説明

ローラコンベヤ設備

【課題】ローラに対する無端回動体の当接力の調整操作を、簡単かつ容易でしかも迅速に行え、調整位置を安定して維持できるローラコンベヤ設備を提供する。
【解決手段】コンベヤフレーム3間に、ローラ6群を遊転自在に設けて搬送経路9を形成した。コンベヤ駆動手段11は、駆動装置31により駆動される無端回動体40と、無端回動体40をローラ6群に下方から当接すべく案内する案内輪体装置12を有する。案内輪体装置12は、コンベヤフレーム3に形成した貫通孔3Aに嵌合係止して回転自在なカラー体13を有し、カラー体13には、外向き螺子孔17と内向き螺子孔18を偏心して形成した。カラー体13は、外向き螺子孔17に外側から螺合した外ボルト体20によりコンベヤフレーム3側に固定自在に構成し、案内輪体22を遊転自在に支持した内ボルト体23を内向き螺子孔18に内側から螺合自在に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば物品を搬送するのに採用されるローラコンベヤ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の設備としては、次のような構成が提供されている。すなわち、搬送経路の両端部分にそれぞれガイドプーリが設けられ、これらガイドプーリ間に無端状の駆動ベルトが掛け回されている。そして、搬送ローラ群に対して駆動ベルトを下方から当接させることで、搬送ローラ群に回転力が与えられるように構成されている。その際にガイドプーリは、通常、メインフレーム側または横継ぎ枠側に左右一対のブロック(フランジ)を取り付け、これらブロック間でプーリ軸の支持を行う形式とされている。または、メインフレーム側にプーリ軸を片持ちで取り付ける形式とされている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、別の従来構成として、カーブローラコンベヤにおけるローラにベルトを当接してローラを駆動回転させるに、ベルトを当接させるための圧力ローラをボルト・ナット(連結具)などを介して支持枠側に回転自在に設け、その際にボルトは支持枠に形成されたバカ穴(ボルト外径よりも少し大きな内径の穴)に挿通されている(たとえば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開昭63−51206号公報(第1図)
【特許文献2】特開2000−351428号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した特許文献1の構成によると、ガイドプーリはメインフレーム側に、プーリ軸を介して定置状に取り付けられることで、ガイドプーリや搬送ローラの取り付け精度によって、搬送ローラに対する駆動ベルトの下方から当接(当接力)が充分でなかったとき、当接の調整(修正)は行えないことになる。また、上記した特許文献2の構成によると、バカ穴の許容範囲内においてボルトを上下移動させることで、当接(当接力)の調整を行えるが、この場合、バカ穴内でボルトを遊動させた(浮かせた)状態での調整であることから、その調整は不安定で容易に行えず、また充分な精度を期待できない。さらに使用径過に伴って、ボルトがバカ穴内で次第に下降し、調整状態が乱れることになる。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、ローラに対する無端回動体の当接力の調整操作を、簡単かつ容易でしかも迅速に行え、さらに調整位置を安定して維持し得るローラコンベヤ設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のローラコンベヤ設備は、フレーム本体を構成する左右一対のコンベヤフレーム間に、長さ方向における多数箇所に位置されてローラが遊転自在に設けられて搬送経路が形成され、前記フレーム本体内にはコンベヤ駆動手段が配設され、このコンベヤ駆動手段は、駆動装置により駆動される無端回動体と、この無端回動体を前記ローラ群に下方から当接すべく案内する案内輪体装置とを有し、この案内輪体装置は、前記コンベヤフレームに形成された左右方向の貫通孔に嵌合係止されて回転自