説明

ワイパブレード

【課題】可動カバー部材の組み付け性を向上させることができるワイパブレードを提供する。
【解決手段】ヨークレバー14の上側から可動カバー部材15が組み付けられることで回動軸部15aがテーパ面14dの案内にて支持穴14fに嵌入され、これにより、可動カバー部材15がヨークレバー14に対して回動軸部15aを中心に回動可能に連結される。そして、可動カバー部材15における回動軸部15aの下側の位置には、各側壁部32から幅方向内側に突出するガイドリブ34が設けられ、該ガイドリブ34の長手方向の寸法が回動軸部15aの長手方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、ガイドリブ34の内側端部34aがヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のフロントガラスを払拭するためのワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパは、ワイパモータの駆動に基づいて作動するワイパアームと、該ワイパアームの先端部に支持されたワイパブレードとから構成されている。ワイパブレードにおいて、例えば特許文献1に示すものは、ワイパアームに連結されるメインレバーと、払拭面を払拭するためのブレードラバーを把持する把持部が設けられメインレバーに直接又は間接的に連結されたヨークレバーと、ヨークレバーに対して回動可能に連結され、複数の把持部における長手方向端部の把持部よりも長手方向外側に突出したブレードラバーの追従端部を自身の保持部にて保持する可動カバー部材とを備えている。可動カバー部材は、ヨークレバーの上側に位置する上壁部と、該上壁部から延出されヨークレバーの幅方向(払拭方向)両側に位置する一対の側壁部とからヨークレバーの少なくとも一部を覆う形状をなしており、各側壁部から幅方向内側に突出しヨークレバーに形成された支持穴に嵌入された回動軸部にて該ヨークレバーに対して回動可能に連結されている。また、ヨークレバーの上部には、幅方向両側に向かうにつれて下方に傾斜する一対のテーパ面が少なくとも支持穴に対応した箇所に形成されている。
【0003】
このようなワイパブレードにおいて、ヨークレバーに対する可動カバー部材の組み付けは、可動カバー部材をヨークレバーに対して上側から押し込むようにする。このとき、可動カバー部材の各回動軸部がヨークレバーの各テーパ面に当接して、該テーパ面の傾斜に倣って幅方向両側に一旦開き、その後の弾性復帰により各回動軸部がヨークレバーの各支持穴に嵌入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−89641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなワイパブレードにおいて、可動カバー部材をヨークレバーに対して組み付ける際に、平面視で可動カバー部材の長手方向がヨークレバーの長手方向と平行となる正しい組付姿勢に対して可動カバー部材が上下方向(平面直交方向)に沿う軸を中心に傾いてしまうと、回動軸部がヨークレバーの支持穴に嵌入されにくくなり、その結果、組み付け性の悪化を招いていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、可動カバー部材の組み付け性を向上させることができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワイパアームに連結されるメインレバーと、払拭面を払拭するためのブレードラバーを把持する把持部が設けられ前記メインレバーに直接又は間接的に連結されたヨークレバーと、前記ヨークレバーの上側に位置する上壁部と、該上壁部から延出され前記ヨークレバーの幅方向両側に位置する一対の側壁部とから前記ヨークレバーの少なくとも一部を覆う形状をなすとともに、前記各側壁部から幅方向内側に突出し前記ヨークレバーに形成された支持穴に嵌入された回動軸部にて該ヨークレバーに対して回動可能に連結され、複数の前記把持部における長手方向端部の把持部よりも長手方向外側に突出した前記ブレードラバーの追従端部を自身の保持部にて保持する可動カバー部材とを備え、前記ヨークレバーの上側から前記可動カバー部材が組み付けられることで前記回動軸部が前記支持穴に嵌入されるワイパブレードであって、前記可動カバー部材における前記回動軸部の下側の位置には、前記各側壁部から幅方向内側に突出するガイド部が設けられ、該ガイド部の前記可動カバー部材の長手方向に沿った寸法が前記回動軸部の前記長手方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記ガイド部の幅方向内側端部が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
