説明

ローダー装置

【課題】シリコンインゴットを切断して枚葉化したウェハを効率よく洗浄し分離可能にでき、ウェハの量産に適したローダー装置を提供する。
【解決手段】液槽(2)の上方から液槽内に向けて放射状に延びる複数の腕部材(32)を回転盤(31)に有し、腕部材の座部(32a)のそれぞれにシリコンインゴットを切断してなる枚葉化した多数枚のウェハ群Wを横置きに層状に積載した積載台(40)を載置して液体内で一方向に旋回させ順次送りながらウェハ群を貯留する貯留装置(30)と、積載台支持部材(13,14)を液体内で上下方向を含む2軸方向に延びる互いに平行な面内にてそれぞれ独立して自在に移動させる一対の昇降機(11,12)からなる昇降装置(10)とを備え、これら一対の昇降機は、それぞれ貯留装置の腕部材の所定の停止位置にて積載台支持部材と腕部材の座部との間で直接的に積載台の授受を行い、上記2軸方向の面内で積載台を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローダー装置に係り、詳しくはシリコンインゴットを切断して枚葉化した多数枚のウェハを洗浄して分離するウェハ分離装置に好適なローダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電時の環境への影響を少なくするべく、自然エネルギを利用した発電技術が種々開発されており、太陽光発電もその一つである。
太陽光発電には一般に太陽電池用シリコンウェハが使用され、太陽光発電の普及とともに太陽電池用シリコンウェハの需要が高まっている。
太陽電池用シリコンウェハは、従来の半導体用シリコンウェハと同様に、シリコンインゴットをワイヤソーで薄板状に切断し、枚葉化することで製造される。
【0003】
ところで、シリコンインゴットを切断すると、切粉等がシリコンインゴットに付着していることから、例えば切断した直後の多数枚のウェハ群、或いは一旦枚葉化したウェハを立てた状態で並べた多数枚のウェハ群を液体の入った液槽に浸け、液体によって切粉等を洗い流すことが行われている。また、このような多数枚のウェハ群に対し、液体とともに微細気泡を用いて付着した切粉等を洗い流すことも種々行われている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、太陽電池用シリコンウェハは、半導体用シリコンウェハと同様に極力薄肉に製造するのが好ましい一方、受光面積が大きい方がよいことから一枚毎の外形寸法は大きく、それ故、液槽に浸けた後、液体で互いに密着したウェハを一枚ずつ剥離し分離しようとすると、面積に比例して密着力は大きいために分離し難く、ウェハが破損し易いという問題がある。
【0004】
そこで、枚葉化して立てた状態で並べたウェハ間に液槽の液体内において微細気泡を含ませ、これにより液体を通過した多数枚のウェハ群の分離性を高める装置が開発されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−100703号公報
【特許文献2】特開2006−310456号公報
【特許文献3】WO2010/082567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1〜3に記載の装置では、枚葉化したウェハを液体中に上方から浸けるようにして洗浄した後、分離するようにしており、ウェハの量産が求められる今日の状況下では、ウェハを量産するに際し、ウェハを効率よく洗浄し分離しているとは言い難い。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シリコンインゴットを切断して枚葉化したウェハを効率よく洗浄し分離可能にでき、ウェハの量産に適したローダー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1のローダー装置は、シリコンインゴットを切断してなる枚葉化した多数枚のウェハ群を横置きに層状に積載する積載台と、液体を収容した液槽と、前記液槽の上方から該液槽内に向けて放射状に延びる複数の腕部材を回転盤に有し、該腕部材の座部のそれぞれに前記積載台を載置し前記回転盤により液体内で一方向に旋回させ順次送りながら前記ウェハ群を貯留する貯留装置と、前記積載台を載置する積載台支持部材を各々有し、該積載台支持部材を液体内で上下方向を含む2軸方向に延びる互いに平行な面内でそれぞれ独立して自在に移動させて前記積載台を搬送する一対の昇降機からなる昇降装置とを備え、前記一対の昇降機は、それぞれ貯留装置の前記腕部材の所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で直接的に前記積載台の授受を行い前記2軸方向の面内で該積載台を搬送することを特徴とする。
【0008】
