説明

ロータ軸挿脱装置

【課題】 缶胴に対して傷付けることなくロータ軸を容易に出し入れでき、缶胴及びロータ軸の径が異なっても径の大きさに拘わることなく容易に出し入れできる。
【解決手段】 ロータ軸3にそれぞれ着脱可能に取り付けられた上下方向ガイド機構及び横方向ガイド機構10Bを備える。上下方向ガイド機構は、ロータ軸3に着脱可能に取り付けられた第1支持体11と、該第1支持体11の底部に取り付けられ、缶胴2の内壁2aの底部を走行ローラ25が走行する台車18とを有している。横方向ガイド機構10Bは、ロータ軸3の縮径部3bに着脱可能に取り付けられた第2支持体31と、第2支持体31に径方向に沿い張り出すアーム35と、該アーム35の先端部に径方向に移動可能に取り付けられ、回転自在とされた案内ローラ40とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロータ軸挿脱装置に係り、特に、ロータ軸を、これを回転自在に支持する缶胴に対して出し入れするのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、乾燥装置等にあっては、缶胴の内部でロータ軸の回転によって羽根を回転させつつ、その羽根を加熱させておき、缶胴の内部に処理物が供給されると、その処理物を乾燥させながら軸方向に送り出すことで処理物を乾燥させる技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような従来の乾燥装置は、缶胴の内部及びロータ軸及び羽根等に乾燥物が付着等することにより汚染されたりするので、メンテナンスが必要であり、そのため、ロータ軸を缶胴から取出しメンテナンスした後、ロータ軸を入れることで再組み込むようになっている。
ところが、乾燥装置は、作業者が手で持ち運ぶことができない大型のものであり、クレーン等で吊り上げながらロータ軸を取り出している。即ち、従来の乾燥装置は、ロータ軸を取り出すとき、ロータ軸を外部から吊り上げた状態にしておいた後、缶胴の軸方向に両側に取り付けられている側壁部を取り外し、次いで、そのロータ軸をそのまま吊り上げた状態を保ちつつ、該ロータ軸を外部に引き出すことで、缶胴からロータ軸を取り出すようにしている。
【0004】
その場合、ロータ軸には複数の羽根が設けられているため、羽根の外周部が缶胴の内壁に接触して缶胴を破損させるおそれがあることから、その接触を回避するため、羽根の外周部と缶胴の内壁との間に傷防止板を多数敷いて置き、缶胴の内部において、羽根が傷防止板と共に軸方向にずらすことでロータ軸を引き出している。また、ロータ軸の組み込み時においても、多くの傷防止板を用いて、ロータ軸の取り付けを行っている。
【特許文献1】特開2003−301930号公報(第1−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の乾燥装置は、缶胴からロータ軸の取出し時のみならず、組み込み時にも傷防止板を用意し、缶胴内に設けられた傷防止板と共にロータ軸を軸方向に少しずつずらすことでロータ軸を移動させるので、多くの労力及び時間がかかり、しかも傷防止板をいちいち設けなければならないので、作業が煩雑になるばかりでなく、危険を伴うという問題もあった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、缶胴に対して傷付けることなくロータ軸を容易に出し入れすることができ、また缶胴及びロータ軸の径が異なっても、その径の大きさに拘わることなく容易に出し入れすることもできる、汎用性の高いロータ軸挿脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、缶胴に対し、その内部に回転自在に支持されたロータ軸を、前記缶胴の軸方向に沿い移動させて挿脱するロータ軸挿脱装置であって、前記缶胴内で、前記ロータ軸を上下方向に案内しながら前記缶胴の軸方向に移動させる上下方向ガイド機構と、前記缶胴内で、前記ロータ軸を前記上下方向ガイド機構による上下方向と交差する方向に案内しながら前記缶胴の軸方向に移動させる横方向ガイド機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、上下方向ガイド機構が缶胴内で、ロータ軸の上下方向を支持しながら缶胴の軸方向に走行すると共に、横方向ガイド機構が缶胴内で、ロータ軸を上下方向ガイド機構と交差する方向を支持しながら缶胴の軸方向に走行するので、缶胴内において、ロータ軸の軸線と缶胴の軸線とが略一致した状態でロータ軸を直進移動させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のロータ軸挿脱装置において、前記上下方向ガイド機構は、前記ロータ軸に着脱可能に取り付けられる第1支持体と、該第1支持体の底部に前記ロータ軸の径方向に沿って取り付けられ、前記缶胴の内壁の底部を走行ローラが軸方向に沿い走行する台車とを有し、前記横方向ガイド機構は、前記ロータ軸に着脱可能に取り付けられる第2支持体と、該第2支持体の外周部に、前記上下方向ガイド機構の前記台車と交差方向に張り出すアームと、該アームの先端に回転自在に軸支される横行ローラとを有することを特徴とする。
【0010】
これにより、上下方向ガイド機構が、缶胴内でロータ軸の上下方向を支持しながら走行することができ、また横方向ガイド機構が、缶胴内でロータ軸の左右方向を支持しながら走行することができるので、缶胴内におけるロータ軸の走行を的確に行える。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のロータ挿脱装置において、前記上下方向ガイド機構の前記台車は、前記第1支持体に対して前記缶胴の径方向に移動可能に取り付けられ、前記横方向ガイド機構の前記横行ローラは、前記アームに対して前記缶胴の径方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
これにより、缶胴及びロータ軸の径が異なっても、走行ローラ及び横行ローラの位置をそれぞれに応じて調整することができ、缶胴及びロータ軸の径の大きさにかかわることなくロータ軸挿脱装置を取り付けることができ、かつロータ軸の出し入れを良好に行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載のロータ軸挿脱装置において、前記走行ローラ及び横行ローラの外周面は、ぞれぞれのローラの回転軸を通る断面が一定の曲率をもつ円弧状をなしていることを特徴とする。
【0014】
これにより、缶胴の径の大きさにかかわらず、走行ローラ及び横行ローラが缶胴の内壁上をスムースに転動することができ、ロータ軸の移動を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、缶胴に何等傷を付けることなくロータ軸の出し入れを行うことができるように構成したので、缶胴内に傷防止板をその都度設けることが不要になるばかりでなく、作業に要する労力及び時間を大幅に削減することができ、ロータ軸の出し入れを短時間で簡単に、しかも安全に行うことができる効果が得られる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、上下方向ガイド機構が、缶胴内でロータ軸の上下方向を支持した状態で走行させることができ、また横方向ガイド機構が、缶胴内でロータ軸の左右方向を支持した状態で走行するので、缶胴内におけるロータ軸の走行を的確に行えるという効果が得られる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、缶胴及びロータ軸の径が異なっても、走行ローラ及び横行ローラの位置をそれぞれに応じて調整でき、缶胴及びロータ軸の径の大きさにかかわることなくロータ軸の出し入れを良好に行うことができる結果、汎用性をもつことができる効果が得られる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、走行ローラ及び横行ローラの外周面は、共に、回転軸を含む断面が一定の曲率を持つ円弧状に形成されているため、缶胴の径の大きさにかかわらず、走行ローラ及び横行ローラが缶胴の内周面にならい缶胴の内壁上をスムースに転動することができるため、ロータ軸の移動を円滑に行えるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1〜図7はこの発明の一実施の形態に係るロータ軸挿脱装置を示している。
図1に示す乾燥装置1は、この発明の一実施の形態に係るロータ軸挿脱装置を適用するためのものであり、缶胴2と、その内部に回転自在に支持されたロータ軸3とを有している。
缶胴2は、その内壁2aが一定の径寸法をもつ筒状に形成されており、軸方向一端側の上部には処理物を投入する投入口4が設けられ、その他端側下部には排出口5が設けられている。この缶胴2の軸方向の両側には、缶胴2を塞ぐように側壁部6、6が取り付けられている。処理物としては、例えば、ハム等のような食料材料、又は水分を含んだ粉末体、更には水分を含んだ汚泥等のように種々のものを対象とする。
