説明

ワイパブレード

【課題】組み立ての容易なワイパブレードを提供する。
【解決手段】このワイパブレードは、ベース部22が長手方向に沿って設けられたブレードラバー2と、ブレードラバー2のベース部22の中央部分を幅方向に挟む一対の隔壁10,11が設けられたラバーホルダ1とを備える。一対の隔壁10,11には、爪部10a,11aがそれぞれ形成されている。そして、ラバーホルダ1の一対の爪部10a,11aがブレードラバー2のベース部22の中央部分に係合することにより、ブレードラバー2にラバーホルダ1が組み付けられる。ここでは、ブレードラバー2のベース部22の中央部分に、ラバーホルダ1の一対の爪部10a,11aの先端間の間隔よりも長い寸法を有する幅広部22aを形成する。また、ベース部22の幅広部22aが形成された以外の部分には、一対の爪部10a,11aの先端間の間隔よりも短い寸法を有する幅狭部22b,22cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のウィンドウガラスに付着した雨滴等を払拭するワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワイパブレードとしては、例えば特許文献1に記載のワイパブレードが知られている。図16に示すように、この特許文献1に記載のワイパブレードは、長尺状のブレードラバー60と、同ブレードラバー60の中央部に組み付けられたラバーホルダ61とを有して構成されている。図17に示すように、ブレードラバー60には、反払拭面側に凸状をなすように湾曲した板ばね材からなるバッキング62a,62bが長手方向に沿って装着されている。これにより、図示しないワイパアームからラバーホルダ61に付与される押圧力によってブレードラバー60がウィンドウガラスに押圧されると、バッキング62a,62bの弾性力によりブレードラバー60全体がウィンドウガラスに押し付けられる。このため、ブレードラバー60をウィンドウガラスの湾曲部分に追従させることが可能となっている。また、ブレードラバー60の両端部には、ブレードラバー60からのバッキング62a,62bの脱落を防止するためのキャップ63a,63bがそれぞれ装着されている。さらに、ラバーホルダ61の両端には爪部61aがそれぞれ形成されており、この爪部61aがブレードラバー60に係合することにより、ブレードラバー60にラバーホルダ61が組み付けられている。なお、図16及び図17では、便宜上、ラバーホルダ61の一方の端部に形成された爪部のみを図示している。
【0003】
ワイパブレードとしてのこのような構成によれば、トーナメント式のワイパブレードと比較すると、ラバーホルダ61の構造を簡素化することができる。よって、例えば車両走行時に発生する走行風がワイパブレードに当たったとしても異音が発生し難くなるため、静音性を高めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−22632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のワイパブレードでは、ラバーホルダ61をブレードラバー60に組み付ける際に、ブレードラバー60の一端からラバーホルダ61の爪部61aを通した後、ラバーホルダ61をブレードラバー60の中央部分までスライド移動させる必要がある。そしてこのことが、ワイパブレードの組み立てが煩雑となる一つの要因となっている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み立ての容易なワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、板ばね材からなるバッキングが装着されるベース部が長手方向に沿って設けられた長尺状のブレードラバーと、同ブレードラバーの前記ベース部の中央部分を前記長手方向と直交する幅方向に挟む一対の隔壁が設けられたラバーホルダとを有するとともに、前記一対の隔壁には、前記ベース部に向かって突出する爪部がそれぞれ形成され、同一対の隔壁にそれぞれ形成された一対の爪部が前記ブレードラバーの前記ベース部の中央部分に係合することにより前記ブレードラバーに前記ラバーホルダが組み付けられるとともに、同ラバーホルダにワイパアームが連結されるワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記ベース部の中央部分には、前記幅方向について前記ラバーホルダの前記一対の爪部の先端間の間隔よりも長い寸法を有する幅広部が形成されるとともに、前記ベース部の前記幅広部が形成された以外の部分には、前記幅方向について前記ラバーホルダの前記一対の爪部の先端間の間隔よりも短い寸法を有する幅狭部が形成されていることを要旨とする。
