説明

ロールブラシング装置、これを含むインクジェットヘッド清掃システム及びその方法

【課題】インクジェットヘッドを損傷しないインクジェットヘッドを整備するロールブラシング装置、これを含むインクジェットヘッド清掃システム及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明によるロールブラシング装置は、ケース、ケースに軸が結合されて回転可能でインクジェットヘッドの底面を清掃するロールブラシ、及びロールブラシの円周面の一部を覆うロールブラシカバーを含む。従って、インクジェットヘッドの清掃が完了すると、ロールブラシカバーを回転してロールブラシの上側に位置させ、ロールブラシを高速回転させることによってロールブラシ表面の汚れが周辺部に付着することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールブラシング装置、これを含むインクジェットヘッド清掃システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンティングシステムは、印刷法による薄膜パターンの形成、例えば、有機発光表示装置の発光層を含んだ多様な有機物で構成される薄膜パターン、液晶表示装置の色フィルターパターン及び配向膜パターンなどを形成する場合に使用できる。色フィルター形成のためのインクジェットヘッド清掃システムは、インクジェットプリンティング本体、インクジェットプリンティングヘッド、及びインキを含み、ガラス基板上の所定領域にインキを正確に噴射するため、ヘッドの精密な整列(位置合わせ:alignment)が要求される。インクジェットプリンティング方法により、色フィルターを形成するためには、インクジェットヘッドの底面に備えられた複数のノズルを用いて所定位置に一定量のインキが滴下(または散布)される。
【0003】
従って、インクジェットプリンティングシステムでは、インクジェットヘッドのノズル状態を正常かつ清潔に維持及び管理することが非常に重要である。インクジェットヘッドのノズルの底面が汚れる(汚染される)場合には、噴射散布及び噴射直進性が悪くなる。噴射直進性が悪くなる場合には、隣接する画素(散布面の単位領域)にインキが噴射される可能性が高くなる。また、インクジェットヘッドノズルの底面の汚れ方(汚染状況)がひどい場合には、噴射できずにノズル底面にインキがこびり付いて隣接ノズルまでも噴射できなくなる。
【特許文献1】特開平6−126970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、インクジェットヘッドを損傷せずにインクジェットヘッドを整備するロールブラシング装置、これを含むインクジェットヘッド清掃システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるロールブラシング装置は、ケース、前記ケースに軸が結合されて回転可能で、インクジェットヘッドの底面を清掃するロールブラシ、前記ロールブラシの円周面の一部を覆うロールブラシカバーを含むことを特徴とする。
【0006】
前記インクジェットヘッドの底面を清掃する間、前記ロールブラシカバーは前記ロールブラシと前記ケースの底面の間に位置することが好ましい。前記ロールブラシによるインクジェットヘッドの底面の清掃が完了した後に、前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシと前記インクジェットヘッドの間に位置することが好ましい。前記ロールブラシによるインクジェットヘッド底面を清掃する時には、前記ロールブラシは50RPM未満の速度で回転し、前記ロールブラシ自体の清掃時には前記ロールブラシは50RPM以上の速度で回転することが好ましい。前記ケースの前記ロールブラシの下には、溶剤噴射部が設置されることが好ましい。前記溶剤噴射部は、所定角度に傾いて溶剤を前記ロールブラシに噴射することが好ましい。前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの半円周面を覆うことが好ましい。前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの円周面に沿って回転移動可能であることが好ましい。
【0007】
本発明によるインクジェットヘッド清掃システムは、インクジェットヘッドの底面に溶剤を噴射する溶剤噴射装置、前記溶剤噴射装置と所定間隔に離隔されて、前記溶剤噴射装置によって溶かしたインクジェットヘッド底面の汚れ(汚染物質)を吸入する吸入装置、前記吸入装置と所定間隔に離隔されて、空気を噴射する空気噴射装置、ケース、前記ケースに軸が結合されかつ回転可能で、インクジェットヘッドの底面を清掃するロールブラシ、及び前記ロールブラシの円周面の一部を覆うロールブラシカバーを含むロールブラッシング装置を含むことを特徴とする。
【0008】
