ワイヤハーネスの線間止水部の形成方法
【課題】ワイヤハーネスの電線群への止水剤の充填を確実に行えるようにする。
【解決手段】ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する一方側の電線群のみを真空容器内に挿入し、該真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させている。
【解決手段】ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する一方側の電線群のみを真空容器内に挿入し、該真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両等に配索するワイヤハーネスの線間止水部の形成方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車に配索されるワイヤハーネスとして、エンジンルームから車体パネルの貫通孔を通して室内側へ配索される、所謂、フロントハーネスと称されるワイヤハーネスがある。
該ワイヤハーネスは被水領域のエンジンルーム側の配索領域でワイヤハーネスを構成する電線群の隙間に水が浸水し、該水が電線群の隙間を伝って車室内に達し、車室側のワイヤハーネスとのコネクタ接続部に侵入し、コネクタ内の端子に腐食を発生させる虞れがある。
前記ワイヤハーネスには、エンジンルームと車室とを仕切る車体パネルに設けた貫通孔への挿通部分にグロメットを取り付け、エンジンルーム側から車室への浸水、埃、騒音等の侵入を防止している。このグロメット内に止水剤を供給し、ワイヤハーネスの電線群の隙間を止水する方法が、従来一般的に用いられている。
【０００３】
しかしながら、グロメット内に止水剤を供給する場合、ワイヤハーネスの組立作業台上で行うことは困難であるため、ワイヤハーネスの生産性が悪くなる問題がある。よって、ワイヤハーネスの組立作業台上で、集束した電線群の線間に止水剤を供給する線間止水方法を本出願人は特開２００５−５１８３５号公報（特許文献１）等で提供している。
【０００４】
また、特開２００５−８０４８３号公報（特許文献２）の開示された止水処理方法では、電線群の表面に止水剤を塗布した後に、該電線群の全周にシートを巻回し、該シートの外側から該シートに荷重を加えて加圧し、該加圧箇所を順次移動させて電線群の隙間に止水剤を浸透させている。
第一実施形態では、前記外側から加える加圧をどのように与えるかについては具体的に記載されていない。第二実施形態では図６（Ａ）（Ｂ）に示すように袋状シート１００を前記シート１０１の外周面に巻き付け、袋状シート１００に気体または液体を供給する配管１０２を取り付け、袋状シート１００を膨張させることで、シート１０１を加圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００５−５１８３５号公報
【特許文献２】特開２００５−８０４８３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
前記特許文献１では、布線治具の間で電線を整列させて、その外面に止水剤を塗布しているため、各電線の外周面には確実に止水剤を塗布でき、かつ、電線間の隙間にも止水剤を浸透させることができる。しかしながら、止水剤が高粘度であると電線間の隙間に止水剤が浸透しにくく、低粘度であると止水剤が垂れ落ちやすく、電線間の隙間にも確実に止水剤を塗布するためには改善の余地がある。
【０００７】
前記特許文献２では、止水剤を塗布した電線群の外周全面にシートを巻き付け、該シートの外周に長さ方向の一端側から他端側へかけて加圧を順次負荷していくことで、止水剤を電線群の隙間に浸透させるとしている。このように、シートの外側から加圧するとシートで囲まれた領域内で止水剤を移動させるために、液体または気体を供給する袋状シートを前記シートに巻き付ける必要がある。さらに、特許文献２の止水処理方法がワイヤハーネス組立作業台上で行えるか否かも不明である。
【０００８】
本発明は前記した問題を解消せんとするもので、ワイヤハーネス組立作業台上で線間止水処理が行え、かつ、電線群の隙間に止水剤を確実に浸透させ、止水性能の信頼性を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するため、本発明は、
車両の被水領域から車体パネルの貫通孔を通して車室へと配索されるワイヤハーネスに、前記貫通孔の挿通部に線間止水部を設け、該線間止水部をグロメットに密嵌して挿通し、該グロメットを前記貫通孔に装着するワイヤハーネスにおける前記線間止水部の形成方法であって、
ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、
前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する前記被水領域側となる電線群のみを真空容器内に挿入し、