請求項2のローダー装置では、請求項1において、前記貯留装置と前記昇降装置との作動を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記昇降装置の前記一対の昇降機を、前記腕部材の前記所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で前記積載台の授受が交互に行われるとともに、該積載台が前記2軸方向の面内で各々所定の軌道を通り互いに干渉なく繰り返し搬送されるよう作動させ、前記貯留装置の前記回転盤を、前記腕部材の前記所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で前記積載台の授受が交互に行われるよう、前記昇降装置の前記一対の昇降機の各々の作動に応じて旋回させることを特徴とする。
【0009】
請求項3のローダー装置では、請求項2において、前記積載台の搬送される前記所定の軌道上の前記貯留装置から離間した位置に対応し、前記積載台支持部材に載置された前記積載台に積載された前記ウェハ群の最上位置のウェハを順に次工程に搬送する搬送手段を有し、前記制御手段は、前記搬送手段により前記ウェハ群の最上位置のウェハが次工程に送られる毎に該ウェハの厚み分だけ前記積載台支持部材とともに前記積載台を上昇させるよう前記一対の昇降機を作動させることを特徴とする。
請求項4のローダー装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記積載台支持部材は、前記腕部材の座部の幅よりも広い間隔を有して一対の支持板を有し、これら一対の支持板で前記積載台を持ち上げることで該積載台の授受を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1のローダー装置によれば、積載台に積載されたウェハ群を貯留装置から昇降装置に至るまで洗浄液で十分に洗浄を行うことができるとともに、一対の昇降機がそれぞれ貯留装置の腕部材の所定の停止位置において積載台支持部材と腕部材の座部との間で直接的に積載台の授受を行い、上下方向を含む2軸方向に延びる互いに平行な面内で積載台を搬送するようにしたので、簡単な構成にして積載台を交換でき、効率よくウェハ群が積載された積載台を移動させることができる。
【0011】
また、請求項2のローダー装置によれば、制御手段により、腕部材の所定の停止位置にて積載台支持部材と腕部材の座部との間で積載台の授受が交互に行われるとともに、積載台が2軸方向の面内で各々所定の軌道を通り互いに干渉なく繰り返し搬送されるように昇降装置の一対の昇降機を作動させ、腕部材の所定の停止位置にて積載台支持部材と腕部材の座部との間で積載台の授受が交互に行われるように昇降装置の一対の昇降機の各々の作動に応じて貯留装置の回転盤を旋回させるので、簡単な構成にして短時間で積載台を交換でき、より一層効率よくウェハ群が積載された積載台を移動させることができる。
【0012】
また、請求項3のローダー装置によれば、制御手段により、一対の昇降機は積載台に積載されたウェハ群の最上位置のウェハが次工程に送られる毎にウェハの厚み分だけ積載台を上昇させるので、ウェハ群の最上位置のウェハの位置を常に一定に維持させることができ、簡単な構成にしてウェハを安定的に次工程に送ることができる。
また、請求項4のローダー装置によれば、積載台支持部材は腕部材の座部の幅よりも広い間隔を有した一対の支持板で積載台を持ち上げて積載台の授受を行うので、極めて簡単な構成にして積載台を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ウェハ分離装置における本発明に係るローダー装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1の矢視A方向から視た側面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う平断面図である。
【図4】バスケットの平面図である。
【図5】バスケットの正面図である。
【図6】バスケットの側面図である。
【図7】ローダー装置である貯留装置の動きと昇降装置の昇降ユニットとの関係を示す平面図である。
【図8】ローダー装置である貯留装置の動きと昇降装置の昇降ユニットとの関係を示す正面図である。
【図9】貯留装置と昇降ユニットR及び昇降ユニットLの作動手順を示すフローチャートの一部である。
【図10】図9に続くフローチャートの残部である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1はウェハ分離装置における本発明に係るローダー装置の全体構成を示す正面図であり、図2は図1の矢視A方向から視た側面図であり、図3は図1のB−B線に沿う平断面図である。
ウェハ分離装置は、シリコンインゴットを切断して層状に積載した多数枚のウェハ群を液体洗浄した後、ウェハを一枚ずつに分離して次工程に供給するための装置であり、図1に示すように、大きくは、洗浄液の収容された液槽2と、多数枚のウェハ群Wを液槽2内で昇降させる昇降装置10と、昇降装置10で上昇したウェハ群Wを最上位置のウェハから順に搬送するベルトコンベア(搬送手段)20と、昇降装置10で昇降するウェハ群Wを貯留しておく貯留装置30とから構成されている。ここに、昇降装置10と貯留装置30とが本発明に係るローダー装置を構成している。
【0015】
液槽2内に収容された洗浄液は、例えば水(水道水、純水等)であり、これによりシリコンインゴットの切断時に発生しウェハに付着した切粉等を洗い流すことが可能である。液槽2には、洗浄液の汚れを検知する汚れセンサ3が設けられており、この汚れセンサ3からの情報に基づき洗浄液の汚れの度合いを監視することができる。
ここでは、ウェハ群Wは規格が統一されたバスケット(積載台)40に横置きに層状に積載されている。詳しくは、ウェハ群Wは周縁が切除されて四角形状に加工されており、図4にバスケット40の平面図を示し、図5にバスケット40の正面図を示し、図6にバスケット40の側面図を示すように、バスケット40はウェハ群Wの積載方向に延びる右側壁41、左側壁42及び後部側壁43を有し、四角形状のウェハ群Wを適切に位置決め可能であるとともに、一側方及び上方が開放されるように規格が統一されている。これによりウェハ群Wを一側方及び上方からバスケット40に投入できるとともに、バスケット40に積載されたウェハ群Wに対し一側方及び上方からアプローチすることが可能である。また、バスケット40には、右側取っ手44及び左側取っ手45も設けられている。
【0016】
より詳しくは、右側壁41は比較的広い幅の板部材からなる一方、左側壁42は右側壁41の幅よりも狭い幅(例えば、右側壁41の幅の約半分の寸法)の部材からなり、上記開放された一側方寄りに配置されている。また、後部側壁43は左側壁42の幅よりもさらに狭い幅(例えば、左側壁42の幅の約半分の寸法)の部材からなり、右側方寄りに配置されている。即ち、左側壁42と後部側壁43とは、左側壁42と後部側壁43との間隔が右側壁41と後部側壁43との間隔よりも十分に広くなるように配置されている。さらに、右側取っ手44は逆U字状の棒部材で構成されている一方、左側取っ手45は後方が開放されたF字状の棒部材で構成されている。
このように左側壁42と後部側壁43との間隔が広くされ、左側取っ手45の後方が開放されていることにより、図中矢印で方向を示し詳しくは後述するように、破損したウェハをこの開放空間を通過させて排除することが可能である。
【0017】
昇降装置10は、図2に示すように、左右一対の昇降ユニットR(一対の昇降機)11、昇降ユニットL(一対の昇降機)12からなり、左右一対の昇降ユニットR11、昇降ユニットL12の各々がウェハ群Wの積載されたバスケット40を昇降可能である。昇降ユニットR11、昇降ユニットL12は、例えばステッピングモータでボールねじを回転させることで昇降可能である。詳しくは、昇降ユニットR11、昇降ユニットL12には昇降ユニットR11、昇降ユニットL12と一体にバスケット支持アーム(積載台支持部材)13、14が設けられており、昇降ユニットR11、昇降ユニットL12は、バスケット支持アーム13、14上にバスケット40を支持し、バスケット40ごとウェハ群Wをそれぞれ独立して昇降可能である。
【0018】
また、昇降装置10には昇降ユニットR11、昇降ユニットL12をそれぞれ貯留装置30側からベルトコンベア20側へ或いはその逆方向へ独立して移動させることが可能にスライドユニット15、16も設けられている。スライドユニット15、16も、例えばステッピングモータでボールねじを回転させることで作動可能である。
これにより、昇降ユニットR11、昇降ユニットL12は、図1に矢印で動きを示すように、それぞれ独立して上下方向を含む2軸方向(図1における紙面の上下方向及び左右方向)に延びる互いに平行な面内にて自在に移動可能であり、バスケット40ごとウェハ群Wを液槽2内で各々所定の軌道を通り搬送することが可能である。
【0019】
ベルトコンベア20は、バスケット40の搬送される上記所定の軌道上のうち貯留装置30から離間する位置に対応して設けられており、第1コンベア21と第2コンベア22とから構成されている。第1コンベア21は、一対の無端状のベルトが走行し、一対の無端状のベルトの間に一端から所定範囲に亘ってバキュームユニット23が設けられ、一端が液体に浸るように水平に対し所定の角度(0°より大)をもって傾斜して構成されている。これにより、第1コンベア21は、液体内でバキュームユニット23によりウェハ群Wの最上位置のウェハを吸引してベルトに押し付けて搬送し、他端において第2コンベア22に受け渡すことが可能である。
なお、液槽2の上方には、バスケット40に積載したウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置を検知する最上位置センサ4が設けられている。最上位置センサ4としては例えば光電センサが採用される。これにより、バスケット40に積載したウェハ群Wの最上位置を把握可能である。
そして、第2コンベア22は、同様に一対の無端状のベルトが走行するよう傾斜して構成されており、第1コンベア21から受け取ったウェハをさらに次工程に搬送することが可能である。
【0020】
