説明

ワクチンとしての使用のためのエキソソーム成分の改変

本明細書に開示の主題は、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている改変した細胞由来エキソソームを提供する。本明細書に開示の主題は更に、改変エキソソームを作製する方法及びガンを治療するために改変エキソソームを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本明細書に開示の主題は、米国仮特許出願第60/897,645号(2007年1月26日出願;この出願の開示は参照により本明細書中にその全体が組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
政府の権益
本明細書に開示の主題は、一部、国立小児保健・人間発育研究所(National Institute for Child Health and Health Development)(NIH)から授与された助成第HD042674号の下で米国政府の支援を受けてなされた。よって、米国政府は、本明細書に開示の主題に一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本明細書に開示の主題は、ワクチンとしての使用のために改変されたエキソソームに関する。詳細には、本明細書に開示の主題は、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠くように改変された細胞産生エキソソームを利用すること、該エキソソームを産生する方法及び該エキソソームをワクチンとして使用する方法並びにガンを含む障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
ガンは米国における死亡原因の第2位である。1999年には、推定563,100人がガンにより死亡し、毎年約1,222,000の新たなガン症例が診断されている。これらの中でも、充実性腫瘍ガン(例えば、肺ガン、乳ガン、前立腺ガン及び結腸直腸ガン)が最も一般的である。例えば、卵巣ガンは、米国において、婦女子におけるガンに関係する死亡原因の第4位のままであり、26,700より多い新たな症例を生じ毎年14,800人が死亡している。
【0005】
初期の抗腫瘍応答を促すにもかかわらず、従来の細胞傷害性化学療法は、進行したステージの卵巣ガンを有する患者の大多数を治癒することができない。難治性腫瘍における薬物耐性の出現により、免疫学的治療ストラテジーが検討されている。
【0006】
モノクローナル抗体は特異的なガンタイプに関して開発されている。HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)及びCAMPATH(登録商標)(アレムツマブ)が臨床上及び商業上の成功を収めている。しかし、これら医薬品は、宿主免疫系による建設的関与を動員することのない受動的治療のみを提供する。これらはまた、腫瘍退縮を引き起こす最も強力な免疫エフェクター機序であり得るもの(細胞傷害性Tリンパ球(CTL)コンパートメント)を除外している。
【0007】
自己抗原に対する天然の寛容を克服し、強力な抗腫瘍応答を誘導する能動ワクチンを見出すために、相当の努力が世界中の研究室で進行中である。
【0008】
免疫原性を増強するエピトープ増強を有する場合もあるガン胎児抗原(CEA)又はgp100のような腫瘍関連抗原に基づいて、ペプチドワクチンが開発されている(S. A. Rosenbergら,Nat. Med. 4:321, 1998)。サイトカイン、ケモカイン又は同時刺激性分子が見込みのあるアジュバントとして使用されている(J. A Berzofskyら,Nat. Rev. Immunol. 1:209, 2001;J. D. Ahlersら,Proc. Nat. Acad. Sci. USA 99:13020, 2002)。腫瘍抗原に対する能動免疫応答はまた、標的抗原を模擬するが更なる免疫原性を提供するように作製された抗イディオタイプ抗体を用いて、ガン患者において達成されている(米国特許第5,612,030号及び同第6,235,280号)。例えばCEA又は前立腺特異抗原(PSA)をコードするアデノウイルス、ワクシニア、アビポックスをベースにした核酸ベクターもまた臨床試験中である(J. L. Marshallら,J. Clin. Oncol. 18:3964, 2000;M. Z. Zhuら,Clin. Cancer Res. 6:24, 2000;I. M. Belyakovら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:4512, 1999)。
【0009】
腫瘍細胞ワクチンもまた、治療される患者又は類似プロフィールの腫瘍抗原を有する自家供給源のいずれかから採取した腫瘍細胞をベースにしている。これらは、宿主免疫系を動員すると考えられているサイトカイン様GM-CSF又はIL-4を発現するように遺伝子改変されている(J. W. Simonsら,Cancer Res. 59:5160, 1999;R. Soifferら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13141, 1998;E. M. Jaffeeら,J. Clin. Oncol. 19:145, 2001;R. Salgiaら,J. Clin. Oncol. 21:624, 2003)。トランスフェクト腫瘍細胞ワクチンは、前立腺ガン、肺ガン、膵臓ガン及び白血病についての後期ステージの臨床試験中である(R. Salgiaら,J. Clin. Oncol. 21:624, 2003;K. M. Hegeら,Lung Cancer 41:S103, 2003)。
【0010】
このアプローチの改良版は、患者自身の腫瘍細胞を単離し、該腫瘍細胞と膜形態でサイトカイン様GM-CSFを発現するようにトランスフェクトした細胞株とを組み合せることである(米国特許第6,277,368号)。このトランスフェクト細胞は宿主免疫系を動員し、免疫系は次いで、その場に居合わせたもの(bystander)としての腫瘍細胞に対するCTL応答を開始する。別のタイプの細胞性ワクチンは、同種異系活性化(alloactivated)Tリンパ球(これは再度宿主免疫系を動員する役割を演じる)と組み合わされた患者の腫瘍細胞を含んでなる(米国特許第6,136,306号;同第6,203,787号;及び同第6,207,147号)。
【0011】
樹状細胞は、CTLコンパートメントをプライムする腫瘍抗原の提示に中心的役割を演じるので、腫瘍ワクチンとしての自家樹状細胞に相当の研究的興味が存在している(G. Schulerら,Curr. Opin. Immunol. 15:138, 2003;J. A. Berzofskyら,J. Clin. Invest. 113:1515, 2004)。2つの供給源からの樹状細胞をベースにした臨床試験がある:a)末梢血からの精製DC前駆体(L. Fong及びE. G. Engleman,Annu. Rev. Immunol. 15:138, 2003);及びb)末梢血単球からのDC(F. Sallustoら,J. Exp. Med. 179, 1109, 1994)又はCD34+造血始原細胞(J. Banchereauら,Cancer Res. 61:6451, 2001;A. Makensenら,Int. J. Cancer 86:385, 2000)のエクスビボ分化。
【0012】
D. Boczkowskiら(J. Exp. Med. 184:465, 1996)は、RNAでパルスされた樹状細胞が、インビトロ及びインビボで、抗原提示細胞として作用することができることを報告した。S. K. Nairら(Eur. J. Immunol. 27:589, 1997)は、分画されていない腫瘍由来ペプチドでパルスされた抗原提示細胞が腫瘍ワクチンとして作用することができることを報告した。F. O. Nestleら(Nat. Med. 4:328, 1998)は、ペプチド又は腫瘍溶解物でパルスされた樹状細胞を用いる黒色腫患者のワクチン接種を報告した。B. Thurnerら(J. Exp. Med. 190:16169, 1999)は、ステージIV黒色腫におけるmage-3A1ペプチドでパルスされた樹状細胞を用いるワクチン接種を報告した。L. Fongら(J. Immunol. 167:7150, 2001)は、前立腺ガン免疫療法のための樹状細胞ベースの異種抗原(xenoantigen)ワクチン接種を記載した。
【0013】
A. Heiserら(Cancer Res. 61:338, 2001;J. Immunol. 166:2953, 2001)は、腎臓腫瘍RNAでトランスフェクトしたヒト樹状細胞が、原発性及び転移性の腫瘍により発現される抗原に対するポリクローナルT細胞応答を刺激することを報告した。C. Milazzoら(Blood 101:977, 2002)は、腫瘍由来RNAでトランスフェクトした樹状細胞を用いる黒色腫特異的細胞傷害性T細胞の誘導を報告した。Z. Suら(Cancer Res. 63:2127, 2003)は、腫瘍RNAをトランスフェクトした樹状細胞をワクチン接種した転移性腎臓ガン患者における免疫学的及び臨床的応答を報告した。
【0014】
エキソソームベースの免疫療法もまた最近、多大の注目を浴びている。なぜならば、腫瘍由来エキソソームが、CTLクロスプライミング(cross-priming)のための共有される腫瘍拒絶抗原の豊富な供給源であるからである。免疫療法のために、腫瘍エキソソームは、通常、インビボ投与前に樹状細胞に搭載(load)される。インビボ又はインビトロのいずれかでのDC上への抗原搭載を迂回するための新規アプローチが研究されている;しかし、今日まで、エキソソームベースの免疫療法の抗腫瘍効果を改善するエキソソーム自体の改変に関する報告はない。腫瘍エキソソームは潜在的抗原性標的が富化されているようであるが、それらはまた、免疫抑制性及びアポトーシス発生性の活性を発現する。結果として、充実性ヒトガンに対するエキソソームベースの免疫療法は、せいぜい、ほんのわずかな統計学的成功しか示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
不運にも、今日までに探索された免疫学的治療には、免疫抑制性の腫瘍微小環境の存在に主に起因して、病理学的に確証された完全な寛解を高頻度で達成できたものはほとんどない。このように、免疫療法は、罹患した組織(ガンを含む)を特異的に標的し除去する可能性を有しているが、標的とされた組織の免疫抑制性防御を克服できる新たな免疫療法に対する満たされていない必要性が当該分野において依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
要旨
本要旨は、本明細書に開示の主題の幾つかの実施形態を列挙し、そして多くの場合、これら実施形態の変形及び入れ替えを列挙する。本要旨は、多くの種々の実施形態の単なる例示である。与えた実施形態の1又は複数の代表的特徴の言及も同様に例示である。典型的には、言及した特徴を有するか又は有しない実施形態が存在することもある;同様に、特徴は、本要旨に列挙されているかいないかにかかわらず、本明細書に開示の主題の他の実施形態に適用可能である。過剰な反復を回避するために、本要旨は、そのような特徴の可能な全ての組合せを列挙せず、示唆もしない。
【0017】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、細胞から単離したエキソソームが提供される。このエキソソームは1又はそれより多い抗原を含んでなり、かつエキソソーム中に通常見出される1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。或る実施形態では、細胞は、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害するように改変されている。或る実施形態では、このエキソソームは1又はそれより多い外因性抗原を更に含んでなる。
【0018】
或る実施形態では、細胞は、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを含んでなるように改変されている。或る実施形態では、1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドはsiRNAポリヌクレオチドを含んでなる。
【0019】
或る実施形態では、細胞は培養細胞である。或る実施形態では、細胞は、ガン細胞であり、例えば、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である。或る実施形態では、細胞は、UL-1細胞、UL-2、UL-3細胞又はUL-6細胞である。
【0020】
或る実施形態では、1又はそれより多い抗原はガン細胞抗原である。或る実施形態では、ガン細胞抗原は、p53、p63、p73、mdm-2、プロカテプシン-D、B23、C23、PLAP、CA125、MUC-1、cerB/HER2、NY-ESO-1、SCP1、SSX-1、SSX-2、SSX-4、HSP27、HSP60、HSP90、GRP78、TAG72、HoxA7、HoxB7、EpCAM、ras、メソテリン、サービビン、EGFK、MUC-1又はc-mycであり得る。
【0021】
或る実施形態では、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドは、FasL、プログラム死リガンド(programmed death ligand)-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せからなる群より選択される。
