ワイパーブレード
【課題】 組み付け部品点数の削減を図ること、コスト低減が図ることが可能で、ひいては、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が容易なワイパーブレードを提供する。
【解決手段】
本発明のワイパーブレード10は、長尺形状のバネ板部材12を被覆しかつバネ板部材12の長手方向中央部分15を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具17が配設される取り付け開口を有するカバー部材14と、ブレードラバー11を保持するホルダー部材13とを備え、ホルダー部材13がカバー部材14により包囲されるようにしてカバー部材14と成形により一体形成されている。
【解決手段】
本発明のワイパーブレード10は、長尺形状のバネ板部材12を被覆しかつバネ板部材12の長手方向中央部分15を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具17が配設される取り付け開口を有するカバー部材14と、ブレードラバー11を保持するホルダー部材13とを備え、ホルダー部材13がカバー部材14により包囲されるようにしてカバー部材14と成形により一体形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードラバーに弧状に湾曲する長尺形状のバネ板部材を宛がって長尺形状の中央部に設けた取り付け具を介して車両に設けられたワイパーアームに連結するワイパーブレードの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブレードラバーに弧状に湾曲する長尺形状のバネ板部材を宛がって長尺形状の中央部に設けた取り付け具を介して車両に設けられたワイパーアームに連結するワイパーブレードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種のワイパーブレードは、いわゆるトーナメント式のワイパーブレードに対してフラット式のワイパーブレードと呼ばれており、氷雪等の付着をトーナメント式のワイパーブレードよりも低減できるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のワイパーブレードでは、バネ板部材にホルダー部材を固定する構造であるので、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が概して困難であるという問題、バネ板部材にホルダー部材を固定するのに工数がかかるため、コストが嵩むという問題がある。
【0006】
更に、部品点数が多いので、組み付け工数も多くなるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、組み付け部品点数の削減を図ること、コスト低減を図ることが可能で、ひいては、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が容易なワイパーブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のワイパーブレードは、長尺形状のバネ板部材を被覆しかつ該バネ板部材の長手方向中央部分を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具が配設される取り付け開口を有するカバー部材と、ブレードラバーを保持するホルダー部材とを備えたものにおいて、前記ホルダー部材が前記カバー部材により包囲されるようにして前記カバー部材と成形により一体形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のワイパーブレードは、前記ホルダー部材に前記バネ板部材がインサートされた状態で前記ホルダー部材が前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のワイパーブレードは、前記カバー部材に、前記バネ板部材を挿通する挿通穴が一端から他端に向かって形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のワイパーブレードは、前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記バネ板部材を包囲して保持するバネ板保持部と前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位を長手方向に間隔を開けて連結する連結体により構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のワイパーブレードは、前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位が長手方向に連続して配列された状態で前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のワイパーブレードは、前記取り付け具が、前記バネ板部材の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部を有して前記ブレードラバーを前記バネ板部材を介して保持する対向壁部構成部材と、ワイパーアームが締結されるクリップ部材を前記一対の対向壁部を横断する方向に延びる横断方向軸線の回りに回動可能に支持する一対の保持板とからなり、該一対の保持板には前記一対の対向壁部に臨む側の面に円弧状膨出部が形成され、前記一対の対向壁部には前記一対の保持板に臨む側の面に前記円弧状膨出部に嵌合して該一対の保持板を前記横断方向軸線を含む面に対して直交する直交方向軸線の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ホルダー部材とカバー部材とを一体成形により形成したので、ワイパーブレードの組み付け時の部品点数の削減、工数削減、コスト削減を図ることができる。
【0015】
また、部品点数の削減を図った分だけワイパーブレードの軽量化を図ることができ、その分、払拭面に対する払拭時の慣性力を低減できることになり、払拭変動に起因するワイパーブレードの払拭面に対する干渉を低減できる。更に、ワイパーモータの負荷の軽減を図ることもできる。
【0016】
ひいては、払拭方向に対するブレードラバーの追従性能が向上すると共に、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、より一層組み付け部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、バネ板部材を後からカバー部材に組み付け可能であり、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整の自由度が向上する。
【0019】
請求項4、請求項5に記載の発明によれば、押し出し一体成形の容易化、ブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ブレードラバーを払拭面に対して適切な押圧力、適切な角度で接触させる設計的余裕度の向上を図ることができるワイパーブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明に係わるワイパーブレード10を車両1のワイパーアーム2に適用した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すワイパーブレードの拡大斜視図である。