【0020】
ロータ軸3は、側壁部6内に設けられた軸受によって缶胴2内で支持され、図示しない駆動源によって駆動されることで軸回りに回転する。ロータ軸3の外周には、羽根としての中空状のディスク7が軸方向に複数装着されている。また、図示していないが、ロータ軸3には、一端面(例えば右端面)からスチームが内部に導入され、そのスチームがロータ軸内部を通過して他端面から排出される一方、ロータ軸内部からディスク7に導入されることでディスク7を加熱する。
従って、この乾燥装置1は、ロータ軸3が駆動され、それに伴ってディスク7が回転すると、缶胴2内に供給された処理物がディスク7によって撹拌されつつ乾燥されながら図示しないスクリュー等で次第に排出口5方向へ送り出され、かつ排出口5から排出されるようになっている。
【0021】
このような乾燥装置1においては、メンテナンス等のため、図2に示されるロータ軸挿脱装置10によりロータ軸3が缶胴2に対して出し入れされることがある。
この実施形態のロータ軸挿脱装置10は、大別すると、ロータ軸3にそれぞれ着脱可能に取り付けられた上下方向ガイド機構10A及び横方向ガイド機構10Bを備えて構成されている。
【0022】
上下方向ガイド機構10Aは、ロータ軸3を上下方向に案内しながら缶胴2の軸方向に移動させるためのものであって、図2及び図3に示すように、ロータ軸3に着脱可能に取り付けられた第1支持体11と、該第1支持体11の底部に取り付けられ、缶胴2の内壁2aの底部を走行ローラ25が走行する台車18とを有している。
第1支持体11は、矩形状の板体をなしており、その上面側には、互いに対向するように配置された台座部13が固定されている。
この台座部13のうち互いに対向する面には、ロータ軸3の主径部3aの径にほぼ対応する曲率をもつ円弧状の凹部が形成されている。
【0023】
そして、台座部13上にロータ軸3の主径部3aが載置されたとき、その主径部3aがベルト14によって第1支持体11に取り付けられる。ベルト14は、主径部3aの外周に沿って曲がることができるように構成されており、その一端部が図2に示すように第1支持体11上に鉛直方向に立設されたボルト15の先端部に固定され、他端部がゴム板等からなる緩衝部材29を介して主径部3aの外周部に巻き付けられることで、ボルト16の先端部に固定されている。ボルト15及び16は、第1支持体11に対し、下方から挿通してナット17により、締結されている。
【0024】
台車18は、走行ローラ25が缶胴2内で軸方向に沿い走行することでロータ軸3を移動させるものであり、図2に示すように、第1支持体11の底部に、ロータ軸3の径方向に沿い移動可能に取り付けられている。
即ち、台車18は、上部に立設されたスクリュー軸19を有し、そのスクリュー軸19の先端部が、第1支持体11の底部に取り付けられた台車支持部20と螺合し、スクリュー軸19が回転することで、ロータ軸3に沿い径方向に移動可能となっている。そのため、台車支持部20の内周には、スクリュー軸19の雄ネジと螺合する雌ネジ19aが設けられている。
【0025】
台車支持部20は、第1支持体11の底部に固定されたブラケット21内に、軸受22を介して垂直軸回りに回転自在に取り付けられている。また、ブラケット21の先端にはサポートリング23が取り付けられ、サポートリング23が台車支持部20の外周に設けられた溝(符図せず)に係合している。
【0026】
また、図2に示すように、台車18の底部にはシャフト24が固定されている。シャフト24は、略くの字状をなしており、図3に示すように2本一対として設けられている。各シャフト24の両側に走行ローラ25がそれぞれ回転自在に取り付けられている。それぞれの走行ローラ25は、シャフト24の両側に形成された細径部(回転軸)24aに軸受27を介して取り付けられ、缶胴2の内壁2a上を転動することで台車18が内壁2aの底面を軸方向に沿って走行するようになっている。
すなわち、走行ローラ25は、細径部24aを中心として回転自在に設けられている。
【0027】
各走行ローラ25は、細径部24aに対し、その幅方向の中心部がローラ軸3の軸線を中心として径方向に沿う角度に傾斜して取り付けられている。そして、走行ローラ25の外周面は、走行ローラ25の細径部24aを通る断面が一定の曲率を有しており、その外周面の中央部又はその付近が缶胴2の内壁面に接触して転動するようになっている。
