説明

ワイヤレスエレクトロルミネッセント装置

エレクトロルミネッセント装置(100)は、上部電極層(102)および底部電極層(104)と、エレクトロルミネッセント層(106)と、相互接続部(108)を有し、相互接続部は、上部電極層と底部電極を接続する。2つの電極層(102、104)は、巻線として構造化され、エレクトロルミネッセント層(106)は、2つの電極層の間に配置され、相互接続部(108)は、上部電極層の第1の端部と底部電極層の第2の端部の間に、電気的接続を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセント装置の分野に関し、特に、有機発光ダイオード(OLED)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセント装置は、電流が流れた際に発光が可能な、エレクトロルミネッセント材料を有する。エレクトロルミネッセント装置に使用される材料は、発光高分子または微小有機分子である。有機装置は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)であり、これは、従来から知られている。エレクトロルミネッセント装置を活性化させるため、電極を用いて、エレクトロルミネッセント材料に電流が印加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
OLEDのようなエレクトロルミネッセント装置は、電極間に配置されたエレクトロルミネッセント材料を有する。適当な電圧を印加すると、エレクトロルミネッセント材料を介して、アノードからカソードに電流が流れる。エレクトロルミネッセント材料の内部でのホールと電子の放射再結合により、光が生成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、ワイヤレス電源を有するエレクトロルミネッセント装置が提供される。すなわち、エレクトロルミネッセント装置は、第1および第2の電極層と、エレクトロルミネッセント層と、相互接続部とを有する。相互接続部は、第1および第2の電極層を接続する。
【0005】
本発明の実施例では、2つの電極層は、巻線として構成される。これは、電極層を、誘導電力受信器として使用することができる点で有意である。エレクトロルミネッセント層は、2つの電極層の間に配置される。相互接続部は、第1の電極層と第2の電極層の間に電気的接続を形成する。エレクトロルミネッセント層は、100nm〜1μmの厚さを有し、2つの電極層の間の距離は、10μm〜200μmであることが好ましい。エレクトロルミネッセント層は、電極領域および巻線の間の領域を完全に覆う非構造化層であっても良く、あるいは構造化層であっても良い。
【0006】
本発明の実施例では、相互接続部は、第1の電極層の第1の端部と、第2の電極層の第2の端部の間に、電気的接続を形成する。
【0007】
本発明の実施例では、電磁場によって、両電極層に交流電圧が誘導される。誘導電圧は、2つの電極層の間に配置されたエレクトロルミネッセント層に印加される。従って、第1および第2の電極層は、エレクトロルミネッセント層に電圧を印加するように適合される。エレクトロルミネッセント装置は、ダイオードとして機能し、逆方向の電流を遮断するため、1/2波の一方の間のみ、電流が流れる。従って、交流周波数は、点滅を回避するため、十分に高くする必要があり、例えば100Hzよりも大きくする必要がある。交流周波数は、kHz、MHz、またはGHzの領域であることが好ましい。周波数は、巻線の共振周波数と等しいことが好ましいことに留意する必要がある。
【0008】
本発明の実施例では、第1の電極層の第1の端部および第2の電極層の第1の端部は、相互に反対に配置される。相互接続部は、第1の電極層の第1の端部と第2の電極層の第2の端部とを接続するため、相互接続部は、両電極層の、相互に反対側に配置されていない方の2つの端部を接続する。この方法は、エレクトロルミネッセント層内に、均一な電磁波を得ることができる点で有意である。
【0009】
本発明の実施例では、第1の電極層の第2の端部および第2の電極層の第2の端部は、相互に反対側に配置される。これは、エレクトロルミネッセント層内に、均一な電磁場が誘導される点で有意である。
【0010】
本発明の実施例では、各電極は、巻線起点および周囲巻線を有する。巻線起点は、電極の中央に配置されることが好ましい。周囲巻線は、電極の周囲領域を定めるように配置される。各電極の第1の端部は、巻線起点であり、各電極の第2の端部は、周囲巻線の端部である。従って、第1の電極の巻線起点は、相互接続部によって、第2の電極の周囲巻線の端部に接続される。
【0011】