前記ロールブラシによるインクジェットヘッドの底面を清掃する間、前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシと前記ケースの底面の間に位置することが好ましい。前記ロールブラシによるインクジェットヘッドの底面の清掃が完了した後に、前記ロールブラシカバーは前記ロールブラシと前記インクジェットヘッドの間に位置することが好ましい。前記ロールブラシによるインクジェットヘッド底面の清掃時には、前記ロールブラシは50RPM未満の速度で回転し、前記ロールブラシ自体の清掃時には、前記ロールブラシは50RPM以上の速度で回転することが好ましい。前記ケースの前記ロールブラシの下には溶剤噴射部が形成または設置されることが好ましい。前記溶剤噴射部は、所定角度に傾いて溶剤を前記ロールブラシに噴射することが好ましい。前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの半円周面を覆うことが好ましい。前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの円周面に沿って回転移動可能であることが好ましい。
【0009】
本発明によるインクジェットヘッド清掃方法は、インクジェットヘッド内部のインキを全て除去する段階、前記インクジェットヘッドの底面に溶剤を噴射する段階、前記インクジェットヘッド底面の汚れ(汚染物質)を吸入する段階、前記インクジェットヘッド底面に空気を噴射する段階、前記インクジェットヘッドの底面にロールブラシを接触させるため、ロールブラシを移動する段階、そして前記インクジェットヘッドから汚れを除去するため、約50RPMより遅い速度で前記ロールブラシを回転させる段階を含むことを特徴とする。
【0010】
前記インクジェットヘッドから前記ロールブラシを分離する段階、そして前記インクジェットヘッドと前記ロールブラシの間にロールブラシカバーを位置させる段階を含むことが好ましい。前記ロールブラシから汚れを除去するために、前記ロールブラシを50RPM以上の速度で回転させる段階をさらに含むことが好ましい。前記汚れを溶かすために、前記ロールブラシに溶剤を噴射する段階をさらに含むことが好ましい。前記溶剤は、前記ロールブラシの回転軸から所定角度で噴射されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるロールブラシング装置、インクジェットヘッド清掃システム及びその方法は、溶剤を利用してインクジェットヘッドを清掃することによってインクジェットヘッドの底面に損傷を与えずに汚れ(汚染物質)を除去することができる。また、ロールブラシング装置のブラシを回転させて物理的摩擦を起こすことによって、インクジェットヘッド底面の汚れを除去することができる。長時間放置されて固まった汚れであっても除去することができる。また、ロールブラシによるインクジェットヘッド底面の清掃が完了した後、ロールブラシカバーをロールブラシの上側に位置させたから、ロールブラシの清掃時、遠心力によってロールブラシに存在する残余インキが再びインクジェットヘッド及びその周辺部を汚ごすことがないようにできる。ロールブラシの清掃時、溶剤噴射部から溶剤をロールブラシに噴射するようにしたので、ロールブラシの清掃効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明によるインクジェットヘッド清掃システムについて添付図を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は多様な形態に実現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【実施例】
【0013】
図1は、複数のインクジェットヘッドユニットが色フィルターを形成する工程を示した図であり、図2は複数のインクジェットヘッドユニットが色フィルターを形成する工程を示した説明図であり、図3は一つのインクジェットヘッドユニットを概略的に示した斜視図であり、図4は一つのインクジェットヘッドユニットを示した平面図であり、図5は、図1のインクジェットヘッドユニットを利用してプリンティングする状態を示した断面図である。
【0014】
図1に示すように、インクジェットプリンティングシステムは、基板210が位置するステージ100、及び基板210上にインキ5を滴下する複数のインクジェットヘッド401、402、403、404を含む。図1及び図2に示すように、ステージ100上の基板210に色フィルター230を形成するため、インクジェットヘッド401、402、403、404をx方向に移動させながらノズル410を通してインキ5を滴下する。従って、所定位置にインキ5が滴下されて基板210上のブラックマトリックス220の間に色フィルター230が形成される。長い棒形状のインクジェットヘッド401の底面に複数のノズル410が形成されている。
【0015】
