説明

ロール体収容カートン

【課題】幅広い範囲の太さのロール体を収容可能とすることにより、経済性、メンテナンス性、作業性および作業効率を向上させることができるロール体収容カートンを提供する。
【解決手段】ロール体収容カートン10は、ロール体Rを収容するための収容部11によって構成されている。収容部11は、底部12に繋がった支持壁13、第1の側面部14および第2の側面部16がそれぞれ起立した状態で設けられて箱状に構成されている。支持壁13の外側には、第1の側面部14に繋がった状態で形成されている第1の端面部15と、第2の側面部16に繋がった状態で形成されている第2の端面部17とが面ファスナ15a,17aを介して着脱自在に貼り合わせられている。第1の側面部14の上端部には、第2の側面部16の上端部に設けられた切断刃16aを保護するためのカバー体19が被せられて剛性を補強している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有する長尺のフィルム体がロール状に巻かれたロール体を出し入れ自在かつフィルム体を引き出し可能な状態で収容するロール体収納カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品包装ラップやペーパタオルなどの柔軟性を有する長尺のフィルム体がロール状に巻かれたロール体は、ロール体に巻かれたフィルム体が引き出し可能なロール体収容カートンに収容されて使用される。例えば、下記特許文献1には、窓ガラスに貼るフィルム体が巻かれたロール体を収容するとともに、同収容されたロール体からフィルム体を引き出して切断することができるロール体収容カートンが開示されている。また、下記特許文献2には、互いに用途が異なるフィルム体が巻かれた複数のロール体をまとめて収納できるロール体収容カートンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−22040号公報
【特許文献2】実開平04−54099号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記した各ロール体収容カートンにおいては、ロール体を収容する収容部の大きさ(ロール体収容カートンの内部空間の大きさ)が収容の対象となるロール体の大きさに応じて形成されているため、収容対象であるロール体の外径より太い外径のロール体を収容することができない。例えば、上記特許文献1に記載されたロール体収容カートンに収容される自動車貼付用のロール体においては、フィルム体の長さに応じて複数種類の太さのロール体がある。このため、ロール体の外径ごとにロール体収容カートンを用意しなければならず必ずしも経済的ではないとともに、複数種類のロール体収容カートンの保管や管理が煩雑でありメンテナンス性が劣るという問題もあった。さらに、また、フィルム体の貼付け作業時においては、ロール体の外径に適合したロール体収容カートンが用意できない場合には、フィルム体の貼付け作業の作業性および作業効率が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、幅広い範囲の太さのロール体を収容可能とすることにより、経済性、メンテナンス性、作業性および作業効率を向上させることができるロール体収容カートンを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、柔軟性を有する長尺のフィルム体がロール状に巻かれたロール体の軸線方向の長さに対応する長さに形成された板状の底部と、底部におけるロール体の軸線方向に平行な一方の端部に折目を介して繋がって形成された第1の側面部と、底部におけるロール体の軸線方向に平行な他方の端部に折目を介して繋がって形成された第2の側面部とにより構成された収容部にロール体を出し入れ自在かつフィルム体を引き出し可能な状態で収容するロール体収納カートンであって、底部および第1の側面部のうちの少なくとも一方におけるロール体の軸線方向の両端部に折目を介して繋がってそれぞれ形成され、収容部におけるロール体の径方向に平行な2つ第1の端面部と、第2の側面部におけるロール体の軸線方向の両端部に折目を介して繋がってそれぞれ形成され、前記2つの第1の端面部にそれぞれ対向配置される2つの第2の端面部と、第1の端面部と第2の端面部とを互いに任意の位置で着脱自在に固定するための係止手段とを備え、第1の端面部に対する第2の端面部の固定位置によって収容部におけるロール体の径方向の幅が調整可能であることにある。
【0007】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、ロール体を収容する収容部は、ロール体の軸線方向の両端部に対向する端面部分が第1の端面部と第2の端面部とが係止手段により着脱自在に固定されて形成されている。この場合、第1の端面部は収容部を構成する底部または第1の側面部に形成されており、第2の端面部は収容部を構成する第2の側面部に形成されている。このため、第2の側面部は、第2の端面部の第1の端面部への固定位置によって第1の側面部に対する距離が変化する。すなわち、ロール体を収容する収容部におけるロール体の径方向の幅が第2の端面部の第1の端面部への固定位置によって調整することができる。これにより、1つのロール体収容カートンによって幅広い範囲の太さのロール体に対応することができ、経済性、メンテナンス性、作業性および作業効率を向上させることができる。