本発明の実施例では、各電極は、巻線起点および周囲巻線を有する。第1の電極の第1の端部は、巻線起点であり、第2の電極の第2の端部も、巻線起点である。従って、相互接続部は、第1の電極の巻線起点と、第2の電極の巻線起点を接続する。この場合、2つの電極の巻線は、反対に配向される。一つの電極は、時計回りの巻線として構成され、他方の電極は、反時計回りの巻線として構造化される。逆平行巻線により、エレクトロルミネッセント層に、電磁場が誘導される。
【0012】
本発明の実施例では、第1および第2の電極は、エレクトロルミネッセント層内に、一定の電磁場が誘導されるように適合される。
【0013】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント層は、有機発光ダイオード(OLED)である。
【0014】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント層は、構造化される。これは、短絡が回避される点で有意である。特に、これは、極めて良好な導電性を有するエレクトロルミネッセント層および/または厚いエレクトロルミネッセント層と、狭小に配置された電極の巻線との組み合わせの場合、有意である。
【0015】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント層は、巻線として構造化される。
【0016】
本発明の実施例では、相互接続部は、巻線の共振周波数を変化させる部材を有する。巻線の共振周波数は、ワイヤレス電源の効率が最も高くなるときの周波数である。共振周波数を適合させることにより、例えば、干渉が最小化される。従って、共振周波数を変化させる部材を適用することにより、効率の度合いが最適化される。部材は、例えば、キャパシタであっても良い。
【0017】
キャパシタは、第1および第2の電極の相互接続部と直列に接続され得る。例えば、上部から底部電極への垂直接触として、微小サイズのキャパシタ(例えばSMD0201)を使用することができる。このキャパシタは、直列共振キャパシタとして機能し、電力受信を改善することができる。
【0018】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント装置は、基板上に配置される。例えば、基板は、ガラス、プラスチックまたは箔である。
【0019】
本発明の実施例では、電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)のような透明材料で構成される。
【0020】
本発明の実施例では、OLEDのハウジングは、非導電性である必要がある。そうでなければ、交流電磁場によって、ハウジング内に渦電流が誘導され、電力送信が大きく妨害される。エレクトロルミネッセント層の少なくとも一方の側は、透明である。いくつかの用途では、装置全体が透明であることは、必ずしも必要ではない。この場合、一方の側は、不透明であっても良い。また、この側の電極は、不透明であっても良い。この側は、相互接続部を有することが好ましい。
【0021】
エレクトロルミネッセント装置は、高い容量を有する。コイルの適切な数の巻き数およびインダクタンスを選択することにより、作動周波数でこの容量に共鳴するよう、設計することができる。これにより、電力送信を最適化することができる。
【0022】
不均一な電流分布を補正するため、個々の巻線の幅は、変更されても良い。
【0023】
本発明の別の態様は、複数のエレクトロルミネッセント装置の実施例を有する照明機器に関する。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、エレクトロルミネッセント装置およびインダクタを有するシステムに関する。インダクタは、エレクトロルミネッセント装置の領域に、電磁場を構築するように適合される。エレクトロルミネッセント装置に交流電圧を誘導するため、インダクタは、電磁場の方向を規則的に変更する。電磁場は、エレクトロルミネッセント装置内に交流電圧を誘導する。これにより、インダクタは、エレクトロルミネッセント装置にワイヤレス電源を提供する。
【0025】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント装置に電力を供給する電磁場の周波数は、無線周波数の範囲、すなわち3MHz〜3GHzである。
【0026】
本発明の実施例では、エレクトロルミネッセント装置に電力を供給する電磁場の周波数は、50kHz〜500kHzの範囲である。
【0027】