或る実施形態では、1又はそれより多い外因性抗原はスーパー抗原を含んでなる。或る実施形態では、スーパー抗原は、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)又はレンサ球菌スーパー抗原(SSA)であり得る。
【0022】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、本明細書に開示のエキソソームを産生する細胞が提供される。
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、本明細書に開示のエキソソームと医薬キャリアとを含んでなる組成物が提供される。
【0023】
更に、本明細書に開示の主題は、或る実施形態では、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている本明細書に開示のエキソソームを製造する方法を提供する。或る実施形態では、この方法は、エキソソームを産生することができる細胞を用意し;細胞による1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害し;細胞により産生されるエキソソーム(このエキソソームは1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている)を単離することを含んでなる。或る実施形態では、この方法は、エキソソームを1又はそれより多い外因性抗原で修飾することを更に含んでなる。この方法の或る実施形態では、エキソソームの単離は、細胞を培養する培地を採集することを含んでなる。
【0024】
また更に、本明細書に開示の主題の或る実施形態では、対象においてガンを治療する方法が提供される。或る実施形態では、この方法は、当該治療を必要とする対象に、ガン細胞により産生される本明細書に開示のエキソソームの有効量を投与することを含んでなる。このエキソソームは、1又はそれより多いガン抗原を含んでなることができ、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。或る実施形態では、治療されるガンは充実性腫瘍である。或る実施形態では、治療されるガンは、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である。或る実施形態では、エキソソームは、静脈内、腫瘍内、皮下、経皮又は腹腔内に投与される。或る実施形態では、このエキソソームは、1又はそれより多い外因性抗原、例えばスーパー抗原を含んでなる。或る実施形態では、対象は哺乳動物である。
【0025】
また更に、本明細書に開示の主題の或る実施形態では、患者における免疫応答を1又はそれより多い抗原に対して刺激する方法が提供される。或る実施形態では、この方法は、当該治療を必要とする対象に、細胞により産生され、1又はそれより多い抗原を含んでなる本明細書に開示のエキソソームの有効量を投与することを含んでなる。或る実施形態では、このエキソソームは1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。
【0026】
したがって、本明細書に開示の主題の目的は、改変されたエキソソーム及び該改変されたエキソソームを使用して疾患(ガンを含む)を治療する方法を提供することである。この目的は、全体又は一部が本明細書に開示の主題により達成される。
【0027】
上記に述べた本明細書に開示の主題の目的及び全体又は一部が本明細書に開示の主題により達成される目的、他の目的及び利点は、本明細書に開示の主題についての以下の説明、図面及び非限定的実施例を熟読後に当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、4つの卵巣腫瘍細胞株(UL1、UL2、UL3及びUL6)によるFasリガンド(FasL)の発現を示す写真である。細胞株は、偽siRNA又はFasLに特異的なsiRNAプライマーのいずれかで処理した。FasLの発現はまた、siRNA処理細胞からの腫瘍由来エキソソーム上でのFasL発現でアッセイした。影響しないタンパク質についてのコントロールとして胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)のレベルを決定した。このゲルは、ウェスタンイムノブロッティングによる発現を規定する。
【図2】図2は、必須活性化シグナル伝達タンパク質CD3ζ及びJAK3の発現に対する、T細胞と同時インキュベートした腫瘍由来エキソソームの結果を示すゲルの一対の写真である。このゲルは、ウェスタンイムノブロッティングによるシグナル伝達分子の発現を規定する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本明細書に開示の主題の1又はそれより多い実施形態の詳細を下記の説明に示す。本明細書に開示の主題の他の特徴、目的及び利点は、詳細な説明、図及び特許請求の範囲から明らかになる。本明細書中で言及した全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示するポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の幾つかは、GENBANK(登録商標)のアクセッション番号を相互参照する。GENBANK(登録商標)データベース中で相互参照される配列は、参照により明示的に組み込まれ、GENBANK(登録商標)又は他の公開データベースに存在する等価な配列及び関連する配列も同様である。本明細書に開示された配列に関連するGENBANK(登録商標)データベース中に存在する全ての注釈もまた、参照により本明細書中に明示的に組み込まれる。矛盾する場合には、本明細書(定義を含む)が支配する。
【0030】
長年の特許慣習に従い、本願(特許請求の範囲を含む)で使用するときには、用語「a」、「an」及び「the」は「1又はそれより多い」を意味する。
【0031】
他に指摘しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において用語「約」で修飾されていると理解すべきである。したがって、反対の指摘がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数的パラメータは、本明細書に開示の主題により得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、質量、重量、時間、容量、濃度又はパーセンテージの値又は量に言及するとき、指定された量から、或る実施形態では±20%、或る実施形態では±10%、或る実施形態では±5%、或る実施形態では±1%、或る実施形態では±0.5%、或る実施形態では±0.1%の変動を包含することを意味する。なぜならば、このような変動は開示された方法を実施するために適切であるからである。
【0033】
他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本明細書に開示の主題が属する分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似するか又は等価である任意の方法、デバイス及び材料が本明細書に開示の主題の実施又は試験に使用することができるが、代表的な方法、デバイス及び材料をここで記載する。
【0034】
活性化した細胞タイプ(リンパ球、樹状細胞、胚性細胞を含む)の一般的特徴は、ベシクル膜材料(マイクロベシクル又はエキソソームと名付ける)を放出する能力である。エキソソームの放出は細胞間連絡の重要な特徴であるようである。活性化した免疫細胞からのエキソソームは、「活性化誘導細胞死」(AICD)を惹起することによりリンパ球及び樹状細胞の機能を変調する(modulate)。リンパ球及び樹状細胞は活性化後にエキソソームを放出するようであり、これらは免疫調節、過剰な免疫応答の防止及び自己免疫の発現において必須の役割を演じているようである。ガン細胞もまた、エキソソームを放出することが証明されている。しかし、免疫細胞エキソソームとは対照的に、ガン細胞エキソソームは、該ガン細胞エキソソーム中に免疫抑制性ポリペプチドを含むことを通じて、免疫系による免疫学的監視及び腫瘍の認識を現実に回避することができる免疫細胞エキソソーム経路の複製を構成し得る。ガン細胞によるエキソソームの産生は、何故ガンを標的する多くの免疫療法が所望するほどには治療的に有効でないかを説明するための助けとなり得る。詳細には、ガン由来エキソソーム内の免疫抑制性ポリペプチドの存在は、治療を必要とする対象における所望の免疫応答を弱めることによって、免疫療法的エキソソームガン治療の効果的な使用を阻害することがある。
【0035】
本明細書に開示の主題は、治療用腫瘍抗原送達システムにおける使用のためにエキソソームを改善する少なくとも2つの革新的アプローチを提供する。第一は、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドが発現することを抑制し、及び/又は細胞(例えば、ガン細胞)に由来するエキソソームから除去することができる。或る実施形態では、siRNA抑制を利用して、1又はそれより多い腫瘍由来の免疫抑制性ポリペプチドの発現を減少させるか又は排除する。第二には、本明細書に開示の主題のエキソソームを改変して、1又はそれより多い外因性抗原(例えば、「スーパー抗原」)を含ませ、エキソソームのT細胞刺激性活性を増強することができる。或る実施形態では、エキソソーム中に外因性抗原を導入するためにタンパク質移入技法を利用することができる。
【0036】
siRNA抑制の使用は、免疫抑制性ポリペプチドの選択的抑制を提供する一方で、腫瘍エキソソームの腫瘍抗原に富む性質を維持する。腫瘍エキソソームの免疫原性特性を更に増強するために、タンパク質移入を使用して、細胞表面上に標的タンパク質(例えば、スーパー抗原)を発現させることができる。例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)は、DC MHCクラスII分子と複合体を形成する、強力なT細胞刺激性活性を有するスーパー抗原である。以前の研究により、SEA係留腫瘍細胞は抗腫瘍免疫応答を誘導できることが証明されている。エキソソームは、腫瘍抗原に富むマイクロベシクルであるので、タンパク質移入に最適な標的である。
【0037】
本明細書に開示の新規治療用エキソソームは、免疫系標的化の亢進及び天然に産生されるエキソソーム中に通常見出される1又はそれより多い免疫抑制性分子(例えば免疫抑制性ポリペプチド)の減少又は削除(例えば、siRNA抑制技法による)のために、標的タンパク質足場(anchorage)と組み合せる。これら新規免疫療法的エキソソームは、確立した腫瘍の退縮及び初期腫瘍発現の防止を誘導する最適なツールを提供する。CD4+及びCD8+T細胞は共にSEAに応答して増殖し、その結果サイトカイン(例えば、IFN-γ及びIL-2)の産生増大を生じることが示されている。ガン抗原に富むエキソソームの使用は、効率的な治療に必要な特異性を提供する。外因性スーパー抗原が係留され、免疫抑制性ポリペプチドを欠くように改変された本明細書に開示の腫瘍由来エキソソーム表面は、現在のいずれのアプローチよりも効率的なTh1応答及び腫瘍特異的CTLを誘導することができる。
【0038】
このように、本明細書に開示の主題の或る実施形態では、エキソソームを産生する細胞から単離したエキソソームが提供される。或る実施形態では、このエキソソームは、目的の1又はそれより多い抗原を含んでなり、細胞により産生されるとき、そうでなければエキソソーム中(エキソソームの表面上を含む)に見出される1又はそれより多い免疫抑制性分子を実質的に欠いている。或る実施形態では、この免疫抑制性分子はmiRNA又はポリペプチドである。
【0039】
用語「単離した」は、単離したDNA分子又は単離したポリペプチドの文脈で使用する場合、ヒトの手によって天然環境から離れて存在し、したがって天然産物ではないDNA分子又はポリペプチドである。単離したDNA分子又はポリペプチドは、精製された形態で存在するか、又は非天然環境(例えば、トランスジェニック宿主細胞)に存在することができる。
【0040】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」(これらは、本明細書中で相互に交換可能に使用される)とは、サイズ、機能に関わらず、20のタンパク質アミノ酸又はアミノ酸アナログのポリマーをいう。「タンパク質」はしばしば比較的大きなポリペプチドへの言及に使用され、「ペプチド」はしばしば小さなポリペプチドへの言及に使用されるが、当該分野におけるこれら用語の用法は重複し変化する。用語「ペプチド」とは、本明細書で使用する場合、他に指摘がなければ、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質をいう。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、遺伝子産物に言及するときには、本明細書中で相互に交換可能に使用される。よって、例示的ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するタンパク質、ホモログ、オーソログ、パラログ、フラグメント並びに前記のものの他の等価物、変形物及びアナログが挙げられる。
【0041】