【0008】
同構成によるように、ブレードラバーのベース部にラバーホルダの一対の爪部の先端間の間隔よりも短い寸法を有する幅狭部を形成することとすれば、このベース部幅狭部にラバーホルダの一対の爪部を遊嵌させることができるため、ラバーホルダをベース部の中央部分まで容易にスライド移動させることができる。また、ブレードラバーのベース部の中央部分にラバーホルダの一対の爪部の先端間の間隔よりも長い寸法を有する幅広部を形成することとすれば、ラバーホルダがブレードラバーのベース部の中央部分まで移動したときに、ラバーホルダの一対の爪部がブレードラバーのベース部幅広部に係合する。これにより、ブレードラバーのベース部幅狭部にラバーホルダを遊嵌させた後にこれをベース部の中央部分までスライド移動させるだけでラバーホルダをブレードラバーに組み付けることができるため、ワイパブレードの組み立てが容易となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードによれば、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部には、前記ラバーホルダの前記一対の爪部が係合される一対の凹部が形成されていることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、ラバーホルダの一対の爪部とブレードラバーの一対の凹部との係合構造によって、ブレードラバーに対するラバーホルダの長手方向の相対移動が規制される。このため、ラバーホルダを介してブレードラバーを確実に保持することができるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、前記ラバーホルダの前記一対の隔壁の間隔が、前記幅方向の寸法に関して、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部の寸法と同じ寸法、若しくはそれよりも短い寸法に設定されていることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、ラバーホルダの一対の隔壁とブレードラバーのベース部幅広部とが互いに接触あるいは密着するため、それらの間に生じる摩擦力によって、ブレードラバーに対するラバーホルダの長手方向の相対移動が規制される。このため、ラバーホルダを介してブレードラバーを、より確実に保持することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイパブレードにおいて、前記バッキングは、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅寸法に対応した形状に形成されていることを要旨とする。
【0014】
同構成によるように、バッキングをブレードラバーのベース部に対応した形状に形成することとすれば、ワイパアームからラバーホルダに付与される押圧力をバッキングを介してブレードラバーに的確に伝達することが可能となる。このため、払拭面に対するブレードラバーの追従性が向上するようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記ベース部には、前記幅広部が前記長手方向に沿って延設され、前記ラバーホルダが、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部に対応して前記長手方向に延びた形状を有していることを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、ラバーホルダとブレードラバーとが接触する面積を大きくすることができるため、ワイパアームからラバーホルダに付与される押圧力が、より分散されてブレードラバーに伝達されることとなる。このため、ブレードラバーを払拭面に押さえ付け易くなるため、払拭面に対するブレードラバーの追従性が向上するようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるワイパブレードによれば、組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかるワイパブレードの一実施形態についてその斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のワイパブレードについてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態のワイパブレードのラバーホルダについてその斜視構造を示す斜視図。