【0008】
なお、上記特許文献2に開示されたロール体収容カートンにおいては、ロール体収容カートンの前面を構成する正面板が前方に向って傾斜するように構成されている。これにより、ロール体収容カートン内部へのロール体の出し入れを容易している。しかし、上記特許文献2に開示されたロール体収容カートンにおいては、正面板を前方に傾斜させてもロール体を収容するための内部空間の広さを任意に調整することはできないため、予定されている太さ以外の太さのロール体を自由に収容することはできない。すなわち、上記特許文献2に開示されたロール体収容カートンにおいては、幅広い範囲の太さのロール体を同ロール体の太さに応じた大きさの収容部によってロール体を安定した状態で収容することができず、本発明の作用効果を発揮できるものではない。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記ロール体収納カートンにおいて、係止手段は、面ファスナであることにある。
【0010】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、係止手段は、面ファスナによって構成される。これにより、収容部における第1の端面部と第2の端面部との固定作業を簡単かつ迅速に行なうことができる。また、係止手段、延いては、ロール体収容カートンを経済的に形成することができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記ロール体収納カートンにおいて、収容部を構成する第1の側面部および第2の側面部の少なくとも一方には、ロール体から引き出されたフィルム体を切断するための切断刃が設けられていることにある。
【0012】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、収容部における第1の側面部および/または第2の側面部には、フィルム体を切断するための切断刃が設けられているため、収容部内に収容されたロール体から引き出されたフィルム体を別途切断具を用意しなくても簡単かつ迅速に切断することができる。すなわち、フィルム体の貼り付け作業の作業性および作業効率を向上させることができる。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記ロール体収納カートンにおいて、切断刃は、第1の側面部または第2の側面部の上側端部に設けられ、切断刃が設けられた第1の側面部または第2の側面部の上側端部には、両各上端部に切断刃を含めて着脱自在に挿し込んで被せることができる硬質素材からなるカバー体を備えることにある。
【0014】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、フィルム体を切断するための切断刃が、第1の側面部または第2の側面部の上側端部に設けられるとともに、この切断刃が設けられた第1の側面部または第2の側面部の上側端部に硬質素材からなるカバー体が着脱自在な状態で被せられている。これにより、ロール体収容カートンを使用しない場合においては、カバー体を切断刃に被せることによって切断刃を保護することができるとともに、露出した切断刃に接触した物品などへの損傷を防止することができる。また、ロール体収容カートンの使用時においては、切断刃から外したカバー体を切断刃が設けられていない側の第1の側面部または第2の側面部の上側端部、換言すれば、切断刃が設けられた第1の側面部または第2の側面部の上側端部に対向する第2の側面部または第1の側面部の上端部に装着する。これにより、第1の側面部および第2の側面部の各上端部は、切断刃およびカバー体の一方が設けられることになり、これら各上端部の剛性が増す。この結果、ロール体収容カートンにおける第1の側面部と第2の側面部とを手でしっかりと挟んで把持することができ、ロール体からのフィルム体の引き出しおよび同引き出したフィルム体の切断作業が行い易くなり作業性が向上する。また、切断刃から外したカバー体の紛失を防止することができる。
【0015】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記ロール体収納カートンにおいて、収容部は、発泡性ポリエチレン素材からなることにある。
【0016】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、収容部はポリエチレン発泡素材によって構成されている。これにより、収容部を軽量に構成できるとともに、収容部に接触した物品などへの損傷を防止することができる。
【0017】
また、請求項6に係る本発明の他の特徴は、前記ロール体収納カートンにおいて、収容部は、車両の表面を保護するためのフィルム体で構成されたロール体を収容することにある。
【0018】
