ワークの寸法検査装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークや標準モデル等の寸法の測定値を重ね書きして得られる最大値と最小値、または測定値の平均値を任意測定ポイントにおける標準偏差によって嵩上げ嵩下げして得られる上限値と下限値によって細密にパターン化して寸法誤差の許容範囲を設定し、これに出荷用ワークの実測値を重ね書きして比較することにより、ワークの特質に応じた寸法検査が連続してできるようにしたワークの寸法検査装置に関する。
【0002】IC(集積回路)等では、リードの高さ寸法の誤差によっては、プリント基板等への装着時に未接触部分が発生して作動不能となることにより、このリードの高さ寸法等を検査して良否を判断している。従来、この種の検査装置としては、基準面に正確に置いたICのリード部をCCDカメラにて撮像し、そのデータをコンピュータに取り込み画像処理することによってリードの状態を検査するようにしたものや、基準面に正確に置いたICのリードの基準面からの高さをレーザー変位計を用いて数値として測定するもの等があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の検査装置では、いずれも、正確に判断させるためにICを常に正確な定位置に置く必要があり、このため、ICの精密な位置決め装置が必要になるという問題があった。また、その位置決め装置を長時間使用することにより各部の摩耗や変形等の機械的損傷が発生するため、正確な良否判定ができなくなるという問題があった。それに、位置決め装置の精度の低下程度と、それに対する不具合対策の復旧がどの程度行われたかの確認が大変であるという問題があった。
【0004】また、従来装置では、寸法誤差として設定した上限値と下限値による許容範囲が多数の実測値に基づき設定されたものではなく、例えば、現在流れてくるICワークのリードがどの程度の範囲で上下にバラついているのか調べるには測定に時間がかかったり、または、測定できない構造であるため、不良品と判定された製品を再検査しながら上限・下限の判定値を作っていかなければならないという問題があった。
【0005】また、従来装置では、標準偏差等を基にした目標とする不良率に合った上限値・下限値の設定が簡単に設定することができないという構造となっているため、検査効率をすぐに上げられないという問題があった。
【0006】また、従来装置では、レーザー変位計のレーザー・ビームがリードのどの部分に当っているかの確認が難しく、使用者が使用に対し不安感を持つという問題があった。
【0007】また、従来装置では、零点補正や精度確保のため位置決め装置やCCDカメラ、レーザー変位計等の取り付けを精密に行うと共に難しい調整をしなければならないという問題があった。
【0008】本発明のワークの寸法検査装置は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、精密な位置決め装置や零点補正の必要がなく、また、ラインの途中に組み込んで連続して検査することができ、また、寸法の許容範囲となる上限値と下限値を、ワークの任意測定ポイントにおける標準偏差を基に設定したり、測定値の最大値と最小値、またはこの最大値と最小値とを修正してより必要形態に合致するように形成でき、また、良否の判定も確実であって手軽くすることができるようにしたワークの寸法検査装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための手段として、本発明請求項1記載のワークの寸法検査装置にあっては、ワークの定速度搬送手段と;計測センサからワークの測定位置までの距離を該ワークが一方向へ移動中に連続的に測定して測定値をアナログ信号として出力する計測手段と;ワークの通過を検知してトリガー信号により前記計測手段の測定値の取り込みを開始させるトリガー信号発生手段と;ワークの移動に同期してパルス信号を出すパルス信号発生手段と;前記パルス信号と同時に取り込んだ1サイクル分の測定値を保存すると共に該パルス信号が時系列的に一致するワーク全数分の測定値によって算出された平均値を1サイクル分時系列的に保存する平均値保存回路と;前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最大値と比較して最大値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最大値を最大値中の最大値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩上げして設定された上限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩上げ嵩下げして若しくは最小値を嵩上げして設定された上限値を保存する上限データ保存回路と;前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最小値と比較して最小値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最小値を最小値中の最小値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩下げして設定された下限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩下げして若しくは最小値を嵩上げ嵩下げして設定された下限値を保存する下限データ保存回路と;前記上限値を越えたとき又は前記下限値を下回ったときに不良信号を出す演算処理部と;前記演算処理部におけるワークの測定個数、測定時間、測定回数の設定と、前記ワークの任意の測定ポイントにおける全測定値によって求めた標準偏差を嵩上げと嵩下げする範囲の設定と、前記最大値波形と最小値波形または前記平均値による平均値波形とを修正する修正関数の設定と、前記許容範囲の設定および前記許容範囲と測定値の波形の表示とを行うコンピュータと;を備えた構成とした。
【0010】また、本発明請求項2記載のワークの寸法検査装置にあっては、前記演算処理部において測定値が許容範囲を外れたとき、該演算処理部がそれまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるシングルモードを有する構成とした。
【0011】また、本発明請求項3記載のワークの寸法検査装置にあっては、前記演算処理部の1サイクル分の比較エリアが複数のエリアに区分されると共に測定値がエリアの許容範囲を外れたとき不良信号を出すように設定されている構成とした。
【0012】
【作用】本発明のワークの寸法検査装置では、まず、検査時の許容範囲設定用に選定したワークまたはモデルを一方向に移動させ、該ワークの通過を確認してトリガー信号を発生させる。このトリガー信号によって、計測センサからワークの検査一までの距離の測定値と該ワークの移動に同期したパルス信号とを次々と取り込んで、前回サイクルまで取り込んで記憶していた測定値と比較させ、最大値のみを選択して上限データ保存回路に1サイクル分時系列的に保存させる。また、下限データ保存回路では、前記パルス信号に同期した測定値と前回サイクルまで取り込んで記憶していた測定値と比鮫させ、最小値のみを選択して1サイクル分時系列的に保存させる。また、平均値保存回路では、取り込んだ複数のワークにおける測定値であって、パルス信号受信位置のポイントごとにおける全測定値を積算して算出した平均値を1サイクル分時系列的に保存させる。
【0013】また、表示器で前記上限データ保存回路の最大値と、下限データ保存回路の最小値と、平均値保存回路の平均値とを表示させる。そして、このとき最大値と最小値との間が最も開いたポイント、または、重要と思われるポイントを設定しこれまで取り込んだ測定値によってコンピュータに標準偏差を求めさせ、その標準偏差の2倍区間や3倍区間を設定してその上限値を最大値の代りとして上限データ保存回路に保存させ、またその下限値を最小値の代わりとして下限データ保存回路に保存させる。また、修正関数によって最大値と最小値を修正することにより寸法検査の許容範囲を設定する。この後、出荷用のワークを前記と同様に一方向に移動させることにより該ワークの実測値を取り込み、演算処理部により該実測値が上限値と下限値の間にあるか比較させ、実測値が上限値と下限値との間から外れている場合は不良信号を発信させる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例においては、IC(集積回路)ワークのリード高さの検査を連続的に行うようにした装置で説明する。図1は本実施例のICワークの寸法検査装置を示す説明図、図2は許容範囲の最大値と最小値を求めるフローチャート、図3は任意ポイントの全測定値による標準偏差を求めるフローチャート、図4は出荷用ワークの寸法検査を示すフローチャート、図5は最大値と最小値および平均値のパターン図、図6はポイントPの標準偏差により求めた上限値と下限値によるパターン図、図7はポイントPにおける測定値のバラツキを示す説明図、図8R>8は出荷用ICワークの測定値を重ね書きしたパターン図、図9は測定部分の良否を示す説明図、図10は関数Y=AX+Bにより最大値を嵩下げし最小値を嵩上げして形成した許容範囲を示すパターン図である。本実施例のワークの寸法検査装置は、ICワークWの搬送装置1と、信号発信機2と、レーザー変位センサ3と、アンプ4と、パルス発信機5と、上限データ保存回路6と、下限データ保存回路7と、平均値保存回路8と、演算処理部(CPU)9と、パーソナルコンピュータ10と、けり出し装置Bと、を主要な構成としている。尚、前記上限データ保存回路6と、下限データ保存回路7と、平均値保存回路8と、演算処理部9とを一式まとめて構成したものを判定器Aとする。