【図4】(a)は、同実施形態のワイパブレードのラバーホルダについてその正面構造を示す正面図。(b)は、図4(a)のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図5】同実施形態のワイパブレードのブレードラバーについてその斜視構造を示す斜視図。
【図6】(a)は、図5のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。(b)は、図5のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図7】(a)は、図6(a)のD−D線に沿った断面構造を示す断面図。(b)は、図6(a)のE−E線に沿った断面構造を示す断面図。
【図8】同実施形態のワイパブレードのバッキングについてその製造方法を示す平面図。
【図9】同実施形態のワイパブレードについてその組み立て方法を説明するための斜視図。
【図10】図9のF−F線に沿った断面構造を示す断面図。
【図11】同実施形態のワイパブレードについてその組み立て方法を説明するための断面図。
【図12】図11のG−G線に沿った断面構造を示す断面図。
【図13】(a),(b)は、本発明にかかるワイパブレードの他の例についてそのラバーホルダの斜視構造及び断面構造をそれぞれ示す斜視図及び断面図。
【図14】同他の例のワイパブレードについてその断面構造を示す断面図。
【図15】本発明にかかるワイパブレードの他の例についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図16】従来のワイパブレードについてその斜視構造を示す斜視図。
【図17】同従来のワイパブレードについてその分解斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかるワイパブレードの一実施形態について図1〜図12を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態にかかるワイパブレードの概略構成について説明する。なお、本実施形態のワイパブレードは、例えば車両のウィンドウガラスに付着した雨滴等を払拭するものである。
【0020】
図1に示すように、このワイパブレードは、ワイパアーム5が連結されるラバーホルダ1と、同ラバーホルダ1によって中央部分が支持される長尺状のブレードラバー2とを有して構成されている。図2に併せ示すように、ブレードラバー2の長手方向に沿って伸びる両側壁には、板ばね材からなるバッキング3a,3bが長手方向に沿ってそれぞれ装着されている。そして、本実施形態のバッキング3a,3bも、先の図16及び図17に例示したワイパブレードと同様に、反払拭面側に凸状をなすように湾曲した形状を有している。これにより、バッキング3a,3bの弾性力によってブレードラバー2全体をウィンドウガラスに押し付けることができるため、ブレードラバー2をウィンドウガラスの湾曲面に追従させることが可能となっている。また、このワイパブレードも、ブレードラバー2の両端部にキャップ4a,4bがそれぞれ装着されることによって、ブレードラバー2からのバッキング3a,3bの脱落が防止される構造となっている。そして、このワイパブレードでは、図1に示すように、ワイパアーム5からラバーホルダ1に払拭面側に押圧力が付与されることにより、ブレードラバー2が車両のウィンドウガラスに押し付けられる。また、ワイパアーム5には、車両に搭載されたワイパモータ(図示略)が連結されており、このワイパモータを回転させることによってブレードラバー全体が往復回動する。
【0021】
次に、図3及び図4を参照して、ラバーホルダ1の構造について詳述する。
