ワイヤハーネス用のグロメット
【課題】グロメット装着溝が設けられるワイヤハーネス用補強壁の強度を高めると共に、ハーネス配索工程においてハーネスに容易に装着できるグロメットを提供する。
【解決手段】グロメット１０は弾性材からなる成形品であり、グロメット装着溝１０と嵌合する周面１２と、グロメット装着溝１０の上端開口に位置する上端面１３とを有し、かつ、これら周面１２と上端面１３で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を貫通する複数の貫通穴１４を左右方向に並設しており、各貫通穴１４と上端面１３との間には各貫通穴１４に連通して上端面１３側に開口するスリット１６をそれぞれ１つ設け、各スリット１６を開いてワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を夫々貫通穴１４に挿入し、挿入後はスリット１６が閉じる構成としている。
【解決手段】グロメット１０は弾性材からなる成形品であり、グロメット装着溝１０と嵌合する周面１２と、グロメット装着溝１０の上端開口に位置する上端面１３とを有し、かつ、これら周面１２と上端面１３で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を貫通する複数の貫通穴１４を左右方向に並設しており、各貫通穴１４と上端面１３との間には各貫通穴１４に連通して上端面１３側に開口するスリット１６をそれぞれ１つ設け、各スリット１６を開いてワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を夫々貫通穴１４に挿入し、挿入後はスリット１６が閉じる構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はワイヤハーネス用のグロメットに関し、詳しくは、自動車に配索されるワイヤハーネスに取り付けて、車両内に設置されたワイヤハーネス用補強壁に設けられた凹溝に装着して、該凹溝で保持される部分のワイヤハーネスの保護を図るものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車のエンジンルーム内等に配索されるワイヤハーネスには、車体壁面に沿わずに空中配索されるワイヤハーネスがある。この種のワイヤハーネスは、空中配索される部分が揺動しないように車両内に設置されたワイヤハーネス用補強壁で保持される場合がある。
【０００３】
詳しくは、図８に示すように、車両内仕切壁１のワイヤハーネス挿通部２にワイヤハーネス用補強壁３を設置し、該ワイヤハーネス用補強壁３の上端に、複数のグロメット装着溝４を凹設する一方、ワイヤハーネスｗには１本ごとに１つのグロメット５を装着し、前記各グロメット装着溝４に各グロメット５を一つずつ装着してワイヤハーネスｗを１本ずつ挿通していた。
【０００４】
しかしながら、前記構成ではワイヤハーネスの本数が多くなるとワイヤハーネス用補強壁３に多数のグロメット装着溝４を設定することになり、該壁３の強度が低下してしまう点に問題がある。
【０００５】
一方、１つのグロメットに複数のワイヤハーネスを挿通する構成は既に知られている。
例えば、図９に示すグロメット６は、主電線挿通部６ａと補助電線挿通部６ｂとを並設して全体を一体となしている（特開平７−１０５７７５号（特許文献１）参照）。
また、図１０（Ａ）（Ｂ）に示すグロメット７は、車体貫通穴への取付部となる円板部７ａと、該円板部７ａの略中央から先細りに突出させた円筒部７ｂを備え、該円筒部７ｂに複数本の電線ｗ１〜ｗ３を挿通するときは、該複数本の電線ｗ１〜ｗ３の円筒部７ｂに保持される部分の周囲にゲル状ポリマー８を配置して、該ゲル状ポリマー８が前記円筒部７ｂの弾性力によって変形して電線ｗ１〜ｗ３と円筒部７ｂとの間の隙間を充填する（特開平１１−１７８１６４号（特許文献２）参照）。
【０００６】
前記グロメット６、７のように1つのグロメットに複数本のワイヤハーネスを挿通することができるグロメットを用いれば、前記ワイヤハーネス用補強壁３に設けるグロメット装着溝４の数を減らすことはできると考えられる。
しかしながら、前記グロメット６、７は、ワイヤハーネスの長さ方向の一端側をグロメットの貫通穴内に挿入して順次ワイヤハーネスを送り入れながら所要位置に取り付ける構成であるため、ワイヤハーネスの端末がコネクタ等の機器に接続されていたり、車体に固定されている状態では取り付けることができない。即ち、前記グロメット６、７は、ワイヤハーネスが車体に配索される前のハーネス製造工程において、該ワイヤハーネスに取り付けておく必要があり、ハーネス配索工程において、先に車体の所要箇所に固定する、あるいは、車載機器に接続する必要があるワイヤハーネスに後からグロメットを装着する場合には使用できない。
【０００７】
【特許文献１】特開平７−１０５７７５号公報
【特許文献２】特開平１１−１７８１６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、車両内に配索されるワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス用補強壁の強度を高めることができ、かつ、車体へのハーネス配索工程時に、ハーネスに装着することができるワイヤハーネス用のグロメットの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するために、本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネスを貫通させて取り付け、自動車に設けられたワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に挿入して取り付けるグロメットであって、
弾性材からなる成形品であり、前記グロメット装着溝と嵌合する周面と、該グロメット装着溝の上端開口に位置する上端面とを有し、かつ、これら周面と上端面で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスを貫通する複数の貫通穴を左右方向に並設しており、各貫通穴と前記上端面との間に各貫通穴に連通して前記上端面側に開口するスリットをそれぞれ１つ設け、各スリットを開いて前記ワイヤハーネスを夫々前記貫通穴に挿入し、挿入後は前記スリットが閉じる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメットを提供している。