貯留装置30は、バスケット40を支持する複数のL字状の腕部材32が懸架されたインデックステーブル(回転盤)31をモータ33で一方向に回転可能に構成されている。なお、ここではモータ33として例えばステッピングモータを用いるが、モータ33としてサーボモータ等の他の回転駆動手段を用いてもよい。詳しくは、水槽2には底部から筒状に上方に延びて中空の円筒部2aが形成されており、円筒部2a内を水槽2の下方に位置するモータ33の軸部34が貫通し、この貫通した軸部34の先端部にインデックステーブル31が接続され、インデックステーブル31に座部32aを有した腕部材32が水槽2内に向けて懸架されている。図3に示すように、腕部材32は、例えば6個からなり、バスケット40の開放された一側方が放射状にして外方を向くようにして例えば60°毎の等間隔に配設されている。なお、ここでは60°毎の等間隔に腕部材32を配設しているが、60°毎に限られるものではない。
【0021】
また、貯留装置30は、図3に示すように腕部材32の数に一致して#1〜#6のステージを有し、腕部材32が各ステージに矢印方向に旋回して順次停止するよう構成されている。ここに、ステージ#1〜#5は作業者がバスケット40を腕部材32に載置可能なステージであり、ステージ#6が昇降装置10の昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12がバスケット40を授受するステージである(所定の停止位置)。
なお、貯留装置30には、インデックステーブル31の旋回を制限するトルクリミッタが設けられており、例えば腕部材32が何らかの障害物と干渉した場合にはインデックステーブル31が回転せずにモータ33がスリップするように構成されている。このスリップは例えばスリップセンサにより検出され、これによりモータ33が強制的に停止させられ、安全が確保される。
また、ウェハ分離装置には、図1〜図3に示すように、バスケット40の開放された一側方に離間して位置するようにして、液流噴射ノズル50が設けられている。
【0022】
液流噴射ノズル50は、下側噴射ノズル51と上側噴射ノズル52の上下2段からなり、それぞれバスケット40に積載されたウェハ群Wの一側方の面に向けて横方向から液流を噴射するように構成されている。これら下側噴射ノズル51及び上側噴射ノズル52は液流発生装置54に接続されている。詳しくは、下側噴射ノズル51は、所定力以上の噴射強度で液流を強く噴射するように設定されており、一方上側噴射ノズル52は、噴射口が上下方向に広がり、所定力よりも小さい噴射強度で緩やかに液流を噴射するように設定されている。
【0023】
さらに、液流噴射ノズル50の下方には、液流噴射ノズル50とウェハ群Wとの間を気泡が上昇するように該気泡を吐出させる気泡吐出装置60が設けられている。気泡吐出装置60は気泡発生装置62に接続されている。
また、液流噴射ノズル50とは別に、バスケット40に積載されたウェハ群Wの一側方の面に向けて斜め上方向に液流を噴射するよう、一対の第2液流噴射ノズル70、70が設けられている。一対の第2液流噴射ノズル70、70も上記液流発生装置54に接続されている。
【0024】
ウェハ分離装置は、制御装置(制御手段)80を備えており、昇降装置10、ベルトコンベア20、貯留装置30、液流発生装置54及び気泡発生装置62は、汚れセンサ3、最上位置センサ4等のセンサ類からの出力信号に基づき、制御装置80によって適宜作動制御される。
以下、このように構成された本発明に係るウェハ分離装置の作用、特に本発明に係るローダー装置の作用について説明する。
【0025】
図7及び図8には、ローダー装置である貯留装置30の動きと昇降装置10の昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12の動きとの関係がそれぞれ平面図、正面図で示されており、図9及び図10には、制御装置80によって制御される貯留装置30と昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12の作動手順が作動フローとしてフローチャートで示されており、本発明に係るローダー装置の作用については、これら図7及び図8を参照しながら図9及び図10の作動フローに沿い説明する。
作業者によってウェハ群Wがバスケット40に積載されると、図9のステップS10にて、ウェハ群Wの積載されたバスケット40は、作業者が取っ手44、45を持って運ぶことで、図7に示すように、ステージ#1において作業者により貯留装置30の腕部材32の座部32aに載置される。
そして、このように腕部材32の座部32aに載置されたバスケット40は、図7に示すように、腕部材32が矢印方向に旋回して各ステージに順に送られ、液体内をウェハ群Wを洗浄しながらステージ#6まで到達する。
【0026】
この間、昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12のバスケット支持アーム13、14のいずれか一方は中間位置である原位置Pに位置される。ここでは、ステップS12において、例えば昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13が中間位置である原位置Pに位置される。他方の昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14については原位置P以外の適宜位置に待機される。