システムは、例えば、窓または他の表面の照射に使用され得る。窓の場合、エレクトロルミネッセント装置は、透過性であることが好ましい。従って、電極は、透明材料、例えばITOで構成される必要がある。エレクトロルミネッセント装置に電力が供給されると、エレクトロルミネッセント層は、光を放射する。例えば、窓のフレーム、またはユーザの目には見えない他の場所に取り付けられたインダクタにより、ワイヤレス電源が実現される。ワイヤレス電源の効率は、インダクタとエレクトロルミネッセント装置の間の距離、インダクタの寸法、およびインダクタによって構築される電磁場に依存する。
【0028】
本発明の別の態様は、エレクトロルミネッセント装置を製造する方法に関する。エレクトロルミネッセント装置は、第1および第2の電極層と、エレクトロルミネッセント層と、相互接続部とを有する。相互接続部は、第1および第2の電極層を接続する。2つの電極層は、巻線として構造化される。エレクトロルミネッセント層は、2つの電極層の間に配置され、相互接続部は、第1の電極層の第1の端部と第2の電極層の第2の端部の間に、電気的接続を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】2つの電極および相互接続部を有するエレクトロルミネッセント装置の概略を示した図である。
【図2a】エレクトロルミネッセント装置の上部電極の概略を示した図である。
【図2b】エレクトロルミネッセント装置のエレクトロルミネッセント層の概略を示した図である。
【図2c】エレクトロルミネッセント装置の底部電極の概略を示した図である。
【図3】平行巻線を有するエレクトロルミネッセント装置の等価回路の概略を示した図である。
【図4】平行巻線を有するエレクトロルミネッセント装置の電極の電圧のグラフを示した図である。
【図5】逆平行巻線の電極層を有するエレクトロルミネッセント装置の概略を示した図である。
【図6a】エレクトロルミネッセント装置の上部電極の概略を示した図である。
【図6b】エレクトロルミネッセント装置のエレクトロルミネッセント層の概略を示した図である。
【図6c】エレクトロルミネッセント装置の底部電極の概略を示した図である。
【図7】逆平行巻線を有するエレクトロルミネッセント装置の等価回路の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、一例を示すための図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0031】
図1には、エレクトロルミネッセント装置100の実施例の概略図を示す。エレクトロルミネッセント装置100は、上部電極102、底部電極104、エレクトロルミネッセント層106、相互接続部108、および絶縁層110を有する。
【0032】
エレクトロルミネッセント層106、上部電極102、および底部電極104は、時計回りの巻線として構造化されている。別の方法として、反時計回りの巻線を使用することも可能である。エレクトロルミネッセント層106は、上部電極102と底部電極104の間に配置される。相互接続部108は、上部電極102と底部電極104を接続する。上部電極102の巻線の起点は、相互接続部108によって、底部電極104の周囲巻線の端部と接続される。絶縁層110は、短絡を回避するため、上部電極102の他の部分を、相互接続部108から絶縁する。
【0033】
動作の際には、上部電極102および底部電極104の巻線に、交流電圧が誘導される。底部電極104の周囲巻線の端部は、上部電極102の巻線の起点に接続されているため、2つの位置の間で、短絡が構築される。従って、これらの位置での印加電圧は、0Vである。電磁場の方向に応じて、巻線の電圧は、巻線の起点から周囲巻線の端部まで、増大または低下する。
【0034】
例えば、巻線の起点から周囲巻線の端部まで電圧が減少した場合、上部電極102における誘導電圧は、巻線の起点の0Vから、周囲巻線の端部における負の最大電圧まで低下する。最大値は、電磁場のパワーに依存する。底部電極104の電圧は、周囲巻線の端部の0から、巻線の起点の最大値まで増加する。従って、上部電極102と底部電極104の間には、一定の電圧が存在し、電磁場によって、最大電圧が誘導される。
【0035】
2つの電極間には、均一な電圧が印加されるため、エレクトロルミネッセント層は、均一に発光する。短絡は、エレクトロルミネッセント層の巻線構造により、回避される。短絡を回避するため、エレクトロルミネッセント層106は、一方の電極から他方の電極までの方向においては、良好な導体である上、周囲方向においては低導電体である必要がある。これは、図1に示す構造化されたエレクトロルミネッセント層106によって得られる。あるいは、エレクトロルミネッセント層の厚さが、電極の隣接する巻線の間の距離に比べて十分に薄い場合、短絡のリスクを冒さずに、構造化されていない連続エレクトロルミネッセント層を適用することも可能である。エレクトロルミネッセント層の典型的な厚さは、100nmである。隣接する巻線の間の距離は、少なくとも1mmに調節することができる。均一な導電性を有するエレクトロルミネッセント層の場合、両電極の間に電流が流れ、一方の電極の隣接する巻線の間に短絡が存在しないと仮定すると、一方の電極から他方の電極への電気経路は、一方の電極の巻線から隣接する巻線までの電気経路に比べて、約10000倍短い。