この発明では、ヨークレバーの上側から可動カバー部材を組み付ける際に、可動カバー部材の回動軸部が支持穴に嵌入されるに先立って可動カバー部材に設けられた一対のガイド部がヨークレバーの幅方向の側面にそれぞれ接触し、それによって、可動カバー部材が正しい組付姿勢にセットされる。これにより、可動カバー部材の回動軸部が支持穴に嵌入されにくくなるといった問題が解消され、その結果、ヨークレバーに対する可動カバー部材の組み付け性を向上させることができる。また、可動カバー部材がヨークレバーに組み付けられた状態においても、ガイド部の幅方向内側端部がヨークレバーの幅方向の側面に当接するため、払拭時の負荷抵抗によるブレードラバーの撓みがブレードラバーの追従端部を保持する可動カバー部材に捻れ(払拭方向の捻れ)を生じさせようとしても、その捻れ力を回動軸部だけでなくガイド部でも受け止めるので、回動軸部への捻れ力の集中を防止できるとともに捻れ自体をも抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記各ガイド部の幅方向内側端部は、平面視で前記長手方向に沿って互いに平行な直線状をなすことを特徴とする。
【0010】
この発明では、幅方向内側端部が平面視で長手方向に沿って互いに平行な直線状をなす各ガイド部によって、可動カバー部材を正しい組付姿勢により好適にガイドすることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、前記各側壁部の内側面には、前記回動軸部の基端部から前記長手方向に延びる第1のリブが形成され、該第1のリブの幅方向内側面が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
この発明では、各側壁部の内側面に回動軸部の基端部から長手方向に延びる第1のリブが形成されるため、回動軸部の剛性を向上させることができる。また、第1のリブの幅方向内側面がヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されるため、可動カバー部材の捻れ方向(払拭方向)のがたつきをより抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記各側壁部の内側面には、前記回動軸部の基端部から前記ガイド部に向かって下方に延びる第2のリブが形成され、該第2のリブの幅方向内側面が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
この発明では、各側壁部の内側面に回動軸部の基端部からガイド部に向かって下方に延びる第2のリブが形成されるため、回動軸部の剛性をより向上させることができる。また、上下方向に延びる第2のリブの幅方向内側面がヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されるため、可動カバー部材の倒れ方向(回動軸部の軸線が上下方向に傾斜する方向)に沿った軸を中心とする回動方向へのがたつきを抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のワイパブレードにおいて、前記第2のリブは、前記回動軸部から前記ガイド部まで連続的に形成され、前記第2のリブの前記可動カバー部材の長手方向に沿った寸法は、前記ガイド部の前記長手方向の寸法よりも小さく設定されたことを特徴とする。
【0016】
この発明では、ヨークレバーの幅方向の側面に当接する第2のリブ及びガイド部が連続的に形成されるため、可動カバー部材の倒れ方向へのがたつきをより好適に抑制することができる。また、第2のリブの可動カバー部材の長手方向に沿った寸法がガイド部の長手方向の寸法よりも小さく設定されるため、連続的に繋がる第2のリブとガイド部によって側壁部の幅方向厚みが厚くなる部分の面積を小さく抑えることが可能となり、その結果、回動軸部付近の可動カバー部材の表面におけるひけの発生を抑えることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ヨークレバーの上部には、幅方向両側に向かうにつれて下方に傾斜する一対のテーパ面が少なくとも前記支持穴に対応した箇所に形成され、該テーパ面には、前記回動軸部を前記支持穴にガイドするためのガイド溝が形成されたことを特徴とする。
【0018】
この発明では、可動カバー部材の組み付け時において、回動軸部をテーパ面に形成したガイド溝に合わせることで長手方向の位置決めが可能となり、可動カバー部材の組み付け性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