在なカラー体を有し、このカラー体には外側に開放される外向き螺子孔と内側に開放される内向き螺子孔とが偏心して形成され、前記カラー体は、外向き螺子孔に外側から螺合される外ボルト体によりコンベヤフレーム側に固定自在に構成されるとともに、案内輪体を遊転自在に支持した内ボルト体を内向き螺子孔に内側から螺合自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、ローラコンベヤ設備を組み立てる際に案内輪体装置では、まずカラー体の内向き螺子孔に、案内輪体を遊転自在に支持した内ボルト体を内側から螺合することで、カラー体側に案内輪体を遊転自在に支持させる。そしてカラー体を、貫通孔に内側から嵌合させるとともに、コンベヤフレームに当接係止させた状態で、外向き螺子孔に外側から外ボルト体を螺合させる。その際に外ボルト体は緩く螺合させ、以てカラー体をコンベヤフレーム側に仮止め状態に固定させる。このとき、嵌合部の下位部分は、貫通孔の内周で下位円弧部に上方から当接している。この前後に、無端回動体を案内輪体に掛ける。
【0008】
次いで反転用の案内輪体装置の最終調整を行う。すなわちカラー体を回転させ、その際に回転は、嵌合部の下位部分を貫通孔の下位円弧部に上方から当接させた状態で、外向き螺子孔の軸心の周りで安定して行える。これにより、外向き螺子孔の軸心に対して偏心している内向き螺子孔の軸心を、外向き螺子孔の軸心の周りに公転させる状態となり、以て案内輪体を外向き螺子孔の軸心の周りで上下ならびに前後に変位し得る。このような変位によって、案内輪体に掛けられている無端回動体を持ち上げて、案内輪体装置の上方に位置しているローラの下面に好適な当接圧で当接し得る。そして、外向き螺子孔に対する外ボルト体の螺合を強く行うことで、案内輪体を好適な位置としたカラー体を、コンベヤフレーム側に強く固定(締結)し得る。
【0009】
このようにして所定の状態に組み立てたローラコンベヤ設備においては、コンベヤ駆動手段における駆動装置により無端回動体を回動し得る。その際に無端回動体は、作用経路部においてローラ群に下方から当接し得、これにより、無端回動体によってローラ群を容易に駆動回転させ得、以てローラ群により支持している物品の搬送経路上での搬送を、常に円滑かつ確実に行えることになる。
【0010】
また本発明の請求項2記載のローラコンベヤ設備は、上記した請求項1記載の構成において、カラー体の外面には、回転操作用の扁平面部が形成されていることを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項2の発明によると、案内輪体装置の最終調整を行うに、スパナなどの回転操作具を、扁平面部を利用して係合させることで、カラー体を回転し得る。
そして本発明の請求項3記載のローラコンベヤ設備は、上記した請求項1または2記載の構成において、コンベヤ駆動手段が、ローラ群の下方で搬送経路の両端にそれぞれ配設される反転用の案内輪体装置と、両案内輪体装置間でローラ群の下方に位置される中間案内輪体群と、駆動装置に連動連結される駆動用輪体と、両案内輪体装置と中間案内輪体群とに亘って上方から掛けられて、前記ローラ群に下方から当接されるとともに、前記駆動用輪体に掛けられる無端回動体とにより構成されていることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項3の発明によると、中間案内輪体から駆動用輪体に亘って巻き掛けた無端回動体を、反転用の案内輪体装置における案内輪体に掛けたのち、案内輪体装置の最終調整を行うことで、所定の状態に組み立てたローラコンベヤ設備においては、駆動装置により駆動用輪体を回転させることで無端回動体を回動し得る。その際に無端回動体は、搬送経路の両端部分では反転用の案内輪体装置における案内輪体に反転案内され、案内輪体装置間の作用経路部においては中間案内輪体群により支持案内される。
【0013】
さらに本発明の請求項4記載のローラコンベヤ設備は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、搬送経路がカーブ状に形成されていることを特徴としたものである。
【0014】
