説明

ロール状回転体及び帯電ロールユニット

【課題】使用済ロール部材の軸72と弾性部材71とを容易に分離させる。
【解決手段】クリーニングロール70は、円柱形状の弾性部材71の長手方向の一方の端面から他方の端面にかけて貫通させた孔へ軸72を嵌め込んでなり、その孔の内周面に設けられた雌ねじ形状の係止部73と、軸72の外周面に設けられた雄ねじ形状の被係止部74との噛合により、軸72と弾性部材71とを分離可能に結合させる。寿命になった弾性部材71を新しいものと交換する際は、雄ねじ形状のねじ山の巻き方向と反対方向に軸72を回転させることにより、弾性部材71から軸72を簡単に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状回転体及び帯電ロールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の感光体の周りには、帯電ロール、現像ロール、転写ロールなどといった各種ロール部材が用いられており、それらのロール部材の機能性を向上させるための種々の技術がこれまでに提案されている。例えば、特許文献1に開示されたウレタンスポンジロールは、棒状の軸の周りに連続気泡型のウレタンスポンジ層を形成させることで、形状安定性に優れるだけでなく圧縮永久歪みを低く抑えた製品を実現させている。また、特許文献2に開示された導電ロールは、熱可逆性樹脂、水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物、及び導電性物質の加熱混合体から両水溶性物質を抽出除去する製造方法により製造されることで、導電ロール体として好適な柔軟性と導通性と兼ね備えた製品を実現させている。更に、特許文献3に開示されたスポンジロールは、シリコーン含有多元共重合体からなる整泡剤を用いた発泡ゴム層を有することで、高温高湿度の環境下で長期間使用された場合にも化合物のブリードやフィルミングなどによる感光体の汚染を引き起こさないような製品を実現させている。
【特許文献1】特開2005−186323号公報
【特許文献2】特開2003−241467号公報
【特許文献3】特開平06−074231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種のロールを搭載した画像形成装置は、トナーの流動性の向上、帯電特性の安定化、及びクリーニング性向上などを目的として、トナー表面に複数の外添剤が添加されたトナーを用いることが多い。そして、この外添剤は、転写ロールの押圧などによりトナーから遊離してしまうことがあり、遊離した外添剤は転写ロールにより転写されず、同じく転写されずに残ったトナーと共に感光体周面に残ってしまう。
【0004】
転写されずに感光体周面に残ったトナーは、感光体の回転方向から見て転写ロールの下流側に設けられたクリーニングブレードによりかき落とされるようになっている。しかし、外添剤は、トナーに比べて非常に小さいため、このクリーニングブレードと感光体との間をすり抜けてしまう。そして、遊離した外添剤が残ったままの感光体が帯電ロールの設置位置まで到達すると、感光体周面と接触している帯電ロールの周面に遊離した外添剤が付着し、帯電ロールを汚染してしまう。これにより、帯電ロール周面の電気抵抗や表面状態が変化し、帯電ロールが感光体周面をスリップしたり、感光体を均一に帯電できなくなったりするなどの不具合を引き起こす原因となる。このような不具合の発生を防ぐため、この種の画像形成装置の帯電ロールの近傍には、その周面に付着した外添剤を清掃するための固有のクリーニングロールが設置される。
【0005】
上記特許文献に開示された各種ロール部材は、この帯電ロールを清掃するクリーニングロールとしても使用可能である。そして、このロール部材は、軸部材の周りに弾性部材を形成させて製造されるのが一般的である。例えば、特許文献3に開示されたスポンジロールは、150℃に温調した金型内に軸を入れて予め温めた後、その周りに発泡剤を注入して発泡層を形成させている。しかしながら、この製造工程を経て製造されたスポンジロールは、軸と発泡層とが結着して発泡層のばね定数が一定にならない。そのため、このスポンジロールをクリーニングロールとして用いた場合、そのクリーニング性にばらつきが生じていた。
【0006】
