説明

ワイパ制御装置

【課題】ワイパの駆動に必要な電力を削減して省電力化することができるワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】ワイパ制御装置6は、ワイパモータ5の回転数が目標回転数をとるようにワイパモータ5をフィードバック制御することにより、ワイパ3を反転制御する。また、バッテリ電圧監視部13は、ワイパモータ5の駆動源となる車載バッテリ10の電圧を監視する。目標回転数設定部14は、バッテリ電圧Vbattが設定電圧以下のとき、目標回転数をバッテリ電圧Vbattに応じた値に設定し、バッテリ電圧Vbattが設定電圧を超えるとき、目標回転数を一定値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパを駆動制御するワイパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から周知のように、車両には、車両の窓ガラスに付着した水滴等を繰り返しの反転動作によって払拭するワイパが設けられている(特許文献1等参照)。ワイパは、例えばモータ(反転制御ワイパモータ)を駆動源として、窓ガラスの表面上を摺動しながら反転動作する。モータを駆動制御するワイパ制御装置は、車載バッテリの電圧が設定内で変化(例えば10〜16V)してもモータが一定回転数(一定速度)で回転するように、ワイパモータを回転制御する。これは、内燃機関車両又は電動車両(ハイブリッド車、EV車)に関係なく、両方ともで実施される動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−12270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このモータ制御の場合は、ハイブリッド車やEV車において車載バッテリが低電圧となったときも、ワイパモータの回転数を下げないようにワイパモータが一定回転数に制御されることになる。よって、ワイパモータを一定回転数で制御する方式の場合は、車載バッテリの残量が少なくなっているにもかかわらず、バッテリの電力がワイパモータに多く消費されてしまい、ハイブリッド車では走行継続距離の減少、EV車では燃費の悪化に繋がる懸念があった。
【0005】
このように、内燃機関車両の場合であれば、ワイパモータを一定回転数で制御する方式は、モータ回転数が一定であることがワイパの作動フィーリングのよさに繋がり、これが利点となるが、電動車両の場合には、これが走行継続距離の減少や燃費悪化に繋がる。よって、ワイパモータの制御方法も、車両の種類の変化とともにニーズが変化してきた現状がある。
【0006】
なお、この問題の対策案として、例えば速度制御を実施しないワイパモータを使用することも想定されるが、この場合は車載バッテリの電圧が下げれば回転数が遅くなる反面、車載バッテリの電圧が高いと、回転数が高くなるので、電力を無駄に消費したり、高回転によりワイパが水滴を周囲にまき散らしたりする問題に繋がり、有効な対策案とはならない。
【0007】
本発明の目的は、ワイパの駆動に必要な電力を削減して省電力化することができるワイパ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、ワイパの駆動源となる駆動手段を目標値にて動作させる速度制御により、当該ワイパを払拭動作させるワイパ制御装置において、前記駆動手段の電源電圧を監視する電圧監視手段と、前記電源電圧が閾値以下のとき、前記目標値を当該電源電圧に応じた値に設定し、前記電源電圧が前記閾値を超えるとき、前記目標値を一定値に設定する目標値設定手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の構成によれば、ワイパの駆動手段の電源電圧が閾値以下のとき、電源電圧に応じた目標値にて駆動手段が制御され、電源電圧が閾値を超えるとき、目標値を一定値として駆動手段が制御される。このため、電源電圧が閾値以下のとき、つまり電源電圧が低下傾向にあるとき、駆動手段にて消費される電力が少なく抑えられるので、電源電圧が閾値以下の状況下において、電源電圧を省電力化することが可能となる。また、電源電圧が閾値を超えるとき、つまり電源電圧が高い傾向にあるとき、駆動手段に電力を不必要に供給せずに済む。よって、電源電圧が閾値を超える状況下においても、駆動手段を省電力化することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記速度制御は、前記駆動手段の現在値と前記目標値との差分を基に当該駆動手段を制御して、当該駆動手段を目標値に追従させるフィードバック制御であることを要旨とする。この構成によれば、駆動手段がフィードバック制御にて目標値を追従するように動作するので、駆動手段を安定動作させることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記目標値設定手段は、前記電源電圧が前記閾値以下のとき、当該目標値が下限値に到達すると、該目標値を一定値に設定することを要旨とする。この構成によれば、電源電圧が閾値以下の状況下で駆動手段が動作する際、目標値が下限値に到達すると、目標値が一定値に切り換えられる。このため、駆動手段に供給される電圧が極端に低くならずに済むので、ワイパにびびり振動等を生じ難くすることが可能となる。