従って、上記記載の発明によれば、可動カバー部材の組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の車両用ワイパを示す斜視図。
【図2】(a)ワイパブレードの平面図、(b)ワイパブレードの側面図。
【図3】(a)ワイパブレードの一部断面図、(b)ヨークレバーの平面図、(c)ヨークレバーの側面図。
【図4】(a)図3(a)におけるA−A断面図、(b)図3(a)におけるB−B断面図。
【図5】可動カバー部材の回動軸部付近の概略図。
【図6】(a)可動カバー部材の組み付けの態様を示す断面図、(b)組み付け時において可動カバー部材が上下方向(平面直交方向)に沿う軸を中心に傾いた状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車のフロントガラスの払拭面Gに付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ10を示す。車両用ワイパ10は、車両(図示略)に連結されたワイパアーム11と、そのワイパアーム11の先端部に支持され払拭面Gに接触配置されるワイパブレード12とから構成されている。ワイパブレード12は、ワイパモータ(図示略)の駆動に基づくワイパアーム11の作動にて往復揺動し、払拭面G上の払拭を行うものである。尚、ワイパブレード12は、ワイパアーム11に設けられたスプリング(図示略)にて払拭面Gに押圧されるようになっている。
【0022】
図2(a)(b)に示すように、ワイパブレード12は、メインレバー13と、2つのヨークレバー14と、2つの可動カバー部材15と、ブレードラバー16とを備えている。メインレバー13の長手方向両端部にはそれぞれ回動軸部13aが設けられている。各回動軸部13aには、各ヨークレバー14の中央部が組み付けられて、メインレバー13に対して各ヨークレバー14が回動可能に支持されている。各ヨークレバー14の中央部の回動連結部分よりも若干長手方向外側には、各可動カバー部材15の基端部が回動軸部15aにて組み付けられ、各ヨークレバー14に対して各可動カバー部材15が回動可能に支持されている。尚、メインレバー13と可動カバー部材15は、ワイパブレード12の外観を構成している。
【0023】
メインレバー13は樹脂材料よりなり、上壁部21と、幅方向(払拭方向であって、長手方向と直交する方向)で対をなす側壁部22とを有し、その上壁部21と側壁部22とがメインレバー13の外観を構成している。また、メインレバー13の長手方向直交断面は、上壁部21と側壁部22とから全体的に払拭面G側に開口する略U字状に形成されている。
【0024】
図1及び図2(a)に示すように、メインレバー13の長手方向中央部には、上下方向(払拭面Gの垂直方向)から見て長手方向が長辺となる長方形状の開口部23が上壁部21を上下方向に貫通して形成されている。開口部23の幅方向の対向壁部23a間には、略円柱状よりなる金属製の連結ピン17が掛け渡されるように一体成形して設けられている。そして、この開口部23には、ワイパアーム11の先端部との連結を図るための連結部材20が嵌挿され、連結ピン17に対して回動可能に装着される。一方、ワイパアーム11の先端部は、払拭面G側が自由端のUフック状に形成されており、その先端部は、開口部23に装着された連結部材20を介して連結ピン17に係止され、連結部材20に対して着脱可能となっている。
【0025】
尚、本実施の形態のワイパブレード12では、図2(a)に示すように、メインレバー13及び可動カバー部材15には、走行風を受けてその抗力をワイパブレード12の払拭面Gへの押圧力として作用させるフィン部18が、開口部23の対向壁部23a以外の車両前方側の側壁部22及び側壁部32に長手方向に亘って形成されている。
【0026】
図3(a)に示すように、メインレバー13内の長手方向両端部にはそれぞれ、上壁部21から払拭面G側に突出する突出部13bが形成されている。各突出部13bの払拭面G側の端部には、幅方向両側にそれぞれ突出する前記回動軸部13aが形成されている。尚、突出部13bの頂面(払拭面G側の端面)は、回動軸部13aから長手方向に離間するほど凸設量が小さくなるように傾斜して形成されている。
【0027】