【0015】前記搬送装置1は、ICワークWを所定の速度で一方向に水平移動させるもので、ICワークWのパッケージ部W1の上下面を挟持して定速度で回転するローラ1a,1aを備えている。図中、1bはラインの途中に設けたICワークWの搬入装置、1cは同搬出装置である。尚、前記ローラ1aはベルトコンベア等を使用することができる。
【0016】前記信号発信機2は、ICワークWの通過を検知することによって外部トリガー信号を出す外部トリガー信号発生手段となるものであって、リミットスイッチ、近接スイッチ、赤外線センサ等を使用する。
【0017】前記レーザー変位センサ3は、該センサからICワークWのリードW2の上端までの距離を連続して測定する計測手段となるものであって、実施例では、小スポットレーザーを備えたフルスケール5〜10mm程度の測定範囲のものを使用する。また、該レーザー変位センサ3は、移動するICワークWの両リード側に位置するように2個設けられ、判定器Aも2台設けられている。
【0018】前記アンプ4は、レーザー変位センサ3が測定したICワークWにおけるリードW2の上端までの距離(変量)を電圧値に変換して出力するものであって、実施例では、0〜10Vに変換するものを使用している。
【0019】前記パルス発信機5は、測定値取り込みのスタートを合わせると共に1サイクルを時系列的に保存させるタイミングとなる同調用パルスを出すパルス発生手段となるものであって、前記搬送装置1におけるローラ1aの回転角度に合せて発生させるように形成されている。
【0020】データ収集時は、前記上限データ保存回路6は、演算処理部9で判別された最大値のみを1サイクル分(ICワークWの1個の長さ分の測定期間に相当)時系列的に保存する。また、良・不良の判定時は、パーソナルコンピュータ10で最大値、最小値、平均値をY=AX+Bの修正関数で処理した修正値を上限値として上限データ保存回路6に保存、または、1サイクル中任意の範囲を必要個所だけ更に修正した修正値を上限値として上限データ保存回路6に保存する。
【0021】データ収集時は、前記下限データ保存回路7は、演算処理部9で判別された最小値のみを前記同様に1サイクル分時系列的に保存する。また、良・不良の判定時は、パーソナルコンピュータ10で最大値、最小値、平均値をY=AX+Bの修正関数で処理した修正値を下限値として下限データ保存回路7に保存、または、1サイクル中任意の範囲を必要個所だけ更に修正した修正値を下限値として下限データ保存回路7に保存する。
【0022】前記平均値保存回路8は、パルス信号受信位置のポイントごとにおける測定値の平均値、または判定中の測定値を1サイクル分時系列的に保存するものである。
【0023】前記演算処理部9は、許容範囲設定用のICワークから取り込んだ測定値を前回まで取り込んだ測定値と比較して最大値のみを上限データ保存回路6に送り、また、最小値のみを下限データ保存回路7に送って保存させたり、測定値を積算して積算値を平均値保存回路8に保存させたり、出荷用ICワークWの測定内容に従って下記の許容範囲のうちから設定された任意の許容範囲によって寸法比較を行うことにより製品の良否を判断するためのものであって、パーソナルコンピュータ10によって次のいずれかの許容範囲が設定される。前記上限データ保存回路6の最大値波形6aと下限データ保存回路7の最小値波形7aとによって形成される時系列的な許容範囲。また、前記最大値波形6aと最小値波形7aとの許容範囲において、最大値波形6aと最小値波形7aとの間が広くなった部分や寸法の重要部分において求めた標準偏差σにより前記平均値保存回路8の平均値を3σ嵩上げしたものを上限値6b、また平均値を3σ嵩下げしたものを下限値7bとする許容範囲(図6参照)。また、前記最大値波形6aと最小値波形7a、または平均値保存回路8の平均値による平均値波形8aを修正関数Y=AX+BのAまたはBをパルス信号受信位置のポイントごとに設定して嵩上げ、嵩下げすることにより修正された許容範囲。また、前記許容範囲は、1サイクル分を複数(実施例では8エリア)に区切って監視区域が設定される。そして、該演算処理部9は、不良品判定時に不良品発生と、どの領域で発生したかの出力を出しその不良品の測定値を1ワーク分(1サイクル分)保持して停止し、コンピュータ10へ不良品の測定値を転送後、検査を再開するシングルモードと、不良品の判定出力とどの領域で不良判定が出たかの領域出力を出すが、測定データは保持せずに連続して検査を行うレピートモードとの機能を持っている。そして、不良品を検知した場合、不良品の判定出力によってけり出し装置Bを作動させ不良ICワークをライン外に排出させる。図1において、9aはA/D変換器、9bはインターフェース、9cはI/O、9dは判定器側ソフトおよびアナログ値処理ソフト用のROM、9eは前記上限データ保存回路6と下限データ保存回路7と平均値保存回路8とを備えたRAM、9fは時計、9gはコンピュータ10との通信用接続部、9hは警報ランプが接続されるエリア出力部、9jは測定スタートボタン、9kは測定続行用リセットスイッチである。