【0028】
すなわち、走行ローラ25の細径部24aを通る断面のうち、缶胴2の内壁面と当接する部分は、一定の曲率を有する円弧状とされている。
なお、走行ローラ25の各々を支持する軸受27は、それぞれ二個一対で構成されている。そのうち、シャフト24の細径部24aの端部には端板28が取り付けられることで、走行ローラ25がシャフト24から抜けないようにしている。
【0029】
図4及び図5に示すように、横方向ガイド機構10Bは、上下方向ガイド機構10Aによる上下方向と直交する方向にロータ軸3を案内しながら缶胴2の軸方向に移動させるためのものであって、ロータ軸3の主径部3aの先端に設けられた縮径部3bに着脱可能に取り付けられた第2支持体31と、第2支持体31に径方向に沿い張り出すアーム35と、該アーム35の先端部に径方向に沿って移動可能に取り付けられ、かつ回転自在とされた案内ローラ40とを有している。
【0030】
第2支持体31は、ロータ軸3の縮径部3bに被さるような筒状をなして、かつ該筒状の周方向の一部が切断されたC型形状に形成されており、該切断された両端部にボルト33、ナット34によって締結されるフランジ部32が設けられている。アーム35は、第2支持体31の外周部において、相対向する位置に第2支持体31の径方向に沿い外方に張り出して設けられた長尺状をなしており、その先端側の外周に雄ネジ36が刻設されている。即ち、アーム35は、先端に連結部材37を介し、アーム35と同方向に延びるロッド38が設けられ、該ロッド38の外周に雄ネジ36が刻設されている。
【0031】
案内ローラ40は、上記アーム35の先端にアーム35の軸方向に沿って移動可能に取り付けられたローラ支持部41に回転自在に軸支されている。
ローラ支持部41は、図4に示すように、その基部に筒部42が設けられると共に、筒部42と反対側の先端にピン(回転軸)43が固定されている。筒部42の内周には上記雄ネジ36と螺合する雌ネジ44が刻設され、ピン43には案内ローラ(横行ローラ)40が回転自在に軸支されている。
案内ローラ40は、案内ローラ40のピン43を通る断面が、一定の曲率をもつ円弧状に形成さえている。
すなわち、案内ローラ40のピン43の中心軸を通る断面のうち、缶胴2の内周面と当接する部分が一定の曲率を有するように構成されている。
【0032】
従って、雌ネジ44と雄ネジ36とが螺合することで、案内ローラ40を有するローラ支持部41がアーム35に対して軸方向に移動し、これによって40がロータ軸3の径方向に沿って移動するようになっている。
つまり、横方向ガイド機構10Bは、缶胴2の内壁2aにおいて、案内ローラ40が台車18の走行方向と直交する方向に内壁2aを走行することで、ロータ軸3を移動できるようになっている。
なお、図5おいては、上下方向ガイド機構10Aが図示省略されている。
【0033】
この実施形態のロータ軸挿脱装置10は、上記のように構成されているので、次にその作業手順について図6を用いて以下に説明する。
説明に際し、乾燥装置1は、予め、図1に示すように缶胴2内にロータ軸3が取り付けられ、その缶胴2からロータ軸3を取り出す場合について述べる。
まず、缶胴2から外部に突出しているロータ軸3の両側をクレーン等によってそれぞれ若干吊り上げておき両側壁部6をクレーン等で吊り上げながらロータ軸3から抜き取る。これにより、缶胴2は、図6(a)に示すように、缶胴2の軸方向の両側が開放された状態となる。
なお、この際、ロータ軸3の両端部は、両側壁部6を吊っているクレーンとは別個のクレーン等により支持されており、ロータ軸3に設けられたディスク7が缶胴2の内壁2aから離間させられている。
【0034】
次いで、缶胴2において、図6(a)に示すように、ロータ軸3の一端側(左側)にロータ軸挿脱装置10を装着する。
つまり、図2及び図3に示すように、第1支持体11がロータ軸3の主径部3aを支持するように上下方向ガイド機構10Aが組み付けられる一方、図4及び図5に示すように、アーム35を有する第2支持体31がロータ軸3の縮径部3bを支持するように、横方向ガイド機構10Bが組み付けられる。
【0035】
その場合、上下方向ガイド機構10Aにおいては、台車18の走行ローラ25が、缶胴2の内壁2aの底部と当接するよう、第1支持体11に対して台車18の取り付け長さが調整されると共に、内壁2aの底部を走行可能となるよう、走行ローラ25の向きが予め調整されている。