【００１０】
前記構成のグロメットを用いると、ワイヤハーネス１本ごとに装着されるグロメットを用いていた従来に比して、ワイヤハーネス用補強壁に設けるグロメット装着溝の数を減らすことができるため、該壁の切欠面積を低減でき、該壁全体の強度を高めることができる。
【００１１】
また、前記グロメットの上端面側に開口するスリットにより、ワイヤハーネスを該グロメットに装着するときは、ワイヤハーネスを長さ方向の一端側から前記貫通穴に挿通させて装着するのではなく、ワイヤハーネスのグロメット装着箇所を、開いた前記スリットから貫通穴内に押し込んで装着することができる。従って、前記グロメットが取り付けられるワイヤハーネスの全てにハーネス製造工程において予め該グロメットを取り付けておく必要はなく、ハーネス配索工程において、車体に配索中あるは配索後のハーネスに後から取り付けることにも対応できる。
特に、ワイヤハーネス製造工場において、１つのワイヤハーネスにグロメットを装着しておき、このグロメットを車体組立ラインにおいてワイヤハーネス用補強壁に装着し、その後、他のワイヤハーネスをグロメットのスリットを開いて挿入することができる。
【００１２】
前記スリットの第一の形状は、各スリットの下端は前記各貫通穴の上頂点と連通して垂直方向に延在させ、各スリットの上端を前記上端面に開口させている。
この場合、グロメットの貫通穴の１つにワイヤハーネスを貫通させた状態でワイヤハーネス用補強壁にグロメットを装着し、その後、他のワイヤハーネスを他の貫通穴に貫通させる場合には、ワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝からグロメットを一旦、取り外して、スリットを大きく開いて、ワイヤハーネスを貫通させることとなる。
【００１３】
前記スリットの第二の形状は、各スリットの下端は前記各貫通穴の左右のいずれか一方の側面側の頂点と連通し、これらスリットを垂直方向に延在させて前記上端面に開口させ、あるいはスリットを傾斜させて上端面と周面との境界部に開口させ、
各スリットにより分割された一方側を前記貫通穴の上半周を囲む部分とし、前記グロメット装着溝に取り付けた状態で、前記貫通穴の上半周を囲む部分を開いてワイヤハーネスの挿入を可能としてもよい。
【００１４】
前記第二の形状のスリットを設けると、グロメットがワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に取り付けられた状態でも、スリットを大きく開くことができるため、グロメットをワイヤハーネス用補強壁に装着した後に、該グロメットをグロメット装着溝から取り出さずに、ワイヤハーネスを装着することができ、作業性を高めることができる。
【００１５】
前記第一の形状および第二の形状のいずれのスリットにおいても、その対向面には、一方側の面にリブを設けていると共に、他方側の面に、前記貫通穴にワイヤハーネスを通した後に前記リブと嵌合するリブ用溝を設けておくことが好ましい。
前記のように、リブとリブ用溝を貫通穴の径方向に延在するように設けた場合、該リブとリブ用溝を互いに嵌合させることにより、前記スリットを挟んでグロメットの分割端が前後方向にずれ動くことを防止でき、ワイヤハーネスへのグロメット装着安定性を高めることができる。
また、前記リブとリブ用溝を貫通穴の軸線方向に延在するように設けた場合、該リブとリブ用溝を互いに嵌合させることにより、前記スリットを挟んでグロメットの分割端が左右方向（周方向）にズレ動くことを防止でき、該スリットをロック閉鎖できるため、この場合もワイヤハーネスへのグロメット装着安定性を高めることができる。
【００１６】
また、前記ワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装している場合、前記各貫通穴の内周面に前記コルゲートチューブの凹凸部と嵌合する凹凸部を設け、さらに、
前記貫通穴を囲む外面より、前記コルゲートチューブとテープ巻きするテープ巻き舌片を突設していることが好ましい。
【００１７】
なお、前記テープ巻き舌片は、複数の貫通穴のうち少なくとも１つの貫通穴に設けていればよい。また、このテープ巻き舌片は、貫通穴の軸線方向一方側の外面にのみ突設しても、両側の外面に突設してもよい。
【００１８】
前記グロメットの上端面には、グロメット装着溝に嵌合された該グロメットを容易に取り出すことができるように、つまみ片を上方に突設することが好ましい。該つまみ片を設ける場合は、前記スリットの上端開口箇所では該つまみ片も分断されるように設ける必要がある。
【発明の効果】
【００１９】
上述したように、本発明によれば、ワイヤハーネス用補強壁に設けるグロメット装着溝の数を減らし、該グロメット装着溝による切欠面積を低減できるため、ワイヤハーネス用補強壁の強度を高めることができる。
また、グロメットの上端面側に開口し貫通穴に連通するスリットを設けているため、該グロメットに挿通するワイヤハーネスの全てに、ハーネス製造工程において該グロメットを取り付けておく必要はなく、先に車体に固定する、あるいは車載機器に接続する必要があるハーネスにも、ハーネス配索工程において後から容易にグロメットを取り付けることが可能となり、配索設計の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
いずれの実施形態も、自動車のエンジンルーム内に空中配索されるワイヤハーネスＷ１、Ｗ２に取り付けられ、設置されたワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に嵌合装着されるグロメットに本発明を適用している。
前記ワイヤハーネス用補強壁９は、従来例の図８に示す補強壁３と同様に、エンジンルーム内に設けられた仕切壁１のワイヤハーネス挿通部２に設置されている。
前記グロメット装着溝１０は、ワイヤハーネス用補強壁９の上端から、後述のグロメット１１の周面１２に対応する形状に切り欠いて凹設している。