【0024】前記コンピュータ10は、標準偏差の算出や演算処理部9における許容範囲の設定、各波形と出荷用ICワークWの測定値波形3a等の表示を行うパーソナルコンピュータであって、本体10aに表示器としてのCRT10bやキーボード等を備えている。前記本体10aは、判定器Aの接続部9gと専用通信線で接続され、演算処理部9に、重ね書きの回数(搬送装置1に通す許容範囲作成用ICワークWの数)を測定回数として設定したり、1個のICリードの測定長さを1サイクル分の測定値個数として設定したり、測定値の取り込みタイミング(実施例では1/500秒毎に1測定)を設定したり、データの取り込み開始はICワークWを通過したのを検知して発信される外部トリガーによって同調するように設定したり、入力信号のスケール(実施例では0〜10Vフルスケール)による分解能(実施例では1/4096)を設定したりする機能を備えている。また、最大値波形6aと最小値波形7aとの範囲が最大に開いている任意ポイントの全測定値による標準偏差σ(全測定値の約7割が含まれる測定値の範囲)を求めたり、その3倍区間(つまり3σ)を演算処理部9の許容範囲として設定したり、最大値波形6aと最小値波形7aと平均値波形8aのいずれかを選んでY=AX+Bの式で嵩上げして上限値を設定し、また嵩下げして下限値を設定する。また、前記いずれかの許容範囲を選定し、その1サイクル分を複数のエリアに区切って所定エリアのみを不良判定エリアに設定したり、1サイクル中に何回上・下限から外れたら不良判定を出すかの回数を設定したり、測定モードをシングルモードまたはレピートモードのいずれかとする機能を備えている。
【0025】次に実施例の作用をフローチャートにより説明する。まず、最大値波形6aと最小値波形7aと平均値波形8aの表示を重ね書きによって行い、ICワークWのリード高さのバラツキと再現性を確認する(図2参照)。コンピュータ10により、重ね書きの回数(装置に通す製品の数)を測定サイクル回数として設定、1個のICワークの全てのリードに亘る測定長さに応じたデータ個数を1サイクル分のデータ個数として設定、データの取り込みタイミングは1/500秒毎に1データを設定、データの取り込み開始は外部からのワーク(IC)通過確認信号による開始に設定、入力信号は0〜10Vフルスケールとし、分解能は1/4096に設定する(ステップ100)。スタートボタン9jをON(ステップ101)することにより搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ102)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認(ステップ103)し、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルスを発信する(ステップ104)。前記パルス信号に同期してレーザー変位センサ3からの変量をアンプ4を介しアナログ量として判定器Aに取り込む(ステップ105)。
【0026】判定器Aの演算処理部9では、上限データ保存回路6における前回サイクルの比較後の保存測定値より今回の測定値が大きいか判断(ステップ106)され、大きい方の測定値(最大値中の最大値)がこの上限データ保存回路6に時系列的に(つまりパルス信号受信位置のポイントごとに)保存される(ステップ107)。また、下限データ保存回路7における前回サイクルの比較後の保存測定値より今回の測定値が小さいか判断され(ステップ108)、小さい方の測定値(最小値中の最小値)がこの下限データ保存回路7に時系列的に保存される(ステップ109)。また、各測定点毎(パルス信号受信位置のポイント毎)の測定値が平均値保存回路8に積算して保存される(ステップ110)。この設定の測定値の個数(1個のICワークWの測定をする1サイクル時間で得られる測定値の個数)まで測定したかが判断され(ステップ111)、完了したら設定の測定回数(測定するICワークWの個数)に達したかが判断され(ステップ112)、設定数に達したら測定が完了される(ステップ113)。この後コンピュータ10に測定値が転送され(ステップ114)、この転送時にステップ110で保存した各々の積算値を測定回数(サイクル回数)で割って各々の平均値が算出され、各平均値がコンピュータ10に転送されると共に平均値保存回路8に保存される(ステップ115)。そしてこれ等の測定値によりコンピュータ10のCRT画面に、ステップ107で集めた最大値ばかりの波形線6aと、ステップ109で集めた最小値ばかりの波形線7aと、ステップ115で求めた平均値ばかりの波形線8aとを3本の色違い線で同時表示させる(図5参照)。尚、この波形は、後日の性能比較のため、記録手段により記録しておいてもよい。各波形線6a、7a、8aは曲線波形となる。