【図3】図3は図2に示すワイパーブレードの分解斜視図である。
【図4】図4は図3に示すホルダー部材の斜視図である。
【図5】図5は図4に示すホルダー部材とバネ板部材とを金型にセットした状態を示す断面図である。
【図6】図6は図5に示す金型を用いて成形された成形体を示す断面図である。
【図7】図7は図6に示す成形体に図3に示すブレードラバーを装着した状態を示す断面図である。
【図8】図8はバネ板部材を挿通するための挿通穴をカバー部材に形成するための説明図であって、金型にバネ板部材に対応する形状の金型駒とホルダー部材とをセットした状態を示す断面図である。
【図9】図9は図8に示す金型を用いて形成された成形体を示す断面図である。
【図10】図10はバネ板部材とホルダー部材とブレードカバーとを金型にセットした状態を示す断面図であって、図5に示す金型の変形例を示す説明図である。
【図11】図11は図10に示す金型を用いて成形された成形体を示す断面図である。
【図12】図12は図11に示す成形体にブレードラバーを装着した状態を示す断面図で ある。
【図13】図13は図10に示すホルダー部材の変形例を示す斜視図である。
【図14】図14は図4に示すホルダー部材の変形例を示す斜視図である。
【図15】図15は取り付け具の拡大斜視図である。
【図16】図16は対向壁部構成部材の拡大斜視図である。
【図17】図17は保持板とクリップ部材の連結状態の拡大斜視図である。
【図18】図18は対向壁部構成部材を真上から見た図である。
【図19】図19は対向壁部構成部材を真横から見た図である。
【図20】図20は対向壁部構成部材の正面図である。
【図21】図21は図20に示す対向壁部構成部材の断面図である。
【図22】図22は保持板を真横から見た図である。
【図23】図23は保持板を真上から見た図である。
【図24】図24は保持板の断面図である。
【図25】図25はクリップ部材を真横から見た図である。
【図26】図26はクリップ部材を真下から見た図である。
【図27】図27はクリップ部材を真上から見た図である。
【図28】図28はクリップ部材を後ろ側から見た図である。
【図29】図29はクリップ部材の円筒状部の断面図である。
【図30】図30はブレードラバーが払拭面に対して往動方向に移動している状態を示す一部断面図である。
【図31】図31はブレードラバーが払拭面に対して復動方向に移動している状態を示す一部断面図である。
【図32】図32は連結部を介して一体化された保持板の斜視図である。
【図33】図33は図32に示す折り曲げ溝を基準にして保持版を起立させた拡大斜視図である。
【図34】図34は図32に示す保持板を用いた取り付け具の組み立て状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係わるワイパーブレードの発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0023】
図1は本発明に係わるワイパーブレード10を車両1のワイパーアーム2に適用した状態を示す斜視図、図2は図1に示すワイパーブレード10の拡大斜視図、図3は図2に示すワイパーブレード10の分解斜視図である。
【0024】
ワイパーアーム2は図示を略すワイパーモータによって図1に示すように往復動され、例えば、フロントウィンドウガラス3の払拭面4を払拭し、非作動時には、フロントウィンドウガラス3の下辺縁部に停止状態で待機され、その図1において、符号5はワイパーアーム2の往動方向、符号6はワイパーアーム2の復動方向を示している。
【0025】
ワイパーブレード10は、長尺形状のブレードラバー11と、このブレードラバー11の延びる方向に延びる弧状のバネ板部材(バーティブラ)12と、ブレードラバー11を保持するホルダー部材13と、ワイパーアーム2の先端部2aを取り付けるための取り付け具17と、ブレードラバー11とバネ板部材12とホルダー部材13とを被覆するカバー部材14としてのブレードカバーとから大略構成されている。そのカバー部材14には、例えば、エラストマー樹脂が用いられる。
【0026】
そのブレードラバー11は払拭面4を傷つけることなく払拭面4を摺動可能な弾性部材から構成されている。そのブレードラバー11は、図3に示すように、払拭面4に接触する断面略逆三角形状の接触部11aと、ホルダー部材13に保持される頭部11bと、接触部11aと頭部11bとを連結する首部11cとから大略構成されている。
【0027】
そのホルダー部材13は、図4に示すように、ブレードラバー11の頭部11bを保持するブレードラバー保持部13bと、ブレードラバー11の首部11cがブレードラバー保持部13bから進出するのを許容する進出許容空間13cとを有する。そのホルダー部材13は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料により構成される。このホルダー部材13は射出成形により形成される。
【0028】
バネ板部材12とホルダー部材13とは、図5に示す金型10Aにセットされる。その金型10Aの内部には、ブレードラバー保持部13bに対応する形状の金型駒10Bと、カバー部材14の形状に対応する空間10Cとが設けられている。ホルダー部材13は金型駒10Bにセットされる。バネ板部材12はそのホルダー部材13の上部にセットされる。
【0029】
金型10Aには、図示を略す押し出し成形機によりエラストマー樹脂が注入され、バネ板部材12とホルダー部材13とは、エラストマー樹脂により被覆されて金型10Aから押し出される。
【0030】
これにより、図6に示すように、バネ板部材12とホルダー部材13とカバー部材14とが一体の成形体10Dが形成される。この成形体10Dの長手方向中央部を切り欠いて、図3に示す取り付け具17の取り付け開口14bを形成する。これにより、図3に示すように、バネ板部材12はその長手方向中央部15が取り付け開口14bを介して外部に露呈される。この取り付け開口14bに図15に拡大して示す取り付け具17が装着される。この取り付け具17の構成については後述する。
【0031】
この成形体10Dのホルダー部材13の保持部13bにブレードラバー11の頭部11bを一端から他端に向かって挿通することにより、そのブレードラバー11の頭部11bが図7に示すようにホルダー部材13に保持される。ついで、取り付け具17をバネ板部材12の長手方向中央部15に取り付けることにより、図2に示すワイパーブレード10が組み立てられる。
【0032】
ブレードラバー11は、そのバネ板部材12がホルダー部材13を介してブレードラバー11に宛がわれることにより、その接触部11aの先端11eが適切な押圧力でかつ長手方向に均等に分散された押圧力で払拭面4に接触する。
【0033】
この実施例によれば、バネ板部材12とホルダー部材13とカバー部材14とが一体成形により形成されているので、ワイパーブレード10の組み付け時の部品点数の削減、工数削減、コスト削減を図ることができる。また、部品点数の削減を図った分だけワイパーブレード10の軽量化を図ることができる。加えて、払拭面4に対する払拭時の慣性力を低減できることになり、払拭変動に起因するワイパーブレード10の払拭面に対する干渉を低減できる。更に、ワイパーモータ(図示を略す)の負荷の軽減を図ることもできる。
