説明

ローラ装置及び画像形成装置

【課題】簡単な機構でローラの摺動抵抗を低減する。
【解決手段】本体部1aと該本体部1aの両端に各々突き出した一対の支持軸部1b,1bとからなるローラ1と、線状材からなり、各々の支持軸部1b,1b回りに巻回されてなる一対のコイル部2a,2aと当該コイル部2a,2aを連結する連結部2bとからなる線状材軸受2とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に記載されているように、プリンタや複写機等の画像形成装置では、互いに対向配置された一対のローラを搬送路に沿って複数配置することによって用紙(記録紙)を給紙トレイから排出トレイまで搬送している。このようなローラには、搬送路状の場所や付帯的な機能等に応じて搬送ローラ、レジストローラ、排紙ローラ等の名称が付与されているが、一般に一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。すなわち、このようなローラでは、モータ等の駆動装置によって駆動ローラが能動的に回転することによって用紙を従動ローラとの間に挟んで搬送する。なお、画像形成装置によっては、用紙と搬送路との摩擦を低減する目的で、搬送路における上記ローラの間に用紙を案内する単独のローラ(ガイドローラ)を配置するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−160256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従動ローラやガイドローラは、用紙に当接する円筒状の本体部と当該本体部の両端に突き出した支持軸部(丸棒状部位)とから形成される樹脂成型部品であって、搬送路を形成するガイド部材(樹脂成型部品)に半ば埋め込む状態で回転自在に支持される場合がある。すなわち、ガイド部材には、上記支持軸部よりも多少大きめに形成された保持部位(略丸穴状部位)が成型され、従動ローラやガイドローラは、支持軸部が保持部位に嵌め合わされることによって回転自在に支持される。
【0005】
しかしながら、上記支持軸部と保持部位とは摺動接触状態で嵌め合っているので、支持軸部の摩耗や持軸部の破損による搬送機能低下の虞がある。特に、上記従動ローラやガイドローラを用紙を高速搬送する画像形成装置(高速機)に適用した場合には、持軸部の摩耗や持軸部の破損が発生し易いので、搬送機能低下の虞が高い。
なお、ボールベアリング等の軸受を従動ローラやガイドローラに採用して摺動抵抗を低減することにより上記問題を解決することが容易に考えられるが、画像形成装置の場合、搬送路のスペースが狭いため、またコスト上の要求等から一般的な軸受を従動ローラやガイドローラに採用することはできない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な機構でローラの摺動抵抗を低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ローラ装置に係る第1の解決手段として、本体部と該本体部の両端に各々突き出した一対の支持軸部とからなるローラと、線状材からなり、各々の支持軸部回りに巻回されてなる一対のコイル部と当該コイル部を連結する連結部とからなる線状材軸受とを具備する、という手段を採用する。
【0008】
ローラ装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、一対のコイル部は、線状材の各端部が支持軸部の先端側に位置するように巻回されている、という手段を採用する。
【0009】
ローラ装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、線状材は、弾性を有する金属線である、という手段を採用する。
【0010】
また、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段に係るローラ装置が記録紙の搬送路に設けられている、という手段を採用する。
【0011】
画像形成装置に係る21の解決手段として、上記第1の解決手段において、搬送路に単独配置され、記録紙と搬送路との摩擦を低減するガイドローラである、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体部と該本体部の両端に各々突き出した一対の支持軸部とからなるローラと、線状材からなり、各々の支持軸部回りに巻回されてなる一対のコイル部と当該コイル部を連結する連結部とからなる線状材軸受とを具備するので、つまりローラに線状材からなる線状材軸受を付加したものなので、簡単な機構でローラの摺動抵抗を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るガイドローラAの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の搬送路を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の搬送路におけるガイドローラAの装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るガイドローラAは、図1に示すように、ローラ1と線状材軸受2とから構成されている。ガイドローラAは、画像形成装置の搬送路に設けられた搬送ローラ(駆動ローラと従動ローラとが対をなして用紙を移送するローラ)の間に単独で設けられるローラであり、用紙と搬送路との摩擦を低減するために用紙(記録紙)を案内する。