前記真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させていることを特徴とするワイヤハーネスの線間止水部の形成方法を提供している。
【００１０】
本発明では、前記のように、止水領域となる電線群上に滴下した止水剤を、該電線群の被水領域配置側の片方へと吸引して電線群の隙間に浸透させていることを特徴とする。このように、止水剤を必要な箇所に吸引して浸透しているため、止水剤の使用量を低減できる。かつ、真空容器を用いて止水剤を吸引して浸透している際は、止水剤を滴下する止水領域の電線群は真空容器の外側に配置しているため、止水処理中に不足した止水剤を電線群中に滴下することができる。
前記滴下する止水剤は比較的低粘度であるがチクソ性を有するものを用い、止水処理後の止水剤の液垂れを防止している。
【００１１】
詳細には、前記ワイヤハーネス組立作業台上において、前記線間止水部の形成領域に当たる位置には、所要長さとしたＵ字状の電線受け部を備えたセット治具を立設し、該セット治具の電線受け部の内面に沿って前記防水シートを配置しておき、前記線間止水部を形成する電線群を前記防水シートに底面および両側面でカバーされた状態で挿通した後に該電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープ巻で円形に結束しており、かつ、
前記真空容器は前記ワイヤハーネス組立作業台上の前記セット治具の側方に配置し、前記線間止水部を前記ワイヤハーネス組立作業台上で形成している。
【００１２】
前記のように、セット治具をワイヤハーネス組立作業台に立設して、防水シートを予め配置しておくと、止水領域の電線群の下面および両側面を防水シートで簡単に覆うことができる。
また、該止水領域の電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープで円形に結束しているため、前記グロメットに通した時に、断面円形のグロメットの貫通孔に皺を発生させずに密着させることができ、グロメットの止水性能を高めることができる。
さらに、透明粘着テープとしているため、止水剤がどこまで浸透しているかを外観チェックすることができる。
【００１３】
前記電線群の隙間に前記止水剤を浸透させて線間止水部を形成した後に、該線間止水部の両端部分を加熱して止水剤を硬化し、または、紫外線を照射して硬化することが好ましい。
このように、止水領域の両端で加熱または紫外線照射により止水剤を硬化させると、両端の硬化した止水剤の間に挟まれた未だ流動性のある止水剤が止水領域の外側へ流れでるのを防止でき、止水剤の全量を止水領域の電線群の隙間に充填させることができる。
【００１４】
前記ワイヤハーネスに取り付ける前記グロメットは、前記車体パネルの貫通穴に係止する車体係止凹部を大径筒部と、該大径筒部の一端に連続して前記被水領域側に突出させる小径筒部を備え、該小径筒部に前記線間止水部を密嵌して通している。
【発明の効果】
【００１５】
前記のように、本発明のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法では、止水領域の電線群を防水シートで下面から両側面を囲んだ状態で上面開口から止水剤を滴下した後、該止水領域に連続する一方側（被水領域側に配索される側）の電線群を真空容器内に通し、真空容器内に供給する負圧で止水剤を吸引している。この止水剤の吸引は、被水領域側へとなされるため、電線群に滴下した止水剤は両側方へと広がらず、止水が必要な方向側へのみ流れるように浸透方向を規制することができる。よって、止水剤の使用量を低減できる。かつ、処理中に浸透によって不足した止水剤を真空容器外に位置している止水領域の電線群に滴下して補充することができる等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の実施形態を示し、（Ａ）は線間止水部にグロメットを取り付けたワイヤハーネスを自動車に配索している状態を示す正面図、（Ｂ）は断面図である。
【図２】（Ａ）は線間止水部の形成装置を示す概略斜視図、（Ｂ）はセット治具の拡大斜視図である。
【図３】真空容器の分解斜視図である。
【図４】（Ａ）〜（Ｃ）は線間止水部の形成工程を示す図面である。
【図５】真空容器内での止水剤の吸引工程を示す断面図である。
【図６】（Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図５に実施形態を示す。
実施形態の線間止水部を設けたワイヤハーネス１は、自動車のエンジンルームから車室側へと配索するもので、図１（Ａ）に示すように、エンジンルーム（Ｘ）と車室（Ｙ）とを仕切る車体パネルＰの貫通孔Ｈを貫通している。図１（Ｂ）に示すように、貫通孔Ｈを貫通する部分のワイヤハーネス１には線間止水部２を設け、該線間止水部２をゴム等からなるグロメット３に貫通し、該グロメット３の小径筒部３ａの内周面に線間止水部２の外周面を水密状態で密着している。該グロメット３から引き出された電線群と小径筒部３ａの先端との間に粘着テープＴを巻き付けて電線群とグロメット３とを固着している。