図3(a)(b)(c)に示すように、ヨークレバー14は、長尺状の樹脂材料よりなり、その一部がメインレバー13内に収容されている。尚、ヨークレバー14は、長手方向の中心に対して左右対称形状をなしており、本実施形態のワイパブレード12に設けられる2つのヨークレバー14は互いに同一構成の部材となっている。ヨークレバー14の長手方向中央部に形成された凹部14aには、メインレバー13の回動軸部13aが嵌め込まれており、これにより、ヨークレバー14がメインレバー13に対して回動可能に支持されるようなっている。また、ヨークレバー14の両端部にはそれぞれ、幅方向で対をなす把持部14bが形成されており、図4(b)に示すように、各把持部14bはブレードラバー16を把持している。
【0028】
ブレードラバー16はゴム材にて長尺状に形成され、把持部14bに把持される基部16aと、基部16aから下方(払拭面G方向)に延びる払拭部16bとを有する。また、ブレードラバー16の基部16aにはバネ材料よりなる一対のバッキング19が装着されている。このバッキング19はワイパアーム11より受ける払拭面Gへの押圧力を長手方向に分散させる役目を果たすものである。また、ブレードラバー16は、各ヨークレバー14の長手方向外側端部の把持部14bよりも更に長手方向外側に向かってそれぞれ突出しており、その突出部分はバッキング19と共に払拭面Gの湾曲に湾曲追従する追従端部Xを構成している。
【0029】
図3(b)(c)に示すように、ヨークレバー14には、払拭面Gに対して略平行をなす上面14cから幅方向両側に向かうにつれて下方(払拭面G側方向)に傾斜する平面状のテーパ面14dが長手方向の略全体に亘って形成されている。また、ヨークレバー14の幅方向両側の側面14eは、各テーパ面14dと連続するとともに、上面14cに対して略直角をなす平面状に形成され、互いに略平行な面をなしている。ヨークレバー14の幅方向両側のテーパ面14dと側面14eとの境目の側面14e側にはそれぞれ、円形の支持穴14fが幅方向に並んで凹設されている。この幅方向で対をなす支持穴14fは、前記凹部14aから長手方向両側に所定間隔を空けた位置にそれぞれ形成されている。また、ヨークレバー14の幅方向両側の各テーパ面14dには、該テーパ面14dの傾斜に沿ったガイド溝14gが各支持穴14fに対応する位置に形成されている。
【0030】
図2(b)及び図3(a)に示すように、メインレバー13の長手方向端部の各可動カバー部材15は、メインレバー13の長手方向端部から突出したヨークレバー14の上側を覆っている。詳しくは、図4(a)(b)に示すように、可動カバー部材15は、ヨークレバー14の上側(反払拭面側)に位置する上壁部31と、該上壁部31から延出されヨークレバー14の幅方向両側に位置する一対の側壁部32とから全体的に長手方向直交方向断面が払拭面G側に開口する略U字状に形成されている。
【0031】
各可動カバー部材15の長手方向基端部(メインレバー13側の端部)の近傍には、図4(a)及び図5に示すように、幅方向の各側壁部32から幅方向内側に突出する円柱状の回動軸部15aが一対形成されている。各回動軸部15aは、ヨークレバー14の各支持穴14fに嵌入され、これにより、可動カバー部材15がヨークレバー14に対して回動可能に連結されるようになっている。
【0032】
各可動カバー部材15の長手方向先端部には、追従端部Xにおけるブレードラバー16の基部16aを把持する把持部15bが形成されている。この把持部15bは、ヨークレバー14の把持部14bと同様の構成である。図3(b)に示すように、各可動カバー部材15の把持部15bとヨークレバー14の各把持部14bとでブレードラバー16の基部16aが長手方向所定間隔で把持されている。因みに、各可動カバー部材15には、把持部15bとヨークレバー14の外側の把持部14bとの間において、ブレードラバー16の幅方向の移動(又は姿勢)を規制すべく同方向で対をなす規制片15cが設けられている。
【0033】
可動カバー部材15には、回動軸部15aの基端部から上下方向及び左右方向(可動カバー部材15の長手方向)の四方に延びる十字状の補強リブ33が、各側壁部32の内側面から幅方向内側に突出するように形成されている。また、可動カバー部材15には、各側壁部32の下端部(払拭面G側の端部)から幅方向内側に突出するガイドリブ34が回動軸部15aの下側(払拭面G側)の位置に形成されている。
【0034】
図5に示すように、補強リブ33は、回動軸部15aから長手方向両側にそれぞれ直線状に延びる長手方向延出リブ33aと、回動軸部15aから下側(ガイドリブ34側)に直線状に延びる下側リブ33bと、回動軸部15aから上側に直線状に延びる上側リブ33cとを有している。下側リブ33b及び長手方向延出リブ33aの幅方向内側端部は、ヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接している。また、このような補強リブ33によって回動軸部15aの剛性が向上されるようになっている。
【0035】