図3に示すように、ラバーホルダ1は、ブレードラバー2の幅方向に離間して配置される隔壁10,11を備えており、これらの隔壁10,11によってブレードラバー2の中央部分を挟み込む構造をなしている。なお、ラバーホルダ1の正面構造を図4(a)に示すように、隔壁10,11の間の間隔は寸法D1に設定されている。一方、図3に示すように、また、図4(a)のA−A線に沿った断面構造を図4(b)に示すように、隔壁10,11の内壁面における長手方向の一方の端部には、内側に突出するかたちで爪部10a,11aがそれぞれ形成されている。また、隔壁10,11の内壁面における長手方向の他方の端部にも、内側に突出するかたちで爪部10c,11cがそれぞれ形成されている。なお、図4(a)に示すように、爪部10a,11aの先端間の間隔、及び爪部10c,11cの先端間の間隔は寸法D2にそれぞれ設定されている。そして、これらの爪部10a,11a,10c,11cが隔壁10,11の間に挟み込まれたブレードラバー2に係合されることにより、ラバーホルダ1がブレードラバー2に組み付けられる。また、隔壁10,11を連結する上壁部12の上面には、支持壁14,15によって支持された軸部13が設けられており、ラバーホルダ1は、この軸部13を介してワイパアーム5に連結される。
【0022】
次に、図5〜図7を参照して、ブレードラバー2の構造について詳述する。
図5に示すように、ブレードラバー2は、長手方向に直交する断面の形状が略三角形状に形成された払拭部20と、この払拭部20とネック部21を介して連結されたベース部22とを長手方向に沿って備えている。払拭部20は、ネック部21を介してベース部22に対して傾動反転自在に連結されている。そして、このブレードラバー2は、ベース部22がラバーホルダ1によって保持されるとともに、払拭部20にて車両のウィンドウガラスを払拭する構造をなしている。
【0023】
ベース部22の中央部分には、幅方向に幅広形状をなす幅広部22aが形成されるとともに、同幅広部22aが形成された以外の部分には、幅広部22aに比べて幅狭である幅狭部22b,22cが形成されている。なお、図5のB−B線に沿った断面構造を図6(a)に示すように、ベース部幅広部22aの幅寸法W1は、上記ラバーホルダ1の隔壁10,11の間の寸法D1と同じ長さに設定されている。これにより、ベース部幅広部22aにラバーホルダ1が組み付けられたときに、ベース部幅広部22aの側壁がラバーホルダ1の隔壁10,11の各内壁面に接触するようになっている。また、図5のC−C線に沿った断面構造を図6(b)に示すように、ベース部幅狭部22b,22cの幅寸法W2は、上記ラバーホルダ1の爪部10a,11a,10c,11cのそれぞれの先端間の寸法D2よりも短い長さに設定されている。これにより、ベース部幅狭部22b,22cをラバーホルダ1の爪部10a,11a,10c,11cの間に挿通することができるようになっている。
【0024】
また、図5に併せ示すように、ベース部22には、その長手方向に沿って、上記バッキング3a,3bが挿入される第1の溝23a,23bと、ラバーホルダ1の爪部10a,11a,10c,11cが挿入される第2の溝24a,24bとが形成されている。図6(a)のD−D線に沿った断面構造を図7(a)に示すように、第1の溝23a,23bの底面25a,25bは、ベース部幅広部22aにあたる部分、及びベース部幅狭部22b,22cにあたる部分の双方で面一となるように形成されている。これに対し、図5のE−E線に沿った断面構造を図7(b)に示すように、第2の溝24a,24bの底面26a,26bには、図中に2点鎖線で示すベース部幅広部22aにあたる部分に段差部27a,27bがそれぞれ形成されている。これらの段差部27a,27bの一方の側面には、緩やかな傾斜面28a,28bがそれぞれ形成されるとともに、段差部27a,27bの頂部には、傾斜面28a,28bに連なるかたちで凹部29a,29bがそれぞれ形成されている。これらの凹部29a,29bは、上記ラバーホルダ1の爪部10a,11aが係合される部分となっている。また、図6(a)及び図7(a),(b)に示すように、幅広部22aにおいて第2の溝24a,24bの底壁をなしてネック部21が設けられる部分となるベース部底部22dは、幅広部22aよりも幅方向にさらに幅広に形成されている。なお、ベース部底部22dの幅広部22aにあたる部分は、ベース部底部22dの幅狭部22b,22cに相当する部分よりも幅方向に幅広となるように形成されている。
【0025】
一方、先の図2に示すように、バッキング3a,3bは、ブレードラバー2のベース部22の幅寸法に対応した形状に形成されている。すなわち、バッキング3a,3bの中央部分には、幅方向に幅広形状をなす幅広部30a,30bがそれぞれ形成されるとともに、同幅広部30a,30bが形成された以外の部分には、幅広部30a,30bに比べて幅狭である幅狭部31a,31bがそれぞれ形成されている。そして、こうした形状からなるバッキング3a,3bの全体がブレードラバー2の第1の溝23a,23b内に収容される。
【0026】