【0034】
この実施例では、図6に示すように、バネ板部材12とホルダー部材13とをカバー部材14と共に押し出し成形により一体形成することにしたが、図8に示すように、ホルダー部材13とカバー部材14とを一体成形の際に、金型駒10Eを金型10Aに設けて、図9に示すように、バネ板部材12の挿通穴12aを有する成形体10Dを形成し、後から、バネ板部材12を挿通穴12aに挿通する構成としても良い。
【0035】
また、この実施例では、ホルダー部材13にブレードラバー11の頭部11bのみを保持させる構成としたが、図10に示すように、ホルダー部材13にブレードラバー11の頭部11bを保持するブレードラバー保持部13bとバネ板部材12を包囲して保持するバネ板保持部13aとを形成し、バネ板部材12をバネ板保持部13aにインサートした状態で金型10Aにセットし、ホルダー部材13とバネ板部材12とカバー部材14とを一体に成形して図11に示す成形体10Aを形成する構成としても良い。
【0036】
この成形体10Dのブレードラバー保持部13bにブレードラバー11の頭部11bを挿通することにより、図12に示すように、ブレードラバー11が成形体10Dに保持される。この成形体10Dに取り付け具17を取り付けることにより、ワイパーブレード10が形成される。
【0037】
また、これらの実施例では、ホルダー部材13を長尺形状体により形成したが、図13に示すように、バネ板部材12を保持するバネ板保持部13aとブレードラバー11の頭部11bを包囲して保持するブレードラバー保持部13bとブレードラバー11の首部11cを露出させる進出許容空間13cとからなる構成単位13dを長手方向に間隔を開けて連結する連結部13eとにより構成することもできる。この場合、ホルダー部材13には、金属性材料を用いても良い。
【0038】
更に、図14に示すように、ホルダー部材13をブレードラバー11の頭部11bを包囲して保持するブレードラバー保持部13bとブレードラバー11の首部11cを露出させる進出許容空間13cとからなる構成単位13fを長手方向に連続して配列した状態でカバー部材14と一体に成形することもできる。この場合にも、ホルダー部材13に、金属性材料を用いることができる。
【0039】
これらの実施例によれば、ブレードラバー11には、払拭時に、バネ板部材12とホルダー部材13との両者による反力が働くので、バネ板部材12とホルダー部材13との材料を選択することにより、払拭方向に対するブレードラバーの追従性能の向上を図ることが可能となると共に、払拭面4に対するブレードラバー11の分圧調整の向上を図ることができる。
【0040】
特に、図13に示すホルダー部材13によれば、連結部13eの幅、長さを適宜変更することによりブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。また、図14に示すホルダー部材13によれば、構成要素13fの配列方向の寸法を適宜変更することによりブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。
【0041】
取り付け具17は、図16に示す対向壁部構成部材18と、図17に示す一対の保持板19と、図17に示すクリップ部材20とから構成されている。
【0042】
対向壁部構成部材18は、図18ないし図20に示すように、バネ板部材12の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部18a、互いに協働してバネ板部材12を挟持する一対の挟持爪部18bを有する。この一対の挟持爪部18bはバネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配置されている。一対の挟持爪部18bと一対の挟持爪部18bとの間には、図18、図21に示すようにバネ板部材12の厚さ方向からこの一対の挟持爪部18bと協働してバネ板部材12を挟持する押圧板部18cが形成されている。この押圧板部18cにはそのバネ板部材12の延びる方向に沿ってバネ板部材12に臨む側の面に分割溝部18dが形成されている。この分割溝部18dはこの対向壁部構成部材18をバネ板部材12にその幅方向から装着する際に一対の挟持爪部18bの対向間距離を拡げるのに用いられる。一対の対向壁部18aは連結部18eによって互いに連結されて、ここでは一体とされている。
【0043】
一対の保持板19には、図22ないし図24に示すように、一対の対向壁部18aに臨む側の面に円弧状膨出部19aが形成されている。この円弧状膨出部19aは、図17に示すように、バネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配設された一対の弓形柱状部からなっている。
【0044】
クリップ部材20には、図15に示すワイパーアーム2の先端部2aが締結されるもので、一対の保持板19はクリップ部材20を一対の対向壁部18a、18aを横断する方向に延びる横断方向軸線G1(図17参照)の回りに回動可能に支持する機能を果たす。
【0045】
一対の対向壁部18aには一対の保持板19に臨む側の面に、図16、図20、図21に示すように、円弧状膨出部19aに嵌合してこの一対の保持板19を横断方向軸線G1を含む面Sに対して直交する直交方向軸線G2の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所18fが形成されている。この円弧状凹所18fはバネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配設されかつ弓形柱状部に対応する形状の一対の嵌合凹所部からなっている。
【0046】
一対の保持板19には、図17、図22ないし図24に示すように、一対の弓形柱状部の間にリベット挿通用の貫通穴19bが形成され、一対の対向壁部18aには、図16、図18、図19に示すように、貫通穴19bに対向する箇所にリベット挿通用の貫通穴18gが形成されている。
【0047】
クリップ部材20は、図17、図25ないし図27に示すように、一対の対向壁部18aを横断する方向に延びかつ両端部に円盤状フランジ部20aを有する円筒状部20bと、この円筒状部20bからバネ板部材12の延びる方向に互いに対向して平行に延びる一対の可撓性板状部20c、20dとから形成されている。
【0048】
一対の可撓性板状部20c、20dにはバネ板部材12が臨む可撓性板状部20dにワイパーアーム2の先端部2aを係止する係止爪20eが図25、図26、図27に示すように形成され、ワイパーアーム2の先端部2aには係止爪20eに係合する係合穴2bが図15に示すように形成されている。
【0049】
一対の保持板19には、図22ないし図24に示すように、円盤状フランジ部20aが回動可能に嵌合される円形状凹所19cが貫通穴19bと同心に形成されている。
【0050】
バネ板部材12が臨む可撓性板状部20dには円筒状部20bから遠い側自由端部に、一対の対向壁部18aを連結する連結部18eとバネ板部材12との間の隙間g(図15参照)を通るようにバネ板部材12に向かって傾斜された傾斜部20fが形成され、この傾斜部20fよりも自由端部側は他方の可撓性板状部20cに略平行に延びる平行部20gとされている。