【００２１】
前記ワイヤハーネスＷ１は、ハーネス製造工程において予めグロメットを取り付けておいても配線作業に支障がないハーネスであるが、ワイヤハーネスＷ２は、配線の都合上、ハーネス製造工程で予めグロメット１１を取り付けておくことはできないハーネスである。
ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２にはコルゲートチューブＴがそれぞれ外装されている。該コルゲートチューブＴは、谷部Ｔａと山部Ｔｂとを軸線方向に交互に連続させてなり、剛性と屈曲性を備えている。
【００２２】
図１乃至図３に、本発明の第一実施形態に係るグロメット１１を示す。
グロメット１１は、図１（Ａ）〜（Ｃ）および図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、前記グロメット装着溝１０と嵌合する周面１２と、該グロメット装着溝１０の上端開口に位置する上端面１３とを有し、かつ、これら周面１２と上端面１３とで囲まれた内部に２つのワイヤハーネス貫通穴１４を左右方向に並設した形状よりなり、弾性材で一体成形している。前記周面１２は、並設された前記各貫通穴１４の円弧形状に沿う２つ下方湾曲面１２ａ、１２ａを、上方湾曲面１２ｂを介して下中央部で滑らかに連続させた形状よりなる。
【００２３】
前記上端面１３と各貫通穴１４との間の上側部１５には、垂直方向に延在するスリット１６をそれぞれ１つずつ設けている。各スリット１６は、下端１７を各貫通穴１４の上頂点と連通し、上端１８を前記上端面１３に開口している。
【００２４】
前記各スリット１６の対向面１９、２０には、図２に示すように、一方の対向面１９に、貫通穴１４の径方向に延在する縦リブ２１を突設し、他方の対向面２０には、前記縦リブ２１と嵌合する縦リブ溝２２を凹設している。
【００２５】
前記各貫通穴１４の内周面には、ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２に外装されたコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂに嵌合する凹凸部２３を形成している。
【００２６】
一方の前記貫通穴１４を囲む軸線方向一方側の外面には、図１（Ｂ）（Ｃ）に示すように、左右一対のテープ巻き舌片２４を突設している。
【００２７】
前記周面１２には、その周方向全長にわたって、グロメット装着溝１０の周縁と嵌合する嵌合溝２５を形成している。
【００２８】
前記上端面１３には、グロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外す際のつまみ片２６を突設している。該つまみ片２６は、２つの貫通穴１４の並設方向に延在する連続突片よりなるが、前記２つのスリット１６の形成箇所では、各スリット１６をつまみ片２６の上端まで延在させ、該つまみ片２６を３つに分断している。
【００２９】
前記構成のグロメット１１は、まず、ハーネス製造工程においてワイヤハーネスＷ１に装着される。具体的には、グロメット１１の弾性変形性を利用して一方の貫通穴１４のスリット１６を開き、該一方の貫通穴１４にワイヤハーネスＷ１を押し込んだ後スリット１６を閉じる。次いで、ワイヤハーネスＷ１に外装されているコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂを貫通穴１４の凹凸部２３に嵌合させた後、図３（Ａ）に示すように、該コルゲートチューブＴを前記テープ巻き舌片２４にテープ２７で巻きつけてグロメット１１をワイヤハーネスＷ１に位置決め装着し、この状態でカーメーカーに納入する。
【００３０】
次に、カーメーカーにおけるハーネス配索工程において、車両にワイヤハーネスＷ１を配索し、図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、ワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０の周縁にグロメット１１の嵌合溝２５を嵌合してグロメット１１をグロメット装着溝１０に装着する。
次いで、車両への配索を済ませたワイヤハーネスＷ２へのグロメット１１の装着作業を行う。具体的には、図３（Ｃ）に示すように、グロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外し、他方の貫通穴１４にスリット１６を開いてワイヤハーネスＷ２を押し込み、該ワイヤハーネスＷ２に外装されているコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂを貫通穴１４の凹凸部２３に嵌合させてスリット１６を閉じる。
最後に、図３（Ｄ）に示すように、２本のワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を貫通穴１４に挿通したグロメット１１をワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に嵌合装着する。
【００３１】
前記構成のグロメット１１を用いると、１つのグロメット１１に２つのワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を挿通することができるため、従来のように1本のワイヤハーネスにグロメットを１つずつ装着していた場合に比して、ワイヤハーネス用補強壁９に設けるグロメット装着溝１０の数を減らすことができるうえ、該グロメット装着溝１０による総切欠面積を小さくできるため、ワイヤハーネス用補強壁９の強度を高めることができる。
【００３２】
また、貫通穴１４に連通するスリット１６を設けているため、ワイヤハーネスＷ２が両端を車体に固定もしくは車載機器等に接続された後であっても、該スリット１６を開いて貫通穴１４に押し込むことによりワイヤハーネスＷ２の所要位置に容易にグロメット１１を装着することができる。従って、ハーネス製造工程において予めグロメットに装着しておくことができない類のワイヤハーネスにも、前記グロメット１１であればワイヤハーネス配索工程において容易に装着することができる。
【００３３】