なお、本実施形態のバッキング3a,3bは、以下のようにして製造することが有効である。すなわち、図8に示すような板材40を用意した上で、この板材40を図中の2点鎖線に沿って切断する。すなわち、中央部分の突出部が上方を向くように配置されたバッキング41と、中央部分の突出部が下方を向くように配置されたバッキング42とが互い違いに成形されるように板材40を切断する。このようなバッキング製造方法によれば、板材40において廃材となる部分が図中の点ハッチングで示される部位Sだけとなるため、材料の歩留まりを向上させることができる。
【0027】
次に、図9〜図12を参照して、本実施形態にかかるワイパブレードの作用について説明する。
本実施形態にかかるワイパブレードを組み立てる際には、まず、ブレードラバー2の第1の溝23a,23bにバッキング3a,3bをそれぞれ挿入するとともに、ブレードラバー2の両端部にキャップ4a,4bをそれぞれ装着した後、図9に示すように、ブレードラバー2のベース部幅狭部22cの上方からラバーホルダ1を組み付ける。このとき、図10に示すように、ブレードラバー2のベース部幅狭部22cがラバーホルダ1の爪部10a,11aの間、及び爪部10c,11cの間を通ってラバーホルダ1の内部に収容されるため、ブレードラバー2に対してラバーホルダ1が遊嵌された状態となる。したがって、ラバーホルダ1をブレードラバー2の中央部分まで容易にスライド移動させることができる。
【0028】
そして、図9に2点鎖線で示すように、ラバーホルダ1をブレードラバー2のベース部幅広部22aまでスライド移動させたとする。このとき、ワイパブレードのベース部幅広部22aの周辺の断面構造を図11に示すように、また、図11のG−G線に沿った断面構造を図12に示すように、ラバーホルダ1の爪部10a,11aが、ブレードラバー2の第2の溝24a,24bに形成された段差部27a,27bの傾斜面28a,28bを上った後、凹部29a,29bに係合される。また、ラバーホルダ1の爪部10c,11cが第2の溝24a,24bに係合される。これにより、ブレードラバー2の中央部分へのラバーホルダ1の組み付けが完了する。
【0029】
ワイパブレードとしてのこのような構成によれば、ブレードラバー2のベース部幅狭部22cの途中部分にラバーホルダ1を遊嵌させた後、これをブレードラバー2の中央部分まで移動させるだけで、ラバーホルダ1をブレードラバー2に組み付けることができる。したがって、ワイパブレードの組み立てが容易となる。また、ブレードラバー2の凹部29a,29bとラバーホルダ1の爪部10a,11aとの係合構造により、ブレードラバー2に対するラバーホルダ1の長手方向への相対移動が規制されるため、ラバーホルダ1によってブレードラバー2を確実に保持することができる。
【0030】
また、図11及び図12に示すように、ブレードラバー2のベース部幅広部22aにラバーホルダ1が組み付けられたとき、ブレードラバー2のベース部幅広部22aの外壁面がラバーホルダ1の隔壁10,11の内壁面に接触する。これにより、ブレードラバー2のベース部幅広部22aとラバーホルダ1の隔壁10,11との間に摩擦力が生じるため、この摩擦力によってもブレードラバー2に対するラバーホルダ1の長手方向への相対移動が規制される。このため、ブレードラバー2がラバーホルダ1によって、より確実に保持される。
【0031】
さらに、図11に示すように、ベース部底部22dが幅広部22aよりも幅方向にさらに幅広に形成されているため、例えばワイパブレードが振動・払拭反転した場合、ラバーホルダ1が払拭面に接触するのを避けることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態にかかるワイパブレードによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)ブレードラバー2のベース部22の中央部分には、ラバーホルダ1の一対の爪部10a,11aの先端間の間隔よりの長い寸法を有する幅広部22aを形成することとした。また、ベース部22の幅広部22aが形成された以外の部分には、ラバーホルダ1の一対の爪部10a,11aの先端間の間隔よりも短い寸法を有する幅狭部22b,22cを形成することとした。これにより、ブレードラバー2のベース部幅狭部22cにラバーホルダ1を遊嵌させた後にこれをブレードラバー2の中央部分までスライド移動させるだけで、ラバーホルダ1をブレードラバー2に組み付けることができるため、ワイパブレードの組み立てが容易となる。
【0033】