この時、反復印刷を減らして色フィルター形成工程の効率を向上させるために、図1に示すように、複数のインクジェットヘッド401、402、403、404を一体的に装着して印刷工程を進行することもでき、一つのインクジェットヘッド401を数回反復移送することによって、基板200の全領域に色フィルター210を形成することもできる。なお、前記の‘一体的’とは、‘互いの位置関係が実質的に不変’であることをいう。また、インクジェットヘッド401は、複数色のノズル410R、410G又は410Bが形成または設置されている同数のインクジェットヘッド401R、401G又は401B、及びヘッド401R、401Bの中央部に形成または設置されている整列軸対500(つまり、軸501と軸502)を含む。3個のインクジェットヘッドは、赤色用ヘッド401R、緑色用ヘッド401G及び青色用ヘッド401Bの3個のヘッドであることが好ましく、長い棒形状のヘッド401R、401G、401Bの底面に複数のノズル410R、410G、410Bが形成または設置されている。
【0016】
3個のヘッド401R、401G、401Bは、互いに平行にかつ同じ間隔を維持していて、これらのヘッドは同時に所定角度(θ)でy方向から傾いて設置されている。これは図2で示すように、ノズルピッチ(D)が画素ピッチ(P)より大きいため、ノズルから滴下されるインキ間隔を画素ピッチ(P)と一致させるためである。即ち、インクジェットヘッドに形成されるノズル間の距離であるノズルピッチ(D)とプリンティングされる画素間の距離である画素ピッチ(P)には差があるため、インクジェットヘッドを所定角度回転させることによって、ノズルから滴下するインキの間隔を画素ピッチ(P)と一致させる。
【0017】
3個のインクジェットヘッドのうち、中央に位置する基準ヘッド401Gは固定されていて、基準ヘッド401Gの外部両側に位置する第1及び第2調整ヘッド401R、401Bには整列軸500がインクジェットヘッドの中央部に設置されている。このような整列軸500は、第1及び第2調整ヘッド401R、401Bを水平移動、垂直移動及び回転移動させることによって、第1及び第2調整ヘッド401R、401Bを個別整列させることができる。この場合、基準ヘッド401Gを基準にノズルピッチ(D)と画素ピッチ(P)を一致させて、第1及び第2調整ヘッド401R、401Bを水平移動、垂直移動及び回転移動させて3個のヘッド401R、401G、401Bを微細整列させることによって、ヘッド間のノズルピッチ(D)の誤差を補償する。特に、基準ヘッド401Gを除いた第1及び第2調整ヘッド401R、401Bは、独立的に微細回転移動が可能である。
【0018】
即ち、図2に示すように、整列軸500を利用して第1及び第2調整ヘッド401R、401Bを移動させることによって、基準ヘッドのノズル410G及び第1調整ヘッドのノズル410Rの間隔(Y1)と基準ヘッドのノズル410G及び第2調整ヘッドのノズル410Bの間隔(Y2)が互いに一致させる。このように、各々のヘッド毎にヘッドの中央部に整列軸500を形成または設置することによって、ノズル410R、410G、410Bの許容誤差範囲内で個別整列が可能となる。また、ヘッド自体のノズルピッチ(D)差または、複数個ヘッド間の長さの差によって発生する整列不良の問題も解決することができる。
【0019】
上記のインクジェットプリンティングシステムにおいて、インクジェットヘッド401は、赤色用ヘッド401R、緑色用ヘッド401G及び青色用ヘッド401Bの3個のインクジェットヘッド401R、401G、401Bで構成され、インクジェットヘッド401の移動とともに赤色、緑色及び青色色フィルター230または有機発光層を形成する構造であるが、赤色用ヘッド401Rが移動して赤色の色フィルターを形成し、次に、緑色用ヘッド401Gが移動して緑色の色フィルターを形成し、最後に青色用ヘッド401Bが移動して青色の色フィルターを形成する構造のインクジェットプリンティングシステムも本発明の一実施例のインクジェットヘッド清掃システムに適用可能である。
【0020】
このようなインクジェットヘッド401を長期間に亘って使用した場合には、インクジェットヘッド401のノズル410が詰まって不良が発生しやすいため、インクジェットヘッド401の交換が必要となる。従って、本発明の一実施例では、インクジェットヘッド401の底面状態を一定状態に維持及び保守し、ノズルの詰りを防止するインクジェットヘッド清掃システムを提案する。
【0021】
図6は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド清掃システムを示す構成図である。図6で示すように、インクジェットヘッド清掃システムは、溶剤噴射装置60、吸入装置70、空気噴射装置80及びロールブラシング装置90を含み、各装置または装置群は搭載台50に搭載されている。このような溶剤噴射装置60、吸入装置70及び空気噴射装置80は、同一搭載台50に設置することもでき、別の搭載台に各々設置することもできる。溶剤噴射装置60はインクジェットヘッド401の底面に溶剤を噴射して、インクジェットヘッド401の底面、特に、ノズル410周辺の汚れ(汚染物質)3を溶かす。そして、吸入装置70は、溶剤噴射装置60から所定間隔だけ離隔され、溶剤噴射装置60から噴射された溶剤によって溶かしたインクジェットヘッド401底面の汚れ3を吸入して除去する。吸入装置70は、小型真空装置または他の適当な真空装置であることができ、ノズル410と吸入装置70の間の小経路に空気の移動経路を制限する方向ノズルを含む。空気噴射装置80は吸入装置70から所定間隔だけ離隔され、空気を噴射してインクジェットヘッド401の底面の残存溶剤を乾燥させる。このように、溶剤を利用してインクジェットヘッド401を清掃することによって、インクジェットヘッド401の底面に損傷を与えずに汚れ3を除去することができる。