さらに、前記スリット１６の対向面１９、２０に設けた縦リブ２１と縦リブ溝２２を嵌合させることにより、図１（Ｃ）に示すように、該スリット１６を挟んだ上側部１５の分割端が前後方向にずれ動くことを規制でき、ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２へのグロメット１１の装着安定性を高めることができる。
【００３４】
図４乃至図６に本発明の第二実施形態を示す。
本実施形態では、スリット１６の下端１７は、左側の貫通穴１４については左側面側の頂点と連通し、右側の貫通穴１４については右側面側の頂点と連通し、それぞれ上端１８に向けて傾斜方向に延在させて、各上端１８を前記上端面１３と周面１２との境界部に開口させている。
【００３５】
前記各スリット１６の対向面１９、２０には、図５に示すように、一方の対向面１９に貫通穴１４の軸線方向に延在する横リブ２８を突設し、他方の対向面２０には前記横リブ２８と嵌合する横リブ溝２９を凹設している。
【００３６】
本実施形態においては、図４に示すように、グロメット１１の各スリット１６よりも内側の上側部１５が、各貫通穴１４の上半周を囲む部分となる。従って、該上側部１５を大きく上方に引き上げると、スリット１６によって貫通穴１４の上半分が大きく開口することになるため、該貫通穴１４内にワイヤハーネス（Ｗ１、Ｗ２）の所要部位を容易に押し込んでグロメット１１を装着することができる。
【００３７】
また、前記スリット１６は、前記上側部１５は上方に引き上げることによって開口するため、このスリット１６を開くためにグロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外す必要はなく、図６に示すように、グロメット１１がワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に取り付けられたままでもスリット１６を大きく開いてワイヤハーネス（Ｗ２）を貫通穴１４に押し込み挿入することができ、作業性を高めることができる。
【００３８】
さらに、スリット１６の対向面１９、２０に設けた前記横リブ２８と横リブ溝２９とを嵌合させることにより、スリット１６をロック閉鎖できるため、グロメット１１のワイヤハーネスへの装着安定性を確保することができる。
【００３９】
なお、前記スリット１６は、図７に示すように、その下端１７を各貫通穴１４の左右いずれか一方の側面側の頂点と連通させ、該下端１７から上端１８に向かって垂直方向に延在させ、該上端１８を上端面１３に開口させてもよい。この場合は、スリット１６の対向面には前記横リブ２８と横リブ溝２９ではなく縦リブ２１と縦リブ溝２２（図示せず）を形成する方が、グロメット１１をグロメット装着溝１０に嵌合したままの状態でスリット１６を開く作業を容易に行うことができるため好適である。
【００４０】
本発明は前記実施形態に限定されるものではない。前記テープ巻き舌片２４は、貫通穴１４を囲む外面から軸線方向の両方向に突設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明の第一実施形態に係るグロメットを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は上面図である。
【図２】図１に示すグロメットのスリットを開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【図３】（Ａ）〜（Ｄ）は図１に示すグロメットの車体への取り付け手順を示す説明斜視図である。
【図４】本発明の第二実施形態に係るグロメットを示す正面図である。
【図５】図４に示すグロメットのスリットを開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【図６】図４に示すグロメットのスリットを開く作業を示す正面図である。
【図７】スリットの他の形状を示す正面図である。
【図８】従来例の図である。
【図９】他の従来例の図である。
【図１０】他の従来例を示し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）は断面図である。
【符号の説明】
【００４２】
９ ワイヤハーネス用補強壁
１０ グロメット装着溝
１１ グロメット
１２ 周面
１３ 上端面
１４ 貫通穴
１６ スリット
Ｗ１、Ｗ２ ワイヤハーネス
Ｔ コルゲートチューブ
【技術分野】
【０００１】
本発明はワイヤハーネス用のグロメットに関し、詳しくは、自動車に配索されるワイヤハーネスに取り付けて、車両内に設置されたワイヤハーネス用補強壁に設けられた凹溝に装着して、該凹溝で保持される部分のワイヤハーネスの保護を図るものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車のエンジンルーム内等に配索されるワイヤハーネスには、車体壁面に沿わずに空中配索されるワイヤハーネスがある。この種のワイヤハーネスは、空中配索される部分が揺動しないように車両内に設置されたワイヤハーネス用補強壁で保持される場合がある。
【０００３】
詳しくは、図８に示すように、車両内仕切壁１のワイヤハーネス挿通部２にワイヤハーネス用補強壁３を設置し、該ワイヤハーネス用補強壁３の上端に、複数のグロメット装着溝４を凹設する一方、ワイヤハーネスｗには１本ごとに１つのグロメット５を装着し、前記各グロメット装着溝４に各グロメット５を一つずつ装着してワイヤハーネスｗを１本ずつ挿通していた。
【０００４】
しかしながら、前記構成ではワイヤハーネスの本数が多くなるとワイヤハーネス用補強壁３に多数のグロメット装着溝４を設定することになり、該壁３の強度が低下してしまう点に問題がある。
【０００５】
一方、１つのグロメットに複数のワイヤハーネスを挿通する構成は既に知られている。
例えば、図９に示すグロメット６は、主電線挿通部６ａと補助電線挿通部６ｂとを並設して全体を一体となしている（特開平７−１０５７７５号（特許文献１）参照）。
