説明

ワイヤーハーネスの配索構造

【課題】車体の高さ方向のスペースを確保しつつ、管体の曲げ加工(製造)の簡素化及び管体の軽量化をも実現することができるワイヤーハーネスの配索構造を提供する。
【解決手段】本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造10は、複数本の電線101からなるワイヤーハーネス100を、複数の電線101が並列状態で車体1に配索するものである。このワイヤーハーネスの配索構造10は、複数本の電線101のうち少なくとも1本の高圧電線111が内部に挿通され、車体配索経路に沿って形状が規定された金属製パイプ110と、複数本の電線101のうち金属製パイプ110に挿通された高圧電線111以外の低圧電線121が挿通されたコルゲートチューブ120と、コルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で金属製パイプ110の形状に沿って連結する並列接続部材130とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の電線からなるワイヤーハーネスを、複数の電線が並列状態で車体に配索するワイヤーハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車体の外周部(例えば、車体床下)に配索されるワイヤーハーネスにおいて、飛石などの衝撃から複数本の電線を保護する必要があるため、該電線の外装が管体で覆われている。
【0003】
このような管体は、車体の外周部に配索されるため、車体高さ方向にできる限り小さく形成し、該高さ方向のスペースを確保することが望まれている。そこで、一又は二本の電線のそれぞれを金属製からなる複数の管体でそれぞれ覆い、この複数の管体を並列状態で車体の外周部に配索するワイヤーハーネスの配索構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/062885公報(第8〜第10頁、第2〜第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のワイヤーハーネスの配索構造では、複数の管体が金属製であるため、車体の形状に合わせて管体を曲げる加工(曲げ加工)において、複数の管体に曲げ加工を施す必要であり、曲げ加工(製造)が煩雑であった。また、車体の高さ方向のスペースを確保するために、管体が複数必要となるため、管体全体の重量が増大してしまうという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、車体の高さ方向のスペースを確保しつつ、管体の曲げ加工(製造)の簡素化及び管体の軽量化をも実現することができるワイヤーハーネスの配索構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、複数本の電線(電線101)からなるワイヤーハーネス(ワイヤーハーネス100)を、複数の電線が並列状態で車体(車体1)に配索するワイヤーハーネスの配索構造(ワイヤーハーネスの配索構造10)であって、前記複数本の電線のうち少なくとも1本の電線(例えば、高圧電線111)が内部に挿通され、車体配索経路に沿って形状が規定された形状規定管体(金属製パイプ110)と、前記複数本の電線のうち前記形状規定管体に挿通された電線以外の電線(例えば、低圧電線121)が挿通された形状非規定管体(コルゲートチューブ120)と、前記形状非規定管体を前記形状規定管体に並列状態で前記形状規定管体の形状に沿って連結する並列接続部材(並列接続部材130)とを備えることを要旨とする。
【0008】
かかる特徴によれば、並列接続部材は、形状非規定管体を形状規定管体に並列状態で形状規定管体の形状に沿って連結する。このため、複数本の電線全てを一つの管体で覆う場合や、車体の高さ方向に形状規定管体と形状非規定管体とを連結する場合と比較して、車体の高さ方向のスペースを確実に確保できる。
【0009】
また、形状非規定管体は、並列接続部材によって形状規定管体に並列状態で連結される。これにより、形状非規定管体のみに曲げ加工を施せばよく、つまり形状規定管体に曲げ加工を施す必要がないため、管体(形状規定管体及び形状非規定管体)の曲げ加工の簡素化、すなわち製造の簡素化を実現できる。
【0010】
さらに、形状規定管体は、車体配索経路に沿って形状が規定される、すなわち、形状が規定される部材(例えば、金属製の部材)によって形成され、形状非規定管体は、形状規定管体の形状に沿って設けられる、すなわち、形状規定管体の形状に合わせて柔軟可能な部材(例えば、樹脂製の部材)によって形成される。これにより、従来のように複数の管体が全て金属製で形成される場合と比べて、管体の軽量化をも実現できる。
【0011】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記並列接続部材は、前記形状規定管体の外周を把持する第1把持部(パイプ把持部131)と、前記形状非規定管体の外周を把持する第2把持部(チューブ把持部132)と、前記第1把持部と前記第2把持部とを並列状態で連結する連結部(連結部133)とを備えることを要旨とする。
【0012】
かかる特徴によれば、連結部は、第1把持部と第2把持部とを並列状態に連結することによって、並列接続部材は、形状非規定管体を形状規定管体に並列状態で形状規定管体の形状に沿って確実に連結できる。このため、複数本の電線全てを一つの管体で覆う場合や、車体の高さ方向に形状規定管体と形状非規定管体とを連結する場合と比較して、車体の高さ方向のスペースをより確実に確保できる。
