説明

ワイヤハーネス配索構造、ワイヤハーネス配索方法、及び、外装代替部・部材

【課題】バリやエッジ部分等からワイヤハーネスを保護することにあたり、低コストで保護することが可能なワイヤハーネス配索構造及び方法を提供する。
【解決手段】溶接バリ9は、配索対象部材2の全長で見ると局所的な部分であって、この溶接バリ9にワイヤハーネス1が接触してしまうと、電線4の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。そこで、ワイヤハーネス1を保護するためとして、外装代替部材3が設けられている。外装代替部材3は、溶接バリ9とワイヤハーネス1との接触を避けることができるように溶接部分8に設けられている。具体的には、溶接バリ9を覆うようにして外装代替部材3が設けられている。ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、格段に低コストで保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの配索に係る構造及び方法と、これら構造及び方法に用いる外装代替部・部材とに関する。
【背景技術】
【0002】
電線を複数束ねて形成されるワイヤハーネス(電線束)は、自動車等の車両に配索されている。また、車両に限らず可動部分を有する電子機器、例えば複写機等にもワイヤハーネスが配索されている。以下、配索対象が車両となるワイヤハーネスを例に挙げて説明をする。
【0003】
ワイヤハーネスの要所要所には、合成樹脂製のプロテクタが設けられている(例えば下記特許文献1参照)。プロテクタは、ワイヤハーネスを収容してこの収容部分のワイヤハーネスを保護することを目的としている。プロテクタは、ワイヤハーネスを収容する部分となるプロテクタ本体と、このプロテクタ本体に被せられるプロテクタカバーとを備えて構成されている。ワイヤハーネスを収容した後のプロテクタは、ワイヤハーネスの配索に伴って例えば車両のパネル部材、或いはリーンホース等に固定されるようになっている。
【0004】
ワイヤハーネスは、プロテクタにより保護されることから、車両走行時に例えば振動が伝わったとしても、パネル部材或いはリーンホース等の製造時に生じるバリ(溶接により生じるバリや切削により生じるバリ)や、エッジ部分、補強リブ等に干渉することはなく、結果、ワイヤハーネス自体の損傷が防止されるようになっている。
【0005】
尚、プロテクタの替わりに、コルゲートチューブやビニルシート、ツイストチューブを巻き付けて保護することも一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−125306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来技術にあっては、次のような問題点を有している。すなわち、プロテクタ自体が保護の必要性のない箇所にまで伸びるような長いものに形成されることがあり、このためにコスト上昇を招いてしまうという問題点を有している(コルゲートチューブ、ビニルシート、ツイストチューブを用いた場合も同様の問題点を有している)。
【0008】
プロテクタのような外装部材(保護部材)は、上記バリやエッジ部分の存在がなければ用いる必要性はないが、バリやエッジ部分は現状発生してしまうものであり、この発生を抑えることは困難である。対策としてバリやエッジ部分の除去を考えることができるが、この場合多くの作業工数を必要とし、有効な対策ではないと言える。
【0009】
この他、プロテクタのような外装部材は、ワイヤハーネスの配索にあたり、十分な設置スペースを確保しなければならないという問題点を有している。また、外装部材は、ワイヤハーネスに対する組み付けに工数が掛かってしまうという問題点を有している。さらに、外装部材は、ワイヤハーネスに組み付くことにより、部品点数増、重量増、ワイヤハーネスの大型化、という問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、バリやエッジ部分等からワイヤハーネスを保護することにあたり、低コストで保護することが可能なワイヤハーネス配索構造及び方法を提供することを課題とする。また、ワイヤハーネス配索構造及び方法に用いるのに好適な外装代替部・部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に外装代替部・部材を設ける一方、該外装代替部・部材に対向する前記ワイヤハーネスの一部分を外装レス部分且つ非保持部分として形成することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記外装代替部・部材として、曲げ可能な柔軟性、及び/又は、潰れ可能な柔軟性を有するものを用いることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項2に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記外装代替部・部材を複数の層からなる構造に形成することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項3に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記複数の層からなる前記外装代替部・部材の最外層を前記ワイヤハーネスに接触且つ保護をする保護層とするとともに、該保護層の反対側の層を前記局所又はこの近傍に着く接着層とし、前記保護層及び前記接着層の間に前記ワイヤハーネスから受ける衝撃を吸収する衝撃吸収層を設けることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記外装代替部・部材として、液状の状態から固化する材質のもの、液状化してから固化する材質のもの、若しくは軟化してから固化する材質のものを用いることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記局所を前記凸状局所又は前記凹状局所とすると、前記局所を覆う又は囲むような状態で前記外装代替部・部材を設けることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の本発明のワイヤハーネス配索構造は、請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、前記局所を前記縁部エッジ状局所とすると、前記局所を覆う又は嵌め込むような状態で前記外装代替部・部材を設けることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項8記載の本発明のワイヤハーネス配索方法は、配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に外装代替部・部材を設ける工程と、該外装代替部・部材に対向する前記ワイヤハーネスの一部分を外装レス部分且つ非保持部分として形成する工程と、前記外装代替部・部材に対して前記一部分を対向させるように前記ワイヤハーネスを配索する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項9記載の本発明の外装代替部・部材は、配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に対して覆う、囲む、又は嵌め込むような状態で設けることを特徴とする。
【0020】
以上のような特徴を有する本発明によれば、ワイヤハーネス側に外装部材を設けずにワイヤハーネスを保護する。具体的には、ワイヤハーネスを配索する側となる配索対象部材の局所のみに外装代替部・部材を設ける一方、ワイヤハーネスは外装代替部・部材に対応する部分を外装レス部分且つ非保持部分として形成するだけでよく、これにより低コストでのワイヤハーネス保護や、省スペースでのワイヤハーネス保護が可能となる。外装代替部・部材は、配索対象部材の局所のみに設ければよいことから、構造的に小さなものとすることが可能になる。
【0021】
本発明によれば、ワイヤハーネス配索前の工程として、外装代替部・部材を配索対象部材の局所に設けるだけでよく、ワイヤハーネスの外装レス部分且つ非保持部分は、言い換えればワイヤハーネスに対して何もしなくてよい部分である。従って、工数が掛からず低コストでのワイヤハーネス保護が可能になる。
【0022】
本発明によれば、外装代替部・部材は従来のワイヤハーネスに設けていた外装部材(保護部材)に相当する機能を有する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載された本発明によれば、ワイヤハーネスを保護することにあたり、低コストで保護することが可能なワイヤハーネス配索構造を提供することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項2に記載された本発明によれば、局所に対し柔軟性を持って対応することができるという効果を奏する。また、潰れによって局所の形状に対応することや、ワイヤハーネスからの衝撃等に対応することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項3に記載された本発明によれば、外装代替部・部材を複数の層からなる構造にすることにより、請求項2の効果を発揮し易くすることができるという効果を奏する。
【0026】
請求項4に記載された本発明によれば、複数の層からなる構造の好適な一例を提供することができるという効果を奏する。
【0027】
請求項5に記載された本発明によれば、固化した外装代替部・部材により局所を別な部分とする場合の好適な一例を提供することができるという効果を奏する。
【0028】
請求項6に記載された本発明によれば、外装代替部・部材を凸状局所又は凹状局所に設けるにあたり、局所を覆う又は囲むような状態にするだけでよく、作業性向上や外装代替部・部材の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0029】