エキソソームは、原形質膜との後期エンドソーム多小胞体の融合後に、細胞外環境中に分泌されるエンドソーム起源の小胞(vesicle)である。種々の組織タイプの細胞(例えば樹状細胞、Bリンパ球、腫瘍細胞及びマスト細胞)が、エキソソームを分泌することが示されている。種々の起源からのエキソソームが、タンパク質と脂質部分との離散的なセット(discrete set)を示す。それらは、とりわけ、抗原提示及び免疫変調(immunomodulation)に関与するタンパク質を含有する。このことにより、エキソソームが免疫応答の変調に通じる細胞−細胞連絡(cell-cell communication)に或る役割を演じていることを示唆する。確かに、腫瘍抗原由来ペプチドでパルスした樹状細胞(DC)からのエキソソームは、適合する(matching)腫瘍を用いる動物モデルにおいて抗腫瘍応答を誘発する。しかし、ガン抗原を含むガン細胞に由来するエキソソームは、免疫抑制性ポリペプチドを含んでなることが示されている。このことによって、未改変の腫瘍由来エキソソームは所望のものではなく、ワクチンにおける直接使用に対して安全でない可能性がある。
【0042】
本明細書に開示の主題のエキソソームは、対象における所望の免疫応答を刺激することができる抗原を産生するために大変好都合である。なぜなら、それらは、人工的に合成されるというより、細胞によって産生され、したがって「天然」の抗原を提供するからである。すなわち、細胞により産生されエキソソーム中に見出される抗原は、細胞によって、対象において免疫細胞が経験した抗原と同様な程度にプロセシング(例えば、グリコシル化)されフォールディングされた完全長ペプチドであり得る。このように、エキソソーム抗原は、(例えばガンに対する)ワクチン又は治療で利用することができる。したがって、或る実施形態では、1又はそれより多い抗原は、ガン細胞抗原を含んでなり得る。非限定的例として、ガン細胞抗原は、胎盤タイプアルカリホスファターゼ、p53、p63、p73、mdm-2、プロカテプシン-D、B23、C23、PLAP、CA125、MUC-1、cerB/HER2、NY-ESO-1、SCP1、SSX-1、SSX-2、SSX-4、HSP27、HSP60、HSP90、GRP78、TAG72、HoxA7、HoxB7、EpCAM、ras、メソテリン、サービビン、EGFK、MUC-1及びc-mycであり得る。
【0043】
上述のとおり、或る実施形態では、エキソソームは、1又はそれより多い免疫抑制性分子(例えばmiRNA又は免疫抑制性ポリペプチド)を実質的に欠くように改変される。「免疫抑制性ポリペプチド」は、特定の抗原に対して、対象における免疫系による正常な免疫学的反応を減少させるポリペプチドである。例えば、腫瘍細胞により放出されるエキソソームは、対象において免疫応答を抑制することができ、エキソソーム中の免疫抑制性分子(免疫抑制性ポリペプチドを含む)の存在に起因して、リンパ球においてアポトーシスを誘導することができると証明されている。Taylor及びGercel-Taylor(British Journal of Cancer (2005) 92:305-311;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)を参照。例示的「免疫抑制性分子」としては、マイクロRNA及び免疫抑制性ポリペプチド(例えば、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
用語「実質的に欠いている」とは、本明細書で使用し、免疫抑制性分子に関する場合、選択した1又はそれより多い免疫抑制性分子が有意に低減しているか又は該分子を実質的に欠いているエキソソームを生じる、実質的に全ての又は少なくとも相当な割合の1又はそれより多い免疫抑制性分子の選択的除去をいう。用語「有意に低減した」とは、改変エキソソームを、その他は匹敵する条件下で匹敵する細胞により産生される類似のエキソソームと比較したときに、測定技法に固有な誤差限界より大きく減少した結果をいう。或る実施形態では、ベースラインの存在に対する改変エキソソーム中の選択した特定の免疫抑制性分子の存在の約10%又はそれより多い減少、或る実施形態では活性化又は活性の約20%又はそれより多い減少、或る実施形態では活性化又は活性の約25%又はそれより多い減少、或る実施形態では活性化又は活性の約50%又はそれより多い減少が、免疫抑制性分子の有意に低減した存在である。或る実施形態では、選択した1又はそれより多い免疫抑制性分子を実質的に欠いているエキソソームは、動物の免疫系の1又はそれより多い成分を抑制する能力の測定可能な減少(匹敵する非改変エキソソームの免疫抑制能力と比較したとき)を示すかそのような能力がない。エキソソームの免疫抑制能力は、当該分野において広く公知の幾つかのインビトロ及びインビボアッセイを使用して測定することができる。例えば、実施例にも詳細に記載したように、T細胞活性化に関連する特異的タンパク質の発現は、測定することができ、T細胞と同時インキュベートしたエキソソームにおける免疫抑制活性(又はその欠失)と相関付けることができる。
【0045】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、このエキソソームは1又はそれより多い外因性抗原を更に含んでなる。「外因性抗原」とは、この用語を本明細書中で使用する場合、エキソソーム産生細胞中で典型的にはコードされず及び/又は発現されず、したがって該細胞の天然型ポリペプチドでも該エキソソームの天然型ポリペプチドでもなく、該細胞により産生されるエキソソーム中に典型的には見出されない抗原性ポリペプチドをいう。用語「天然型」とは、非形質転換細胞のゲノムの天然型遺伝子によりコードされ、したがって発現したとき該細胞中に天然に存在するポリペプチドをいう。
【0046】
外因性ポリペプチドは、当該分野で公知の種々の技法によりエキソソーム中に含ませることができる。例えば、前記細胞により分泌された後に、外因性ポリペプチドで、当業者に広く公知のタンパク質移入技法を用いて、エキソソームの表面を修飾することができる。例えば、Nagarajan S, Selvaraj P. Glycolipid-anchored IL-12 expressed on tumor cell surface induces antitumor immune response. Cancer Res 2002;62:2869-74;McHugh RS, Nagarajan S, Wang Y, Sell KW, Selvaraj P. Protein transfer of glycosyl-phosphatidylinositol-B7-1 into tumor cell membranes: a novel approach to tumor immunotherapy. Cancer Res 1999;59:2433-7;及びHuang C, Yu H, Wang Q, Yang G, Ma W, Xia D, Chen X, Yi P, Shen F, Zheng H, Cao X. A novel antitumor approach: SEA-anchored tumor cells expressing heat shock protein 70 onto the surface elicit strong antitumor efficacy. Immunol Lett 2005;101:71-80を参照。
【0047】
加えて、外因性ポリペプチドは、組換え発現技法を用いて、エキソソーム中に組み込むことができる。組換えエキソソームは当該分野で記載されており、組換えポリペプチドをコードするプラスミドでトランスフェクトした細胞から誘導される。このような組換えエキソソームは、プラスミドによりコードされる組換えペプチドを含有する(例えば、公開PCT出願第WO00/28001号を参照;参照により本明細書中に組み込む)。
【0048】
本主題のエキソソーム中に組み込むことができる外因性ポリペプチドは、エキソソームに所望の更なる機能性を提供することができるポリペプチド(例えば、エキソソームに増大した免疫原性を提供することができるポリペプチド)である。例えば、或る実施形態では、「スーパー抗原」(SAg)をエキソソーム中に組み込むことができる。
【0049】
SAgは、T細胞集団の大きな割合を活性化することにおいて極端に効率的である一群の細菌性及びウイルス性タンパク質を含んでなることができる。SAgは、プロセシングされる必要なく、主要組織適合性複合体(MHC)と直接結合することができる。事実、SAgは、プロセシングされずに、MHCクラスII分子上の該抗原に結合性の溝の外側に結合することができる。このことにより、従来のペプチド結合部位の多形のほとんどを回避する。結合機序は、T細胞レセプター(TCR)の超可変ループへの結合の代わりに、T細胞レセプター(TCR)のVβ鎖へのSAg結合に依存する。
【0050】
外因性ポリペプチドとしてエキソソーム中に組み込むことができるスーパー抗原の例としては、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)及びレンサ球菌スーパー抗原(SSA)が挙げられるが、これらに限定されない。SEは、構造及び機能の両方に関して、スーパー抗原の同族群である。具体的実施形態において、外因性ポリペプチドは、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)又はブドウ球菌エンテロトキシンE(SEE)である。例えば、GENBANK(登録商標)アクセッション番号AY291443〜AY291450、BR Singh及びMJ Betley. Comparative structural analysis of staphylococcal enterotoxins A and E. J Biol Chem, 264, 4404-4411,1989、並びに以下の表を参照。
【0051】
【表1】

【0052】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、本明細書に開示のエキソソームを産生する細胞が提供される。或る実施形態では、この細胞は培養細胞、すなわち、培養培地においてエキソビボで継代した細胞である。培養細胞は、連続継代を容易にするために不死化されていることがある。或る実施形態では、細胞はガン細胞(例えば、当該分野において広く公知であるように、元々は腫瘍から単離し次いで培養で継代したガン細胞)である。或る実施形態では、ガン細胞は卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞であり得る。特定の実施形態において、細胞は、UL-1細胞、UL-2細胞、UL-3細胞及びUL-6からなる群より選択される培養細胞株である。これら初代ヒト卵巣腫瘍細胞株は全て、発明者らの研究室において、卵巣のIIIc嚢胞腺ガンを有する婦女子から樹立された(UL-1、UL-2、UL-3及びUL-6と命名した)。UL-2及びUL-3は遺伝性卵巣ガンに由来した一方、UL-1及びUL-6は自然発生ガンに由来した。UL-1細胞は63歳女性患者に由来し、UL-2細胞は34歳女性患者に由来し、UL-3細胞は42歳女性患者に由来し、UL-6細胞は72歳女性患者に由来した。これら細胞株はヌードマウスにおいて腫瘍形成性であり、ヌードマウスにおいて、嚢胞腺ガンと一致する腫瘍を生じる。これら細胞株は全て、EpCAM、PLAP、FasL、PD-L1及びクラスII MHCについて陽性である。これら例示的細胞株の更なる開示については、Gibb, R.K.ら,Apoptosis as a measure of chemosensitivity to cisplatin and Taxol therapy in ovarian cancer cell lines. Gynecologic Oncology, 65: 13-22, 1997;Chinniら,Cathepsin D and glucose-regulated protein 78 recognized by the humoral response of ovarian cancer patients. Clinical Cancer Research, 3: 1557-1564, 1997;Bazzettら,Modulation of proliferation and chemosensitivity by procathepsin D in ovarian cancer. Gynecologic Oncology, 74: 181-187, 1999;及びMakhijaら,Regulation of chemotherapy induced apoptosis in ovarian cancer cell spheroids. International Journal of Oncology, 14: 515-521, 1999を参照(これらの各々は、参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0053】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、本明細書に開示のエキソソーム及び医薬キャリアを含んでなる医薬組成物が提供される。或る実施形態では、この医薬組成物はヒトにおいて医薬的に許容される。この医薬組成物は、或る実施形態では、対象への送達のための治療用組成物として製剤化することができる。
【0054】
本明細書中に記載の医薬組成物は、好ましくは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、殺菌性抗生物質及び処方物を意図するレシピエントの体液と等張性にする溶質を含有することができる医薬キャリア(例えば、水性及び非水性の滅菌注射溶液;及び水性及び非水性の滅菌懸濁液(懸濁剤及び増粘剤を含むことができる))を含む組成物を含んでなる。