グロメット３は前記小径筒部３ａに連続して貫通孔Ｈの内周面に密着させる車体係止凹部３ｂを外周面に設けた大径筒部３ｃを備えた形状である。
前記線間止水部２を密嵌したグロメット３の小径筒部３ａは被水領域のエンジンルーム（Ｘ）側に配置している。
【００１８】
前記ワイヤハーネス１の線間止水部２では、止水剤５が隙間に充填された電線群６の外周を防水シート７で覆い、該防水シート７の長さ方向の両端から電線群６にかけてそれぞれ透明粘着テープ８Ａ、８Ｂを巻き付けて結束している。
前記構成とした線間止水部２は前記グロメット３の小径筒部３ａを拡げ治具（図示せず）で拡げて挿入し、防水シート７の外周面を小径筒部３ａの内周面に水密で密着している。
【００１９】
次ぎに、前記ワイヤハーネス１の線間止水部２の形成装置について、図２、図３を参照して説明する。
ワイヤハーネス組立作業台１０上に布線治具１１を下降自在あるいは倒伏自在に立設しており、該布線治具１１にワイヤハーネス１を構成する電線群６を順次通して布線している。
前記ワイヤハーネス１に線間止水部２を設ける止水領域Ｓの部分では、セット治具１２をワイヤハーネス組立作業台１０より立設している。該セット治具１２は止水領域Ｓの長さから前記透明粘着テープ８Ａ、８Ｂの巻き付け長さを引いた寸法とした断面Ｕ字状の電線受け部１２ａを支軸１２ｂの上端に設けた形状とし、該支軸１２ｂはワイヤハーネス組立作業台１０に下降自在に立設している。
該セット治具１２には、電線群を布線する前に、電線受け部１２ａの内面に防水シート７をセットしている。該防水シート７には、その内面全面または内面の周縁に沿って粘着剤を予め塗布している。
【００２０】
また、ワイヤハーネス組立作業台１０上には、前記止水領域Ｓに配置したセット治具１２の側方に止水剤供給装置１４を設置し、付設した止水剤滴下ノズル１４ａをセット治具１２の上方に回転できるようにしている。
【００２１】
さらに、ワイヤハーネス組立作業台１０上には、前記止水領域Ｓに配置したセット治具１２の側方に真空容器２０を搭載している。該真空容器２０は図３に示すように容器本体２１と蓋２２とを備え、容器本体２１と蓋２２の当接させる周壁２１ａと２２ａとにワイヤハーネス貫通用の半円溝２１ｂ、２２ｂを備え、その内面にシール材２１ｃ、２２ｃを取り付けて、止水領域Ｓの両外側の電線群６をシール状態で貫通させるようにしている。
上記蓋２２の上壁に空気吸引管２４を接続し、真空容器２０内の空気を吸引して真空容器２０内を負圧にできるようにしている。
【００２２】
さらに、前記真空容器２０の容器本体２１内には、半円溝２１ｂの回りに電線群６を遊挿できる大きさの貫通孔２５ａを設けたヒータ２５を設置している。
【００２３】
ワイヤハーネス１の線間止水部の形成方法について説明する。
まず、前記図２（Ａ）（Ｂ）に示すように、ワイヤハーネス組立作業台１０上の布線治具１１、セット治具１２を通して電線群６を布線していく。
該布線時に、止水領域Ｓの電線群６の外周に、セット治具１２の電線受け部１２ａの防水シート７に下面および両側面が囲まれて配線されることになる。
【００２４】
前記布線治具１１にすべての電線を通して布線が終了した後に、図４（Ａ）に示すように、セット治具１２の両外側位置で透明粘着テープ８Ａ、８Ｂを電線群６に巻き付けて結束する。
【００２５】
ついで、図４（Ｂ）（Ｃ）に示すように、止水剤供給装置１４の止水剤滴下ノズル１４ａを回転させて止水領域Ｓの電線群６の上方に位置させ、比較的低粘度でチクソ性を有するシリコーンからなる止水剤５を滴下する。該止水剤５はチクソ性を有するため、防水シート７で囲まれた止水領域から流出しない。
【００２６】
その後、図５に示すように、止水領域Ｓの電線群６をセット治具１２から外して、止水領域Ｓを挟む一方側の電線群６を真空容器２０の容器本体２１の半円溝２１ｂに通すと共にヒータ２５の貫通孔を通して、電線群６を容器本体２１を貫通させる。該半円溝２１ｂを通す部分は前記透明粘着テープ８Ａの巻き付け位置の中間位置とし、透明粘着テープ８Ａで結束した部分の一部を容器本体２１より外側に位置させている。このように、止水領域Ｓの電線群６は真空容器２０内に挿入せず、止水領域を挟む片側の電線群のみ真空容器２０内に通している。
その後、蓋２２を容器本体２１に被せて、電線群６をシール状態で引き出している。前記真空容器２０内に通す電線群６は自動車への配索時に被水領域となるエンジンルーム（Ｘ）側に配置する部分である。
【００２７】
前記のように、真空容器２０内に電線群６を密閉状態で収容後、真空容器２０内の空気を空気吸引管２４より吸引して負圧とする。この負圧により、真空容器２０内の圧力Ｐ１と容器外の圧力Ｐ２の差圧で真空容器２０の外側に位置されている止水領域Ｓの電線群６の上面に供給された止水剤５は、電線群６の隙間を通して真空容器２０側へと吸引され、隙間に浸透されていく。
該止水剤５の浸透状態は透明粘着テープ８Ａを通して外部から見ることができる。
【００２８】
其の際、先に滴下した止水剤５が不足していると見られた場合には、止水剤滴下ノズル１４ａより再度、電線群６へ止水剤５を滴下し、電線群６のすべての隙間に止水剤５を充填させる。