さらに、軸と発泡層とが結着しているため、使用済ロール部材の軸を再利用する際に、その発泡層を軸から手作業で削ぎ取る、もしくは薬剤を用いて発泡層を溶解しなければならなかった。そのため、軸のリサイクルに時間と手間がかかるだけはなく、かえって環境に悪影響を及ぼすことが懸念され、使用済ロール部材の軸が再利用されずに廃棄されることも少なくなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、使用済ロール部材の軸部材と弾性部材とを容易に分離させることができるロール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な態様であるロール状回転体は、長手方向の一方の端面から他方の端面にかけて孔を貫通させ、その孔の内周面に第1の形状の係止部を設けた円柱形状の弾性部材の当該孔へ、外周面に前記第1の形状と噛合する第2の形状の被係止部を設けた軸部材を嵌め込んでなる。
この態様において、前記第1の形状は、雄ねじ形状又は雌ねじ形状のうち一方であり、前記第2の形状は、雄ねじ形状又は雌ねじ形状のうち他方であってもよい。
また、前記第1の形状は、ピン形状又はピン受け形状のうち一方であり、前記第2の形状は、ピン形状又はピン受け形状のうち他方であってもよい。
さらに、前記第1の形状は、前記孔の一方の端の側から他方の端の側に向かって凹み量を徐々に大きくした凹形状であり、前記第2の形状は、前記軸部材の一方の端の側から他方の端の側に向かって凸み量を徐々に大きくした凸形状であってもよい。
【0008】
上記各態様において、前記軸部材の軸径と前記弾性部材の孔の孔径の径差が所定値未満であってもよい。
また、前記孔の内周面に複数の前記係止部を設けてもよい。
さらに、前記複数の係止部の各々は、前記孔の両端とそれら両端から所定量だけ内側の位置との間にそれぞれ設けられていてもよい。
【0009】
上記各態様において、前記軸部材の長手方向の幅が前記孔の長手方向の幅よりも大きくてもよい。
この態様のロール状回転体は、前記長手方向の両方の端面の外側へ前記軸部材の一部がそれぞれ突出するように当該軸部材を嵌め込んでなるものであってもよい。
【0010】
本発明の別の好適な態様である帯電ロールユニットは、感光体を帯電させる帯電ロールと、上記記載のロール状回転体の弾性部材の周面と前記帯電ロールの周面とが接触する位置にて当該ロール状回転体の軸部材の両端を回転自在に支持する軸支持部とを備えてもよい。
この態様において、前記係止部は、前記感光体の画像形成領域よりも外側に相当する、前記両端から所定量だけ内側の位置に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用済ロール部材の軸部材と弾性部材とを容易に分離させることができる。
【0012】
<第1実施形態>
本願発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置1のハードウェア概略構成を示す図である。この画像形成装置1に搭載された感光体ドラム10の周囲には、帯電ロール20、露光器30、現像器40、転写ロール50、クリーニングブレード60、及び帯電ロール20を清掃するクリーニングロール70等が配設される。
【0013】
感光体ドラム10は、導電性のドラム基体と、このドラム基体の表面にOPC(Organic Photo Conductor:有機電子写真用感光体)を形成した感光薄膜とを備えている。感光体ドラム10は、中心軸線を中心にして矢示の時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動する。
帯電ロール20は、その周面が感光体ドラム10の周面に接触した帯電部材であり、感光体ドラム10の回転に従動して回転する。そして、電源から電圧が印加されることにより、感光体ドラム10の周面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。
【0014】
露光器30は、感光体ドラム10の帯電処理面に向けて画像変調されたレーザビームを照射(走査露光)する。感光体ドラム10の感光薄膜には、露光部分の電位が減衰して静電潜像が形成される。
現像器40は、感光体ドラム10の回転に伴って静電潜像が自身に対向する位置に到達すると、トナーを静電潜像に供給し、反転現像によってトナー像を形成する。
【0015】
転写ロール50は、感光体ドラム10の回転方向から見て現像器40の下流側に、感光体ドラム10に対して圧接した状態で配置される。この転写ロール50は、感光体ドラム10周面に形成されたトナー像がその圧接位置に到達すると、そのタイミングに合わせてその圧接位置に供給された用紙にトナー像を転写させる。トナー像が転写された用紙は図示しない定着器へ搬送され、トナー像の定着を受けて機外へ排出される。
【0016】