したがって請求項4の発明によると、ローラ群により支持している物品のカーブ状搬送経路上での搬送を、常に円滑かつ確実に行える。
しかも本発明の請求項5記載のローラコンベヤ設備は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、無端回動体は、少なくとも片面がV状面のV状ベルト体からなり、案内輪体は、V状面を嵌合案内するV状案内面が形成されていることを特徴としたものである。
【0015】
したがって請求項5の発明によると、V状ベルト体を回動させる際に、V状面をV状案内面により嵌合案内して行うことで、案内輪体によるV状ベルト体の支持案内を常に安定して行える。
【発明の効果】
【0016】
上記した本発明の請求項1によると、ローラコンベヤ設備を組み立てる際に案内輪体装置では、まずカラー体の内向き螺子孔に、案内輪体を遊転自在に支持した内ボルト体を内側から螺合することで、カラー体側で案内輪体を遊転自在に支持できる。そしてカラー体を、貫通孔に内側から嵌合させるとともに、コンベヤフレームに当接係止させた状態で、外向き螺子孔に外側から外ボルト体を緩く螺合させ、以てカラー体をコンベヤフレーム側に仮止め状態に固定できる。このとき、嵌合部の下位部分は、貫通孔の内周で下位円弧部に上方から当接している。この前後に、無端回動体を案内輪体に掛ける。
【0017】
次いで反転用の案内輪体装置の最終調整を行う。すなわちカラー体を回転させ、その際に回転は、嵌合部の下位部分を貫通孔の下位円弧部に上方から当接させた状態で、外向き螺子孔の軸心の周りで安定して行うことができる。これにより、外向き螺子孔の軸心に対して偏心している内向き螺子孔の軸心を、外向き螺子孔の軸心の周りに公転させることができて、案内輪体を外向き螺子孔の軸心の周りで上下ならびに前後に変位できる。このような変位によって、案内輪体に掛けている無端回動体を持ち上げて、案内輪体装置の上方に位置しているローラの下面に好適な当接圧で当接できる。そして、外向き螺子孔に対する外ボルト体の螺合を強く行うことで、案内輪体を好適な位置としたカラー体を、コンベヤフレーム側に強く固定(締結)できる。
【0018】
すなわち、カラー体を外向き螺子孔の軸心の周りで回転させることで、案内輪体装置の案内輪体を最適な位置に調整でき、以てローラに対する無端回動体の当接力の調整操作を、簡単かつ容易でしかも迅速に行うことができる。
【0019】
このようにして所定の状態に組み立てたローラコンベヤ設備においては、コンベヤ駆動手段における駆動装置により無端回動体を回動できる。その際に無端回動体を、作用経路部においてローラ群に下方から当接でき、これにより、無端回動体によってローラ群を容易に駆動回転できて、ローラ群により支持している物品の搬送経路上での搬送を、常に円滑かつ確実に行うことができる。そして使用中においては、常に嵌合部の下位部分を貫通孔の下位円弧部に上方から当接させていることから、使用径過に伴ってカラー体の調整状態が乱れることはなく、その調整位置を安定して維持できる。
【0020】
また上記した本発明の請求項2によると、案内輪体装置の最終調整を行うに、スパナなどの回転操作具を、扁平面部を利用して係合させることで、カラー体を容易に正確に回転できる。
【0021】
そして上記した本発明の請求項3によると、中間案内輪体から駆動用輪体に亘って巻き掛けた無端回動体を、反転用の案内輪体装置における案内輪体に掛けたのち、案内輪体装置の最終調整を行うことで、所定の状態に組み立てたローラコンベヤ設備においては、駆動装置により駆動用輪体を回転させることで無端回動体を回動できる。その際に無端回動体を、搬送経路の両端部分では反転用の案内輪体装置における案内輪体により反転案内でき、案内輪体装置間の作用経路部においては中間案内輪体群により支持案内でき、以て無端回動体によりローラ群を容易に駆動回転できる。
【0022】
さらに上記した本発明の請求項4によると、ローラ群により支持している物品のカーブ状搬送経路上での搬送を、常に円滑かつ確実に行うことができる。