(2)ブレードラバー2のベース部幅広部22aには、ラバーホルダ1の一対の爪部10a,11aが係合される一対の凹部29a,29bを形成することとした。これにより、爪部10a,11aと凹部29a,29bとの係合構造によって、ブレードラバー2に対するラバーホルダ1の長手方向の相対移動が規制されるため、ラバーホルダ1によってブレードラバー2を確実に保持することができるようになる。
【0034】
(3)ラバーホルダ1の一対の隔壁10,11の間の寸法D1を、ブレードラバー2のベース部幅広部22aの幅寸法W1と同じ寸法に設定することとした。これにより、ラバーホルダ1の隔壁10,11とブレードラバー2のベース部幅広部22aとの間に生じる摩擦力によって、ブレードラバー2に対するラバーホルダ1の長手方向への相対移動が規制されるため、ラバーホルダ1によってブレードラバー2を、より確実に保持することができるようになる。
【0035】
(4)バッキング3a,3bを、ブレードラバー2のベース部22の幅寸法に対応した形状に形成することとした。これにより、ワイパアーム5からラバーホルダ1に付与される押圧力をバッキング3a,3bを介してブレードラバー2に的確に伝達することが可能となるため、払拭面に対するブレードラバー2の追従性が向上するようになる。
【0036】
(5)ベース部22のネック部21が設けられる部分となるベース部底部22dを、幅広部22aよりも幅方向にさらに幅広に形成することとした。これにより、例えばワイパブレードが振動・払拭反転したときに、ラバーホルダ1が払拭面に接触するのを避けることができるようになる。
【0037】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ラバーホルダ1の隔壁10,11に、爪部10a,11aとは別の爪部10c,11cを形成することとしたが、ラバーホルダ1として、これらの爪部10c,11cを省略した上で図13に示すような構造を採用してもよい。すなわち、先の図3に対応する図を図13(a)に示すように、また、先の図4(b)に対応する図を図13(b)に示すように、ラバーホルダ1の隔壁10,11の爪部10a,11aを、凹部29a,29bに係合される部分となる爪10d,11dと、同爪10d,11dよりも突出量が低く設定されて長手方向に沿って隔壁10,11の一端部まで延びるガイド爪10e,11eとにより構成する。これにより、先の図12に対応する図を図14に示すように、ブレードラバー2のベース部幅広部22aにラバーホルダ1を組み付けようとする際に、ガイド爪10e,11eが第2の溝24a,24bの内壁に係合するため、ラバーホルダ1の移動が案内される。したがって、ラバーホルダ1の組み付けが容易となる。
【0038】
・ラバーホルダ1及びブレードラバー2のベース部22を図15に示すように形成してもよい。図15に示すように、ブレードラバー2のベース部22の中央部分には幅広部22aが延設されている。また、ラバーホルダ1は、ベース部幅広部22aに対応して長手方向に伸びた形状に形成されている。そして、このラバーホルダ1の両端部には、ブレードラバー2のベース部幅広部22aに係合される爪部10b,11bがそれぞれ形成されている。なお、図15では、便宜上、ラバーホルダ1の一方の端部に形成された爪部のみを図示している。ワイパブレードとしてのこのような構成によれば、ラバーホルダ1とブレードラバー2とが接触する面積を大きくすることができるため、図示しないワイパアームからラバーホルダ1に付与される押圧力が、より分散されてブレードラバー2に伝達されることとなる。このため、ブレードラバー2を払拭面に押さえ付けやすくなるため、払拭面に対するブレードラバーの追従性が向上するようになる。
【0039】
・上記実施形態では、ベース部底部22dの幅広部22aにあたる部分をベース部底部22dの幅狭部22b,22cにあたる部分よりも幅広に形成することとしたが、これらの幅が同じであってもよい。
【0040】