クリーニングブレード60は、感光体ドラム10の回転方向から見て転写ロール50の下流側に設けられ、所定の圧力を持って感光体ドラム10周面に自身の先端を押し当てる。そして、上記転写ロール50により転写されずに感光体ドラム10の周面に残ったトナー(以下、「残留トナー」と記す)をその周面からかき落として清掃する。
【0017】
クリーニングロール70は、帯電ロール20の周面に接触してその周面を清掃するロール状回転体である。図2及び図3を参照して、本実施形態にかかるクリーニングロール70の構成を具体的に説明する。図2(a)は、このクリーニングロール70の構成を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるクリーニングロール70を矢印C−C’方向から見た断面図である。また、図3(a)は、このクリーニングロールの正面図であり、図3(b)は側面図、図3(c)は分解図である。図2及び図3に示すように、このクリーニングロール70は、円柱形状の弾性部材71の長手方向の一方の端面から他方の端面にかけて貫通させた孔へ軸72を嵌め込んでなる。
【0018】
この弾性部材71は、発泡ウレタンにより形成される部材であり、孔の内周面には、その両端からの所定量だけ内側の位置にかけて雌ねじ形状の係止部73が各々設けられている。
軸72は、その長手方向の幅が弾性部材71の孔の長手方向の幅よりも長くなるように形成された金属製の部材である。軸72の外周面には、弾性部材71の孔へ嵌め込まれたときに雌ねじ形状の係止部73の各々と対向する位置に雄ねじ形状の被係止部74が設けられており、この雄ねじ形状と雌ねじ形状とは噛合するようになっている。また、軸72の軸径は、弾性部材71の孔の口径との径差が所定値未満になるように形成されている。この所定値は、弾性部材71の孔に軸72がぴったりと嵌め込まれ、クリーニングロール70が回転しても軸72と弾性部材71とが空回りしない値を実験などによって求め、その値を設定するとよい。軸72の両端は、弾性部材71の長手方向の両方の端面の外側へ一部がそれぞれ突出しており、クリーニングロール70の周面と帯電ロール20の周面とが接触する位置にて、図示せぬ軸支持部によって回転自在に支持されている。これにより、クリーニングロール70は、帯電ロール20の回転に従動して回転するようになっている。
【0019】
次に、このクリーニングロール70の組立工程について説明する。まず、軸72の外周面に設けられた雄ねじ形状の被係止部74のねじ山の巻き方向に沿って、弾性部材71の孔へ軸72を回転させながら捩じ込む。そして、雌ねじ形状の係止部73の各々と対向する位置まで雄ねじ形状の被係止部74を移動させると、雌ねじ形状の係止部73と雄ねじ形状の被係止部74とが噛合し、軸72と弾性部材71とが固定される。以上の工程を経てクリーニングロール70が製造される。
【0020】
次に、このクリーニングロール70による帯電ロール20の清掃動作について説明する。図1において、現像器40により供給されるトナーは、図4に示すように、粒子径が約10μm程度の球体状の現像剤である。このトナー31は、複数の着色剤や外添剤32などを含有しており、着色剤はトナー31を着色する。また、外添剤32は、粒子径が1μm以下超微粒子であり、トナー31の流動性の向上、帯電特性の安定化、及びクリーニング性の向上などの目的でトナー31の表面に添加される。この外添剤32には、例えばシリカやチタンなどが用いられる。
【0021】
図1において、トナーは、感光体ドラム10の周面に形成された静電潜像へ現像器40により供給されてトナー像となる。このトナー像は転写ロール50により用紙に転写されるが、転写ロール50から受ける圧力などにより、各々のトナーの周面に添加されている一部の外添剤が遊離することがある。トナーから遊離したそれらの外添剤(以下、「遊離外添剤」と記す)は、用紙に転写されることなく感光体ドラム10の周面に残留し、残留トナーと共にクリーニングブレード60に到達する。ここで、残留トナーは、上述したように、クリーニングブレード60によってかき落とされるが、遊離外添剤は、トナーに比べて非常に小さいため、クリーニングブレード60と感光体ドラム10との間をすり抜けてしまう。そして、クリーニングブレード60を通過した遊離外添剤は、感光体ドラム10の周面に付着したまま、感光体ドラム10の周面と帯電ロール20の周面とが接触する接触部Aに到達する。
【0022】
接触部Aに到達した遊離外添剤は、感光体ドラム10の周面と接触する帯電ロール20の周面に付着していく。そして、帯電ロール20の回転により、帯電ロール20の周面とクリーニングロール70の周面とが接触する接触部Bにそれら遊離外添剤が到達すると、クリーニングロール70は、帯電ロール20に接触して従動しながら、帯電ロール20の周面に付着したそれら遊離外添剤を順次自身に付着させていく。このようにして、帯電ロール20の周面に付着した遊離外添剤が除去され、その周面が清掃されるようになっている。
