説明

ワイヤ型の緑化用資材及びその設置方法

【課題】ワイヤ型緑化用資材のワイヤロープを一本ずつ上下で固定する方法は、蔓性植物の登攀が遅く、植物がずれ落ちやすい。格子状のものは専用の交点金具や交点アンカー留めが必要で、現場での作業効率が悪く、高価である。ワイヤロープのばたつきや振動の防止目的の張力導入機構があるが、導入張力判断用の標識をワイヤの上端部分に設けると、位置が緑化壁面の上端部となり判別しにくい。ワイヤを人力で引っ張ると個人差が出、強すぎると上部のアングルから脱落したり、アングル自体が緑化面から剥ぎ取られる恐れがある。
【解決手段】本発明にかかるワイヤ型の緑化用資材(1)は、並行する1対のワイヤ(2)と、該ワイヤ間に架着されたステー(3)で構成されている。該緑化用資材は該ワイヤを緑化面(P)上に、その基端部(2a)が張力導入機構(4)を介して、また他端部(2b)を直接に、それぞれ該緑化面に繋止して、張設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤ型の緑化用資材及びその設置方法に関し、緑化面にワイヤを張設し、植物をこのワイヤをガイドとして伸長させて緑化面を緑化するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
建物の内側への採光が必要な壁面緑化、内側からの景観もある程度確保可能な壁面緑化、カーテンウォールなどの建物壁材への直接固定が不可能な場合の壁面緑化として、ワイヤや繊維ネットを植物の登攀補助資材として緑化を行うタイプの方法がある。この方法はワイヤや繊維ネットを設置し、蔓植物を登攀させる方法であるが、ワイヤロープを上下で固定する手法が多く、格子状であっても専用の交点金具や交点をアンカー止めなければならないなどの理由から、高価なものが多い。
【0003】
また、ワイヤロープを用いて緑化する場合、設置したワイヤロープは時間の経過とともに温度等の影響により緩むことが多く、設置したワイヤロープが風等によりばたついたり、振動したりして、蔓植物の順調な生育を阻害する要因の一つとなっている。そのため、ワイヤロープに張力を導入して風圧等による動揺を防ぎ、蔓性植物の蔓がワイヤから外れないようにする必要があるが、この作業もかなり厄介である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1(特開2006−36号公報)では、壁面緑化に使用するワイヤへの張力の導入に第1金物と第2金物を使用することが述べられている。第1金物(10)の構造については段落「0019」で説明され、設置位置については「図2」にALCパネル(4)の上端部が示されている。また、第2金物(11) の構造については段落「0021」で説明され、設置位置については「図2」にALCパネル(4)の下端部が示されている。
【0005】
ワイヤ6bに対する張力の導入については段落「0022」の5行目以下に、「…ワイヤ6bの他端(下端)側を下方のアングル部材に取り付けられている第2金物に順次、保持されていく。手繰り寄せを続け、ワイヤ6bに弾力を感じるようになったら、張力クッションばね19が中程度に圧縮されたところで停止する。」とあり、人力でワイヤを引っ張っているのがわかる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−36号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に一本ずつのワイヤロープを上下で固定する方法は、蔓性植物の登攀が遅く、かつ植物がずれ落ちやすい。また、格子状のものは特許文献1に記載の専用の交点金具や交点アンカー留めをしなければならないので、現場での作業効率が悪く、高価なものが多い。
さらに、ずれ落ち防止効果をより高めるためには、同時に風圧等によるワイヤの動揺も防ぎ、総じて蔓性植物の蔓がワイヤから外れないようにする必要がある。