また、図１０（Ａ）（Ｂ）に示すグロメット７は、車体貫通穴への取付部となる円板部７ａと、該円板部７ａの略中央から先細りに突出させた円筒部７ｂを備え、該円筒部７ｂに複数本の電線ｗ１〜ｗ３を挿通するときは、該複数本の電線ｗ１〜ｗ３の円筒部７ｂに保持される部分の周囲にゲル状ポリマー８を配置して、該ゲル状ポリマー８が前記円筒部７ｂの弾性力によって変形して電線ｗ１〜ｗ３と円筒部７ｂとの間の隙間を充填する（特開平１１−１７８１６４号（特許文献２）参照）。
【０００６】
前記グロメット６、７のように1つのグロメットに複数本のワイヤハーネスを挿通することができるグロメットを用いれば、前記ワイヤハーネス用補強壁３に設けるグロメット装着溝４の数を減らすことはできると考えられる。
しかしながら、前記グロメット６、７は、ワイヤハーネスの長さ方向の一端側をグロメットの貫通穴内に挿入して順次ワイヤハーネスを送り入れながら所要位置に取り付ける構成であるため、ワイヤハーネスの端末がコネクタ等の機器に接続されていたり、車体に固定されている状態では取り付けることができない。即ち、前記グロメット６、７は、ワイヤハーネスが車体に配索される前のハーネス製造工程において、該ワイヤハーネスに取り付けておく必要があり、ハーネス配索工程において、先に車体の所要箇所に固定する、あるいは、車載機器に接続する必要があるワイヤハーネスに後からグロメットを装着する場合には使用できない。
【０００７】
【特許文献１】特開平７−１０５７７５号公報
【特許文献２】特開平１１−１７８１６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、車両内に配索されるワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス用補強壁の強度を高めることができ、かつ、車体へのハーネス配索工程時に、ハーネスに装着することができるワイヤハーネス用のグロメットの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するために、本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネスを貫通させて取り付け、自動車に設けられたワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に挿入して取り付けるグロメットであって、
弾性材からなる成形品であり、前記グロメット装着溝と嵌合する周面と、該グロメット装着溝の上端開口に位置する上端面とを有し、かつ、これら周面と上端面で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスを貫通する複数の貫通穴を左右方向に並設しており、各貫通穴と前記上端面との間に各貫通穴に連通して前記上端面側に開口するスリットをそれぞれ１つ設け、各スリットを開いて前記ワイヤハーネスを夫々前記貫通穴に挿入し、挿入後は前記スリットが閉じる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメットを提供している。
【００１０】
前記構成のグロメットを用いると、ワイヤハーネス１本ごとに装着されるグロメットを用いていた従来に比して、ワイヤハーネス用補強壁に設けるグロメット装着溝の数を減らすことができるため、該壁の切欠面積を低減でき、該壁全体の強度を高めることができる。
【００１１】
また、前記グロメットの上端面側に開口するスリットにより、ワイヤハーネスを該グロメットに装着するときは、ワイヤハーネスを長さ方向の一端側から前記貫通穴に挿通させて装着するのではなく、ワイヤハーネスのグロメット装着箇所を、開いた前記スリットから貫通穴内に押し込んで装着することができる。従って、前記グロメットが取り付けられるワイヤハーネスの全てにハーネス製造工程において予め該グロメットを取り付けておく必要はなく、ハーネス配索工程において、車体に配索中あるは配索後のハーネスに後から取り付けることにも対応できる。
特に、ワイヤハーネス製造工場において、１つのワイヤハーネスにグロメットを装着しておき、このグロメットを車体組立ラインにおいてワイヤハーネス用補強壁に装着し、その後、他のワイヤハーネスをグロメットのスリットを開いて挿入することができる。
【００１２】
前記スリットの第一の形状は、各スリットの下端は前記各貫通穴の上頂点と連通して垂直方向に延在させ、各スリットの上端を前記上端面に開口させている。
この場合、グロメットの貫通穴の１つにワイヤハーネスを貫通させた状態でワイヤハーネス用補強壁にグロメットを装着し、その後、他のワイヤハーネスを他の貫通穴に貫通させる場合には、ワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝からグロメットを一旦、取り外して、スリットを大きく開いて、ワイヤハーネスを貫通させることとなる。
【００１３】
前記スリットの第二の形状は、各スリットの下端は前記各貫通穴の左右のいずれか一方の側面側の頂点と連通し、これらスリットを垂直方向に延在させて前記上端面に開口させ、あるいはスリットを傾斜させて上端面と周面との境界部に開口させ、
各スリットにより分割された一方側を前記貫通穴の上半周を囲む部分とし、前記グロメット装着溝に取り付けた状態で、前記貫通穴の上半周を囲む部分を開いてワイヤハーネスの挿入を可能としてもよい。
【００１４】
前記第二の形状のスリットを設けると、グロメットがワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に取り付けられた状態でも、スリットを大きく開くことができるため、グロメットをワイヤハーネス用補強壁に装着した後に、該グロメットをグロメット装着溝から取り出さずに、ワイヤハーネスを装着することができ、作業性を高めることができる。
【００１５】
前記第一の形状および第二の形状のいずれのスリットにおいても、その対向面には、一方側の面にリブを設けていると共に、他方側の面に、前記貫通穴にワイヤハーネスを通した後に前記リブと嵌合するリブ用溝を設けておくことが好ましい。
前記のように、リブとリブ用溝を貫通穴の径方向に延在するように設けた場合、該リブとリブ用溝を互いに嵌合させることにより、前記スリットを挟んでグロメットの分割端が前後方向にずれ動くことを防止でき、ワイヤハーネスへのグロメット装着安定性を高めることができる。
