説明

ワイヤストリッパ用のセンタリング装置

本発明は、ワイヤストリッパ(7)用のセンタリング装置に関する。センタリング装置は、回転式のストリップヘッド(21)を有しており、ストリップヘッド(21)には、主軸(1)に沿って配置可能なケーブル(2)、特に同軸ケーブル、導波管、絶縁ワイヤなどのための少なくとも1つのストリップ刃(3)が設けられている。センタリング装置(5)は、ストリップ刃(3)のすぐ近くに、2つの互いに180°ずらして設置されたセンタリング爪(4、4’)を有している。ストリップ刃(3)およびセンタリング爪(4、4’)は、互いに独立して、主軸(1)上まで移動すると共に再び主軸(1)から離れることが可能なように配置されている。ストリップ刃(3)およびセンタリング爪(4、4’)は、それぞれ1つの駆動シャフトまたは中空シャフト(6,60)を介して、開閉方向に、電気機械的または電動的に駆動可能であり、(互いに対応する−この場合2つの)センタリング爪(4、4’)は、閉鎖位置(27)において、ケーブル(2)を包囲し、前記ケーブルに力を加えることなく接触するか、または、互いに対応するセンタリング爪(4、4’)は、ケーブル(2)を、センタリング爪(4、4’)のセンタリング面(29)からわずかな間隔を空けて最小限に離した状態で保持する。これによって、剥ぎ取りが行われるケーブルが回転することを回避する。本発明によれば、センタリング爪(4、4’)は、ストリップ工程時に主軸(1)およびケーブル(2)の周りを回転するが、ケーブル(2)は定位置に留まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤストリッパ用のセンタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センタリング装置は、回転式のストリップヘッドを有しており、ストリップヘッドには、主軸に沿って配置可能なケーブル、特に同軸ケーブル、導波管、絶縁ワイヤなどのための少なくとも1つのストリップ刃が設けられている。センタリング装置は、ストリップ刃のすぐ近くに、少なくとも2つの互いに180°ずらして設置されたセンタリング爪を有している。ストリップ刃およびセンタリング爪は、互いに独立して、主軸上まで移動すると共に再び主軸から離れることが可能なように配置されている。各ストリップ刃は中空シャフトを介し、および、各センタリング爪は駆動シャフトを介して、開閉方向に、電気機械的または電動的に駆動可能であり、センタリング爪の駆動シャフトは、ストリップ刃の中空シャフトと一緒に、主軸の周りを電動的に回転可能に配置されている。
【0003】
このようなワイヤストリッパ用のセンタリング装置は、従来技術において多数知られている。世界的に最も知られていると共に最も好まれている、同軸ケーブル用の装置は、本出願人に由来し、HC207、MP257、MP8015、MC252、CS5300、CS5300MX、CS5400といった型式番号が付されている、または付されていた。本出願人はまた、導波管の剥ぎ取り用の、型式番号FO7045を有する装置の発売に成功している。この装置を保護対象とした様々な保護権利出願および特許が存在している。これらには、次の特許のパテントファミリーが挙げられる。US−A−5,361,384;US−A−5,243,882;US−A−5,010,797;US−A−6,321,621。
【0004】
同軸剥ぎ取り分野の最新技術が国際公開WO2006/100590A1号(下記特許文献1)である。本発明は、この特許出願の、センタリング装置に関する発展形態であるため、国際公開WO2006/100590A1号において既に論述された従来技術を参照する。
【0005】
国際公開第WO2006/100590A1号では、ストリップ刃の駆動だけでなく、センタリング爪または固定爪の駆動も、従来技術と比べて大幅に簡略化されている。これは、各ストリップ刃と、当該ストリップ刃に割り当てられる各センタリング爪または固定爪とが、軸に平行または鋭角に延びる1つの中空シャフトを介して、開閉方向に、電気機械的または電動的に駆動され、少なくとも、1つまたは複数のストリップ刃の中空シャフトが、1つまたは複数のストリップ刃と一緒に、主軸の周りを電動的に回転駆動することが可能だからである。ストリップ刃、およびセンタリング爪または固定爪を、レバー構成の代わりに、シャフト構成とすることによって、製造が容易な装置を実現する。良好なセンタリング作用を実現するために、少なくとも2つのストリップ刃および少なくとも2つのセンタリング爪または固定爪が設けられている。好ましくは、各ストリップ刃毎に1つのセンタリング爪または固定爪が割り当てられる。ストリップ工程は、国際公開第WO2006/100590A1号に記載されているように行われる。ストリップヘッド全体およびストリップヘッドの主シャフトは、中空シャフトおよび駆動シャフトと共に構成され、国際公開第WO2006/100590A1号に記載のように回転する。
【0006】
