説明

ワイングラス

成形プラスチックから作られたワイングラスは、ワインの目視検査を向上させるための中央パントを包囲する環状の堀を構成する、起伏を有する下ベースと組み合わせて、ワインの香りを集めるための上方に狭まったフリュームを構成する上本体を有する。更に、上本体は、その外側に設けられていて、組み立てられたグラスの指先による掴みおよび取扱いを容易にするための棚を形成するノッチ付きくぼみを更に有する。一形態では、ワイングラスの上本体および下ベースは、ワイングラスを形成するために組み立てられるように、および、それぞれコンパクトに積み重ね可能に分解されるようになった別々のモジュールとして提供される。別の形態では、ワイングラスは、上方に狭まったフリュームを積み重ね体で上に位置するグラスの下ベースの裏側に部分的にネスト状に受け入れることによってコンパクトに積み重ねられるようになった一体構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、比較的軽量で且つ費用効果の良いプラスチック材料から作ることができるワイングラスの改良に関する。本発明は、特に、モジュラー構造または単体構造の改良型ワイングラスであって、組み立て状態のワイングラスを容易に掴め、選択されたワインの香りおよび視覚的特性の検査を容易にするよう、かかるワイングラスが形作られており、更に、複数個のワイングラスまたはこれらのモジュラー構成要素が輸送および/または保管の便宜のために比較的コンパクトに積み重ね可能に形作られているワイングラスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワインは、通例、小規模から大規模まで、また、インフォーマルからフォーマルまで多種多様な社会的会合やイベントで出されている。この点に関し、一般に、いかなる所定のワインの嗅覚的特性、視覚的特性および味覚的特性は、上方に且つ内方にテーパした上フリューム(flume)に対し断面サイズが大きくなった丸形またはボウル形の底部を備えた伝統的な透明ワイングラスの使用によって最も良く提示されると共に、最も良く判断されるということが認識されている。この古典的なワイングラスの形状は、少量のワインをグラスのボウル形底部内で渦巻かせることによりワインの色やメニスカスおよび他の視覚的特性の精密な目視検査を可能にし、狭まっている上フリュームは、感覚的探知および楽しみを促進するためにワインの香りを集める傾向がある。伝統的には、かかるワイングラスは、典型的には円板形の下ベースから上方に突き出た細い脚部上にグラスのボウル形底部を支持することによって、ガラスから作られている。
【0003】
しかしながら、ガラスから作られたワイングラスは、脆く、かくして、通常の使用中並びに輸送中および使用前の取り扱い中、更に、洗浄、乾燥および保管場所へのグラスの戻しを含む使用後の取り扱い中に破損しやすい。更に、ガラスで作られた1組のワイングラスは、特に多数のグラスが社交的行事で用いられることが必要な場合、比較的コスト高である場合がある。さらに、狭まった上フリュームを含む伝統的なワイングラスの形状では、本来的に、空間利用効率の良い輸送および保管のための多数個のグラスのコンパクトな積み重ねができない。
【0004】
その結果、比較的安価で且つ実質的に破損しない成形プラスチックから作られた代替品としての飲用容器またはカップが、伝統的なガラスで作られたワイングラスに代えてワインを提供するためにしばしば用いられる。かかるプラスチック成形カップは、比較的安価であり、かくして1回の使用後に処分するのに適している。幾つかの形態では、かかる成形プラスチックカップは、ワインの種々の視覚的、嗅覚的および味覚的特性を高めるよう設計された表面特徴部を備えている。これについては、例えば、米国特許第6,409,374号および同第6,644,846号(これらを参照によりここに援用する)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,409,374号明細書
【特許文献2】米国特許第6,644,846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる成形プラスチックカップは、通常、上方に広がった断面形状を備えており、したがって、カップをコンパクトな積み重ねアレイの状態で輸送したり保管したりすることができるが、この上方に広がった形状は、ワインの香りを集めることはない。したがって、プラスチック成形カップは、一般に、或る特定のヴィンテージに起因する全部の特性を最も有利に最適に表示することとは相容れず、ワインのプレゼンテーションおよび楽しみを最適化することはない。
【0007】