【0015】
ローラ1は、本体部1aと一対の支持軸部1bとからなる樹脂成型部品である。本体部1aは、上記用紙に当接する円筒状部位である。各々の支持軸部1bは、上記本体部1aの両端に突き出した丸棒状部位である。このようなローラ1は、一点鎖線で示す回転軸周りに回転する。
【0016】
線状材軸受2は、コイル部2aと連結部2bとからなる線状材成型部品であり、本ガイドローラAの特徴的構成要素である。コイル部2aは、線状材が各々の支持軸部1b回りに巻回されて形成された線状材部位である。より詳しく説明すると、このコイル部2aは、隣り合う線状材同士が接触する状態(つまり密着巻き)で、かつ、線状材を上記回転軸に沿って一重に巻回することによって形成されたものである。
【0017】
このようなコイル部2aの内径は、挿入状態の支持軸部1bがコイル部2aに対して回動自在なように当該コイル部2aの軸径よりも若干大きめに設定されている。また、各々のコイル部2aは、図示するように、線状材の各端部が支持軸部1bの先端側(本体部1aの反対側)に位置するように巻回されている。連結部2bは、このような一対のコイル部2aを連結すると共にコイル部2aの回り止めとして機能する線状材部位であり、図示するように線状材を「コ」の字状に屈曲させた線状材部位である。なお、この連結部2bの形状は、「コ」の字状に限らず、例えば円弧状であっても良い。
【0018】
このような線状材軸受2に用いられる線状材は、弾性を有する金属であり、例えばコイルばねの材料として用いられる硬鋼線、ピアノ線あるいはステンレス鋼線である。なお、線状材は、丸線であっても角線であっても良いが、摩擦低減の目的上、接触面積が小さい丸線がより好ましい。
【0019】
このような本ガイドローラAが設けられる画像形成装置は、図2に示すような搬送路を備える。この搬送路において、符号3は搬送ローラ、符号4はレジストローラ、符号5は感光ドラム、符号6は転写ローラ、符号7は定着ローラ、符号8は第1排紙ローラ、符号9は第2排紙ローラ、また符号Aは上述したガイドローラである。
【0020】
搬送ローラ3は、搬送路の要所に離散的に配置されており、駆動ローラと従動ローラとからなる。レジストローラ4は、矢印で示すように、画像形成のために給紙カセットから取り出されて感光ドラム5に供給される用紙について、感光ドラム5への供給タイミングを調節するためのローラであり、上記搬送ローラ3と同様に駆動ローラと従動ローラとからなる。
【0021】
感光ドラム5は、所定の感光材料から形成され、露光・現像処理によって表面(周面)にトナー像が形成される一種の駆動ローラである。転写ローラ6は、このような感光ドラム5と対をなす駆動ローラであり、上記トナー像を用紙上に転写させるために用紙を感光ドラム5に押圧しつつ定着ローラ7に移送する。定着ローラ7は、加熱ローラと加圧ローラとからなる一対のローラであり、熱及び圧力を加えることにより用紙上のトナー像の用紙への固着状態を強化すると共に、当該用紙を第1排紙ローラ8あるいは第2排紙ローラ9に移送する。
【0022】
第1排紙ローラ8は、画像形成が完了した用紙を第1の排紙トレイに排出するためのローラであり、駆動ローラと従動ローラとからなる。第2排紙ローラ9は、画像形成が完了した用紙を第2の排紙トレイに排出するためのローラであり、駆動ローラと従動ローラとからなる。なお、定着ローラ7の用紙出口側には、図示しない分配機構が設けられており、定着ローラ7によって定着処理が完了した用紙を第1排紙ローラ8あるいは第2排紙ローラ9に択一的に分配する。
【0023】
このような搬送ローラ3→レジストローラ4→感光ドラム5(転写ローラ6)→定着ローラ7→第1排紙ローラ8あるいは第2排紙ローラ9に至る搬送路は、用紙の片面に画像形成する場合の通常経路であるが、用紙に両面印刷する場合には、移送途中で第2排紙ローラ9を逆回転させることにより、第2排紙ローラ9に至った用紙を通常経路から分岐状に設けられた戻り経路を通過させてレジストローラ4に再度移送する。この戻り経路を経由してレジストローラ4に再移送された用紙は最初の移送時に対して表裏が反転している。
【0024】