駆動シャフト上では、制御カムが、耐トルク性を有して駆動シャフトに固定されており、前記駆動シャフトは、制御運動を、回転または旋回運動にして刃爪、従ってストリップ刃に伝動する。この縦方向変位によって、ストリップ刃およびセンタリング爪の送りまたは開放が行われる。
【0007】
最も簡素な部品(管またはシャフト)を用いた「ワンインワン(one in one)」構造によって、極めて頑丈な集積構造が形成される。また、この構造の原理は、さらなるストリップ刃および/またはセンタリング爪を設けて、場合によってはケーブルの異なる軸位置に異なる切込みを同時に行うことを可能にする。このため、駆動シャフトだけを中空に構成し、これに対応して遠位および近位の構造を有する同様の構成を設ける必要がある。
【0008】
センタリング爪は、様々に構成されている。1つの爪は、好ましくは少し凹状に曲がったセンタリングエッジを備える三角形のピボットレバーを備えているが、他のセンタリング爪は、直線状のセンタリングエッジを有する、わずかにクランク状に曲がったレバーを備えている。ストリップヘッドの保護のために、ストリップヘッドハウジングが配置されている。支持体の遠位端には、O字型リングが挿入される環状溝が設けられている。前記O字型リングは、管状のストリップヘッドハウジングが近位から遠位まで移動する時の、ストリップヘッドハウジング用の停止具として利用される。
【0009】
国際公開第WO2006/100590A1号は、また、回転式のセンタリング爪の一発展形態を含む。V字型のセンタリング爪は、各ピボットレバー上において駆動シャフトに取り付けられている。V字型のセンタリング爪は、ストリップヘッドと一緒に回転する。2つのV字型のセンタリング爪は、同一の形状を有しており、互いに180°回転した状態で配置されている。これらのV字型のセンタリング爪は、ケーブルの軸方向に相互にずれて並んだ2つのセンタリング面を有しており、これらのセンタリング面がケーブルを支えている。刃が動くことによって、2つのセンタリング爪は同時に、加工するケーブルが切込み工程の開始前に4つの側面の4つの面によって支えられるところまで送られる。
【0010】
V字型のセンタリング爪の閉鎖運動は、センタリング爪がケーブル上で隣接し、制御円錐間のばねのスプリング力が十分でなくなり、センタリングをさらに閉鎖することが出来なくなるまで持続される(圧力嵌め式センタリング)。ケーブル自体がV字型のセンタリング爪を再び開くことは、自動ロックされるため、またはほぼ自動ロックされるため不可能である。
【0011】
上記のV字型の爪は、ケーブル軸に対して径方向の直動自由度を可能な限り制限するという目的を有している。ケーブルは、ケーブル軸に対して径方向に、可能な限りわずかしか移動できないようになっている必要がある。ただしこの際に、ケーブルをねじるまたは回転させるモーメントがケーブル上に生じることは、可能な限り回避されなければならない。さらに、ケーブルの表面の変形がそのまま残ること、または、他の方法で破損されることは、回避される必要がある。
【0012】
これらの課題は、センタリング面を可能な限り滑らかに形成すること、または、摩擦低減コーティングを設けることによって解決される。ケーブルに作用する力は、丁度、ケーブルを正確にセンタリングすることが可能な程度でなければならない。表面に過度の圧力が生じることがあってはならない。センタリング面の大きさ、2つの制御円錐間のばねの大きさ、および、摩擦比の間には、ケーブルに応じて最適な比率が存在する。
【0013】
V字型のセンタリング爪は、切込み位置に可能な限り近い位置にあるように配置される。刃に近接するセンタリング面は、刃先に平行に並んでいることが好ましい。これによって、だらりとしたケーブルも、切込み方向において局所的に、刃の動きから逃れることができないようにする。近接し合うセンタリング面が、刃先に垂直に配置されているならば、ケーブルは、局所的に切込み動作から逃れ得る。そうすると、2つの刃による切込みのずれが生じてしまうことがある。このような場合、二重に切込みが生じ得る。これは絶対に回避されなければならない。この作用は、太いケーブルよりもむしろ極めて細いケーブルの場合に生じる。硬いケーブルも、センタリング面をこのように配置することによって、より良好に導かれる。2つのV字型のセンタリング爪を送る動きは、互いに連結されている。この送りは対称に行われる。2つのセンタリング爪を互いに噛み合わせて構成することによって、センタリング爪は、ケーブルが 包囲されるまで、軸方向において互いに支えあう。これによってセンタリングの質が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第WO2006/100590A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、この種のセンタリング装置では、常に、センタリング面からケーブルに圧力が加えられる。このため、極めて薄いケーブルの場合、ケーブルの回転および/またはねじれが生じ得る。本発明は、この問題を解決しようとするものであり、従来の解決方法に相当する国際公開第WO2006/100590A1号に基づいた、発展形態である。しかしながら、本発明に係る解決方法は、国際公開第WO2006/100590A1号に係る従来の構造に制限されない。従って、センタリング爪および刃爪は、例えば、国際公開第WO2006/100590A1号の記載とは全く異なって駆動され得る。