一方、横方向ガイド機構10Bにおいては、ローラ支持部41に装着されている案内ローラ40が、缶胴2の内壁と当接するよう、アーム35に対するローラ支持部41の取り付け長さが予め調整されている。
【0036】
従って、上下方向ガイド機構10Aの走行ローラ25が缶胴2の内壁2aの底部と当接すると共に、横方向ガイド機構10Bの案内ローラ40が缶胴2の内壁側部と当接することにより、図7(a)に示すように、ロータ軸3の中心軸が缶体2の中心軸と略一致した状態とされ、ロータ軸3に設けられたディスク7が缶体2の内壁2aから離間するように支持される。
【0037】
そして、図7(a)に示すように、ロータ軸3の他端側(右側)をクレーンC1で若干吊り上げておくと共に、その他端部を横方向から引張る巻き取り体C3をロータ軸3に引き掛けておき、次いで、巻き取り体C3によって巻き取ることでロータ軸3を徐々に缶胴2から抜き取る。
この場合、ロータ軸3が図7(b)に示すように、缶胴2からある程度まで抜き出されると、クレーンC1の吊り直しを行い、その後、再びロータ軸3の抜き出し作業を継続する。
【0038】
上記ロータ軸3の抜き取り時、ロータ軸3の一端側の主径部3aに取り付けられた上下方向ガイド機構10Aと縮径部3bに取り付けられた横方向ガイド機構10Bとにより、缶胴2内においてその中心とロータ軸3の中心とが略一致した状態が保たれ、ロータ軸3が缶胴2に沿い直線的に移動されるので、ロータ軸3に装着されたディスク7と缶胴2の内壁2aとが常時隔てられることとなり、ディスク7が缶胴2を破損することがない。
【0039】
そして、図7(c)に示すように、ロータ軸3の一端側が缶胴2内から略抜けるところまで移動した時点で、つまり、上下方向ガイド機構10Aの台車18の片方の走行ローラ25が缶胴2から略抜け出たところで、そのロータ軸3の一端側をクレーンC2で吊り上げた後、双方のクレーンC1、C2によってロータ軸3を横方向にずらすことで、ロータ軸3の缶胴2からの抜き取りが終了することとなる。
なお、上記の手順が逆に行われることで、ロータ軸の缶胴2に対する挿入、組み込みが行われることとなる。
【0040】
従って、この実施形態のロータ軸挿脱装置10によれば、上下方向ガイド機構10Aが缶胴2内で、ロータ軸3を上下方向に案内しながら缶胴2の軸方向に走行すると共に、横方向ガイド機構10Bが缶胴2内で、ロータ軸3を上下方向ガイド機構10Aと交差する方向に案内しながら缶胴2の軸方向に走行するので、缶胴内2において、ロータ軸3の軸線と缶胴2の軸線とが略一致した状態でロータ軸3を直進移動させることができる。
そのため、缶胴2に何等傷を付けることなくロータ軸3の出し入れを行うことができるので、従来技術のように缶胴内に傷防止板をいちいち設けることが不要になるばかりでなく、作業に要する労力及び時間を大幅に削減することができ、ロータ軸の出し入れを短時間で簡単に、しかも安全に行うことができる。
【0041】
そして、上下方向ガイド機構10Aが第1支持体11と、走行ローラ25を有する台車18とを有するので、缶胴2内でロータ軸3を確実に上下方向に案内しながら走行させることができ、また、横方向ガイド機構10Bが第2支持体31とアーム35と案内ローラ40とを有するので、横方向ガイド機構10Bが、缶胴2内でロータ軸3の左右方向を確実に案内しながら走行させることができ、缶胴2内におけるロータ軸3の走行を的確に行える。
【0042】
また、上下方向ガイド機構10Aにおいて、第1支持体11に径方向に移動できるように台車18の走行ローラ25が取り付けられ、横方向ガイド機構10Bにおいて、第2支持体31に案内ローラ40が径方向に移動できるように取り付けられているので、缶胴2及びロータ軸3の径が異なっても、走行ローラ25及び案内ローラ40の位置をそれに応じて調整することができ、缶胴2の径の大きさに拘わることなくロータ軸3の出し入れを良好に行うことができ、それだけ汎用性を持つことができる。
【0043】
更に、走行ローラ25の外周面が一定の曲率の円弧をなして形成されると共に、案内ローラ40の外周面も同様に形成されているので、缶胴2の径の大きさに拘わらず、走行ローラ25及び案内ローラ40の外周面の中央部又はその近傍が缶胴2の内周面に常に接触することにより、缶胴2の内壁2a上をスムースに転動することができ、これにより、ロータ軸3の移動をいっそう円滑に行うことができる。
【0044】