【0055】
使用する医薬組成物は、油性又は水性のビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液のような形態を採用することができ、製剤化物質(formulatory agent)(例えば、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤)を含有することができる。
【0056】
この製剤は、単回用量又は複数回用量容器で、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供することができ、使用直前に滅菌液体キャリアの添加のみを必要とする冷凍又は凍結乾燥状態で貯蔵することができる。
【0057】
液体経口用与用調製物は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液の形態を採用することができ、使用前に水又は他の適切なビヒクルで構成する乾燥製品として提供することができる。このような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は硬化食用脂);乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、分留植物);及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)のような医薬的に許容される添加物を用いて従来の技法により製造することができる。この調製物はまた、適切であれば、緩衝剤塩類、矯味矯臭剤、着色剤、甘味料を含有することができる。経口用与用調製物は、活性化合物の制御された放出を提供するために適切に製剤化することができる。口腔内投与には、この組成物は、従来の様式で製剤化されたカプセル、錠剤又はロゼンジの形態を採用することができる。
【0058】
この組成物はまた、移植用又は注入用調製物として製剤化することができる。よって、例えば、この組成物は、適切なポリマー性若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂を用いて製剤化することができ、或いは難溶性誘導体(例えば、難溶性の塩として)として製剤化することができる。
【0059】
この化合物はまた、直腸用組成物(例えば、従来の坐剤基剤(例えば、ココアバター又は他のグリセリド)を含有する坐剤又は保持浣腸剤、クリーム若しくはローション又は経皮パッチに製剤化することもできる。
【0060】
エキソソームが該エキソソーム内に1又はそれより多い抗原及び外因性ペプチドを含んでなることに加えて、他の成分、例えば、エキソソーム送達用のビヒクル及びポリペプチドの免疫原性を増強するために設計された該ビヒクル内の更なる免疫刺激性物質を医薬組成物に含ませることができる。本明細書に開示の主題による免疫原性組成物及びワクチンは、1又はそれより多いアジュバントを更に含んでなるか又は該アジュバントから本質的になることができる。本主題の実施における使用に適切なアジュバントとしては、(1)アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸及びアルケニル誘導体ポリマー、(2)免疫刺激性配列(ISS)、例えば1又はそれより多い非メチル化CpG単位を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド配列(Klinmanら,Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1996, 93, 2879-2883;WO98/16247)、(3)水中油型エマルジョン、例えばM. Powell, M. Newman, Plenum Pressから刊行された「Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach」(1995)の147頁に記載のSPTエマルジョン及び同183頁に記載のエマルジョンMF59、(4)四級アンモニウム塩を含有するカチオン脂質、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム又は(7)本出願中で引用され、参照により本明細書中に組み込まれたいずれかの書類で議論されている他のアジュバント又は(8)それらの任意の組合せ若しくは混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
水中油型エマルジョン(3)は、軽質流動パラフィンオイル(欧州薬局方型)、イソプレノイド油(例えば、スクアラン、スクアレン)、アルケンのオリゴマー化から生じる油(例えば、イソブテン又はデセン)、直鎖アルキル基を有する酸又はアルコールのエステル(例えば、植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、ジ(カプリレート/カプレート)、グリセロールトリ(カプリレート/カプレート)及びプロピレングリコールジオレエート)又は分枝状脂肪アルコール若しくは酸のエステル(特にイソステアリン酸エステル)をベースにすることができる。油は、エマルジョンを形成するために乳化剤との組合せで使用することができる。乳化剤は、非イオン性界面活性剤、例えば:一方がソルビタン、マンニド(例えば無水マンニトールオレエート)、グリセロール、ポリグリセロール又はプロピレングリコール、他方がオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸又はヒドロキシステアリン酸のエステル(このエステルは任意にエトキシ化されていてもよい)又はポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック(例えばプロロニック(例えばL121))であり得る。
【0062】
タイプ(1)アジュバントポリマーの中では、架橋型アクリル酸又はメタクリル酸(特に、糖又はポリアルコールのポリアルケニルエーテルにより架橋)のポリマーが好ましい。これら化合物はカルボマーとの名称で知られている(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)。当業者は米国特許第2,909,462号を参照することもできる。この米国特許は、少なくとも3つのヒドロキシル基(好ましくは8つを超えないヒドロキシル基)を有するポリヒドロキシル化合物(少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子は、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族基により置換されている)によるアクリルポリマー架橋を提供する。好ましい基は、2〜4の炭素原子、例えばビニル、アリル及び他のエチレン性不飽和基を含有するものである。この不飽和基はまた、他の置換基、例えばメチルを含有することができる。CARBOPOLTMの名称で販売されている製品(BF Goodrich, Ohio, U.S.A.)が適切であり得る。これらはアリルショ糖又はアリルペンタエリスリトールにより架橋されている。中でも、CARBOPOLTM 974P、934P及び971Pが挙げられる。
【0063】
無水マレイン酸-アルケニル誘導体コポリマーに関しては、EMA(Monsanto, St. Louis, Missouri, U.S.A.)を利用することができる。これらは直鎖又は架橋エチレン-無水マレイン酸コポリマーであり、例えばジビニルエーテルにより架橋されている。J. Fieldsら,Nature 186:778-780, Jun. 4, 1960を参照することができる。
【0064】
本明細書に開示の主題は更に、本明細書に開示のエキソソームを使用する方法を提供する。或る実施形態では、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いているエキソソームを製造する方法が提供される。或る実施形態では、この方法は、エキソソームを産生する産生することができる細胞(例えば、上記に開示の細胞)を用意し;該細胞による1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害し;細胞により産生されるエキソソームを単離することを含んでなる。ここで、前記エキソソームは、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。
【0065】
或る実施形態では、この方法は、前記細胞を刺激してエキソソームを産生させることを更に含んでなることができる。しかし、エキソソームを天然に産生するガン細胞及び他の細胞タイプでは、刺激は一般に必要でない。
【0066】
或る実施形態では、この方法は、(本明細書中に開示され、当該分野において広く公知のように、例えば、タンパク質移入によるか又はエキソソーム産生細胞における組換え発現により)エキソソームを1又はそれより多い外因性抗原(例えば、スーパー抗原)で修飾することを更に含んでなる。
【0067】
或る実施形態では、「エキソソームを単離する(こと)」は、細胞が培養される培地を採集し、該培地から、例えば遠心分離により、エキソソームを選択的に取り出すことを含んでなる。
【0068】
この方法の或る実施形態では、1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの細胞による発現を阻害することは、細胞中に前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを導入することを含んでなる。或る実施形態では、1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドは、低分子干渉(small interfering)RNA(siRNA)ポリヌクレオチドを含んでなる。
【0069】
用語「核酸」及び「ポリ核酸」とは、一本鎖形態又は二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそのポリマーをいう。具体的に制限しなければ、この用語は、参照核酸に類似する結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドに類似する様式で代謝される天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を包含する。他に示さなければ、特定の核酸配列は、明示的に示された配列、並びに、その保存的に改変された変形体(例えば、縮重コドン置換体)及び相補配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換体は、1又はそれより多い選択した(又は全ての)コドンの第3位を混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換した配列を作製することにより達成することができる(Batzerら(1991) Nucleic Acid Res 19:5081;Ohtsukaら(1985) J Biol Chem 260:26052608;Rossoliniら(1994) Mol Cell Probes 8:9198)。用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」又は「核酸配列」は、遺伝子、遺伝子によりコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)、cDNA及びmRNAと相互に交換可能に使用することもできる。
【0070】
用語「低分子干渉RNA」、「短干渉RNA」、「低分子ヘアピンRNA」、「siRNA」及びshRNAは相互に交換可能に使用され、RNA干渉(RNAi)又は遺伝子サイレンシングを媒介し得る任意の核酸分子をいう。例えば、Bass, Nature 411:428-429, 2001;Elbashirら,Nature 411:494-498, 2001a;並びにPCT国際公開第WO 00/44895号、同第WO 01/36646号、同第WO 99/32619号、同第WO 00/01846号、同第WO 01/29058号、同第WO 99/07409号及び同第WO 00/44914号を参照(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれる)。1つの実施形態において、siRNAは、相補性のセンス及びアンチセンス領域を含んでなる二本鎖ポリヌクレオチド分子を含んでなる。ここで、アンチセンス領域は、免疫抑制性ポリペプチドをコードする標的核酸分子の領域に相補的な配列を含んでなる。別の実施形態において、siRNAは、自己相補性のセンス及びアンチセンス領域を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含んでなる。ここで、アンチセンス領域は、標的核酸分子の領域に相補的な配列を含んでなる。別の実施形態において、siRNAは、1又はそれより多いループ構造を有する一本鎖ポリヌクレオチドと、自己相補性のセンス及びアンチセンス領域含んでなる基部(stem)とを含んでなる。ここで、アンチセンス領域は、標的核酸分子の領域に相補的な配列を含んでなり、このポリヌクレオチドは、RNAiを媒介し得る活性siRNAを生じるようにインビボ又はインビトロのいずれかでプロセシング又は加工される。本明細書で使用する場合、siRNA分子は、RNAのみを含有する分子に制限される必要がなく、化学的に改変されたヌクレオチド及び非ヌクレオチドを更に包含する。