ガイドリブ34は、幅方向視で長手方向が長辺となる長方形状をなしている。また、ガイドリブ34は、その長手方向中央部の真上に回動軸部15aが位置するように設けられている。また、ガイドリブ34は、その長手方向中央部で下側リブ33bと連続的に繋がるように形成され、ガイドリブ34の幅方向の内側端部34aと下側リブ33bの幅方向の内側端部とは面一となっている。そして、該ガイドリブ34の内側端部34aは、下側リブ33b及び長手方向延出リブ33aと共にヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接している。
【0036】
また、各ガイドリブ34の内側端部34aは、図6(b)に示すように、平面視で長手方向に沿って互いに平行な直線状をなしている。ガイドリブ34の長手方向寸法W1は、図5に示すように、回動軸部15aの長手方向寸法W2(直径)よりも大きく設定されている。また、下側リブ33bの長手方向寸法W3は、回動軸部15aの長手方向寸法W2よりも小さく設定されている。
【0037】
更に、ガイドリブ34の内側端部34aは、可動カバー部材15の各回動軸部15aが支持穴14fに嵌入されるに先立って、より詳しくは、各回動軸部15aがテーパ面14dに当接するに先立ってヨークレバー14の幅方向の側面14eにそれぞれ接触するように形成位置が設定されている。
【0038】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
ヨークレバー14に対して可動カバー部材15を組み付ける際には、図6(a)に示すように、ヨークレバー14の長手方向と可動カバー部材15の長手方向が平行となる状態で、ヨークレバー14の上側から可動カバー部材15を下方に押し込むようにして組み付ける。このとき、可動カバー部材15の各回動軸部15aをヨークレバー14の各ガイド溝14gに合わせることで長手方向の位置決めが可能となっている。更に、ガイドリブ34の内側端部34aが可動カバー部材15の各回動軸部15aが支持穴14fに嵌入されるに先立ってヨークレバー14の幅方向の側面14eにそれぞれ接触する。このガイドリブ34の内側端部34aとヨークレバー14の幅方向の側面14eとの接触(面接触)により可動カバー部材が正しい組付姿勢にセットされる。しかも、ガイドリブ34は各回動軸部15aから可動カバー部材15の長手方向両側に長尺に形成されているので、可動カバー部材15の長手方向とヨークレバー14の長手方向とが平行となるより正しい組付姿勢(図6(b)に示すような姿勢となることが防止されて)で安定してセットされる。
【0039】
そして、各回動軸部15aがガイド溝14gに当接する状態で、可動カバー部材15をヨークレバー14に対して押し込むと、ガイド溝14gの傾斜に倣って各回動軸部15aが幅方向に一旦開き、その後、弾性復帰によって各回動軸部15aがヨークレバー14の各支持穴14fに嵌入されるようになっている。
【0040】
また、可動カバー部材15がヨークレバー14に組み付けられた状態においても、可動カバー部材15の各側壁部32のガイドリブ34が、ヨークレバー14の幅方向の各側面14eと当接している。これにより、払拭時の負荷抵抗によるブレードラバー16の撓みがブレードラバー16の追従端部Xを保持する可動カバー部材15に捻れ(払拭方向の捻れ)を生じさせようとしても、その捻れ力を回動軸部15aだけでなくガイドリブ34でも受け止めるので、回動軸部15aへの捻れ力の集中を防止できるとともに捻れ自体をも抑制することができるようになっている。
【0041】
また、下側リブ33bの長手方向寸法W3がガイドリブ34の長手方向寸法W1、より詳しくは回動軸部15aの長手方向寸法W2よりも小さく設定されている。このため、連続的に繋がる下側リブ33bとガイドリブ34によって側壁部32の幅方向厚みが厚くなる部分の面積が小さく抑えられている。これにより、回動軸部15a付近の可動カバー部材15の表面におけるひけの発生を抑えることが可能となっている。
【0042】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態では、ヨークレバー14の上側から可動カバー部材15が組み付けられることで回動軸部15aが支持穴14fに嵌入され、これにより、可動カバー部材15がヨークレバー14に対して回動軸部15aを中心に回動可能に連結される。また、可動カバー部材15における回動軸部15aの下側の位置には、各側壁部32から幅方向内側に突出するガイドリブ34が設けられている。そして、該ガイドリブ34の長手方向寸法W1が回動軸部15aの長手方向寸法W2(直径)よりも大きく設定されるとともに、ガイドリブ34の内側端部34aがヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接するように構成される。