しかも上記した本発明の請求項5によると、V状ベルト体を回動させる際に、V状面をV状案内面により嵌合案内して行うことで、案内輪体によるV状ベルト体の支持案内を常に安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[実施の形態]
以下に、本発明の実施の形態を、カーブ搬送に採用した状態として図に基づいて説明する。
【0024】
図2〜図4において、ローラコンベヤ設備1のフレーム本体2は、左右一対のコンベヤフレーム3と、両コンベヤフレーム3の下部間に設けられた連結フレーム4などにより構成され、そして、コンベヤフレーム3の下部間でかつ長さ方向における複数箇所には脚部材5が連結されている。その際に両コンベヤフレーム3は、平面視においてほぼ90度状に曲げ形成されている。
【0025】
両コンベヤフレーム3間には、長さ方向における多数箇所に位置されてローラ6が遊転自在に設けられている。すなわちローラ6群は、前記コンベヤフレーム3に形成された六角孔(または切り欠き部)にローラ軸7の両端の六角軸部が位置されることで、両コンベヤフレーム3間で遊転自在に支持されている。これにより、ローラ6群の上方にほぼ90度状のカーブ状搬送経路(搬送経路の一例)9が形成される。
【0026】
その際にローラ6群は、一方側(カーブ中心側)に位置されるコンベヤフレーム3に対する六角軸部の支持位置が、他方側(カーブ中心とは離れた側)に位置されるコンベヤフレーム3に対する六角軸部の支持位置に比べて上位となるように、すなわち、他方側が下位なるように傾斜して配設されている。そして、各ローラ6の他方側部分には台形円錐状の筒状部材8が外嵌され、以て筒状部材8の上面部とローラ6における一方側部分の上面部とを同一状のレベルとして物品(被搬送物)の支持が安定して行われるものでありながら、径が大となる筒状部材8の周距離(搬送距離)によってカーブ状搬送経路9上での搬送が円滑に行われるように構成されている。
【0027】
図1〜図6において、前記フレーム本体2内でかつ一方側のコンベヤフレーム3の位置にはコンベヤ駆動手段11が配設されている。すなわち、ローラ6群の下方でカーブ状搬送経路9の両端にはそれぞれ反転用の案内輪体装置12が配設されている。これら案内輪体装置12は、一方側のコンベヤフレーム3に形成された左右方向の貫通孔3Aに嵌合係止されて回転自在なカラー体13を有している。このカラー体13の本体部分14は横向き円柱状で、その外周面における180度変位した二箇所は面取り(カット)により回転操作用の扁平面部14aに形成され、そして扁平面部14a間の残部二箇所は円柱状軸心18Aを中心とした円弧面14bに形成されている。さらに内側の端部には、円柱状軸心18Aに対して所定量Lで偏心した嵌合軸心17Aを中心とした状態で、小径の嵌合突部15が一体に形成されている。
【0028】
ここで嵌合突部15の外径dは、前記貫通孔3Aの内径Dよりも少し小さく、すなわち、d<Dに設定されており、以て嵌合突部15は貫通孔3Aに嵌合自在に構成される。また嵌合突部15の突出量は、コンベヤフレーム3の板厚に対して同等、若しくは少し短く設定されている。そして、嵌合突部15を除いた本体部分14における外側の端面がコンベヤフレーム3に対する当接面16に形成され、以て嵌合状態で係止自在に構成されている。またカラー体13には、外側に開放される外向き螺子孔17が嵌合軸心17A上に形成されるとともに、内側に開放される内向き螺子孔18が円柱状軸心18A上に形成され、以て外向き螺子孔17と内向き螺子孔18とが前述した所定量Lで偏心して形成されることになる。
【0029】
そして前記カラー体13は、その嵌合突部15を貫通孔3Aに嵌合させるとともに、当接面16をコンベヤフレーム3に当接係止させた状態で、外向き螺子孔17に外側から外ボルト体20が螺合されることで、一方のコンベヤフレーム3側に固定自在に構成される。またカラー体13は、軸受21を介して案内輪体22を遊転自在に支持した内ボルト体23が内向き螺子孔18に内側から螺合されることで、案内輪体22を遊転自在に支持するように構成される。なお案内輪体装置12の部分には、案内輪体22の下部を囲む状態でカバー体24が配設され、このカバー体24は連結具(ボルト・ナットなど)25を介してコンベヤフレーム3側に連結されている。以上の13〜25などにより反転用の案内輪体装置12の一例が構成される。