【0023】
このクリーニングロール70が設置されていないと、帯電ロール20の周面に大量の遊離外添剤が付着し、帯電ロール20周面の電気抵抗や表面状態が変化してしまう。そして、そのままの状態で使用し続けると、帯電ロール20が感光体周面をスリップしたり、感光体を均一に帯電できなくなったりするなどの不具合を引き起こす恐れがある。そのため、画像形成装置1は、上述のように、帯電ロール20に付着した遊離外添剤をクリーニングロール70によって除去したのち、次の画像形成に備えるようになっている。
【0024】
次に、このクリーニングロール70の分解工程について説明する。この工程は、画像形成装置1の稼働を繰り返すことによってクリーニングロール70の弾性部材71が寿命となり、寿命になったその弾性部材71を新しいものと交換する際に執り行われる。図2(b)に示したように、クリーニングロール70は、雌ねじ形状の係止部73と雄ねじ形状の被係止部74との噛合により、軸72と弾性部材71とを固定させている。よって、その雄ねじ形状の被係止部74をねじ山の巻き方向と反対方向に回転させることにより、軸72と弾性部材71の両者を分離させることができる。
具体的に説明すると、作業者などにより、軸72の外周面に設けられた雄ねじ形状の被係止部74のねじ山の巻き方向と反対方向に軸72が回転されると、ねじ機構により、弾性部材71から軸72が送り出される。更に軸72が同方向に回転され、軸72に設けられた雄ねじ形状の被係止部74が弾性部材71から全て送り出されると、弾性部材71から軸72の抜き取りが可能となる。
【0025】
上述した実施形態にかかるクリーニングロール70は、雌ねじ形状の係止部73と雄ねじ形状の被係止部74との噛合により、軸72と弾性部材71とを分離可能に結合させているため、寿命になった弾性部材71を新しいものと交換する際は、雄ねじ形状のねじ山の巻き方向と反対方向に軸72を回転させることにより、弾性部材71から軸72を簡単に取り出すことができる。更に、その組立工程にて軸72と弾性部材71とが接着剤を用いずに結合されているため、弾性部材71の発泡セル内への接着剤の浸透に起因した弾性部材71の硬化現象を招くことなく、弾性部材71の弾性が一定となる。この結果、そのクリーニング能力にばらつきを生じさせない。
【0026】
<第2実施形態>
本願発明の第2実施形態について説明する。図5(a)は、本実施形態にかかるクリーニングロール70aの構成を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)におけるクリーニングロール70aを矢印C−C’方向から見た断面図である。また、図6(a)は、このクリーニングロール70aの正面図であり、図6(b)は側面図、図6(c)は分解図である。図5及び図6に示すように、このクリーニングロール70aは、弾性部材71aの両端面の各々を孔を挟んで上下方向に略線状に一部凹ませることで、係止部73aとなるピン受け溝を形成している。一方、軸72aは、弾性部材71aの両係止部73aと同じ長手方向の間隔をおいて2つの孔が上下方向に貫かれており、この軸72aは、係止部73aの各々と2つの孔が対向する位置まで嵌め込まれた状態でそれら2つの孔の各々にピン75が差し込まれ、孔の上下から食み出したピン75の一部を係止部73aに噛合させることによって、弾性部材71aに固定されている。
【0027】
このクリーニングロール70aの組立工程では、係止部73aの各々と2つの孔が対向する位置まで弾性部材71aの孔へ軸72aを嵌め込み、それら孔の上下から一部が食み出すようにピン75を各々の孔に差し込む。すると、孔の上下から食み出したピン75の一部が各々の係止部73aに噛合して、軸72aと弾性部材71aとが固定される。以上の工程を経てクリーニングロール70aが製造される。
なお、クリーニングロール70aの実装時における帯電ロール20の清掃動作は第1実施形態と同様なので、ここでは、再度の説明を割愛する。
【0028】
このクリーニングロール70aの分離工程では、軸72aの2つの孔に差し込まれているピン75を抜き取ることにより軸72aと弾性部材71aとの固定状態を解消した後、弾性部材71aの孔から軸72aを引き出だすことで両者を分離すればよい。
以上説明した本実施形態にかかるクリーニングロール70aであっても、使用済のクリーニングロール70aから、軸72aのみを簡単に取り出すことができる。