【0012】
本発明では、省電力への切り換えの操作がなされると、前記目標値を一律に下げて、前記駆動手段で消費される電力を抑制する省電力モード切換手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、ワイパ制御装置の動作状態を省電力モードに切り換えることが可能となるので、駆動手段の更なる省電力化に寄与する。
【0013】
本発明では、前記省電力モード切換手段にて前記駆動手段を省電力状態で駆動する際、手動操作により前記目標値を調整可能な調整手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、省電力モード下において、手動操作にて目標値を任意に設定することが可能となるので、目標値を最適な値に設定することが可能となる。よって、駆動手段の更なる省電力化に寄与する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワイパの駆動に必要な電力を削減して省電力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態のワイパ制御装置の構成図。
【図2】ワイパモータの目標回転数とバッテリ電圧との関係を示す波形図。
【図3】ワイパモータ省電力機能の動作態様を示すフローチャート。
【図4】目標回転数に下限値を設定した例を示す波形図。
【図5】第2実施形態のワイパ制御装置の構成図。
【図6】(a),(b)はエコモード切換装置の構成例を示す模式図。
【図7】ワイパモータ省電力機能の動作態様を示すフローチャート。
【図8】エコモードを起動させたときの動作例を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化したワイパ制御装置の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、車両1には、窓ガラス2に付着した水滴等を繰り返しの反転動作によって払拭する一対のワイパ3,3が設けられている。ワイパ3,3には、変換機構4を介してワイパモータ5が接続されている。変換機構4は、ワイパモータ5の回転力を、ワイパ3の繰り返しの反転動作に変換する機構部品である。ワイパモータ5は、例えばDCモータが使用されている。なお、ワイパモータ5が駆動手段に相当する。
【0018】
車両1には、ワイパモータ5を駆動制御するワイパ制御装置6が設けられている。ワイパ制御装置6には、ワイパ制御装置6を統括制御するワイパECU(Electronic Control Unit)7と、ワイパECU7からの指令を基にワイパモータ5を通電するモータ駆動装置8とが設けられている。ワイパECU7には、ワイパ3のオン/オフや動作モードを切り換える際に操作するワイパスイッチ9が接続されている。
【0019】
車両1には、各種車載品の電源となる車載バッテリ10が搭載されている。車両1が電動車両(ハイブリッド車、EV車など)の場合、車載バッテリ10は、車輪の駆動源となるモータ(図示略)の電源にもなる。もちろん、車載バッテリ10は、ワイパ制御装置6の電源にもなる。
【0020】
ワイパモータ5には、ワイパモータ5の回転数を検出する回転数検出センサ11が設けられている。回転数検出センサ11は、例えばロータリエンコーダ等が使用され、ワイパECU7に接続されている。回転数検出センサ11は、ワイパモータ5の回転に応じたモータ回転数信号(パルス信号)Splをワイパモータ5に出力する。
【0021】
ワイパECU7には、ワイパモータ5の回転数が目標回転数(目標払拭回数)をとるようにワイパモータ5の回転数を制御するモータ回転数制御部12が設けられている。モータ回転数制御部12は、回転数検出センサ11から出力されるモータ回転数信号Splを基に現在のワイパモータ5の回転数(実回転数)を把握し、この実回転数と目標回転数との差分を基にワイパモータ5を駆動制御して、実回転数を目標回転数に近づける処理を繰り返す、いわゆるフィードバック制御を実施する。これにより、ワイパモータ5が目標回転数に追従するように回転する。なお、目標回転数が目標値に相当し、実回転数が駆動手段の現在値に相当する。
【0022】
本例のワイパ制御装置6には、車載バッテリ10の電圧(バッテリ電圧Vbatt)を基にワイパモータ5の動作態様を切り換えて、ワイパモータ5にかかる消費電力を低減するワイパモータ省電力機能が設けられている。ワイパモータ省電力機能は、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下のとき、ワイパモータ5の回転数(払拭回数)をバッテリ電圧Vbattに応じた値とし、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、ワイパモータ5の回転数(払拭回数)を一定とする機能である。設定電圧Vkは、バッテリ電圧Vbattが同値以下となったとき、車載バッテリ10の電力消費を抑えるべきと判断する目安の電圧である。なお、バッテリ電圧Vbattが電源電圧に相当する。