【0027】次に、波形の中の任意のポイントを指定し、そのポイントだけを集めて測定値の分布図や標準偏差σを求める(図3、図5〜図7参照)。ここで、最大値、最小値、平均値および標準偏差σについて例を示して説明する。仮にパルス発信機5から出力されるパルス数が1サイクルに2000個ある場合には図5に示す最大値は2000個となる。また仮に、1サイクルにおける或る時点で発生したパルスに対応する(つまり時系列的に見て同一時刻の)測定値が3000個(この数は全ワーク数の個数である)である場合には、図5に示す最大値はその3000個の中での最大値(最大値中の最大値)である。このことは最小値についても同様である。また、平均値は上記3000個の平均値であり、平均値は最大値、最小値と同様、パルス数に応じて2000個存在する。このようにして求められた最大値、最小値、平均値(平均値は最大値と最小値の中心値ではない)から、適正な測定値分布を想定して標準偏差σを定める。次に、CRTで重ね書きした各波形で測定値のバラツキを知りたいポイントと測定するTCワークWの個数をサイクル回数としてコンピュータで設定する(ステップ200)。スタートボタン9jをON(ステップ201)することにより、搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ202)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認後(ステップ203)、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルス発信する(ステップ204)。また、設定ポイントの測定値を取り込みながらこのパルスがステップ200で設定したポイントにおける必要数に達するまで発信され(ステップ205)、測定値の所定数が保存される(ステップ206)。そして、設定の測定値個数(1個のICワークの測定をする1サイクル時間)まで測定したか確認され(ステップ207)、設定した測定回数(測定するICワークの数)に達するまで測定される(ステップ208)。
【0028】測定回数に達したら測定が終了され(ステップ209)、コンピュータ10に測定値が転送され(ステップ210)、CRT画面上の横軸に各サイクル順に設置したポイントの測定値を表示し(図7参照)、また必要があればCRT画面上で拡大して測定値の確認をする(ステップ211)。そして、1サイクル目から設定サイクル数までの範囲のなかで測定値のバラツキと標準偏差を調べたい範囲を設定し(ステップ212)、設定したサイクル数の各サイクル中で、指定ポイントP(図5参照)の測定値ばかり集めて、標準偏差σとバラツキをグラフに出す(ステップ213)。ステップ212で標準偏差を調べたい範囲を設定するのは異常な測定値を排除して妥当な標準偏差を得るためである。
【0029】次に、前記測定値の重ね書きと、バラツキ、標準偏差σをもとに平均値波形8aを3σだけ嵩上げ嵩下げして上限、下限の線を引き、良品と不良品の判定を行わせる(図6、図8、図9参照)。なお、上限値は各パルスに対応する許容範囲の上限値である。たとえば1サイクルで2000個のパルスが発生するとすれば、2000個の上限値が存在する。上限値波形とはその2000個の上限値を直線で結んで波形化したものである。また、最大値とは、全ワーク数を3000個とした場合、或るパルスに対応する(つまり時系列的に同一時刻、換言すればワーク上での同一位置)3000個の中の最大値(最大値中の最大値)である。まず、コンピュータ10で次の許容範囲のうちいずれかの設定を行う。