ワイヤロープの緩みに起因するばたつきや振動を防止する発明として、特許文献1に記載の張力導入機構が設けられている。しかし、張力導入の目安となる標識36がワイヤ6bに設けられてはいるが、小さい上、位置が壁面の上端部なので見落としたり、判別できなかったりする恐れがある。ワイヤは人力により引っ張られるので、引っ張る強さに個人差があり、強く引っ張りすぎると第1金物がアングルから脱落したり、アングル自体が壁面から剥ぎ取られる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1)本発明にかかるワイヤ型の緑化用資材(以下「ワイヤ型の緑化用資材」を「緑化用資材」と略称する。)は、並行する1対のワイヤと、該ワイヤ間に架着されたステーで構成されている。
【0009】
この緑化用資材は、緑化面、例えば建造物の壁、塀、法面を覆ってこの緑化面に取り付けられる。緑化面は、一般的にはこのような立面となるが、横這い形式の植物の場合は、水平面となる場合もある。この取付けは緑化面にボルト・ナットを用いて直接になすか、又は一対のワイヤ支持材を緑化面の両端部に並設し、両ワイヤ支持材間にワイヤを張設する。勿論これらの方法以外の取付方法も採用できる。この緑化用資材は、ステーにより一対のワイヤが一定の間隔を保って並行しているので、緑化面に対する敷設が容易で、ステーに蔓等が絡むことにより植物は伸長を容易に行える。
【0010】
プランターに蔓性植物が植栽されている場合は、このプランターを緑化面の一端側に配置し、あるいは緑化面の一端側の地面に直接植栽して、植物をワイヤ型の緑化用資材に絡ませながら生育させる。蔓性植物は生育の初期にはワイヤに蔓を絡ませながら生育していく。
【0011】
蔓性植物が緑化用資材のステーの架着された場所に到達すると、一部の蔓はこのステーに絡むようになり、主たる蔓は更にワイヤに絡みながら生育してゆくので、植物は登攀が容易に行える。しかもこの緑化用資材はワイヤを用いているのでその長さを自由に設定でき、単一の資材で広範囲の緑化面を被覆できるので、作業性を高められる。
【0012】
一般に一本ずつのワイヤロープを上下で固定する方法は、蔓性植物の登攀が遅く、かつ植物がずれ落ちやすい。また、格子状のものは特許文献1に記載の専用の交点金具や交点アンカー留めをしなければならないので、現場での作業効率が悪く、高価なものが多い。
本発明によれば、並行する一対のワイヤと該ワイヤ間に架着されたステーを予め工場で製造でき、ロール状にして運搬でき、緑化面の長さに併せ該ワイヤを切断して使用することができ、現場での作業が容易となる。
【0013】
(請求項2) 該ステーは梯子状に配設された複数本となっていてもよい。
【0014】
(請求項3)該ステーは、かしめ、楔、コイル、接着及び溶接の内の一つで該ワイヤに取付けられていてもよい。
【0015】
(請求項4)該ステーはあみだくじ状配置の一部を構成するランダム配置となっていてもよい。
【0016】
(請求項5)請求項1から4の一つの項に記載の緑化用資材は、該ワイヤを緑化面上に張設する。該ワイヤの基端部は張力導入機構を介して該緑化面に繋止される。そして、該ワイヤの他端部は直接に該緑化面に繋止される。
【0017】
(請求項6)該緑化面は立面で、該張力導入機構は該緑化面の下部に配設されていてもよい。
【0018】
(請求項7)該張力導入機構は引きバネと緊張装置を包含し、該引きバネはコイル部を有し、該コイル部を挟んで一端に固定的係合部を、他端に可動的係合部を備え、該緊張装置はボルト、締付ナット及び該緑化面に取り付けられた下部のワイヤ支持材を備え、該ワイヤを該引きバネに連結し、該引きバネの該固定的係合部と該可動的係合部を該ボルトに係合し、該ボルトを該ワイヤ支持材の水平面に穿ったばか孔に該ワイヤ側から緩通し、該水平面からの突出部に該締付ナットを螺合して構成されてもよい。
【0019】