【0023】
この場合、ワイパECU7には、バッテリ電圧Vbattを監視するバッテリ電圧監視部13が設けられている。バッテリ電圧監視部13は、バッテリ電圧Vbattから延びるハーネス(図示略)から電圧値を取り込んでバッテリ電圧Vbattを監視する。バッテリ電圧監視部13は、例えば車両1のイグニッションスイッチ(図示略)がオンになると、バッテリ電圧Vbattの監視を開始する。なお、バッテリ電圧監視部13が電圧監視手段に相当する。
【0024】
ワイパECU7には、ワイパモータ5の回転数制御に使用する目標回転数を設定する目標回転数設定部14が設けられている。目標回転数設定部14は、バッテリ電圧監視部13で取得したバッテリ電圧Vbattに応じて目標回転数を設定する。図2に示すように、本例の目標回転数設定部14は、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下のとき、目標回転数をバッテリ電圧Vbattに応じた値に設定し、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、目標回転数を一定値に設定する。なお、目標回転数設定部14が目標値設定手段に相当する。
【0025】
モータ回転数制御部12は、目標回転数設定部14が設定した目標回転数に準じて、ワイパモータ5の回転数をフィードバック制御する。即ち、モータ回転数制御部12は、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下のとき、バッテリ電圧Vbattに応じて可変する目標回転数を目標にしてワイパモータ5をフィードバック制御し、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、一定値の目標回転数を目標にしてワイパモータ5をフィードバック制御する。
【0026】
次に、本例のワイパモータ省電力機能の動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3のフローチャートは、イグニッションスイッチがオンの間、繰り返し実行される。
【0027】
ステップ101において、ワイパECU7は、ワイパスイッチ9がオン/オフのいずれかを判断する。このとき、ワイパスイッチ9がオンであればステップ102に移行し、ワイパスイッチ9がオフであれば処理を終了する。
【0028】
ステップ102において、ワイパECU7は、ワイパスイッチ9に応じた動作モードでワイパモータ5を駆動する。このとき、ワイパECU7は、ワイパスイッチ9の操作位置に応じて、ワイパ3を連続的に動作させる連続モード、ワイパ3を間欠的に動作させる間欠モード、ワイパ3を所定回数だけ動作させるミストモードなどにより、ワイパ3の払拭動作を開始する。
【0029】
ステップ103において、バッテリ電圧監視部13は、車載バッテリ10の電圧監視を行うことにより、バッテリ電圧Vbattを検出する。このとき、車載バッテリ10の残量が低下傾向にあれば、低いバッテリ電圧Vbattを検出し、車載バッテリ10の残量が充分であれば、高いバッテリ電圧Vbattを検出する。そして、目標回転数設定部14は、その時のバッテリ電圧Vbattに応じた目標回転数を設定する。このとき、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下であれば、その時々のバッテリ電圧Vbattに応じた目標回転数が設定され、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるのであれば、目標回転数が一定値に設定される。
【0030】
ステップ104において、目標回転数設定部14は、回転数検出センサ11から出力されたモータ回転数信号Splを取得する。即ち、目標回転数設定部14は、現在のワイパモータ5の実回転数を確認する。
【0031】
ステップ105において、モータ回転数制御部12は、回転数検出センサ11のモータ回転数信号Splから求まる実回転数と、目標回転数設定部14により設定された目標回転数とを基に、ワイパモータ5をフィードバック制御して、ワイパモータ5の回転数を目標回転数に近づける。これにより、ワイパ3が最適な駆動速度で繰り返し反転動作する。
【0032】
以上により、本例においては、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下のときには、ワイパモータ5におけるフィードバック制御の目標回転数をバッテリ電圧Vbattに応じた値に設定するので、バッテリ電圧Vbattが低くなってしまっているにもかかわらず、バッテリ電圧Vbattがワイパモータ5に多く消費されてしまうことがない。このため、バッテリ電圧Vbattの省電力化が可能となり、車両1の走行継続距離確保や燃費向上に効果が高くなる。
【0033】