【0013】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記形状規定管体と前記形状非規定管体とを並列に連結された状態において、前記形状規定管体及び前記形状非規定管体を一括被覆する一括管体(例えば、コルゲートチューブ120)をさらに備えることを要旨とする。
【0014】
かかる特徴によれば、一括管体は、形状規定管体及び形状非規定管体を一括して被覆していることによって、高圧電線などが内部に挿通していることを識別させるために、例えば形状規定管体に橙色等を着色する必要がなくなるため、形状規定管体に橙色等を着色する場合と比べて、製造コストの低減に寄与する。
【0015】
本発明の第4の特徴は、本発明の第2又は第3の特徴に係り、前記並列接続部材は、前記ワイヤーハーネスの近傍に配索される他の電線を前記少なくとも形状規定管体に連結する電線連結部(電線連結部134)をさらに備えることを要旨とする。
【0016】
かかる特徴によれば、並列接続部材が形状非規定管体を形状規定管体に並列状態で連結することに加えて、電線連結部によってワイヤーハーネスの近傍に配索される他の電線についても形状規定管体に連結することができる。これにより、他の電線を個別に車体に配索する場合と比較して、他の電線の配索作業が容易となるとともに、部品点数の削減にも寄与する。
【0017】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記形状規定管体は、金属製の部材によって形成され、前記形状非規定管体は、樹脂製の部材によって形成されることを要旨とする。
【0018】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の特徴に係り、前記形状規定管体と前記形状非規定管体とは、色分けされていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の特徴によれば、並列接続部材は、形状非規定管体を形状規定管体に並列状態で形状規定管体の形状に沿って連結する。このため、複数本の電線全てを一つの管体で覆う場合や、車体の高さ方向に形状規定管体と形状非規定管体とを連結する場合と比較して、車体の高さ方向のスペースを確実に確保できる。
【0020】
また、形状非規定管体は、並列接続部材によって形状規定管体に並列状態で連結される。これにより、形状非規定管体のみに曲げ加工を施せばよく、つまり形状規定管体に曲げ加工を施す必要がないため、管体(形状規定管体及び形状非規定管体)の曲げ加工の簡素化、すなわち製造の簡素化を実現できる。
【0021】
さらに、形状規定管体は、車体配索経路に沿って形状が規定される、すなわち、形状が規定される部材(例えば、金属製の部材)によって形成され、形状非規定管体は、形状規定管体の形状に沿って設けられる、すなわち、形状規定管体の形状に合わせて柔軟可能な部材(例えば、樹脂製の部材)によって形成される。これにより、従来のように複数の管体が全て金属製で形成される場合と比べて、管体の軽量化をも実現できる。
【0022】
このように、車体の高さ方向のスペースを確保しつつ、管体の曲げ加工(製造)の簡素化及び管体の軽量化をも実現することができるワイヤーハーネスの配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10が用いられる車体1を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す拡大斜視図(図2のA拡大図)である。
【図4】図4は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す断面図(図3のB−B断面図)である。
【図5】図5は、変更例1に係るワイヤーハーネスの配索構造10Aを示す断面図である。
【図6】図6は、変更例2に係るワイヤーハーネスの配索構造10Bを示す断面図である。
【図7】図7(a)は、変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cを示す斜視図であり、図7(b)は、変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cを示す断面図(図7(a)のC−C断面図)である。
【図8】図8は、その他の実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)車体1の構成、(2)ワイヤーハーネスの配索構造10の説明、(3)作用・効果、(4)変更例、(5)その他の実施形態について説明する。
【0025】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0026】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0027】
本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造10は、複数本の電線101からなるワイヤーハーネス100を、複数の電線101が並列状態で車体1に配索するものである。このワイヤーハーネスの配索構造10は、複数本の電線101のうち少なくとも1本の電線101が内部に挿通され、電線配索経路に沿って形状が規定された金属製パイプ110(形状規定管体)と、複数本の電線101のうち金属製パイプ110に挿通された高圧電線111以外の電線101が挿通されたコルゲートチューブ120(形状非規定管体)と、コルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で金属製パイプ110の形状に沿って連結する並列接続部材130とを備えている。