(請求項8)該張力導入機構は押しバネと緊張装置を包含し、該押しバネはコイル部を有し、該コイル部を挟んで一端に固定的係合部を、他端に可動的係合部を備え、該固定的係合部と該可動的係合部は、該コイル部の各端部から、該押しバネの側面視及び平面視で交差する状態で、突出た腕部の端部に位置し、前記と同様の該緊張装置を採用し、該ワイヤを該押しバネに連結し、該押しバネの該固定的係合部と該可動的係合部を該ボルトに係合し、後は前記と同様にして構成されていてもよい。
【0020】
(請求項9)該張力導入機構は巻付けバネ、カバー及び緊張装置を包含し、該巻付けバネはコイル状で、該カバーは側壁及び端壁で規制された収容部、該端壁に穿ったばか孔及び該ワイヤの取付部を有し、前記と同様の該緊張装置を採用し、該ワイヤを該取付部に連結し、該ボルトに該巻付けバネを卷装して該カバーに装入し、該ボルトを該ばか孔から外部へ突出させ、後は前記と同様にして構成されていてもよい。
【0021】
(請求項10)該張力導入機構は板バネと緊張装置を包含し、該板バネは一対の湾曲した板材を両板材間にバネ空間が形成されるように対設したもので、両端部に該ワイヤの挿通孔が穿たれ、該バネ空間部分に透孔が穿たれており、前記と同様の該緊張装置を採用し、該バネ材の該挿通孔に該ワイヤを挿通し、該ボルトを該透孔に緩通した後は前記と同様にして構成されていてもよい。
【0022】
(請求項11)該ボルトには導入張力用の目印が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る緑化用資材によれば、並行する一対のワイヤと該ワイヤ間にステーを架着する作業を予め工場で行え、運搬もロール状にして行うことができ、かつ該ワイヤを緑化面の長さに併せ切断して使用することができるので作業性を高められ、蔓性植物がステーの架着された場所に到達すると、一部の蔓はこのステーに絡むようになり、主たる蔓は更にワイヤに絡みながら生育してゆくので、植物は登攀が容易に行え、一本のワイヤロープの場合のように蔓性植物の登攀が遅く、かつ植物がずれ落ちやすい欠点を解消できる。
【0024】
本発明に係る緑化用資材の設置方法によれば、緑化面と各ワイヤ間に登攀間隙を保つことができ、植物の登攀により緑化面を緑化することができ、ワイヤに必要な張力を導入できるので、揺れ止等に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる緑化用資材の具体例を、立設した使用状態で示す正面図である。
【図2】同右側面図である。
【図3】緑化用資材の緑化面に対する繋止構造の上部における具体例を示す側面図である。
【図4】張力導入機構の具体例を示す側面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】張力導入機構の作動状態の具体例を示す側面図である。
【図7】張力導入機構の別の具体例を示す側面図である。
【図8】同バネ材の平面図である。
【図9】張力導入機構の更に別の具体例を示す側面図で、筒体を採用した場合である。
【図10】張力導入機構の更に別の具体例を示す側面図で、枠体を採用した場合である。
【図11】図10の枠体の部分の平面図である。
【図12】枠体の斜面図である。
【図13】張力導入機構の更に別の具体例を示す側面図で、板バネを採用した場合である。
【図14】板材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を、図面による立設状態を参照して、説明する。緑化面Pは建造物の壁面のように立面の場合が一般的であるが、のり面のような傾斜面の場合や、建造物の屋上緑化のように水平面の場合もある。本発明はこれらの緑化面の場合にも適用可能である。
【0027】
(請求項1)図1及び図2は本発明にかかる緑化用資材1の具体例を使用状態で示している。この緑化用資材1は、並行する1対のワイヤ2、2と、これらのワイヤ2、2間に架着されたステー3で構成されている。図1では、このように構成された緑化用資材1を四つ集合したものを一つの単位とし、四つの単位1a〜1dを水平方向に並列して上部と下部のワイヤ支持材Kと12の間に張設し、緑化面Pを覆うようにした場合を示している。