【0030】
両コンベヤフレーム3の下部間に、上下位置調整手段29を介してボックス状の駆動部フレーム30が設けられ、この駆動部フレーム30に減速機付きのモータ(駆動装置の一例)31が搭載されるとともに、モータ31の出力軸32には駆動用輪体33が設けられている。さらに、モータ31の近くにおいて一方側のコンベヤフレーム3には、一対の反転案内輪体34が横軸35などを介して遊転自在に設けられている。また、両案内輪体装置12間においてローラ6群の下方には、多数の中間案内輪体36が横軸37などを介して遊転自在に設けられ、そして中間案内輪体36群の下方には、複数の下部案内輪体38が横軸39などを介して遊転自在に設けられている。
【0031】
両面がV状面40a,40bのV状ベルト体(無端回動体の一例)40は、両案内輪体装置12の案内輪体22と中間案内輪体36群とに亘って上方から掛けられて、前記ローラ6群に下方から当接自在に構成されるとともに、その当接により回転動力が伝達されるように構成されている。さらに、下部案内輪体38群に上方から掛けられるとともに、両反転案内輪体34に掛けられたのち、駆動輪体33に掛けられることで、回動力が付与される構成になっている。すなわちローラ6群は、コンベヤ駆動手段11のV状ベルト体40が下方から当接されることで駆動回転可能に構成されている。
【0032】
その際に、案内輪体22、駆動用輪体33、中間案内輪体36には、内向きのV状面40aを嵌合案内するためのV状案内面22A,33A,36Aが溝状に形成され、また反転案内輪体34、下部案内輪体38には、外向きのV状面40bを嵌合案内するためのV状案内面34A,38Aが溝状に形成されている。以上の12〜40などによりコンベヤ駆動手段11の一例が構成される。
【0033】
なお図2、図3において、カーブ状搬送経路9の両端部におけるローラ6として、筒状部材8が外嵌されていない形式が示されているが、この場合にローラ6は、傾斜させることなく水平状で配設されるものである。またカーブ状搬送経路9の両端部の外方には、直線状のローラコンベヤ設備10が接続して配設されている。
【0034】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
ローラコンベヤ設備1を組み立てる際に、反転用の案内輪体装置12では、まずカラー体13の内向き螺子孔18に、軸受21を介して案内輪体22を遊転自在に支持した内ボルト体23を内側から螺合することで、カラー体13側に案内輪体22を遊転自在に支持させる。そして案内輪体22を支持したカラー体13を、その嵌合突部15を貫通孔3Aに内側から嵌合させるとともに、当接面16をコンベヤフレーム3に当接係止させた状態で、外向き螺子孔17に外側から外ボルト体20を螺合させる。その際に外ボルト体20は緩く螺合させ、以てカラー体13を、図5(a)、図6に示すように、一方のコンベヤフレーム3側に仮止め状態に固定させる。
【0035】
このとき、嵌合突部15の外周で下位円弧部は、貫通孔3Aの内周で下位円弧部に上方から当接している。この前後に、中間案内輪体36、下部案内輪体38、反転案内輪体34、駆動用輪体33に亘って巻き掛けられているV状ベルト体40を、案内輪体22に対して掛ける。その後に、上下位置調整手段29を操作して駆動部フレーム30、すなわち駆動用輪体33を上下に移動させ、以てV状ベルト体40の張力を好適に調整する。
【0036】
以上のような操作を含めてローラコンベヤ設備1を組み立てたのち、反転用の案内輪体装置12の最終調整を行う。すなわちスパナなどの回転操作具を、扁平面部14aを利用した本体部分14に係合させることで、カラー体13を容易に正確にして回転させる。その際にカラー体13の回転は、嵌合突部15の外周で下位円弧部を貫通孔3Aの内周で下位円弧部に上方から当接させた状態で、貫通孔3Aに嵌合している嵌合突部15の軸心、つまり外向き螺子孔17の嵌合軸心17Aの周りで行われる。これにより、外向き螺子孔17の嵌合軸心17Aに対して所定量Lで偏心している内向き螺子孔18の円柱状軸心18Aを、嵌合軸心17Aの周りに公転させる状態となり、以て案内輪体22を嵌合軸心17Aの周りで上下ならびに前後に変位し得る。