【0028】
(1)車体1の構成
以下において、本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造10が用いられる車体1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10が用いられる車体1を示す模式図である。
【0029】
なお、本実施形態では、ワイヤーハーネスの配索構造10が用いられる車体1として、ハイブリッド自動車であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、電気自動車などの他の自動車であってもよい。
【0030】
車体1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動するものである。モータユニット3には、インバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。
【0031】
本実施形態では、エンジン2、モータユニット3及びインバータユニット4は、前輪等が位置するエンジンルーム6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等が位置する自動車後部7に搭載されている。なお、バッテリー5は、エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載されもよい。
【0032】
モータユニット3及びインバータユニット4は、公知の高圧ワイヤーハーネス8により接続されている。また、インバータユニット4及びバッテリー5は、本発明のワイヤーハーネス100により接続されている。
【0033】
ワイヤーハーネス100は、高圧用のものとして構成される。ワイヤーハーネス100は、この中間部100Mが車体床下11の地面側に配索される。車体床下11は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔(不図示)が貫通形成されている。なお、ワイヤーハーネス100を車体床下11に配索するワイヤーハーネスの配索構造10の詳細については、後述する(図2〜図4)。
【0034】
ワイヤーハーネス100及びバッテリー5は、該バッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続されている。ジャンクションブロック12には、ワイヤーハーネス100の後端100Rがコネクタ接続されている。ワイヤーハーネス100の後端100R側は、車体1の室内側となる床上に配索されている。該床上には、ワイヤーハーネス100の前端100F側も配索されている。ワイヤーハーネス100の前端100F側は、インバータユニット4にコネクタ接続されている。
【0035】
ここで、本実施形態での補足説明をすると、モータユニット3は、モータ及びジェネレータを構成に含む。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含む。モータユニット3及びインバータユニット4は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成される。また、バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなる。なお、バッテリー5は、例えば、キャパシタのような蓄電装置を使用することも可能である。バッテリー5は、ハイブリッド自動車である車体1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されるものではない。
【0036】
(2)ワイヤーハーネスの配索構造10の説明
次に、本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造10の説明について、図2〜図4を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す拡大斜視図(図2のA拡大図)である。図4は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10を示す断面図(図3のB−B断面図)である。
【0037】
図2〜図4に示すように、ワイヤーハーネスの配索構造10は、二本の高圧電線111及び一本の低圧電線121を含む複数本の電線101と、高圧電線111を覆う金属製パイプ110と、低圧電線121を覆うコルゲートチューブ120と、金属製パイプ110とコルゲートチューブ120とを連結する並列接続部材130とを備えている。
【0038】
電線101(高圧電線111及び低圧電線121)は、金属製(例えば、銅や銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金)の導体の外周を合成樹脂で被覆されることによって形成されている。
【0039】
金属製パイプ110は、金属製の部材(例えば、銅や銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金)によって形成され、車体床下11に配索さている。この金属製パイプ110の内部には、複数本の電線101のうち少なくとも1本の電線101(本実施形態では、二本の高圧電線111)が並列状態で挿通されている。また、金属製パイプ110の形状は、上述した車体床下11の電線配索経路に沿って規定されている。また、金属製パイプ110は、形状非規定管体と色分けされている。例えば、金属製パイプ110は、高圧電線111が内部に挿通していることを識別させるために、橙色に着色されている。このような金属製パイプ110の近傍には、コルゲートチューブ120が配索されている。