【0036】
図2aには、上部電極102、絶縁層110、および相互接続部108の概略的な上面図を示す。動作の際には、電磁場により電圧が誘導される。例えば、電圧は、巻線の起点における0Vから、周囲巻線の端部での−0.5Vまで低下する。
【0037】
図2bには、エレクトロルミネッセント層106の概略図を示す。エレクトロルミネッセント層は、巻線として構造化され、短絡が回避される。動作の際には、エレクトロルミネッセント層に電圧が印加される。エレクトロルミネッセント層106に電圧が印加されると、エレクトロルミネッセント層106は、発光する。電圧は、2つの電極102、104により、エレクトロルミネッセント層106に印加される。電磁場により、2つの電極102、104に交流電圧が誘導される。エレクトロルミネッセント装置は、ダイオードとして機能し、逆方向の電流を遮断するため、1/2波の一方の間においてのみ、電流が流れる。
【0038】
図2cには、底部電極104の概略図を示す。底部電極104は、上部電極102およびエレクトロルミネッセント層106の巻線と平行な、時計回りの巻線として構造化される。上部電極102と底部電極104の間の電圧として、両電極の巻線に誘導電圧が印加される。
【0039】
図2a乃至2cにおいて、上部電極および底部電極は、透明導電性材料、例えばITO(インジウムスズ酸化物)で構成される。電極間の層は、OLEDである。また、これは、巻線として構造化される。そうでなければ、OLEDにより、巻線の間に短絡が生じ得るからである。また、図には、上部電極の中央から、底部電極の外側まで、相互接続部が示されている。これもまた、透明導体、例えばITOで構成される。
【0040】
図3には、エレクトロルミネッセント装置100の回路の概略図を示す。2つの電極は、インダクタンスLを有するコイルとして表される。2つの電極間に配置されるエレクトロルミネッセント層は、複数のキャパシタCELとして表される。4つの点A、B、C、Dは、2つの電極の4つの端部を表す。AおよびBは、巻線の起点に配置される。CおよびDは、周囲巻線の端部に配置される。Cは、Bに接続され、これは、これらの2点が同じ電位を有することを意味する。誘導電圧は、BとDの間、ならびにCとAの間に印加される。分布キャパシタCELは、OLEDを表し、これもまた、大きな容量性寄与をもたらす。
【0041】
図4には、エレクトロルミネッセント装置の2電極の電圧のグラフを示す。x軸は、電極の全長の関数としての電極上の位置を表している。これは、0が巻線の起点であり、1が周囲巻線の端部であることを意味する。y軸は、電極電位を表している。破線は、上部電極102の電圧であり、実線は、底部電極104の電圧を表す。両線は、電圧勾配を示しているが、これらは、原理的に示されている。
【0042】
巻線の内側および外側端部を接続することにより、各点での電極間の電圧は、巻線の全長にわたって誘導される電圧と等しくなる。この場合、インダクタは、各電極に、0.5Vの電圧を誘起する。これは、エレクトロルミネッセント装置の各点での両電極間の電圧差0.5Vにつながる。
【0043】
巻線の内側および外側端部を接続することにより、各点での電極間の電圧は、巻線の全長にわたって誘導される電圧と等しくなる。
【0044】
誘導電圧は、交流電圧である。OLEDは、ダイオードとして機能し、反対方向の電流を遮断するため、1/2波の一方の間のみ、電流が流れる。ITOの直列抵抗は、シャントレジスタとして機能し、電流を制限する。
【0045】
図5には、逆平行巻線構造を有するエレクトロルミネッセント装置112の概略図を示す。上部電極114の巻線は、時計回りに誘導されるが、底部電極116の巻線は、反時計回りに誘導される。相互接続部115は、上部電極114の巻線の起点を、底部電極116の巻線の起点と接続する。構造化されたエレクトロルミネッセント層118は、2電極の間に配置される。上部電極114は、時計回りの巻線として構造化されるが、底部電極116は、反時計回りの巻線として構造化される。エレクトロルミネッセント層118は、短絡が回避されるように構造化される。従って、巻線は、規則的に中断される。
【0046】