【0037】
このような変位によって、図5(a)に示すように、案内輪体22に掛けられてローラ6の下面から外向きのV状面40bが離間していたV状ベルト体40を持ち上げて、図5(b)に示すように、案内輪体装置12の上方に位置しているローラ6の下面に好適な当接圧で当接し得る。そして、外向き螺子孔17に対する外ボルト体20の螺合を強く行うことで、案内輪体22を好適な位置としたカラー体13を、一方のコンベヤフレーム3側に強く固定(締結)し得る。すなわち、カラー体13を嵌合軸心17Aの周りで回転させるという、簡単かつ容易でしかも迅速な調整操作によって、案内輪体装置12の案内輪体22を最適な位置に調整し得る。
【0038】
このようにして所定の状態に組み立てたローラコンベヤ設備1においては、コンベヤ駆動手段11におけるモータ31の駆動により駆動用輪体33を回転させることで、V状ベルト体40を回動し得る。その際にV状ベルト体40は、カーブ状搬送経路9の両端部分では反転用の案内輪体装置12における案内輪体22に反転案内され、案内輪体装置12間の作用経路部においては中間案内輪体36群により支持案内され、またリターン経路部においては下位案内輪体38群により支持案内され、駆動用輪体33の近くでは反転案内輪体34により支持案内される。
【0039】
このようにして回動させているV状ベルト体40は、作用経路部において前記ローラ6群に下方から当接し得る。これにより、V状ベルト体40によってローラ6群を容易に駆動回転させ得、以てローラ6群により支持している物品(折畳みコンテナ、コンテナ、ダンボールなど)のカーブ状搬送経路9上での搬送を、常に円滑かつ確実に行えることになる。
【0040】
その際に、内向きのV状面40aをV状案内面22A,33A,36Aにより嵌合案内し、また外向きのV状面40bをV状案内面34A,38Aにより嵌合案内して行うことで、駆動用輪体33によるV状ベルト体40への駆動力伝達は常に充分な摩擦力で行えるとともに、輪体22,36,34,38によるV状ベルト体40の支持案内は常に安定して行える。
【0041】
そして使用中においては、常に嵌合突部15の外周で下位円弧部を貫通孔3Aの内周で下位円弧部に上方から当接させていることから、使用径過に伴ってカラー体13の調整状態が乱れることはなく、その調整位置を安定して維持し得る。
【0042】
なお図5(b)では、円柱状軸心18Aが嵌合軸心17Aの真上に位置する状態に変位させているが、これは当接圧によって任意の角度に変位し得るものである。
上記した実施の形態では、案内輪体装置として反転用の案内輪体装置12が示されているが、これは中間案内輪体36の一部または全部に案内輪体装置の構造を採用した形式などであってもよい。
【0043】
上記した実施の形態では、カラー体13として、その外面に回転操作用の扁平面部14aが形成された形式が示されているが、これは全周が円弧面14bに形成され、手動操作により回転させる形式などであってもよい。
【0044】
上記した実施の形態では、反転用の案内輪体装置12間に中間案内輪体36群を配設してV状ベルト体40を支持案内する形式が示されているが、これは反転用の案内輪体装置12間にガイド板を配設して、V状ベルト体40を摺接により支持案内する形式などであってもよい。
【0045】
上記した実施の形態では、カーブ状搬送経路9を形成したローラコンベヤ設備1が示されているが、これはコンベヤフレーム3を直状とし、そして筒状部材8が外嵌されていないローラ6群を採用するなどして、直線状搬送経路を形成したローラコンベヤ設備の形式などであってもよい。
【0046】
上記した実施の形態では、無端回動体として、両面がV状面40a,40bのV状ベルト体40を使用した形式が示されているが、これは、いずれか片面がV状面のV状ベルト体を使用した形式や、平ベルト体を使用した形式などであってもよい。
【0047】
上記した実施の形態では、ローラ6群を、共通のコンベヤ駆動手段11のV状ベルト体40を下方から当接させて駆動回転させる形式が示されているが、これは搬送経路を複数のゾーンに分け、各ゾーン毎にコンベヤ駆動手段11が配設される形式などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態を示し、ローラコンベヤ設備における反転用の案内輪体装置部分の分解斜視図である。