【0040】
コルゲートチューブ120は、樹脂製の部材(例えば、外周面に凹凸を有するコルゲートチューブ)によって形成されている。このコルゲートチューブ120の内部には、複数本の電線101のうち金属製パイプ110に挿通された高圧電線111以外の電線101(本実施形態では、一本の低圧電線121)が挿通されている。また、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110の形状に合わせて柔軟可能である。また、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110と色分けされている。このようなコルゲートチューブ120と金属製パイプ110との間には、並列接続部材130が設けられている。
【0041】
並列接続部材130は、金属製の部材(例えば、銅や銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金)や樹脂材によって形成され、金属製パイプ110及びコルゲートチューブ120の長手方向に対して所定間隔置きに設けられている。特に、並列接続部材130は、金属製パイプ110に曲げ加工が施される部位に少なくとも設けられることが好ましい。この並列接続部材130は、コルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で金属製パイプ110の形状に沿って連結している。また、並列接続部材130は、パイプ把持部131(第1把持部)と、チューブ把持部132(第2把持部)と、連結部133とを備えている。
【0042】
パイプ把持部131は、断面略円弧状の一部(下側)が開口した略C字形状によって形成されている。このパイプ把持部131の内側に金属製パイプ110が嵌合することによって、パイプ把持部131は、金属製パイプ110の外周を把持している。
【0043】
チューブ把持部132は、パイプ把持部131と略線対称となるように、断面略円弧状の一部(下側)が開口した略C字形状によって形成されている。このチューブ把持部132の内側にコルゲートチューブ120が嵌合することによって、チューブ把持部132は、コルゲートチューブ120の外周を把持している。
【0044】
連結部133は、板状に形成されるとともに、パイプ把持部131とチューブ把持部132と一体に形成されている。この連結部133は、パイプ把持部131とチューブ把持部132とを並列状態で連結している。
【0045】
(3)作用・効果
以上説明した本実施形態では、並列接続部材130は、コルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で金属製パイプ110の形状に沿って連結する。このため、複数本の電線101全てを一つの管体で覆う場合や、車体1の高さ方向に金属製パイプ110とコルゲートチューブ120とを連結する場合と比較して、車体1の高さ方向のスペースを確実に確保できる。
【0046】
また、コルゲートチューブ120は、並列接続部材130によって金属製パイプ110に並列状態で連結される。これにより、コルゲートチューブ120のみに曲げ加工を施せばよく、つまり金属製パイプ110に曲げ加工を施す必要がないため、管体(金属製パイプ110及びコルゲートチューブ120)の曲げ加工の簡素化、すなわち製造の簡素化を実現できる。
【0047】
さらに、金属製パイプ110は、車体配索経路に沿って形状が規定される、すなわち、形状が規定される部材(例えば、金属製の部材)によって形成され、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110の形状に沿って設けられる、すなわち、金属製パイプ110の形状に合わせて柔軟可能な部材(例えば、樹脂製の部材)によって形成される。これにより、従来のように複数の管体が全て金属製で形成される場合と比べて、管体の軽量化をも実現できる。
【0048】
本実施形態では、連結部133は、パイプ把持部131とチューブ把持部132とを並列状態に連結することによって、並列接続部材130は、コルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で金属製パイプ110の形状に沿って確実に連結できる。このため、複数本の電線101全てを一つの管体で覆う場合や、車体1の高さ方向に金属製パイプ110とコルゲートチューブ120とを連結する場合と比較して、車体1の高さ方向のスペースをより確実に確保できる。
【0049】
本実施形態では、並列接続部材130は、金属製パイプ110及びコルゲートチューブ120の長手方向に対して所定間隔置きに設けられている。特に、並列接続部材130は、金属製パイプ110に曲げ加工が施される部位に少なくとも設けられることが好ましい。これにより、コルゲートチューブ120が金属製パイプ110の形状に沿いやすくなるため、車体1の横方向(水平方向)のスペースも確保できる。
【0050】
(4)変更例
次に、上述した実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10の変更例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0051】
(4−1)変更例1
まず、変更例1に係るワイヤーハーネスの配索構造10Aの構成について、図面を参照しながら説明する。図5は、変更例1に係るワイヤーハーネスの配索構造10Aを示す断面図である。
