説明

ロール状ゲルシート

【課題】取り扱いが容易で、自由に所望の大きさに切断して使用することができ、効果的にアイシングや湿布を行うことができるロール状ゲルシートを提供する。
【解決手段】 伸縮自在の基材4と、基材4の片面に塗布されたゲル剤8とから成り、長尺の状態でロール状に巻き付けられている。基材4、ゲル剤8、及び剥離紙10の長手方向に等間隔に、幅方向のミシン目が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体の打ち身、捻挫、筋肉痛等の患部を冷やす湿布シートや、美顔用シートなどに用いられ、基材にゲル剤を塗布したゲルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の打ち身、捻挫等のけがや筋肉痛等の鎮痛及び消炎等に、氷を入れた袋等で患部を冷やすアイシングが知られている。アイシングでしばらく冷やした後は、冷感湿布薬など、薬効成分を添加したゲルを基材に塗布したゲルシートを、患部に貼着することが一般的である。また、近年では、激しい運動後に酷使した関節や筋肉を冷やすアイシングも行われている。
【0003】
冷却等を行いたい身体部位に貼着するゲルシートは、身体の各部分の形状に追従しなければならず、しかも皮膚に直接貼着されるため、伸縮自在なシート状もしくは不織布を基材にしたものが多い。
【0004】
また、特許文献1に開示されているように、基材にゲル剤を浸透状態にしたゲルシートがアイシング用として提案されている。
【0005】
そのほか、伸縮性の高い基材に粘着剤を塗布した粘着包帯の製造方法が、特許文献2に開示されている。特許文献2は、伸縮自在な裏打材にパット材を剥離紙とともに貼り付けた粘着包帯を製造する方法を開示している。
【特許文献1】特開平6−007395号公報
【特許文献2】特開平8−38545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術では、冷感湿布薬に使用されるゲルシートはいずれも定尺品(カット品)であり、この場合患部の大きさの違いからいろいろな寸法サイズのものを取り揃えておかなければならないなどの問題がある。また、アイシング用に氷を袋に詰めて使用する場合では、アイシングを行った箇所を冷やし過ぎるおそれもある。
【0007】
また、特許文献1に記載されるゲルシートは、各種形状のものが記載されており、長いものを巻いて収容する例も示されているが、単に長いシートを丸めて収納したもので、使用時にその長いシート状のものをそのまま身体に巻き付けて使用するものである。さらに、基材全体が濡れているため、取り扱い性に問題がある。
【0008】
一方、特許文献2は、粘着パットを使用した粘着包帯の製造方法について開示しているものであるが、ゲルシートに関する記述はない。
【0009】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたもので、取り扱いが容易で、自由に所望の大きさに切断して使用することができ、ゲル剤の含水率が高く、効果的にアイシングや湿布を行うことができるロール状ゲルシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、伸縮自在の基材と、前記基材の片面に塗布されたゲル剤とで形成された長尺のゲルシートであって、このゲルシートをロール状に巻き付けて成るものである。また、前記基材、前記ゲル剤及び剥離紙の長手方向に等間隔に、幅方向のミシン目が設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明のロール状ゲルシートによれば、取り扱いが容易であり、貼付部位や用途に合わせて自由に所望の大きさに切断して使用することができる。また、冷却効果が一定で安定しており、アイシングにおいても良好に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明のロール状ゲルシートの一実施形態について、図1、図2を基にして説明する。この実施形態のロール状ゲルシート2は、身体の打ち身、捻挫、筋肉痛等の緩和又は、けが直後や運動後のアイシング、美顔シートなどに使用するものである。
【0013】
この実施形態のロール状ゲルシート2の構造は、図2に示すように、不織布からなる長尺の基材4の片面6に、公知の冷感成分または化粧水、その他の冷却成分や薬効成分が添加されたゲル剤8が均一に塗布されている。また、場合によっては鎮痛、消炎成分などの有効成分を配合することもできる。
【0014】
ゲル剤8のベースに使用する高分子粘剤は、水との親和性が良く、増粘する性質を有しているものであれば良く、特に制限はない。例えば、食品や化粧品で使用されているものを用いることができる。具体的には、ジェランダガム、カラギーナン(カッパ、ラムダ、イオタ型など)、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマ、ヒドロキシメチルセルロース、アルキル変性カルボキシビニルポリマ、アルギン酸、寒天、デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ペクチン、ゼラチン、アルブミン、又はポリペプチドなどが使用可能である。上記高分子粘剤の中で、イオン性のあるものでは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムなどの塩が形成されても良く、また、それぞれの共重合体や、それらの混合物であっても良い。
【0015】
さらに、上記高分子粘剤を金属イオンにより架橋させてゲル化させても良い。架橋に使用する金属イオンとしては、塩を用いることが好ましく、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ジドロキシアルミニウムアミノアセテート、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化鉄、乾燥水酸化アルミニウムゲルなどが挙げられる。