また、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるときには、ワイパモータ5におけるフィードバック制御の目標回転数を一定値に設定するので、目標回転数を無駄に上昇させることがない。このため、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるときも、バッテリ電圧Vbattの浪費を抑えることが可能となり、バッテリ電圧Vbattの省電力化に寄与する。また、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、目標回転数が著しく高くなることもないので、ワイパ3が無駄に高速駆動することもない。よって、ワイパ3が周囲に水滴をまき散らすなどの問題も生じない。
【0034】
さらに、本例のワイパモータ省電力機能の応用例として、図4に示すように、ワイパモータ5の目標回転数に下限値を設定してもよい。即ち、目標回転数が下限値Pminに到達したとき、目標回転数を一定値に設定してもよい。こうすれば、ワイパ3を払拭動作させる際の最低限の駆動力が確保されるので、ワイパ3のびびり振動を抑制することが可能となる。
【0035】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下のとき、ワイパモータ5をバッテリ電圧Vbattに応じた目標回転数で回転するようにフィードバック制御し、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、ワイパモータ5を一定の目標回転数でフィードバック制御する。よって、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以上のときには、バッテリ電圧Vbattの効率よく消費でき、またバッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるときには、バッテリ電圧Vbattを無駄に消費せずに済むので、バッテリ電圧Vbattを省電力化することができる。
【0036】
(2)バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、ワイパモータ5のフィードバック制御の目標回転数を一定値とするので、仮にバッテリ電圧Vbattが高い値をとる場合であっても、ワイパモータ5に印加される電圧が一定値で抑えられる。このため、ワイパ3が無駄に高速駆動することがないので、ワイパ3が周囲に雨水をまき散らすなどの問題が生じない。
【0037】
(3)ワイパモータ5の駆動制御としてフィードバック制御を用いたので、ワイパモータ5を最適な速度で安定動作させることができる。
(4)図4に示す応用例として、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vk以下の状況下において、ワイパモータ5の目標回転数に下限値Pminを設定可能とした。この場合、バッテリ電圧Vbattが大きく低下したとしても、ワイパモータ5に供給される最低限の電圧は確保されるので、ワイパ3にびびり振動を生じ難くすることができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図5〜図8に従って説明する。なお、第2実施形態は、ワイパ制御装置6にエコモードを設けた点で異なっており、他の基本的な構造は同じである。よって、本例は、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0039】
図5に示すように、ワイパECU7には、ワイパ制御装置6の動作モードをエコモードに切り換える際に操作するエコモード切換装置20が設けられている。エコモード切換装置20としては、図6(a)に示すような、車内に設けた機械操作式のエコモードスイッチ21がある。エコモードスイッチ21は、例えばプッシュ及び回転の両操作が可能なマイクロスイッチからなる。この場合、エコモードスイッチ21を押し操作することにより、エコモードのオン/オフの切り換えを行い、エコモードスイッチ21を回転操作することにより、目標回転数を調整する。なお、エコモード切換装置20が省電力モード切換手段に相当し、エコモードが省電力モードに相当する。
【0040】
また、エコモード切換装置20としては、図6(b)に示すような、ナビゲーションシステムのタッチ操作式のディスプレイ22がある。タッチパネル式のディスプレイ22の場合、ディスプレイ22の画面上には、操作アイコンとしてタッチ操作式のエコモードスイッチ23が表示される。このエコモードスイッチ23には、エコモードオン/オフ切換スイッチ24や目標回転数調整スイッチ25などがある。なお、エコモードスイッチ21,23が調整手段に相当する。
【0041】
図5に示すように、ワイパECU7には、バッテリ電圧Vbattに応じて設定した目標回転数を、エコモード切換装置20において行われたるエコモード操作に応じて修正する目標回転数修正部26が設けられている。目標回転数修正部26は、目標回転数設定部14がバッテリ電圧Vbattに応じて決めた目標回転数を、エコモード切換装置20でエコモードオン時に目標回転数の調整量を基に修正する。
【0042】