このように構成した請求項6に係る本発明の他の特徴によれば、収容部は、車両の表面を保護するためのフィルム体で構成されたロール体を収容する。これにより、1つのロール体収容カートンによってフィルム体の長さに応じた複数種類の太さの自動車貼付用のロール体に対応することができ、ロール体収容カートンにおける経済性、メンテナンス性、作業性および作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るロール体収容カートンの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示すロール体収容カートンの収納部を展開した状態を示す平面図である。
【図3】図1に示すロール体収容カートンの収納部を展開した状態を示す背面図である。
【図4】図1に示すロール体収容カートンにロール体を収容した使用状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示すロール体収容カートンに他のロール体を収容した使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るロール体収納カートンの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るロール体収納カートン10の全体構成を概略的に示す斜視図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このロール体収納カートン10は、長尺のフィルム体F(二点鎖線で示す)がロール状に巻かれたロール体R(二点鎖線で示す)からフィルム体Fを引き出して使用する際にロール体Rを出し入れ自在かつフィルム体Fを引き出し可能な状態で収容するためのものである。この場合、フィルム体Fは、例えば、図示しない自動車などの車両の表面を一時的に保護するために同表面に貼り付けられるものである。
【0021】
(ロール体収納カートン10の構成)
ロール体収納カートン10は、上面が開放された箱状の収容部11によって構成されている。収容部11は、ロール体Rを収容する空間を形成する部分であり、底部12、支持壁13、第1の側面部14、第1の端面部15、第2の側面部16および第2の端面部17によって形成されている。これらのうち、底部12は、収容部11の底面を形成する部分であり、ロール体Rの長さに対応する長さの長方形状の板状体で構成されている。この底部12には、中央部には長手方向に沿って2つの長孔状の貫通孔で構成された軽量孔12aがそれぞれ形成されている。
【0022】
底部12の長手方向の2つの長辺に直交する2つの短辺には、垂直方向に起立した状態で支持壁13がそれぞれ形成されている。支持壁13は、収容部11内に収容されるロール体Rの両端部に対向配置される壁体であり、各中央部に支持突起13aがそれぞれ形成されている。支持突起13aは、ロール体Rにおけるフィルム体Fが巻かれる円筒状の中心軸(図示せず)の両端部にそれぞれ挿入されてロール体Rを支持する円柱状の突起物である。
【0023】
底部12の長手方向の2つの長辺のうちの一方(図示右側)の長辺には、同長辺に沿って垂直方向に起立した姿勢で第1の側面部14が形成されている。第1の側面部14は、収容部11の長手方向における互いに平行な2つの壁面のうちの一方(図示右側)の壁面を構成する壁体である。この第1の側面部14の上端部には、肉厚部14aが形成されている。肉厚部14aは、詳しくは後述するカバー体19を第1の側面部14の上端部に安定した状態で挿し込むための発泡ポリエチレン製のシート体(所謂ミラマット)である。
【0024】
また、第1の側面部14の長手方向(ロール体Rの軸線方向)における両端部には、この第1の側面部14に対向配置される第2の側面部16に向って略直角に屈曲して延びる第1の端面部15が形成されている。第1の端面部15は、支持壁13の外側にて同支持壁13に対向配置される板状の壁体である。この第1の端面部15の各内側面、換言すれば、支持壁13に対向する側の各面には、面ファスナ15a(図1においては図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0025】
一方、底部12の長手方向の2つの長辺のうちの他方(図示左側)の長辺には、同長辺に沿って垂直方向に起立した姿勢で第2の側面部16が形成されている。第2の側面部16は、収容部11の長手方向における互いに平行な2つの壁面のうちの他方(図示左側)の壁面を構成する壁体である。この第2の側面部16の内側面の上端部には、同上端部から上方に突出した状態で切断刃16aが設けられている。切断刃16aは、ロール体Rから引き出されたフィルム体Fを切断するための鋼製の切断具であり、刃部が鋸刃状に形成されている。
【0026】
また、第2の側面部16の長手方向(ロール体Rの軸線方向)における両端部には、この第2の側面部16に対向配置される第1の側面部14に向って略直角に屈曲して延びる第2の端面部17が形成されている。第2の端面部17は、支持壁13と前記第1の端面部15との間に配置される板状の壁体である。この第2の端面部17の各外側面、換言すれば、第1の端面部15に対向する側の各面には、第1の端面部15に設けられた面ファスナ15aと対をなして貼り合わされる面ファスナ17aがそれぞれ設けられている。