・上記実施形態では、バッキング3a,3bを、ブレードラバー2のベース部22の幅寸法に対応した形状に形成することとしたが、これに代えて、一定の幅寸法を有する形状に形成してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、ラバーホルダ1の一対の隔壁10,11の間の寸法D1を、ブレードラバー2のベース部幅広部22aの幅寸法W1と同等の寸法に設定することとしたが、これに代えて、ベース部幅広部22aの幅寸法W1よりも短い寸法に設定してもよい。これにより、ブレードラバー2のベース部幅広部22aの外壁面がラバーホルダ1の隔壁10,11の内壁面に密着するため、それらの間に生じる摩擦力がより大きくなる。したがって、ラバーホルダ1によってブレードラバー2を、より確実に保持することができるようになる。また、ラバーホルダ1の一対の隔壁10,11の間の寸法D1をベース部幅広部22aの幅寸法W1よりも長い寸法に設定してもよい。このような構成であっても、ラバーホルダ1の爪部10a,11a,10c,11cとブレードラバー2の第2の溝24a,24bとの係合構造を通じて、ラバーホルダ1によりブレードラバー2を保持することは可能である。
【0042】
・ラバーホルダ1の隔壁10,11とブレードラバー2のベース部幅広部22aとの間に生じる摩擦力によってブレードラバー2に対するラバーホルダ1の長手方向の相対移動を規制することができる場合には、ブレードラバー2のベース部幅広部22aに形成された一対の凹部29a,29bを省略してもよい。すなわち、ラバーホルダ1の爪部10a,11aとブレードラバー2の凹部29a,29bとからなる係合構造を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,61…ラバーホルダ、2…ベース部、2,60…ブレードラバー、3a,3b,41,42,62a,62b…バッキング、4a,4b,63a,63b…キャップ、5…ワイパアーム、10,11…隔壁、10a,10b,10c,11a,11b,11c,10b,61a…爪部、10d,11d…爪、10e,11e…ガイド爪、12…上壁部、13…軸部、14,15…支持壁、20…払拭部、21…ネック部、22…ベース部、22a…幅広部、22b,22c…幅狭部、22d…ベース部底部、23a,23b…第1の溝、24a,24b…第2の溝、25a,25b,26a,26b…底面、27a,27b…段差部、28a,28b…傾斜面、29a,29b…凹部、30a,30b…幅広部、31a,31b…幅狭部、40…板材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ばね材からなるバッキングが装着されるベース部が長手方向に沿って設けられた長尺状のブレードラバーと、同ブレードラバーの前記ベース部の中央部分を前記長手方向と直交する幅方向に挟む一対の隔壁が設けられたラバーホルダとを有するとともに、前記一対の隔壁には、前記ベース部に向かって突出する爪部がそれぞれ形成され、同一対の隔壁にそれぞれ形成された一対の爪部が前記ブレードラバーの前記ベース部の中央部分に係合することにより前記ブレードラバーに前記ラバーホルダが組み付けられるとともに、同ラバーホルダにワイパアームが連結されるワイパブレードにおいて、
前記ブレードラバーの前記ベース部の中央部分には、前記幅方向について前記ラバーホルダの前記一対の爪部の先端間の間隔よりも長い寸法を有する幅広部が形成されるとともに、前記ベース部の前記幅広部が形成された以外の部分には、前記幅方向について前記ラバーホルダの前記一対の爪部の先端間の間隔よりも短い寸法を有する幅狭部が形成されてなる
ことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部には、前記ラバーホルダの前記一対の爪部が係合される一対の凹部が形成されてなる
請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項3】
前記ラバーホルダの前記一対の隔壁の間隔が、前記幅方向の寸法に関して、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部の寸法と同じ寸法、若しくはそれよりも短い寸法に設定されてなる
請求項1又は2に記載のワイパブレード。
【請求項4】
前記バッキングは、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅寸法に対応した形状に形成されてなる
請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイパブレード。
【請求項5】
前記ブレードラバーの前記ベース部には、前記幅広部が前記長手方向に沿って延設され、前記ラバーホルダが、前記ブレードラバーの前記ベース部の幅広部に対応して前記長手方向に延びた形状を有してなる
請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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