したがって、成形プラスチックから作られたタイプのワイングラスであって、ワインのプレゼンテーションおよび楽しみを最適化するよう形作られたワイングラスの一層の改良が要望されている。本発明は、これら要望に応え、更なる関連の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、成形された好ましくは透明なプラスチックで作られたワイングラスは、ワインの目視検査を向上させる、中央パントを取り囲む環状の堀を構成する起伏を有する下ベースと組み合わせて、ワインの香りを集めるための上方に狭まったフリュームを構成する上本体を有する。更に、ワイングラスの上本体はその外側に、組み立てられたグラスの指先による掴みおよび取扱いを容易にし、それに対応してワイングラス内に入っているワインの香りおよび視覚的特性の精密な検査を容易にするための、全体として水平に且つ上方に存在する棚を構成するノッチ付きくぼみを更に有する。
【0009】
本発明の好ましい一形態では、ワイングラスの上本体および下ベースは、別々に形成されたモジュラー構成要素から成り、これらモジュラー構成要素は、例えば、射出成形等により形成される。モジュラー上本体は、中央パントを取り囲む下環状堀と組み合わせて上方に狭まったフリュームを有する組み立てられたワイングラスを形成するよう、モジュラー下ベースと迅速且つ容易に、実質的に漏れないように組み立てられるようになっている。この中央パントは、環状堀内に入っているワインの視覚的検査を向上させるための上方に凸の、ほぼ半球形の形状を有するのが良い。モジュラー上本体および下ベースは、別々のモジュラー構成要素をそれぞれコンパクトに積み重ねることができるよう迅速且つ容易に分解されるようになっている。
【0010】
本発明の別の好ましい形態では、ワイングラスの上本体および下ベースは、中央パントを取り囲む下環状堀と組み合わせて上方に狭まったフリュームを構成するよう、例えば吹き込み成形等により単体構造または一体構造を備えており、外部ノッチ付きくぼみを更に備えている。中央パントは、計量されたワインの量の注ぎ込みを受けるための所定のまたは計量された容積の上方に凹の中央内側カップの境界を定めるのが良い。一体形グラスは、上方に狭まったフリュームを隣接の環状堀に対して内側のあるいは半径方向内方の位置で積み重ね体中で上に位置するグラスの下ベースの裏側のところに形成された環状キャビティ内に少なくとも部分的に嵌め込むことにより充填状態または非充填状態でコンパクトに積み重ねられるようになっている。
【0011】
一形態では、本発明のワイングラスは、プラスチックまたは箔を基材とするパウチまたは袋の中に入っている一杯分の選択されたワインまたは他の飲料を収容している状態で市場で売ることができる便利且つコンパクトな市販ユニットとなる。パウチまたは袋は、最初に、パウチまたは袋に貼り付けられたラベルが外部から容易に見えるよう透明なガラスを通して見えることができるワイングラス内の位置に収容される。通常、パウチまたは袋を収納したワイングラスの頂部を閉じて製品の衛生状態を保つための、取り外し可能なキャップのようなシール部材が備えられる。使用にあたり、パウチまたは袋へのアクセスおよびその取り出しのためにシール部材を取り除き、次にパウチまたは袋を開けてその中の内容物をワイングラス内に注ぎ込む。使用後、市販ユニット全体を経済的に処分することができる。
【0012】
本発明の他の特徴および他の利点は、本発明の原理を例示的に示す添付の図面と関連して行われる以下の詳細な説明から一層明らかになろう。
【0013】
添付の図面は、本発明を示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい一形態により構成されたモジュールワイングラスを示す斜視図である。
【図2】全体として図1の2−2線に沿ったモジュールワイングラスの拡大垂直断面図であり、取り外し可能な蓋を分解図で示す。
【図3】モジュールワイングラスを形成する構成要素の組み立てを示す分解斜視図である。
【図4】全体的に図2の円で囲んだ領域4に対応した部分拡大断面図である。
【図5】コンパクトな積み重ね関係に配置された複数個のワイングラスの、多数の上本体構成要素を示す拡大垂直断面図である。
【図6】コンパクトな積み重ね関係に配置された複数個のワイングラスの、多数の下ベース構成要素を示す拡大垂直断面図である。
【図7】図2と同様の垂直断面図であるが、本発明の別の好ましい形態を示す。
【図8】図5と同様の垂直断面図であるが、図7の実施形態により構成された複数個のワイングラスをコンパクトな積み重ね関係で示す。
【図9】全体的に図8の円で囲んだ領域9に対応する部分拡大断面図である。
【図10】全体的に図8の円で囲んだ領域10に対応する部分拡大断面図である。
【図11】一杯分のワイン等を収容したパウチまたは袋を収容した状態で組み合わせた、本発明により構成されたワイングラスを示す正面側斜視図である。
