説明

ローレベルとハイレベルとの間の振幅を変更することによって(ASK)変調される電圧のアナログ/デジタル変換のための回路構成物

ローレベルとハイレベルとの間の振幅を変更することによって(ASK)変調される電圧を復調するための回路構成物が提供される。その際、第1の充電回路および第2の充電回路に、それぞれ、充電電圧(V1、V2)が生成される。その際、切断回路(S1)は、第2の充電回路(C2、i2)の充電電圧(V2)と、整流装置(D1、D2)の入力電圧(UHF)との間に所定の関係がある場合に、第1の充電回路(C1、i1)を切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による、ローレベルとハイレベルとの間の振幅を変更することによって(ASK)変調される電圧のアナログ/デジタル変換のための回路構成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非接触タグのように、非接触チップカードおよびその類似物の導入の際に、いわゆるASK変調が頻繁に導入されている。これに関して、デジタル形状で存在するデータによって第1と第2のレベルとの間で変化しそれによって変調される高周波信号が知られている。
【0003】
デジタルデータが、「イエス」と「ノー」との間、あるいは「1」と「0」との間、あるいは「ハイ」と「ロー」との間において区別されるように、大きい振幅と小さい振幅との間において区別される。目下、2つの異なる変調方法、すなわちASK100およびASK10が慣用されている。その際、ASK100は100%のレベル差を有し、ASK10は10%のレベル差を有する。しかしながら、他の差の可能もあり、また、後述の本発明は、これら2つの通常の変調態様に限定されない。
【0004】
ASK変調の問題点は、送信機と受信機との間の距離の変化によって、送信される信号の同一の振幅による変調信号が、距離が変化した場合、受信側において受信された振幅の変化をもたらすことにある。同様なことが、送信機と受信機との間の空間において、差が発生した場合にも該当する。
【0005】
さらに、複雑な場合として、絶えず「ゼロ」に戻る、すなわち2つの2進数の「1」間に、信号が「ゼロ」に戻る信号が使用される場合、およびこれが提供されず、異なる長さの連続する「0」および「1」が変調され、伝送される信号の場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ASK変調の際の2つの状態間のレベル変換ができる限り少ない労力によって、確実に認識されるアナログ/デジタル変換回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、本発明による請求項1に提示された処置によって解決される。提示された回路は、2つの充電電圧の比較の際に、変調レベルの変化が容易に認識されるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において、本発明は、図面を参照して詳細に説明される。
【0009】
図1に示された本発明による第一の実施例において、2つの入力端子(LAおよびLB)によって示される、復調器の入力に、高周波入力電圧UHFが供給される。図2には、高周波入力電圧の振幅値の包絡線が示される。認識されるように、振幅値は、「high(ハイ)」と示される高振幅レベルと「low(ロー)」と示される低振幅レベルとの間において変化する。その結果、この整流された高周波入力電圧UHFは、ノードYにおいて整流された形状において供給される。ノードYには、整流された高周波電圧によって充電される2つの充電回路が接続される。
【0010】
第1の充電回路はコンデンサC1および電圧ノードV1から分岐して並列に接続される電流源i1からなる。対応して、第2の充電回路はコンデンサC2および電圧ノードV2から分岐して並列に接続される電流源i2からなる。第2の充電回路は、充電スイッチS1を介してノードYに接続されている。このスイッチS1は、高周波交流電圧UHFが変調される低周波電圧UNFによって操作される。最も簡易な方法として、これは、図示されないダイオードによって可能である。
【0011】
続いて、この回路の機能が説明される。ノードYの整流された高周波電圧UHFが入力ノードV1およびV2の電圧より大きく、スイッチS1が閉じられている間は、コンデンサC1およびC2は、整流された高周波交流電圧UHFに充電される。同時に、コンデンサC1およびC2は、電流源i1あるいは電流源i2によって放電される。その際、2つの充電回路の時定数は、高周波入力電圧UHFの半周期より大きくなるように選択され、その結果、充電回路の2つの入力ノードV1およびV2には、高周波交流電圧のゼロクロスに起因する実質的な電圧変動(Brummen)が生じない。
【0012】
図2に示されるように、高周波入力電圧UHFの振幅は、時刻t1までは「high」レベルにある。時刻t1においてその振幅は、「low」レベルに変化する。この変化は、スイッチS1を開き、第2の充電回路およびそれによって入力ノードV2が他の回路と切断される。第1および第2の充電回路の時定数は異なって選択されるため、2つのコンデンサC1およびC2の異なる放電を引き起こす。これは、例えば、2つのコンデンサC1およびC2が同じ大きさであり、しかしながら、電流源i1およびi2が異なる強さであることによって、可能である。その結果生じた放電態様は、図3に示される。
【0013】
図3から察知できるように、ノードV1の電圧に比べてノードV2の電圧は明らかにより急に降下する。図1から認識されるように、電圧V1は分圧器X%によって電圧V1´に変換される。その結果、図3から認識されるように、放電曲線V2およびV1´の交差が生じる。交点Sは、「high」レベルから「low」レベルへの移行を示すのに適している。後述する評価回路によって、そのような交点は把握可能である。