【0022】
図7にはロールブラシング装置90におけるインクジェットヘッド401の底面を回転するロールブラシ320で清掃する状態が示されており、図8にはロールブラシカバー330を半回転させて、溶剤噴射部でロールブラシに付着されている汚れを除去する状態が示されている。図7及び図8に示すように、ロールブラシング装置90は四角枠形状のケース310内に取り付けられる構造であり、その内部が空虚なケース310、及びケース310に軸が結合されて回転するロールブラシ320を含む。このようなロールブラシ320は、ロール表面に清拭布が取り付けられ、回転してインクジェットヘッド401の底面を清拭する。そして、ロールブラシ320の円周面の一部を覆うロールブラシカバー330が設置されている。ロールブラシ320を回転させて物理的にインクジェットヘッド401底面の汚れ3を除去することによって、長時間放置されて固まった頑固な汚れ3も除去することができる。
【0023】
しかし、インクジェットヘッド401の底面を清掃するため、ロールブラシ320が高速回転する時には、遠心力によってロールブラシ320に存在する残余インキが再びインクジェットヘッド401及びその周辺部を汚す問題が生じる。インクジェットヘッド401底面をロールブラシ320で清拭する回数を重ねるに従って、ロールブラシ320の布に付着する汚れは持続的に増加し、この汚れを除去しないでインクジェットヘッド401の清拭操作を長時間行うと、インクジェットヘッド401自体と周辺部を再び汚すことになる。
【0024】
これを防止するため、本発明の一実施例ではインクジェットヘッドの底面を清拭する時にはロールブラシ320の回転速度を減少させ、ロールブラシ自体を清掃する時にはロールブラシ320の回転速度を増加させて、ロールブラシ320の円周面の一部を覆うロールブラシカバー330を導入して、汚れが飛散しないようにしている。図7に示すように、インクジェットヘッド401の下に位置するロールブラシ320を50RPM以下の低速で回転させて、インクジェットヘッド401の底面を清掃する。低速回転するロールブラシ320でインクジェットヘッド401の底面を清掃する間は、ロールブラシカバー330はロールブラシ320の下側に位置する。それにより、ロールブラシ320が低速回転する間は、ロールブラシ320に存在する残余インキが遠心力によって飛散することがなく、インクジェットヘッド401及びその周辺部を汚さない。
【0025】
そして、図8に示すように、ロールブラシ320によるインクジェットヘッド401底面の清掃が完了した後には、ロールブラシ320を50RPM以上で高速回転させ、ロールブラシカバー330はロールブラシ320の上側に位置させて、汚れの飛散を防止する。ロールブラシカバー330はロールブラシ320の半円周面を覆っていて、ロールブラシカバー330は180°回転してロールブラシ320の下側から上側に移動する。従って、ロールブラシ320の高速回転によってロールブラシ320自体の汚れが除去され、ロールブラシ320の高速回転によって発生する汚れが散らばることがロールブラシカバー330によって抑制されるため、周辺部が再び汚れることを防止できる。
【0026】
そして、ロールブラシ320下側のケース310内面には溶剤噴射部340が形成または設置されていて、溶剤噴射部340は所定角度に傾いて溶剤をロールブラシ320に噴射する。従って、ロールブラシ320に付着されている汚れ3が溶けるため、ロールブラシ320の清掃効率が高まり、ロールブラシ320の高速回転による周辺部の再汚染を防止する。
【0027】
このような動作が可能なロールブラシング装置90を図9に示す。(A)は前面(左側面)斜視図であり、(B)は背面(右側面)斜視図である。(A)及び(B)は種々に実現できる。例えば、ロールブラシ320及びロールブラシカバー330を各別に回転させるための2重軸とすることができる。つまり、符号311をロールブラシカバー用の外側軸とし、符号321をロールブラシ用のブラシ軸とし、符号331をカバー軸とすることができる。この場合、外側軸311は、ケース310の軸受け孔(図示せず)で支承されるものとする。つまり、(A)に示すように、ブラシ軸321は、ロールブラシ320を回転させるために、ロールブラシカバー330を通してロールブラシ320の前面に連結される。一方、(B)に示すように、カバー軸331は、ロールブラシカバー330を回転させるためにロールブラシカバー330の背面に連結される。その場合、ブラシ軸321とカバー軸331は、各々個別にブラシと軸の回転を調節するため、各々のモータに連結される。外側軸311は、ブラシ軸321とカバー軸331の外部表面を覆いながら、ロールブラシ320とロールブラシカバー330に連結される。また、外側軸311は、ロールブラシ320とロールブラシカバー330を上下に動く気圧ピストン(図示せず)に連結される。外側軸311は、上下への動きを調節するための垂直溝に位置することができる。機械的または電気的な移送方法等、ロールブラシとカバーを動作させるため多様なメカニズムが利用可能である。