請求項7に記載された本発明によれば、外装代替部・部材を縁部エッジ状局所に設けるにあたり、局所を覆う又は嵌め込むような状態にするだけでよく、作業性向上を図ることができるという効果を奏する。
【0030】
請求項8に記載された本発明によれば、ワイヤハーネスを保護することにあたり、低コストで保護することが可能なワイヤハーネス配索方法を提供することができるという効果を奏する。
【0031】
請求項9に記載された本発明によれば、ワイヤハーネス配索構造及び方法に用いるのに好適な外装代替部・部材を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る図(実施例1)であり、(a)はワイヤハーネス配索状態を示す図、(b)は(a)の外装代替部材及び局所の斜視図である。
【図2】本発明に係る図(実施例2)であり、ワイヤハーネス配索状態を示す断面図である。
【図3】図2の外装代替部を局所に設ける際の説明図である。
【図4】本発明に係る図(実施例3)であり、(a)はワイヤハーネス配索状態を示す断面図、(b)は(a)の外装代替部材の斜視図である。
【図5】本発明に係る図(実施例4)であり、(a)は局所に外装代替部・部材を設ける直前の状態を示す図、(b)は局所に外装代替部を設けた状態を示す図である。
【図6】本発明に係る図(実施例5)であり、(a)は局所に外装代替部を設ける直前の状態を示す図、(b)は局所に外装代替部を設けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
配索対象部材のワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所に設けられ、且つ、該局所と前記ワイヤハーネスとの接触を避けることを可能とする外装代替部・部材を、ワイヤハーネスの配索に用いる。
【実施例1】
【0034】
以下、図面を参照しながら第1実施例を説明する。図1は本発明に係る図(実施例1)であり、(a)はワイヤハーネス配索状態を示す図、(b)は(a)の外装代替部材及び局所の斜視図である。
【0035】
図1において、引用符号1はワイヤハーネス、引用符号2はワイヤハーネス1の配索対象となる配索対象部材、引用符号3は配索対象部材2側に設けられる外装代替部材(特許請求の範囲に記載した外装代替部・部材に相当)を示している。
【0036】
ワイヤハーネス1は、複数の電線4を束ねてなるものであって、電線4のバラケが生じないようにテープ巻き5が施されている。図示のワイヤハーネス1は、幹線部分であって、断面略円形状に複数の電線4が束ねられている。幹線部分からは、所定の位置で分岐線(図示省略)が分岐されている。ワイヤハーネス1の端末部分には、接続用のコネクタ(図示省略)が設けられている。ワイヤハーネス1は、配索対象部材2に対しこの固定位置に合わせて、例えばクリップ等(図示省略。図2における配索用の係止部材21が参考になる)で固定されている。ワイヤハーネス1は、配索対象部材2の表面6から所定の距離をあけて配索されている。
【0037】
配索対象部材2は、上記の如く、ワイヤハーネス1の配索対象となる部材であって、本実施例のワイヤハーネス1を車両に配索されるものとすると、例えばインストルメントパネル裏のリーンホースが配索対象部材2の一例として挙げられるものとする(この限りでないものとする。例えばパネル部材やボディ等であってもよいものとする)。
【0038】
リーンホース(配索対象部材2)におけるワイヤハーネス1を配索する経路上には、被溶接部材7との溶接部分8が存在しており、例えば略長円形状(環状)の盛り上がりとなる溶接バリ9(特許請求の範囲に記載した凸状局所に相当)が溶接の際に生じてしまっている。溶接バリ9は、リーンホース(配索対象部材2)の全長で見ると局所的な部分であって、この溶接バリ9にワイヤハーネス1が接触してしまうと、電線4の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。溶接バリ9は、上記の略長円形状の盛り上がり以外に、例えばスポット溶接の場合は略円形(環状)に盛り上がることもあり、様々な形状の盛り上がりで生じるものとする。
【0039】
外装代替部材3は、溶接バリ9とワイヤハーネス1との接触を避けることができるように、溶接部分8に設けられている。具体的には、溶接バリ9を覆うようにして外装代替部材3が設けられている。外装代替部材3は、従来のワイヤハーネスに設けられていた外装部材(プロテクタ、保護部材)に相当する機能を有しており、外装代替部材3を設けることによってワイヤハーネス1は、溶接バリ9が存在する位置において、外装レスのハーネス形状になっている。外装代替部材3は、ワイヤハーネス1を配索する前に設けられている(後付けも可能であるものとする)。尚、ワイヤハーネス1を配索する経路上に該当しない位置の溶接バリに対しては、外装代替部材3を設ける必要性がないのは言うまでもない。外装代替部材3は、溶接バリ9の形状に合わせて形成されており、図示の形状は一例であるものとする。
【0040】
外装代替部材3は、曲げ可能な柔軟性、及び、潰れ可能な柔軟性を有するとともに、複数の層からなる構造にて形成されている。本実施例においては、保護層10、接着層11、及び衝撃吸収層12の三層構造で形成されている。