また、前記リブとリブ用溝を貫通穴の軸線方向に延在するように設けた場合、該リブとリブ用溝を互いに嵌合させることにより、前記スリットを挟んでグロメットの分割端が左右方向（周方向）にズレ動くことを防止でき、該スリットをロック閉鎖できるため、この場合もワイヤハーネスへのグロメット装着安定性を高めることができる。
【００１６】
また、前記ワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装している場合、前記各貫通穴の内周面に前記コルゲートチューブの凹凸部と嵌合する凹凸部を設け、さらに、
前記貫通穴を囲む外面より、前記コルゲートチューブとテープ巻きするテープ巻き舌片を突設していることが好ましい。
【００１７】
なお、前記テープ巻き舌片は、複数の貫通穴のうち少なくとも１つの貫通穴に設けていればよい。また、このテープ巻き舌片は、貫通穴の軸線方向一方側の外面にのみ突設しても、両側の外面に突設してもよい。
【００１８】
前記グロメットの上端面には、グロメット装着溝に嵌合された該グロメットを容易に取り出すことができるように、つまみ片を上方に突設することが好ましい。該つまみ片を設ける場合は、前記スリットの上端開口箇所では該つまみ片も分断されるように設ける必要がある。
【発明の効果】
【００１９】
上述したように、本発明によれば、ワイヤハーネス用補強壁に設けるグロメット装着溝の数を減らし、該グロメット装着溝による切欠面積を低減できるため、ワイヤハーネス用補強壁の強度を高めることができる。
また、グロメットの上端面側に開口し貫通穴に連通するスリットを設けているため、該グロメットに挿通するワイヤハーネスの全てに、ハーネス製造工程において該グロメットを取り付けておく必要はなく、先に車体に固定する、あるいは車載機器に接続する必要があるハーネスにも、ハーネス配索工程において後から容易にグロメットを取り付けることが可能となり、配索設計の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
いずれの実施形態も、自動車のエンジンルーム内に空中配索されるワイヤハーネスＷ１、Ｗ２に取り付けられ、設置されたワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に嵌合装着されるグロメットに本発明を適用している。
前記ワイヤハーネス用補強壁９は、従来例の図８に示す補強壁３と同様に、エンジンルーム内に設けられた仕切壁１のワイヤハーネス挿通部２に設置されている。
前記グロメット装着溝１０は、ワイヤハーネス用補強壁９の上端から、後述のグロメット１１の周面１２に対応する形状に切り欠いて凹設している。
【００２１】
前記ワイヤハーネスＷ１は、ハーネス製造工程において予めグロメットを取り付けておいても配線作業に支障がないハーネスであるが、ワイヤハーネスＷ２は、配線の都合上、ハーネス製造工程で予めグロメット１１を取り付けておくことはできないハーネスである。
ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２にはコルゲートチューブＴがそれぞれ外装されている。該コルゲートチューブＴは、谷部Ｔａと山部Ｔｂとを軸線方向に交互に連続させてなり、剛性と屈曲性を備えている。
【００２２】
図１乃至図３に、本発明の第一実施形態に係るグロメット１１を示す。
グロメット１１は、図１（Ａ）〜（Ｃ）および図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、前記グロメット装着溝１０と嵌合する周面１２と、該グロメット装着溝１０の上端開口に位置する上端面１３とを有し、かつ、これら周面１２と上端面１３とで囲まれた内部に２つのワイヤハーネス貫通穴１４を左右方向に並設した形状よりなり、弾性材で一体成形している。前記周面１２は、並設された前記各貫通穴１４の円弧形状に沿う２つ下方湾曲面１２ａ、１２ａを、上方湾曲面１２ｂを介して下中央部で滑らかに連続させた形状よりなる。
【００２３】
前記上端面１３と各貫通穴１４との間の上側部１５には、垂直方向に延在するスリット１６をそれぞれ１つずつ設けている。各スリット１６は、下端１７を各貫通穴１４の上頂点と連通し、上端１８を前記上端面１３に開口している。
【００２４】
前記各スリット１６の対向面１９、２０には、図２に示すように、一方の対向面１９に、貫通穴１４の径方向に延在する縦リブ２１を突設し、他方の対向面２０には、前記縦リブ２１と嵌合する縦リブ溝２２を凹設している。
【００２５】
前記各貫通穴１４の内周面には、ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２に外装されたコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂに嵌合する凹凸部２３を形成している。
【００２６】
一方の前記貫通穴１４を囲む軸線方向一方側の外面には、図１（Ｂ）（Ｃ）に示すように、左右一対のテープ巻き舌片２４を突設している。
【００２７】
前記周面１２には、その周方向全長にわたって、グロメット装着溝１０の周縁と嵌合する嵌合溝２５を形成している。
【００２８】
前記上端面１３には、グロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外す際のつまみ片２６を突設している。該つまみ片２６は、２つの貫通穴１４の並設方向に延在する連続突片よりなるが、前記２つのスリット１６の形成箇所では、各スリット１６をつまみ片２６の上端まで延在させ、該つまみ片２６を３つに分断している。
【００２９】
前記構成のグロメット１１は、まず、ハーネス製造工程においてワイヤハーネスＷ１に装着される。具体的には、グロメット１１の弾性変形性を利用して一方の貫通穴１４のスリット１６を開き、該一方の貫通穴１４にワイヤハーネスＷ１を押し込んだ後スリット１６を閉じる。次いで、ワイヤハーネスＷ１に外装されているコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂを貫通穴１４の凹凸部２３に嵌合させた後、図３（Ａ）に示すように、該コルゲートチューブＴを前記テープ巻き舌片２４にテープ２７で巻きつけてグロメット１１をワイヤハーネスＷ１に位置決め装着し、この状態でカーメーカーに納入する。