【0071】
本明細書に開示の主題は、短い二本鎖RNA分子が細胞遺伝子のダウンレギュレーション(RNA干渉と呼ばれるプロセス)を引き起こす能力を利用する。本明細書で使用する場合、「RNA干渉」(RNAi)とは、低分子干渉RNA(siRNA)により媒介される配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスをいう。概説として、Fireら,Nature 391:806-811, 1998を参照。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するように進化した、進化的に保存された細胞防御機序であると考えられている(Fire, Trends Genet 15:358-363, 1999)。
【0072】
RNAiは、二本鎖RNA種に相同な一本鎖RNA又はウイルス性ゲノムRNAを特異的に分解する機序を介して、或る種のウイルス(特に、二本鎖RNAウイルス又はその生活環が二本鎖RNA中間体を誘導するウイルス)による感染から生じる二本鎖RNA(dsRNA)分子の産生又は宿主ゲノム中へのトランスポゾンエレメントのランダム組込みから細胞及び生物を保護するように進化してきた可能性がある。
【0073】
細胞中の長いdsRNAの存在は、酵素Dicer、リボヌクレアーゼIIIの活性を刺激する。Dicerは、dsRNAの、低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる短いストレッチのdsRNAへの分解を触媒する(Bernsteinら,Nature 409:363-366, 2001)。Dicer媒介分解から生じる低分子干渉RNAは、代表的には、約21〜23ヌクレオチド長であり、約19塩基対の二重鎖を含有する。分解後、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるエンドヌクレアーゼ複合体中に組み込まれる。RISCは、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な前記細胞内に存在する一本鎖RNAの切断を媒介し得る。Elbashirらによれば、標的RNAの切断は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な一本鎖RNAの領域の中央付近で生じる(Elbashirら,Genes Dev 15:188-200, 2001b)。
【0074】
RNAiは幾つかの細胞タイプ及び生物で記載されている。Fireら(1998)はC. elegansのRNAiを記載した。Wianny及びZernicka-Goetz, Nature Cell Biol 2:70-75, 1999は、マウス胚においてdsRNAにより媒介されるRNAiを開示する。Hammondら,Nature 404:293-296, 2000は、Drosophila細胞において、これら細胞中にdsRNAをトランスフェクトすることによりRNAiを誘導することができた。Elbashirら,Nature 411:494-498, 2001は、合成21ヌクレオチドRNAの二重鎖を導入することにより、培養哺乳動物細胞(ヒト胚性腎臓細胞及びHeLa細胞を含む)におけるRNAiの存在を証明した。
【0075】
他の研究により、siRNA二重鎖の標的相補鎖の5'-リン酸がsiRNA活性を促進すること及びsiRNAの5'-リン酸部分を維持するためにATPが利用されることが示されている(Nykanenら,Cell 107:309-321, 2001)。siRNA分子に導入されたとき寛容され得る他の改変としては、糖-リン酸骨格の改変又は少なくとも1つの窒素又はイオウへテロ原子でのヌクレオシドの置換(PCT国際公開第WO 00/44914号及び同第WO 01/68836号)及び二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)の活性化を阻害し得る或る種のヌクレオチド改変、具体的には2'-アミノ又は2'-O-メチルヌクレオチド及び2'-O又は4'-Cメチレン橋架けを含有するヌクレオチド(カナダ特許出願第2,359,180号)が挙げられる。
【0076】
dsRNA及びRNAiの使用を開示する他の参考文献としては、PCT国際公開第WO 01/75164号(in vitro RNAi system using cells from Drosophila and the use of specific siRNA molecules for certain functional genomic and certain therapeutic applications);同第WO 01/36646号(methods for inhibiting the expression of particular genes in mammalian cells using dsRNA molecules);同第WO 99/32619号(methods for introducing dsRNA molecules into cells for use in inhibiting gene expression);第WO 01/92513号(methods for mediating gene suppression by using factors that enhance RNAi);第WO 02/44321号(synthetic siRNA constructs);同第WO 00/63364号及び第WO 01/04313号(methods and compositions for inhibiting the function of polynucleotide sequences);並びに同第WO 02/055692号及び第WO 02/055693号(methods for inhibiting gene expression using RNAi)を参照(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0077】
或る実施形態では、本明細書に開示の主題は、目的の1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチド(例えば、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4又はこれらの組合せ;これらに限定されない)の発現を少なくとも部分的に阻害するためにRNAiを使用する。或る実施形態では、阻害は正常発現量の少なくとも約10%である。或る実施形態では、この方法は、RNAを標的細胞に前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害するに十分な量で導入することを含んでなる。ここで、RNAは、目的の遺伝子のコーディング鎖に対応するリボヌクレオチド配列を含んでなる。
【0078】
このRNAは、標的免疫抑制性ポリペプチドをコードする遺伝子のコーディング鎖に対応するリボヌクレオチド配列を含んでなる第1の鎖と、該第1の鎖に相補的であるリボヌクレオチド配列を含んでなる第2の鎖とを含んでなる二本鎖領域を有することができる。第1の鎖及び第2の鎖は互いにハイブリダイズして、二本鎖分子を形成する。この二本鎖領域は少なくとも15塩基対の長さであり得、或る実施形態では15〜50塩基対の長さであり得る。或る実施形態では、二本鎖領域は15〜30塩基対の長さである。
【0079】
或る実施形態では、RNAは、分子内自己ハイブリダイゼーションにより二本鎖領域を形成する一本鎖を含んでなる。これは、好ましくは、少なくとも19塩基にわたって相補性である。或る実施形態では、RNAは、分子間ハイブリダイゼーションにより二本鎖領域を形成する、少なくとも19塩基にわたって相補性である2本の別々の鎖を含んでなる。
【0080】
当業者は、任意の多数の適切な一般的技法を使用して、標的細胞中にRNAを導入することができることを理解する。或る実施形態では、RNAをコードするベクターを標的細胞に導入する。例えば、RNAをコードするベクターを標的細胞中にトランスフェクトし、次いでRNAを細胞のポリメラーゼにより翻訳させることができる。例えば、Koyanagiら,Long-term exposure to superantigen induces p27Kip1 and Bcl-2 expression in effector memory CD4+ T cells. Cellular Immunology, 248(2):77-85, 2007 Aug;及びTrittoら,The acquired immune response to the mucosal adjuvant LTK63 imprints the mouse lung with a protective signature. Journal of Immunology, 179(8):5346-57, 2007 Oct 15を参照(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0081】
或る実施形態では、RNAをコードする核酸を含んでなる組換えウイルスを作製することができる。標的細胞中へRNAを導入することは、標的細胞を組換えウイルスに感染させることを含んでなる。細胞ポリメラーゼはRNAを翻訳し、その結果標的細胞内でRNAの発現が生じる。組換えウイルスを操作することは当業者に周知である。例えば、Trittoら,The acquired immune response to the mucosal adjuvant LTK63 imprints the mouse lung with a protective signature. Journal of Immunology. 179(8):5346-57, 2007 Oct 15を参照(参照により本明細書中に組み込まれる)。当業者は、本明細書中で更に詳細に議論しなくとも、組換えウイルス産生を本明細書に開示の主題での使用に最適化するために必要な適切なウイルス及びベクター成分の選択に関与する多数の因子を容易に理解する。
【0082】
本明細書に開示の主題の或る実施形態では、対象においてガンを治療する方法が提供される。或る実施形態では、この方法は、治療を必要とする対象にガン細胞により産生される有効量のエキソソーム(例えば、ガン細胞及び本明細書に開示のエキソソーム)を投与することを含んでなる。ここで、エキソソームは1又はそれより多いガン抗原を含んでなり、かつ1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。投与されたエキソソームは、エキソソーム上に提供された抗原に関する「ワクチン」として作用し、そのことにより対象の免疫系による前記抗原に対する免疫応答を促進することができる。しかし、用語「ワクチン」は、本明細書で使用する場合、本主題を、疾患を予防する方法のみに制限することを意図するものではなく、対象に既に存在する疾患を治療する治療法も包含することに留意すべきである。
【0083】
刺激された免疫系は、次いで、抗原を含んでなる細胞(例えば、ガン細胞)に対する応答を展開(mount)し得る。このように、本明細書に開示の主題は更に、或る実施形態では、患者における免疫応答を1又はそれより多い抗原に対して刺激する方法を提供し、この方法は、刺激を必要とする対象に、細胞により産生され1又はそれより多い抗原を含んでなる有効量のエキソソームを投与することを含んでなる。ここで、このエキソソームは1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「治療」又は「治療する(こと)」は、目的の病的状態(例えばガン)の任意の治療(予防的治療及び治療的治療を含むがこれらに限定されない)に関する。このように、用語「治療」又は「治療する(こと)」には、目的の病的状態又は目的の病的状態の発症を予防すること;目的の病的状態の進行を阻害すること;目的の病的状態の発症を停止又は防止すること;目的の病的状態の重篤度を減少させること;目的の病的状態に関連する症状を寛解又は軽減すること;及び目的の病的状態又は目的の病的状態に関連する1又はそれより多い症状の後退を引き起こすことが包含されるがこれらに限定されない。
【0085】
用語「ガン」とは、動物に見出される全てのタイプのガン又は新生物又は悪性腫瘍をいう(白血病、ガン腫及び肉腫を含む)。
【0086】
「白血病」とは、広く、血液生成器官の進行性の悪性疾患を意味し、一般には、血液及び骨髄におけるリンパ球及びその前駆体の歪められた増殖及び発生により特徴付けられる。白血病疾患としては、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球性白血病、好塩基性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎生細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリーセル白血病、血芽球性白血病、血球始原細胞白血病、組織球白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性(lymphatic)白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ性(lymphocytic)白血病、リンパ性(lymphogenous)白血病、リンパ性(lymphoid)白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性(plasma cell)白血病、形質細胞性(plasmacytic)白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病及び未分化細胞白血病が挙げられる。