【0028】
このようなインクジェットヘッド清掃システムを利用したインクジェットヘッド清掃方法について以下で詳細に説明する。
清掃方法<A>
図6に示すように、インクジェットヘッド401内部のインキを全て噴射してインクジェットヘッド401の内部にインキが残らないようにする。これはインクジェットヘッド401のノズルが下に向くようにインクジェットヘッド401を回し、インキを全て除去(例えば、残留量を定格容量の5%以下に)する方法のような多様な方法で実行できる。
【0029】
清掃方法<B>
次に、インクジェットヘッド401を溶剤噴射装置60の上に位置させる。この時、インクジェットヘッド401に噴射される溶剤の力と量を最少化させるために、できるだけ溶剤噴射装置60に近接するように位置させる。例えば、溶剤噴射装置60が噴射時に0.5mmの最少距離を有すると、インクジェットヘッド401と溶剤噴射装置60間の間隔は少なくとも0.5mm以上にするべきである。その間隔は、噴射圧力及び噴射形態のような多様な要素によって変更できる。噴射圧力は増加された間隔に合せて増加することができる。噴射圧力が大きい場合にインクジェットヘッド401の隣接領域を汚すこともあるため、噴射圧力は0.2bar以下であることが好ましい。インクジェットヘッド401が溶剤噴射装置60上に位置した場合、溶剤噴射装置60はインクジェットヘッド401の底面に溶剤を噴射してインクジェットヘッド401の底面、特に、ノズル410周辺の汚れ3を溶かす。溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(proylene glycol monomethyl ether acetate,PGMEA)であることが好ましい。溶剤はインキの混合物要素に左右される多様なタイプでありうる。例えば、溶剤噴射装置60は、インクジェットヘッド401のノズルが浴槽に入る浴槽タイプでありうる。
【0030】
清掃方法<C>
次に、インクジェットヘッド401を吸入装置70上に位置させる。そして、溶剤噴射装置60によって溶かしたインクジェットヘッド401の底面の汚れ3を一つまたは複数のホールを通して吸入して除去する。吸入率はホールの直径、インクジェットヘッドからの距離、インクジェットヘッドの移動速度及びノズルの大きさ等の多様な要素によって決定される。吸入圧力が比較的に小さくても、吸入装置70のホールの直径が小さいほど吸入率は向上する。ホールの直径は3.0mm以下であることが好ましい。
【0031】
清掃方法<D>
次に、インクジェットヘッド401を空気噴射装置80上に位置させる。そして、空気を噴射してインクジェットヘッド401の底面の残存溶剤を乾燥させる。空気噴射装置80は、インクジェットヘッド401の底面に対して所定の角度で空気を噴射する。図1には略45°の角度で空気を噴射する実施例が示されて、ノズルと平行する場合だけではなく他の角度でも噴射可能である。空気圧は空気が噴射される領域の他に他の領域が汚れないようにその圧力を調節することが好ましい。空気圧は空気噴射装置80の空気噴射部の直径、インクジェットヘッドとの距離、インクジェットヘッドが通過する速度、ノズルの大きさ等の多様な要素によって決定される。空気圧は0.2bar以下であることが好ましく、空気噴射装置の噴射部の直径は3.0mm以下であることが好ましい。このように、溶剤を利用してインクジェットヘッド401を清掃することによって、インクジェットヘッド401の底面に損傷を与えずに汚れ3を除去することができる。
【0032】
清掃方法<E>
次に、インクジェットヘッド401をロールブラシング装置上に位置させる。そして、インクジェットヘッド401の底面とロールブラシ320を接触させ、ロールブラシ320を50RPM以下に低速回転させ、物理的摩擦によってインクジェットヘッド401底面の汚れ3を除去して、長期放置による頑固な汚れ3も除去する。この時、ロールブラシ320によるインクジェットヘッド401の底面の清掃が完了した後には、ロールブラシ320を下に移動させ、ロールブラシカバー330をロールブラシ320の上側に位置させ、ロールブラシ320を50RPM以上に高速回転させてロールブラシ320自体の汚れを除去する。この時、遠心力によってロールブラシ320に存在する残余インキが再びインクジェットヘッド401及びその周辺部に付着することをロールブラシカバー330が防止し、溶剤噴射部340を利用して溶剤をロールブラシ320に噴射してロールブラシ320の清掃効率を高める。