【0016】
本発明の課題は、極めて細いケーブルの剥ぎ取りも、センタリング時にケーブルが押しつぶされたり、または、ねじれたりすることなく、極めて高い精度で行うことが可能なように、従来のセンタリング装置を改善すること、または、そのような新規のセンタリング装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を、センタリング爪が、閉鎖位置においてケーブルを包囲し、前記ケーブルに力を加えないで接触することによって、または、センタリング爪が、ケーブルを、センタリング爪のセンタリング面からわずかな間隔を空けて最小限に離した状態で保持することによって解決する。センタリング爪は、ストリップ工程時に主軸の周りを回転するが、ケーブルは、センタリングされている間、定位置に留まる。本発明は、2つのセンタリング爪、すなわち一対のセンタリング爪に制限されるものではない。しかし、2つの互いにぶつかり合うセンタリング爪を有するこの構成は、その機械的構造が簡素なため、かつ、駆動に問題が無いため、好ましい構成である。しかしながら、Schleuniger社のModel 8015に係るセンタリング装置の構造と同様に、3つまたはそれ以上のセンタリング爪を設けてもよい。ただし、前記3つまたはそれ以上のセンタリング爪には、対応する数の停止位置が必要となる。この停止位置において、センタリング面は、ケーブルに接触して力を加える前に止まる。従って本発明は、回転式のセンタリング爪において、圧力嵌め式センタリングから、形状係合式センタリングに移行するものである。本特許出願には、典型的に、一対のセンタリング爪を有する好ましい実施形態について記載する。このためセンタリング装置は、少なくとも2つのセンタリングアームを有する。各前記センタリングアームの一端は、駆動シャフトに回転運動可能なように配置されている。各前記センタリングアームの他端は、国際公開第WO2006/100590A1号に従って、制御可能なピン継手に配置されており、各センタリングアームでは、前記ピン継手に1つのセンタリング爪が可動に接続されている。詳細については国際公開第WO2006/100590A1号を参照されたい。センタリング装置の閉鎖位置は、(互いに対応する−この場合は2つの)センタリング爪が、そのセンタリング面で互いにぶつかりあい、ケーブルを前記センタリング面から離した状態で包囲する時の位置である。この間隔を確保するために、センタリング爪のセンタリング面は窪みを有している。前記窪みは、2つの互いに向かい合う(=対応し合う)センタリング爪によって構成され、ケーブルは、中心領域において、窪みのセンタリング面によって一様に包囲されると共に均一に間隔を空けて保持されている。センタリング爪は、センタリング面の領域において、薄肉部から成る段差を有して形成され、段差およびより平らな段差が形成された段差状の部分領域を形成している。これらの段差状の部分領域は、その閉鎖位置において平面状に重なり合う。重なり合った各センタリング爪は、それぞれ同一平面上にある上面および対応する下面を有している。
【0018】
センタリング爪は、前記センタリング爪の段差の領域において互いに支えあっており、重なり合った際に窪みによって形成される開口部の大きさは、ケーブルの直径に依存する。本発明によれば、センタリング面とケーブルとの間の間隔は、少なくとも100分の1mm、または、ケーブルの直径に依存するが、数100分の1mmである。これは、ストリップ工程中に回転するセンタリング装置がケーブルに圧力を加えず、従ってケーブルがねじられ、または回転しないことを確保するには十分な寸法である。
【0019】
本発明の他の形態を、図1〜12に示し、従属請求項8〜14に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を有する本発明に係るセンタリング装置を示す上面図である。
【図2】図1のセンタリング装置を示す斜視図である。ここでは主シャフトが、象徴的にのみ示されている。
【図3】第2の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を概略的に示す、正面からの斜視図である。
【図4】図3のセンタリング爪を示す背面図である。
【図5】第3の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を概略的に示す、正面からの斜視図である。
【図6】図5のセンタリング爪を示す背面図である。
【図7】第4の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を概略的に示す、正面からの斜視図である。
【図8】図7のセンタリング爪を示す背面図である。