【0087】
用語「ガン腫」は、周囲組織へ浸潤し転移を生じる傾向がある上皮細胞からなる悪性の新成長物をいう。例示的なガン腫としては、例えば、小葉(acinar)ガン腫、小葉(acinous)ガン腫、腺嚢ガン腫、腺様嚢胞ガン腫、腺ガン腫(carcinoma adenomatosum)、副腎皮質のガン腫、肺胞腺ガン腫、肺胞細胞ガン腫、基底細胞ガン腫(basal cell carcinoma)、基底細胞ガン腫(carcinoma basocellulare)、類基底細胞ガン腫、基底有棘細胞ガン腫、気管支肺胞腺ガン腫、細気管支ガン腫、気管支原性ガン腫、脳状ガン腫(cerebriform carcinoma)、胆管細胞性ガン腫、絨毛ガン腫、膠様ガン腫(colloid carcinoma)、コメドガン腫、脳梁ガン腫(corpus carcinoma)、篩状ガン腫、鎧状ガン腫、皮膚がん腫、円筒状ガン腫(cylindrical carcinoma)、円柱細胞ガン腫、腺管ガン腫、緻密ガン腫(carcinoma durum)、胎児性ガン腫、脳様ガン腫(encephaloid carcinoma)、類表皮ガン腫(epiennoid carcinoma)、上皮腺ガン腫(carcinoma epitheliale adenoides)、外方増殖性ガン腫、潰瘍ガン腫、線維ガン腫(carcinoma fibrosum)、ゼラチン状ガン腫、膠状ガン腫(gelatinous carcinoma)、巨細胞ガン腫(giant cell carcinoma)、巨細胞ガン腫(carcinoma gigantocellulare)、腺ガン腫(glandular carcinoma)、顆粒膜細胞ガン腫、毛母体ガン腫(hair-matrix carcinoma)、血性ガン腫(hematoid carcinoma)、肝細胞ガン腫、ヒュルトレ細胞ガン腫、硝子様ガン腫(hyaline carcinoma)、副腎様ガン腫(hypemephroid carcinoma)、乳児型胎児性ガン腫(infantile embryonal carcinoma)、上皮内ガン腫、表皮内ガン腫(carcinoma in situ)、表皮内ガン腫(intraepithelial carcinoma)、Krompecherガン腫、Kulchitzky細胞ガン腫、大細胞ガン腫、レンズ状ガン腫(lenticular carcinoma)、レンズ状ガン腫(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性ガン腫、リンパ上皮ガン腫、髄様ガン腫(carcinoma medullare)、髄様ガン腫(medullary carcinoma)、黒色ガン腫、軟ガン腫(carcinoma molle)、粘液性ガン腫(mucinous carcinoma)、粘液性ガン腫(carcinoma muciparum)、粘液細胞ガン腫(carcinoma mucocellulare)、粘液性類表皮ガン腫(mucoepidermoid carcinoma)、粘液ガン腫(carcinoma mucosum)、粘液性ガン腫(mucous carcinoma)、粘液腫様、鼻咽頭ガン腫(naspharyngeal carcinoma)、えん麦細胞ガン腫、骨化性ガン腫(carcinoma ossificans)、類骨ガン腫(osteoid carcinoma)、乳頭状ガン腫、門脈周囲ガン腫、上皮内ガン腫(preinvasive carcinoma)、有棘細胞ガン腫、粥状ガン腫(pultaceous carcinoma)、腎臓の腎細胞ガン腫、補充ガン腫(reserve cell carcinoma)、肉腫様ガン腫(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダーガン腫、硬性ガン腫、陰嚢ガン腫(carcinoma scroti)、印環細胞ガン腫、単純ガン腫、小細胞ガン腫、ソラノイドガン腫(solanoid carcinoma)、回転楕円面細胞ガン腫、紡錘体細胞ガン腫、海綿様ガン腫、扁平上皮ガン腫、扁平上皮細胞ガン腫、ストリングガン腫(string carcinoma)、毛細血管拡張性ガン腫(carcinoma telangiectaticum)、毛細血管拡張性ガン腫(carcinoma telangiectodes)、移行上皮ガン腫、結節ガン腫(carcinoma tuberosum)、結節ガン腫(tuberous carcinoma)、疣贅ガン腫及び絨毛ガン腫(carcinoma villosum)が挙げられる。
【0088】
用語「肉腫」とは、一般に、胚性結合組織のような物質からなる腫瘍をいい、一般に、線維性物質又は均質な物質中に埋め込まれた密にパックされた細胞から構成される。肉腫としては、例えば、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、Abemethy肉腫、脂肪肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛ガン腫、胎児性肉腫、Wilns腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫(idiopathic multiple pigmented hemorrhagic sarcoma)、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クップファー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、細網肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫及び毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0089】
用語「黒色腫」は、皮膚及び他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味することとする。黒色腫としては、例えば、末端部黒子黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング‐パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫及び表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0090】
更なるガンとしては、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳ガン、卵巣ガン、肺ガン、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃ガン、結腸ガン、悪性膵臓インスリン腫、悪性カルチノイド、前悪性皮膚障害、睾丸ガン、リンパ腫、甲状腺ガン、神経芽細胞腫、食道ガン、泌尿生殖路ガン、悪性高カルシウム血症、子宮頸ガン、子宮内膜ガン及び副腎皮質ガンが挙げられる。
【0091】
幾つかの特別な実施形態では、治療されるガンは充実性腫瘍である。或る実施形態では、治療されるガンは、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である。
【0092】
用語「有効量」は、本明細書では、測定可能な生物学的応答(例えば、エキソソームに含有される抗原に対する対象による免疫応答(例えば、抗体産生及び/又はT細胞活性化)及び/又は腫瘍サイズ、活性などの測定可能な減少)を生じるに十分な治療用組成物(例えば、本明細書に開示のエキソソームを含んでなる組成物)の量をいうために使用する。本明細書に開示の主題の治療用組成物における活性成分の実際の投薬レベルは、特定の対象及び/又は適用について所望の治療応答を達成するに有効な量の活性化合物を投与するように変えることができる。選択される投薬レベルは、治療用組成物の活性、処方、投与経路、他の薬物又は治療との組合せ、治療する病的状態の重篤度、並びに治療する対象の身体的状態及び以前の病歴を含む種々の因子に依存する。好ましくは、最小用量が投与され、最小有効量に用量規定毒性がなければ、用量を増やす。治療有効用量の決定及び調整、並びにそのような調整を何時、どのようにすべきかの評価は医学分野の当業者に公知である。
【0093】
本明細書中に開示の治療用組成物の投与には、マウス投薬量をヒト投薬量に変換するための変換係数を使用して、マウス動物モデルに投与する用量に基づいてヒト投薬量を外挿する従来の方法を実施することができる。1kg当たりのヒト用量=1kg当たりのマウス用量×12(Freireichら(1966) Cancer Chemother Rep. 50:219-244)。薬物用量はまた、体表面積1m2当たりのミリグラムで与えることができる。なぜならば、体重よりむしろこの方法が或る種の代謝及び排泄機能と良好な相関を達成するからである。更に、体表面積は、Freireichら(Freireichら(1966) Cancer Chemother Rep. 50:219-244)により記載されるように、成人及び児童並びに異なる動物種において、薬物投薬量の共通の基準(denominator)として使用することができる。簡潔には、任意の所与の種において、mg/kg用量を等価なmg/sq m用量として表すためには、用量に適切なkm係数をかける。成人ヒトでは、100mg/kgは、100mg/kg×37kg/sq m=3700 mg/m2と等価である。
【0094】
投与は、例えば、静脈内、腫瘍内、皮下、経皮又は腹腔内であり得る。
非経口投与には、約0.005mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約10〜50又は10〜70mg/kg、より好ましくは約10mg/kg〜約30mg/kgの範囲の量のエキソソームを用いることができる。
【0095】
製剤化及び用量に関する更なるガイダンスには、米国特許第5,326,902号;同第5,234,933号;PCT国際公開第WO 93/25521号;Berkowら(1997) The Merck Manual of Medical Information, Home ed. Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, New Jersey;Goodmanら(1996) Goodman & Gilman's the Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th ed. McGraw-Hill Health Professions Division, New York;Ebadi(1998) CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology. CRC Press, Boca Raton, Florida;Katzung(2001) Basic & Clinical Pharmacology, 8th ed. Lange Medical Books/McGraw-Hill Medical Pub. Division, New York;Remingtonら(1975) Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th ed. Mack Pub. Co., Easton, Pennsylvania;及びSpeightら(1997) Avery's Drug Treatment: A Guide to the Properties, Choice, Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Management, 4th ed. Adis International, Auckland/ Philadelphia;Duchら(1998) Toxicol. Lett. 100-101:255-263を参照。
【0096】
対象に本明細書に開示のエキソソームを含んでなる組成物を本主題の方法に従って投与する適切な方法には、全身性投与、静脈内投与、腫瘍内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、吸入、気管内吸入、外科的移植、経皮送達、局所注射及び超高速度注入/ボンバードメントが挙げられるが、これらに限定されない。適用可能であれば、連続注入は、所望であれば標的部位での薬物蓄積を増強することができる(例えば、米国特許第6,180,082号を参照)。
【0097】
本主題の方法により使用される特定の薬物投与態様は、特定のエキソソーム組成物(例えば、抗原の特性及び濃度、更なる抗原性分子(例えば、SAgなど)の存在)、用いるキャリア、治療すべき病的状態の重篤度及び投与後の薬物代謝又は除去の機序を含むがこれらに限定されない種々の要因に依存する。
【0098】
更に、本明細書に開示の主題の治療方法に関して、好ましい対象は脊椎動物の対象である。好ましい脊椎動物は温血動物であり;好ましい温血脊椎動物は哺乳動物である。好ましい哺乳動物は最も好ましくはヒトである。本明細書で使用する場合、用語「対象」にはヒト対象及び動物対象の両方が含まれる。よって、獣医学上の治療的使用が本明細書に開示の主題に従って提供される。
【0099】