【0052】
上述した実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10では、金属製パイプ110は二本の高圧電線111を覆い、コルゲートチューブ120は一本の低圧電線121を覆っている。これに対して、変更例1に係るワイヤーハーネスの配索構造10Aでは、図5に示すように、金属製パイプ110は一本の低圧電線121を覆い、コルゲートチューブ120は二本の高圧電線111を覆っている。なお、変更例1では、金属製パイプ110には、橙色等が着色されていないものとする。
【0053】
コルゲートチューブ120内に挿通される二本の高圧電線111は、電磁シールド部材112(例えば、導電性の金属箔を含むシールド部材或いは金属箔単体)によって一括して被覆されている。また、コルゲートチューブ120は、高圧電線111が内部に挿通していることを識別させるために、金属製パイプ110と異なる色(例えば、橙色)に着色されている。
【0054】
以上説明した変更例1では、コルゲートチューブ120内に高圧電線111が挿通され、コルゲートチューブ120が金属製パイプ110と異なる色(例えば、橙色)に着色されていることによって、高圧電線111が内部に挿通していることを識別させるために、金属製パイプ110に橙色等を着色する必要がなくなる。このため、金属製パイプ110に橙色等を着色する場合と比べて、製造コストの低減に寄与する。
【0055】
(4−2)変更例2
次に、変更例2に係るワイヤーハーネスの配索構造10Bの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、変更例2に係るワイヤーハーネスの配索構造10Bを示す断面図である。
【0056】
上述した実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10では、金属製パイプ110は二本の高圧電線111を覆い、コルゲートチューブ120は一本の低圧電線121を覆っている。これに対して、変更例2に係るワイヤーハーネスの配索構造10Bでは、図6に示すように、金属製パイプ110は二本の高圧電線111を覆い、コルゲートチューブ140(一括管体)は二本の高圧電線111及び一本の低圧電線121を一括して覆っている。なお、変更例2では、金属製パイプ110には、橙色等が着色されていないものとする。
【0057】
ここで、変更例2では、低圧電線121における金属製の導体の外周を被覆する合成樹脂が形状非規定管体を構成するものとする。つまり、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110と一本の低圧電線121(金属製の導体及び形状非規定管体)とが並列した状態で、金属製パイプ110及び一本の低圧電線121を一括して被覆している。
【0058】
なお、変更例2では、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110及び一本の低圧電線121を一括して被覆しているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、並列接続部材130が設けられている部位では該並列接続部材130も一緒に被覆していてもよい。この場合、並列接続部材130は、パイプ把持部131とチューブ把持部132とを少なくとも備えていればよく、連結部133を備えていなくてもよい。
【0059】
以上説明した変更例2では、コルゲートチューブ120は、金属製パイプ110及び一本の低圧電線121(金属製の導体及び形状非規定管体)を一括して被覆していることによって、高圧電線111が内部に挿通していることを識別させるために、金属製パイプ110に橙色等を着色する必要がなくなる。このため、金属製パイプ110に橙色等を着色する場合と比べて、製造コストの低減に寄与する。
【0060】
(4−3)変更例3
次に、変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cの構成について、図面を参照しながら説明する。図7(a)は、変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cを示す斜視図であり、図7(b)は、変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cを示す断面図(図7(a)のC−C断面図)である。
【0061】
上述した実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造10では、並列接続部材130は、パイプ把持部131とチューブ把持部132と連結部133とを備えている。これに対して変更例3に係るワイヤーハーネスの配索構造10Cでは、図7に示すように、並列接続部材130は、パイプ把持部131、チューブ把持部132及び連結部133に加えて、電線連結部134をさらに備えている。
【0062】
この電線連結部134は、ワイヤーハーネス100の近傍に配索される他の電線200(例えば、ブレーキパイプ)を金属製パイプ110及びコルゲートチューブ120に連結する。電線連結部134は、電線把持部134Aと、連結部134Bとを備えている。
【0063】
電線把持部134Aは、パイプ把持部131やチューブ把持部132や同様に、断面略円弧状の一部(下側)が開口した略C字形状によって形成され、電線200の外周を把持している。連結部134Bは、板状に形成され、チューブ把持部132と電線把持部134Aとを並列状態で連結している。