【0041】
保護層10は、外装代替部材3の最外層となる層であって、ワイヤハーネス1に接触するとともに、ワイヤハーネス1を保護することができるように形成されている。保護層10は、例えばビニルシート(PVCなど)から形成されており、この表面には曲げ性(フレキシブル性)を高めるために、例えば網目状となる複数の溝13が形成されている(溝13の形成は任意であるものとする)。保護層10は、溶接バリ9の突き抜けを避けることができる厚みに形成されている。
【0042】
接着層11は、接着剤(ブチルゴム、両面テープなど)の層であって、外装代替部材3をリーンホース(配索対象部材2)に固定するために、また、保護層10及び衝撃吸収層12を溶接バリ9上に固定するために設けられている。接着層11は、外装代替部材3が脱落してしまわないような固着力を有している。
【0043】
衝撃吸収層12は、保護層10及び接着層11の間に位置する層であって、ワイヤハーネス1から受ける衝撃を吸収することができるように、また、衝撃音を吸収することができるように、また、溶接バリ9の凸を吸収することができるように、また、ワイヤハーネス1の押し付けに対応することができるように、形成されている。衝撃吸収層12は、例えばスポンジ(ゴムスポンジ、ポリエチレンなど)から形成されている。
【0044】
上記構成及び構造において、本実施例は、ワイヤハーネス1の配索経路上に溶接バリ9が存在していた場合に、ワイヤハーネス1にプロテクタを組み付けるのではなく、溶接バリ9を覆うように外装代替部材3を設けてワイヤハーネス1を保護する配索構造及び配索方法になっている。
【0045】
従って、ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、従来よりも格段に低コストで保護することができるという効果を奏する。また、省スペースでワイヤハーネス1を保護することができるという効果を奏する。
【0046】
尚、溶接バリ9に替えて凹みが生じた場合や溝が存在する場合を考えると、凹み等は電線4の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。しかしながら、外装代替部材3を設けることによりワイヤハーネス1を保護することができるのは言うまでもない(凹み等は特許請求の範囲に記載した凹状局所に相当するものとする)。
【実施例2】
【0047】
以下、図面を参照しながら第2実施例を説明する。図2は本発明に係る図であり、ワイヤハーネス配索状態を示す断面図である。また、図3は図2の外装代替部を局所に設ける際の説明図である。尚、上記第1実施例と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
図2において、ワイヤハーネス1は、配索対象部材2に配索されている。ワイヤハーネス1は、配索対象部材2におけるワイヤハーネス配索経路に沿って配索されている。引用符号21は配索用の係止部材を示している。係止部材21は、ワイヤハーネス1を所定位置に係止するために設けられている。配索対象部材2における係止部材21が係止される部分の間には、凸部22(特許請求の範囲に記載した凸状局所に相当)が突出形成されている。この凸部22は、例えば補強リブ等であって、配索対象部材2の全長で見ると局所的な部分となっている。このような凸部22にワイヤハーネス1が接触してしまうと、凸部22は電線4の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。そこで、ワイヤハーネス1を保護するためとして、凸部22には外装代替部(特許請求の範囲に記載した外装代替部・部材に相当)23が設けられている。
【0049】
外装代替部23としては、液状の状態から固化するホットメルト剤を用いるようになっている(一例であるものとする。例えばエポキシ接着剤等であってもよいものとする)。外装代替部23は、凸部22を覆うような量で設けられている。外装代替部23は、凸部22とワイヤハーネス1との接触を避けることができるように設けられている。外装代替部23を凸部22に設けることに関しては、ワイヤハーネス1を配索する前に、図3に示す如く、ホットメルト剤塗布工具24を用いて設けることが容易であるものとする。
【0050】
上記構成及び構造において、本実施例は、ワイヤハーネス1の配索経路上に凸部22が存在していた場合に、ワイヤハーネス1にプロテクタを組み付けるのではなく、凸部22を覆うように外装代替部材23を設けてワイヤハーネス1を保護する配索構造及び配索方法になっている。
【0051】
従って、ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、従来よりも格段に低コストで保護することができるという効果を奏する。また、省スペースでワイヤハーネス1を保護することができるという効果を奏する。
【0052】
尚、実施例1の溶接バリ9に対して外装代替部23を設けることも有効であるものとする。
【実施例3】
【0053】