最大値波形6aと最小値波形7aとによる許容範囲、またはCRT画面上に最大値波形と最小値波形と平均値波形を描かせ3本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線を修正関数Y=AX+Bの式でかさ上げして上限を設け、若しくは最大値波形と平均値波形の2本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線を修正関数Y=AX+Bの式でかさ下げして上限を設け、同じく最大値波形と最小値波形と平均値波形のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線をY=AX+Bの式でかさ下げし下限を設け、若しくは最小値波形と平均値波形の2本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線をY=AX+Bの式でかさ上げして下限を設けて許容範囲を設定。または前記標準偏差σの3倍区間を設けて許容範囲を設定。または前記標準偏差σの2倍区間を設けて許容範囲を設定。上限・下限値で良品・不良品の判定の必要の無い部分、又は、より厳しく判定をする必要の無い部分は、領域を設定してマニュアルにて、点を打ち折れ線にて上限・下限を設けて許容範囲を設定。不良判定時のワークのデータを保持する必要が有れば、シングル・モードに設定。不良判定時のデータが必要なければ、レピート・モードに設定。測定領域を均等でも不均等でも最大8分割までの領域出力の分割線を引き設定。1サイクル中に何回上・下限から外れたら不良判定をだすかの回数設定(ステップ300)。ステップボタン9jをON(ステップ301)して、判定器Aが良品不良品の判定可能な状態になっているのを確認後(ステップ302)、搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ303)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認後(ステップ304)、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルス発信する(ステップ305)。前記パルス信号に同期してレーザー変位センサ3からの変量をアンプ4を介してアナログ量として判定器Aに取り込む(ステップ306)。前に設定した領域に入ったら領域判断の出力を出させる(ステップ307)。そして、測定値が演算処理部9で設定した上限値と下限値の間に入っているか判断し(ステップ308)、入っていない場合は設定したアラーム回数に達したとき(ステップ309)、不良品発生信号と発生領域判別信号を出力させ(ステップ310)、不良品のけり出し、またはマーキングを行う(ステップ311)。
【0032】また、寸法の許容範囲となる上限値と下限値を、測定値のバラツキのひどい部分や上下に広く膨らんだ部分、あるいは寸法の最重要と思われる部分等の標準偏差算出位置を任意に定めて求めた標準偏差によって設定できるため、ICワーク全体に係る寸法を合理的な許容範囲にすることにより検査することができる。また、寸法検査に用いる波形は、取り込んだ測定値の最大値波形や最小値波形をY=AX+Bで修正した上限値波形、下限値波形、あるいは任意のポイントの標準偏差σで平均値波形8aを上下に2σあるいは3σ分移動させることで形成した上限値波形や下限値波形等、あるいはそれ等を組み合わせた上限値波形、下限値波形を使用できるのでワークにマッチした寸法検査をすることができる。この場合、不良率をあらかじめ設定できるので、品質管理をより自在に行うことができる。また、波形の中に平均値による波形を表示してみることにより、ワークの寸法の片寄り具合が判るし、また同一モデルを測定してみることにより検査装置自体の変化も見つけ出すことができる。
【0033】また、不良監視エリアを設定することによりどのエリアで不良が発生したか直ちに判別することができる。また、シングルモードの場合、大量に検査する中でいつ発生するか判らない不良品のデータを直ちに検討することができる。
【0034】以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、実施例では、検査ワークはICワークにより説明したが、これに限らず、他の電子部品やメカ部品、容器内の部品や収容物の寸法や嵩高、加工中の物品の寸法や形状、等任意に選定することができる。
【0035】また、実施例では、搬送装置はICワークを一方向に水平移動させるもので説明したが、これに限らず、搬送途中で水平方向に回転する反転機構を設けてもよい。この場合はレーザー変位センサ3を増やす等して四方にリードが設けられたICも簡単に検査することができる。また、搬送装置はワークの形状にマッチしたものを複数用意しておき、カセット式に入替えるようにしてもよい。
【0036】また、実施例では、コンピュータ10は表示用CRT10bを備えたもので説明したが、これに限らず、いずれか一方が判定器A内に組み込まれていてもよい。
【0037】また、測定値を同調(同期)させるパルスは判定器の時計9fから取り出してもよい。