【0029】
<第3実施形態>
本願発明の第3実施形態について説明する。図7(a)は、本実施形態にかかるクリーニングロール70bの構成を示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)におけるクリーニングロール70bを矢印C−C’方向から見た断面図である。また、図8(a)は、このクリーニングロール70bの正面図であり、図8(b)は側面図、図8(c)は分解図である。図7及び図8に示すように、このクリーニングロール70bは、弾性部材71bの孔の内周面に、左端から右側に向かって凹み量が徐々に大きくなる第1凹部76aと、右端から左側に向かって凹み量が徐々に小さくなる第2凹部76bとを形成している。一方、軸72bの外周面の左端から所定量だけ右側の位置には、右側に向かって凸み量が徐々に大きくなる第1凸部77aが、また、その右端から所定量だけ左側の位置には、左側に向かって凸み量が徐々に小さくなる第2凸部77bが、被係止部としてそれぞれ形成されている。
そして、この弾性部材71bと軸72bの両者は、弾性部材71bの第1凹部76aと軸72bの第1凸部77a、及び弾性部材71bの第2凹部76bと軸72bの第2凸部77bをそれぞれ噛合させることによって固定される。
【0030】
このクリーニングロール70bの組立工程では、弾性部材71bの第1凹部76aと軸72bの第1凸部77a、及び弾性部材71bの第2凹部76bと軸72bの第2凸部77bがそれぞれ噛合する位置まで弾性部材71bの孔の右面側から軸72bを左側に向かって嵌め込んでいけばよい。軸72bの第1凸部77aと第2凸部77bは、いずれも右側に向かって凸み量が徐々に大きくなる形状になっているので、孔の内周面の弾性部材71bを押し開きながら凹部と凸部とが噛合する位置まで滑らかに移動可能である。
なお、クリーニングロール70bの実装時における帯電ロール20の清掃動作は第1実施形態と同様である。
【0031】
このクリーニングロール70bの分離工程では、弾性部材71bの孔の左面側から軸72bを左側に向かって引き出すことで、両者を分離すればよい。
以上説明した本実施形態にかかるクリーニングロール70bであっても、使用済のクリーニングロール70bから、軸72bのみを簡単に取り出すことができる。
【0032】
<第4実施形態>
本願発明の第4実施形態について説明する。図9(a)は、本実施形態にかかるクリーニングロール70cの構成を示す斜視図であり、図9(b)は、図9(a)におけるクリーニングロール70cを矢印C−C’方向から見た断面図である。また、図10(a)は、このクリーニングロール70cの正面図であり、図10(b)は側面図、図10(c)は分解図である。図9及び図10に示すように、このクリーニングロール70cは、弾性部材71cの孔の内周面に、左端から右側に向かって凸み量が徐々に小さくなる第1凸部78aと、右端から左側に向かって凸み量が徐々に大きくなる第2凸部78bとを形成している。一方、軸72cの外周面の左端から所定量だけ右側の位置には、右側に向かって凹み量が徐々に小さくなる第1凹部79aが、また、その右端から所定量だけ左側の位置には、左側に向かって凹み量が徐々に大きくなる第2凹部79bが、被係止部としてそれぞれ形成されている。
そして、この弾性部材71cと軸72cの両者は、弾性部材71cの第1凸部78aと軸72cの第1凹部79a、及び弾性部材71cの第2凸部78bと軸72cの第2凹部79bをそれぞれ噛合させることによって固定される。
【0033】
このクリーニングロール70cの組立工程では、弾性部材71cの第1凸部78aと軸72cの第1凹部79a、及び弾性部材71cの第2凸部78bと軸72cの第2凹部79bがそれぞれ噛合する位置まで弾性部材71cの孔の右面側から軸72cを左側に向かって嵌め込んでいけばよい。軸72cの第1凹部79aと第2凹部79bは、いずれも右側に向かって凹み量が徐々に小さくなる形状になっているので、孔の内周面の弾性部材71cを押し開きながら凹部と凸部が噛合する位置まで滑らかに移動可能である。
なお、クリーニングロール70cの実装時における帯電ロール20の清掃動作は第1実施形態と同様である。
【0034】
このクリーニングロール70cの分離工程では、弾性部材71cの孔の左面側から軸72cを左側に向かって引き出すことで、両者を分離すればよい。