【0016】
また、防腐剤、乳化剤、pH調整剤、吸収促進剤、有効成分、保湿剤等を添加しても良く、添加方法は、貼付剤分野における安定性、安全性、有効効果の観点から周知の方法で行うことができる。
【0017】
ゲル剤8としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、アルミニウム化合物及び水を含み、ポリアクリル酸ナトリウムとポリアクリル酸のカルボニル基と、アルミニウムイオンが架橋することによりゲル体となったものが挙げられる。
【0018】
次に、この実施形態に用いるゲル剤8の塗布方法について説明する。本実施形態に用いるゲル剤8は、塗工時に水係の液と非水係の液の2液を混合し、架橋反応を起こさせてゲル化させるものである。この2液混合によるゲル剤8は、架橋速度が速く塗工直後にゲル化して基材4の反対面にゲルが染み出ないことを特徴として製したものである。
【0019】
基材4に塗布されたゲル剤8の表面には、剥離紙10が貼着される。剥離紙10は、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)等により形成されるものである。そして、図1に示すように、ロール状ゲルシート2は、紙等により形成され貫通穴12を備えたロール芯14に巻き付けられて成るものである。
【0020】
次に、この実施形態のロール状ゲルシート2の使用方法について説明する。このロール状ゲルシート2を捻挫や打ち身等のけがの患部をアイシングする場合は、患部に合わせて、ハサミなどを使用し、ロール状ゲルシート2を適当な大きさに切断する。そして、切断したロール状ゲルシート2から剥離紙10を剥がして、ゲル剤8の面が患部に密着するように貼着する。この時、足首や手首などの場合は、ロール状ゲルシート2を巻き付けられる程度の適宜な長さに切断するのがよい。
【0021】
運動後などに関節や肩など筋肉のアイシングに使用する場合も、前述と同様に、アイシングを行いたい箇所に合わせてロール状ゲルシート2を適当な大きさに切断する。そして、切断したロール状ゲルシート2から剥離紙10を剥がして、アイシングしたい箇所にゲル面が密着状態を成すように貼着する。この際も、足首や手首などの場合は、ロール状ゲルシート2を巻き付ける程度の長さに切断するのがよい。
【0022】
さらに、基材4、ゲル剤8、及び剥離紙10の長手方向に等間隔に、幅方向のミシン目を設けることにより、ハサミ等を使用せずに一定の長さで切断可能になり、早急に貼着する際には便利である。
【0023】
そのほか、美容シートとして使用する場合は、貼着したい箇所にあわせて、切断または切り抜いてもよい。そして、剥離紙10を剥がし、ゲル面が密着するように貼着する。
【0024】
上記実施形態では、基材に不織布が使用されているが、薄い樹脂フィルム、織布、紙でもよい。この場合、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニルなどのフィルム、不織布または織布等が挙げられ、これらの単層シートで設けられていても、2種以上の積層体として用いられていても良い。そのほか、織布、紙、もしくはネットを樹脂等でラミネートしたものでもよい。また、透明であっても不透明であっても、着色されていても着色されていなくてもよいが、基材にフィルム類を用いる際は、患部を見ながら貼着される場合などでは、透明もしくは着色透明の基材であることが好ましい。
【0025】
また、本発明に用いられる剥離紙は、上記実施形態のほかに、例えば、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン等のプラスチックフィルム、合成樹脂や合成紙、合成繊維等にシリコーン加工したシリコーン加工紙、アルミ箔、クラフト紙にポリエチレン等をラミネートしたラミネート加工紙で、これらが単層シートで設けられていても、2種以上の積層体として用いられていても良い。剥離紙の外面には、格子状のマス目や絵柄などを印刷してもよい。また、剥離紙に、ロール状ゲルシートの長手方向に幅方向中央近傍に、スリットを入れると剥離し易いためなおよい。さらに、剥離紙が無くても良く、使用時に余分なゴミも出ない。
【0026】
そのほか、ロール芯の芯材は、ロール状の形を崩さないものであれば、材質は適宜選択可能であり、場合によってはロール芯が無くても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態のロール状ゲルシートを示す概略図である。
【図2】この実施形態のロール状ゲルシートの構造を示す幅方向の縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
2 ロール状ゲルシート
4 基材
6 片面
8 ゲル剤
10 剥離紙
12 貫通穴
14 ロール芯
16 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在の基材と、前記基材の片面に塗布されたゲル剤とで形成された長尺のゲルシートであって、このゲルシートをロール状に巻き付けて成ることを特徴とするロール状ゲルシート。
【請求項2】
前記基材、前記ゲル剤及び剥離紙の長手方向に等間隔に、幅方向のミシン目が設けられていることを特徴とする請求項1記載のロール状ゲルシート。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−55554(P2006−55554A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243267(P2004−243267)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(598060796)タック化成株式会社 (3)
【Fターム(参考)】