【図12】図11と同様の正面側斜視図であるが、パウチまたは袋がワイングラスから取り出され、その内容物がワイングラスに注ぎ込まれた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示の図面に示されているように、図1に全体として参照符号10で示されているワイングラスは、成形プラスチックから作られている。好ましい一形態(図1〜図6)では、ワイングラスは、特にワインを飲み、および/または試飲するのに適した漏れない飲用容器(図1〜図4)を提供するよう迅速且つ容易に組み立て可能になっている別々に形成されたモジュラー構成要素により構成されるモジュラー構造を有し、これらプラスチックモジュラー構成要素は、更に、非組み立て状態ではコンパクトにネスト状態で積み重ねられるようになっている(図5および6)。別の好ましい形態(図7〜図10)では、変形ワイングラス110は、充填状態または非充填状態において比較的コンパクト且つ部分的にネスト状態で積み重ねられるようになった単体あるいは一体構造を有する。いずれの実施形態も便利な市販ユニット200(図11および図12)の状態に一体化することができ、この場合、透明なワイングラス210は、軟質パウチまたは袋260内に収容された一杯分のワインまたは他の飲料と組み合わせて提供される。
【0016】
本発明のワイングラスは、特定のワインに起因する特性のほぼ全ての楽しみを増すように設計された幾何学的形状を備えている。より具体的に言えば、ワイングラスは、ワインの芳香または香りを集めるための、断面形状が上方に狭まった上フリューム(flume)12を有している。更に、ワイングラスの下領域または底部は、凹んだ環状の堀(moat)18により包囲された中央の直立パント(punt)16を構成する起伏を有する下ベース14を有し、パント16および堀18は、堀18内に入れられる、および/または渦を巻く少量のワインの目視検査を向上することができる。更に、ワイングラスは、指先を都合良く当てることができるよう寸法決めされた比較的浅く、上方に存在し、実質的に水平の外部棚22を構成する外部ノッチ付きくぼみ20を有し、それにより、ワイングラスの指先による掴みおよび取り扱いが容易になる。これらの特徴の全ては、プラスチック成形法による形成に適した比較的簡単な且つ費用効率の良い構造で提供される。
【0017】
図1〜図4に示されているように、例示的なモジュラー(モジュール式)ワイングラス10は、下ベース14と組み合わせた上シェル形本体24を有し、これら2つの構成要素またはモジュールは、各々、プラスチック成形法等により構成され、次に、実質的に漏れない関係で組み立てられるようになっている。様々な異なるプラスチック材料を用いることができるが、好ましいプラスチック材料の1つは、組み立てられたグラス内に入っているワインのような飲料の精密な目視検査の助けとなる密度、強度および透明度を備えると共に射出成形等によるモジュラー構成要素の比較的経済的な生産に適した実質的に透明なポリスチレン等から成る。
【0018】
上本体24は、下端部から上方に延び、射出成形法による形成を可能にするよう少なくとも幾分かの半径方向内方テーパをもち、適当に形づくられた金型キャビティまたはダイ(図示せず)からの成形本体24の迅速な且つ容易な取り出しを可能にするほぼ円形の断面形状を備えている。本発明の重要な一側面によれば、このほぼ円筒形のテーパした上本体の上領域は、フリューム12を有し、このフリュームは、よりシャープにまたはより著しく半径方向内方にテーパした断面形状を有し、脆いガラス材料から作られた従来型ワイングラスの内方にテーパした上フリュームゾーンとぴったりと対応し、断面サイズの減少した上開口26で終端している。断面領域が上方に狭まったこのフリューム12は、有益には、組み立てられたモジュラーグラス10内に入っているワインの芳香または香りを集める。
【0019】
少なくとも1つの環状シールリブ28(図4に最も良く示されている)が、上本体24の内部にその下端部から近接して間隔を隔てられた場所に形成されている。このシールリブ28は、下ベース構成要素14のほぼ円筒形の外壁32の外側に形成された全体として噛み合う形状のシール溝30(図3および4)内での干渉、好ましくはスナップ嵌めの受け入れのために、寸法決めされ、形づくられている。これら2つの構成要素を互いにスナップ嵌めで組み合わせたときに、上本体24の下縁部の上に重なってこれを圧迫する半径方向外方に突き出たリップ34を外壁32の下縁部のところに形成するのが良い。シールリブ28および関連したシール溝30は、かくして、組み立てられたグラス内に収容された液体のレベルよりも下に配置されるのが良い実質的に密封状態の、あるいは漏れない相互連結部あるいは接合部を提供するために、寸法決めされ、形づくられている。
【0020】