【００３０】
次に、カーメーカーにおけるハーネス配索工程において、車両にワイヤハーネスＷ１を配索し、図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、ワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０の周縁にグロメット１１の嵌合溝２５を嵌合してグロメット１１をグロメット装着溝１０に装着する。
次いで、車両への配索を済ませたワイヤハーネスＷ２へのグロメット１１の装着作業を行う。具体的には、図３（Ｃ）に示すように、グロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外し、他方の貫通穴１４にスリット１６を開いてワイヤハーネスＷ２を押し込み、該ワイヤハーネスＷ２に外装されているコルゲートチューブＴの谷部Ｔａと山部Ｔｂを貫通穴１４の凹凸部２３に嵌合させてスリット１６を閉じる。
最後に、図３（Ｄ）に示すように、２本のワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を貫通穴１４に挿通したグロメット１１をワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に嵌合装着する。
【００３１】
前記構成のグロメット１１を用いると、１つのグロメット１１に２つのワイヤハーネスＷ１、Ｗ２を挿通することができるため、従来のように1本のワイヤハーネスにグロメットを１つずつ装着していた場合に比して、ワイヤハーネス用補強壁９に設けるグロメット装着溝１０の数を減らすことができるうえ、該グロメット装着溝１０による総切欠面積を小さくできるため、ワイヤハーネス用補強壁９の強度を高めることができる。
【００３２】
また、貫通穴１４に連通するスリット１６を設けているため、ワイヤハーネスＷ２が両端を車体に固定もしくは車載機器等に接続された後であっても、該スリット１６を開いて貫通穴１４に押し込むことによりワイヤハーネスＷ２の所要位置に容易にグロメット１１を装着することができる。従って、ハーネス製造工程において予めグロメットに装着しておくことができない類のワイヤハーネスにも、前記グロメット１１であればワイヤハーネス配索工程において容易に装着することができる。
【００３３】
さらに、前記スリット１６の対向面１９、２０に設けた縦リブ２１と縦リブ溝２２を嵌合させることにより、図１（Ｃ）に示すように、該スリット１６を挟んだ上側部１５の分割端が前後方向にずれ動くことを規制でき、ワイヤハーネスＷ１、Ｗ２へのグロメット１１の装着安定性を高めることができる。
【００３４】
図４乃至図６に本発明の第二実施形態を示す。
本実施形態では、スリット１６の下端１７は、左側の貫通穴１４については左側面側の頂点と連通し、右側の貫通穴１４については右側面側の頂点と連通し、それぞれ上端１８に向けて傾斜方向に延在させて、各上端１８を前記上端面１３と周面１２との境界部に開口させている。
【００３５】
前記各スリット１６の対向面１９、２０には、図５に示すように、一方の対向面１９に貫通穴１４の軸線方向に延在する横リブ２８を突設し、他方の対向面２０には前記横リブ２８と嵌合する横リブ溝２９を凹設している。
【００３６】
本実施形態においては、図４に示すように、グロメット１１の各スリット１６よりも内側の上側部１５が、各貫通穴１４の上半周を囲む部分となる。従って、該上側部１５を大きく上方に引き上げると、スリット１６によって貫通穴１４の上半分が大きく開口することになるため、該貫通穴１４内にワイヤハーネス（Ｗ１、Ｗ２）の所要部位を容易に押し込んでグロメット１１を装着することができる。
【００３７】
また、前記スリット１６は、前記上側部１５は上方に引き上げることによって開口するため、このスリット１６を開くためにグロメット１１をグロメット装着溝１０から取り外す必要はなく、図６に示すように、グロメット１１がワイヤハーネス用補強壁９のグロメット装着溝１０に取り付けられたままでもスリット１６を大きく開いてワイヤハーネス（Ｗ２）を貫通穴１４に押し込み挿入することができ、作業性を高めることができる。
【００３８】
さらに、スリット１６の対向面１９、２０に設けた前記横リブ２８と横リブ溝２９とを嵌合させることにより、スリット１６をロック閉鎖できるため、グロメット１１のワイヤハーネスへの装着安定性を確保することができる。
【００３９】
なお、前記スリット１６は、図７に示すように、その下端１７を各貫通穴１４の左右いずれか一方の側面側の頂点と連通させ、該下端１７から上端１８に向かって垂直方向に延在させ、該上端１８を上端面１３に開口させてもよい。この場合は、スリット１６の対向面には前記横リブ２８と横リブ溝２９ではなく縦リブ２１と縦リブ溝２２（図示せず）を形成する方が、グロメット１１をグロメット装着溝１０に嵌合したままの状態でスリット１６を開く作業を容易に行うことができるため好適である。
【００４０】
本発明は前記実施形態に限定されるものではない。前記テープ巻き舌片２４は、貫通穴１４を囲む外面から軸線方向の両方向に突設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明の第一実施形態に係るグロメットを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は上面図である。
【図２】図１に示すグロメットのスリットを開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【図３】（Ａ）〜（Ｄ）は図１に示すグロメットの車体への取り付け手順を示す説明斜視図である。
【図４】本発明の第二実施形態に係るグロメットを示す正面図である。
【図５】図４に示すグロメットのスリットを開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【図６】図４に示すグロメットのスリットを開く作業を示す正面図である。
【図７】スリットの他の形状を示す正面図である。
【図８】従来例の図である。