【0028】
各ステー3は単位1a〜1dごとに異なった配列のものを示したが、これはあくまで参考のためで、同様の配列のものに統一し、あるいは異なった配列のものを組み合わせる等、その選択は自由である。
【0029】
図1の例における緑化用資材1やステー3の配列は次のとおりである。
単位1aでは、四つの緑化用資材1を水平方向に一纏めとし、各緑化用資材1のステー3を延長して一体化したものである。
【0030】
この場合、隣り合う緑化用資材1、1間にもステー3が架着されることになる。緑化用資材1を単位1aに構成するのが容易なので、単位1aとすることにより緑化面Pに対する作業性を高められる。植物Sの蔓が隣り合う緑化用資材1、1間のステー3にも巻きつくので、登攀が容易となる。横方向へ過度に伸長したら、伸長部分を切除すればよい。
【0031】
その右隣に位置する単位1bは、6本のステー3が上下方向に等間隔に配置された緑化用資材1の4セットが、水平方向に間隔を保って並設されたものである。
【0032】
この場合、隣り合う緑化用資材1、1間にステー3は存在しないので、植物Sがステー3を伝って一つの緑化用資材1から隣の緑化用資材1方向へ伸長するのを防げる。また、隣り合う緑化用資材1、1間の間隔を自由に設定できるので、緑化面Pに適合した緑化用資材1の配置が可能となる。1例を挙げれば、緑化面が溝型鋼状の鋼板を水平方向に並設して構成されたものの場合、採用された鋼板の幅に変動があっても、隣り合う緑化用資材1、1同士の間隔の調整で容易に対応できる。
【0033】
更に右隣りの単位1cは、単位1aの場合と同様に、隣り合う緑化用資材1、1間にも3本のステー3を架着したもので、ステー3の上下方向における位置が緑化用資材1と緑化用資材1、1間とで、半ピッチずれたものである。
【0034】
この場合、植物Sはワイヤ2に蔓を巻きつけながら伸長し、ステー3のあるところに来ると蔓の一部をこのステー3に絡みつかせ、更にステー3に沿って伸長してゆく。緑化用資材1を単位1cに構成するのが容易なので、単位1cとすることにより緑化面Pに対する作業性を高められる。植物Sの蔓がステー3に絡みついて伸長しても、このステー3は隣り合う緑化用資材1のワイヤ2で終わっているので、植物Sの横方向への伸長もステー3と共に終り、ワイヤ2に沿って方向変換する。
【0035】
右端の単位1dは自身のワイヤ2、2間と、隣り合う緑化用資材1、1の相対するワイヤ2、2間の全てに、ステー3がランダムに配列されたものである。このランダム配置には、ステー3の水平配置や、斜め配置等も含まれる。
【0036】
この場合、緑化用資材1を単位1dに構成するのが比較的に容易なので、単位1dとすることにより緑化面Pに対する作業性を高められる。また、植物Sの蔓がステー3に絡みついて伸長しても、このステー3は隣り合う緑化用資材1のワイヤ2で終わっているので、植物Sの横方向への伸長もステー3と共に終り、ワイヤ2に沿って方向変換する。しかも、植物Sの伸長方向がランダムになるので、緑化面Pの緑化に変化を与えることが可能となる。
【0037】
緑化用資材1の設置が終わったら、植物Sを下部のワイヤ支持材12の近傍に植栽する。植物SがプランターBに植栽されている場合は、このプランターBをワイヤ支持材12の近傍で地上に設置する。プランターBを使用しない場合は、植物Sをワイヤ支持材12の近傍で地中に直接植栽する。植物Sは蔓をワイヤ2、2に絡ませながら生育してゆく。
【0038】
植物Sが生育して蔓の先端部が緑化用資材1のステー3の架着された場所に到達すると、一部の蔓はこのステー3に絡むようになり、主たる蔓は更にワイヤ2に絡みながら生育してゆくので、植物Sは風圧等を受けても緑化用資材1から外れることがなく、登攀が容易に行える。
