア490の肉厚T1は、排出側ピニオン491の肉厚T2よりも、大きく設定されている。このため、排出側ピニオン491に対して、排出側ギア490が左右方向にずれても、排出側ピニオン491と排出側ギア490とは噛合可能である。このように、本実施形態のロータリーキルン1は、レトルト5の軸方向全長の伸縮に対応することができる。
【0079】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図1に示すように、単一のモータ910により、供給側ギア390、排出側ギア490が駆動されている。このため、供給側ギア390の回転速度と排出側ギア490の回転速度とが一致しやすい。したがって、排出側ホルダ48とレトルト5とが相対的に摺動しにくい。言い換えると、レトルト5が摩耗しにくい。
【0080】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図4に示すように、供給側ホルダ38はレトルト5にボルト締結されている。一方、図7に示すように、排出側ホルダ48はレトルト5に固定されていない。このため、仮に供給側ギア390の回転速度と排出側ギア490の回転速度とが異なる場合であっても、レトルト5に捻り力が加わりにくい。
【0081】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト5ではなく、供給側回転軸37および排出側回転軸47が、回転駆動されている。このため、レトルト5に直接ギアを配置する必要がない。したがって、レトルト5の加工が容易である。また、レトルト5の径に応じて供給側ホルダ38の径、排出側ホルダ48の径を変更することにより、あらゆる径のレトルト5を装着することができる。このため、レトルト5の径に対する汎用性が高い。
【0082】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト5の点検、交換が容易である。すなわち、図11に示すように供給部品台車2および供給側支持台車3を移動させ、図12に示すように排出側支持台車4を移動させ、図9に示すように、供給側連結筒部7と加熱部8と排出シュート6とを閉状態から開状態に切り替えるだけで、簡単にレトルト5の点検、交換を行うことができる。
【0083】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、スクリューフィーダー27の点検、交換が容易である。すなわち、図13に示すように供給部品台車2を移動させるだけで、簡単にスクリューフィーダー27の点検、交換を行うことができる。
【0084】
また、レトルト5が金属製の外層とカーボン製の内層とを有する二層筒状である場合、一般的に、内層は外層にボルトなどにより止着されている。ここで、内層と外層との間には、微小な隙間、つまり空気層が介在しやすい。このため、外層から内層に熱が伝わりにくい。これに対して、本実施形態のロータリーキルン1のレトルト5は、カーボンからなる一体物である。このため、外面から内面に熱が伝わりやすい。このように、レトルト5は、熱伝導性に優れている。
【0085】
<その他>
以上、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0086】
例えば、ロータリーキルン1のタイプは特に限定しない。供給側の部材や排出側の部材が不動のロータリーキルンに、本発明を用いてもよい。また、非酸化性ガスの種類は特に限定しない。不活性ガス(ヘリウム、アルゴンなど)、還元性ガス(一酸化炭素ガスなど)を用いてもよい。また、レトルト5は、カーボンブロックに切削加工を施して作製してもよい。また、レトルト5は、カーボン織布を巻回することにより作製してもよい。また、レトルト5は、押出成形、CIP(Cold Isostatic Press)成形などの成形方法により作製してもよい。
【0087】
また、被処理物Aとしては、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池の正極材であるLiFePO4や、負極材であるカーボン粉末などを用いることができる。この場合、レトルト5のカーボンが正極材に混入しても、金属粉が混入する場合と比較して、正極材に与える影響は小さくなる。また、レトルト5のカーボンが負極材に混入しても、負極材自体がカーボンであるため、負極材に与える影響は小さくなる。
【符号の説明】
【0088】
1:ロータリーキルン、2:供給部品台車、3:供給側支持台車、4:排出側支持台車、5:レトルト、6:排出シュート(排出部)、7:供給側連結筒部、8:加熱部。
20:下段部、21:車輪、22:連結ピラー、23:中段部、24:連結ロッド、25:上段部、26:軸受部、27:スクリューフィーダー、28:シール部(ガス供給部)、29:供給ホッパー、30:下段部、31:車輪、32:上段部、33:連結ロッド、34:軸受部、35:シール部(ガス供給部)、36:連結板、37:供給側回転軸、38:供給側ホルダ、40:下段部、41:車輪、42:上段部、43:連結ロッド、44:軸受部、45:シール部(ガス供給部)、46:連結板、47:排出側回転軸、48:排出側ホルダ、50:供給側隔壁、51:排出側隔壁、52:熱処理室、53:排出孔、54:供給側断熱板、55:排出側断熱板、56:フィン、60D:下分割部、60U:上分割部、61:排出側ホルダ挿入孔、70D:下分割部、70U:上分割部、71:供給側ホルダ挿入孔、80D:下分割部、80U:上分割部、81:支持ブロック、82:加熱室、83:供給側レトルト挿入孔、84:排出側レトルト挿入孔、90:架台、91:駆動部。
200:連結板、270:スクリュー収容筒部、271:スクリュー、271a:軸部、300:連結板、350:内環部、351:外環部、352:ガス配管、360:供給側回転軸挿入孔、390:供給側ギア、391:供給側ピニオン、392:供給側スプロケット、460:排出側回転軸挿入孔、490:排出側ギア、491:排出側ピニオン、492:排出側スプロケット、493:冷却管、493a:内筒部、493b:外筒部、494:給水管、495:排水管、500:供給側回転軸挿入孔、540:供給側回転軸挿入孔、600D:フランジ分割部、600U:フランジ分割部、601D:保護板、700D:フランジ分割部、700U:フランジ分割部、701U:ガス配管(ガス供給部)、800D:外殻、800U:外殻、801D:断熱材、801U:断熱材、900:供給側線路部、900a:レール、900b:ストッパ、901:排出側線路部、901a:レール、901b:ストッパ、902:製品抜出孔、910:モータ、911:シャフト、912:供給側駆動スプロケット、913:排出側駆動スプロケット、914:チェーン、915:チェーン。
A:被処理物、B:電池材料、T1:肉厚、T2:肉厚、W:冷却水、Y1〜Y7:矢印。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸回りに回転し径方向内側に熱処理室を持つ筒状のレトルトを有し、該熱処理室で被処理物に熱処理を施すことにより電池材料を製造するロータリーキルンであって、
前記レトルトは、炭素材料製であることを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
さらに、前記レトルトの径方向内側および径方向外側に非酸化性ガスを供給するガス供給部を有する請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
さらに、前記レトルトから前記電池材料を排出する排出部を有し、
該排出部のうち該電池材料が接触する材料接触部は、炭素材料製である請求項1または請求項2に記載のロータリーキルン。
【請求項1】
軸回りに回転し径方向内側に熱処理室を持つ筒状のレトルトを有し、該熱処理室で被処理物に熱処理を施すことにより電池材料を製造するロータリーキルンであって、
前記レトルトは、炭素材料製であることを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
さらに、前記レトルトの径方向内側および径方向外側に非酸化性ガスを供給するガス供給部を有する請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
さらに、前記レトルトから前記電池材料を排出する排出部を有し、
該排出部のうち該電池材料が接触する材料接触部は、炭素材料製である請求項1または請求項2に記載のロータリーキルン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−58785(P2011−58785A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212466(P2009−212466)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
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