すなわち、径の小さい缶胴2の場合には、走行ローラ25及び案内ローラ40の外周面の略全面が缶胴2の内周面に沿い、また、径の大きな缶胴2の場合には、走行ローラ25及び案内ローラ40の外周面の中央部分が缶胴2の内周面に沿うため、走行ローラ25及び案内ローラ40は、缶胴2の径の大きさに拘わらず、缶胴2の内壁2a上をスムースに転動することができる。
また更に、上下方向ガイド機構10Aの第1支持体11に、薄板金属製のベルト14によってロータ軸3の主径部3aが取り付けられ、しかもロータ軸3の縮径部3bに第2支持体31が取り付けられることで、ロータ軸3に対してロータ軸挿脱装置10を同心上に位置決めでき、ロータ軸挿脱装置10の取り付けを容易に行える。
【0045】
なお、上記実施の形態において、ロータ軸挿脱装置が上下方向ガイド機構と横方向ガイド機構とを備えて構成されたが、それら上下方向ガイド機構と横方向ガイド機構の具体的構成は図示例に限定されるものではなく、要は、所期の機能が得られればよい。また、ロータ軸挿脱装置が乾燥装置に適用した例を示したが、作業者が手では出し入れすることができない大きさの缶胴及びロータを有する他の装置にも適用し、同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施の形態に係るロータ軸挿脱装置を適用する乾燥装置を示す概略全体図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係るロータ軸挿脱装置の上下方向ガイド機構を示す正面図である。
【図3】同じくロータ軸挿脱装置を示す側面図である。
【図4】ロータ軸挿脱装置の横方向ガイド機構を示す正面図である。
【図5】同じく横方向ガイド機構を示す図4のE矢視図である。
【図6】缶胴からロータ軸を取出す作業手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
2 缶胴
2a 内壁
3 ロータ軸
10 ロータ軸挿脱装置
10A 上下方向ガイド機構
10B 横方向ガイド機構
11 第1支持体
18 台車
25 走行ローラ
31 第2支持体
35 アーム
40 (案内ローラ)横行ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶胴に対し、その内部に回転自在に支持されたロータ軸を、前記缶胴の軸方向に沿い移動させて挿脱するロータ軸挿脱装置であって、
前記缶胴内で、前記ロータ軸を上下方向に案内しながら前記缶胴の軸方向に移動させる上下方向ガイド機構と、
前記缶胴内で、前記ロータ軸を前記上下方向ガイド機構による上下方向と交差する方向に案内しながら前記缶胴の軸方向に移動させる横方向ガイド機構とを備えることを特徴とするロータ軸挿脱装置。
【請求項2】
請求項1記載のロータ軸挿脱装置において、
前記上下方向ガイド機構は、前記ロータ軸に着脱可能に取り付けられる第1支持体と、該第1支持体の底部に前記ロータ軸の径方向に沿って取り付けられ、前記缶胴の内壁の底部を走行ローラが軸方向に沿い走行する台車とを有し、
前記横方向ガイド機構は、前記ロータ軸に着脱可能に取り付けられる第2支持体と、該第2支持体の外周部に、前記上下方向ガイド機構の前記台車と交差方向に張り出すアームと、該アームの先端に回転自在に軸支される横行ローラとを有することを特徴とするロータ軸挿脱装置。
【請求項3】
請求項2記載のロータ挿脱装置において、
前記上下方向ガイド機構の前記台車は、前記第1支持体に対して前記缶胴の径方向に移動可能に取り付けられ、
前記横方向ガイド機構の前記横行ローラは、前記アームに対して前記缶胴の径方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とするロータ軸挿脱装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のロータ軸挿脱装置において、
前記走行ローラ及び横行ローラの外周面は、ぞれぞれのローラの回転軸を通る断面が一定の曲率をもつ円弧状をなしていることを特徴とするロータ軸挿脱装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−105413(P2006−105413A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288999(P2004−288999)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】