変形例として、シールリブ28とシール溝30の位置を逆にしても良く、即ち、シールリブ28を、上本体24内にその下端部の近くで形成された関連したシール溝30内での干渉、実質的にはスナップ嵌めの受け入れのために、下ベース14の外壁32に形成しても良いことを、当業者であれば認識すると共に理解するであろう。更に、所望ならば、シールリブ28およびシール溝30の一方または両方を、硬化性のシリコンを主成分とするゲルまたは同様の弾性シール材料のような薄膜シール剤で被覆するのが良い。
【0021】
下ベース14の外壁32の上縁部は、外側環状セグメント36により構成された半径方向内方に延びるベースプレートと一体に成形され、この外側環状セグメント36は、軸線方向に心出しされ、好ましくは上方に凸の半円または半球形のパント16と協働して、これらの間に上方に開いた凹み環状堀18を形成する。図示のように、パント16の垂直方向寸法は、好ましくは、外側セグメント36の平面よりも少なくとも短い距離だけ上方に延びている。外側セグメント36の平面の下に位置する容積により定められる堀18の結果として得られる容積は、好ましくは、約1流体オンス(28.35g)のオーダーの容積、あるいは所定量のワインのような飲料を収容する所定の容積、例えば、試飲して特定のワインの特性を評価するのに適した他の選択された容積から成る。成形され、好ましくは透明なプラスチック材料から作られたパント16の形状は、有益には、光が堀18内に入っているワインを通過するのを促進し、これに対応してワインの色、透明度およびメニスカスの目視検査を向上させる屈折レンズまたは反射レンズとして機能する。
【0022】
本発明の重要な一側面によれば、外側環状セグメント36は、下ベース構成要素14のための半径方向に剛性の構造を形成するために、凹んだ堀18および中央パント16の形状と効果的に協働する。したがって、上本体24をシールリップ28の領域で内方に押すことにより半径方向内方の圧力が下ベース14に加えられる結果として、下ベース14の半径方向内方への変形が生じるということはない。下ベース14のかかる半径方向内方の変形は、互いに嵌まっているシールリブ28とシール溝30を撓ませて望ましくなく、その結果として、シール構造を越える液体の望ましくない漏れが生じる恐れがある。下ベース14の剛性の幾何学的形状は、かかる漏れが生じるのを阻止するよう機能する。
【0023】
図5に示されているような非組み立て状態では、複数個のプラスチック成形された上本体構成要素24を簡便な、空間の利用効果の良い、輸送および/または保管のためのコンパクトなネスト状または積み重ねアレイに組み立てることができる。同様の方法で、図6に示すような非組み立て状態では、複数個のプラスチック成形された下ベース構成要素14を同様にコンパクトな輸送および/または保管のためのコンパクトなネスト状アレイに積み重ねることができる。これらの構成要素24,26を所望ならば迅速且つ容易にスナップ嵌めで組み立てることができ、それにより組み立てられたモジュラーワイングラス10を形成することができる。使用後、プラスチックグラス10を破棄しても良く、或いは、所望ならば、再使用の準備として適当なクリーニングおよびコンパクトな保管のために分解することができる。
【0024】
本発明の更なる側面によれば、上本体構成要素24は、その外側に、好ましくは組み立てられたモジュラーグラス10の垂直方向中点の近くの位置にくぼんだノッチ20を有する。このくぼんだノッチ20は、その下端部のところが部分的に、実質的に水平な棚22によって構成され、この棚は、比較的幅が狭いが、例えば人の親指の先端により指先で都合よく掴めることを可能にするように、十分な水平方向深さを備えている。この棚22の外縁部は、指先による掴みおよび操作を更に向上させるための、短くて直立し且つほぼ水平に細長いリブ38を有するのが良い。したがって、組み立てられたモジュラーワイングラス10を、その中に入っているワインを検査したり飲んだりしている間、親指および人差し指のような指先で容易に掴んだり取り扱ったりすることができる。
【0025】
この点で、親指でリブ38付きの棚22を容易に掴め、人差し指および/または中指を下ベース14に当て、および/またはほぼリップ34の下方の周辺または周縁に当てて組み立てられたグラス10を持ち上げ、グラス内に入っているワインの最適な検査のために、組み立てられたグラス10を実質的に目および鼻の高さまで容易且つ都合よく持ち上げることができる。指先で掴むモジュラーグラス10をノッチ付き棚22および関連したリブ38により容易に保持して取り扱い、グラス内に入っているワインの香りを楽しみ、および/または格付けしている間、グラス10を人の鼻の近くに保持することができる。更に、ノッチ付き棚22は、持っている人の目の近くで渦を巻かせるためのグラスの更なる操作を容易にし、それにより、特にパント16に由来して高められた照明効果に起因して、環状の堀18内でまたはこれを実質的に満たした状態でグラスの下端部内に入っている少量のワインを目視検査することができる。重要なこととして、ワイングラス10のかかる取り扱いおよび持ち上げを、上本体24または下ベース14の広い表面領域を掴まないでまたは汚さないで行える。さらに、グラス10のかかる指先による取り扱いは、人の体とグラスの表面領域接触度を最小限にし、それにより、また、人からグラス内に入っているワイン等への望ましくない熱伝達が最小限に抑えられる。棚22は、ワインを飲んでいる間、モジュラーグラス10の取り扱いに更に便宜を図る。