このように、本明細書に開示の主題は、哺乳動物(例えば、ヒト)及び絶滅危惧にあるため重要な哺乳動物(例えば、シベリアトラ);経済学的重要性を有する哺乳動物(例えば、ヒトが消費するために農場で飼育される動物);及び/又はヒトにとって社会的重要性を有する動物(例えば、ペットとして又は動物園で飼われる動物)の治療を提供する。このような動物の例としては、以下のもの挙げられるがそれらに限定されない:肉食動物(例えば、ネコ及びイヌ);ブタ(swine)(豚(pig)、去勢豚(hog)を含む)及びイノシシ;反芻動物及び/又は有蹄動物(例えば、ウシ(cattle)、去勢ウシ(ox)、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン及びラクダ);及びウマ。トリ(bird)の治療もまた提供される。これには、絶滅危惧にあるもの及び/又は動物園で飼われているもの、並びに鳥(fowl)、より具体的には家禽(domestic fowl)、すなわち、食用家禽(poultry)(例えばシチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、カモ、ホロホロチョウなど)の種類のトリの治療が含まれる。なぜなら、これらは、ヒトにとって経済的重要性を有するからである。よって、家畜化したブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)、食用家禽などを含むがこれらに限定されない家畜の治療も提供される。
【0100】
本明細書に開示の主題の種々の詳細は、本主題の範囲から逸脱することなく変更できることが理解される。更に、上記の説明は、例証を目的とするに過ぎず、制限を目的とするものではない。
【実施例】
【0101】
実施例
以下の実施例は、本明細書に開示の主題の態様を説明するために含まれている。本開示及び当該分野における一般技術レベルに照らせば、当業者は、以下の実施例が例示を意図するに過ぎないこと及び本明細書に開示の主題の範囲から逸脱することなく多くの変更、改変及び修正を用いることができることを理解する。
【0102】
実施例1
siRNAを用いる腫瘍細胞における免疫抑制性ポリペプチドの発現抑制
特異的なsiRNAを腫瘍由来の細胞培養物(これは本実施例では卵巣ガン細胞であった)と共に使用して、培養細胞により産生されるエキソソーム上に細胞により通常発現される免疫抑制性ポリペプチドの発現を抑制した。本システムの能力の一例として、本発明者らは、Fasリガンド(FasL)(これは、腫瘍由来のエキソソームと関連していることが知られている)を調べた。しかし、本方法は、腫瘍由来エキソソームに見出される1又はそれより多い他の免疫抑制性ポリペプチド(プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3及びB7-H4を含むがこれらに限定されない)の抑制に等しく良好に機能することができる。
【0103】
簡潔には、腫瘍由来の細胞(2×105細胞/ウェル)を、6ウェル組織培養プレートにおいて、超遠心分離したFBSを補充した2mlの抗生物質フリーRoswell Park Memorial Institute(RPMI)培地中に播種した。サブコンフルーエントの細胞培養物に、siRNA二重鎖溶液(100μlのsiRNA Transfection mediumTM (Santa Cruz Biotechnology, Inc, Santa Cruz, CA, cat no. sc-36868)中に2〜8μlのsiRNA二重鎖:0.25〜1μgのsiRNA)を直接加えて、Transfection Reagent(Santa Cruz Biotechnology, Inc, cat no. sc-29528)を希釈した。前記細胞を18時間インキュベートし、培地を除去して10%超遠心分離FBS及び1×抗生物質を有する完全培地と交換した。72時間後、馴化培地を取り出し、エキソソームを単離した。
【0104】
抗体及びsiRNA対は、公知の免疫抑制性ポリペプチドについて商業的に入手可能である。例えば、本実施例で使用した例示の抗体及びsiRNAは、Santa Cruz Biotechnology, Inc(Santa Cruz, CA)から購入し、以下のとおりであった:
タンパク質 siRNA 抗体
FasL sc-29313 sc-56099
PD-L1 sc-39699 sc-19090
PD-L2 sc-39701 sc-80285.
【0105】
エキソソームは、siRNA処理腫瘍細胞の馴化培地から単離した。卵巣ガン細胞株からの馴化培地を使用してエキソソームを単離した。500kDより大きい材料を超遠心分離により濃縮し、SEPHAROSE(登録商標) 2Bカラム(Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, U.S.A.)に適用した。5×107Daより大きい材料を不連続スクロース勾配での浮遊(floatation)に付して、単離したエキソソームの量をBradfordマイクロアッセイ法により決定した(Bradford,A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein-dye binding, Anal Biochem, 72, 248-254 (1976))。
【0106】
実施例2
siRNA処理細胞からの改変エキソソームの単離及び分析
siRNAアプローチが細胞内で目的の特異タンパク質の発現を抑制すること及びこれら細胞により放出されるエキソソーム上での該特異タンパク質の存在を確証するために、細胞及び単離したエキソソームのウェスタンイムノブロット分析を行った(図1)。改変した特異タンパク質成分に特異的な抗体を用いて一晩4℃にてブロットをプローブし、結合した複合体をECLにより可視化し、デンシトメトリーにより定量化した。siRNA処理細胞のウェスタンイムノブロット分析により、元の腫瘍細胞内でのFasL発現のノックダウン及びこれら処理細胞に由来するエキソソームに関連するFasLの不存在が確証された。
【0107】
実施例3
特異タンパク質の喪失とエキソソームの免疫抑制活性の抑制との相関付け
非改変エキソソームを用いて、T細胞及び樹状細胞(DC)に対するsiRNA改変エキソソームの効果を分析した。Jurkat E-61細胞(IL-2を合成し得る機能的なTcR/CD3複合体を有するヒトT細胞リンパ腫)をAmerican Type Culture Collection(Rockville, MD)から入手した。これら細胞を、腹水由来MFによるリンパ球変調のインビトロアッセイとして利用した。これらT細胞株を、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、200mM L-グルタメート、100μg/mlストレプトマイシン及び100IU/mlペニシリンを補充したRPMI 1640培地中、加湿5% C02チャンバー内で37℃にて増殖させた。細胞生存性をトリパンブルー排除により評価した。本研究に利用した全ての培養物は>95%生存可能であった。
【0108】
CD3-ζ及びJAK3発現のバイオアッセイのために、生存可能Jurkat細胞(106細胞/ml)を、siRNAで改変したか又はしていない400μg/mlの単離エキソソームを補充した培地中で4日間インキュベートし、コントロール血清の類似クロマトグラフィー画分に曝したJurkat細胞又は曝していないJurkat細胞と比較した。4日後、細胞を遠心分離し、細胞ペレットを洗浄し、タンパク質分析又はmRNA分析のいずれかに使用した。
【0109】
CD3-ζタンパク質を評価するために、細胞ペレットを、50mM HEPES(pH7.2)、150mM NaCl、5mM EDTA、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、2.5% Triton X-100、200μg/mlトリプシン/キモトリプリシン阻害剤、200μg/mlキモスタチン及び2mM PMSFを用いて溶解させた。細胞溶解物をBioRadタンパク質アッセイ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)によりタンパク質についてアッセイした。CD3-ζの変調を、上記に記載のように、15% SDS-PAGEゲルを用い、一次抗体としてマウスモノクローナル抗CD3-ζ及びウサギポリクローナル抗JAK3抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)を用いるウェスタンイムノブロットにより分析した(図2)。
【0110】
FasLについてsiRNAで処理し、そのためFasLを発現しない腫瘍細胞培養物に由来するエキソソームは、T細胞培養物内でのCD3-ζの発現もJAK3の発現も阻害しなかった。CD3-ζ及びJAK3の抑制は卵巣ガンの存在、疾患の程度及び全体の患者生存率と相関付けられているので、このエキソソーム由来の抑制の逆転は、患者のT細胞応答の増大及び患者生存率の改善を生じ得る。
【0111】
実施例4
エキソソームへのSEA-TMのタンパク質移入及びその確証
エキソソーム表面へのSEAの組込みのために、エキソソームをB16-F10細胞(T細胞活性化を抑制する)から単離することができる。エキソソームのFasL1発現は、B16-F10細胞をFasLからのsiRNAで処理することにより改変することができる。改変エキソソームはSEAで標識することができる。
【0112】
簡潔には、100μlのSEA(50μg/ml)を、100μlのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の100μgの単離した改変エキソソームに添加することができる。この溶液を37℃にて20分間インキュベートし、次いでPBSで最終容量1mlすることができる。組み込まれなかったSEAはSepharose 2Bでのクロマトグラフィーにより除去することができる。
【0113】
実施例5
免疫化及び腫瘍攻撃
C57BL/6マウスを、10μgのエキソソーム/SEA複合体を用いて5日間隔で3回scにて免疫することができる。次いで、最後の注射の1週間後にB16-F10細胞(1×105)をsc注射することができる。腫瘍サイズは2日毎に測定することができる。長期生存を90日まで毎日観察した。腫瘍が直径3cmに達したらマウスを屠殺することができる。各群は例えば10匹のマウスを含むことができる。
【0114】
実施例6
インビトロでのT細胞増殖及びサイトカイン分泌
改変エキソソームの活性を規定するために、最後の免疫化の1週間後、脾臓T細胞を、汎T細胞磁性ビーズを用いて、フローサイトメトリによる確認で95%純度まで単離することができる。処理マウスから得られたこれらCD3+T細胞(1×105)は、96ウェルプレート中で、2×104の不活化B16-F10細胞(50μg/mlマイトマイシンCでの処理による不活化)と5日間同時インキュベートすることができる。T細胞増殖は、CellTiter Aqueous cell proliferation assay(Promega)を用いて、72時間後に決定することができる。
【0115】
実施例7
IFN-γについてのELISPOTアッセイ
免疫学的活性を評価するため、IFN-γの産生を規定することができる。IFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)アッセイのために、最後の免疫化の7日後、脾臓細胞を単離し、5×106/mlでアッセイすることができる。このリンパ球を、10μg/mlの標識した改変エキソソーム、未標識の非改変エキソソーム又は5μg/mlのコンカナバリンAで3日間刺激することができる。処理したリンパ球をELISPOTプレートに移し、解剖顕微鏡を用いてIFN-γ-特異的分泌コロニーをカウントする。
【0116】
本明細書に開示の主題の種々の詳細は、本明細書に開示の主題の範囲から逸脱することなく変更できることが理解される。更に、上記の説明は、例証を目的とするに過ぎず、制限を目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又はそれより多い抗原を含んでなり、かつエキソソーム中に通常見出される1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いている、細胞から単離したエキソソーム。
【請求項2】
前記細胞が前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害するように改変されている請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項3】
前記細胞が前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを含んでなるように改変されている請求項2に記載のエキソソーム。
【請求項4】
前記1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドがsiRNAポリヌクレオチドを含んでなる請求項3に記載のエキソソーム。
【請求項5】
前記細胞が培養細胞である請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項6】
前記細胞がガン細胞である請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項7】
前記ガン細胞が、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項6に記載のエキソソーム。
【請求項8】
前記細胞が、UL-1細胞、UL-2、UL-3細胞又はUL-6細胞である請求項6に記載のエキソソーム。
【請求項9】
前記1又はそれより多い抗原が各々ガン細胞抗原を含んでなる請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項10】