動作の際、上部電極114および底部電極116に、交流電圧が誘導される。相互接続部115のため、2つの電極の巻線の起点は、短絡し、これは、中間の、巻線の起点が配置される位置では、エレクトロルミネッセント装置118に、電圧が印加されないことを意味する。そのような逆平行巻線を有するエレクトロルミネッセント装置の利点は、製造が容易になることである。相互接続部115用の、いかなる追加の層も必要ではない。短絡は、エレクトロルミネッセント装置118の構造により、回避される。
【0047】
エレクトロルミネッセント装置は、相互接続部115のため、中央に、暗点を有する場合があり、また2つの電極間の電圧が一定ではないため、エレクトロルミネッセント装置の輝度は、均一ではない場合がある。
【0048】
代替例では、相互接続部は、上部電極の周囲巻線の端部を、底部電極の周囲巻線の端部に接続する。これにより、暗点が周囲巻線の端部になる。
【0049】
別の代替例では、相互接続部は、巻線上に配置された点で、上部電極層および底部電極層を接続する。これは、相互接続部は、必ずしも上部および/または底部電極層の端部の一方に接続される必要がないことを意味する。相互接続部の点は、上部および底部電極の巻線の、いかなる位置に配置されても良い。これにより、その点が暗点となる。
【0050】
図6aには、時計回りの巻線を有する上部電極114の概略図を示す。動作の際には、例えば、電圧は、巻線の起点から、周囲巻線の端部まで低下する。
【0051】
図6bには、エレクトロルミネッセント層118の概略図を示す。この層は、複数の隙間を有する巻線に構造化されている。隙間は、エレクトロルミネッセント層118の右側に、規則的に配置される。隙間同士の間の距離は、巻線の起点からの距離により、増大する。エレクトロルミネッセント層118において、複数の異なる構造を用いることができる。隙間は、2電極間の短絡を回避する。エレクトロルミネッセント層は、一方の電極から他方の電極までの方向では、良好な導体であるが、周囲方向では低導電体である必要がある。
【0052】
図6cには、反時計回りに構造化された巻線を有する底部電極116の概略図を示す。上部電極114の巻線に対して逆平行の巻線を構造化することにより、2電極間において、巻線の起点における接続点を除く、巻線の各位置に、電圧が印加される。これは、エレクトロルミネッセント層118が、相互接続部115が配置された中央を除く、各点で発光することを意味する。2電極間の電圧は、一定ではない。例えば、電磁場によって、巻線内に負の電圧が誘導される場合、巻線内の電圧は、巻線の起点での0Vから、周囲巻線の端部での最大値まで低下する。これは、エレクトロルミネッセント装置118に対して、できる限り均一な電圧を印加するため、上部電極114および底部電極116の構造が、幅広く適用され得ることを意味する。
【0053】
図7には、図5によるエレクトロルミネッセント装置の等価回路の概略図を示す。点A、B、C、Dは、電極の巻線上の位置を表している。点AおよびBは、周囲巻線の端部にあり、CおよびDは、電極の巻線の起点にある。CとDは、相互接続部により接続される。電極層は、インダクタンスLを有するコイルとして表され、エレクトロルミネッセント装置は、複数の容量Celで表されている。
【0054】
動作の際には、電磁場によって、インダクタンスLを有するコイルに、交流電圧が誘導され、2つのコイル間に電圧が印加される。キャパシタによって表されるエレクトロルミネッセント装置は、その後発光する。
【0055】
図面および記載において、本発明について詳しく説明したが、そのような図示および記載は、一例であって、限定するものではない。本発明は、開示された実施例に限定されるものではない。
【0056】
当業者には、図面、開示内容、および添付の特許請求の範囲から、請求項に係る発明を実施する際に、示された実施例に対する他の変形例が理解される。請求項において、「有する」と言う用語は、他の素子またはステップを排斥するものではなく、「一つの」という用語は、複数のものを含む。単に、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されていることから、それらの組み合わせを使用することが有意ではないと解してはならない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものと解してはならない。
【符号の説明】
【0057】
100 エレクトロルミネッセント装置
102 上部電極層
104 底部電極層
106 エレクトロルミネッセント層
108 相互接続部
110 絶縁層
112 エレクトロルミネッセント装置
114 上部電極層
115 相互接続部
116 底部電極層