【0026】
所望ならば、取り外し可能な蓋40が更に、例えば射出成形等により成形プラスチックから作られた第3の構成要素として設けられ、かかる蓋は、組み立てられたグラス10の口26を閉鎖するために上本体構成要素24に例えばスナップ嵌め連結により取り外し可能に取り付けられるようになっている。この蓋構成要素40は、開いた口26の上に位置する寸法と形状を持つ、ほぼ円形の円板の形態で図2および図3に示されており、この蓋構成要素は、口26内にスナップ嵌め受け入れのために寸法決めされた垂下した環状リップ42を更に有している。この構成では、蓋構成要素40を所望に応じてグラスと組み立てたりこれから取り外したりすることができる。蓋40(または上本体24)は、ラベル(図示せず)を更に有するのが良く、あるいはグラス内に入っているヴィンテージを識別するための書き込み可能なつや消し領域(これもまた図示せず)を有するのが良い。さらに、非組み立て状態では、複数個の蓋構成要素40もまた、都合の良い輸送および保管のためにコンパクトなアレイ(図示せず)に積み重ねることができる。
【0027】
図7〜図10は、本発明の別の好ましい形態を示しており、変形ワイングラス110は、単体または一体構造を有するが、その他の点においては、図1〜図6に図示すると共にこれを参照して説明した実施形態に共通の参照符号で識別された構造的および機能的特徴を備えている。
【0028】
特に、垂直断面の図7に示されているように、変形ワイングラス110は、図1〜図6の実施形態とほぼ一致したほぼ円筒形の断面形状を有する上本体24を有し、この上本体は、開いた口26の上縁または上側周縁で終端している上方に狭まった上側フリューム12を有している。上本体24の下縁または下側周縁は、下ベース14の一体構造に一体的に接合されている。上本体24は、浅い棚22および関連した隆起リブ38を構成するノッチ付き外部くぼみ20を更に有している。この一体形ワイングラス110もまた、好ましくは、軽量且つ比較的経済的であり、好ましくは、PETプラスチック等のような吹き込み成形工程に適したプラスチック材料のような透明なプラスチック材料から作られている。
【0029】
一体形ワイングラス110の下ベース14は、上本体24の下方領域と中央の直立したパント16との間でグラス内部容積部の下周囲で協働的に構成された環状の堀18を有している。この実施形態では、パント16は、上本体24の下周縁から比較的急な角度で上方且つ内方に角度をなして延びるよう形成されている直立した環状壁を構成し、堀を構成する壁は、約10°〜20°のオーダの夾角をなして互いに上方にそれている。この幾何学的形状により、堀18内に入っているワインの視覚的特性の広範囲な且つ向上された視認が得られる。
【0030】
更に、パント16により構成されている、内側の堀を形成する壁は、計量された量のワインを注ぎ込んで受け入れるための所定のまたは計量された液体容積の、上方に開き且つ上方に凹の中央内側ボウルまたはカップ44と境界を定める関係をなしてその上周縁部のところで接合されている。この中央カップ44は、カップ44内に入っているワインを通過する光を向上させ、これに対応してワインの色、透明度およびメニスカスの目視検査を向上させるための屈折レンズまたは反射レンズとして機能する下方に凸の幾何学的形状により構成されている。変形例として、当業者であれば理解されるように、図7および図8に示された直立パント16は、図1〜図6に示されているような上方に凸の形状を有しても良く、或いは、図1〜図6に示されたパント16は、中央カップ44を有しても良い。
【0031】
使用にあたり、図7および図8に示された変形ワイングラス110は、計量された量のワインが上方に開いた中央ボウルまたはカップ44内に注ぎ込まれ受け入れるようになっている。ワイングラス110を図1〜図6に関して上述したように掴んで取り扱い、それによりカップ44内のワインを目視検査するのことができる。更に、ワイングラスを操作して傾け、それによりワインをカップ44から周囲堀18内に移すことができ、それにより上述したような更なる視覚的および嗅覚的検査を行うことができる。ワイングラス110のかかる取り扱いは、人の指先とグラスとの間の表面接触を最小限にした状態で、例えば、親指および人差し指(および/または中指)がそれぞれ、くぼんだノッチ20および上本体24とパント16を形成している上方に延びる壁との接合部により構成された下周縁に位置するようにグラスを掴むことにより、実質的に指紋または他の汚れによるワインの視認を歪めることなしに、容易に達成される。