以上説明した本実施形態にかかるクリーニングロール70cであっても、使用済のクリーニングロール70cから、軸72cのみを簡単に取り出すことができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態において、クリーニングロール70の弾性部材71は、発泡ウレタンにより形成されていたが、発泡メラミンなどにより形成されてもよい。また、軸72は金属製であったが、樹脂製であってもよい。
【0036】
上記第1実施形態において、係止部73の各々は、弾性部材71の孔の両端の内周面に位置するように設けられていたが、弾性部材71の孔の中心部の内周面に位置するように設けられてもよい。要するに、軸72の一端とその端から所定量だけ内側の位置の間に設けられていればよい。
また、係止部73の各々は、感光体ドラム10の画像形成領域よりも外側に相当する位置に設けられてもよい。図11を参照して具体的に説明すると、感光体ドラム10には、現像器によりトナーが供給され得る画像形成領域Pが定められている。そして、クリーニングロール70を形成する弾性部材71の両端からその画像形成領域Pよりも外側に相当する領域を領域Qとすると、この領域Qに相当するクリーニングロール70の端部からやや内側の位置に、各々の係止部が設けられてもよい。これにより、係止部を設置した箇所の弾性部材71の硬化現象、及びその硬化現象により引き起こされるクリーニング性のばらつきを防ぐことができる。
【0037】
上記実施形態において、係止部は、雌ねじ形状、ピン形状、凸部形状、又は凹部形状により形成され、被係止部は、雄ねじ形状、ピン受け形状、凹部形状、又は凸部形状により形成されていたが、両部の形状はこれに限らない。要するに、係止部をある第1の形状により形成し、被係止部をその第1の形状と噛合する第2の形状により形成してさえいればよい。
【0038】
例えば、図12(a)は、本発明の他の態様のクリーニングロール70dの構成を示す斜視図であり、図12(b)は、そのクリーニングロール70dを矢印C−C’方向から見た断面図である。また、図13(a)は、このクリーニングロール70dの正面図であり、図13(b)は側面図、図13(c)は分解図である。図12及び図13に示すように、この態様にかかるクリーニングロール70dは、弾性部材71dの孔の内周面に、左端から右側に向かって凸み量が徐々に大きくなる第1凸型テーパ80aと、右端から左側に向かって凸み量が徐々に大きくなる第2凸型テーパ部80bとを形成している。また、軸72dの外周面は、軸72dの外周面の左端から所定量だけ右側の位置には、右側に向かって凹み量が徐々に大きくなる第1凹型テーパ81aが、また、その右端から所定量だけ左側の位置には、左側に向かって凹み量が徐々に大きくなる第2凹型テーパ81bが、被係止部としてそれぞれ形成されている。
そして、この態様の場合、この弾性部材71dと軸72dの両者は、弾性部材71dの第1凸型テーパ80aと軸72dの第1凹型テーパ81a、及び弾性部材71dの第2凸型テーパ80bと軸72dの第2凹型テーパ81bをそれぞれ噛合させることによって固定される。このような態様のクリーニングロール70dであっても、上述した実施形態にて説明したクリーニングロールと同様の効果が得られる。
【0039】
上記第2実施形態において、弾性部材71aの両端面の各々を孔を挟んで上下方向に係止部73aとなるピン受け溝が形成されていたが、この係止部73aは予め形成されていなくてもよい。その場合、係止部73aの各々と2つの孔が対向する位置まで弾性部材71aの孔へ軸72aが嵌め込まれ、軸72aの各々の孔の上下から一部が食み出すように2つの孔にピン75が差し込まれると、各々の孔の上下から食み出したピン75の一部が弾性部材71aの各端面に接触し、それら接触部分を圧縮する。このピン75による圧縮により、弾性部材71aの両端面に係止部73aとなるピン受け溝が形成されてもよい。
【0040】
上記実施形態では、帯電ロール20とクリーニングロール70とを個別に設けたが、帯電ロール20とクリーニングロール70とを帯電ロールユニットとして一体化させ、着脱可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】画像形成装置1の概略構成である。
【図2】クリーニングロール70の構成を示す図である(第1実施形態)。
【図3】クリーニングロール70の構成を示す図である(第1実施形態)。
【図4】トナー31を示す図である。
【図5】クリーニングロール70aの構成を示す図である(第2実施形態)。
【図6】クリーニングロール70aの構成を示す図である(第2実施形態)。
【図7】クリーニングロール70bの構成を示す図である(第3実施形態)。
【図8】クリーニングロール70bの構成を示す図である(第3実施形態)。
【図9】クリーニングロール70cの構成を示す図である(第4実施形態)。