118 エレクトロルミネッセント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層および第2の電極層と、エレクトロルミネッセント層と、前記第1および第2の電極層を接続する相互接続部と、を有するエレクトロルミネッセント装置であって、
前記2つの電極層は巻線として構成され、
前記エレクトロルミネッセント層は、前記2つの電極層の間に配置され、
前記相互接続部は、前記第1の電極層と前記第2の電極層の間に、電気的接続を形成することを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項2】
前記相互接続部は、前記第1の電極層の第1の端部を前記第2の電極層の第2の端部と接続することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項3】
前記第1および第2の電極層は、前記エレクトロルミネッセント層に電磁場を誘導するように適合されることを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項4】
前記第1の電極層の前記第1の端部および前記第2の電極層の第1の端部は、相互に反対に配置されることを特徴とする請求項2または3に記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項5】
前記第1の電極層の前記第2の端部および前記第2の電極層の前記第2の端部は、相互に反対に配置されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項6】
各電極は、巻線起点および周囲巻線を有し、
各電極の前記第1の端部は、前記巻線起点であり、各電極の前記第2の端部は、前記周囲巻線の端部であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項7】
各電極は、巻線起点および周囲巻線を有し、
前記第1の電極の前記第1の端部は、前記巻線起点であり、前記第2の電極の前記第2の端部は、前記巻線起点であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項8】
前記エレクトロルミネッセント層は、有機発光ダイオードであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項9】
前記エレクトロルミネッセント層は、構造化されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項10】
前記エレクトロルミネッセント層は、巻線として構造化されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項11】
前記相互接続部は、前記巻線の共振周波数を変化させる部材を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項12】
当該エレクトロルミネッセント装置は、基板上に配置され、
前記基板は、ガラス、プラスチックまたは箔であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置を複数有する照明機器。
【請求項14】
インダクタと、請求項1乃至13のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセント装置を有するシステムであって、
前記インダクタは、前記エレクトロルミネッセント装置の領域に、電磁場を構築するように適合され、
前記電磁場は、前記エレクトロルミネッセント装置に電流を誘導することを特徴とするシステム。
【請求項15】
エレクトロルミネッセント装置を製造する方法であって、
前記エレクトロルミネッセント装置は、第1および第2の電極層と、エレクトロルミネッセント層と、相互接続部とを有し、前記相互接続部は、前記第1および第2の電極層を接続し、
前記2つの電極は、巻線として構成され、
前記エレクトロルミネッセント層は、前記2つの電極層の間に配置され、
前記相互接続部は、前記第1の電極層と前記第2の電極層の間に、電気的接続を形成することを特徴する方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−504156(P2013−504156A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527428(P2012−527428)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053877
【国際公開番号】WO2011/027280
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】