この緑化用資材1は工場生産が可能で、運搬もロール状にして行うことができ、ワイヤ2を用いているのでその長さを緑化面の長さに併せ切断して使用することができ、単一の緑化用資材1で広範囲の緑化面Pを被覆できるので作業性を高められる。
【0039】
(請求項2)ステー3は梯子状に配設された複数本となっている。
この場合、緑化面Pが広範で長尺の緑化用資材1を必要とする場合でも、ワイヤ2にはその長さ方向に複数段のステー3が用意されるので、植物Sはワイヤ2やステー3に蔓を絡めながら登攀してゆくことができ、登攀が容易かつ確実となる。
【0040】
(請求項3)ステー3は、かしめ、楔、コイル、接着及び溶接の内の一つでワイヤ2に取付けられている。
この場合、何れの作業も工場で行えるので、ワイヤ2の架着が確実となる。
【0041】
(請求項4)ステー3はあみだくじ状配置の一部を構成するランダム配置となっている。
この場合、隣り合うステー3は一本の水平線上にないので、植物Sは1本のステー3の終端で横方向への伸長が阻止されて上方へ方向転換し、緑化面Pの速やかな緑化が遂行される。
【0042】
(請求項5)請求項1から4の一つの項に記載の緑化用資材1の設置方法は次のとおりである。ワイヤ2を緑化面P上に張設し、その基端部2aは張力導入機構4を介して緑化面Pに繋止し、また他端部2bは直接に緑化面Pに繋止する。
この場合、緑化用資材1はワイヤ2の長さで上下方向の寸法が決まるので、緑化面Pの上下方向の寸法に容易に適合させることができる。また、ワイヤ2の他端部2bを緑化面Pに繋止した状態で基端部2aを張力導入機構4により緊張させると、ワイヤ2に張力を導入できる。これにより、緑化用資材1の張設状態でワイヤ2やステー3が風圧等で揺れ動くのを防げ、植物Sの蔓がワイヤ2やステー3から離脱するのを阻止して緑化面Pの緑化を迅速になすことができる。
【0043】
(請求項6)緑化面Pは立面で、張力導入機構4は緑化面Pの下部P’に配設されている。
この場合、ワイヤ2に対する張力の導入状況を間近で目視でき、張力の過不足を解消できる。
【0044】
(請求項7)張力導入機構4は引きバネ51と緊張装置6を包含している。この引きバネ51はコイル部71を有し、このコイル部71を挟んで一端に固定的係合部81を備え、他端に可動的係合部91を備えている。緊張装置6はボルト10、締付ナット11及び緑化面Pに取り付けられた下部のワイヤ支持材12を備えている。
ワイヤ2を引きバネ51に連結し、この引きバネ51の固定的係合部81と可動的係合部91をボルト10に係合し、このボルト10をワイヤ支持材12の水平面13に穿ったばか孔14にワイヤ2側、即ちワイヤ支持材12の上方から緩通し、水平面13から下方へ突き出た突出部15に締付ナット11を螺合して構成される。
この場合、引きバネ51の大きさによらずに可動範囲を設定でき、締付ナット11の締込みでワイヤ2に張力を導入できるので、導入作業を容易かつ確実に行える。
【0045】
(請求項8)張力導入機構4は押しバネ52と緊張装置6を包含している。
この押しバネ52はコイル部72を有し、このコイル部72を挟んで一端に固定的係合部82を備え、他端に可動的係合部92を備えている。この固定的係合部82と可動的係合部92は、コイル部72の各端部から、押しバネ52の側面視(図7)及び平面視(図8)で交差する状態で、突出た腕部16と17のそれぞれの端部に位置している。
緊張装置6は前記の構成と同様なので、説明は省略する。
ワイヤ2を押しバネ52に連結し、この押しバネ52の固定的係合部82と可動的係合部92をボルト10に係合し、このボルト10をワイヤ支持材12の水平面13に穿ったばか孔14にワイヤ2側から緩通し、水平面13から突き出た突出部15に締付ナット11を螺合して構成される。
この場合、製造コストが安く、塑性変形が起こりにくいので、長期にわたる安定した供用が可能となる。
【0046】
