説明

ワクチン調製におけるアミノ−オキシ官能基の使用

本発明は、少なくとも1個のオキシム連結を介して官能基化される多糖、オリゴ糖、糖質、または糖質-含有分子を形成するために、少なくとも1種のカルボニル基を含む多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された実体と、アミノ-オキシホモ官能性またはヘテロ官能性試薬を混合する工程とを含む、複合体を調製する方法に関する。次いでこの官能基化された化合物は、直接的または間接的のいずれかでタンパク質部分と反応し、ワクチンとして使用され得るタンパク質-糖質複合体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年1月29日に出願された米国特許仮出願第60/539,573号、および2004年7月20日に出願された第60/589,019号の優先権の恩典を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、カルボニル-含有基とアミノ-オキシ官能基の間の反応を含む、タンパク質および多糖を共有的に連結し複合ワクチンを形成する方法に関する。
【0003】
ワクチン接種法において、医科学は、疾患を引き起こさないが、疾患に対し防御する抗体の形成を刺激する抗原を用いて体を免疫することにより、侵略する物質に対しそれ自身防御する体の先天的能力を使用する。例えば、腸チフスおよび百日咳などの細菌疾患に対し防御するために、死滅した生物を注射し、破傷風およびジフテリアに対し防御するために、毒素を注射し、ならびにポリオおよびはしかなどのウイルス疾患に対し防御するために、弱毒化された生物体を注射する。
【0004】
しかし単に異物を注射することにより抗体産生を刺激することは、常に可能ではない。ワクチン調製物は免疫原性でなければならず、すなわちこれは免疫応答を誘導することができなければならない。破傷風毒素のようなある種の物質は、本質的に免疫応答を惹起し、修飾せずにワクチンで投与することができる。しかし他の重要な物質は、免疫原性ではなく、それらは免疫応答を誘導する前に、免疫原性分子または構築体に転換されなければならない。
【0005】
免疫応答は、一般に以下のように説明することができる一連の複雑な反応である:(1)抗原が体に侵入し、抗原を処理しかつ抗原断片をそれらの表面に保持する抗原-提示細胞に遭遇し;(2)抗原-提示細胞上に保持された抗原断片が、B細胞に支援を提供するT細胞により認識され、;ならびに、(3)B細胞が刺激され、抗原に対する抗体を分泌する抗体産生細胞へ増殖および分化する。
【0006】
ほとんどの抗原は、単にT細胞からの助けにより抗体を誘発し、従ってT-依存性(TD)として知られている。このようなT-依存性抗原の例は、破傷風およびジフテリア毒素である。
【0007】
多糖のような一部の抗原は、抗原提示細胞により適切にプロセシングされることができず、T細胞により認識されない。これらの抗原は、抗体産生を誘発するためにT細胞の助けを必要としないが、直接B細胞を活性化することができ、従ってT-非依存性抗原(TI)として知られている。このようなT-非依存性抗原は、B型インフルエンザ(Haemophilus influenzae)のポリリボシル-リビトール-リン酸(PRP)および肺炎球菌莢膜の多糖がある。
【0008】
T-非依存性抗原とT-依存性抗原の間には別の相違点も存在する:
A)T-依存性抗原は、免疫応答をプライミングし、そのため同じ抗原による二次抗原投与時に記憶応答を生じることができるが、T-非依存性抗原はできない。
B)抗原に対する抗体の親和性は、T-依存性抗原による免疫後経時的に増加するが、T-非依存性抗原はしない。
C)T-依存性抗原は、未熟児または新生児の免疫系を、T-非依存性抗原よりもより効果的に刺激する。
D)T-依存性抗原は通常、IgM、IgG1、IgG2aおよびIgE抗体を刺激するが、T-非依存性抗原は、IgM、IgG1、IgG2bおよびIgG3抗体を刺激する。
【0009】
T-依存性抗原は、一次および二次応答を刺激することができ、これは成人および新生児の両免疫系において長期存在するが、アジュバント(免疫応答を増強する物質)と共に投与されなければならないことが多い。ペプチドのような非常に小型のタンパク質は、アジュバントと共に投与される場合であっても、免疫原性であることは稀である。
【0010】
T-非依存性抗原、例えば多糖は、アジュバントの非存在下で免疫応答を刺激することができるが、高レベルまたは持続した抗体応答を刺激することはできない。これらは、未熟なまたはB細胞欠損の免疫系を刺激することもできない(Mond, J. J., Immunological Reviews, 64:99(1982);Mosier, D. E. et al., J. Immunol., 119:1874(1977)(非特許文献1))。
【0011】
T-非依存性抗原に関して、小児へそのような抗原に対する、特にインフルエンザ菌、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)および髄膜炎菌(Neisseria meningiditis)などの生物上に認められる莢膜多糖に対する、防御免疫を提供することが望ましい。
【0012】
T-非依存性抗原に対する免疫応答を増強するひとつの方法は、破傷風またはジフテリア毒素などのT-依存性抗原に、インフルエンザ菌PRPなどの多糖(Cruse, J. M., Lewis, R. E. Jr., eds., Conjugate Vaccines in Contributions to Microbiology and Immunology, Vol.10,(1989)(非特許文献2))、またはオリゴ糖抗原(Anderson, P. W. et al., J. Immunol., 142:2464,(1989)(非特許文献3))を複合することに関する。この方法でヘルパーT細胞(T cell help)を動員することは、免疫処置された多くの幼児へ増強された免疫を提供することが示されている。
【0013】
タンパク質-多糖複合ワクチンは、そうでなければ多糖単独に反応することができない幼児において、抗-多糖抗体応答を刺激する。
【0014】
タンパク質および多糖の複合は、別の有利な結果を提供することある。例えば本出願人は、タンパク質/多糖複合体は、多糖成分に対してのみではなく、タンパク質成分に対しても抗体応答を増強することができることを発見した。この作用は、例えば、米国特許第5,955,079号(特許文献1)に開示されている。この作用は、A. Lees, et al., Vaccine, 12(13):1160(1994)(非特許文献4)にも記されている。
【0015】
タンパク質と多糖のカップリングを促進する技術が開発されている。例えば、Dick, W. E. et al.,「Glyconjugates of Bacterial Carbohydrate Antigens: A Survey and Consideration of Design and Preparation Factors」、Conjugate Vaccines (Eds. Cruse, et al.), p.48(1989)(非特許文献5)を参照されたい。しかし糖質を活性化する多くの技術は、水性媒体中での使用に適しておらず、その理由は活性化試薬または官能性試薬は、水中で安定していないからである。例えば、Marburgらの米国特許第4,695,624号(特許文献2)に開示されたようなN,N'-カルボニルジイミダゾールは、有機媒体中で使用しなければならない。
【0016】
ホモ官能性およびヘテロ官能性ビニルスルホン試薬を使用し、多糖が活性化されている。活性化された多糖は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンと適当な反応条件下で反応し、複合体を生成する。このことは、米国特許第6,309,646号(特許文献3)においてより詳細に説明されている。複合ワクチンを生成する別の方法は、ウロニウム塩試薬を、多糖または糖質のような可溶性の第一部分と混合する工程、ならびにタンパク質、ペプチド、または糖質などの第二部分と混合し、複合ワクチンを形成する工程を含む。この方法は、米国特許第6,299,881号(特許文献4)に開示されている。
【0017】
ほとんどの糖質は、複合前に活性化されなければならず、臭化シアン(CNBr)が、活性化剤として選択されることが多い。例えばChu et al., Inf. & Imm., 40:245(1983)(非特許文献6)を参照されたい。最初に認可された複合ワクチンは、HIB PRPを活性化するために、CNBrにより調製され、次にアジピン酸ジヒドラジドにより誘導体化され、破傷風毒素へ水溶性カルボジイミドを用いカップリングされた。
【0018】
「CDAP」とも称される1-シアノ-4-(ジメチルアミノ)-ピリジニウムテトラフルオロボレートの使用が、多糖を活性化するための水性媒体における使用について説明されている。これらの活性化された多糖は、直接または間接に、タンパク質へカップリングされる。CDAPの使用は、例えば米国特許第5,849,301号(特許文献5)、およびLees, et al.,「Activation of Soluble Polysaccharides with 1-Cyano-4-Dimethylamino Pyridinium Tetrafluoroborate For Use in Protein- Polysaccharide Conjugate Vaccines and Immunological Reagents」、Vaccine, 14(3):190(1996)(非特許文献7)に説明されている。
【0019】
CNBr-活性化法を簡単にまとめると、CNBrは、高pH、典型的にはpH10〜12で、糖質と反応させられる。この高pHで、糖質のヒドロキシル基により、シアン酸エステルが形成される。次にこれらは、二官能性試薬、通常ジアミンまたはジヒドラジドと反応する。これらの誘導体化された糖質は次に、二官能基を介して複合体化される。ある限定的場合において、シアン酸エステルは、直接タンパク質と反応することもある。
【0020】
高pHは、ヒドロキシル基のイオン化に必要であり、その理由はこの反応はシアン酸イオン(CN-)へのヒドロキシルイオンの求核攻撃を必要とするからである。結果的に、CNBrは、多くの副反応を生じ、その一部は、多糖にネオ-抗原を追加する。Wilcheck, M. et al., Affinity Chromatography. Meth. Enzymol., 104:3-55(1984)(非特許文献8)。より重要なことに、多くの糖質、または6型肺炎球菌および髄膜炎菌由来のHib、PRP、および莢膜多糖のような部分は、加水分解されるか、または臭化シアン活性化の実現に必要な高pHにより損傷される。
【0021】
CNBr活性化法の別の問題点は、生成されるシアン酸エステルが、高pHでは不安定であり、迅速に加水分解され、誘導体化された糖質の収量を低下し、その結果タンパク質に複合された糖質の全体の収量が低下することである。多くの他の非生産的副反応、例えばカルバメートおよび直鎖状カルボン酸イミドを生成する反応は、高pHで促進される。この作用は、Kohn et al., Anal. Biochem, 115:375(1981)(非特許文献9)に説明されている。更にCNBrそれ自身、高度に不安定であり、高pHでは自発的に加水分解され、更に全体の収量を低下する。
【0022】
タンパク質-多糖複合ワクチンは、還元的アミノ化によっても形成される。この方法において、多糖上のアルデヒドは、タンパク質上のアミンと反応し、可逆的シッフ塩基を形成する。このシッフ塩基は、引き続き還元され、アミンとアルデヒドの間に安定した連結を形成する。この方法は、多くの問題点により悩まされている。シッフ塩基の形成は、遅くかつ不充分であり、更に全体の反応は、反応するために互いに密である必要があるこれらふたつの成分(すなわち、多糖およびタンパク質)の大きいサイズにより妨げられる。この問題点を克服するために、カップリング前に、オリゴ糖へ分解されることが多い。
【0023】
ジメチルスルホキシド(DMSO)の使用は、シッフ塩基の形成を促進するが、この有機溶媒は、タンパク質にとっては有害である。時には多工程プロトコールが使用され、ここではスペーサー基(例えば、ヘキサンジアミンまたはアジピン酸ジヒドラジド)が、還元的アミノ化を介して多糖へ付加され、このスペーサーは引き続きタンパク質へ連結される。高濃度のスペーサーの使用は、この反応を強制しかつ収量を増加することを補助する。高温および延長された反応時間も、反応を促進するために使用される。しかしこれらも、タンパク質および多糖に有害である。更に、アミンはアルデヒドと反応するためには脱プロトン化されなければならないので、シッフ塩基形成は、通常アルカリ溶液、すなわちpH≧8の溶液の使用が必要である。高温高pHでの延長された反応は、タンパク質および多糖の両方に有害である。更に還元工程は、通常水素化シアノホウ素またはピリジン-ボランの使用に関連しているが、これらはタンパク質にとっては無効でありかつ有害である。同じくこれらの試薬は、大量での作業は危険である。還元的アミノ化法の更なる制限は、タンパク質と多糖の間の連結部位の高度にランダムな性質である。
【0024】
従って複合ワクチンの調製のための効率的かつ有効な方法が、当技術分野において依然必要とされている。
【0025】
【特許文献1】米国特許第5,955,079号
【特許文献2】米国特許第4,695,624号
【特許文献3】米国特許第6,309,646号
【特許文献4】米国特許第6,299,881号
【特許文献5】米国特許第5,849,301号
【非特許文献1】Mond, J. J., Immunological Reviews, 64:99(1982);Mosier, D. E. et al., J. Immunol., 119:1874(1977)
【非特許文献2】Cruse, J. M., Lewis, R. E. Jr., eds., Conjugate Vaccines in Contributions to Microbiology and Immunology, Vol.10,(1989)
【非特許文献3】Anderson, P. W. et al., J. Immunol., 142:2464,(1989)
【非特許文献4】A. Lees, et al., Vaccine, 12(13):1160(1994)
【非特許文献5】Dick, W. E. et al.,「Glyconjugates of Bacterial Carbohydrate Antigens: A Survey and Consideration of Design and Preparation Factors」、Conjugate Vaccines (Eds. Cruse, et al.), p.48(1989)
【非特許文献6】Chu et al., Inf. & Imm., 40:245(1983)
【非特許文献7】Lees, et al.,「Activation of Soluble Polysaccharides with 1-Cyano-4-Dimethylamino Pyridinium Tetrafluoroborate For Use in Protein- Polysaccharide Conjugate Vaccines and Immunological Reagents」、Vaccine, 14(3):190(1996)
【非特許文献8】Wilcheck, M. et al., Affinity Chromatography. Meth. Enzymol., 104:3-55(1984)
【非特許文献9】Kohn et al., Anal. Biochem, 115:375(1981)
【発明の開示】
【0026】
発明の概要
ひとつの態様は、(a)少なくとも1個のカルボニル含有基を含む第一部分を、少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応させ、第一部分上に少なくとも1個のペンダント官能基を形成する工程であり、ここで第一部分が、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される、工程;