【0033】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、これに限定されるわけではなく、当該技術分野における通常の知識を有する者ならば、これらの実施例から多様な変形及び均等な他の実施例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】複数のインクジェットヘッドユニットが色フィルターを形成する工程を示した図である。
【図2】複数のインクジェットヘッドユニットが色フィルターを形成する工程の説明図である。
【図3】一つのインクジェットヘッドユニットを概略的に示した斜視図である。
【図4】一つのインクジェットヘッドユニットを示した平面図である。
【図5】図1のインクジェットヘッドユニットを利用してプリンティングする状態を示した断面図である。
【図6】本発明の一実施例によるインクジェットヘッド清掃システムを示す構成図である。
【図7】ロールブラシング装置でインクジェットヘッドの底面を清掃する状態を示した斜視図である。
【図8】ロールブラシカバーを回転させて、溶剤噴射部でロールブラシに付着されている汚れを除去する様子を示した斜視図である。
【図9】(A)はロールブラシとロールブラシカバーの前面斜視図である。(B)は後面斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
3 汚れ(汚染物質)
5 インキ(インク滴)
50 搭載台
60 溶剤噴射装置
70 吸入装置
80 空気噴射装置
90 ロールブラシング装置
310 ケース
311 外側軸
320 ロールブラシ
321 ブラシ軸
330 ロールブラシカバー
331 カバー軸
340 溶剤噴射部
401 インクジェットヘッド
410 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース、
前記ケースに軸が結合されて回転可能で、インクジェットヘッドの底面を清掃するロールブラシ、
前記ロールブラシの円周面の一部を覆うロールブラシカバー
を含むことを特徴とするロールブラシング装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドの底面を清掃する間、前記ロールブラシカバーは前記ロールブラシと前記ケースの底面の間に位置することを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドの底面を清掃した後、前記ロールブラシカバーは前記ロールブラシと前記インクジェットヘッドの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項4】
前記ロールブラシによるインクジェットヘッド底面の清掃時には、前記ロールブラシは50RPM未満の速度で回転し、前記ロールブラシ自体の清掃時には前記ロールブラシは50RPM以上の速度で回転することを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項5】
前記ロールブラシ下側の前記ケース内面には、溶剤(ソルベント)噴射部が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項6】
前記溶剤噴射部は、前記ケースの底面に対して所定角度に傾いて溶剤を前記ロールブラシに噴射することを特徴とする請求項5に記載のロールブラシング装置。
【請求項7】
前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの半円周面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項8】
前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの円周面に沿って回転移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のロールブラシング装置。
【請求項9】
インクジェットヘッドの底面に溶剤を噴射する溶剤噴射装置、
前記溶剤噴射装置から所定間隔をおいて離隔され、前記溶剤噴射装置によって溶かしたインクジェットヘッド底面の汚れ(汚染物質)を吸入する吸入装置、
前記吸入装置から所定間隔をおいて離隔され、空気を噴射する空気噴射装置、
ケース、前記ケースに軸が結合されて回転可能であり、インクジェットヘッドの底面を清掃するロールブラシ、前記ロールブラシの円周面の一部を覆うロールブラシカバーを含むロールブラシング装置
を含むことを特徴とするインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項10】
前記ロールブラシによるインクジェットヘッドの底面を清掃する間、前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシと前記ケースの底面の間に位置することを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項11】
前記インクジェットヘッドの底面を清掃した後、前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシと前記インクジェットヘッドの間に位置することを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項12】