【0032】
特に、中央カップ44は、飲料の視認、計量およびテイスティングを向上させる目的でワインのような液体飲料を受け入れるように設計されている。好ましい形態では、中央カップ44は、グラスの開いた上方の口とほぼ整列した比較的広く、上方に存在し、且つ上方に開いた表面領域を構成し、したがって、飲料の相当な部分が跳ねることなく、または、さもなければ周囲の堀18の中に入ったりまたはこれを満たしたりすることなく、飲料を上から中央カップ44内に直接注ぎ込むことができるようになっている。この点で、カップ44により画定された円周開口部は、口26とほぼ同軸に整列し、かかる円周開口部は、口26の円周サイズの少なくとも約1/2、好ましくはこれと実質的に等しい円周サイズを有する。好ましい幾何学的形状では、上本体24のテーパしたフリュームの幾何学的形状は、周囲堀18の、少なくとも部分的に、好ましくは完全に上に位置し、その結果、口26を介する堀18内への飲料の直接的な注ぎ込みが、実質的に阻止されるようになっている。即ち、堀18は、好ましい形態では、パント16の最も上の周縁がグラスのリムとほぼ垂直方向に整列した状態で、口26を構成するグラスのリムに対して実質的にアンダーカット位置に位置決めされている。
【0033】
更に、中央カップ44は、適当な視覚的および嗅覚的検査および判断等のために十分ではあるが限定された、好ましくは計量された量の飲料を受け入れる液体容積あるいは容量を構成する。中央カップ44の好ましい容量は、約1/2オンス(14.17g)〜約2オンス(56.70g)、最も好ましくは約1オンス(28.35g)である。
【0034】
中央カップ44は、この検査プロセス中、その中に入っている飲料を渦巻かせるためにグラス110の取り扱いに便宜を図る。グラスを垂直の向きから約45°オーダの角度まで傾けることができ、その結果、飲料を渦巻かせ、制御されまたは調整された流れで、周囲の堀18内に、パント16の最も上方の縁からゆっくりとこぼれるようになっている。このプロセスは、有益には、ワインのような飲料の色や粘度のような特性の吟味および判断を容易にすると共に向上させ、それにより飲料の楽しみが増す。グラス110は、例えばワインの試飲イベントにおける飲料の吟味および分析に特に適している。
【0035】
一体形ワイングラス110はまた、図8に示されているように比較的コンパクトに積み重ねられるようになっている。即ち、各グラス110の下ベース14の裏側は、パント16の直立した壁と下方に凸の中央ボウルまたはカップ44との間に環状キャビティ46を備え、このキャビティ46は、積み重ね体中の下に位置するグラス110の上本体24の上に、上方に狭まったフリューム12を実質的にネスト状に部分的に受け入れることができるような寸法および形状を備えている。特に、フリューム12の上方に狭まったテーパは、パント壁の上方且つ内方にテーパした幾何学的形状に実質的に合うように寸法決めされ、形づくられており、それによって、これら構成要素は、積み重ね時に比較的ぴったりとしている且つ実質的に安定したスライド嵌め相互連結されるように寸法決めされ、形づくられ、本質的に垂直方向に整列している。この幾何学的形状では、個人個人への都合の良いしかも迅速な分配ができるように、多数のグラス110にワインを部分的に入れた状態で、即ち、積み重ねられた各グラス110の中央カップ44内にワインを入れた状態で、確実に且つ安定した方法で積み重ねることができ、または、変形例として、使用前にまたは使用間において比較的コンパクトな輸送および/または保管ができるよう非充填状態で確実に且つ安定した方法で積み重ねることができる。
【0036】
多数のグラス110を確実に且つ安定した方法で積み重ねることは、堀18の上方に延びる内壁またはパント16と中央ボウルまたはカップ44を構成する下方に延びる壁との間の移行部で、各グラス110の裏側に形成された戻り止めチャネル52(図10)と互いに噛み合う形状をなしてスナップ嵌め係合可能な丸い、僅かに拡大された、あるいは厚肉のビード50(図9および図10)を有するよう、各グラスの上リムを開いた口26のところに形成することにより向上される。好ましい形態では、この戻り止めチャネル52は、複数の、典型的には3つまたは4つ以上の円周方向に間隔を隔てられた浅い戻り止め突出部54によって構成されるのが良いが、当業者であれば認識するように、所望ならば環状の戻り止め突出部を用いることができる。