ステップS20では、インデックステーブル31の回転が完了して腕部材32が旋回し、バスケット40がステージ#6に達しているか否かが判別される。判別結果が偽(No)でインデックステーブル31の回転が完了していない場合には、インデックステーブル31の回転が完了するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)でインデックステーブル31の回転が完了していると判定された場合には、次にステップS30に進む。
【0027】
ステージ#6では、腕部材32が停止した状態で、昇降装置10の昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12が、腕部材32の座部32aに載置されたバスケット40を交互に受け取るように作動する。具体的には、昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12の各バスケット支持アーム13、14には、座部32aの幅より広い間隔を有して一対の支持板13a、13a及び14a、14aがそれぞれ形成されており、昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12は、上昇してこれら一対の支持板13a、13aまたは14a、14aでバスケット40の下面を持ち上げるようにしてバスケット40を受け取るように作動する。
ここでは、ステップS30において、先ず、昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13が、原位置Pからステージ#6の腕部材32側に後退させられた後、上昇させられ、一対の支持板13a、13aでバスケット40の下面を持ち上げながらバスケット40を受け取るように作動される。
これにより、バスケット40が昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13に支持される。
【0028】
バスケット40を受け取った昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12は、スライドユニット15、16の作動と相俟って、バスケット支持アーム13上のバスケット40とバスケット支持アーム14上のバスケット40とが互いに干渉しないように当該バスケット40を液体内で図8中に太線矢印で示すように移動させ、ウェハ群Wをさらに洗浄しながら、最上位置センサ4からの情報に基づきウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置が第1コンベア21の一端の近傍となるようにバスケット40を位置させる。これにより、ウェハ群Wの最上位置のウェハが順次バキュームユニット23により吸引されて分離され、第1コンベア21によって排出され、第2コンベア22に搬送される。
ここでは、ステップS32において、バスケット40を受け取った昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13が一旦中間位置まで前進させられる。その後、ステップS34において、昇降ユニットR11は上昇させられ、ここで最上位置センサ4によってバスケット40上におけるウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置が検出される。その後、ステップS34において、昇降ユニットR11は下降させられてバスケット支持アーム13が一旦最下位置で待機させられる。
【0029】
そして、ステップS38において、昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14のバスケット40上のウェハ群Wが全て排出完了したか否かが判別される。ここに、バスケット40上のウェハ群Wが排出完了したか否かについては、例えば排出したウェハの枚数を制御装置80内のカウンタでカウントして判定される。これに限られず、別途バスケット40上のウェハの有無を検出する在席センサを設け、在席センサがウェハを検知しないことをもって排出完了したか否かが判定されるようにしてもよい。ステップS38の判別結果が偽(No)で、バスケット支持アーム14のバスケット40上のウェハ群Wが未だ排出完了していない場合には、排出完了するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)で、バスケット支持アーム14のバスケット40上のウェハ群Wが排出完了したと判定された場合には、ステップS40に進む。
【0030】
ステップS40では、昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14が中間位置まで後退させられ、ステップS42において、昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13が前進させられるとともに上昇させられ、上述の如く、最上位置センサ4からの情報に基づきウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置が第1コンベア21の一端の近傍となるようにバスケット40が位置される。そして、ステップS44において、バスケット40上のウェハが順次分離させられ、第1コンベア21によって排出される。