【図2】同ローラコンベヤ設備の一部切り欠き平面図である。
【図3】同ローラコンベヤ設備の展開状での一部切り欠き側面図である。
【図4】同ローラコンベヤ設備の縦断正面図である。
【図5】同ローラコンベヤ設備における反転用の案内輪体装置部分で、(a)は調整前の一部切り欠き正面図、(b)は調整後の一部切り欠き正面図である。
【図6】同ローラコンベヤ設備における反転用の案内輪体装置部分での一部切り欠き平面図である。
【図7】同ローラコンベヤ設備における反転用の案内輪体装置部分での一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ローラコンベヤ設備
2 フレーム本体
3 コンベヤフレーム
3A 貫通孔
6 ローラ
9 カーブ状搬送経路(搬送経路)
11 コンベヤ駆動手段
12 反転用の案内輪体装置
13 カラー体
14 本体部分
14a 扁平面部
14b 円弧面
15 嵌合突部
16 当接面
17 外向き螺子孔
17A 嵌合軸心
18 内向き螺子孔
18A 円柱状軸心
20 外ボルト体
22 案内輪体
22A V状案内面
23 内ボルト体
29 上下位置調整手段
31 モータ(駆動装置)
33 駆動用輪体
33A V状案内面
34 反転案内輪体
34A V状案内面
36 中間案内輪体
36A V状案内面
38 下部案内輪体
38A V状案内面
40 V状ベルト体(無端回動体)
40a V状面
40b V状面
L 所定量
d 嵌合突部15の外径
D 貫通孔3Aの内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム本体を構成する左右一対のコンベヤフレーム間に、長さ方向における多数箇所に位置されてローラが遊転自在に設けられて搬送経路が形成され、前記フレーム本体内にはコンベヤ駆動手段が配設され、このコンベヤ駆動手段は、駆動装置により駆動される無端回動体と、この無端回動体を前記ローラ群に下方から当接すべく案内する案内輪体装置とを有し、この案内輪体装置は、前記コンベヤフレームに形成された左右方向の貫通孔に嵌合係止されて回転自在なカラー体を有し、このカラー体には外側に開放される外向き螺子孔と内側に開放される内向き螺子孔とが偏心して形成され、前記カラー体は、外向き螺子孔に外側から螺合される外ボルト体によりコンベヤフレーム側に固定自在に構成されるとともに、案内輪体を遊転自在に支持した内ボルト体を内向き螺子孔に内側から螺合自在に構成されていることを特徴とするローラコンベヤ設備。
【請求項2】
カラー体の外面には、回転操作用の扁平面部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のローラコンベヤ設備。
【請求項3】
コンベヤ駆動手段が、ローラ群の下方で搬送経路の両端にそれぞれ配設される反転用の案内輪体装置と、両案内輪体装置間でローラ群の下方に位置される中間案内輪体群と、駆動装置に連動連結される駆動用輪体と、両案内輪体装置と中間案内輪体群とに亘って上方から掛けられて、前記ローラ群に下方から当接されるとともに、前記駆動用輪体に掛けられる無端回動体とにより構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のローラコンベヤ設備。
【請求項4】
搬送経路がカーブ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のローラコンベヤ設備。
【請求項5】
無端回動体は、少なくとも片面がV状面のV状ベルト体からなり、案内輪体は、V状面を嵌合案内するV状案内面が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のローラコンベヤ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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