かくして、グラス110のスナップ嵌めで噛み合わされた積み重ね体は、グラス110を各々計量された量のワイン等であらかじめ満たすことができ、且つ積み重ね体中の下に位置する各グラスがこれにスナップ嵌めで取り付けられているすぐ上に位置するグラスによって実質的に閉鎖されると共に密封される安定したアレイを提供する。更に、最も上に位置するグラス110または非積み重ねアレイ中の各グラスの丸いビード50を、図2および図3に図示され、説明したタイプのキャップ40(図9では点線で示されている)のスナップ嵌め取り付けのために使用することができる。かくして、あらかじめ充填された積み重ねられたグラス110を分配のために前もって準備することができるが、都合良く且つ迅速な方法で行うことができる実際の分配まで実質的に密封状態に維持できる。
【0037】
本発明の更なる側面によれば、内側ボウルまたはカップ44の湾曲した下方に凸の形状は、本体24の、外方に凸の形状と協働して、或る条件下において一体形グラス110の液体の内容量を拡大させる。特に、カップ44内に入っているワインのような液体は、グラス110の頂部から見て拡大され、それにより液体の特性の検査を容易且つ精密に行うことができる。更に、図示のような例示の形態では、ほぼ、中央ボウルまたはカップ44の頂部よりも約1/2インチ(1.27cm)から、口26を裏打ちするビード付き上リム50よりも約1/2インチ下のところまで延びる領域内に焦点ゾーンが作られると考えられる。この焦点ゾーンあるいは領域内において、グラスがビード付きリム50よりも約1/2インチ下のところまで液体で満たされた状態で、本体24の透明な底部および下側部に入った光に起因した拡大効果が、光を上方に屈折させたときに生じると考えられる。この焦点ゾーン内の液体の正味の効果により、下内側カップ44内の液体が拡大される。
【0038】
図11および図12は、本発明の上述の実施形態により構成できるワイングラス210を示しており、このワイングラス210は、市販ユニット200の一体部分として提供され、この市販ユニットは、密封プラスチックまたは箔を基材とするパウチまたは袋260内に最初に入れられる、例えば一杯分のワインのような飲料を更に有する。
【0039】
特に、ワイングラス210(図11および図12)は、ノッチ付きくぼみ20および関連した外部棚22(図7および図8に示されている)が省かれていることを除き、全体として図7〜図10に示された実施形態と一致して示されている。その代わり、例示的なワイングラス210は、ほぼ円筒形の断面形状を有し、開いた口26の上縁または上側周縁で終端している狭まった上側フリューム12を構成するために上方にテーパした、上本体24を有する一体構造のものである。上本体24の下縁または下側周縁は、一体構造をなして下ベース14に一体的に接合されている。一体形ワイングラス210の下ベース14は、上本体24の下領域と中央直立パント16との間でグラス内容積部の下側周囲で協働して構成された環状の堀18を有している。図7〜図10の実施形態と同様に、中央パント16は、計量された量のワインを注ぎ込んで受け入れるための所定の、あるいは計量された液体容積の、上方に開き且つ上方に凹の中央内側ボウルまたはカップを構成している。好ましい形態では、一体形ワイングラス210は、また、軽量且つ安価であり、透明なプラスチック材料から作られている。
【0040】
図11は、密封パウチまたは袋260が収納された最初の形態にあるワイングラス210を有する市販ユニット200を示している。この点で、パウチまたは袋260は、好ましくは一杯分を示す量で、選択されたワインのような選択された飲料を収容した可撓性プラスチックまたは箔を基材とする構造体を有している。最初の形態では、パウチまたは袋260上のラベル262は、入っている飲料の種類、量、出所識別に関する外部からの容易な視認および読み取りを可能にするために、ワイングラスの透明なプラスチックの上本体24を通して容易に見ることができる。図2に示し記載したタイプの蓋等のようなシール部材40が、通常、内部のグラス衛生状態を維持する方法でグラス210内のパウチ260を閉鎖すると共に密封している。
【0041】
使用にあたり、シール部材40をグラス210の口260から取り除いて、その中に入っているパウチまたは袋260にアクセスしてこれを取り出す。次に、パウチ260を例えば図12に示されているように上ストリップ264を手で引き裂くことにより通常の方法で開封することができる。パウチ260を開封した状態で、パウチ内容物をワイングラス210内に迅速に且つ容易に注ぎ込むことによって、入れるのが良い。使用後、グラス210、パウチ260およびシール部材40を含む市販ユニット200全体を経済的に破棄することができる。
【0042】