(請求項9)張力導入機構4は巻付けバネ53、カバー18及び緊張装置6を包含している。この巻付けバネ53はコイル状となっている。カバー18は、図9では筒体であるが、図10〜12ではコ字型の枠体となっている。側壁19及び端壁20で規制された収容部21、端壁20に穿ったばか孔22及びワイヤ2の取付部23を有している。緊張装置4の構成は前記と同様である。
ワイヤ2を取付部23に連結し、ボルト10に巻付けバネ53を卷装してカバー18に装入し、ボルト10をばか孔22から外部へ突出させてワイヤ支持材12の水平面13に穿ったばか孔14にワイヤ2側から緩通し、この水平面13から突出た突出部15に締付ナット11を螺合して構成される。
この場合、巻付けバネ53がカバー18で囲われており、植物Sが挟まれて傷ついたり、巻付けバネ53の破損等による人的な被災が少なく、デザイン的にも好ましく、塑性変形が起こりにくい。
【0047】
(請求項10)張力導入機構4は板バネ54と緊張装置6を包含している。板バネ54は一対の湾曲した板材24と25を両板材間にバネ空間26が形成されるように対設したもので、両端部にワイヤ2の挿通孔27と28が穿たれ、バネ空間26部分に透孔29と30が穿たれている。緊張装置6の構成は前記と同様である。
バネ材5の挿通孔27,28にワイヤ2を挿通し、ボルト10を透孔29と30に緩通してワイヤ支持材12の水平面13に緩通し、水平面13から突出た突出部14に締付ナット11を螺合して構成される。
この場合、高い張力をワイヤ2に導入できるので、風圧等によりワイヤ2が揺れ動くのを防いで植物Sの剥落を防げ、塑性変形が起こりにくいので、長期にわたる安定した供用が可能となる。
【0048】
(請求項11)ボルト10には導入張力用の目印31が設けられている。
この場合、締付ナット11の締込み状況を至近の位置にある目印31で確認することにより、一定の張力を確実にワイヤ2に導入することができる。
【0049】
なお、図面で、Hはボルト頭、J及びJ’は位置決め用のナット、Kは上部のワイヤ支持材アングル、Lは上部のワイヤ支持材K及び下部のワイヤ支持材12の取付用ネジ、Mはワイヤ止、Nは補強部材である。
【符号の説明】
【0050】
1 緑化用資材
1a〜1d 単位
2 ワイヤ
2a 基端部
2b 他端部
3 ステー
P 緑化面
P’ 下部
S 植物
B プランター
K ワイヤ支持材
L 取付ネジ
4 張力導入機構
51 引きバネ
52 押しバネ
53 巻付けバネ
54 板バネ
6 緊張装置
71、72 コイル部
81、82 固定的係合部
91、92 可動的係合部
10 ボルト
H ボルト頭
J、J’ ナット
11 締付ナット
12 ワイヤ支持材
13 水平面
14 ばか孔
15 突出部
16、17 腕部
18 カバー
19 側壁
20 端壁
21 収容部
22 ばか孔
23 取付部
24、25 板材
26 バネ空間
27、28 挿通孔
29、30 透孔
31 目印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行する1対のワイヤと、該ワイヤ間に架着されたステーで構成されていることを特徴とするワイヤ型の緑化用資材。
【請求項2】
該ステーは梯子状に配設された複数本となっている請求項1に記載のワイヤ型の緑化用資材。
【請求項3】
該ステーは、かしめ、楔、コイル、接着及び溶接の内の一つで該ワイヤに取付けられている請求項1又は2に記載のワイヤ型の緑化用資材。
【請求項4】
該ステーはあみだくじ状配置の一部を構成するランダム配置となっている請求項1、2又は3に記載のワイヤ型の緑化用資材。
【請求項5】
請求項1から4の一つの項に記載のワイヤ型緑化用資材の該ワイヤを緑化面上に張設し、その基端部は張力導入機構を介して、また他端部は直接に、それぞれ該緑化面に繋止することを特徴とするワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項6】