【0038】またトリガー信号は外部トリガーを利用したが、これに限らず、取り込んだアナログ値の変化を内部トリガーとして使用するようにしてもよい。また、外部トリガーと内部トリガーを組合せることもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明のワークの寸法検査装置にあっては、出荷用ワークと同等品のワークを計測し、その測定値を時系列的に重ね書きしてパターン化した波形と比較して出荷用ワークの寸法検査をするようにしたので、従来の精密な位置決め装置を設けたり、常に零点調整を厳しくしないでも測定値を常に同一状態で取り込んで正確な寸法検査をすることができる。また、そのため、検査装置を低コストで製造することができる。また、ワークは移動させながら計測するので、ライン途中に組み込んでライン搬送中に計測して検査することができる。また、許容範囲は取り込んだ測定値によりパターン化するので、検査面に凹凸があったり、曲面があっても簡単に検査することができる。また、過去の判定用波形と現在の判定用波形を比較することにより、検査装置全体の変化の具合や修理後の復旧の度合いが判明する。
【0040】また、許容範囲の上限と下限は、任意に定めたポイントの標準偏差σで平均値波形を嵩上げ嵩下げして設定したり、全体を修正関数によって嵩上げや嵩下げができるため、ワーク全体に係る寸法を合理的な許容範囲にして検査することができる。また、測定値における最大値のみによる最大値波形や最小値のみによる最小値波形、あるいは平均値等いずれも寸法検査に使用できるので、それ等を適宜選定使用することにより、ワークにマッチした検査を合理的に行うことができる。また、不良品の発生率をあらかじめ設定することにより、品質管理を自在に行うことができる。
【0041】また、不良品発生時それまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるようにしたので、いつ発生するか判らない不良品のデータを直ちに分析することができる。
【0042】また、不良監視エリアを設定することによりどのエリアで不良が発生したか直ちに判別でき、不良品のデータを直ちに検討することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICワークの寸法検査装置を示す説明図である。
【図2】許容範囲の最大値と最小値を求めるフローチャートである。
【図3】測定範囲にポイントを定め、そのポイントにおける全測定値の標準偏差を求めるフローチャートである。
【図4】出荷用ワークの寸法検査を示すフローチャートである。
【図5】最大値と最小値および平均値のパターン図である。
【図6】ポイントPの標準偏差により求めた上限値と下限値によるパターン図である。
【図7】ポイントPにおける測定値のバラツキを示す説明図である。
【図8】出荷用ICワークの測定値を重ね書きしたパターン図である。
【図9】測定部分の良否を示す説明図である。
【図10】最大値を嵩上げし最小値を嵩下げして形成した許容範囲を示すパターン図である。
【符号の説明】
A 判定器
1 搬送装置(定速度搬送手段)
2 信号発信機(トリガー信号発生手段)
3 レーザー変位センサ(計測手段)
4 アンプ(計測手段)
5 パルス発信機(パルス発生手段)
6 上限データ保存回路
7 下限データ保存回路
8 平均値保存回路
9 演算処理部
10 パーソナルコンピュータ(コンピュータ)
10b CRT(表示器)
P 標準偏差を求めるポイント
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークや標準モデル等の寸法の測定値を重ね書きして得られる最大値と最小値、または測定値の平均値を任意測定ポイントにおける標準偏差によって嵩上げ嵩下げして得られる上限値と下限値によって細密にパターン化して寸法誤差の許容範囲を設定し、これに出荷用ワークの実測値を重ね書きして比較することにより、ワークの特質に応じた寸法検査が連続してできるようにしたワークの寸法検査装置に関する。
【0002】IC(集積回路)等では、リードの高さ寸法の誤差によっては、プリント基板等への装着時に未接触部分が発生して作動不能となることにより、このリードの高さ寸法等を検査して良否を判断している。従来、この種の検査装置としては、基準面に正確に置いたICのリード部をCCDカメラにて撮像し、そのデータをコンピュータに取り込み画像処理することによってリードの状態を検査するようにしたものや、基準面に正確に置いたICのリードの基準面からの高さをレーザー変位計を用いて数値として測定するもの等があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の検査装置では、いずれも、正確に判断させるためにICを常に正確な定位置に置く必要があり、このため、ICの精密な位置決め装置が必要になるという問題があった。また、その位置決め装置を長時間使用することにより各部の摩耗や変形等の機械的損傷が発生するため、正確な良否判定ができなくなるという問題があった。それに、位置決め装置の精度の低下程度と、それに対する不具合対策の復旧がどの程度行われたかの確認が大変であるという問題があった。