【0051】
クリップ部材20の円盤状フランジ部20aには、図25〜図29に示すように、円弧状凹所20t(図17参照)と協働して、ワイパーブレードの揺動角度を規制する揺動角度規制突起20sが形成されている。
【0052】
クリップ部材20と一対の保持板19と対向壁部構成部材18とは各貫通穴19b、18g及び円筒状部20bの筒穴20hに、図15に示すリベット21を挿通して結合され、このリベット21の軸線G3が横断方向軸線G1となっている。
【0053】
この円筒状部20bの筒穴20hはその横断方向中央部分が最小径の穴径を有し図29に示すように、円盤状フランジ部20aに向かうに伴って拡径された鼓形状の穴から構成されている。この鼓形状の筒穴20hを構成する構成周壁20jが一対の保持板19、19の直交軸線G2回りの回動角度を規制する規制周壁となっている。
【0054】
この発明の実施の形態によれば、取り付け具17の組み立ては、例えば、以下に説明する手順で行われる。
【0055】
まず、一対の保持板19のそれぞれをその各円弧状膨出部19aを一対の対向壁部18aの各円弧状凹所18fにそれぞれ嵌合させるようにして、一対の保持板19を一対の対向壁部18aに組み付ける。ついで、クリップ部材20の円筒状部20bの円盤状フランジ部20aを一対の保持板19の円形状凹所19cに嵌合させる。その際、可撓性板状部20dの傾斜部20fを連結部18eと一対の挟持爪部18bとの間の隙間gに侵入させるようにして、連結部18eを一対の可撓性板状部20c、20dの間に位置させる。ついで、リベット21を各貫通穴19b、18g、筒穴20hに挿通し、リベット21の頭部21aから遠い側の先端部21bをカシメて、図15に示すようにクリップ部材20、一対の保持板19、対向壁部構成部材18を一体化する。
【0056】
この取り付け具17の作用を以下に説明する。
【0057】
ブレードラバー11は、図1に示す往動方向5に可動されるときと図1に示す復動方向6に可動されるときとでは払拭面4の法線Nに対する傾斜角度θが逆向きとなるものであり、例えば、図30に示すように、ブレードラバー11が払拭面4に対して往動方向5に移動するときには、一対の保持板19に対して対向壁部構成部材18が相対的に回動し、払拭面4の法線Nに対する傾斜角度はθとなり、例えば、図31に示すように、ブレードラバー11が払拭面4に対して復動方向6に移動するときには、一対の保持板19に対して対向壁部構成部材18が反対方向に相対的に回動し、払拭面4の法線Nに対する傾斜角度は−θとなる。
【0058】
この取り付け具17によれば、払拭の際のブレードラバー11の回動中心としての直交方向軸線G2がワイパーアーム2に対するブレードラバー11の回動軸線としての横断方向軸線G1とが交点Oを形成するようにして直交しているので、横断方向軸線G1と直交方向軸線G2との高さ方向のずれをなくした分だけ、取り付け具17の高さ方向の寸法を小さくでき、取り付け具17のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
また、組み付け部品点数を少なくして、ブレードラバー11を直交方向軸線G2の回りに回動させることが可能となる。
【0060】
更に、一対の保持板19と一対の対向壁部18aとの間には隙間Hが存在するので、ブレードラバー11の往復移動の際のブレードラバー11の反転のスムーズ化を図ることができる。
【0061】
加えて、クリップ部材20の筒穴20hの形状を変更するのみで、フロントウィンドウガラス3の払拭面4の湾曲形状の異なるものに対して適切な払拭角度を得ることができる。
【0062】
以上、この発明の実施の形態では、一対の保持板19、19を互いに別体に形成したが、これに限るものではなく、以下に説明する構成とすることもできる。
【0063】
図32は、一対の保持板19、19の組み立て前の状態を示す図であって、一対の保持板19は連結部19dを介して扁平形状の状態で成形されている。この保持板19、19と連結部19dの間には折り曲げ溝19eが形成されている。また、図33に示すように、円弧状膨出部19aの外周部には、内部に向かって突出する補強用の突条部を形成するために半環状溝部19fが設けられている。
【0064】
その折り曲げ溝19eに沿って、保持板19を起立させることにより、図33に示す一対の保持板19が組み立てられる。
【0065】
この保持板19を図34に示すように、対向壁部構成部材18に取り付けることにより、取り付け具17が構成される。
【0066】
その他の構成要素は、図22に示す構成要素と大略同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0067】
この変形例によれば、一対の保持板19、19を一体に連結した状態で対向壁部構成部材18に組み付けることができるので、組み立て作業の簡素化をより一層図ることができる。
【0068】
また、一対の保持板19を扁平状に形成することができるので、型抜き作業の簡略化を図ることができ、コストの低減にもつながる。
【符号の説明】
【0069】
10 ワイパーブレード
11 ブレードラバー
12 バネ板部材
13 ホルダー部材
14 カバー部材
17 取り付け具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードラバーに弧状に湾曲する長尺形状のバネ板部材を宛がって長尺形状の中央部に設けた取り付け具を介して車両に設けられたワイパーアームに連結するワイパーブレードの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブレードラバーに弧状に湾曲する長尺形状のバネ板部材を宛がって長尺形状の中央部に設けた取り付け具を介して車両に設けられたワイパーアームに連結するワイパーブレードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種のワイパーブレードは、いわゆるトーナメント式のワイパーブレードに対してフラット式のワイパーブレードと呼ばれており、氷雪等の付着をトーナメント式のワイパーブレードよりも低減できるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のワイパーブレードでは、バネ板部材にホルダー部材を固定する構造であるので、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が概して困難であるという問題、バネ板部材にホルダー部材を固定するのに工数がかかるため、コストが嵩むという問題がある。
【0006】