前記ガン細胞抗原が、p53、p63、p73、mdm-2、プロカテプシン-D、B23、C23、PLAP、CA125、MUC-1、cerB/HER2、NY-ESO-1、SCP1、SSX-1、SSX-2、SSX-4、HSP27、HSP60、HSP90、GRP78、TAG72、HoxA7、HoxB7、EpCAM、ras、メソテリン、サービビン、EGFK、MUC-1及びc-mycからなる群より選択される請求項9に記載のエキソソーム。
【請求項11】
前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドが、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項12】
1又はそれより多い外因性抗原を含んでなる請求項1に記載のエキソソーム。
【請求項13】
前記1又はそれより多い外因性抗原がスーパー抗原を含んでなる請求項12に記載のエキソソーム。
【請求項14】
前記スーパー抗原がブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)又はレンサ球菌スーパー抗原(SSA)を含んでなる請求項12に記載のエキソソーム。
【請求項15】
請求項1に記載のエキソソームを産生する細胞。
【請求項16】
前記細胞が培養細胞である請求項15に記載の細胞。
【請求項17】
前記細胞がガン細胞である請求項15に記載の細胞。
【請求項18】
前記ガン細胞が、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項17に記載の細胞。
【請求項19】
前記細胞が、UL-3細胞、UL-2又はUL-6細胞である請求項18に記載の細胞。
【請求項20】
(a)1又はそれより多い抗原を含んでなり、かつ1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いているエキソソーム;及び
(b)医薬キャリア
を含んでなる組成物。
【請求項21】
(a)エキソソームを産生することができる細胞を用意し;
(b)前記細胞による1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害し;そして
(c)前記細胞により産生された、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いているエキソソームを単離すること
を含んでなる1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドを実質的に欠いているエキソソームを製造する方法。
【請求項22】
前記エキソソームを1又はそれより多い外因性抗原で修飾することを含んでなる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1又はそれより多い外因性抗原がスーパー抗原を含んでなる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スーパー抗原が、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)又はレンサ球菌スーパー抗原(SSA)を含んでなる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が培養細胞である請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記エキソソームの単離が、前記細胞を培養する培地を採集することを含んでなる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞がガン細胞である請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記ガン細胞が、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞が、UL-1細胞、UL-2、UL-3細胞及びUL-6である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞による前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現抑制が、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを前記細胞中に導入することを含んでなる請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドがsiRNAポリヌクレオチドを含んでなる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドが、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項21に記載の方法。
【請求項33】
ガンの治療を必要とする対象にガン細胞により産生されたエキソソームの有効量を投与することを含んでなり、該エキソソームが1又はそれより多いガン抗原を含んでなり、かつ1又はそれより多い免疫抑制ポリペプチドを実質的に欠いている、対象においてガンを治療する方法。
【請求項34】
前記治療するガンが充実性腫瘍である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記治療するガンが、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記エキソソームが、静脈内、腫瘍内、皮下、経皮又は腹腔内に投与される請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記エキソソームが1又はそれより多い外因性抗原を含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記1又はそれより多い外因性抗原がスーパー抗原を含んでなる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記スーパー抗原が、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)又はレンサ球菌スーパー抗原(SSA)を含んでなる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ガン細胞が、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害するように改変されている請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記ガン細胞が、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを含んでなるように改変されている請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドがsiRNAポリヌクレオチドを含んでなる請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ガン細胞が培養細胞である請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記ガン細胞が、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞が、UL-1細胞、UL-2、UL-3細胞又はUL-6細胞である請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記1又はそれより多いガン細胞抗原の各々が、p53、p63、p73、mdm-2、プロカテプシン-D、B23、C23、PLAP、CA125、MUC-1、cerB/HER2、NY-ESO-1、SCP1、SSX-1、SSX-2、SSX-4、HSP27、HSP60、HSP90、GRP78、TAG72、HoxA7、HoxB7、EpCAM、ras、メソテリン、サービビン、EGFK、MUC-1及びc-mycからなる群より選択される請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が哺乳動物である請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドが、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項33に記載の方法。
【請求項49】
免疫応答の刺激を必要とする対象にガン細胞により産生され1又はそれより多い抗原を含んでなるエキソソームの有効量を投与することを含んでなり、該エキソソームは1又はそれより多い免疫抑制ポリペプチドを実質的に欠いている、対象における免疫応答を1又はそれより多い抗原に対して刺激する方法。
【請求項50】
前記エキソソームが静脈内、腫瘍内、皮下、経皮又は腹腔内に投与される請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記エキソソームが1又はそれより多い外因性抗原を含んでなる請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記1又はそれより多い外因性抗原がスーパー抗原を含んでなる請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記スーパー抗原が、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、Streptococcus pyogenes外毒素(SPE)、Staphylococcus aureusトキシックショック症候群毒素(TSST-1)、レンサ球菌分裂誘発性外毒素(SME)又はレンサ球菌スーパー抗原(SSA)を含んでなる請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を阻害するように改変されている請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞が、前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドの発現を特異的に抑制する1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドを含んでなるように改変されている請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1又はそれより多い阻害性ポリヌクレオチドがsiRNAポリヌクレオチドを含んでなる請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞が培養細胞である請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞がガン細胞である請求項49に記載の方法。
【請求項59】
前記ガン細胞が、卵巣ガン細胞、子宮頸ガン細胞、乳ガン細胞、子宮内膜ガン細胞、結腸ガン細胞、前立腺ガン細胞、肺ガン細胞、黒色腫細胞又は膵臓ガン細胞である請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞が、UL-1細胞、UL-2、UL-3細胞又はUL-6細胞である請求58項に記載の方法。
【請求項61】
前記1又はそれより多い抗原が各々ガン細胞抗原を含んでなる請求項49に記載の方法。
【請求項62】
前記ガン細胞抗原が、p53、p63、p73、mdm-2、プロカテプシン-D、B23、C23、PLAP、CA125、MUC-1、cerB/HER2、NY-ESO-1,SCP1、SSX-1、SSX-2、SSX-4、HSP27、HSP60、HSP90、GRP78、TAG72、HoxA7、HoxB7、EpCAM、ras、メソテリン、サービビン、EGFK、MUC-1及びc-mycからなる群より選択される請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が哺乳動物である請求項49に記載の方法。
【請求項64】
前記1又はそれより多い免疫抑制性ポリペプチドが、FasL、プログラム死リガンド-1、プログラム死リガンド-2、B7-H3、B7-H4及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項49に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−516786(P2010−516786A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547455(P2009−547455)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/052205
【国際公開番号】WO2008/092153
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(506217427)ユニバーシティー オブ ルイヴィル リサーチ ファウンデーション,インコーポレーテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LOUISVILLE RESEARCH FOUNDATION,INC.
【住所又は居所原語表記】201 East Jefferson Street,Suite 215,MedCenter Three,Louisville,KY 40202,U.S.A.
【Fターム(参考)】