(b)少なくとも1個のペンダント官能基を含む第一部分を、第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、ここで第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択される工程;ならびに
(c)複合体を、薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0027】
別の態様は、(a)少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分を第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;
(b)ここで第一の部分は、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択され、ならびに第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択され;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0028】
別の態様は、(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された第一部分を;
(b)少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応した第二部分と反応させ、ここで第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択され、複合体を含有する組成物を形成する工程;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0029】
更に別の態様は、(a)第一部分を、少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、
ここで第一部分は、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択され、ならびに第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択される工程;ならびに
(b)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0030】
更なる態様は、(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された第一部分を提供する工程;
(b)少なくとも1個のアルデヒド基を含むように酸化することができるN-末端1,2-アミノアルコールより選択された第二部分を提供する工程;
(c)該第二部分を少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応させる工程;
(d)該第一部分を、官能基化された第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;ならびに
(e)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0031】
更なる態様は、(a)少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含有する第一部分を反応する工程であり、ここで第一部分が、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される工程;
(b)第一部分を第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、ここで第二部分が、少なくとも1個のカルボニル基を含む糖タンパク質より選択される工程;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを含有する組成物を形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0032】
更に別の態様は、(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される第一部分を、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択された第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;
(b)ここで第一部分は、アミノ-オキシ試薬由来の少なくとも1個の還元末端を含み;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程;を含む、複合ワクチンを調製する方法である。
【0033】
定義
「アミノ-オキシ試薬」は、構造NH2-O-Rの試薬を意味する。Rは、アミノ-オキシ窒素に結合することが可能である任意の基であり得る。本開示のひとつの局面に従い、Rは、官能基、例えば、アミン、チオール、または例えばタンパク質へのカップリングを促進する他の化学基である。
【0034】
「複合体」は、共に化学的に連結または結合することを意味する。
【0035】
「官能基化」は、更に反応を促進する少なくとも1種の基を付加することを意味する。典型的官能基は、アミノ-オキシ、チオール、マレイミド、ハロゲン、ハロアシル、アルデヒド、ヒドラジド、ヒドラジン、およびカルボキシを含む。他の官能基は、当業者に周知であり、かつHermansonの「Bioconjugation Techniques」において考察を見ることができる。
【0036】
「ハプテン」は、それ自身は抗体応答を誘発することができないが、一旦それが担体にカップリングされると抗体反応を誘発することができる化学実体のような小分子を意味する。
【0037】
アミノ-オキシ試薬に関して考察する場合、「ホモ官能性」は、少なくとも2個のアミノ-オキシ官能基を有する試薬を意味する。ホモ官能性試薬は、ホモ二官能性またはホモ多官能性、すなわち2、3、4個またはそれよりも多いアミノ-オキシ官能基を有することができる。
【0038】
アミノ-オキシ試薬に関して考察する場合、「ヘテロ官能性」は、少なくとも1個のアミノ-オキシ官能基および少なくとも1個の別の非-アミノ-オキシ官能基を有する試薬を意味する。ヘテロ官能性試薬は、ヘテロ二官能性またはヘテロ多官能性、すなわち2、3、4個またはそれよりも多いアミノ-オキシ官能基を有することができる。これは、複数の他の非-アミノ-オキシ官能基、例えば2、3、4個またはそれよりも多い同じ型または異なる型のいずれかを有することもできる。
【0039】
「部分」は、 複合体の部分のひとつを意味する。
【0040】
「ペンダント官能基」は、分子上に存在するか、または分子上に露出した官能基を意味する。
【0041】
「スペーサー」は、第一部分の第二部分への間接的カップリングのために使用される追加の分子を意味する。
【0042】
発明の詳細な説明
A. 複合に関する戦略
本発明は、複合ワクチンを調製するための先行技術の方法の変更を提供する。特に本発明は、第一部分が、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択され、ならびに第二部分が、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択され、ならびに複合は、少なくとも1個のアミノ-オキシ官能基を使用し進行するような、第一部分を第二部分へ複合する新規方法を提供する。
【0043】
本発明の範囲内の第一部分および第二部分を反応する多くの方法が存在し、これらの方法の各々は、この方法における少なくとも1個のアミノ-オキシ基の使用に頼っている。
【0044】
1個のアミノ-オキシ基を伴う少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬は、第一部分と反応し、少なくとも1個の非-アミノ-オキシペンダント官能基を伴う組成物を形成することができる。
【0045】
複数のアミノ-オキシ基を伴う少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬は、第一部分と反応し、少なくとも1個のアミノ-オキシペンダント官能基を伴う組成物を形成することができる。この態様において、少なくとも1個の非-アミノ-オキシペンダント官能基が任意に追加的に存在してもよい。
【0046】
1個のアミノ-オキシ基を伴う少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬は、第二部分と反応し、少なくとも1個の非-アミノ-オキシペンダント官能基を伴う組成物を形成することができる。
【0047】
複数のアミノ-オキシ基を伴う少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬は、第二部分と反応し、少なくとも1個のアミノ-オキシペンダント官能基を伴う組成物を形成することができる。この態様において、少なくとも1個の非-アミノ-オキシペンダント官能基が任意に追加的に存在してもよい。
【0048】
従って本発明において、少なくとも1種の第一部分および第二部分は、アミノ-オキシ試薬と反応し、少なくとも1個のペンダント官能基(少なくとも1個のアミノ-オキシまたは非-アミノ-オキシペンダント官能基)を伴う組成物を生じるであろう。直前に記したように、戦略1または2(第一部分)および3または4(第二部分)の任意の組合せに従い、第一部分および第二部分の両方が官能基化されることは可能である。別の態様において、第一部分または第二部分のいずれかが、官能基化されてよい。
【0049】
次いで第一部分および第二部分は、共に複合体化されてよい。この複合は、第一部分上のペンダント官能基を、第二部分へ直接連結することにより、直接的に進行することができる。あるいはこの複合は、第一部分上のペンダント官能基がスペーサーと称される追加の試薬に連結し、これが次に第二部分に連結されることにより、間接的に進行することができる。当然、第一および第二部分の位置を単に逆にすることにより、同様の戦略を、第二部分上のペンダント官能基で辿ることができる。
【0050】
B. 第一部分:多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子
本明細書において使用される「糖質」は、可溶性の単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖を意味する。本発明の方法での使用に適した多糖の例は、細菌、真菌およびウイルスの多糖を含む。例えば水溶性多糖などの、可溶性多糖(すなわち、溶液中に存在する多糖)は、本発明での使用に適している。適当な多糖の具体例は、チフス菌(Salmonella typhi)Vi抗原;髄膜炎菌多糖C;および、肺炎球菌多糖、例えば肺炎球菌多糖14型がある。
【0051】
本発明のある態様に従い、糖質は、天然、半合成、または全合成の高分子量分子である。ひとつの態様に従い、少なくとも1種の糖質-含有部分は、大腸菌(E. coli)多糖、黄色ブドウ球菌(S. aureus)多糖、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、アガロース、肺炎球菌多糖(Pn)、フィコール、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、インフルエンザ菌(H. influenzae)PRP、緑膿菌(Pseudomonas aeroginosa)、肺炎レンサ球菌、AおよびB群レンサ球菌、髄膜炎菌、およびそれらの組合せより選択される。
【0052】
ひとつの態様に従い、糖質-含有部分はデキストランである。本明細書において使用される「デキストラン」(dex)は、多くの供給業者(例えばPharmacia)から得ることができる単独の糖で構成された多糖を意味する。別の好ましい糖質-含有部分は、フィコールであり、これは不活性で半合成のイオン化されない高分子量ポリマーである。本発明に従い使用することができる部分の追加の限定的でない例は、リポ多糖("LPS")、リポオリゴ多糖("LOS")、リポテイコ酸("LTA")、脱アセチル化されたLPS、脱アセチル化されたLTA、脱脂質されたLPS、脱脂質されたLTA、および関連分子を含む。一般に還元的アミノ化を使用しカップリングされている糖質-含有分子は、アルデヒド部分の形成が必要である。場合によっては、例えばこれらのアルデヒドは、本明細書に開示されたアミノ-オキシ化学を用いカップリングすることもできる。
【0053】
還元的アミノ化を使用し、LPSおよびLOSはカップリングされており、これらは両方とも、アミノ-オキシ化学を用いてカップリングすることができる。還元的アミノ化化学を使用するLPSおよびLOSのカップリングの例は、Mieszala et al., Carbohydrate Research, 338:167(2003);Jennings et al., Inf. & Immun., 43:407(1984);および米国特許第4,663,160号に開示されている。
【0054】
C. 第二部分:タンパク質、ペプチドおよびハプテン
本発明に従い、様々な異なるタンパク質を、様々な異なる多糖にカップリングすることができる。下記リストは、本発明に従い使用するのに適したタンパク質の例を含む:ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、真菌タンパク質、寄生虫タンパク質、動物タンパク質。前記給源のいずれかに由来する糖タンパク質も、第一部分との複合体の形成に使用することができる。脂質、糖脂質、ペプチド、およびハプテンも、本発明の第二部分としての使用に適している。ハプテン化されたタンパク質、すなわちハプテンにより誘導体化されたタンパク質も、本発明の第二部分としての使用に適している。
【0055】
具体的タンパク質は、破傷風毒素(TT)、百日咳毒素(PT)、ウシ血清アルブミン(BSA)、リポタンパク質、ジフテリア毒素(DT)、ヒートショックタンパク質、T- 細胞スーパー抗原、プロテインD、CRM197、および細菌の外膜タンパク質を含む。これらのタンパク質出発材料は全て、生化学品または薬品の供給業者(例えば、American Tissue Type Collection(ロックビル, MD)、もしくはBerna Laboratories(フロリダ))から商業的に入手することができるか、またはJ. M. Cruse and R. E. Lewis(編集)「Conjugate Vaccines in Contributions to Microbiology and Immunology」、Vol.10(1989)に説明されたような標準の方法により調製することができる。
【0056】
D. 第一または第二部分のアミノ-オキシ基による官能基化法
アミノ-オキシ(同じくオキシ-アミン、アミノ-オキシ、アミノオキシ、およびアミノ-オキシと称される)官能基NH2-O-Rは、タンパク質上に認められるアミンよりもより低いpKaを有し、およびはるかに低いpHで求核性である。アミノ-オキシ基は、カルボニル-含有基、例えばアルデヒドおよびケトンと非常に反応性であり、高度に安定したオキシムを形成する。この反応の最適pHは、4〜8の範囲、例えば5〜7である。本発明のひとつの局面に従い、最適pHは約5である。オキシムは安定しているので、前述の還元的アミノ化法における還元工程は、最良である。この反応の高い効率性は、より短い反応時間を生じる。更に相補的試薬の間の反応部位に若干の制御を発揮することが可能である。対照的に、ヒドラジドおよびアミンのケトンのような基との反応は、比較的遅くはるかに効率が悪い。
【0057】
タンパク質および多糖は、相補的オキシム-形成基により官能基化され、反応し、オキシム-連結したタンパク質-多糖複合ワクチンを形成する。本発明のひとつの局面に従い、タンパク質は多糖へ直接連結される。
【0058】
ひとつの態様に従い、アミノ-オキシホモ官能性またはヘテロ官能性試薬を、少なくとも1個のカルボニル基を含む多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された実体と混合し、少なくとも1個のオキシム連結により官能基化された多糖、オリゴ糖、糖質、または糖質-含有分子を形成する工程を含む方法が提供される。官能基化は、例えば、チオール、カルボキシ、アミノ-オキシ、ハロゲン、アルデヒドなどの、更なる反応を促進する基を付加することを意味する。この態様は、下記の非-限定的例により例示される("Ps"は、多糖を意味する:

Rは、タンパク質の結合を促進するための、以下に列記したもののような官能基、例えば、アミノ-オキシ、アミン、チオール、または他の化学基である。

【0059】
その結果、少なくとも1個のペンダント官能基は、タンパク質部分と直接的または間接的に反応し、タンパク質-多糖複合体を生じる。
【0060】
別の態様に従い、タンパク質は、少なくとも1種のペンダントアミノ-オキシ基により官能基化され、これは引き続き多糖、オリゴ糖、糖質、または糖質-含有部分上のカルボニル基と反応する。カルボニル基は、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムにより形成される。例えば、多糖の場合、官能基化されるタンパク質は、多糖と反応し、タンパク質-多糖複合体を形成する。下記のスキームは、この方法の非限定的局面を例示している。

【0061】
アミノ-オキシ基によりタンパク質を官能基化する方法は、当業者に公知である。タンパク質は、アミノ-オキシ基により、化学的、酵素的に、または遺伝子操作により官能基化することができる。アミン基またはカルボキシ基のいずれかでタンパク質を官能基化し、およびタンパク質上のアミノ-オキシ基の数を制御する方法は、本明細書に説明される。
【0062】
更に別の態様において、多糖は、ペンダントアミノ-オキシ基により官能基化され、引き続きカルボニル基を含む糖タンパク質と反応する。これらは、例えば糖タンパク質上の糖質の酸化により、存在することができる。アルデヒドは、N-末端セリンまたはトレオニンの選択的酸化により形成される。
【0063】
本発明に従い、例えば多糖、オリゴ糖、糖質、または糖質-含有部分が アミノ-オキシ基により官能基化される場合、有利なことにタンパク質は、少なくとも1個のカルボニル基を、例えばケトンまたはアルデヒド部分の形で含む。アルデヒドは、N-末端セリンまたはトレオニンを含むタンパク質上に形成され、得られるタンパク質は、アミノ-オキシ試薬と反応することができ、その結果N-末端を独自に官能基化する。この一価に官能基化されるタンパク質は、次いでアミノ-オキシ試薬がホモ官能性である場合は、例えばカルボニル-含有多糖により直接的に、またはスペーサーを用い間接的に、反応させることができる。N-末端セリンまたはトレオニンは天然に生じるか、またはタンパク質へ操作することができる。
【0064】
タンパク質が少なくとも1種のアミノ-オキシ基により官能基化される場合、多糖、オリゴ糖、または糖質は、少なくとも1種のカルボニル基を含む。カルボニル基は、多糖構造の天然の部分、例えばその高分子の還元末端であるか、または例えば酸化により形成されてよい。還元的アミノ化は、広範に使用され、タンパク質-多糖複合体を生成する。結果的に、カルボニル-含有多糖を生成する手段は当業者に周知である。
【0065】
一部の多糖は、それらの末端上に例えば、Hib、PRPおよびナイセリアPsCなどの還元糖を含む。これらはヘミアセタールとしてアルデヒドを含み、およびアミノ-オキシ試薬と反応することができる。追加のアルデヒドは、多糖の特異的分解により生成されてよい。一般的手法は、例えば、Lindbergら「Specific Degradation of Polysaccharides-Adv in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry」、Tipson et al., eds. Vol.31, pp.185-240(Academic Press, 1975)に説明されている。例えばPRPが過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化される場合、多糖鎖は切断され、各末端にアルデヒドを持つオリゴ糖を生成する。
【0066】
アルデヒドを生成する多くの他の方法が、当業者に公知である。例えば、Jenningsらの米国特許第4,356,170号、「Immunogenic Polysaccharide -Protein Conjugates」;Taiら、米国特許第5,425,946号、「Vaccines against Group C Neisseria Meningitidis」;Porro、米国特許第5,306,492号、「Oligosaccharide Conjugate Vaccines」;Yangら、米国特許第5,681,570号、「Immunogenic conjugate molecules」;Constantinoら、「Development and phase 1 clinical testing of a conjugate vaccine against meningococcus A and C」、Vaccine, 10:691(1992);Laferriereら、「The synthesis of Streptococcus pneumoniae polysaccharide-tetanus toxoid conjugates and the effect of chain length on immunogenicity」、Vaccine, 15:179(1997)がある。
【0067】
本発明に従い、アルデヒド部分をタンパク質および/または多糖へ付加することは望ましいことがある。当業者は、それを実行する多くの許容できる方法が存在することを理解するであろう。アルデヒドをタンパク質および多糖へ付加する方法の適当な非-限定的例は、以下を含む:
1.ヒドロキシル基が、塩基中で、クロロヘキサノールジメチルアセタールと反応し、引き続き遮蔽されたアルデヒドは、穏やかな酸加水分解により露出する(revealed)。Dickら、Conjugate Vaccines (Eds. Cruse, et al.), pp.91-93(1989)。

【0068】
2. グルクロノラクトンおよび水素化シアノホウ素ナトリウムを使用し、タンパク質アミンを還元的にアミノ化する。けん化を使用し、ラクトンを開環する。次いで、糖を過ヨウ素酸ナトリウムを用いてアルデヒドへ酸化する。

【0069】
3. カルボキシル化された糖質、例えばグルクロン酸、ガラクタル酸、グリセリン酸、または酒石酸が、カルボジイミド試薬を用い、タンパク質アミンに付加される。このグリコシル化されたタンパク質は次に酸化され、過ヨウ素酸ナトリウムを用い、アルデヒド部分を生成する。

【0070】
4. アルデヒドは、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびノイロミニダーゼなどの適当な酸化酵素を使用する、酵素的酸化によっても生成することができる。例えばノイラミニダーゼを使用し、末端シアル酸を除去し、次いでガラクトースオキシダーゼが使用される(Hermanson, Bioconjugation Techniques, p.116-117)。
【0071】
5. アルデヒドのタンパク質または多糖上のアミンへの化学付加は、スクシンイミジル-p-ホルミル安息香酸またはスクシンイミジル-p-ホルミルフェノキシ酢酸を使用し実行することができる。これらのアルデヒドのNHSエステルは、アミンと反応し、アルデヒドの付加を生じる。

【0072】
6. 更に別の方法は、ビス-アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)のアミンとの反応を使用する(Hermanson, Bioconjugation Techniques, p.119- 120)。

【0073】
7. 別の適当な方法は、還元的アミノ化を使用し、グリセルアルデヒドをタンパク質アミンへ付加し、次いで過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化し、アルデヒドを生成する。
【0074】
任意で、この複合体が残留する遊離のアミノ-オキシ基またはアルデヒドを含む場合、ならびにこれらの基を反応停止することが望ましい場合、追加工程が採用される。アルデヒドを有する複合体を反応停止する方法のひとつは、還元、例えば水素化ホウ素ナトリウムの使用である。あるいは残留カルボニルは、モノアミノ-オキシ試薬、例えばアミノ-オキシ酢酸により停止することができる。残留アミノ-オキシ基は、一官能性カルボニル、例えばグリセルアルデヒド、アセトンまたはコハク酸セミアルデヒドにより停止することができる。
【0075】
E. アミノ-オキシ試薬
複合ワクチンの調製は、様々なアミノ-オキシ試薬を使用し実現することができる。様々な有用なホモ官能性およびヘテロ官能性アミノ-オキシ試薬は、当業者により調製され、同じくSolulink, Inc.(商標)(9853 Pacific Heights Blvd., Suite H, サンディエゴ, CA 92121)により入手することもでき、更に他のものは文献に説明されている。更に多くが想像でき、かつ容易に合成することができる。Toyokuniら「Synthesis of a new heterofunctional linker, N-[4-(amino-oxy)butyl] maleimide for facile access to a thiol-reactive 18F-labeling agent」、Bioconjugate Chem., 14:1253(2003)。
【0076】
本発明に従い使用することができる試薬の適当な非限定例は、Solulink(商標)(サンディエゴ, CA)により調製されたものを含む。例えばビス(アミノ-オキシ)システアミンは、ヘテロ官能性チオール-アミノ-オキシ試薬へ転換することができる、ホモ官能性アミノ-オキシ-試薬である。「Boc」は、t-ブトキシカルボニル保護基について、当技術分野において認められる頭字語である。Boc-アミノ-オキシ酢酸を使用し、例えば下記スキームに従い、多くの適当なアミノ-オキシ試薬を合成することができる。

【0077】
R"により指定されたリガンドは、本発明に従い使用することができる求核リガンドの適当な非-限定的例である。
【0078】
前記試薬は、Bachem(製品番号A4605.005)から入手可能な、2-(Boc-アミノ-オキシ)酢酸を基にしている。アミノ-オキシ試薬の生成のための他の有用な出発試薬は、N-Boc-ヒドロキシルアミンおよびN-Fmoc-ヒドロキシルアミンである。これらの試薬は、Aldrich Chemicalから入手可能である。N-Boc-ヒドロキシルアミンは、以下のように有用なアミノ-オキシ試薬の調製に使用することができる。

【0079】
ホモ官能性アミノ-オキシ試薬は、本発明に従い使用することができる。使用することができる適当なホモ官能性アミノ-オキシ試薬は、例えばビス(アミノ-オキシ)エチレンジアミン、ビス(アミノ-オキシ)ブタン、およびビス(アミノ-オキシ)テトラヒドログリコールを含み、これらは全て公知でありかつ当技術分野において認められた方法により調製することができる。例えばビス(アミノ-オキシ)ブタンは、以下のように調製することができる。