更に、部品点数が多いので、組み付け工数も多くなるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、組み付け部品点数の削減を図ること、コスト低減を図ることが可能で、ひいては、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が容易なワイパーブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のワイパーブレードは、長尺形状のバネ板部材を被覆しかつ該バネ板部材の長手方向中央部分を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具が配設される取り付け開口を有するカバー部材と、ブレードラバーを保持するホルダー部材とを備えたものにおいて、前記ホルダー部材が前記カバー部材により包囲されるようにして前記カバー部材と成形により一体形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のワイパーブレードは、前記ホルダー部材に前記バネ板部材がインサートされた状態で前記ホルダー部材が前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のワイパーブレードは、前記カバー部材に、前記バネ板部材を挿通する挿通穴が一端から他端に向かって形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のワイパーブレードは、前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記バネ板部材を包囲して保持するバネ板保持部と前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位を長手方向に間隔を開けて連結する連結体により構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のワイパーブレードは、前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位が長手方向に連続して配列された状態で前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のワイパーブレードは、前記取り付け具が、前記バネ板部材の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部を有して前記ブレードラバーを前記バネ板部材を介して保持する対向壁部構成部材と、ワイパーアームが締結されるクリップ部材を前記一対の対向壁部を横断する方向に延びる横断方向軸線の回りに回動可能に支持する一対の保持板とからなり、該一対の保持板には前記一対の対向壁部に臨む側の面に円弧状膨出部が形成され、前記一対の対向壁部には前記一対の保持板に臨む側の面に前記円弧状膨出部に嵌合して該一対の保持板を前記横断方向軸線を含む面に対して直交する直交方向軸線の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ホルダー部材とカバー部材とを一体成形により形成したので、ワイパーブレードの組み付け時の部品点数の削減、工数削減、コスト削減を図ることができる。
【0015】
また、部品点数の削減を図った分だけワイパーブレードの軽量化を図ることができ、その分、払拭面に対する払拭時の慣性力を低減できることになり、払拭変動に起因するワイパーブレードの払拭面に対する干渉を低減できる。更に、ワイパーモータの負荷の軽減を図ることもできる。
【0016】
ひいては、払拭方向に対するブレードラバーの追従性能が向上すると共に、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、より一層組み付け部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、バネ板部材を後からカバー部材に組み付け可能であり、払拭面に対するブレードラバーの分圧調整の自由度が向上する。
【0019】
請求項4、請求項5に記載の発明によれば、押し出し一体成形の容易化、ブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ブレードラバーを払拭面に対して適切な押圧力、適切な角度で接触させる設計的余裕度の向上を図ることができるワイパーブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明に係わるワイパーブレード10を車両1のワイパーアーム2に適用した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すワイパーブレードの拡大斜視図である。
【図3】図3は図2に示すワイパーブレードの分解斜視図である。
【図4】図4は図3に示すホルダー部材の斜視図である。
【図5】図5は図4に示すホルダー部材とバネ板部材とを金型にセットした状態を示す断面図である。
【図6】図6は図5に示す金型を用いて成形された成形体を示す断面図である。
【図7】図7は図6に示す成形体に図3に示すブレードラバーを装着した状態を示す断面図である。
【図8】図8はバネ板部材を挿通するための挿通穴をカバー部材に形成するための説明図であって、金型にバネ板部材に対応する形状の金型駒とホルダー部材とをセットした状態を示す断面図である。
【図9】図9は図8に示す金型を用いて形成された成形体を示す断面図である。
【図10】図10はバネ板部材とホルダー部材とブレードカバーとを金型にセットした状態を示す断面図であって、図5に示す金型の変形例を示す説明図である。
【図11】図11は図10に示す金型を用いて成形された成形体を示す断面図である。
【図12】図12は図11に示す成形体にブレードラバーを装着した状態を示す断面図で ある。
【図13】図13は図10に示すホルダー部材の変形例を示す斜視図である。
【図14】図14は図4に示すホルダー部材の変形例を示す斜視図である。
【図15】図15は取り付け具の拡大斜視図である。
【図16】図16は対向壁部構成部材の拡大斜視図である。
【図17】図17は保持板とクリップ部材の連結状態の拡大斜視図である。
【図18】図18は対向壁部構成部材を真上から見た図である。
【図19】図19は対向壁部構成部材を真横から見た図である。
【図20】図20は対向壁部構成部材の正面図である。
【図21】図21は図20に示す対向壁部構成部材の断面図である。
【図22】図22は保持板を真横から見た図である。
【図23】図23は保持板を真上から見た図である。
【図24】図24は保持板の断面図である。
【図25】図25はクリップ部材を真横から見た図である。
【図26】図26はクリップ部材を真下から見た図である。
【図27】図27はクリップ部材を真上から見た図である。
【図28】図28はクリップ部材を後ろ側から見た図である。
【図29】図29はクリップ部材の円筒状部の断面図である。
【図30】図30はブレードラバーが払拭面に対して往動方向に移動している状態を示す一部断面図である。
【図31】図31はブレードラバーが払拭面に対して復動方向に移動している状態を示す一部断面図である。
【図32】図32は連結部を介して一体化された保持板の斜視図である。
【図33】図33は図32に示す折り曲げ溝を基準にして保持版を起立させた拡大斜視図である。
【図34】図34は図32に示す保持板を用いた取り付け具の組み立て状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係わるワイパーブレードの発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0023】
図1は本発明に係わるワイパーブレード10を車両1のワイパーアーム2に適用した状態を示す斜視図、図2は図1に示すワイパーブレード10の拡大斜視図、図3は図2に示すワイパーブレード10の分解斜視図である。
【0024】