このような戻り経路には、図示するように複数の搬送ローラ3と複数のガイドローラAが配置されている。ガイドローラAは、図3に示すように搬送路を形成するガイド部材10に半ば埋め込む状態で回転自在に支持されている。すなわち、このガイド部材10には、ガイドローラAにおける本体部1aを半ば収容するローラ収容部10aと、当該ローラ収容部10aの両側にガイドローラAのコイル部2aと略同形の溝を有する軸挟持部10bが形成されている。ガイドローラAは、本体部1aの両側に位置する一対のコイル部2aが図示するように軸挟持部10bに嵌め合わされることによってガイド部材10に支持されている。ガイド部材10は、ある程度の可撓性を有した樹脂成型部品である。
【0025】
ここで、ガイドローラAの連結部2bは、ローラ収容部10a内の奥に収容されて固定されるが、必要に応じて搬送路上にローラ収容部10aとは別に引っ掛け部を設け、当該引っ掛け部で固定するようにしても良い。なお、この引っ掛け部にて連結部2bを引っ掛けて固定する場合には、用紙の通紙方向においてガイドローラAの下流側に設けることが好ましい。上流側に設けた場合には連結部2bが引っ掛け部から外れる虞があるので、好ましくない。
【0026】
次に、このように構成されたガイドローラA及び画像形成装置の作用効果について説明する。
本ガイドローラAでは、ローラ1における一対の支持軸部1bは、各々にコイル部2aを介してガイド部材10に支持される。すなわち、支持軸部1bがそれぞれ挿入される一対のコイル部2aは、線状材をコイル状に巻回した簡単な構成ではあるが、軸受として機能する。
【0027】
すなわち、本ガイドローラAによれば、従来のように支持軸部をガイド部材に直接支持させる場合よりも摺動抵抗を低減することができるので、支持軸部1bの摩耗や支持軸部1bの破損が従来よりも発生し難く、この結果として搬送機能低下の虞を従来よりも低下させることができる。
【0028】
また、本ガイドローラAでは、連結部2bによって一対のコイル部2aが連結された構成を有する。例えば、連結部2bを削除して一対のコイル部2aを単独部品とすることも考えられるが、この場合には、3つの単独部品から構成されることになるので、部品としての取り扱い性が悪い。本ガイドローラAによれば、一対のコイル部2aが弾性を有する連結部2bによって連結されているので、各支持軸部1bに対する各コイル部2aの挿入が容易であり、またこの挿入状態を維持することができ、よって単一の部品として取り扱うことができるので取り扱い性に優れている。
【0029】
また、コイル部2aが密着巻きとなっているので、本体部1aが回転軸の軸線方向に移動することを抑制することができる。仮に、コイル部2aが密着巻きではなく、隙間を持つ状態に巻回されている場合には、この隙間の存在によって本体部1aが回転軸の軸線方向に移動し易くなる。
【0030】
なお、線状材軸受2を金属線で構成したが、耐摩耗性を向上させるために、金属線の表面に耐摩耗コーティングを施したりしても良い。また、上記実施形態は、本発明をガイドローラに適用したものであるが、本発明は、ガイドローラ以外の従動ローラにも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
A…ガイドローラ、1…ローラ、1a…本体部、1b…支持軸部、2…線状材軸受、2a…コイル部、2b…連結部、3…搬送ローラ、4…レジストローラ、5…感光ドラム、6…転写ローラ、7…定着ローラ、8…第1排紙ローラ、9…第2排紙ローラ、10…ガイド部材、10a…ローラ収容部、10b…軸挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と該本体部の両端に各々突き出した一対の支持軸部とからなるローラと、
線状材からなり、各々の支持軸部回りに巻回されてなる一対のコイル部と当該コイル部を連結する連結部とからなる線状材軸受と
を具備することを特徴とするローラ装置。
【請求項2】
一対のコイル部は、線状材の各端部が支持軸部の先端側に位置するように巻回されていることを特徴とする請求項1記載のローラ装置。
【請求項3】
線状材は、弾性を有する金属線であることを特徴とする請求項1または2記載のローラ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のローラ装置が記録紙の搬送路に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
搬送路に単独配置され、記録紙と搬送路との摩擦を低減するガイドローラであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−215370(P2011−215370A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83357(P2010−83357)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】