【００２９】
前記真空容器２０から引き出されている透明粘着テープ８Ａで結束された電線群６の部分で隙間に止水剤５が充填されていることが確認出来てから、真空容器２０からの空気吸引を停止する。
ついで、真空容器２０内のヒータ２５をオンして加熱し、電線群６内に浸透している止水剤５を加熱硬化する。
【００３０】
その後、電線群６を真空容器２０より取り出し、前記防水シート７の両側部の上部を電線群６の上面に被せ、防水シート７の粘着剤で電線群６に粘着して、電線群６の全周を防水シート７で覆う。
【００３１】
その後、図１に示すように、グロメット３の小径筒部３ａを拡げ治具で押し開いて、ワイヤハーネス１の線間止水部２を挿入し、グロメット３の小径筒部３ａの内周面に線間止水部２を密着させて貫通している。
【００３２】
前記のように、本発明のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法では、ワイヤハーネス組立作業台上で布線治具に電線群を布線していくライン上で止水処理を行うことができる。また、電線群の隙間に止水剤を吸引して浸透させるため、止水剤は電線群の上面に滴下するだけでよく、電線群の各電線に塗布していく必要はなく、前記特許文献１と比較して作業性がよい。
かつ、止水剤５は滴下した位置から電線群６の片側へのみ浸透させていくため、使用量を低減できる。さらに、滴下した止水剤５が不足している場合には、吸引による浸透時に、再度止水剤５を電線群６の上面に滴下することができ、電線群６の隙間に止水剤５を完全に充填することができ、止水性能を高めることができる。
【００３３】
本発明は前記実施形態に限定されず、止水剤硬化用のヒータは、真空容器２０内に設置せずに、別に配置し、真空容器２０から電線群を取り出した後に加熱してもよい。
さらに、止水剤５を紫外線照射で硬化するＵＶ硬化型シリコーンを用い、ヒータに代えて紫外線照射器を配置してもよい。
【符号の説明】
【００３４】
１ ワイヤハーネス
２ 線間止水部
３ グロメット
５ 止水剤
６ 電線群
７ 防水シート
８Ａ、８Ｂ 透明粘着テープ
１０ ワイヤハーネス組立作業台
１２ セット治具
１４ 止水剤供給装置
２０ 真空容器
２４ 空気吸引管
２５ ヒータ
Ｓ 止水領域
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両等に配索するワイヤハーネスの線間止水部の形成方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車に配索されるワイヤハーネスとして、エンジンルームから車体パネルの貫通孔を通して室内側へ配索される、所謂、フロントハーネスと称されるワイヤハーネスがある。
該ワイヤハーネスは被水領域のエンジンルーム側の配索領域でワイヤハーネスを構成する電線群の隙間に水が浸水し、該水が電線群の隙間を伝って車室内に達し、車室側のワイヤハーネスとのコネクタ接続部に侵入し、コネクタ内の端子に腐食を発生させる虞れがある。
前記ワイヤハーネスには、エンジンルームと車室とを仕切る車体パネルに設けた貫通孔への挿通部分にグロメットを取り付け、エンジンルーム側から車室への浸水、埃、騒音等の侵入を防止している。このグロメット内に止水剤を供給し、ワイヤハーネスの電線群の隙間を止水する方法が、従来一般的に用いられている。
【０００３】
しかしながら、グロメット内に止水剤を供給する場合、ワイヤハーネスの組立作業台上で行うことは困難であるため、ワイヤハーネスの生産性が悪くなる問題がある。よって、ワイヤハーネスの組立作業台上で、集束した電線群の線間に止水剤を供給する線間止水方法を本出願人は特開２００５−５１８３５号公報（特許文献１）等で提供している。
【０００４】
また、特開２００５−８０４８３号公報（特許文献２）の開示された止水処理方法では、電線群の表面に止水剤を塗布した後に、該電線群の全周にシートを巻回し、該シートの外側から該シートに荷重を加えて加圧し、該加圧箇所を順次移動させて電線群の隙間に止水剤を浸透させている。
第一実施形態では、前記外側から加える加圧をどのように与えるかについては具体的に記載されていない。第二実施形態では図６（Ａ）（Ｂ）に示すように袋状シート１００を前記シート１０１の外周面に巻き付け、袋状シート１００に気体または液体を供給する配管１０２を取り付け、袋状シート１００を膨張させることで、シート１０１を加圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００５−５１８３５号公報
【特許文献２】特開２００５−８０４８３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
前記特許文献１では、布線治具の間で電線を整列させて、その外面に止水剤を塗布しているため、各電線の外周面には確実に止水剤を塗布でき、かつ、電線間の隙間にも止水剤を浸透させることができる。しかしながら、止水剤が高粘度であると電線間の隙間に止水剤が浸透しにくく、低粘度であると止水剤が垂れ落ちやすく、電線間の隙間にも確実に止水剤を塗布するためには改善の余地がある。