ワイパーアーム2は図示を略すワイパーモータによって図1に示すように往復動され、例えば、フロントウィンドウガラス3の払拭面4を払拭し、非作動時には、フロントウィンドウガラス3の下辺縁部に停止状態で待機され、その図1において、符号5はワイパーアーム2の往動方向、符号6はワイパーアーム2の復動方向を示している。
【0025】
ワイパーブレード10は、長尺形状のブレードラバー11と、このブレードラバー11の延びる方向に延びる弧状のバネ板部材(バーティブラ)12と、ブレードラバー11を保持するホルダー部材13と、ワイパーアーム2の先端部2aを取り付けるための取り付け具17と、ブレードラバー11とバネ板部材12とホルダー部材13とを被覆するカバー部材14としてのブレードカバーとから大略構成されている。そのカバー部材14には、例えば、エラストマー樹脂が用いられる。
【0026】
そのブレードラバー11は払拭面4を傷つけることなく払拭面4を摺動可能な弾性部材から構成されている。そのブレードラバー11は、図3に示すように、払拭面4に接触する断面略逆三角形状の接触部11aと、ホルダー部材13に保持される頭部11bと、接触部11aと頭部11bとを連結する首部11cとから大略構成されている。
【0027】
そのホルダー部材13は、図4に示すように、ブレードラバー11の頭部11bを保持するブレードラバー保持部13bと、ブレードラバー11の首部11cがブレードラバー保持部13bから進出するのを許容する進出許容空間13cとを有する。そのホルダー部材13は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料により構成される。このホルダー部材13は射出成形により形成される。
【0028】
バネ板部材12とホルダー部材13とは、図5に示す金型10Aにセットされる。その金型10Aの内部には、ブレードラバー保持部13bに対応する形状の金型駒10Bと、カバー部材14の形状に対応する空間10Cとが設けられている。ホルダー部材13は金型駒10Bにセットされる。バネ板部材12はそのホルダー部材13の上部にセットされる。
【0029】
金型10Aには、図示を略す押し出し成形機によりエラストマー樹脂が注入され、バネ板部材12とホルダー部材13とは、エラストマー樹脂により被覆されて金型10Aから押し出される。
【0030】
これにより、図6に示すように、バネ板部材12とホルダー部材13とカバー部材14とが一体の成形体10Dが形成される。この成形体10Dの長手方向中央部を切り欠いて、図3に示す取り付け具17の取り付け開口14bを形成する。これにより、図3に示すように、バネ板部材12はその長手方向中央部15が取り付け開口14bを介して外部に露呈される。この取り付け開口14bに図15に拡大して示す取り付け具17が装着される。この取り付け具17の構成については後述する。
【0031】
この成形体10Dのホルダー部材13の保持部13bにブレードラバー11の頭部11bを一端から他端に向かって挿通することにより、そのブレードラバー11の頭部11bが図7に示すようにホルダー部材13に保持される。ついで、取り付け具17をバネ板部材12の長手方向中央部15に取り付けることにより、図2に示すワイパーブレード10が組み立てられる。
【0032】
ブレードラバー11は、そのバネ板部材12がホルダー部材13を介してブレードラバー11に宛がわれることにより、その接触部11aの先端11eが適切な押圧力でかつ長手方向に均等に分散された押圧力で払拭面4に接触する。
【0033】
この実施例によれば、バネ板部材12とホルダー部材13とカバー部材14とが一体成形により形成されているので、ワイパーブレード10の組み付け時の部品点数の削減、工数削減、コスト削減を図ることができる。また、部品点数の削減を図った分だけワイパーブレード10の軽量化を図ることができる。加えて、払拭面4に対する払拭時の慣性力を低減できることになり、払拭変動に起因するワイパーブレード10の払拭面に対する干渉を低減できる。更に、ワイパーモータ(図示を略す)の負荷の軽減を図ることもできる。
【0034】
この実施例では、図6に示すように、バネ板部材12とホルダー部材13とをカバー部材14と共に押し出し成形により一体形成することにしたが、図8に示すように、ホルダー部材13とカバー部材14とを一体成形の際に、金型駒10Eを金型10Aに設けて、図9に示すように、バネ板部材12の挿通穴12aを有する成形体10Dを形成し、後から、バネ板部材12を挿通穴12aに挿通する構成としても良い。
【0035】
また、この実施例では、ホルダー部材13にブレードラバー11の頭部11bのみを保持させる構成としたが、図10に示すように、ホルダー部材13にブレードラバー11の頭部11bを保持するブレードラバー保持部13bとバネ板部材12を包囲して保持するバネ板保持部13aとを形成し、バネ板部材12をバネ板保持部13aにインサートした状態で金型10Aにセットし、ホルダー部材13とバネ板部材12とカバー部材14とを一体に成形して図11に示す成形体10Aを形成する構成としても良い。
【0036】
この成形体10Dのブレードラバー保持部13bにブレードラバー11の頭部11bを挿通することにより、図12に示すように、ブレードラバー11が成形体10Dに保持される。この成形体10Dに取り付け具17を取り付けることにより、ワイパーブレード10が形成される。
【0037】
また、これらの実施例では、ホルダー部材13を長尺形状体により形成したが、図13に示すように、バネ板部材12を保持するバネ板保持部13aとブレードラバー11の頭部11bを包囲して保持するブレードラバー保持部13bとブレードラバー11の首部11cを露出させる進出許容空間13cとからなる構成単位13dを長手方向に間隔を開けて連結する連結部13eとにより構成することもできる。この場合、ホルダー部材13には、金属性材料を用いても良い。
【0038】
更に、図14に示すように、ホルダー部材13をブレードラバー11の頭部11bを包囲して保持するブレードラバー保持部13bとブレードラバー11の首部11cを露出させる進出許容空間13cとからなる構成単位13fを長手方向に連続して配列した状態でカバー部材14と一体に成形することもできる。この場合にも、ホルダー部材13に、金属性材料を用いることができる。
【0039】
これらの実施例によれば、ブレードラバー11には、払拭時に、バネ板部材12とホルダー部材13との両者による反力が働くので、バネ板部材12とホルダー部材13との材料を選択することにより、払拭方向に対するブレードラバーの追従性能の向上を図ることが可能となると共に、払拭面4に対するブレードラバー11の分圧調整の向上を図ることができる。
【0040】
特に、図13に示すホルダー部材13によれば、連結部13eの幅、長さを適宜変更することによりブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。また、図14に示すホルダー部材13によれば、構成要素13fの配列方向の寸法を適宜変更することによりブレードラバーの分圧調整の設計自由度の向上を図ることができる。
【0041】
取り付け具17は、図16に示す対向壁部構成部材18と、図17に示す一対の保持板19と、図17に示すクリップ部材20とから構成されている。
【0042】