【0080】
様々な有用なヘテロ官能性アミノ-オキシ試薬の合成は、例えばMikolajczyk et al., Bioconjugate Chem., 5:636(1994)(マレイミド-アミノ-オキシ試薬);Mikola & Hanninen, Bioconjugate Chem., 3:182(1992)(アミノ-オキシアルキルアミン);Webb & Kaneko, Bioconjugate Chem., 1-96(1990)(アミノ-オキシ-ジチオニトロピリジル試薬)などの文献に説明されている。Jonesらは、有用なアミノ-オキシ試薬への別の経路を提供する、N-Bocヒドロキシルアミンおよびヨウ化アルキルおよび臭化アルキルからのアミノ-オキシエーテルの合成を説明している。DixonおよびWeissは(J. Org Chem. 49:4487(1984))、本発明で使用することができるビス-アミノ-オキシ試薬を説明している。
【0081】
ケトンを、例えば, NHSレブレート(Solulink(商標)より)などの試薬を使用し、アミンへ付加することができる。糖タンパク質などのタンパク質上の糖基は、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムにより、カルボニルへ酸化することができる。加えてRoseらの論文(「Preparation of well-defined protein conjugates using enzyme-assisted reverse proteolysis」、Bioconjugate Chem., 2:154(1991))に説明されたように、逆タンパク質分解を使用し、カルボニルまたはアミノ-オキシ基を付加することができる。タンパク質上のN-末端トレオニンまたはセリンは、アルデヒドへ選択的に酸化することができる。
【0082】
小型のリンカー分子も、タンパク質および多糖をアミノ-オキシ基により官能基化するために使用することができる。例えば、Vilaseca et al., 「Protein conjugates of defined structure : synthesis and use of a new carrier molecule」、Bioconj. Chem., 4:515(1993);および、Jones et al., 「Synthesis of LJP 993, a multivalent conjugate of the N-terminal domain of b2GPI and suppression of an anti-b2GPI immune response」, Bioconj. Chem., 12:1012(2001)を参照されたい。
【0083】
当業者に公知であるように、アミノ-オキシ、アミノオキシ、アミノキシ、およびオキシ-アミンは全て、同義語である。
【0084】
F. 間接的複合
前述のように、第一部分と第二部分の間の複合は、直接的または間接的のいずれかで進行し得る。ある場合には、タンパク質および多糖を混合する方法は、望ましくない副作用につながることがある。場合によっては、直接カップリングを、互いに非常に近接しているタンパク質および多糖に行い、タンパク質と多糖の間の過剰な架橋の形成を促進することができる。このような極端な条件下で得られる物質は、非常に濃厚となり始める(例えばゲル化した状態)。
【0085】
過剰架橋は、タンパク質成分および多糖成分の免疫原性の低下も生じることができる。加えて架橋法は、複合体への外来エピトープの導入を生じることができ、かつそうでなければ有用なワクチンの製造にとって弊害をもたらし得る。過剰な架橋の導入は、この問題点を悪化する。
【0086】
タンパク質と多糖の間の架橋の制御は、各々の上の活性基の数、濃度、pH、緩衝液の組成、温度、スペーサーおよび/または電荷の使用、ならびに当業者に周知の他の手段により制御することができる。
【0087】
例えば架橋度を制御するために、タンパク質と多糖の間にスペーサーを提供することができる。スペーサーは、タンパク質分子と多糖分子の間の物理的分離を維持することを補助し、これはタンパク質と多糖の間の架橋の数を制限するために使用することができる。追加の利点として、スペーサーは、得られる複合体の構造を制御するために使用することもできる。複合体が正確な構造を有さない場合、複合体物質の免疫原性に有害に作用し得る問題が生じる。非常に速いかまたは非常に遅いかのいずれかである、カップリング速度も、得られる複合体生成物の全体の収量、構造、および免疫原性に影響を及ぼす。Schneerson et al., Journal of Experimental Medicine, 152:361(1980)。
【0088】
G. ワクチン組成物
本発明は更に、本発明の方法で生成された複合体から調製することができるワクチンおよび他の免疫学的試薬に関する。例えば、ワクチンまたは他の免疫学的試薬を作製するために、本発明の方法で生成された複合体は、当業者に公知の常法により、薬学的に許容できる媒体または送達ビヒクルと混合することができる。このようなワクチンまたは免疫学的試薬は、患者への投与に適した形を提供するために、本発明の複合体の治療的有効量を、適量のビヒクルと共に含有するであろう。これらのワクチンは、ミョウバンまたは他のアジュバントを含有してよい。
【0089】
薬学的に許容できる媒体またはビヒクルの例は、例えば、水、または石油、動物、植物もしくは合成起源のもの、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む油などの滅菌液を含む。生理食塩水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合に好ましいビヒクルである。水性デキストロースおよびグリセロール溶液を、液体ビヒクルとして、特に注射用液剤において使用することができる。適当な薬学的ビヒクルは、当技術分野において周知であり、例えばE. W. Martin, Remington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0090】
本発明に従い調製されるワクチンは、ジフテリアワクチン;百日咳(サブユニット)ワクチン;破傷風ワクチン;b型インフルエンザ(ポリリボソームリン酸);肺炎レンサ球菌、全ての血清型;大腸菌、内毒素またはJ5抗原(LPS、リピドA、およびGentabiose);大腸菌、O多糖(血清型特異的);クレブシエラ、多糖(血清型特異的);黄色ブドウ球菌5および8型(血清型特異的および共通防御抗原);表皮ブドウ球菌、血清型多糖I、II、およびIII(および共通防御抗原);髄膜炎菌、血清型特異的またはタンパク質抗原;ポリオワクチン;おたふくかぜ、はしか、風疹ワクチン;RSウイルス;狂犬病;A、B、C型肝炎および他の肝炎;IおよびII型ヒト免疫不全ウイルス(GP120、GP41、GP160、p24、その他);1および2型単純ヘルペスウイルス;CMV(サイトメガロウイルス);EBV(エプスタイン-バーウイルス);水痘/帯状疱疹ウイルス;マラリア;結核菌;カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、他のカンジダ;ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii);マイコプラズマ;AおよびB型インフルエンザウイルス;アデノウイルス;A群レンサ球菌、B群レンサ球菌、血清型Ia、Ib、II、およびIII;緑膿菌(血清型特異的);鼻炎ウイルス;パラインフルエンザ(1、2および3型);コロナウイルス;サルモネラ;シゲラ;ロタウイルス;エンテロウイルス;トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)およびクラミジア肺炎病原体(TWAR);ならびに、クリプトコックス・ネオフォルマンスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本発明は、免疫賦活量のワクチンを投与することによる、患者の治療にも関連している。用語「患者」は、治療が有益である任意の対象を意味し、哺乳動物、特にヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、シカ、イヌ、およびネコ、更にはニワトリなどの他の動物を含む。「免疫賦活量」とは、疾患の予防、改善または治療のために、患者の免疫応答を刺激することができるワクチンの量を意味する。本発明のワクチンは、任意の適当な経路により投与することができるが、好ましくは、静脈内、筋肉内、鼻腔内、または皮下注射により投与される。例えば、糖質-ベースのワクチンを、癌療法に使用することができる。
【0092】
加えて、本発明のワクチンおよび免疫学的試薬は、治療、予防、または診断の目的のような、任意の適当な目的のために投与することができる。
【0093】
本発明は、先に説明されたワクチンを患者に免疫し、その結果ドナーがそのワクチンに対する抗体を産生することによる、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、または化学物質により引き起こされた感染症に対する免疫療法物質の調製法にも関連している。抗体が単離されるか、またはB細胞が得られ、後に骨髄腫細胞と融合され、モノクローナル抗体を作出することができる。モノクローナル抗体の作出は一般に、当技術分野において公知である(Kohler et al., Nature, 256:495(1975)を参照されたい)。本明細書において使用される「免疫療法剤」は、患者の受動的治療において使用するために、特異的免疫原に対する抗体の組成物を意味する。血漿ドナーは、ワクチン中に含まれる免疫原に対する抗体を産生するためにワクチンが注射される任意の対象である。
【0094】
実施例
実施例1:アミノ-オキシ官能基化されたタンパク質の調製
下記実施例は、多糖と複合することができるアミノ-オキシ官能基化されたタンパク質の調製を例示している。ウシ血清アルブミン(BSA)を、モデルタンパク質として使用した。
【0095】
ビス(アミノ-オキシ)テトラエチレングリコールを、カルボジイミドにより、ウシ血清アルブミン(BSA)上のカルボキシ基に連結した。BSA単量体を、論文(Lees et al., Vaccine, 14:190, 1996)に説明されたように調製した。ビス(アミノ-オキシ)テトラエチレングリコール(85mg)(Solulink(商標)により調製、MW361)は、0.5M HCl 850μl中に作製した。5N NaOHを添加し、pHを〜4.5に調節した。BSA単量体(生理食塩水中42.2mg/ml)1mlを添加した。25μlの新たに調製したEDC(1-(3-ジメチルアミノ)プロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、水中100mg/ml)を添加することにより、反応を開始した。約3時間後、この溶液を、生理食塩水に対して4℃で一晩透析した。次いでこの溶液を、生理食塩水で4mlとし、Amicon Ultra 4(商標)遠心装置(30kDaカットオフ)で、〜0.5mlに濃縮し、更に生理食塩水で平衡化した1x15cm G-10カラム(Pharmacia)上で脱塩した。次に排除容量画分を、Amicon Ultra 4(商標)装置を用い、〜-1mlに濃縮した。BCAアッセイ(Pierce Chemical Co)を用い、タンパク質濃度は、34mg/ml BSAであると概算した。トリニトロベンゼンスルホン酸アッセイは、強い赤色/オレンジ色を生じ、このことはアミノ-オキシ基の存在を示している。
【0096】
実施例2:アミノ-オキシ誘導体化された多糖の調製
下記実施例は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンに複合することができる任意のアミノ-オキシ官能基化された多糖の調製を例示する。
【0097】
Pn14(水中5mg/mlを10ml)を、CDAP(アセトニトリル中のストック液100mg/ml)40mg、引き続きトリエチルアミンをpHが9.4に上昇するまで添加することにより、活性化した。約2.5分後、0.5Mヘキサンジアミン(pH9.4)4mlを添加した。この反応を、約2時間進行させた。次いで過剰な試薬を、生理食塩水に対する透析により除去し、アミノ-Pn14を得た。
【0098】
次にアミノ-Pn14は、過剰なNHSブロモ酢酸とpH8で反応させ、生理食塩水に対し暗所で4℃で透析した。ブロモ酢酸化されたPn14を、加圧濾過により濃縮し、次いで水に対して透析した。
【0099】
アミノ-オキシシステアミンを、ビスアミノ-オキシシステアミンから、以下のような、TCEP還元、それに続くDowex 1X-8カラム上でのイオン交換により調製した:
ビス(アミノ-オキシ)システアミン(Solulinkから入手)を、最大50%NMP/水中に作製し、0.1Mとした。TCEPは、水中に0.5Mで作製し、1M炭酸水素ナトリウムの3xモル等量を添加した。1.5モル過剰なTCEPを、ビス(AO)システアミンと混合し、炭酸ナトリウムでpH〜7に調節した。10分後、この混合物を、pH5の10mMビストリス中に5倍希釈した。この反応混合液を、1M NaClで洗浄し、および10mMビストリス(pH5)で平衡化した1x3cm Dowex 1-x8カラムに負荷した。還元したアミノ-オキシシステアミンを、カラムを通る流動中に認めた。
【0100】
アミノ-オキシシステアミンを、ブロモアセチル化されたPn14に添加し、暗所でpH8で反応させた。次いで反応混合物を濃縮し、ダイアフィルトレーションし、次いで水に対して透析した。
【0101】
Pn14濃度を、レゾルシノール/硫酸法により、9.1mg/mlであると決定した。TNBSアッセイおよびアミノ-オキシ酢酸を標準として用い、アミノ-オキシ濃度を、0.74mMと概算し、多糖100kDa当たりに約8個のアミノ-オキシ基を得た。
【0102】
実施例3:BSA-デキストラン複合体の調製
下記実施例は、アミノ-オキシ官能基化されたタンパク質および酸化された多糖を使用する複合ワクチンの調製を例示している。特に実施例2において調製されたアミノ-オキシ官能基化されたBSAを、酸化されたデキストランに連結した。
【0103】
デキストランを、以下のように、過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化した:T2000デキストラン(Pharmacia)10mg/ml溶液を、酢酸ナトリウム(pH5)中10mMとし、次いで10mM過ヨウ素酸ナトリウム(水中0.5Mストック液から)を添加し、室温暗所でインキュベーションした。1、5、10、および15分後に、アリコートを採取し、グリセロールの添加により反応停止し、暗所で水に対して透析した。デキストランの最終濃度は、約4.5mg/mlと決定した。
【0104】
タンパク質を、以下のように多糖へ複合した:酸化されたデキストラン調製物の各々(1〜15分間酸化)110μlを、15μlのBSA-アミノ-オキシ(各0.5mg)と混合した。室温暗所で一晩反応させた後、試料をSDS PAGE(4〜12%勾配ゲル、NuPAGE、Invitrogen)により分析した。図1に関して、レーンは、(A)1分間酸化されたデキストラン(dex ox);(B)dex ox 5分間;(C)dex ox 10分間;(D)dex ox 15分間で調製された複合体;BSA-アミノ-オキシのみである。各複合反応は、ゲルに進入しない高分子量物質を生じたことは明らかである。本質的に複合していないタンパク質は明白ではなく、これは高度の複合を示している。
【0105】
これら4種の複合体をプールし、生理食塩水により平衡化した、S-400HR(商標)ゲル濾過カラム(1x60cm)上で分画した。排除容量画分をプールし、タンパク質および多糖についてアッセイした。このプールは、0.21mg/ml BSAおよび0.27mg/mlデキストランを含有することを決定した。当初のタンパク質および多糖の少なくとも50%を回収した。従って酸化された多糖を伴うアミノ-オキシ-タンパク質は、優れた収量で可溶性複合体を生じた。
【0106】
実施例4:AO-官能基化されたTTの調製
下記の仮説に基づいた実施例は、二工程法を使用する、アミノ-オキシ基を伴う破傷風毒素誘導体の調製を例示している。
【0107】
2M NaCl中の破傷風毒素1ml(10mg/ml)を、1M HEPES(pH8)50μlの添加により、pH8とした。このタンパク質を、0.1M NHSブロモ酢酸7μlの添加により、ブロモアセチル化した。1時間インキュベーションした後、アミノシステインアミン2μモルを添加した。一晩反応させた後、過剰な試薬を、2M NaClに対する透析により除去した。
【0108】
タンパク質濃度を、BCAアッセイ(Pierce Chemical)を用いて決定し、アミノ-オキシ基の存在を、TNBSを用い確認した。
【0109】
実施例5:二工程法を使用するアミノ-オキシ-誘導体化されたBSAの調製
BSAのブロモアセチル化
BSA単量体(48.5mg/ml)4.1mlを、1M HEPES(pH8)400μlおよび水5.5mlの添加により、pH8とした。NMP中の0.2M NHSブロモ酢酸(ProChem)1mlを、激しく攪拌しながら、ゆっくり添加した。一晩室温暗所で反応させた後、この溶液を、生理食塩水に対し2日間透析し、遠心し、濾過した。15.3mg/mlのBSA 10.6mlを得た。
【0110】
アミノ-オキシシステアミンの調製
ビスアミノキソシステアミン51.5mgを、1M炭酸ナトリウム1.1ml、DMSO 586μl、および水586μl中に作製したTCEP 56mgの溶液に添加した。15分後、TCEPを、10mMビストリス(pH6)で平衡化した、1x5cm Dowex 1x-8カラムで除去した。DTNB陽性の流れをプールし、22.6mMチオールであることを認めた。
【0111】
6mlを、ブロモアセチル化されたBSAに添加し、pHを8に調節した。反応を、暗所で一晩進行させ、次いで生理食塩水に対し4℃で2日間、複数回交換しながら透析した。アミノ-オキシBSAを、約8.6mg/mlであると決定した。pH8でのTNBSによるアリコートの反応は、オレンジ色がかった色を生じ、これはアミノ-オキシ基の存在を示している。
【0112】
実施例6:アミノ-オキシ誘導体化された多糖およびアミノ-オキシ複合体の調製のためのCDAPの使用
本実験は、アミノ-オキシ誘導体化された多糖およびアミノ-オキシ複合体を調製するためのCDAPの使用を例示している。これは、どのように酸化以外の化学を使用し、多糖をアミノ-オキシ基により官能基化するかを例示している。
【0113】
I. CDAP化学を使用するアミノ-オキシ誘導体化された多糖の調製
二官能性アミノ-オキシ試薬の溶液を、1M NaAc(pH5)200μl中にビス-アミノ-オキシ酢酸(エチレンジアミン)(Solulink(商標)により調製)29mgを可溶化することにより調製した。デキストランを、以下のようにCDAP化学を用いて活性化した。水中のT2000デキストラン10mg/mlの溶液0.5mlに、CDAP(100mg/mlアセトニトリル)25μlを添加し、30秒後、0.2Mトリエチルアミン(TEA)25μlおよび無希釈のTEA5μlの3回の添加により、pHを上昇した。
【0114】
2.5分後、pHを、1M NaAc(pH5)100μlの添加により、低下させた。次いでビスAO溶液200μlを添加した。〜30分間反応させた後、この溶液を、NaAc緩衝液(10mM NaAc、150mM NaCl、5mM EDTA、pH5)で平衡化した1x15cm P6DGカラム(BioRad)上で脱塩した。脱塩した多糖は、レゾルシノールアッセイを用い、デキストランが1.7mg/ml、およびTNBSアッセイを用い、約11個アミノ-オキシ基/100kDaデキストランと概算した。
【0115】
II. 酸化されたオボアルブミンの調製
オボアルブミン(14.4mg)(OVA)の溶液0.4mlへ、1M酢酸ナトリウム(pH5)10μlを添加し、引き続き0.5M過ヨウ素酸ナトリウム(水中)10μlを添加した。室温暗所で15分間インキュベーションした後、50%グリセロールを数滴添加することにより、反応を停止した。次いで反応混合物を、再度暗所でNaAc緩衝液に対して透析した。280nmでの吸光度により、酸化されたオボアルブミン("OVA(ox)")の濃度は、6.6mg/mlであった。
【0116】
III. 複合体および対照の調製
以下の溶液を調製し、各々室温暗所で一晩インキュベーションした:
A. 500μl Dex AO(0.85mg)+75μl OVA(ox)+100μl 1M NaAc pH5
B. 250μl Dex AO(0.0.43mg)+37.5μl NaAc緩衝液+50μl 1M NaAc
C. 250μl NaAc緩衝液+37.5μl OVA(ox)+50μl 1M NaAc。
【0117】
次に各々を、SDS PAGEおよびSEC HPLCによりアッセイした。SEC HPLCにより概算すると、試料Aのみ、高分子量(HMW)物質を含有し、〜20%のタンパク質が複合した。BもCも、SEC HPLCまたはSDS PAGEにより、HMW物質を示さなかった。
【0118】
実施例7:ビス-アミノ-オキシ試薬による多糖の標識のための臭化シアンの使用
この予言的な実施例は、臭化シアン(CNBr)を使用する、アミノ-オキシ試薬による多糖の誘導体化を明らかにしている。
【0119】
多糖(例えばPn-14)は、水中に10mg/mlで作製し、pH-stat内で多糖1mgにつき1mgのCNBrにより、pH10.5で6分間処理した。次いで反応混合物を、0.5Mビス-アミノ-オキシ試薬(例えば、ビス-AO(EDA))の添加により、〜pH7に低下した。一晩反応させた後、この溶液を、水に対して透析し、アミノ-オキシ基についてTNBSにより、および糖質についてレゾルシノールアッセイによりアッセイした。このアミノ-オキシ誘導体化された多糖は、カルボニル-含有タンパク質との複合に使用した。
【0120】
別の態様に従い、CNBr-活性化された多糖は、アミノ-オキシ酢酸と反応することができる。これは、カルボキシ基で官能基化された多糖を生じるであろう。カルボキシ基は次いで更に官能基化され、間接的または直接的にタンパク質へ連結される(例えばカルボジイミドにより)。
【0121】
実施例8:アミノ-オキシ誘導体化されたタンパク質の酸化された多糖による複合
この実施例は、アミン上に生じる官能基化による、アミノ-オキシ誘導体化されたタンパク質の調製を例示している。このアミノ-オキシ誘導体化されたタンパク質は次いで、臨床的に関連のある多糖である髄膜炎菌AおよびCへ共有的に連結される。
【0122】
I. タンパク質のそのアミンのアミノ-オキシ基を伴うタンパク質への官能基化性(アミンのペンダントアミノ-オキシ基を伴うタンパク質へ)
タンパク質上のアミンは、ブロモアセチル化され、次いでチオール-アミノ-オキシ試薬と反応し、ペンダントアミノ-オキシ基を伴うタンパク質を生成する。ビス(アミノ-オキシ酢酸)システアミン2HClは、Solulink(商標)により調製した。BSA単量体は、42.2mg/mlであった。NHSブロモ酢酸は、Prochemから入手し、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)中に0.1Mとした。アミノ-オキシタンパク質を、以下のように調製した。2本の各チューブ内で、BSA(21.1mg)およびH2O 250μl+1M HEPES(pH8)100μlの溶液0.5mlを調製した。1本のチューブはNHSブロモ酢酸の30倍モル過剰量(93μl)と、および他方は10倍モル過剰量(31μl)と反応させた。
【0123】
約1時間後、各々を、酢酸ナトリウム緩衝液(10mM NaAc、0.15M NaCl、5mM EDTA、pH5)で15mlとし、Amicon Ultra 15(商標)装置(30kDaカットオフ)を用い、約200μlに濃縮した。
【0124】
アミノ-オキシ酢酸システアミンを以下のように調製した:
1M酢酸ナトリウム114μl+NMP 114μlを溶媒とするビス(AOAc)システアミン(Solulink(商標)により調製)9.8mgの溶液に、1M HEPES(pH8)中の0.25M TCEP 22.8μlを還元剤として添加した。1時間後、部分的に還元されたアミノ-オキシチオール試薬を、ブロモアセチル化されたBSA調製物の各々に添加し、pHを約pH8に調節し、その反応を暗所で、4℃で一晩進行させた。
【0125】
各々は、Amicon Ultra 15(商標)装置を用いて脱塩し、NaAc緩衝液により容量を15mlとし、遠心した。この脱塩工程を、4回繰り返した。最終容量は、約200μlであり、次いでNaAc緩衝液で約1mlとした。この生成物を、BSA-S-AOと称した。280nmでの吸光度により、30x調製物は29.8mg/ml、および10x調製物は24.8mg/mlと決定した。
【0126】
II. 酸化された髄膜炎菌多糖AおよびCの調製(Neiss PsAおよびNeiss PsC)
Neiss PsAおよびPsCは、水中に10mg/mlで、室温で一晩可溶化し、次いで4℃で貯蔵した。1M酢酸ナトリウム(pH5)50μlを、各多糖溶液1mlに添加し、引き続き0.5M過ヨウ素酸ナトリウム25μl(水中0.5M)を添加した。室温で暗所に10分放置後、各々を水4Lに対して4時間透析した。次いで各々を水で4mlとし、更にAmicon Ultra 4(商標)装置(30kDaカットオフ)を用い脱塩した。レゾルシノールアッセイを用い、酸化されたNeiss PsAは12.1mg/ml、および酸化されたNeiss PsCは17.8mg/mlと決定した。
【0127】
III. 酸化されたNeiss PsAおよびPsCによるBSA-S-AOの複合
BSA-S-AOならびに酸化されたPsAおよびPsCの下記混合物を調製した。