ウェハが全て第1コンベア21に受け渡され、バスケット40が空になると、スライドユニット15、16の作動により昇降ユニットR11や昇降ユニットL12により空のバスケット40はステージ#6の位置まで移動させられ、腕部材32の座部32aに空のバスケット40が載置される。
腕部材32に空のバスケット40が載置されると、昇降ユニットR11や昇降ユニットL12は一旦退避させられた後、腕部材32が矢印方向に旋回させられ、空のバスケット40はステージ#1に戻されて作業者によって取り除かれる。
そこで、図10のステップS46では、ステージ#6の座部32aが空であるか否かが判別される。判別結果が偽(No)でステージ#6の座部32aが空でない場合には、空になるのを待つ。一方、ステップS46の判別結果が真(Yes)でステージ#6の座部32aが空と判定された場合には、ステップS48に進む。
【0031】
ステップS48では、昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14がさらに後退させられ、下降させられ、バスケット40がステージ#6の座部32aに載置されて、返却される。そして、ステップS50において、バスケット支持アーム14は一旦中間位置まで前進させられ、待機させられる。
ステップS52では、上記ステップS20と同様、インデックステーブル31の回転が完了して腕部材32が旋回し、バスケット40がステージ#6に達しているか否かが判別される。判別結果が偽(No)でインデックステーブル31の回転が完了していない場合には、インデックステーブル31の回転が完了するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)でインデックステーブル31の回転が完了していると判定された場合には、次にステップS54に進む。
ステップS54では、上記ステップS30〜ステップS50と同様、昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14が、原位置Pから腕部材32側に後退させられた後、上昇させられ、一対の支持板14a、14aでバスケット40の下面を持ち上げながらバスケット40を受け取るように作動される。
【0032】
そして、ステップS56において、バスケット40を受け取った昇降ユニットL12のバスケット支持アーム14が一旦中間位置まで前進させられる。その後、ステップS58において、昇降ユニットL12が上昇させられ、最上位置センサ4によってウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置が検出され、ステップS60において、昇降ユニットL12が下降させられてバスケット支持アーム14が一旦最下位置で待機させられる。そして、ステップS62において、昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13のバスケット40上のウェハ群Wが全て排出完了したか否かが判別される。ステップS62の判別結果が偽(No)で、バスケット支持アーム13のバスケット40上のウェハ群Wが未だ排出完了していない場合には、排出完了するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)で、バスケット支持アーム13のバスケット40上のウェハ群Wが排出完了したと判定された場合には、ステップS64に進む。
【0033】
ステップS64では、昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13が中間位置まで後退させられた後、ステップS66において、バスケット支持アーム13が前進させられるとともに上昇させられ、上述の如く、最上位置センサ4からの情報に基づきウェハ群Wの最上位置のウェハの高さ位置が第1コンベア21の一端の近傍となるようにバスケット40が位置させられる。そして、ステップS68において、バスケット40上のウェハが順次分離させられ、第1コンベア21によって排出される。
図9に戻り、ステップS70では、ステージ#6の座部32aが空であるか否かが判別される。判別結果が偽(No)でステージ#6の座部32aが空でない場合には、空になるのを待つ。一方、ステップS70の判別結果が真(Yes)でステージ#6の座部32aが空と判定された場合には、ステップS72に進む。
ステップS72では、昇降ユニットR11のバスケット支持アーム13がさらに後退させられ、下降させられてバスケット40がステージ#6の座部32aに載置される。そして、ステップS74において、バスケット支持アーム13は一旦中間位置まで前進させられ、待機させられる。
【0034】