【0014】
図4によって、本発明による回路のさらなる実施形態が示される。ここではまず、ノードV2の電圧を、「Vsiglow」と記される電圧と「Vsighigh」と記される電圧との2つの異なる電圧に変換する2つの分圧器Y%およびZ%が参照される。
【0015】
図4による回路は、基本的に図1によって記載された回路と同様に機能する。ここでは、第2の充電回路の時定数は、第1の充電回路に比べて明らかに小さい、すなわち電流源i2は、コンデンサC1に関する電流源i1に比べて、コンデンサC2を明らかにより速く放電する。その結果、信号Vsighiおよび信号Vsiglowは、高周波入力電圧の「high」から「low」へのレベル変換にかなり正確に追随する。図1に関連して図3にすでに記載されたように、信号Vrefと、電圧信号Vsighighに相当する信号との間の交点Sが生じる。
【0016】
電圧ノードV2の電圧が、電流源i2による放電によって、高周波入力電圧UHFを下回るまで低下すると、スイッチS1は再び閉じる。これは、電流源i2が抵抗R1を介してさらにコンデンサC1をも放電することを意味する。これは、図6のVrefの時刻t2からの急な放電経過によって認識される。高周波電圧UHFの「low」から「high」へのレベル変換が生じた場合、充電回路のコンデンサC1およびC2は再び充電され、図7に示されるように、曲線Vrefと曲線Vsiglowとの間の交点S´が生じる。
【0017】
ダイオードD3は、V1とV2との間において、ダイオードD3による電圧降下に対応した電圧差が生じるように手配される。その結果、2つのノード点の電圧は、例えば、ASK100のような大きな変調行程の場合には、並行に導かれる。そのASK100では、高周波入力電圧の振幅は、レベル「low」の場合、ほぼ「0」ボルトに達する。このような方法によって、この高い変調飛躍の際に、信号VsighighとVrefとの間に明白な交点が常に確定されるということが、保証される。
【0018】
図5において、Vrefに対応した信号V1´、Vsighighに対応した信号V2´、およびVsiglowに対応した信号V2´´のための評価回路が示される。ここでは、V1´は各々2つの差動増幅器の反転入力に印加され、VsighighあるいはVsiglowは各々非反転入力に印加される。差動増幅器の出力は、示されるように、RSフリップフロップに接続される。RSフリップフロップに出力において、信号は「high」レベルあるいは「low」レベルに応じて出力される。しかしながら、他の評価回路も考え得る。
【0019】
図6は、可能な信号経過を示し、その際、時刻t1における入力されたHF信号の「high」から「low」への振幅変換によって、第1および第2の充電回路が放電され、その結果、Vsighigh、VsiglowおよびVrefの示された電圧経過が生じる。第2の充電回路に対して第1の充電回路の長い放電時間によって、交点Sが生じる。この交点は、例えば図5に示された評価回路によって認識される。
【0020】
図7は、通常のCMOS技術においての本発明による回路の実現を示す。ここでも、入力交流電圧が入力端子LAおよびLBに印加される。上記実施例におけるダイオードD1およびD2は、この技術に対応して、トランジスタN4およびN5によって形成される。
【0021】
整流回路の接続において、搬送波周波数の抑制のために、ローパス入力フィルタが提供される。
【0022】
上記実施例の充電回路に対して、pチャネルトランジスタP1およびP2からなる浮遊カレントミラー回路が提供される。このカレントミラー回路はコンデンサC1およびC2を充電し、そこに、nチャネルトランジスタN8およびN10による電流シンクが加わる。カレントミラー回路によって供給される充電電流の放電電流に対する割合は、各々コンデンサC1およびC2の充電時定数を決定する。抵抗R4、R5およびR7は、既に上記実施例との関係で説明された分圧器を実現し、この分圧器は、ウィンドウ回路(Fensterschaltung)に供給される信号vref_dem、信号vsighigh、および信号vsiglowを生成する。
【0023】
ダイオードN24およびN25は、入力電圧がV1あるいはV2の電圧レベルを下回ると、すぐに電圧V1およびV2を外す。
【0024】
ダイオードV11は、上記ダイオードD3と同様の機能を有する。
【0025】
上記実施例に追加して、出力信号pausexに高い変調度が認められた場合に、対応する制御信号demodenxがゲートNA6に供給される。これは、カレントミラーP4と直列接続される2つの電流シンクN1およびN0を駆動する。カレントミラーP4は、カレントミラー回路P1およびP2と接続され、これによって、コンデンサの充電電流は数倍に増加される。これは、振動状態が大きなハブ(Hub)を用いた制御によって加速されて回復されるため、減少されない検出帯域幅を保証する。
【0026】
例えば「high」から「low」へのあるいはその逆の頻繁なレベル変換の処理のために、有利にも、第1の充電回路の充電時間および放電時間が追加的に変更可能である。そのため、図8に示される信号経過が実施可能であり、その結果、レベル変化の直後にアナログ振幅変調信号のデジタル化が行われるということが、達成される。
【0027】
第1の充電回路の充電時間および放電時間の変更可能性は、例えば、一時的にコンデンサC1に直列に接続されるコンデンサC1´によって実施可能である。その結果、第1の充電回路の総容量が変更され、およびそれにより第1の充電回路の充電時間および放電時間が変更される。
【0028】