【0128】
室温暗所において一晩反応させた後、複合体を、Phastゲル(8〜25%)(Pharmacia)を還元条件下で用い、SDS PAGEによりアッセイした。図2に関して、レーンは左から右へ、BSA30x-PsA、BSA30x-PsC、BSA30x、BSA10x-PsA、BSA10x-PsC、BSA10xであった。ゲルに進入しなかった著しい量の高分子量材料が認められ、このことはタンパク質の多糖への複合が生じたことを示している。
【0129】
PsA複合体をプールし、生理食塩水により平衡化した、S-400HRカラム(1x60cm, Pharmacia)上でゲル濾過により分画した。同様にPsC複合体をプールし、分画した。約1ml画分を収集し、タンパク質(吸光度による)またはレゾルシノールアッセイを用い糖質についてアッセイした。結果を、図3に示した。
【0130】
PsC複合体に関して、チューブ18-22をプールし、PsA複合体に関して、チューブ19-23をプールし、および還元条件を用いSDS PAGEにより試験した。
【0131】
図4に関して、BSA-Neiss PsC複合体は左側に、およびPsA複合体をその隣に配置した。右側は、分子量標準である。各々に少量の遊離のBSAが認められ、このことは複合されたタンパク質と遊離のタンパク質の間の不完全な分離を示している。各々、ゲルへ進入した著しい量の複合された高分子量の物質を含んでいる。
【0132】
実施例9:(BSA-レブリン酸塩)-アミノ-オキシ-Pn14複合体の調製
この実施例は、アミノ-オキシ基のケトンとの反応を例示し、これは、複合体の形成、より詳細には(BSA-レブリン酸塩)-アミノ-オキシPn14の調製に使用することができることを示している。
【0133】
NHSレブリン酸塩は、Solulinkから入手し、100μl NMP中5.1mgに可溶化することにより作製した。これは、48.5mg/mlのBSA 200μl、水200μl、および1M HEPES(pH8)100μlの激しく攪拌している溶液に緩徐に添加した。一晩反応させた後、混合物を、Amicon Ultra 15装置(30kDaカットオフ)を用い、ダイフィルトレーションした。最終容積は、0.5mlであった。この生成物は、BSA-LEVであった。
【0134】
BSA-LEV 100μlを、アミノ-オキシPn14(4.5mg/ml Pn14)300μlと一緒にし、数日間暗所でインキュベーションした。複合体および個別の成分を、Superose 6カラム(Pharmacia)を用い、SEC HPLCによりアッセイした。次いで複合体を、S400HRカラム上で分画した。タンパク質はBradford色素法を、および多糖はレゾルシノール法を用いてアッセイした。高分子量画分は、BSA/mg Pn14を0.6mg含有することが見出された。
【0135】
実施例10:アミノ-オキシ-BSA-ナイセリアPsC複合体の調製
一般にJennings & Lugowski, J. Imm., 127:1011(1981)に説明されるように、Neiss PsCを酸化し、末端アルデヒドを生成した。SEC HPLCは、PsCの分子量が有意に低下したことを示した。
【0136】
PsCおよびBSA-AOを一晩複合した後、SEC HPLC Superose 6上で0.5ml/分で、分析を行った。複合体を、10mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、2mM EDTA(pH5)で平衡化した、1x60cm S200HRカラム上で分画した。SEC分析およびゲル濾過の両方により、ほとんどのBSAは複合されたことを決定した。高分子量ピークを、タンパク質および糖質について分析し、濃度0.2mg BSA/mg PsCを決定した。
【0137】
実施例11:アミノ-オキシ-BSA-ナイセリアPsA複合体の調製
この実施例は、タンパク質のアミノ-オキシ基による官能基化による、ナイセリアPsA-BSA複合体の調製について例示している。
【0138】
Neiss PsAは、一般にJennings & Lugowski, J. Imm., 127:1011(1981)に説明されるように、NaBH4によりアルジトールへ末端が還元され、次いで酸化され、末端アルデヒドを生成している。
【0139】
ナイセリアPsAは、水中に、20mg/mlで15分間可溶化した。可溶化された多糖1mlへ、水素化ホウ素ナトリウム10mgを添加した。このpHを約8〜9に維持した。1時間後、1M NaAc 100μlを添加し、pHを5に調節した。還元されたPsAを、生理食塩水で平衡化した、1x15cm G10カラム上で脱塩し、この排除容量画分を、Amicon Ultra 4(10kDaカットオフ装置)により約1mlに濃縮した。固形過ヨウ素酸ナトリウム20mgを、1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlと共に添加した。室温暗所で15分間酸化した後、グリセロール液滴の添加により、反応を停止し、次いで10mM NaAC、150mM NaClおよび2mM EDTA(pH5)(酢酸緩衝液)で平衡化した1x15cm G10カラム上で脱塩した。排除容量をプールし、BCAアッセイにおいて陽性であることを認め、これは還元糖の存在を示している。この物質をダイアフィルトレーションし、Ultra 4装置により酢酸緩衝液へ濃縮した。
【0140】
アミノ-オキシBSAおよびPsA(red/ox)の両方を、SEC HPLCにより試験した。PsAの分子量は、還元/酸化法により顕著に低下した。
【0141】
複合
複合工程において、6mg/mlのアミノ-オキシ-BSA 150μlを、PsA(red/ox)50μlおよび1M NaAc 25μlとpH5で混合した。
【0142】
暗所で4℃で一晩インキュベーションした後、複合体を、SEC HPLC(Superose6、生理食塩水、0.5ml/分)により分析した。PsAは、ごくわずかな吸光度に寄与し、およびAO-BSAは複合時に分子量が増大したことが認められた。
【0143】
この複合体を、1x60cm S200HRゲル濾過カラム上で分画し、高分子量画分を、タンパク質およびPsAについてアッセイし、0.4mg BSA/mg PsAを含有することを認めた。
【0144】
結論
還元/酸化法は、アミノ-オキシ-タンパク質に連結することができるアルデヒドを生成するのに、良く作用した。PsAは恐らく、NaBH4工程時に加水分解され、これはpHを上昇する。
【0145】
実施例12:PRP(ox)-BSA-AO複合体の調製
1. PRP Hibの酸化
22.7mg PRP Hibを、水中に10mg/mlとし、1M NaAc 100μlおよび0.5M過ヨウ素酸ナトリウム46μlと混合した。暗所および氷上で反応を15分間進行させ、次いで50%グリセロールで停止した。反応混合物を、Amicon Ultra 4(10kDaカットオフ)装置4x4mlで水へダイアフィルトレーションし、最終容積を、約1mlとした。レゾルシノールアッセイを、10mg/mlで行った。この試料は、BCAアッセイにおいて陽性であり、このことはアルデヒドの存在を示している。
【0146】
2. アミノ-オキシBSAの複合
AO-S-BSAを、15mg/mlで提供した。BSA-S-AO 10mgの667μlを、1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlおよび約1ml PRP(ox)と一緒にし、暗所で一晩反応を進行させた。次いでこれは、0.25Mアミノ-オキシ酢酸50μlの添加により反応停止した。
【0147】
3. PBS 0.5ml/分で平衡化したSEC Superose6調製等級HR10/30によるアッセイ、OD220
ここで、複合体0.5mlを、1x60cm S200HR上で分画し、PBSで平衡化した。全ての画分が、BSAの前に溶離し、より高いMWを示した。