【0064】
ここで、電線連結部134は、必ずしも金属製パイプ110及びコルゲートチューブ120に連結する必要はなく、金属製パイプ110のみに連結していてもよい。すなわち、連結部134Bは、金属製パイプ110に対してコルゲートチューブ120の逆側(図面上側)に設けられていてもよく、この場合、パイプ把持部131と電線把持部134Aとを並列状態で連結していてもよい。
【0065】
以上説明した変更例3では、並列接続部材130がコルゲートチューブ120を金属製パイプ110に並列状態で連結することに加えて、電線連結部134によってワイヤーハーネス100の近傍に配索される他の電線200についても金属製パイプ110に連結することができる。これにより、他の電線200を個別に車体1に配索する場合と比較して、他の電線200の配索作業が容易となるとともに、部品点数の削減にも寄与する。
【0066】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0067】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、並列接続部材130の把持部(パイプ把持部131、チューブ把持部132及び電線把持部134A)は、断面略円弧状の一部が開口した略C字形状によって形成されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、並列接続部材130の把持部は、断面略半円弧状の上方又は下方が開放された部材同士が金属製パイプ110やコルゲートチューブ120を上下方向で挟み込む構成であってもよい。
【0068】
また、金属製パイプ110とコルゲートチューブ120とは、色分けされているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、同一の色(例えば、橙色)であってもよい。
【0069】
また、形状規定管体は、金属製パイプ110であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、車体配索経路に沿って形状が規定される材料であればよく、金属製以外の材料であってもよい。同様に、形状非規定管体は、コルゲートチューブ120であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、形状規定管体の形状に合わせて柔軟可能な材料(例えば、ゴム製等のチューブ)であればよい。
【0070】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0071】
1…車体
10(10A〜10C)…ワイヤーハーネスの配索構造
11…車体床下
100…ワイヤーハーネス
101…電線
110…金属製パイプ(形状規定管体)
111…高圧電線
120…コルゲートチューブ(形状非規定管体)
121…低圧電線
130…並列接続部材
131…パイプ把持部(第1把持部)
132…チューブ把持部(第2把持部)
133…連結部
134…電線連結部
134A…電線把持部
134B…連結部
140…コルゲートチューブ(一括管体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電線からなるワイヤーハーネスを、複数の電線が並列状態で車体に配索するワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記複数本の電線のうち少なくとも1本の電線が内部に挿通され、車体配索経路に沿って形状が規定された形状規定管体と、
前記複数本の電線のうち前記形状規定管体に挿通された電線以外の電線が挿通された形状非規定管体と、
前記形状非規定管体を前記形状規定管体に並列状態で前記形状規定管体の形状に沿って連結する並列接続部材と
を備えることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記並列接続部材は、
前記形状規定管体の外周を把持する第1把持部と、
前記形状非規定管体の外周を把持する第2把持部と、
前記第1把持部と前記第2把持部とを並列状態で連結する連結部と
を備えることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記形状規定管体と前記形状非規定管体とを並列に連結された状態において、前記形状規定管体及び前記形状非規定管体を一括被覆する一括管体をさらに備えることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記並列接続部材は、前記ワイヤーハーネスの近傍に配索される他の電線を前記少なくとも形状規定管体に連結する電線連結部をさらに備えることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記形状規定管体は、金属製の部材によって形成され、
前記形状非規定管体は、樹脂製の部材によって形成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記形状規定管体と前記形状非規定管体とは、色分けされていることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−197034(P2012−197034A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62659(P2011−62659)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】