その際、充電時間および放電時間は、信号Vrefと信号Vsighighあるいは信号Vsiglowとの各知られた交点の後に、変更される。これは、トランジスタN11によって行われる。トランジスタN11は、信号Vsighighおよび信号Vsiglowによって印加される電圧ウィンドウ(Spanungsfenster)の信号Vrefが除去された場合には、常に充電時間および放電時間を短縮し、電圧ウィンドウが再印加された場合には、充電時間および放電時間、あるいは容量を増加する。その結果、信号Vrefの経過は、信号Vsighighおよび信号Vsiglowの経過より早くなる。LからH、あるいはHからLへの有効信号のための切替え点として、各々、VrefとVsighighとの第1の交点S、およびVrefとVsiglowとの第1の交点Sが使用される。
【0029】
この実施形態は、変調深さおよび有効な信号周波数に関して、アナログデジタル変換の高い柔軟性の利点を含む。そのため、例えば、848kHzまでの有効な信号周波数が、この実施例において、処理可能である。
【0030】
信号Vref、VsighighおよびVsiglowの評価は、その他の場合、上記実施例と同様に行われる。
【0031】
回路の設計規模は、実施例から直接得られる。
【0032】
しかしながら、本発明は、この設計にその全部が制限されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による回路構成物の第一の実施例を示す。
【図2】ASK変調信号の包絡線を示す。
【図3】第1および第2の充電電圧の例示的な経過を示す。
【図4】本発明による第二の実施例を示す。
【図5】評価回路の一例を示す。
【図6】評価回路に供給される電圧の例示的な経過を示す。
【図7】本発明の実施のための回路設計を示す。
【図8】評価回路に供給される電圧の例示的な経過を示し、その際、第1の充電電圧は変更された充電時間あるいは放電時間によって生成される。
【符号の説明】
【0034】
V1 第1の入力ノード
V2 第2の入力ノード
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
I1 電流源
I2 電流源
D1 整流回路
D2 整流回路
Y 出力ノード
S1 切断装置(スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローレベルとハイレベルとの間の振幅を変更することによって(ASK)変調される電圧のアナログ/デジタル変換のための回路構成物であって、
高周波入力(LB、LA)に後続する整流装置(D1、D2;N4、N5)と、該整流装置(D1、D2;N4、N5)の出力(Y)と並列に接続され、それぞれ充電電圧(V1、V2)を生成する、第1の充電回路(C1、i1;C1、P1)および第2の充電回路(C2、i2;C2、P2)と、該それぞれの充電電圧(V1、V2)の所定の関係の際に、該充電電圧(V1、V2)を、該整流装置(D1、D2;N4、N5)の入力電圧(UHF)と切り離す、切断回路(S1;N24、N25)と、該充電電圧(V1、V2)の関係から、レベル変換を確定する評価回路とを備える、回路構成物。
【請求項2】
前記充電回路は、フローティングカレントミラー回路(P1;P2)を有する、請求項1に記載の回路構成物。
【請求項3】
前記第1および第2の充電回路(C1、i1;C2、i2)は、前記充電電圧(V1、V2)の所定の関係の際に、ダイオード(D3;V11)を介して、互いに接続される、請求項1または2に記載の回路構成物。
【請求項4】
前記第2の充電回路の電圧は、2つの異なる電圧に変換される、請求項1から3のいずれか一項に記載の回路構成物。
【請求項5】
前記第1および第2の充電回路は、異なる放電時間を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の回路構成物。
【請求項6】
所定の変調度から、充電電流増幅回路(P4、N1、N0、N2、P2)を活性化する切替え装置が提供される、請求項1から5のいずれか一項に記載の回路構成物。
【請求項7】
前記第1の充電回路の放電時間および/または充電時間は変更可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路構成物。
【請求項8】
前記第1の充電回路の前記放電時間および/または充電時間は、前記充電電圧(U1、U2)の前記関係に依存することなく変更される、請求項7に記載の回路構成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローレベルとハイレベルとの間の振幅を変更することによって(ASK)変調される電圧のアナログ/デジタル変換のための回路構成物であって、
高周波入力(LB、LA)に後続する整流装置(D1、D2;N4、N5)と、該整流装置(D1、D2;N4、N5)の出力(Y)と並列に接続され、それぞれ充電電圧(V1、V2)を生成する、第1の充電回路(C1、i1;C1、P1)および第2の充電回路(C2、i2;C2、P2)と、該それぞれの充電電圧(V1、V2)の所定の関係の際に、該充電電圧(V1、V2)を、該整流装置(D1、D2;N4、N5)の入力電圧(UHF)と切り離す、切断回路(S1;N24、N25)と、該充電電圧(V1、V2)の関係から、レベル変換を確定する評価回路とを備え、該第1の充電回路の放電時間および/または充電時間は変更可能である、回路構成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−502684(P2006−502684A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501264(P2005−501264)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003148
【国際公開番号】WO2004/036860
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】