さて、本例のワイパモータ省電力機能の場合、図7に示すように、ステップ105の次ステップであるステップ106において、目標回転数修正部26は、目標回転数設定部14が設定した目標回転数を、エコモードスイッチ21,23の操作に応じた回転数に修正する。即ち、図8に示すように、目標回転数修正部26は、目標回転数設定部14が設定した目標回転数を、エコモードスイッチ21,23にて設定された値に全体的に引き下げる。これにより、ワイパモータ5の動作に必要な電力が少なく済み、車載バッテリ10の省電力化が可能となる。
【0043】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4)に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)エコモード切換装置20を設け、これを操作することにより、ワイパ制御装置6をエコモードに切り換え可能とした。このため、バッテリ電圧Vbattの消費を更に抑えることが可能となるので、バッテリ電圧Vbattの一層の省電力化に寄与する。
【0044】
(6)エコモード切換装置20のエコモードスイッチ21,23を操作することにより、エコモードのレベルを切り換え可能とした。よって、エコモードのレベルを自由に調整することが可能となるので、バッテリ電圧Vbattの更なる省電力化に寄与する。
【0045】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるとき、目標回転数は1値に設定されることに限定されない。例えば、バッテリ電圧Vbattが設定電圧Vkを超えるときの目標回転数を段階的に設定してもよい。
【0046】
・第2実施形態において、エコモード切換装置20は、図6(a),(b)に示す構成のものに限定されず、他の構造に適宜変更可能である。
・第2実施形態において、目標回転数の修正は、電圧を一律に下げる方式に限定されず、所定の規則性を以て下げるものでもよい。
【0047】
・各実施形態において、電源電圧は、バッテリ電圧Vbattに限定されない。要は、ワイパモータ5の電源であれば、他の電源に変更可能である。
・各実施形態において、設定電圧Vkは、固定値に限定されず、可変値としてもよい。この場合、ワイパ制御装置6の状態に応じて自動切り換えとしてもよいし、スイッチによる手動切り換えとしてもよい。
【0048】
・各実施形態において、ワイパ3は、反転動作するものに限定されず、他の動作態様をとるものでもよい。
・各実施形態において、駆動手段は、モータに限定されず、他のアクチュエータを採用可能である。
【0049】
・各実施形態において、回転数検出センサ11は、種々のセンサが使用可能である。
・各実施形態において、フィードバック制御は、例えばPID制御等の種々の制御を採用可能である。
【0050】
・各実施形態において、速度制御は、フィードバック制御に限定されず、例えばシーケンス制御でもよい。
・各実施形態において、ワイパ制御装置6は、電動車両に搭載されることに限定されず、内燃機関車両に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
3…ワイパ、5…駆動手段としてのワイパモータ、6…ワイパ制御装置、13…電圧監視手段としてのバッテリ電圧監視部、14…目標値設定手段としての目標回転数設定部、20…省電力モード切換手段としてのエコモード切換装置、21,23…調整手段としてのエコモードスイッチ、Vbatt…電源電圧としてのバッテリ電圧、Vk…閾値としての設定電圧、Pmin…下限値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパの駆動源となる駆動手段を目標値にて動作させる速度制御により、当該ワイパを払拭動作させるワイパ制御装置において、
前記駆動手段の電源電圧を監視する電圧監視手段と、
前記電源電圧が閾値以下のとき、前記目標値を当該電源電圧に応じた値に設定し、前記電源電圧が前記閾値を超えるとき、前記目標値を一定値に設定する目標値設定手段と
を備えたことを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項2】
前記速度制御は、前記駆動手段の現在値と前記目標値との差分を基に当該駆動手段を制御して、当該駆動手段を目標値に追従させるフィードバック制御である
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記目標値設定手段は、前記電源電圧が前記閾値以下のとき、当該目標値が下限値に到達すると、該目標値を一定値に設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
省電力への切り換えの操作がなされると、前記目標値を一律に下げて、前記駆動手段で消費される電力を抑制する省電力モード切換手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のワイパ制御装置。
【請求項5】
前記省電力モード切換手段にて前記駆動手段を省電力状態で駆動する際、手動操作により前記目標値を調整可能な調整手段を備えた
ことを特徴とする請求項4に記載のワイパ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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