【図9】第5の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を概略的に示す、正面からの斜視図である。
【図10】図9のセンタリング爪を示す背面図である。
【図11】第6の実施形態における、本発明に係るセンタリング爪を概略的に示す、正面からの斜視図である。
【図12】図11のセンタリング爪を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、公知のワイヤストリッパ7が示されている。ワイヤストリッパ7は、回転式のストリップヘッド21を備えており、ストリップヘッド21は、主軸1に沿って配置可能なケーブル2、特に同軸ケーブル、導波管、絶縁ワイヤ等のための少なくとも1つのストリップ刃3を有している。ストリップヘッド21上には、本発明に係るセンタリング装置5が配置されている。主軸1に平行に延びる向かい合った各軸受箱24には、駆動シャフト6が配置されている。各駆動シャフト6は、センタリングアーム9または10を支えており、各前記センタリングアーム9,10は、軸受箱24に角度を有して配置されている。センタリングアーム9、10では、2つの互いに180°ずらして設置されたセンタリング爪4、4’が、ストリップ刃3のすぐ近くに配置されている。ここで、ストリップ刃3およびセンタリング爪4、4’は、互いに無関係に、主軸1に向かって移動すると共に再び主軸1から離れることが可能なように搭載されており、ストリップ刃3は中空シャフト60を介して、および、センタリング爪4、4’は駆動シャフト6を介して、開閉方向に、電気機械的または電動的に駆動可能である。センタリング爪4、4’の駆動シャフト6は、ストリップ刃3の中空シャフト60と一緒に、同時に、主軸1の周りを電動的に回転可能に配置されている。本発明によれば、互いに対応するセンタリング爪4、4’が、閉鎖位置27においてケーブル2を包囲し、前記ケーブルに力を加えることなく接触する。図では、本構造の形状がより良好に認識されるように、この閉鎖位置は、完全に閉鎖されていない状態で示されている。あるいは、ケーブル2は、センタリング爪4、4’のセンタリング面29からわずかな間隔を空けて最小限に離した状態で保持される。センタリング爪4、4’は、ストリップ工程時に、主軸1の周りを回転するが、ケーブル2は定位置に留まる。
【0022】
センタリング装置5の閉鎖位置27は、互いに対応するセンタリング爪4、4’が、そのセンタリング面29で互いにぶつかり合い、ケーブル2をセンタリング面29の間において間隔を空けて包囲する時の位置である。このため、センタリング面29は窪み14を有している。窪み14は、図1に係る第1の実施形態では弧状である。対応し合うセンタリング面29は、閉鎖位置27に達した後、センタリング面29の中心領域において閉じた輪を形成する。前記閉じた輪の中では、ケーブル2がセンタリングされて、均一な間隔を空けて保持されている。
【0023】
センタリング爪4、4’は、センタリング面29の領域において、薄肉部から成る段差を有して形成され、段差25、26、および、より平らな段差が形成された段差状の部分領域25a、26aを形成する。前記段差状の部分領域25a、26aは、閉鎖位置27において平面状に重なり合う。重なり合った各センタリング爪4、4’は、それぞれ同一平面上にある上面35、36および対応する下面37、38を有している。センタリング爪4、4’は、センタリング爪4、4’の段差25、26の領域において互いに支え合っている。重なり合った際に窪み14によって形成される開口部28の大きさは、ケーブルの直径に依存する。センタリングされるケーブル2が、回転時に一緒に回転しないように、閉鎖位置27における、互いに対応するセンタリング爪4、4’とケーブル2との間の間隔は、数100分の1mmであることが特に有効であることが分かった。
【0024】
図1および図2に係る第1の実施形態では、センタリング爪4、4’はほぼV字型をしており、弧状の窪み14を有して成るが、図3および図4に係る第2の実施形態では、対応し合うセンタリング爪4a、4a’は、その段差状の部分領域25a、26aにおいて、同一の三角形の窪み14を有している。閉鎖位置27において、開口部28は、菱形15の形をしている。
【0025】
図5および6に係る第3の実施形態では、対応し合うセンタリング爪4c、4c’は、その段差状の部分領域25a、26aにおいて、同一の三角形の窪み14を有しているが、この三角形の頂点は、半円に置き換えられており、閉鎖位置27は、円16の形の開口部28を形成する。
【0026】
図7および図8に係る第4の実施形態では、対応し合うセンタリング爪4d、4d’は、その段差状の部分領域25a、26aにおいて、同一の三角形の窪み14を有しているが、この三角形の頂点は、正方形に置き換えられており、閉鎖位置27は、段差25、26に平行に並んだ四角形17の形の開口部28を形成する。
【0027】