このため、ヨークレバー14の上側から可動カバー部材15を組み付ける際に、可動カバー部材15の回動軸部15aが支持穴14fに嵌入されるのに先立って該可動カバー部材15に設けられた一対のガイドリブ34がヨークレバー14の幅方向の側面14eにそれぞれ接触し、それによって、可動カバー部材15が正しい組付姿勢にセットされる。これにより、可動カバー部材15の回動軸部15aが支持穴14fに嵌入されにくくなるといった問題が解消され、その結果、ヨークレバー14に対する可動カバー部材15の組み付け性を向上させることができる。また、可動カバー部材15がヨークレバー14に組み付けられた状態においても、ガイドリブ34の内側端部34aはヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接する。これにより、払拭時の負荷抵抗によるブレードラバー16の撓みが該ブレードラバー16の追従端部Xを保持する可動カバー部材15に捻れ(払拭方向の捻れ)を生じさせようとしても、その捻れ力は回動軸部15aだけでなくガイドリブ34でも受け止められる。このため、回動軸部15aへの捻れ力の集中を防止できるとともに可動カバー部材15の捻れ自体をも抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、各ガイドリブ34の内側端部34aは、平面視で長手方向に沿って互いに平行な直線状をなすため、この各ガイドリブ34によって可動カバー部材15を正しい組付姿勢により好適にガイドすることが可能となる。
【0044】
(3)本実施形態では、各側壁部32の内側面に回動軸部15aの基端部から長手方向に延びる長手方向延出リブ33aが形成されるため、回動軸部15aの剛性を向上させることができる。また、長手方向延出リブ33aの幅方向内側面がヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接するように構成されるため、可動カバー部材15の捻れ方向(払拭方向)のがたつきをより抑制することができる。
【0045】
(4)本実施形態では、各側壁部32の内側面に回動軸部15aの基端部からガイドリブ34に向かって下方に延びる下側リブ33bが形成されるため、回動軸部15aの剛性をより向上させることができる。また、上下方向に延びる下側リブ33bの幅方向内側面がヨークレバー14の幅方向の側面14eに当接するように構成されるため、可動カバー部材15の倒れ方向(回動軸部15aの軸線が上下方向に傾斜する方向)へのがたつきを抑制することができる。
【0046】
(5)本実施形態では、下側リブ33bは回動軸部15aからガイドリブ34まで連続的に形成されるため、可動カバー部材15の倒れ方向へのがたつきをより好適に抑制することができる。また、下側リブ33bの長手方向寸法W3がガイドリブ34の長手方向寸法W1よりも小さく設定されるため、連続的に繋がる下側リブ33bとガイドリブ34によって側壁部32の幅方向厚みが厚くなる部分の面積を小さく抑えることが可能となり、その結果、回動軸部15a付近の可動カバー部材15の表面におけるひけの発生を抑えることが可能となる。
【0047】
(6)本実施形態では、ヨークレバー14の上部には、幅方向両側に向かうにつれて下方に傾斜する一対のテーパ面14dが長手方向全体に亘って形成され、該テーパ面14dには、回動軸部15aを支持穴14fにガイドするためのガイド溝14gが形成される。このため、可動カバー部材15の組み付け時において、回動軸部15aをテーパ面14dに形成したガイド溝14gに合わせることで長手方向の位置決めが可能となり、可動カバー部材15の組み付け性をより向上させることができる。
【0048】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、回動軸部15aを支持穴14fにガイドするためのガイド溝14gがテーパ面14dに形成されたが、これに特に限定されるものではなく、ガイド溝14gが形成されていない構成としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、下側リブ33bとガイドリブ34とが連続的に繋がる構成としたが、これに特に限定されるものではなく、繋がっていない構成としてもよい。
・上記実施形態における補強リブ33及びガイドリブ34の形状は、構成に応じて適宜変更してもよい。
【0050】