ステップS76では、やはり上記ステップS20と同様、インデックステーブル31の回転が完了して腕部材32が旋回し、バスケット40がステージ#6に達しているか否かが判別される。判別結果が偽(No)でインデックステーブル31の回転が完了していない場合には、インデックステーブル31の回転が完了するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)でインデックステーブル31の回転が完了していると判定された場合には、再びステップS30に進む。
以降、上記ステップS30〜ステップS76の一連の作動が順次繰り返される。
ところで、ウェハ群Wの最上位置のウェハが第1コンベア21の一端の近傍となるようにバスケット40が位置しているとき、気泡吐出装置60からは気泡が吐出されており、当該気泡は液流噴射ノズル50とウェハ群Wとの間を上昇している。また、このとき、液流噴射ノズル50からは、液流がウェハ群Wに向けて噴射されている。
【0035】
このように、気泡が液流噴射ノズル50とウェハ群Wとの間を上昇し、液流噴射ノズル50である下側噴射ノズル51と上側噴射ノズル52から液流がウェハ群Wに向けて噴射されていると、気泡Pが液流によってウェハ群Wの各ウェハ間に押し込まれる。
下側噴射ノズル51から噴射される液流は所定力以上の噴射強度で強く液流を噴射するように設定されている。これにより、下側噴射ノズル51からの液流によってウェハ群Wの各ウェハ間に先ず隙間が形成される。
特に、ここでは、下側噴射ノズル51から噴射される液流は、破損し割れたウェハを吹き飛ばすことが可能な所定力以上の噴射強度に設定されている。従って、このとき破損したウェハがあると、このように破損して分割されたウェハは、もはや右側壁41、左側壁42及び後部側壁43によって規制されず、下側噴射ノズル51から噴射される液流によって左側壁42と後部側壁43及び左側取っ手45の後方の開放された空間を通って後方に吹き飛ばされ、排除される。このように、破損したウェハを容易に排除できることで、ジャミングによって装置が停止することが防止され、装置の稼働率を向上させることができる。
【0036】
一方、上側噴射ノズル52から噴射される液流は所定力よりも小さい噴射強度で液流を噴射するように設定されている。これにより、上側噴射ノズル52から噴射される液流によって、気泡Pが緩やかに下側噴射ノズル51からの液流によって形成された各ウェハ間の隙間に押し込まれて均一に整えられ、各ウェハ間の隙間が徐々に拡大される。
このように各ウェハ間の隙間に気泡Pが十分に押し込まれることで、ウェハを気泡Pの存在により浮かせて剥離し易い状態にできる。これにより、最上位置のウェハを滑らかに剥離させてバキュームユニット23の吸引によりベルトに押し付けるようにでき、ウェハを一枚ずつ確実に分離させて次工程に搬送することができる。
【0037】
また、上述の如く各ウェハ間の隙間に気泡Pが押し込まれた状態では、ウェハは各ウェハ間の隙間に気泡Pが存在していることで剥離し易くなっていることから、この状態で第2液流噴射ノズル70から液流が斜め上方向に向けて噴射されると、第2液流噴射ノズル70からの液流によって、ウェハは第2液流噴射ノズル70側で大きく剥離し、即ちウェハは0°より大きな仰角をもって第2液流噴射ノズル70側が高くなるように傾斜する。この際、第1コンベア21は一端が液体に浸るように水平に対し所定の角度(0°より大)をもって傾斜していることから、ウェハは容易にして傾斜した第1コンベア21のベルトに沿うよう接近する。これにより、ウェハ群Wの最上位置のウェハだけがバキュームユニット23によりスムーズに吸引されてベルトに押し付けられ、第1コンベア21によって順次第2コンベア22に搬送される。
なお、制御装置80は、上記ステップS44やステップS68において、例えば排出したウェハの枚数を制御装置80内のカウンタでカウントし、ウェハが第1コンベア21に受け渡される毎に昇降ユニットR11や昇降ユニットL12を作動させてバスケット40をウェハの厚み分上昇させるようにする。これにより、ウェハ群Wの最上位置のウェハの位置を常に第1コンベア21の一端の近傍位置に維持させることができる。
【0038】
このように、本発明に係るローダー装置によれば、ウェハ群Wが積載されて腕部材32の座部32aに載置されたバスケット40を貯留装置30のインデックステーブル31の回転により旋回させながら液体内でステージ#1からステージ#6まで送るようにし、ステージ#6では昇降装置10のバスケット支持アーム13、14と貯留装置30の腕部材32の座部32aとの間で直接的に交互にバスケット40の授受を行い、昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12を2軸方向に延びる互いに平行な面内にて自在に作動させて液体内でバスケット40を第1コンベア21の一端の近傍位置まで順次搬送するようにしている。
【0039】