前記ロールブラシによるインクジェットヘッドの底面の清掃時には、前記ロールブラシは50RPM未満の速度で回転し、前記ロールブラシ自体の清掃時には、前記ロールブラシは50RPM以上の速度で回転することを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項13】
前記ロールブラシ下側の前記ケース内面には、溶剤噴射部が形成または設置されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項14】
前記溶剤噴射部は、前記ケースの底面に対して所定角度だけ傾いて溶剤を前記ロールブラシに噴射することを特徴とする請求項13に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項15】
前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの半円周面を覆うことを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項16】
前記ロールブラシカバーは、前記ロールブラシの円周面に沿って回転移動が可能なことを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド清掃システム。
【請求項17】
インクジェットヘッド内部のインキを全て除去する段階、
前記インクジェットヘッドの底面に溶剤を噴射する段階、
前記インクジェットヘッドの底面の汚れ(汚染物質)を吸入する段階、
前記インクジェットヘッドの底面に空気を噴射する段階、
汚れを除去するためにロールブラシでインクジェットヘッドの底面をブラシングする段階、
前記インクジェットヘッドから前記ロールブラシを分離する段階、そして
前記インクジェットヘッドとロールブラシの間にロールブラシカバーを位置させる段階を含むことを特徴とするインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項18】
前記インクジェットヘッド自体を清掃する間、前記ロールブラシを50RPM以上の速度で回転させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項19】
前記ロールブラシに溶剤を噴射する段階をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項20】
前記インクジェットヘッドを清掃する間に、前記ロールブラシは50RPM未満の速度で回転させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項21】
前記溶剤は前記ロールブラシの回転軸から所定角度で噴射されることを特徴とする請求項19に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項22】
インクジェットヘッド内部のインキを全て除去する段階、
前記インクジェットヘッドの底面に溶剤を噴射する段階、
前記インクジェットヘッドの底面の汚れ(汚染物質)を吸入する段階、
前記インクジェットヘッドの底面に空気を噴射する段階、
前記インクジェットヘッドの底面にロールブラシを接触させるため、ロールブラシを移動する段階、そして
前記インクジェットヘッドから汚れを除去するため、約50RPMより遅い速度で前記ロールブラシを回転させる段階を含むことを特徴とするインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項23】
前記インクジェットヘッドから前記ロールブラシを分離する段階、そして
前記インクジェットヘッドと前記ロールブラシの間にロールブラシカバーを位置させる段階を含むことを特徴とする請求項22に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項24】
前記ロールブラシから汚れを除去するために、前記ロールブラシを50RPM以上の速度で回転させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項25】
前記汚れを溶かすために、前記ロールブラシに溶剤を噴射する段階をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のインクジェットヘッド清掃方法。
【請求項26】
前記溶剤は、前記ロールブラシの回転軸から所定角度で噴射されることを特徴とする請求項25に記載のインクジェットヘッド清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−289361(P2006−289361A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106370(P2006−106370)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】