【０００７】
前記特許文献２では、止水剤を塗布した電線群の外周全面にシートを巻き付け、該シートの外周に長さ方向の一端側から他端側へかけて加圧を順次負荷していくことで、止水剤を電線群の隙間に浸透させるとしている。このように、シートの外側から加圧するとシートで囲まれた領域内で止水剤を移動させるために、液体または気体を供給する袋状シートを前記シートに巻き付ける必要がある。さらに、特許文献２の止水処理方法がワイヤハーネス組立作業台上で行えるか否かも不明である。
【０００８】
本発明は前記した問題を解消せんとするもので、ワイヤハーネス組立作業台上で線間止水処理が行え、かつ、電線群の隙間に止水剤を確実に浸透させ、止水性能の信頼性を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するため、本発明は、
車両の被水領域から車体パネルの貫通孔を通して車室へと配索されるワイヤハーネスに、前記貫通孔の挿通部に線間止水部を設け、該線間止水部をグロメットに密嵌して挿通し、該グロメットを前記貫通孔に装着するワイヤハーネスにおける前記線間止水部の形成方法であって、
ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、
前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する前記被水領域側となる電線群のみを真空容器内に挿入し、
前記真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させていることを特徴とするワイヤハーネスの線間止水部の形成方法を提供している。
【００１０】
本発明では、前記のように、止水領域となる電線群上に滴下した止水剤を、該電線群の被水領域配置側の片方へと吸引して電線群の隙間に浸透させていることを特徴とする。このように、止水剤を必要な箇所に吸引して浸透しているため、止水剤の使用量を低減できる。かつ、真空容器を用いて止水剤を吸引して浸透している際は、止水剤を滴下する止水領域の電線群は真空容器の外側に配置しているため、止水処理中に不足した止水剤を電線群中に滴下することができる。
前記滴下する止水剤は比較的低粘度であるがチクソ性を有するものを用い、止水処理後の止水剤の液垂れを防止している。
【００１１】
詳細には、前記ワイヤハーネス組立作業台上において、前記線間止水部の形成領域に当たる位置には、所要長さとしたＵ字状の電線受け部を備えたセット治具を立設し、該セット治具の電線受け部の内面に沿って前記防水シートを配置しておき、前記線間止水部を形成する電線群を前記防水シートに底面および両側面でカバーされた状態で挿通した後に該電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープ巻で円形に結束しており、かつ、
前記真空容器は前記ワイヤハーネス組立作業台上の前記セット治具の側方に配置し、前記線間止水部を前記ワイヤハーネス組立作業台上で形成している。
【００１２】
前記のように、セット治具をワイヤハーネス組立作業台に立設して、防水シートを予め配置しておくと、止水領域の電線群の下面および両側面を防水シートで簡単に覆うことができる。
また、該止水領域の電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープで円形に結束しているため、前記グロメットに通した時に、断面円形のグロメットの貫通孔に皺を発生させずに密着させることができ、グロメットの止水性能を高めることができる。
さらに、透明粘着テープとしているため、止水剤がどこまで浸透しているかを外観チェックすることができる。
【００１３】
前記電線群の隙間に前記止水剤を浸透させて線間止水部を形成した後に、該線間止水部の両端部分を加熱して止水剤を硬化し、または、紫外線を照射して硬化することが好ましい。
このように、止水領域の両端で加熱または紫外線照射により止水剤を硬化させると、両端の硬化した止水剤の間に挟まれた未だ流動性のある止水剤が止水領域の外側へ流れでるのを防止でき、止水剤の全量を止水領域の電線群の隙間に充填させることができる。
【００１４】
前記ワイヤハーネスに取り付ける前記グロメットは、前記車体パネルの貫通穴に係止する車体係止凹部を大径筒部と、該大径筒部の一端に連続して前記被水領域側に突出させる小径筒部を備え、該小径筒部に前記線間止水部を密嵌して通している。
【発明の効果】
【００１５】