従って、バスケット40に積載されたウェハ群Wを貯留装置30から昇降装置10に至るまで洗浄液で十分に洗浄を行うことができるとともに、回転するインデックステーブル31からなる貯留装置30と昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12からなる昇降装置10とを用いた簡単な構成にしてバスケット40を交換でき、効率よくウェハ群Wが積載されたバスケット40を第1コンベア21の一端の近傍位置まで搬送することができる。
特に、制御装置80を用いて貯留装置30と昇降装置10を制御することにより、簡単な構成にして短時間でバスケット40を交換でき、より一層効率よくウェハ群Wが積載されたバスケット40を第1コンベア21の一端の近傍位置まで搬送することができる。
この場合において、本発明に係るローダー装置は、制御装置80により、ウェハが第1コンベア21に受け渡される毎に、昇降ユニットR11や昇降ユニットL12を作動させてバスケット40をウェハの厚み分上昇させ、ウェハ群Wの最上位置のウェハの位置を常に第1コンベア21の一端の近傍位置に一定に維持させることができるので、簡単な構成にして多数枚のウェハ群Wからウェハを滑らかに分離させて安定的に次工程に送ることができる。
また、昇降ユニットR11及び昇降ユニットL12は、バスケット支持アーム13、14に設けられた一対の支持板13a、13aまたは14a、14aでバスケット40の下面を持ち上げるようにしてバスケット40を受け取るように作動するので、極めて簡単な構成にして効率よくバスケット40を交換できる。
【0040】
以上で本発明に係るローダー装置の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、液流噴射ノズル50、気泡吐出装置60及び一対の第2液流噴射ノズル70、70を設けるようにしているが、これらについては必須ではなく、無くても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0041】
2 液槽
10 昇降装置
11 昇降ユニットR(一対の昇降機)
12 昇降ユニットL(一対の昇降機)
13、14 バスケット支持アーム(積載台支持部材)
13a、14a 支持板
20 ベルトコンベア(搬送手段)
30 貯留装置
31 インデックステーブル(回転盤)
32 腕部材
32a 座部
33 モータ
40 バスケット(積載台)
80 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンインゴットを切断してなる枚葉化した多数枚のウェハ群を横置きに層状に積載する積載台と、
液体を収容した液槽と、
前記液槽の上方から該液槽内に向けて放射状に延びる複数の腕部材を回転盤に有し、該腕部材の座部のそれぞれに前記積載台を載置し前記回転盤により液体内で一方向に旋回させ順次送りながら前記ウェハ群を貯留する貯留装置と、
前記積載台を載置する積載台支持部材を各々有し、該積載台支持部材を液体内で上下方向を含む2軸方向に延びる互いに平行な面内でそれぞれ独立して自在に移動させて前記積載台を搬送する一対の昇降機からなる昇降装置とを備え、
前記一対の昇降機は、それぞれ貯留装置の前記腕部材の所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で直接的に前記積載台の授受を行い前記2軸方向の面内で該積載台を搬送することを特徴とするローダー装置。
【請求項2】
前記貯留装置と前記昇降装置との作動を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記昇降装置の前記一対の昇降機を、前記腕部材の前記所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で前記積載台の授受が交互に行われるとともに、該積載台が前記2軸方向の面内で各々所定の軌道を通り互いに干渉なく繰り返し搬送されるよう作動させ、
前記貯留装置の前記回転盤を、前記腕部材の前記所定の停止位置にて前記積載台支持部材と前記腕部材の座部との間で前記積載台の授受が交互に行われるよう、前記昇降装置の前記一対の昇降機の各々の作動に応じて旋回させることを特徴とする、請求項1に記載のローダー装置。
【請求項3】
前記積載台の搬送される前記所定の軌道上の前記貯留装置から離間した位置に対応し、前記積載台支持部材に載置された前記積載台に積載された前記ウェハ群の最上位置のウェハを順に次工程に搬送する搬送手段を有し、
前記制御手段は、前記搬送手段により前記ウェハ群の最上位置のウェハが次工程に送られる毎に該ウェハの厚み分だけ前記積載台支持部材とともに前記積載台を上昇させるよう前記一対の昇降機を作動させることを特徴とする、請求項2に記載のローダー装置。
【請求項4】
前記積載台支持部材は、前記腕部材の座部の幅よりも広い間隔を有して一対の支持板を有し、これら一対の支持板で前記積載台を持ち上げることで該積載台の授受を行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のローダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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