以下、図面を参照しながら第3実施例を説明する。図4は本発明に係る図であり、(a)はワイヤハーネス配索状態を示す断面図、(b)は(a)の外装代替部材の斜視図である。尚、上記第1実施例と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図4において、ワイヤハーネス1は、配索対象部材31におけるワイヤハーネス配索経路に沿って配索されている。また、ワイヤハーネス1は、配索対象部材31における縁部エッジ状局所32に対向するように配索されている。縁部エッジ状局所32は、曲線的に縁取られた端部であって(直線的な端部であってもよいものとする)、配索対象部材31の全長で見ると局所的な部分となっている。このような縁部エッジ状局所32のエッジにワイヤハーネス1が接触してしまうと、電線4(図1参照)の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。そこで、ワイヤハーネス1を保護するためとして、縁部エッジ状局所32には外装代替部材(特許請求の範囲に記載した外装代替部・部材に相当)33が設けられている。
【0055】
外装代替部材33は、端面形状がコ字状となる嵌め込み式の部材であって、柔軟性を有している。外装代替部材33には、所定のピッチでスリット34が複数形成されている。引用符号34aは図中上から下へ切り込みを入れて形成されるスリットを示している。一方、引用符号34bは図中下から上へ切り込みを入れて形成されるスリットを示している。スリット34a及びスリット34bは、交互に位置するように配置されている。外装代替部材33は、矢印P方向へ引き伸ばすことが可能であり、スリット34a、スリット34bの開きによって曲げも可能に形成されている。
【0056】
上記構成及び構造において、本実施例は、ワイヤハーネス1の配索経路上に縁部エッジ状局所32が存在していた場合に、ワイヤハーネス1にプロテクタを組み付けるのではなく、縁部エッジ状局所32に対し嵌め込むように外装代替部材33を設けてワイヤハーネス1を保護する配索構造及び配索方法になっている。
【0057】
従って、ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、従来よりも格段に低コストで保護することができるという効果を奏する。また、省スペースでワイヤハーネス1を保護することができるという効果を奏する。
【実施例4】
【0058】
以下、図面を参照しながら第4実施例を説明する。図5は本発明に係る図であり、(a)は局所に外装代替部・部材を設ける直前の状態を示す図、(b)は局所に外装代替部を設けた状態を示す図である。尚、上記第1実施例と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図5において、配索対象部材2には、凸状局所41が二つ設けられている(凸状局所41の数は一例であるものとする)。凸状局所41は、ワイヤハーネス1における電線4(図1参照)の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。そこで、ワイヤハーネス1を保護するためとして、凸状局所41には、これを覆うように外装代替部(特許請求の範囲に記載した外装代替部・部材に相当)42が設けられている。外装代替部42は、板状(チップ状)の熱可塑性プラスチック43を熱照射装置(加熱装置)44からの熱で溶融させ、この後に冷却固化することにより設けられている。
【0060】
上記構成及び構造において、本実施例は、ワイヤハーネス1(図1参照)の配索経路上に凸状局所41が存在していた場合に、ワイヤハーネス1にプロテクタを組み付けるのではなく、凸状局所41を覆うように外装代替部42を設けてワイヤハーネス1を保護する配索構造及び配索方法になっている。
【0061】
従って、ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、従来よりも格段に低コストで保護することができるという効果を奏する。また、省スペースでワイヤハーネス1を保護することができるという効果を奏する。
【実施例5】
【0062】
以下、図面を参照しながら第5実施例を説明する。図6は本発明に係る図(実施例5)であり、(a)は局所に外装代替部を設ける直前の状態を示す図、(b)は局所に外装代替部を設けた状態を示す図である。尚、上記第3実施例と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図6において、配索対象部材31には、縁部エッジ状局所32が設けられている。縁部エッジ状局所32は、ワイヤハーネス1における電線4(図1参照)の被覆に傷を付けてしまう可能性を有している。そこで、ワイヤハーネス1を保護するためとして、縁部エッジ状局所32には、これを覆うように外装代替部(特許請求の範囲に記載した外装代替部・部材に相当)51が設けられている。外装代替部51は、例えばU字状の熱可塑性プラスチック52を熱照射装置44(図5参照)からの熱で溶融させ、この後に冷却固化することにより設けられている。
【0064】