前記のように、本発明のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法では、止水領域の電線群を防水シートで下面から両側面を囲んだ状態で上面開口から止水剤を滴下した後、該止水領域に連続する一方側（被水領域側に配索される側）の電線群を真空容器内に通し、真空容器内に供給する負圧で止水剤を吸引している。この止水剤の吸引は、被水領域側へとなされるため、電線群に滴下した止水剤は両側方へと広がらず、止水が必要な方向側へのみ流れるように浸透方向を規制することができる。よって、止水剤の使用量を低減できる。かつ、処理中に浸透によって不足した止水剤を真空容器外に位置している止水領域の電線群に滴下して補充することができる等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の実施形態を示し、（Ａ）は線間止水部にグロメットを取り付けたワイヤハーネスを自動車に配索している状態を示す正面図、（Ｂ）は断面図である。
【図２】（Ａ）は線間止水部の形成装置を示す概略斜視図、（Ｂ）はセット治具の拡大斜視図である。
【図３】真空容器の分解斜視図である。
【図４】（Ａ）〜（Ｃ）は線間止水部の形成工程を示す図面である。
【図５】真空容器内での止水剤の吸引工程を示す断面図である。
【図６】（Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図５に実施形態を示す。
実施形態の線間止水部を設けたワイヤハーネス１は、自動車のエンジンルームから車室側へと配索するもので、図１（Ａ）に示すように、エンジンルーム（Ｘ）と車室（Ｙ）とを仕切る車体パネルＰの貫通孔Ｈを貫通している。図１（Ｂ）に示すように、貫通孔Ｈを貫通する部分のワイヤハーネス１には線間止水部２を設け、該線間止水部２をゴム等からなるグロメット３に貫通し、該グロメット３の小径筒部３ａの内周面に線間止水部２の外周面を水密状態で密着している。該グロメット３から引き出された電線群と小径筒部３ａの先端との間に粘着テープＴを巻き付けて電線群とグロメット３とを固着している。
グロメット３は前記小径筒部３ａに連続して貫通孔Ｈの内周面に密着させる車体係止凹部３ｂを外周面に設けた大径筒部３ｃを備えた形状である。
前記線間止水部２を密嵌したグロメット３の小径筒部３ａは被水領域のエンジンルーム（Ｘ）側に配置している。
【００１８】
前記ワイヤハーネス１の線間止水部２では、止水剤５が隙間に充填された電線群６の外周を防水シート７で覆い、該防水シート７の長さ方向の両端から電線群６にかけてそれぞれ透明粘着テープ８Ａ、８Ｂを巻き付けて結束している。
前記構成とした線間止水部２は前記グロメット３の小径筒部３ａを拡げ治具（図示せず）で拡げて挿入し、防水シート７の外周面を小径筒部３ａの内周面に水密で密着している。
【００１９】
次ぎに、前記ワイヤハーネス１の線間止水部２の形成装置について、図２、図３を参照して説明する。
ワイヤハーネス組立作業台１０上に布線治具１１を下降自在あるいは倒伏自在に立設しており、該布線治具１１にワイヤハーネス１を構成する電線群６を順次通して布線している。
前記ワイヤハーネス１に線間止水部２を設ける止水領域Ｓの部分では、セット治具１２をワイヤハーネス組立作業台１０より立設している。該セット治具１２は止水領域Ｓの長さから前記透明粘着テープ８Ａ、８Ｂの巻き付け長さを引いた寸法とした断面Ｕ字状の電線受け部１２ａを支軸１２ｂの上端に設けた形状とし、該支軸１２ｂはワイヤハーネス組立作業台１０に下降自在に立設している。
該セット治具１２には、電線群を布線する前に、電線受け部１２ａの内面に防水シート７をセットしている。該防水シート７には、その内面全面または内面の周縁に沿って粘着剤を予め塗布している。
【００２０】
また、ワイヤハーネス組立作業台１０上には、前記止水領域Ｓに配置したセット治具１２の側方に止水剤供給装置１４を設置し、付設した止水剤滴下ノズル１４ａをセット治具１２の上方に回転できるようにしている。
【００２１】
さらに、ワイヤハーネス組立作業台１０上には、前記止水領域Ｓに配置したセット治具１２の側方に真空容器２０を搭載している。該真空容器２０は図３に示すように容器本体２１と蓋２２とを備え、容器本体２１と蓋２２の当接させる周壁２１ａと２２ａとにワイヤハーネス貫通用の半円溝２１ｂ、２２ｂを備え、その内面にシール材２１ｃ、２２ｃを取り付けて、止水領域Ｓの両外側の電線群６をシール状態で貫通させるようにしている。
上記蓋２２の上壁に空気吸引管２４を接続し、真空容器２０内の空気を吸引して真空容器２０内を負圧にできるようにしている。
【００２２】
さらに、前記真空容器２０の容器本体２１内には、半円溝２１ｂの回りに電線群６を遊挿できる大きさの貫通孔２５ａを設けたヒータ２５を設置している。
【００２３】
ワイヤハーネス１の線間止水部の形成方法について説明する。
まず、前記図２（Ａ）（Ｂ）に示すように、ワイヤハーネス組立作業台１０上の布線治具１１、セット治具１２を通して電線群６を布線していく。
該布線時に、止水領域Ｓの電線群６の外周に、セット治具１２の電線受け部１２ａの防水シート７に下面および両側面が囲まれて配線されることになる。
【００２４】
前記布線治具１１にすべての電線を通して布線が終了した後に、図４（Ａ）に示すように、セット治具１２の両外側位置で透明粘着テープ８Ａ、８Ｂを電線群６に巻き付けて結束する。
【００２５】