【0027】
また、これらの第1の側面部14および第2の側面部16における各外側面下部には、長方形状のウレタン製の板状体で構成された把持部18がそれぞれ設けられている(図1において第1の側面部14の把持部18は図示せず)。この把持部18は、収容部11の外側を手Hで把持する際、手Hの滑りを防止しつつ収容部11の外側を持ち易くするための部材である。
【0028】
また、第2の側面部16の上端部には、同上端部と切断刃16aを覆う状態でカバー体19が着脱自在な状態で被せられている。カバー体19は、断面形状が略U字に形成されるとともに切断刃16aの長さに対応する長さに形成された硬質の樹脂材からなる長尺の成形物である。このカバー体19は、切断刃16aに被せることにより切断刃16aの刃部を保護するとともに、同刃部に接触した物品などの損傷を防止するためのものである。また、切断刃16aの使用時においては、第2の側面部16の上端部から取り外されたカバー体19を第1の側面部14の上端部に肉厚部14aを介して挿し込むことにより、第1の側面部14の上端部上に被せられて同部分の剛性を補強する。
【0029】
ここで、このように構成されたロール体収容カートン10の組み立てについて説明しておく。このロール体収容カートン10は、図2および図3に示すように、手Hによる把持によっても容易に撓まない程度の剛性を有する発泡ポリエチレン製の板状体20を折り曲げることにより成形される。本実施形態においては、290mm×200mm×3mmの発泡ポリエチレン製の板状体を用いている。ロール体収容カートン10を組み立てる作業者は、まず、板状体20に対して、底部12、支持壁13、第1の側面部14、第1の端面部15、第2の側面部16および第2の端面部17の各部分を割り当てて切れ目または折目を形成する。
【0030】
本実施形態においては、板状体20の中央部に割り当てた底部12に対して図示上下方向の端部に支持壁13を折目21a,21bを介して割り当てるとともに、同底部12に対して図示左右方向の端部に第1の側面部14および第2の側面部16を折目22a,22bを介して割り当てる。そして、第1の側面部14および第2の側面部16の図示上下方向の端部に、第1の端面部15および第2の端面部17を折目23a,23b,24a,24bを介してそれぞれ割り当てる。この場合、各折目21a,21b〜24a,24bは、収容部11の外側になる面(図3に示した側)に対して板状体20を切断しない程度の切り込み深さで形成される。なお、図2および図3においては、各折目21a,21b〜24a,24bを破線で示している。
【0031】
次に、作業者は、板状体20における支持壁13の図示左右方向に隣接する第1の端部15および第2の端部17との境界部分を切断して切れ目25a,25b,26a,26bを形成することにより支持壁13と第1の端部15および第2の端部17とを分断する。また、作業者は、板状体20上に割り当てた底部12、支持壁13、第1の側面部14、第1の端面部15、第2の側面部16および第2の端面部17に対して、軽量孔12a、支持突起13a、肉厚部14a、面ファスナ15a,17a、切断刃16aおよび把持部18をそれぞれ形成する。
【0032】
次に、作業者は、収容部11の内側面を形成する支持壁13、第1の側面部14および第2の側面部16の各面が底部12側を向くように支持壁13、第1の側面部14および第2の側面部16を折目21a,21b,22a,22bに沿ってそれぞれ略直角に折り曲げる。また、作業者は、第1の端面部15および第2の端面部17を支持壁13側に向って略直角にそれぞれ折り曲げる。この場合、作業者は、第1の端面部15の内側に第2の端面部17を位置させて面ファスナ15aと面ファスナ17aとを貼り合わせる。これにより、収容部11が成形される。そして、作業者は、第2の側面部16の上端部にカバー体19を挿し込むことによりロール体収容カートン10が組み立てられる。なお、このロール体収容カートン10の組立工程は、上記順序関わらず、適宜工程の順序を入れ替えて実施できることは言うまでもない。
【0033】
(ロール体収容カートン10の作動)
次に、上記のように構成したロール体収容カートン10の作動について説明する。まず、作業者は、ロール体Rとロール体収容カートン10とをそれぞれ用意する。次に、作業者は、図4に示すように、ロール体Rを収容部11内にセットする。具体的には、作業者は、第1の端面部15と第2の端面部17とを貼り合わせない分離した状態で収容部11内にロール体Rを挿入し、各支持壁13にそれぞれ形成されている支持突起13aをロール体Rの図示しない中心軸の両端部にそれぞれ挿入する。
【0034】
この場合、第1の端面部15と第2の端面部17とは貼り合わせない分離した状態であるため、第1の側面部14および第2の側面部16は折目22a,22bを基点としてそれぞれ屈曲角度が自在に変化するフリーな状態となる。これにより、収容部11の上部側におけるロール体Rの径方向の幅が、第1の側面部14および第2の側面部16の傾斜角に応じて調整可能な状態となる。したがって、作業者は、ロール体Rの外径の大きさ、すなわち、ロール体Rの太さに応じて第1の側面部14および第2の側面部16を適宜傾斜させて収容部11の上部側における幅を変化させながらロール体Rを収容部11内に収容する。