【0148】
実施例13:グリシド酸の酸化によるBSA-Pn14複合体の調製
この実施例は、グリシド酸が、カルボジイミドを使用し、BSA上のアミンに付加されるプロトコールを例示している。次いでタンパク質上のグリシド酸は酸化され、アミノ-オキシ-Pn14と反応した。
【0149】
I. BSA-グリシド酸
BSA単量体およびグリシド酸(Fluka Chemicalから入手)を、各々、水中の最終濃度12.5mg/mlおよび28mg/mlに混合した。このpHを約5に調節し、水中の100mg/ml EDCの220μlを添加した。pHは約5におよそ1.5時間維持し、1M酢酸ナトリウム(pH5)0.025mlの添加により、反応を停止した。次いで反応混合物を、生理食塩水に対し、4℃で一晩透析した。
【0150】
II. BSA-グリシド酸の酸化
1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlを、BSA-グリシド酸(7.8mg/ml)1mlに、次いで水中の0.5M過ヨウ素酸ナトリウム25μlを添加した。暗所で10分間放置後、グリセロールを添加し、反応を停止し、カットオフ値30kDaのAmicon超遠心装置を用い過剰な試薬を除去した。最終容積は、約400μlであった。
【0151】
酸化されたBSA-グリシド酸100μlを、9.3mg/mlのアミノ-オキシPn14 250μlと、1M酢酸ナトリウム(pH5)50μlと共に混合した。アリコートを、SEC HPLC(Superose6、0.5ml/分、PBS)により評価した。一晩反応させた後、別のアリコートを、同じ方法でアッセイした。吸光度の有意な部分は、排除容量(〜15分)で溶離されたことが認められ、このことはこのタンパク質は高分子量Pn14に連結されたことを示している。
【0152】
S400HRカラム(Pharmacia)でのゲル濾過後、高分子量画分は、0.3mg BSA/mg Pn14を含有することを決定した。この比は、先のクロマトグラムにおいて複合された高分子量タンパク質の割合から決定されたものに類似している。
【0153】
従って、カルボジイミドを用いグリシド酸をタンパク質へ連結する方法は、タンパク質上にアルデヒドを形成し、これが引き続きアミノ-オキシ基に連結されることを提供する。
【0154】
実施例14:BSAをデキストランへ連結するためのアミノ-オキシ化学の使用
この実施例は、アミノ-オキシ誘導体化されたタンパク質へその還元末端を介した、オリゴ糖の結合を例示している。
【0155】
T40デキストランを、水中に100mg/mlとした。還元末端の数は、標準としてグルコースを用いるBCAアッセイを用いて概算した。3.5mM還元末端/100mg/ml T40デキストランが存在し、その平均分子量は、約28,000kDaであることが見出された。
【0156】
BSA 1個につき〜8個のアミノ-オキシを有するアミノ-オキシBSA 5mgを、pH5でT40デキストランと2つの比で混合した:
(A)BSA-AO 15.3mg/ml 830μlを、T40デキストラン100mg/mlの620μlおよび1M NaAc(pH5)100μlと混合した。
(B)BSA-AO 15.3mg/ml 830μlを、T40デキストラン100mg/mlの3.1mlおよび1M NaAc(pH5)500μlと混合した。
【0157】
溶液は、室温暗所で1週間反応させ、次いでSEC HPLCでアッセイした。
【0158】
両方の複合体は、BSA-AOよりもはるかに早く溶離し、このことはそれらの分子量が増加したことを示している。次いで複合体を、アニオンイオン交換(IEX)により分画した。SECプロファイルと同じく、より高い分子量は、より低いイオン強度で、複合体を溶離した。IEX溶離画分を、糖質のタンパク質に対する比について分析し、質量比およびモル比の両方でプロットした(T40デキストランについて28kDaのMWを使用)。
【0159】
各IEX溶離液からのピーク画分を、SEC HPLC(Superose6、1ml/分)で分析した。T40dex/BSA複合体について、BSA単量体は存在せず、MWの高対低の比は増加した。SDS PAGEは、高分子量の性質の複合体IEXが溶離することを確認した。
【0160】
実施例15:オリゴ糖およびタンパク質を連結するためのアミノ-オキシ化学の使用
この実施例は、オリゴ糖を、その還元末端を介してタンパク質へ間接的に連結するためのアミノ-オキシ化学の使用を明らかにしている。このプロトコールの全般的説明は以下である。T40デキストラン(〜40kDa MW)の還元末端を、アミノ-オキシ酢酸のアミノ-オキシ基と反応させ、ひとつの末端に単独のカルボキシ基を有するデキストランを生成した。このカルボキシ基を次に、エチレンジアミンおよびカルボジイミドとの反応により、アミンへ転換した。次いでアミン-先端(tipped)のデキストランを、チオール化し、マレイミド-誘導体化されたBSAと反応させ、そこから伸びる糖質の「糸」を伴うタンパク質からなる複合体を生成した。
【0161】
I. デキストランの還元末端へのアミノ-オキシ酢酸の付加
T40デキストラン(Pharmacia)850mgを、水850μl中に室温で一晩可溶化した。
【0162】
アミノ-オキシ酢酸235mgを、DMSO 850μlおよび1M酢酸ナトリウム(pH5)500μlの混合液中に可溶化し、T40デキストラン溶液と混合した。追加のDMSO 500μlを添加し、約50%DMSO溶液を形成した。約68℃で約6時間インキュベーションした後、この溶液を水に対し十分に透析した。この生成物は、その還元末端に単独のカルボキシ基を有するデキストランであった。
【0163】
この溶液(約22ml)に、エチレンジアミン2HCl 1.8gを添加し、pHを1N NaOHで約5に調節した。EDC(1-(3-ジメチルアミノ)プロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)220mgを添加し、pHを約5で3時間維持した。次いで1M酢酸ナトリウム(pH5)を添加することにより、反応を停止し、生理食塩水に対して透析し、およびAmicon Ultra 15(商標)(10kDaカットオフ)を用い濃縮した。次いでこれを更に、生理食塩水に対し、次に水に対し透析した。
【0164】
この生成物を、TNBSを用いアミンについて、およびレゾルシノールアッセイを用い糖質についてアッセイした。デキストラン40,000kDaにつき約0.45個のアミンが存在することが決定された。この生成物は、その還元末端に単独のアミン基を有するデキストランであり、およびNH2-AOAc-T40デキストランと称された。レゾルシノールアッセイを用い、この溶液は、濃度約119mg/mlデキストランであることが決定された。T40デキストランは、このポリマー内の還元末端の置換の実際の度合いを決定することが困難であるような、分子量分布からなる。
【0165】
II. チオール化されたデキストランおよびマレイミド-BSA
マレイミド-誘導体化されたBSAを、以下のように調製した:GMBS(NMP中0.1Mストック液40μl)を、BSA単量体(42.2mg/ml)200μl、0.75M HEPES 50μl、5mM EDTA(pH7.3)、および水100μlの溶液へ添加した。2時間反応させた後、1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlの添加により、pHを低下させた。この溶液を、Amicon Ultra 4(商標)(30kDaカットオフ)限外濾過装置および10mM NaAc、0.15M NaCl、5mM EDTA(pH5)を用い脱塩した。
【0166】
NH2-AOAc-T40デキストランは、SPDPを用い以下のようにチオール化した:NH2-AOAc-T40デキストラン0.5mlを、1M HEPES(pH8)100μlと混合し、および0.1M SPDP 100μlを添加した。約2時間後、0.1M EDTA(pH5)50μlを添加し、引き続き水を溶媒とする1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlおよび0.5Mジチオスレイトール50μlを添加した。1時間インキュベーションした後、この溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液に対して4℃で一晩透析した。
【0167】
チオール先端のT40デキストランおよびマレイミド誘導体化されたBSAを混合した(BSA-マレイミドの小さいアリコートを分析に使用した)。一晩反応させた後、混合液(約1ml)の半分を、生理食塩水で平衡化した1x60cm S-400HRカラムを用いるゲル濾過により分画した。比較のために、BSA単量体(42.2mg/ml)100μl、T40デキストランAOAc 300μl、および生理食塩水0.5mlの混合物を、同じゲル濾過カラム上で同様に分画した。画分(約1ml)を、280nmの吸光度によりタンパク質について、およびレゾルシノールアッセイを用いデキストランについて分析した。
【0168】
図5A-Dに関して、タンパク質およびデキストランは、T40デキストランAOAc-チオール-マレイミドBSA複合体である場合、これらの成分が混合された場合よりも、カラムからより早く溶離することは明らかである。このことは、より高分子量の複合体が生成されたことを示している。更にデキストランのタンパク質に対する比は増加した。
【0169】
これらのカラム画分を更に、SDS PAGEにより分析し、結果を図6に示した。左から右へ、MWマーカー、複合体画分18、20、22、24、26、混合物画分#24、26、28、30、未分画複合体、出発BSA-マレイミドであった。
【0170】
分画されない複合体は、小さい割合の遊離のタンパク質のみを含むことは明らかであり、これはこの複合体が高収量で生成されたことを示している。この混合画分においては、高分子量タンパク質は明らかではなかった。複合体画分においては、複合体のみが明らかであり、および本質的に遊離のタンパク質は明らかではなかった。このことは、複合体が高収量で生成されたことを確認している。
【0171】
実施例16:グリシド酸およびアミノ-オキシ誘導体化されたPn-14を介したBSA-Pn14複合体の調製
下記の実施例は、アルデヒド-置換されたタンパク質を使用する、複合体の調製を例示している。
【0172】
I. TSTUおよびBSAへの付加を使用するグリシド酸のNHSエステルのインサイチュー合成
この工程において、グリシド酸ヘミ-カルシウム塩一水和物(MW143)7.9mgを、 NMP 110μl中に可溶化した。これは、NMP中の0.5M TSTU(Novachem)200μl、およびトリエチルアミン100μlと混合し、24mg/ml BSAの1mlに添加した。このpHをpH8に調節した。約2時間後、この混合物を、2x1L生理食塩水に対して透析した。BSA上の遊離アミンの数を、TNBSを用いて決定した。対照について、この数は33.2NH2/BSAであった。グリシド酸/TSTU/BSAについて、この数は25NH2/BSAであった。これらの結果は、BSAは、約8個のグリシド酸単位/BSAで標識されたという結論につながる。
【0173】
II. 官能基化されたBSAの酸化
アリコート5mgを、25mM NaAc(pH5)、および25mM過ヨウ素酸ナトリウムで作製した。この反応液を、室温暗所で15分間進行させ、次いでグリセロール液滴を添加し、この反応を停止した。混合物は、S200HRで分画し、主要ピークをプールし、濃縮した。
【0174】
III. BSA(ox)-AO-Pn14複合体の調製
この工程において、アミノ-オキシ官能基化されたPn14 444μlを、10.1mg/mlとしたBSA(ox) 0.4ml、1M NaAc(pH5)100μlと混合し、室温で一晩反応させた。ゲル濾過S400HR 1x60cm、生理食塩水+0.02%アジドSEC HPLCによる分画は、グリシド酸/TSTU/BSAの酸化は、BSAの重合を引き起こしたことを示した。
【0175】
同じく、高分子量ピークの連続的増加が認められ、このことは複合は経時的に増加したことを示している。AO-Pn14単独は、最低の吸光度を有した。
【0176】
実施例17:メルカプトグリセロール-ブロモ酢酸BSAの調製
この実施例は、BSA(メルカプトグリセロール(ox))-AO-デキストラン複合体を調製する方法を例示している。
【0177】
ブロモアセチル化されたBSAの調製
BSA単量体(48mg/ml)500μlを、NMP中の1M HEPES(pH8)500μl、および0.1M NHSブロモ酢酸25μlと混合した。対照について、BSA 250μlを、HEPES 250μlおよびNMP 12μlと混合した。
【0178】
約1時間後、各々を、Amican Ultra 4(30kDaカットオフ)装置を用い、生理食塩水へ脱塩した。最終容積は、BSA-bromoAc 450μl、およびBSA対照300μlであった。
【0179】
次に50mMメルカプトエタノールおよび50mMメルカプトグリセロールを、水中で調製した。
調製物E:BSA-BromoAc 225μlを、1M HEPES(pH8)100μlおよび50mMメルカプトグリセロール50μlと混合した。
調製物F:BSA対照を、1M HEPES(pH8)100μlおよび50mMメルカプトグリセロール50μlと混合した。
調製物G:BSA-BromoAc 225μlを、1M HEPES(pH8)100μlおよび50mMメルカプトエタノール50μlと混合した。
【0180】
30分後、各々を、NaAc緩衝液(10mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、5mM EDTA、pH5)を用い、Amicon Ultraで脱塩した。最終容積は0.5mlであった。
【0181】
次に各々を、新たに調製した0.5Mストック液から作製した10mM過ヨウ素酸ナトリウム中に入れ、暗所で4℃で10分間インキュベーションし、次いでグリセロールを添加し反応停止し、Amicon Ultra装置で脱塩し、NaAc緩衝液で洗浄した。OD 280により、各々は約20mg/ml BSAであると決定した。
【0182】
調製物Eは、BSA-アルデヒドを含有し;調製物Fは、ブロモ酢酸で標識されず、そのためこれはメルカプトグリセロールと反応しなかった。従ってこれはアルデヒドを含まない。調製物Gは、ペンダントメルカプトエタノールを有し、これは酸化されず、そのためこれはアルデヒドを含まない。
【0183】
15.9mg/mlのアミノ-オキシデキストラン315μlを、各BSA調製物250μlと一緒にし、室温暗所で一晩インキュベーションした。
【0184】
次いで各々を、生理食塩水で平衡化したS400HR 1x60cm上でゲル濾過により分画した。高分子量画分は、タンパク質およびデキストランについて分析した。
【0185】
結果は、酸化されたメルカプトグリセロールを含有するBSAのみが、複合体を形成したことを示し、これは高分子量画分のタンパク質/デキストラン比により確認された。
E BSA-メルカプトグリセロール(ox)+AO-dex 0.97mg BSA/mg dex
F BSA対照(ox)+AO-dex 0.1mg BSA/mg dex
G BSA-メルカプトエタノール(ox)+AO-dex 0.1mg BSA/mg dex。
【0186】
実施例18:オキシム形成によるタンパク質の多糖への連結
下記実施例は、オキシム形成による、タンパク質のそのN-末端基を介した多糖への連結を例示している。
【0187】
リソスタフィンのN-末端トレオニンが酸化され、ビス-アミノ-オキシ試薬により誘導体化された。このタンパク質の酸化は、一般にGaertnerおよびOffordの「Site-specific attachment of functionalized poly(ethylene glycol) to the amino terminus of proteins」、Bioconjugate Chem., 7:38(1996)に説明されているように実行した。リソスタフィン27kDaタンパク質は、乳酸球菌(lactococcus)において産生された。
【0188】
試験番号1
使用したリソスタフィンは、約30%の遊離のN-末端トレオニンを含んだ。GaertnerおよびOffordの条件を、N-末端トレオニンの酸化に使用した。より詳細には、50モル過剰なメチオニン(水中の1Mストック液17.5μl)を、リソスタフィンの10mg/ml溶液1mlに添加した。炭酸水素ナトリウム(1M)を添加し、pHを8.3に調節した。酸化は、過ヨウ素酸ナトリウム(水中の0.5Mストック液7μl)の添加により開始した。反応混合液を、室温暗所で10分間維持し、この時点でDMSO中の50mg/ml 溶液として調製したビス(アミノ-オキシ)テトラエチレングリコール(Solulink(商標)により入手)7.1mgを、添加した。暗所に1時間放置後、この溶液を、生理食塩水に対して、室温暗所で透析した。生成物を、リソスタフィン(lysotaphin)AOと称した。このリソスタフィン濃度は、OD 280で、0.49mg/ml/吸光度単位を用い決定した。
【0189】
アリコートを、TNBS(pH5)で試験した。これまでに、アミノ-オキシは、これらの条件下でTNBSと反応するが、アミンは反応しないことはわかっている。アッセイは、以下のように行った:リソスタフィンまたはリソスタフィンAO 50μlを、0.1M NaAc(pH5)440μlに添加し、次いで水中の10mg/ml TNBS 10μlを添加した。1mMアミノ-オキシ酢酸5μlを、前記溶液中の標準として使用した。暗所で6時間インキュベーションした後、試料を500nmで読みとった。試料溶液はオレンジ色であり、このことは、アミノ-オキシ基の存在を示している。標準を用い、約30%のリソスタフィンが、AO基に誘導体化されたと概算した。このリソスタフィンAOは次いで、過剰に酸化されたT2000デキストランと、室温暗所で反応させ、オキシム形成を介して複合させた。この反応液は、SEC HPLCによりアッセイし、低分子量(未複合のタンパク質)から高分子量(リソスタフィン-デキストラン複合体)への質量のシフトを決定した。Phenomenex Biosep SEC2000 (300x4.6)は、PBSで平衡化し、0.5ml/分で流し、280nmでモニタリングし、これをSEC HPLCに使用した。
【0190】
図6に関して、上側クロマトグラムは、約1分の反応混合物であり、中間のクロマトグラムは、一晩反応後であり、下側図は、リソスタフィンAO単独であった。反応を一晩進行した後の、高分子量物質へのシフトに留意されたい。この図は、リソスタフィン上のAO基は、高分子量の酸化されたデキストランに連結されていることを示唆している。高分子量ピークの面積の割合を基に、約27%がカップリングした。TNBSアッセイにより示されるように、リソスタフィンの約1/3が、遊離のトレオニンを含み、かつAOで誘導体化されたので、これは予想された割合内である。
【0191】
実施例19:DT(ox)-AO-Pn14複合体の調製
この実施例は、DT(ox)-AO-Pn14複合体の調製を例示し、同じく試薬が、「一容器」反応(これは調製を単純化することができる)として調製される方法を明らかにしている。
【0192】
I. メルカプトグリセロール-ジフテリア毒素
ジフテリア毒素(〜13mg/ml)0.5mlを、NMP中の1M HEPES(pH8)100μl、および0.1M NHSブロモ酢酸10μlと混合した。これを暗所で約30分間インキュベーションし、次いで12.3μlのメルカプトグリセロール10μlを添加した。一晩反応後、この溶液を、Amicon Ultra 4(30kDaカットオフ)を用い、最終容積約400μlへ脱塩した。
【0193】
次に1M酢酸ナトリウム(pH5)50μlを添加し、引き続き0.5M過ヨウ素酸ナトリウム9μlを添加した。酸化は、室温暗所で10分間進行させた。次いで50%グリセロールの添加により、反応を停止した。低分子量成分を、同じAmicon Ultra 4装置上で除去し、生理食塩水中でダイアフィルトレーションした。最終容積は約200μlであった。
【0194】
前記プロトコールは、ブロモアセチル化された-DTおよびブロモ酢酸を含有する溶液への、過剰なメルカプトグリセロールの添加による、脱塩工程のひとつを省略した。
【0195】
II. 複合
アミノ-オキシPn14(〜9mg/ml)1mlを、酸化されたDTへ添加し、および1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlを添加した。反応を、室温暗所で一晩進行させ、次いでS400HRカラム(1x60cm、生理食塩水で平衡化)上で分画した。
【0196】
高分子量画分をプールした。タンパク質は、1mg/ml=1 ODを用いて概算し、ならびにPn14濃度は、レゾルシノールアッセイを用いて決定した。この画分は、約1.3mg DT/mg Pn14を含有することが見出された。
【0197】
実施例20:gp350(ox)-AO-S-Pn14複合体の調製
gp350は、ヒト補体受容体に結合する、エプスタインバーウイルスの糖タンパク質である。これは、Dr. Goutam Sen(Uniformed Services University of the Health Sciences, ベセスダ, MD)により酵母細胞において組換え的に作出され、疎水性相互クロマトグラフィーにより精製された。
【0198】
PBS中8mg/mlのgp350の0.5mlのpHは、1M酢酸ナトリウム(pH4.7)50μlの添加により低下し、および0.5M過ヨウ素酸ナトリウム(水を溶媒とする)11μlを添加した。暗所で8分間氷上でインキュベーションした後、反応を50%グリセロール100μlの添加により停止した。過剰な試薬を、Amicon Ultra 4(30kDaカットオフ)装置を使用するダイアアフィルトレーションにより除去した。合計4回、4mlのPBSで交換したものを使用した。最終容積は約300μlであった。この溶液へ、1M NaAc(pH5)100μlを添加し、引き続きAO-S-Pn14(9.1mg/ml)400μlを添加した。
【0199】
一晩暗所で4℃で反応させた後、0.25Mアミノ-オキシ酢酸(pH5)100μlの添加により、反応を停止した。得られた複合体は、生理食塩水で平衡化した、1x60cm S400HRカラム上でゲル濾過により分画した。排除容量画分をプールした。Pn14濃度を、レゾルシノール/硫酸法で決定し、タンパク質は、1mg/ml=1吸光度単位の吸光係数を使用し、280nmの吸光度から決定した。この複合体は、0.9mg gp350/mg Pn14を含んだ。
【0200】
対照gp350は、アミノ-オキシ酢酸をアミノ-オキシPn14の代わりに添加した以外は、前述のように、酸化しかつ調製した。
【0201】
蛍光標識したgp350との競合アッセイにおいて、対照および複合化されたgp350の両方が、ヒトB細胞の補体受容体に結合することが可能であった(Goutam Sen USUHSにより実施)。
【0202】
マウスを、gp350-Pn14複合体で、0日目および10日目に免疫し、10日目および23日目に採血した。