上記構成及び構造において、本実施例は、ワイヤハーネス1(図1参照)の配索経路上に縁部エッジ状局所32が存在していた場合に、ワイヤハーネス1にプロテクタを組み付けるのではなく、縁部エッジ状局所32を覆うように外装代替部51を設けてワイヤハーネス1を保護する配索構造及び配索方法になっている。
【0065】
従って、ワイヤハーネス1を保護するにあたり、プロテクタが不要になることから、従来よりも格段に低コストで保護することができるという効果を奏する。また、省スペースでワイヤハーネス1を保護することができるという効果を奏する。
【0066】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の活用例として、例えば複写機等の電子機器にも採用することができるものとする。本発明は、ワイヤハーネス(電線束)を配索する必要のある分野に採用可能であるものとする。
【符号の説明】
【0068】
1…ワイヤハーネス
2…配索対象部材
3…外装代替部材(外装代替部・部材)
4…電線
5…テープ巻き
6…表面
7…被溶接部材
8…溶接部分
9…溶接バリ(凸状局所)
10…保護層
11…接着層
12…衝撃吸収層
13…溝
21…係止部材
22…凸部(凸状局所)
23…外装代替部(外装代替部・部材)
24…ホットメルト剤塗布工具
31…配索対象部材
32…縁部エッジ状局所
33…外装代替部材(外装代替部・部材)
34…スリット
41…凸状局所
42…外装代替部(外装代替部・部材)
43…熱可塑性プラスチック
44…熱照射装置
51…外装代替部(外装代替部・部材)
52…熱可塑性プラスチック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に外装代替部・部材を設ける一方、該外装代替部・部材に対向する前記ワイヤハーネスの一部分を外装レス部分且つ非保持部分として形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記外装代替部・部材として、曲げ可能な柔軟性、及び/又は、潰れ可能な柔軟性を有するものを用いる
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記外装代替部・部材を複数の層からなる構造に形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記複数の層からなる前記外装代替部・部材の最外層を前記ワイヤハーネスに接触且つ保護をする保護層とするとともに、該保護層の反対側の層を前記局所又はこの近傍に着く接着層とし、前記保護層及び前記接着層の間に前記ワイヤハーネスから受ける衝撃を吸収する衝撃吸収層を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項5】
請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記外装代替部・部材として、液状の状態から固化する材質のもの、液状化してから固化する材質のもの、若しくは軟化してから固化する材質のものを用いる
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項6】
請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記局所を前記凸状局所又は前記凹状局所とすると、前記局所を覆う又は囲むような状態で前記外装代替部・部材を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項7】
請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造において、
前記局所を前記縁部エッジ状局所とすると、前記局所を覆う又は嵌め込むような状態で前記外装代替部・部材を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項8】
配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に外装代替部・部材を設ける工程と、
該外装代替部・部材に対向する前記ワイヤハーネスの一部分を外装レス部分且つ非保持部分として形成する工程と、
前記外装代替部・部材に対して前記一部分を対向させるように前記ワイヤハーネスを配索する工程と、
を含む
ことを特徴とするワイヤハーネス配索方法。
【請求項9】
配索対象部材におけるワイヤハーネス配索経路に合わせた位置に存在する局所を、前記配索対象部材に生じた凸状局所、凹状局所、若しくは縁部エッジ状局所とし、このような前記局所に対して覆う、囲む、又は嵌め込むような状態で設ける
ことを特徴とする外装代替部・部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−55566(P2011−55566A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199180(P2009−199180)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】