【0035】
次に、収容部11内にロール体Rを収容した作業者は、ロール体Rの回転(フィルム体Fの引き出し)の妨げとならない程度に第1の側面部14および第2の側面部16をロール体Rに近接させて第1の端面部15と第2の端面部17とを面ファスナ15a,17aを介して貼り合わせる。これにより、収容部11の形状が固定されるとともに、ロール体Rが収容部11内にセットされた状態となる。
【0036】
そして、フィルム体Fを所望する位置に貼り付ける貼り付け作業を行うに際しては、作業者は、第2の側面部16の上端部に挿し込まれて切断刃16aに被せられているカバー体19を外すとともに、同外したカバー体19を第1の側面部14の上端部の肉厚部14a上に挿し込んで被せる。これにより、第1の側面部14の上端部の剛性がカバー体19により補強され、把持による第1の側面部14の撓み変形が抑制される。なお、第2の側面部16の上端部には鋼製の切断刃16aが設けられているため、把持による第2の側面部16の撓み変形は抑制された状態となっている。
【0037】
次に、作業者は、ロール体収容カートン10を手の平に載せた状態で第1の側面部14および第2の側面部16を手Hで挟むように把持する。そして、作業者は、一方の手Hでロール体収容カートン10を保持した状態で、他方の手(図示せず)でフィルム体Fを引っ張ってロール体Rから所望する量だけ引き出して切断刃16aにより切断する。このフォルム体Fを引き出す際、および同引き出したフィルム体Fを切断する場合においては、前記したように第1の側面部14および第2の側面部16がカバー体19および切断刃16aによって補強されているため、収容部11の変形を抑えた状態で円滑に作業を行うことができる。そして、切断したフィルム体Fは、作業者が所望する位置に貼り付けられて使用に供される。
【0038】
一方、図5に示すように、前記ロール体Rの外径より太い外径のロール体R’を収容部11内にセットするに際しては、作業者は、前記と同様にして、第1の端面部15と第2の端面部17とを貼り合わせない分離した状態で収容部11内にロール体R’を挿入する。この場合においても、前記と同様に、第1の端面部15と第2の端面部17とは貼り合わせない分離した状態であるため、収容部11の上部側におけるロール体R’の径方向の幅が、第1の側面部14および第2の側面部16の傾斜角に応じて調整可能な状態となる。したがって、作業者は、ロール体R’の外径の太さに応じて第1の側面部14および第2の側面部16を適宜傾斜させて収容部11の上部側の幅を変化させながらロール体R’を収容部11内に収容する。
【0039】
そして、作業者は、収容部11内にロール体R’を収容した場合には、ロール体R’の回転(フィルム体Fの引き出し)の妨げとならない程度に第1の側面部14および第2の側面部16をロール体R’に近接させて第1の端面部15と第2の端面部17とを面ファスナ15a,17aを介して貼り合わせる。これにより、収容部11の形状が固定されるとともに、ロール体R’が収容部11内にセットされた状態となる。この場合、ロール体R’は、前記ロール体Rよりも外径が太いため、第1の端面部15と第2の端面部17とを貼り合わせるための面ファスナ15a,17aの貼り付け位置が互いに外側にずれる。これにより、収容部11は、第1の側面部14および第2の側面部16が前記ロール体Rを収容した場合に比べて開いた状態でロール体R’を収容することになる。
【0040】
すなわち、本発明に係るロール体収容カートン10は、ロール体R,R’の外径の太さに応じて収容部11の幅(ロール体R,R’の径方向)を適宜調整することで幅広い太さのロール体R,R’を収容することができる。また、ロール体R’からフィルム体Fを引き出して使用することにより、ロール体R’の外径が細くなってきた場合には、その都度、第1の側面部14および第2の側面部16の傾斜角を調整することにより収容部11の幅を収容したロール体R’の外径に応じた最適な幅にすることができる。
【0041】
また、フィルム体Fの貼り付け作業が終了した場合には、ロール体収容カートン10を解体することもできる。具体的には、互いに貼り付いた第1の端面部15と第2の端面部17とを分離した後、折目21a,21b〜24a,24bをそれぞれ元の平面状態に戻す。これにより、収容体11は、元の板状体20に戻る。これにより、ロール体収容カートン10の保管や持ち運びが容易となる。