図9〜12に係る第5の実施形態および第6の実施形態では、センタリング爪4b、4b’または4e、4e’は、非対称の切込み面を有している。図9および図10に係る第5の実施形態では、窪み14は、対応し合うセンタリング爪4b、4b’の2つの段差状の部分領域25a、26aの一方にのみ設けられている。センタリング爪4bは、窪みを有さない段差状の部分領域25aを有するだけであるが、センタリング爪4b’は、漏斗30の形の窪み14を有している。このようにして、段差25、26に平行に並んだ四角形18の形の開口部28が、閉鎖位置27において形成される。
【0028】
図11および12に係る第6の実施形態では、センタリング爪4eの中心まで45°の角度で切込みがなされている。この切込みは、直線状に部分25aに平行に延びている。センタリング爪4e’には、同一の窪み14が左右逆に設けられている。ここで、閉鎖位置27は、菱形34の形の開口部28を有する。この最後の実施形態は、特に、直径が極めて小さいケーブル2に適している。
【0029】
開口部28を、例えば、六角形、八角形、または他の各多面形といった他の形状に構成することも、本発明の範囲内である。
【0030】
センタリング爪4、4’が重なり合う部分である段差状の部分領域25a、26aを異なる大きさおよび/または幅に形成することも、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0031】
1 主軸、2 ケーブル、3 ストリップ刃、4a,4b,4c,4d,4e センタリング爪、4’a,4’b,4’c,4’d,4’e センタリング爪、5 センタリング装置、6 駆動シャフト、7 ワイヤストリッパ、8 制御カムまたは制御レバー、9 センタリングアーム、10 センタリングアーム、11 取付ネジ、12 取付ネジ、13 刃爪、14 窪み、15 菱形、16 円、17 四角形、18 四角形、19 ストリップヘッドハウジング、20 主シャフト、21 ストリップヘッド、23 支持体、24 軸受箱、25 段差、25a 段差状の部分領域、26 段差、26a 段差状の部分領域、27 閉鎖位置(27)、28 開口部、29 センタリング面、30 漏斗、31 環状溝、32 O字型リング、33 正面エッジ、34 菱形、35 上面、36 上面、37 下面、38 下面、60 中空シャフト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式のストリップヘッド(21)を有するワイヤストリッパ(7)用の回転式センタリング装置であって、
上記ストリップヘッド(21)は、主軸(1)に沿って配置可能なケーブル(2)、特に同軸ケーブル、導波管、絶縁ワイヤなどのための回転式の少なくとも1つのストリップ刃(3)を備え、
上記センタリング装置(5)は、上記ストリップ刃(3)のすぐ近くに、少なくとも2つの互いにずらして設置されたセンタリング爪(4、4’)を有し、
上記ストリップ刃(3)および上記センタリング爪(4、4’)は、少なくとも所定の道程を介して、互いに独立して、上記主軸(1)上まで移動すると共に再び上記主軸(1)から離れることが可能なように配置されているセンタリング装置において、
(互いに対応する−この場合は2つの)上記センタリング爪(4、4’)は、センタリング状態にある上記センタリング爪(4、4’)のセンタリング面(29)で、上記ケーブル(2)を、閉鎖位置(27)において包囲し、上記ケーブル(2)に力を加えることなく接触すること、
または、(互いに対応する−この場合は2つの)上記センタリング爪(4、4’)は、センタリング状態にある上記ケーブル(2)を、上記センタリング爪(4、4’)のセンタリング面(29)からわずかな間隔を空けて最小限に離した状態で保持すること、
および、上記センタリング爪(4、4’)は、ストリップ工程時に、上記主軸(1)の周りを回転するが、センタリング状態にある上記ケーブル(2)は、定位置に留まること、
を特徴とするセンタリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンタリング装置において、
上記センタリング装置(5)の閉鎖位置(27)は、上記センタリング爪(4、4’)が、場合によっては上記センタリング爪(4、4’)のセンタリング面(29)において、互いにぶつかり合い、上記ケーブル(2)を上記センタリング面(29)の間において、力を加えることなくまたは間隔を空けて包囲する時の位置である、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンタリング装置において、
上記センタリング爪(4、4’)のセンタリング面(29)は、窪み(14)を有しており、
上記窪み(14)は、2つの互いに向かい合ったセンタリング爪(4、4’)によって構成されており、上記ケーブル(2)が、中心領域において上記窪み(14)のセンタリング面(29)によって一様に包囲されると共に均一に間隔を空けて保持されている、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
上記センタリング爪(4、4c、4e、4’、4c’、4e’)は、上記センタリング面(29)の領域において、薄肉部から成る段差を有して形成され、段差(25、26)および好ましくはより平らな段差が形成された段差状の部分領域(25a、26a)を形成し、