【図10】クリーニングロール70cの構成を示す図である(第4実施形態)。
【図11】画像形成領域Pを示す図である(他の実施形態)。
【図12】クリーニングロール70dの構成を示す図である(他の実施形態)。
【図13】クリーニングロール70dの構成を示す図である(他の実施形態)。
【符号の説明】
【0042】
1…画像形成装置、10…感光体ドラム、20…帯電ロール、30…露光器、31…トナー、32…外添剤、40…現像器、50…転写ロール、60…クリーニングブレード、70,70a,70b,70c,70d…クリーニングロール、71,71a,71b,71c,71d…弾性部材、72,72a,72b,72c,72d…軸、73,73a…係止部、74…被係止部、75…ピン、76a,78a…第1凹部、76b,78b…第2凹部、77a,79a…第1凸部、77b,79b…第2凸部、80a…第1凸型テーパ、80b…第2凸型テーパ、81a…第1凹型テーパ、81b…第2凹型テーパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一方の端面から他方の端面にかけて孔を貫通させ、その孔の内周面に第1の形状の係止部を設けた円柱形状の弾性部材の当該孔へ、外周面に前記第1の形状と噛合する第2の形状の被係止部を設けた軸部材を嵌め込んでなるロール状回転体。
【請求項2】
請求項1に記載のロール状回転体において、
前記第1の形状は、雄ねじ形状又は雌ねじ形状のうち一方であり、
前記第2の形状は、雄ねじ形状又は雌ねじ形状のうち他方である
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項3】
請求項1に記載のロール状回転体において、
前記第1の形状は、ピン形状又はピン受け形状のうち一方であり、
前記第2の形状は、ピン形状又はピン受け形状のうち他方である
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項4】
請求項1に記載のロール状回転体において、
前記第1の形状は、前記孔の一方の端の側から他方の端の側に向かって凹み量を徐々に大きくした凹形状であり、
前記第2の形状は、前記軸部材の一方の端の側から他方の端の側に向かって凸み量を徐々に大きくした凸形状である
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のロール状回転体において、
前記軸部材の軸径と前記弾性部材の孔の孔径の径差が所定値未満である
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のロール状回転体において、
前記孔の内周面に複数の前記係止部を設けた
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載のロール状回転体において、
前記複数の係止部の各々は、
前記孔の両端とそれら両端から所定量だけ内側の位置との間にそれぞれ設けられている
ロール状回転体。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のロール状回転体において、
前記軸部材の長手方向の幅が前記孔の長手方向の幅よりも大きい
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項9】
請求項8に記載のロール状回転体において、
前記長手方向の両方の端面の外側へ前記軸部材の一部がそれぞれ突出するように当該軸部材を嵌め込んでなる
ことを特徴とするロール状回転体。
【請求項10】
感光体を帯電させる帯電ロールと、
請求項9に記載のロール状回転体の弾性部材の周面と前記帯電ロールの周面とが接触する位置にて当該ロール状回転体の軸部材の両端を回転自在に支持する軸支持部と
を備えた帯電ロールユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の帯電ロールユニットにおいて、
前記係止部は、
前記感光体の画像形成領域よりも外側に相当する、前記両端から所定量だけ内側の位置に設けられる
ことを特徴とする帯電ロールユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−58420(P2008−58420A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232607(P2006−232607)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】