対向壁部構成部材18は、図18ないし図20に示すように、バネ板部材12の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部18a、互いに協働してバネ板部材12を挟持する一対の挟持爪部18bを有する。この一対の挟持爪部18bはバネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配置されている。一対の挟持爪部18bと一対の挟持爪部18bとの間には、図18、図21に示すようにバネ板部材12の厚さ方向からこの一対の挟持爪部18bと協働してバネ板部材12を挟持する押圧板部18cが形成されている。この押圧板部18cにはそのバネ板部材12の延びる方向に沿ってバネ板部材12に臨む側の面に分割溝部18dが形成されている。この分割溝部18dはこの対向壁部構成部材18をバネ板部材12にその幅方向から装着する際に一対の挟持爪部18bの対向間距離を拡げるのに用いられる。一対の対向壁部18aは連結部18eによって互いに連結されて、ここでは一体とされている。
【0043】
一対の保持板19には、図22ないし図24に示すように、一対の対向壁部18aに臨む側の面に円弧状膨出部19aが形成されている。この円弧状膨出部19aは、図17に示すように、バネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配設された一対の弓形柱状部からなっている。
【0044】
クリップ部材20には、図15に示すワイパーアーム2の先端部2aが締結されるもので、一対の保持板19はクリップ部材20を一対の対向壁部18a、18aを横断する方向に延びる横断方向軸線G1(図17参照)の回りに回動可能に支持する機能を果たす。
【0045】
一対の対向壁部18aには一対の保持板19に臨む側の面に、図16、図20、図21に示すように、円弧状膨出部19aに嵌合してこの一対の保持板19を横断方向軸線G1を含む面Sに対して直交する直交方向軸線G2の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所18fが形成されている。この円弧状凹所18fはバネ板部材12の延びる方向に間隔を開けて配設されかつ弓形柱状部に対応する形状の一対の嵌合凹所部からなっている。
【0046】
一対の保持板19には、図17、図22ないし図24に示すように、一対の弓形柱状部の間にリベット挿通用の貫通穴19bが形成され、一対の対向壁部18aには、図16、図18、図19に示すように、貫通穴19bに対向する箇所にリベット挿通用の貫通穴18gが形成されている。
【0047】
クリップ部材20は、図17、図25ないし図27に示すように、一対の対向壁部18aを横断する方向に延びかつ両端部に円盤状フランジ部20aを有する円筒状部20bと、この円筒状部20bからバネ板部材12の延びる方向に互いに対向して平行に延びる一対の可撓性板状部20c、20dとから形成されている。
【0048】
一対の可撓性板状部20c、20dにはバネ板部材12が臨む可撓性板状部20dにワイパーアーム2の先端部2aを係止する係止爪20eが図25、図26、図27に示すように形成され、ワイパーアーム2の先端部2aには係止爪20eに係合する係合穴2bが図15に示すように形成されている。
【0049】
一対の保持板19には、図22ないし図24に示すように、円盤状フランジ部20aが回動可能に嵌合される円形状凹所19cが貫通穴19bと同心に形成されている。
【0050】
バネ板部材12が臨む可撓性板状部20dには円筒状部20bから遠い側自由端部に、一対の対向壁部18aを連結する連結部18eとバネ板部材12との間の隙間g(図15参照)を通るようにバネ板部材12に向かって傾斜された傾斜部20fが形成され、この傾斜部20fよりも自由端部側は他方の可撓性板状部20cに略平行に延びる平行部20gとされている。
【0051】
クリップ部材20の円盤状フランジ部20aには、図25〜図29に示すように、円弧状凹所20t(図17参照)と協働して、ワイパーブレードの揺動角度を規制する揺動角度規制突起20sが形成されている。
【0052】
クリップ部材20と一対の保持板19と対向壁部構成部材18とは各貫通穴19b、18g及び円筒状部20bの筒穴20hに、図15に示すリベット21を挿通して結合され、このリベット21の軸線G3が横断方向軸線G1となっている。
【0053】
この円筒状部20bの筒穴20hはその横断方向中央部分が最小径の穴径を有し図29に示すように、円盤状フランジ部20aに向かうに伴って拡径された鼓形状の穴から構成されている。この鼓形状の筒穴20hを構成する構成周壁20jが一対の保持板19、19の直交軸線G2回りの回動角度を規制する規制周壁となっている。
【0054】
この発明の実施の形態によれば、取り付け具17の組み立ては、例えば、以下に説明する手順で行われる。
【0055】
まず、一対の保持板19のそれぞれをその各円弧状膨出部19aを一対の対向壁部18aの各円弧状凹所18fにそれぞれ嵌合させるようにして、一対の保持板19を一対の対向壁部18aに組み付ける。ついで、クリップ部材20の円筒状部20bの円盤状フランジ部20aを一対の保持板19の円形状凹所19cに嵌合させる。その際、可撓性板状部20dの傾斜部20fを連結部18eと一対の挟持爪部18bとの間の隙間gに侵入させるようにして、連結部18eを一対の可撓性板状部20c、20dの間に位置させる。ついで、リベット21を各貫通穴19b、18g、筒穴20hに挿通し、リベット21の頭部21aから遠い側の先端部21bをカシメて、図15に示すようにクリップ部材20、一対の保持板19、対向壁部構成部材18を一体化する。
【0056】
この取り付け具17の作用を以下に説明する。
【0057】
ブレードラバー11は、図1に示す往動方向5に可動されるときと図1に示す復動方向6に可動されるときとでは払拭面4の法線Nに対する傾斜角度θが逆向きとなるものであり、例えば、図30に示すように、ブレードラバー11が払拭面4に対して往動方向5に移動するときには、一対の保持板19に対して対向壁部構成部材18が相対的に回動し、払拭面4の法線Nに対する傾斜角度はθとなり、例えば、図31に示すように、ブレードラバー11が払拭面4に対して復動方向6に移動するときには、一対の保持板19に対して対向壁部構成部材18が反対方向に相対的に回動し、払拭面4の法線Nに対する傾斜角度は−θとなる。
【0058】
この取り付け具17によれば、払拭の際のブレードラバー11の回動中心としての直交方向軸線G2がワイパーアーム2に対するブレードラバー11の回動軸線としての横断方向軸線G1とが交点Oを形成するようにして直交しているので、横断方向軸線G1と直交方向軸線G2との高さ方向のずれをなくした分だけ、取り付け具17の高さ方向の寸法を小さくでき、取り付け具17のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
また、組み付け部品点数を少なくして、ブレードラバー11を直交方向軸線G2の回りに回動させることが可能となる。
【0060】
更に、一対の保持板19と一対の対向壁部18aとの間には隙間Hが存在するので、ブレードラバー11の往復移動の際のブレードラバー11の反転のスムーズ化を図ることができる。
【0061】
加えて、クリップ部材20の筒穴20hの形状を変更するのみで、フロントウィンドウガラス3の払拭面4の湾曲形状の異なるものに対して適切な払拭角度を得ることができる。