上記段差状の部分領域(25a、26a)は、上記閉鎖位置(27)において、平面状に重なり合うこと、および、
場合によってはセンタリング爪(4、4’)の段差状の部分領域(25a、26a)において重なり合う各上記センタリング爪(4、4’)は、それぞれ同一平面上にある上面(35、36)および対応する下面(37、38)を有している、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
(互いに対応する−この場合は2つの)上記センタリング爪(4、4’)は、上記センタリング爪(4、4’)の段差(25、26)の領域において互いに支えあっており、
重なり合った際に窪み(14)によって形成される開口部(28)の大きさは、ケーブルの直径に依存する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
センタリング状態では、上記センタリング面(29)と上記ケーブル(2)との間の間隔は、少なくとも100分の1mmである、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
上記センタリング爪(4、4’)が、第1の実施形態において、公知の方法でV字型に構成されているセンタリング装置において、
第1のセンタリング爪(4)のセンタリング面(29)、および、第2のセンタリング爪(4’)のセンタリング面(29)は、弧状の窪み(14)を有していること、
および、対応し合うセンタリング面(29)は、上記閉鎖位置(27)に達した後、上記センタリング面(29)の中心領域において、閉鎖された管状断面を形成し、上記管状断面の中において、上記ケーブル(2)はセンタリングされて保持されること、
を特徴とするセンタリング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
対応し合う上記センタリング爪(4、4’)は、上記センタリング爪(4、4’)の段差状の部分領域(25a、26a)において、同一の三角形の窪み(14)を有し、
上記閉鎖位置(27)は、菱形(15)の形の開口部(28)を形成する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
対応し合う上記センタリング爪(4、4’)は、上記センタリング爪(4、4’)の段差状の部分領域(25a、26a)において、同一の三角形の窪み(14)を有し、
上記三角形の頂点は、半円に置き換えられおり、上記閉鎖位置(27)は、円(16)の形の開口部(28)を形成する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
対応し合う上記センタリング爪(4、4’)は、上記センタリング爪(4、4’)の段差状の部分領域(25a、26a)において、同一の三角形の窪み(14)を有し、
上記三角形の頂点は、正方形に置き換えられており、
上記閉鎖位置(27)は、上記段差(25、26)に平行に並んだ四角形(17)の形の開口部(28)を形成する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のセンタリング装置において、
上記センタリング爪(4、4’)は、非対称な切込み面を有する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項12】
請求項11に記載のセンタリング装置において、
上記窪み(14)は、対応し合う上記センタリング爪(4、4’)の段差状の部分領域(25a、26a)の一方においてのみ形成されていると共に、例えば漏斗(30)の形を有し、
上記閉鎖位置(27)は、上記段差(25、26)に平行に並んだ四角形(18)の形の開口部(28)を形成する、
ことを特徴とするセンタリング装置。
【請求項13】
請求項12に記載のセンタリング装置において、
上記センタリング爪(4)の中心まで、45°の角度で切込みがなされ、
上記切り込みは、直線状に、上記段差状の部分領域(25a)に平行に延びており、
上記センタリング爪(4’)上には、同一の窪み(14)が、左右逆に設けられており、
上記閉鎖位置(27)は、菱形(34)の形の開口部(28)を形成する、
ことを特徴とするセンタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−530727(P2010−530727A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511754(P2010−511754)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052240
【国際公開番号】WO2008/152551
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(599122503)シュロニガー ホールディング アーゲー (11)
【Fターム(参考)】