【0042】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ロール体R,R’を収容する収容部11は、ロール体R,R’の軸線方向の両端部に対向する端面部分が第1の端面部15と第2の端面部17とが面ファスナ15a,17aにより着脱自在に固定されて形成されている。この場合、第1の端面部15は収容部11を構成する第1の側面部14に形成されており、第2の端面部17は収容部を構成する第2の側面部16に形成されている。このため、第2の側面部16は、第2の端面部17の第1の端面部15への固定位置によって第1の側面部14に対する距離が変化する。すなわち、ロール体R,R’を収容する収容部11におけるロール体R,R’の径方向の幅が第2の端面部17の第1の端面部15への固定位置によって調整することができる。これにより、1つのロール体収容カートン10によって幅広い範囲の太さのロール体R,R’に対応することができ、経済性、メンテナンス性、作業性および作業効率を向上させることができる。
【0043】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、第1の側面部14および第2の側面部16が折目22a,22bを基点としてそれぞれ屈曲角度が自在に変化するように構成した。これにより、収容部11内に収容可能なロール体R,R’の外径の範囲が広がる。しかし、収容部11内に収容するロール体R,R’の外径の範囲を狭くしても良い場合などには、必ずしも第1の側面部14と第2の側面部16とを変位可能に構成する必要はなく、どちらか一方のみを可動的に構成し他方を変位不能な状態で固定的に構成することもできる。例えば、第2の端面部17を支持壁13に固定し、この固定された第2の壁面部17に対して第1の端面部15が変位して任意の位置で貼り付けられるように構成することにより、第1の側面部14のみが変位する構成とすることができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、第1の端面部15を第1の側面部14の両端部に形成して第1の側面部14を変位可能に構成した。しかし、第1の端面部15の形成位置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の端面部15を底部12に繋がった状態で形成することもできる。すなわち、支持壁13の外側面に面ファスナ(図示せず)を設けるとともに、この面ファスナに対向する第2の端面部17の内側面に面ファスナ17aを設けることにより、支持壁13を第1の端面部15とすることもできる。これにより、第2の端面部17は、支持壁13に設けられた面ファスナに対して任意の位置で貼り付けられることになる。
【0046】
なお、この場合、第1の側面部14は、第1の端面部15を形成しない状態で支持壁13の端面に接着などにより固定してもよい。これにより第1の側面部14は固定されて変位しない状態となる。また、上記実施形態と同様に、第1の側面部14の両端部に第1の端面部15を形成して第2の端面部17の面ファスナ17に貼り付けるように構成してもよい。この場合、第2の端面部17には、外側面と内側面とに面ファスナ17aが設けられることになる。これにより、支持壁13には第2の端面部17が貼り付けられ、この第2の端面部17に第1の端面部15が貼り付けられることにある。さらに、また、第1の端面部15および第2の端面部17の大きさを半分に形成することにより、第1の端面部15および第2の端面部17が支持壁13に設けられた面ファスナにそれぞれ貼り付けられるように構成することもできる。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、第1の端面部15と第2の端面部17とを互いに任意の位置で固定するための係止手段として面ファスナ15a,17aを用いた。しかし、係止手段は、第1の端面部15と第2の端面部17とを互いに任意の位置で着脱自在に固定できれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、面ファスナ15a,17aに代えて繰り返し貼り付け取り剥がし可能な粘着剤を用いることもできる。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0048】
また、上記実施形態においては、第2の側面部16の上端部に切断刃16aを設けて構成した。しかし、切断刃16aは、第2の側面部16に代えてまたは加えて第1の側面部14に設けてもよい。これらの場合、切断刃16aは、必ずしも第1の側面部14および/または第2の側面部16の上端部に設ける必要はない。例えば、第2の側面部16の壁面にフィルム体Fを引き出し可能な形状の開口部を設け、この開口部の端部に切断刃16aを設けることもできる。また、フィルム体Fにフィルム体Fを分離するためのミシン目などが形成されていたり、フィルム体Fが手で容易に切断できる素材などで構成されている場合などには必ずしも切断刃16aを設ける必要はない。この場合、切断刃16aを保護するためのカバー体19を省略することもできる。なお、カバー体19は、上記実施形態においては、切断刃16aを保護する他に、第1の側面部14の剛性を補強することを目的として用いた。しかし、第1の側面部14の補強は第1の側面部14を構成する素材の強度に応じて適宜採用されるものであり、必ずしも必要なものではない。本実施形態においても、カバー体19によって補強しない場合であっても収容部11内からフィルム体Fを引き出すことができることは言うまでもない。
【0049】