該緑化面は立面で、該張力導入機構は該緑化面の下部に配設されている請求項5に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項7】
該張力導入機構は引きバネと緊張装置を包含し、
該引きバネはコイル部を有し、該コイル部を挟んで一端に固定的係合部を、他端に可動的係合部を備え、
該緊張装置はボルト、締付ナット及び該緑化面に取り付けられた下部のワイヤ支持材を備え、
該ワイヤを該引きバネに連結し、該引きバネの該固定的係合部と該可動的係合部を該ボルトに係合し、該ボルトを該ワイヤ支持材の水平面に穿ったばか孔に該ワイヤ側から緩通し、該水平面からの突出部に該締付ナットを螺合して構成される
請求項5又は6に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項8】
該張力導入機構は押しバネと緊張装置を包含し、
該押しバネはコイル部を有し、該コイル部を挟んで一端に固定的係合部を、他端に可動的係合部を備え、該固定的係合部と該可動的係合部は、該コイル部の各端部から、該押しバネの側面視及び平面視で交差する状態で、突出た腕部の端部に位置し、
該緊張装置はボルト、締付ナット及び該緑化面に取り付けられた下部のワイヤ支持材を備え、
該ワイヤを該押しバネに連結し、該押しバネの該固定的係合部と該可動的係合部を該ボルトに係合し、該ボルトを該ワイヤ支持材の水平面に穿ったばか孔に該ワイヤ側から緩通し、該水平面からの突出部に該締付ナットを螺合して構成される
請求項5又は6に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項9】
該張力導入機構は巻付けバネ、カバー及び緊張装置を包含し、
該巻付けバネはコイル状で、
該カバーは側壁及び端壁で規制された収容部、該端壁に穿ったばか孔及び該ワイヤの取付部を有し、
該緊張装置はボルト、締付ナット及び該緑化面に取り付けられた下部のワイヤ支持材を備え、
該ワイヤを該取付部に連結し、該ボルトに該巻付けバネを卷装して該カバーに装入し、該ボルトを該ばか孔から外部へ突出させて該ワイヤ支持材の水平面に穿ったばか孔に該ワイヤ側から緩通し、該水平面からの突出部に該締付ナットを螺合して構成される
請求項5又は6に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項10】
該張力導入機構は板バネと緊張装置を包含し、
該板バネは一対の湾曲した板材を両板材間にバネ空間が形成されるように対設したもので、両端部に該ワイヤの挿通孔が穿たれ、該バネ空間部分に透孔が穿たれており、
該緊張装置はボルト、締付ナット及び該緑化面に取付けられた下部のワイヤ支持材を備え、
該バネ材の該挿通孔に該ワイヤを挿通し、該ボルトを該透孔に緩通して該ワイヤ支持材の水平面に穿ったばか孔に該ワイヤ側から緩通し、該水平面からの突出部に該締付ナットを螺合して構成される
請求項5又は6に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。
【請求項11】
該ボルトには導入張力用の目印が設けられている請求項7から10の一つの項に記載のワイヤ型の緑化用資材の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−213372(P2012−213372A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82052(P2011−82052)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(500146484)ダイトウテクノグリーン株式会社 (12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(300013258)大島造園土木株式会社 (10)
【Fターム(参考)】