【0062】
以上、この発明の実施の形態では、一対の保持板19、19を互いに別体に形成したが、これに限るものではなく、以下に説明する構成とすることもできる。
【0063】
図32は、一対の保持板19、19の組み立て前の状態を示す図であって、一対の保持板19は連結部19dを介して扁平形状の状態で成形されている。この保持板19、19と連結部19dの間には折り曲げ溝19eが形成されている。また、図33に示すように、円弧状膨出部19aの外周部には、内部に向かって突出する補強用の突条部を形成するために半環状溝部19fが設けられている。
【0064】
その折り曲げ溝19eに沿って、保持板19を起立させることにより、図33に示す一対の保持板19が組み立てられる。
【0065】
この保持板19を図34に示すように、対向壁部構成部材18に取り付けることにより、取り付け具17が構成される。
【0066】
その他の構成要素は、図22に示す構成要素と大略同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0067】
この変形例によれば、一対の保持板19、19を一体に連結した状態で対向壁部構成部材18に組み付けることができるので、組み立て作業の簡素化をより一層図ることができる。
【0068】
また、一対の保持板19を扁平状に形成することができるので、型抜き作業の簡略化を図ることができ、コストの低減にもつながる。
【符号の説明】
【0069】
10 ワイパーブレード
11 ブレードラバー
12 バネ板部材
13 ホルダー部材
14 カバー部材
17 取り付け具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺形状のバネ板部材を被覆しかつ該バネ板部材の長手方向中央部分を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具が配設される取り付け開口を有するカバー部材と、ブレードラバーを保持するホルダー部材とを備えたワイパーブレードにおいて、
前記ホルダー部材が前記カバー部材により包囲されるようにして前記カバー部材と成形により一体形成されていることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記ホルダー部材に前記バネ板部材がインサートされた状態で前記ホルダー部材が前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記カバー部材に、前記バネ板部材を挿通する挿通穴が一端から他端に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記バネ板部材を包囲して保持するバネ板保持部と前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位を長手方向に間隔を開けて連結する連結体により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項5】
前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位が長手方向に連続して配列された状態で前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項6】
前記取り付け具が、前記バネ板部材の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部を有して前記ブレードラバーを前記バネ板部材を介して保持する対向壁部構成部材と、ワイパーアームが締結されるクリップ部材を前記一対の対向壁部を横断する方向に延びる横断方向軸線の回りに回動可能に支持する一対の保持板とからなり、該一対の保持板には前記一対の対向壁部に臨む側の面に円弧状膨出部が形成され、前記一対の対向壁部には前記一対の保持板に臨む側の面に前記円弧状膨出部に嵌合して該一対の保持板を前記横断方向軸線を含む面に対して直交する直交方向軸線の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のワイパーブレード。
【請求項1】
長尺形状のバネ板部材を被覆しかつ該バネ板部材の長手方向中央部分を露呈させしかも車両に設けられたワイパーアームを連結する取り付け具が配設される取り付け開口を有するカバー部材と、ブレードラバーを保持するホルダー部材とを備えたワイパーブレードにおいて、
前記ホルダー部材が前記カバー部材により包囲されるようにして前記カバー部材と成形により一体形成されていることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記ホルダー部材に前記バネ板部材がインサートされた状態で前記ホルダー部材が前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記カバー部材に、前記バネ板部材を挿通する挿通穴が一端から他端に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記バネ板部材を包囲して保持するバネ板保持部と前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位を長手方向に間隔を開けて連結する連結体により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項5】
前記ブレードラバーは払拭面に接触する接触部と前記ホルダー部材に保持される頭部と前記接触部と前記頭部とを連結する首部とを有し、前記ホルダー部材は前記ブレードラバーの頭部を包囲して保持するブレードラバー保持部と前記ブレードラバーの首部を露出させる進出許容空間とからなる構成単位が長手方向に連続して配列された状態で前記カバー部材と一体に成形されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項6】
前記取り付け具が、前記バネ板部材の幅方向に間隔を開けて対向する一対の対向壁部を有して前記ブレードラバーを前記バネ板部材を介して保持する対向壁部構成部材と、ワイパーアームが締結されるクリップ部材を前記一対の対向壁部を横断する方向に延びる横断方向軸線の回りに回動可能に支持する一対の保持板とからなり、該一対の保持板には前記一対の対向壁部に臨む側の面に円弧状膨出部が形成され、前記一対の対向壁部には前記一対の保持板に臨む側の面に前記円弧状膨出部に嵌合して該一対の保持板を前記横断方向軸線を含む面に対して直交する直交方向軸線の回りに相対回動可能に支承する円弧状凹所が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のワイパーブレード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2010−163057(P2010−163057A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7111(P2009−7111)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
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