ついで、図４（Ｂ）（Ｃ）に示すように、止水剤供給装置１４の止水剤滴下ノズル１４ａを回転させて止水領域Ｓの電線群６の上方に位置させ、比較的低粘度でチクソ性を有するシリコーンからなる止水剤５を滴下する。該止水剤５はチクソ性を有するため、防水シート７で囲まれた止水領域から流出しない。
【００２６】
その後、図５に示すように、止水領域Ｓの電線群６をセット治具１２から外して、止水領域Ｓを挟む一方側の電線群６を真空容器２０の容器本体２１の半円溝２１ｂに通すと共にヒータ２５の貫通孔を通して、電線群６を容器本体２１を貫通させる。該半円溝２１ｂを通す部分は前記透明粘着テープ８Ａの巻き付け位置の中間位置とし、透明粘着テープ８Ａで結束した部分の一部を容器本体２１より外側に位置させている。このように、止水領域Ｓの電線群６は真空容器２０内に挿入せず、止水領域を挟む片側の電線群のみ真空容器２０内に通している。
その後、蓋２２を容器本体２１に被せて、電線群６をシール状態で引き出している。前記真空容器２０内に通す電線群６は自動車への配索時に被水領域となるエンジンルーム（Ｘ）側に配置する部分である。
【００２７】
前記のように、真空容器２０内に電線群６を密閉状態で収容後、真空容器２０内の空気を空気吸引管２４より吸引して負圧とする。この負圧により、真空容器２０内の圧力Ｐ１と容器外の圧力Ｐ２の差圧で真空容器２０の外側に位置されている止水領域Ｓの電線群６の上面に供給された止水剤５は、電線群６の隙間を通して真空容器２０側へと吸引され、隙間に浸透されていく。
該止水剤５の浸透状態は透明粘着テープ８Ａを通して外部から見ることができる。
【００２８】
其の際、先に滴下した止水剤５が不足していると見られた場合には、止水剤滴下ノズル１４ａより再度、電線群６へ止水剤５を滴下し、電線群６のすべての隙間に止水剤５を充填させる。
【００２９】
前記真空容器２０から引き出されている透明粘着テープ８Ａで結束された電線群６の部分で隙間に止水剤５が充填されていることが確認出来てから、真空容器２０からの空気吸引を停止する。
ついで、真空容器２０内のヒータ２５をオンして加熱し、電線群６内に浸透している止水剤５を加熱硬化する。
【００３０】
その後、電線群６を真空容器２０より取り出し、前記防水シート７の両側部の上部を電線群６の上面に被せ、防水シート７の粘着剤で電線群６に粘着して、電線群６の全周を防水シート７で覆う。
【００３１】
その後、図１に示すように、グロメット３の小径筒部３ａを拡げ治具で押し開いて、ワイヤハーネス１の線間止水部２を挿入し、グロメット３の小径筒部３ａの内周面に線間止水部２を密着させて貫通している。
【００３２】
前記のように、本発明のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法では、ワイヤハーネス組立作業台上で布線治具に電線群を布線していくライン上で止水処理を行うことができる。また、電線群の隙間に止水剤を吸引して浸透させるため、止水剤は電線群の上面に滴下するだけでよく、電線群の各電線に塗布していく必要はなく、前記特許文献１と比較して作業性がよい。
かつ、止水剤５は滴下した位置から電線群６の片側へのみ浸透させていくため、使用量を低減できる。さらに、滴下した止水剤５が不足している場合には、吸引による浸透時に、再度止水剤５を電線群６の上面に滴下することができ、電線群６の隙間に止水剤５を完全に充填することができ、止水性能を高めることができる。
【００３３】
本発明は前記実施形態に限定されず、止水剤硬化用のヒータは、真空容器２０内に設置せずに、別に配置し、真空容器２０から電線群を取り出した後に加熱してもよい。
さらに、止水剤５を紫外線照射で硬化するＵＶ硬化型シリコーンを用い、ヒータに代えて紫外線照射器を配置してもよい。
【符号の説明】
【００３４】
１ ワイヤハーネス
２ 線間止水部
３ グロメット
５ 止水剤
６ 電線群
７ 防水シート
８Ａ、８Ｂ 透明粘着テープ
１０ ワイヤハーネス組立作業台
１２ セット治具
１４ 止水剤供給装置
２０ 真空容器
２４ 空気吸引管
２５ ヒータ
Ｓ 止水領域
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車両の被水領域から車体パネルの貫通孔を通して車室へと配索されるワイヤハーネスに、前記貫通孔の挿通部に線間止水部を設け、該線間止水部をグロメットに密嵌して挿通し、該グロメットを前記貫通孔に装着するワイヤハーネスにおける前記線間止水部の形成方法であって、
ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、
前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する前記被水領域側となる電線群のみを真空容器内に挿入し、
前記真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させていることを特徴とするワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項２】