【図９】他の従来例の図である。
【図１０】他の従来例を示し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）は断面図である。
【符号の説明】
【００４２】
９ ワイヤハーネス用補強壁
１０ グロメット装着溝
１１ グロメット
１２ 周面
１３ 上端面
１４ 貫通穴
１６ スリット
Ｗ１、Ｗ２ ワイヤハーネス
Ｔ コルゲートチューブ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動車に配索されるワイヤハーネスを貫通させて取り付け、自動車に設けられたワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に挿入して取り付けるグロメットであって、
弾性材からなる成形品であり、前記グロメット装着溝と嵌合する周面と、該グロメット装着溝の上端開口に位置する上端面とを有し、かつ、これら周面と上端面で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスを貫通する複数の貫通穴を左右方向に並設しており、各貫通穴と前記上端面との間には各貫通穴に連通して前記上端面側に開口させるスリットをそれぞれ１つ設け、各スリットを開いて前記ワイヤハーネスを夫々前記貫通穴に挿入し、挿入後は前記スリットが閉じる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項２】
前記各スリットの下端は前記各貫通穴の上頂点と連通して垂直方向に延在させ、各スリットの上端を前記上端面に開口させている請求項１に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項３】
前記各スリットの下端は前記各貫通穴の左右のいずれか一方の側面側の頂点と連通し、これらスリットを垂直方向に延在させて前記上端面に開口させ、あるいはスリットを傾斜させて上端面と周面との境界部に開口させ、
各スリットにより分割された一方側を前記貫通穴の上半周を囲む部分とし、前記グロメット装着溝に取り付けた状態で、前記貫通穴の上半周を囲む部分を開いてワイヤハーネスの挿入を可能としている請求項１に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項４】
前記各スリットの対向面には、一方側の面にリブを設けていると共に、他方側の面に、前記貫通穴にワイヤハーネスを通した後に前記リブと嵌合するリブ用溝を設け、かつ、
前記ワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装している一方、前記各貫通穴の内周面に前記コルゲートチューブの凹凸部と嵌合する凹凸部を設け、さらに、
前記貫通穴を囲む外面より、前記コルゲートチューブとテープ巻きするテープ巻き舌片を突設している請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項１】
自動車に配索されるワイヤハーネスを貫通させて取り付け、自動車に設けられたワイヤハーネス用補強壁のグロメット装着溝に挿入して取り付けるグロメットであって、
弾性材からなる成形品であり、前記グロメット装着溝と嵌合する周面と、該グロメット装着溝の上端開口に位置する上端面とを有し、かつ、これら周面と上端面で囲まれた内部に複数のワイヤハーネスを貫通する複数の貫通穴を左右方向に並設しており、各貫通穴と前記上端面との間には各貫通穴に連通して前記上端面側に開口させるスリットをそれぞれ１つ設け、各スリットを開いて前記ワイヤハーネスを夫々前記貫通穴に挿入し、挿入後は前記スリットが閉じる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項２】
前記各スリットの下端は前記各貫通穴の上頂点と連通して垂直方向に延在させ、各スリットの上端を前記上端面に開口させている請求項１に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項３】
前記各スリットの下端は前記各貫通穴の左右のいずれか一方の側面側の頂点と連通し、これらスリットを垂直方向に延在させて前記上端面に開口させ、あるいはスリットを傾斜させて上端面と周面との境界部に開口させ、
各スリットにより分割された一方側を前記貫通穴の上半周を囲む部分とし、前記グロメット装着溝に取り付けた状態で、前記貫通穴の上半周を囲む部分を開いてワイヤハーネスの挿入を可能としている請求項１に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【請求項４】
前記各スリットの対向面には、一方側の面にリブを設けていると共に、他方側の面に、前記貫通穴にワイヤハーネスを通した後に前記リブと嵌合するリブ用溝を設け、かつ、
前記ワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装している一方、前記各貫通穴の内周面に前記コルゲートチューブの凹凸部と嵌合する凹凸部を設け、さらに、
前記貫通穴を囲む外面より、前記コルゲートチューブとテープ巻きするテープ巻き舌片を突設している請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００９−１０６０９１（Ｐ２００９−１０６０９１Ａ）
【公開日】平成２１年５月１４日（２００９．５．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２７５９９０（Ｐ２００７−２７５９９０）
【出願日】平成１９年１０月２４日（２００７．１０．２４）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年５月１４日（２００９．５．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月２４日（２００７．１０．２４）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
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