また、上記実施形態においては、ロール体収容カートン10における収容部11を発泡性ポリエチレン素材で構成した。これにより、収容部11を軽量に構成できるとともに、収容部11に接触した車両などへの損傷を防止することができる。しかし、収容部11は、手Hによる把持によっても容易に撓まない程度の剛性を有する素材で構成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、樹脂材、ゴム材または紙材などを用いて収容部11を構成することもできる。また、収容部11の大きさは、収納を予定するロール体R,R’の大きさに応じて適宜設計されるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
また、上記実施形態においては、ロール体収容カートン10内に収容されるロール体R,R’は、自動車などの車両の表面を一時的に保護するためのフィルム体Fをロール状に巻いたもので構成した。しかし、ロール体収容カートン10内に収容されるロール体R,R’は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明に係るロール体収容カートン10には、柔軟性を有する長尺のフィルム体Fがロール状に巻かれたロール体R,R’であれば、用途を問わず幅広い分野のロール体R,R’を収容することができる。
【符号の説明】
【0051】
H…手、R,R’…ロール体、F…フィルム体、10…ロール体収容カートン、11…収容部、12…底部、12a…軽量孔、13…支持壁、13a…支持突起、14…第1の側面部、14a…肉厚部、15…第1の端面部、15a,17a…面ファスナ、16…第2の側面部、16a…切断刃、17…第2の端面部、18…把持部、19…カバー体、20…板状体、21a,21b〜24a,24b…折目、25a,25b,26a,26b…切れ目。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する長尺のフィルム体がロール状に巻かれたロール体の軸線方向の長さに対応する長さに形成された板状の底部と、
前記底部における前記ロール体の軸線方向に平行な一方の端部に折目を介して繋がって形成された第1の側面部と、
前記底部における前記ロール体の軸線方向に平行な他方の端部に折目を介して繋がって形成された第2の側面部とにより構成された収容部に前記ロール体を出し入れ自在かつ前記フィルム体を引き出し可能な状態で収容するロール体収納カートンであって、
前記底部および前記第1の側面部のうちの少なくとも一方における前記ロール体の軸線方向の両端部に折目を介して繋がってそれぞれ形成され、前記収容部における前記ロール体の径方向に平行な2つ第1の端面部と、
前記第2の側面部における前記ロール体の軸線方向の両端部に折目を介して繋がってそれぞれ形成され、前記2つの第1の端面部にそれぞれ対向配置される2つの第2の端面部と、
前記第1の端面部と前記第2の端面部とを互いに任意の位置で着脱自在に固定するための係止手段とを備え、
前記第1の端面部に対する前記第2の端面部の固定位置によって前記収容部における前記ロール体の径方向の幅が調整可能であることを特徴とするロール体収納カートン。
【請求項2】
請求項1に記載したロール体収納カートンにおいて、
前記係止手段は、面ファスナであることを特徴とするロール体収納カートン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したロール体収納カートンにおいて、
前記収容部を構成する前記第1の側面部および前記第2の側面部の少なくとも一方には、前記ロール体から引き出されたフィルム体を切断するための切断刃が設けられていることを特徴とするロール体収容カートン。
【請求項4】
請求項3に記載したロール体収納カートンにおいて、
前記切断刃は、前記第1の側面部または前記第2の側面部の上側端部に設けられ、
前記切断刃が設けられた前記第1の側面部または前記第2の側面部の上側端部には、前記両各上端部に前記切断刃を含めて着脱自在に挿し込んで被せることができる硬質素材からなるカバー体を備えることを特徴とするロール体収容カートン。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載したロール体収納カートンにおいて、
前記収容部は、発泡性ポリエチレン素材からなることを特徴とするロール体収容カートン。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載したロール体収納カートンにおいて、
前記収容部は、車両の表面を保護するためのフィルム体で構成されたロール体を収容することを特徴とするロール体収容カートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260630(P2010−260630A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115061(P2009−115061)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(501297893)株式会社高松 (1)
【Fターム(参考)】