【0203】
ブースト時の抗-Pn14 IgGの増加は、タンパク質および多糖が共有的に連結されかつT細胞依存性抗原として作用することの指標である。T細胞非依存性抗原として、Pn14単独は、力価の増加を示さなかった。
【0204】
実施例21:[DeAcLTA(ox)-AO-SH]-GMBS-BSA複合体の調製
LTAは、pH10の炭酸水素ナトリウム中、約75℃で1時間のインキュベーションにより、脱アシル化した。試料を次に、水に対して透析した。これは、脱アシル化されたLTA(DeAcLTA)であった。
【0205】
試料を次に、10mM過ヨウ素酸ナトリウム(pH5)中で、暗所室温で一晩酸化し、再度水に対して透析し、凍結乾燥した。この試料を、少量の水に溶解し、還元したアミノ-オキシシステアミンと共に一晩インキュベーションし、凍結乾燥した。試料は、水約1mlに溶解し、かつ10mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、および5mM EDTA(pH5)で平衡化した、S200HRカラム上で分画した。Piおよびチオールの両方を含有する低分子量画分をプールし、凍結乾燥し、水約0.75mlに溶解した。この画分は、約1mMチオールおよび350μモルリン酸を含むことが見出された。この物質は、チオール-標識したDeAcLTAであった。
【0206】
BSAは、50倍モル過剰なGMBS(Prochem)(pH7.2)で標識し、酢酸ナトリウム緩衝液中で脱塩し、Amicon Ultra 4(30kDaカットオフ)装置を用い、最終濃度約55mg/mlに濃縮した。
【0207】
BSA-GMBS 60μlを、チオール標識したDeAcLTAへ添加した。反応が進行するにつれ、DTNBアッセイで決定したチオール濃度が、少なくとも1/10に減少した。
【0208】
複合化は、Superose 6カラム(PBSで平衡化した、1ml/分、OD 280)上で、SEC HPLCによりモニタリングした。下側トレース(trace)は、GMBS標識したBSA単独のクロマトグラムを示し、上側トレースは、増大した分子量を示すより早く溶離した複合体を示している。SDS PAGEにより、複合体のMWは、SECクロマトグラムと一致した様式で、明らかに増加した。BSA単量体は、この複合体において明らかではなかった。
【0209】
ウェスタンブロットを行い、高分子量タンパク質上のLTAの存在を明らかにした。この複合体はLTAに反応性であることが認められる。BSAもLTAも単独でまたは混合では、高分子量LTAを示さない。
【0210】
更にLTAとBSAの間の共有的連結を明らかにするために、二重ELISAを行った。ELISAプレートを、抗-BSAで被覆し、引き続き複合体またはLTA、BSAもしくは混合物で被覆した。次いで抗-LTAを塗布し、結合した量を決定した。従ってBSAおよびLTAの両方を含有する物質のみが検出される。このアッセイにおいては、複合体のみが陽性であった。
【0211】
従って反応のモニタリング、分子量、ウェスタンブロットおよび二重ELISAにより、これらは全て、タンパク質とLTAの間の共有的連結の形成を示した。
【0212】
実施例22:LTA-TT複合体の調製
試薬を、Aldrichから入手した。アミノオキシアセチルシステアミンは、Solulink Inc.(サンディエゴ, CA)のDr. David Schwartzにより調製された。TCEPは、Pierceより購入した。
【0213】
黄色ブドウ球菌血清型5実験株(MSSA)は、100Lの発酵槽においてKemp Biotech (フレデリック, MD)が増殖した。細胞を遠心し、再懸濁し、遠心し、細胞10Lのアリコートとした。この細胞ペーストを、-70℃で貯蔵した。アリコートを解凍し、0.1Mクエン酸ナトリウム(pH4.7)中に再懸濁し、0.1mジルコニウムビーズを用いるBead Beater(Biospec Products)により、破壊した。この装置は氷冷し、1分間のオンおよび1分間のオフの4サイクルで試行した。液体を除去し、ビーズをクエン酸緩衝液で洗浄した。あるいは、細胞を、1mg/mlリソスタフィン(pH5)で一晩4℃で処理し、次いでMicrofluidizer Model 110Y(Microfluidizer, ニュートン, MA)を用い、23,000psiで3回通過させて破壊した。
【0214】
I. LTA抽出
LTAは、小さい変更を伴うFischerらのフェノール抽出法(Improved preparation of lipoteichoic acids, Eur J Biochem, 1983.133(3):p.523-30)、またはMorathらのブタノール法(Structure-function relationship of cytokine induction by lipoteichoic acid from Staphylococcus aureus, J Exp Med, 2001.193(3):p.393-7)のいずれかを用い、細胞ペレットから抽出しかつ精製した。
【0215】
簡単に述べると、破壊された細胞懸濁液を、等量のn-ブタノールと共に30分間激しく混合した。次いでこの溶液を、13,000xgで20分間遠心した。上相(ブタノール)を除去し、下側水相を凍結乾燥した。最初に、ブタノール相を再抽出し、新たな水相を、ELISAによりLTAについて試験したが、有意でない量のLTAが回収された。ペレットは、クエン酸緩衝液25ml中に再懸濁し、凍結した。数回の抽出を行い得られたペレットは一緒にし、破壊/抽出法を繰り返した。
【0216】
可溶化した抽出物を、Whatman 0.45μmシリンジフィルター(#6894-2504)を用いて濾過し、流量5ml/分で、15%n-プロパノール中の0.1M酢酸アンモニウム(pH4.7)で平衡化した、2.6x20cm Octyl Sepharoseカラム(Pharmacia)上に負荷した。このカラムを次に、280nmの吸光度がベースラインに戻るまで、15%n-プロパノール中の0.1M酢酸ナトリウムで洗浄した。次いでカラムを、40%n-プロパノール中の25mM酢酸ナトリウムで、4ml/分で溶離し、8ml画分を収集した。リン酸含有する画分をプールし、同じ緩衝液で平衡化した、5ml Sepharose Q FFカラムに負荷した。吸光度がベースラインに戻ったとき、このカラムは、緩衝液+0.5M KClで溶離した。リン酸を含有するチューブをプールし、部分的に凍結乾燥し、容積を減少し、水に対して透析し、塩を除去し、再度凍結乾燥した。
【0217】
II. LTAの破傷風毒素への複合
LTA 1ml(10mg/ml)は、0.1M炭酸ナトリウム+0.1Mヒドロキシルアミン中での75℃2時間のインキュベーション、引き続きの3.5kDaカットオフメンブレン(Pierce)を使用する水に対する透析により、脱アシル化した。次いでこの溶液を、凍結乾燥し、水0.5mlに溶解した。脱アシル化されたLTAを、1M酢酸ナトリウム(pH5)100μlおよび0.5Mメタ過ヨウ素酸ナトリウム125μlの添加により酸化した。2時間後、50%グリセロール100μlの添加により、反応を停止し、水に対し暗所で一晩透析した。この物質を、プルパルド(purpald)アッセイ(Lee, C. H. and C. E. Frasch, Quantification of bacterial polysaccharides by the purpald assay : measurement of periodate-generated formaldehyde from glycol in the repeating unit. Anal Biochem, 2001.296(1):p.73-82)において、アルデヒドについて陽性であることを試験した。
【0218】
(アミノ-オキシ酢酸)システアミンを、25%NMP水溶液中への11mgビス(アミノ-オキシ酢酸)システアミンの可溶化により調製した。1M炭酸ナトリウム中のTCEP(17mg)を添加し、この溶液を10分間インキュベーションし、次いで10mMビストリス(pH6)で平衡化した、Dowex 1x-8カラム(1x3cm)を通過させた。フロースルー中のDTNB陽性画分を、プールした。プールした(アミノ-オキシ酢酸)システアミンを、チオールについてアッセイし、5.2μモルSHを含むことを測定した。この試薬を、酸化され脱アシル化されたLTAと混合し、暗所で4℃で一晩インキュベーションし、次いで10mM酢酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、5mM EDTA(pH5)に対し透析し、過剰な試薬を除去した。最終溶液は、2.5mMチオールおよび25mMリン酸2mlであった。
【0219】
15M HEPES、5mM EDTA(pH7.3)中に緩衝した破傷風毒素(TT)(GlaxoSmithKline, Rixensart, ベルギーから入手)の14.6mg/ml溶液へ、50倍モル過剰なGMBS(NMP中0.1Mストック液)を添加することにより、TTをマレイミドで標識した。1時間反応させた後、この溶液を、Amicon Ultra 4(30kDaカットオフ)装置を使用する2M NaClへのダイアフィルトレーションにより脱塩し、遠心し最終容積0.4mlとした。維持された物質は、DTNB陽性であった。
【0220】
チオール化され、脱アシル化されたLTAを、窒素流れ下で、マレイミド-TTと混合し、0.75M HEPES(pH7.3)の添加により、pHを6.5に調節した。密封し、かつ 一晩4℃でインキュベーションした後、この溶液をアッセイし、依然2mMチオールであることを決定した。追加のTT 7mgを、前述のようにマレイミドで標識し、ダイアフィルトレーションし、0.5mlに濃縮し、先の反応混合物に添加した。30分間かけて、チオール含量は次第に減少し、その時点で反応を、0.5Mヨウ化アセトアミド100μl+1M炭酸ナトリウム100μlの添加により、停止した。
【0221】
この複合体を、生理食塩水で平衡化した、Superose 6(調製用等級)カラム(1x30cm)上でのサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した。
【0222】
III. マウスの免疫
20匹のBalb/cマウス群を、先に説明されたように、TTとの混合またはTTとの複合のいずれか、およびRibi MPLアジュバントと共に、LTAの5μlで、0、14、および28日目に免疫し、14日後に採血した。個々の血清は、抗-IgGについてELISAによりアッセイした。結果は図7に示した。M110(LTAに結合するマウスモノクローナル抗体)を、標準として用いた。血清中の抗-LTAレベルをアッセイした。結果を、図8に示した。この複合体は、高レベルの抗体を誘導し、かつ混合物は、わずかに非常に低レベルの抗体のみを誘導した。抗-血清の生物学的活性を評価するために、オプソニン食作用(opsonophagocytic)を行った。血清は、1:25に希釈した。
【0223】
IV. リン酸分析
リン酸は、Chen, P. S.、T. Y. ToribaraおよびH. Warnerの論文(Microdetermination of Phosphorous, Anal Biochem, (1956)28:p.1756-1758)に説明されたものに若干の変更を加え決定した。簡単に述べると、13x100mmホウケイ酸製のチューブ中で、試料100μl+硝酸マグネシウム30μlの溶液を、激しく攪拌し、ヒートブロック内で乾燥し、褐色の気体が放出されるまで、プロパントーチで火炎処理(flame)した。0.5M HClの300μlを添加し、チューブにガラス玉で蓋をし、沸騰水浴中で15分間加熱した。これらのチューブを冷却し、アスコルビン酸/モリブデン酸アンモニウムの混合液700μlを添加し、45℃で20分間インキュベーションし、試料を820nmで読みとった。この混合液は、モリブデン酸アンモニウムの溶液(0.42g+硫酸2.86ml、これを水で100mlとした)6部および水中10%アスコルビン酸1部を混合することにより調製した。リン酸標準は、Sigmaから入手した。
【0224】
本発明の別の態様は、本明細書の考察およびここに明らかにされた本発明の実践から、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、単なる例とみなされ、本発明の真の範囲および精神は、「特許請求の範囲」により示されることが意図される。
【0225】
本明細書は、本明細書に引用された参考文献の内容を考慮し、最も完全に理解される。本明細書内の態様は、本発明の態様の例示を提供し、本発明の範囲を制限するために構築されたものではない。当業者は、多くの他の態様が本発明に包含されることを、容易に認めるであろう。前記方法のいずれかは、本発明に従い適している。前記は、例示する例としてのみ利用され、限定しない。
【0226】
引用された刊行物および特許は全て、それらの全体が本明細書に参照として組入れられている。参照により組込まれた資料が本明細書と矛盾するか、または一致しない範囲では、本明細書が、そのような資料に優先するであろう。本明細書の参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に先行することを認めるものではない。
【0227】
特に記さない限りは、「特許請求の範囲」を含む本明細書において使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、用語「約」により修飾されるものとして理解されなければならない。従って相容れないことが特に記さない限りは、数値パラメータは、概数であり、本発明により得られると考えられる望ましい特性に応じて変動し得る。控えめに見ても、「特許請求の範囲」への均等論の適用が制限されることを企図するものではないので、各数値パラメータは、有効桁の数値および通常の数字まるめ法を考慮し構築されるべきである。
【0228】
特に記さない限りは、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、その系列の中の各要素を意味すると理解されるべきである。当業者は、本明細書に説明された本発明の具体的態様の多くの同等物を認めるか、またはこれを慣習的なものを超えない実験を用い確定することができるであろう。このような同等物は、「特許請求の範囲」に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】高度のタンパク質-多糖複合を示すSDS-pageクロマトグラムである。
【図2】BSA-多糖複合を示すSDS-pageクロマトグラムを示す。
【図3】S-400HR(商標)(Pharmacia)ゲル濾過カラムから溶離する画分のタンパク質および糖質のレゾルシノールアッセイの結果を示す。
【図4】タンパク質-多糖複合の発生を示すSDS-PAGEクロマトグラムを示す。
【図5】S-400HR(商標)(Pharmacia)ゲル濾過カラムから溶離する画分の高分子量複合体の存在を示す。
【図6】複合体画分の存在を示す、SDS-PAGEクロマトグラムである。
【図7】複合体を、その複合していない成分と比較するクロマトグラムである。
【図8】オプソニンアッセイの結果を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)少なくとも1個のカルボニル基を含む第一部分を、少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応させ、第一部分上に少なくとも1個のペンダント(pendent)官能基を形成する工程であり、ここで第一部分は、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される、工程;
(b)少なくとも1個のペンダント官能基を含む第一部分を、第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、ここで第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択される工程;ならびに
(c)複合体を、薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項2】
少なくとも1個のカルボニル基が、アルデヒド基およびケトン基より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アミノ-オキシ試薬が、ホモ官能性試薬およびヘテロ官能性試薬より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1個のペンダント官能基を含む第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1個のペンダント官能基を含む第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第二部分が、第一部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
タンパク質が、ハプテン化されたタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分を第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;
(b)ここで第一の部分は、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択され、ならびに第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択され;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項10】
少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
第二部分が、第一部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
タンパク質が、ハプテン化されたタンパク質である、請求項9記載の方法。
【請求項14】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項15】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された第一部分が;
(b)少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応した第二部分と反応し、ここで第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択され、複合体を含有する組成物を形成する工程;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項16】
アミノ-オキシ試薬が、ホモ官能性試薬およびヘテロ官能性試薬より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項15記載の方法。
【請求項19】
第一部分が、第一部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
タンパク質が、ハプテン化されたタンパク質である、請求項15記載の方法。
【請求項21】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項22】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)第一部分を、少なくとも1種のペンダントアミノ-オキシ基を含む第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、
ここで第一部分は、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択され、ならびに第二部分は、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択される工程;ならびに
(b)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項23】
第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
第一部分が、第二部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項22記載の方法。
【請求項26】
タンパク質が、ハプテン化されたタンパク質である、請求項22記載の方法。
【請求項27】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項22記載の方法。
【請求項28】
官能基化された第二部分が、第一部分との反応の前に、少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む、請求項22記載の方法。
【請求項29】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択された第一部分を提供する工程;
(b)少なくとも1個のアルデヒド基を含むN-末端1,2-アミノアルコールより選択された第二部分を提供する工程;
(c)該第二部分を少なくとも1種のアミノ-オキシ試薬と反応させる工程;
(d)該第一部分を、官能基化された第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;ならびに
(e)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項30】
少なくとも1個のアルデヒド基が、選択的酸化により第二部分上に作製される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
アミノ-オキシ試薬が、ホモ官能性試薬およびヘテロ官能性試薬より選択される、請求項29記載の方法。
【請求項32】
第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項29記載の方法。
【請求項33】
第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項29記載の方法。
【請求項34】
第一部分が、第二部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項29記載の方法。
【請求項35】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項29記載の方法。
【請求項36】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含有する第一部分を反応する工程であり、ここで第一部分が、多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される工程;
(b)第一部分を第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程であり、ここで第二部分が、少なくとも1個のカルボニル基を含む糖タンパク質より選択される工程;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを含有する組成物を形成する工程。
【請求項37】
少なくとも1個のカルボニル基が、アルデヒド基およびケトン基より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項36記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1個のペンダントアミノ-オキシ基を含む第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項36記載の方法。
【請求項40】
第二部分が、第一部分とのその反応前に、官能基化される、請求項36記載の方法。
【請求項41】
糖タンパク質が、ハプテン化された糖タンパク質である、請求項36記載の方法。
【請求項42】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項43】
以下の工程を含む、複合ワクチンを調製する方法:
(a)多糖、オリゴ糖、糖質、および糖質-含有分子より選択される第一部分が、アミノ-オキシ試薬と反応する工程であり、ここでこの反応は、第一部分の還元末端で生じ、官能基化された第一部分を生成する工程;
(b)官能基化された第一部分を、タンパク質、ペプチド、およびハプテンより選択された第二部分と反応させ、複合体を含有する組成物を形成する工程;ならびに
(c)複合体を薬学的に許容できる送達ビヒクルと混合し、複合ワクチンを形成する工程。
【請求項44】
アミノ-オキシ試薬が、ホモ官能性試薬およびヘテロ官能性試薬より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
第一部分が、第二部分と直接的に反応し、複合体を形成する、請求項43記載の方法。
【請求項46】
第一部分が、第二部分と間接的に反応し、複合体を形成する、請求項43記載の方法。
【請求項47】
第二部分が、第一部分とのその反応の前に、官能基化される、請求項43記載の方法。
【請求項48】
タンパク質が、ハプテン化されたタンパク質である、請求項43記載の方法。
【請求項49】
糖質-含有分子が、リポ多糖、リポオリゴ多糖、リポテイコ酸、および脱アシル化されたリポテイコ酸より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項50】
請求項1記載の方法により調製された複合体を含有するワクチン。
【請求項51】
薬剤を調製するための、請求項1記載のワクチンの使用。
【請求項52】
患者へ、請求項1に従い調製された複合体を含有するワクチンを投与する工程を含む、患者における免疫応答を誘導する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−519746(P2007−519746A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551553(P2006−551553)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/003040
【国際公開番号】WO2005/072778
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506260803)バイオシネクサス インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】