前記ワイヤハーネス組立作業台上において、前記線間止水部の形成領域に当たる位置には、所要長さとしたＵ字状の電線受け部を備えたセット治具を立設し、該セット治具の電線受け部の内面に沿って前記防水シートを配置しておき、前記線間止水部を形成する電線群を前記防水シートに底面および両側面でカバーされた状態で挿通した後に該電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープ巻で円形に結束しており、かつ、
前記真空容器は前記ワイヤハーネス組立作業台上の前記セット治具の側方に配置し、前記線間止水部を前記ワイヤハーネス組立作業台上で形成している請求項１に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項３】
前記電線群の隙間に前記止水剤を浸透して充填させて線間止水部を形成した後に、該線間止水部の両端部分を加熱して止水剤を硬化し、または、紫外線を照射して硬化している請求項１または請求項２に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項４】
前記ワイヤハーネスに取り付ける前記グロメットは、前記車体パネルの貫通穴に係止する車体係止凹部を大径筒部と、該大径筒部の一端に連続して前記被水領域側に突出させる小径筒部を備え、該小径筒部に前記線間止水部を密嵌して通している請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項１】
車両の被水領域から車体パネルの貫通孔を通して車室へと配索されるワイヤハーネスに、前記貫通孔の挿通部に線間止水部を設け、該線間止水部をグロメットに密嵌して挿通し、該グロメットを前記貫通孔に装着するワイヤハーネスにおける前記線間止水部の形成方法であって、
ワイヤハーネス組立作業台上において、布線治具で保持して配線した電線群のうち、前記線間止水部を形成する止水領域となる電線群の長さ方向の両端をテープ巻き結束すると共に、該止水領域の電線群を下面から両側面にかけて防水シートで覆い、
前記止水領域の電線群の上面に止水剤を滴下した後、該止水領域の電線群に連続する前記被水領域側となる電線群のみを真空容器内に挿入し、
前記真空容器に負圧を導入し、前記止水剤を電線群の隙間から前記被水領域側へ吸引して浸透させていることを特徴とするワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項２】
前記ワイヤハーネス組立作業台上において、前記線間止水部の形成領域に当たる位置には、所要長さとしたＵ字状の電線受け部を備えたセット治具を立設し、該セット治具の電線受け部の内面に沿って前記防水シートを配置しておき、前記線間止水部を形成する電線群を前記防水シートに底面および両側面でカバーされた状態で挿通した後に該電線群の長さ方向の両端を透明粘着テープ巻で円形に結束しており、かつ、
前記真空容器は前記ワイヤハーネス組立作業台上の前記セット治具の側方に配置し、前記線間止水部を前記ワイヤハーネス組立作業台上で形成している請求項１に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項３】
前記電線群の隙間に前記止水剤を浸透して充填させて線間止水部を形成した後に、該線間止水部の両端部分を加熱して止水剤を硬化し、または、紫外線を照射して硬化している請求項１または請求項２に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【請求項４】
前記ワイヤハーネスに取り付ける前記グロメットは、前記車体パネルの貫通穴に係止する車体係止凹部を大径筒部と、該大径筒部の一端に連続して前記被水領域側に突出させる小径筒部を備え、該小径筒部に前記線間止水部を密嵌して通している請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のワイヤハーネスの線間止水部の形成方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１０−２２６８５６（Ｐ２０１０−２２６８５６Ａ）
【公開日】平成２２年１０月７日（２０１０．１０．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−７０５５３（Ｐ２００９−７０５５３）
【出願日】平成２１年３月２３日（２００９．３．２３）
【出願人】（３９５０１１６６５）株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月７日（２０１０．１０．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月２３日（２００９．３．２３）
【出願人】（３９５０１１６６５）株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
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