本発明の改良されたモジュラーワイングラス10および/または一体形グラス110および/または市販ユニット200の種々の更なる変形および改良が、当業者には明らかであろう。一例を挙げると、変形ワイングラス110は、上本体24に設けられるラベルまたは書き込み可能なつや消しゾーン(図示せず)を更に有するのが良い。更に、当業者であれば理解するであろうように、ワイングラス210および/または関連したシール部材40は、広範な異なる幾何学的形態を取ることができる。したがって、添付した特許請求の範囲の記載を除き、本発明は、上述の説明および添付図面によって限定されることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開いた口を備える飲料用グラスと、
一杯分の飲料を収容し、前記飲料用グラス内に受け入れられた、常態では閉じられている可撓性のパウチと、
前記飲料収容パウチを受け入れた前記グラスの前記開いた口を横切って延びて、前記開いた口を閉じるシール部材との組合せであって、
前記シール部材は、前記飲料収容パウチへのアクセスを可能にしたり前記グラスからの前記飲料収容パウチの取り出しを可能にしたりするために、前記開いた口から取り外し可能であり、前記パウチは、前記一杯分の飲料を前記パウチから前記グラス内に注ぎ込むために、開封することができるようになっている、
ことを特徴とする組合せ。
【請求項2】
前記可撓性パウチには、前記可撓性パウチを手で開封するための切り離しストリップが設けられている、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記シール部材は、前記グラスに取り外し可能にスナップ嵌めで取付けられる蓋を有する、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
前記パウチは、識別ラベルを有し、前記グラスは、前記パウチが前記グラス内に受け入れられているときに前記ラベルを外部から見ることができるために、少なくとも部分的に透明である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
前記グラスは、透明な成形プラスチック材料で作られている、請求項1に記載の組合せ。
【請求項6】
前記グラスは、前記口を画成する上リムで終端するほぼシェル形であり且つ透明な上本体と、前記上本体の下端部に設けられた下ベースとを有し、前記下ベースは、直立した中央パントを包囲する、凹んだ環状の堀を備えている、請求項1に記載の組合せ。
【請求項7】
前記中央パントは、前記パントにより境界が定められた上方に凹の中央内側カップを備え、前記内側カップは、少なくとも約1/2オンス(14.17g)の飲料容量を構成する、請求項6に記載の組合せ。
【請求項8】
前記口を画成するリムは、前記パントと実質的に垂直方向に整列して位置決めされている、請求項7に記載の組合せ。
【請求項9】
前記シェル形本体は、前記上リムで終端する上方に狭まったテーパ付きフリュームを備える、請求項6に記載の組合せ。
【請求項10】
開いた口を備える透明な飲料用グラスと、
一杯分の飲料を収容し、前記飲料用グラス内に受け入れられた、常態では閉じられている可撓性パウチと、
前記飲料収容パウチを受け入れた前記グラスの前記開いた口を横切って延びて、常態では前記開いた口を閉じるシール部材との組合せであって、
前記パウチは、前記パウチに設けられていて、前記グラスを通して見える識別ラベルを有し、前記パウチは、前記パウチに設けられていて、前記パウチを開封することができる切り離しストリップを更に有し、
前記シール部材は、前記飲料収容パウチへのアクセスを可能にするために、且つ、前記グラスからの前記飲料収容パウチの取り出しを可能にするために、前記開いた口から取り外すことができ、前記パウチ切り離しストリップは、前記一杯分の飲料を前記パウチから前記グラス内に注ぎ込むことを可能にするために、前記パウチを開封するようになっている、
ことを特徴とする組合せ。
【請求項11】
前記シール部材は、前記グラスに取り外し可能にスナップ嵌めで取付けられている蓋を有する、請求項10に記載の組合せ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−516584(P2010−516584A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548355(P2009−548355)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/050990
【国際公開番号】WO2008/094747
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508125449)バイ ザ グラス リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】