・上記実施形態では、ヨークレバー14がメインレバー13に直接的に連結されたが、これ以外に例えば、中間レバーを介して間接的に連結して、上記実施形態より多段階のトーナメント状に構成してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、ヨークレバー14を樹脂製としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、全体若しくは一部を金属製としたものであってもよい。
・上記実施形態では、メインレバー13は、可動カバー部材15と共にワイパブレード12の外観形状を構成するもの、即ちメインレバー13がセンターカバーを兼ねているものとしたが、これに限定されず、例えば、金属材料よりなるメインレバーに樹脂材料よりなるセンターカバーを固定した構成に変更してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、車両のフロントガラスを払拭する車両用ワイパ10に適用したが、これ以外に例えば、車両のリヤガラスを払拭するワイパに適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…車両用ワイパ、11…ワイパアーム、12…ワイパブレード、13…メインレバー、14…ヨークレバー、14b…把持部、14d…テーパ面、14e…側面、14f…支持穴、14g…ガイド溝、15…可動カバー部材、15a…回動軸部、15b…把持部(保持部)、16…ブレードラバー、31…可動カバー部材の上壁部、32…可動カバー部材の側壁部、33…補強リブ、33a…長手方向延出リブ(第1のリブ)、33b…下側リブ(第2のリブ)、34…ガイドリブ(ガイド部)、G…払拭面、X…追従端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームに連結されるメインレバーと、
払拭面を払拭するためのブレードラバーを把持する把持部が設けられ前記メインレバーに直接又は間接的に連結されたヨークレバーと、
前記ヨークレバーの上側に位置する上壁部と、該上壁部から延出され前記ヨークレバーの幅方向両側に位置する一対の側壁部とから前記ヨークレバーの少なくとも一部を覆う形状をなすとともに、前記各側壁部から幅方向内側に突出し前記ヨークレバーに形成された支持穴に嵌入された回動軸部にて該ヨークレバーに対して回動可能に連結され、複数の前記把持部における長手方向端部の把持部よりも長手方向外側に突出した前記ブレードラバーの追従端部を自身の保持部にて保持する可動カバー部材と
を備え、
前記ヨークレバーの上側から前記可動カバー部材が組み付けられることで前記回動軸部が前記支持穴に嵌入されるワイパブレードであって、
前記可動カバー部材における前記回動軸部の下側の位置には、前記各側壁部から幅方向内側に突出するガイド部が設けられ、該ガイド部の前記可動カバー部材の長手方向に沿った寸法が前記回動軸部の前記長手方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記ガイド部の幅方向内側端部が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記各ガイド部の幅方向内側端部は、平面視で前記長手方向に沿って互いに平行な直線状をなすことを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、
前記各側壁部の内側面には、前記回動軸部の基端部から前記長手方向に延びる第1のリブが形成され、該第1のリブの幅方向内側面が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記各側壁部の内側面には、前記回動軸部の基端部から前記ガイド部に向かって下方に延びる第2のリブが形成され、該第2のリブの幅方向内側面が前記ヨークレバーの幅方向の側面に当接するように構成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項4に記載のワイパブレードにおいて、
前記第2のリブは、前記回動軸部から前記ガイド部まで連続的に形成され、
前記第2のリブの前記可動カバー部材の長手方向に沿った寸法は、前記ガイド部の前記長手方向の寸法よりも小さく設定されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記ヨークレバーの上部には、幅方向両側に向かうにつれて下方に傾斜する一対のテーパ面が少なくとも前記支持穴に対応した箇所に形成され、該テーパ面には前記回動軸部を前記支持穴にガイドするためのガイド溝が形成されたことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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