【0004】また、従来装置では、寸法誤差として設定した上限値と下限値による許容範囲が多数の実測値に基づき設定されたものではなく、例えば、現在流れてくるICワークのリードがどの程度の範囲で上下にバラついているのか調べるには測定に時間がかかったり、または、測定できない構造であるため、不良品と判定された製品を再検査しながら上限・下限の判定値を作っていかなければならないという問題があった。
【0005】また、従来装置では、標準偏差等を基にした目標とする不良率に合った上限値・下限値の設定が簡単に設定することができないという構造となっているため、検査効率をすぐに上げられないという問題があった。
【0006】また、従来装置では、レーザー変位計のレーザー・ビームがリードのどの部分に当っているかの確認が難しく、使用者が使用に対し不安感を持つという問題があった。
【0007】また、従来装置では、零点補正や精度確保のため位置決め装置やCCDカメラ、レーザー変位計等の取り付けを精密に行うと共に難しい調整をしなければならないという問題があった。
【0008】本発明のワークの寸法検査装置は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、精密な位置決め装置や零点補正の必要がなく、また、ラインの途中に組み込んで連続して検査することができ、また、寸法の許容範囲となる上限値と下限値を、ワークの任意測定ポイントにおける標準偏差を基に設定したり、測定値の最大値と最小値、またはこの最大値と最小値とを修正してより必要形態に合致するように形成でき、また、良否の判定も確実であって手軽くすることができるようにしたワークの寸法検査装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための手段として、本発明請求項1記載のワークの寸法検査装置にあっては、ワークの定速度搬送手段と;計測センサからワークの測定位置までの距離を該ワークが一方向へ移動中に連続的に測定して測定値をアナログ信号として出力する計測手段と;ワークの通過を検知してトリガー信号により前記計測手段の測定値の取り込みを開始させるトリガー信号発生手段と;ワークの移動に同期してパルス信号を出すパルス信号発生手段と;前記パルス信号と同時に取り込んだ1サイクル分の測定値を保存すると共に該パルス信号が時系列的に一致するワーク全数分の測定値によって算出された平均値を1サイクル分時系列的に保存する平均値保存回路と;前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最大値と比較して最大値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最大値を最大値中の最大値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩上げして設定された上限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩上げ嵩下げして若しくは最小値を嵩上げして設定された上限値を保存する上限データ保存回路と;前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最小値と比較して最小値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最小値を最小値中の最小値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩下げして設定された下限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩下げして若しくは最小値を嵩上げ嵩下げして設定された下限値を保存する下限データ保存回路と;前記上限値を越えたとき又は前記下限値を下回ったときに不良信号を出す演算処理部と;前記演算処理部におけるワークの測定個数、測定時間、測定回数の設定と、前記ワークの任意の測定ポイントにおける全測定値によって求めた標準偏差を嵩上げと嵩下げする範囲の設定と、前記最大値波形と最小値波形または前記平均値による平均値波形とを修正する修正関数の設定と、前記許容範囲の設定および前記許容範囲と測定値の波形の表示とを行うコンピュータと;を備えた構成とした。
【0010】また、本発明請求項2記載のワークの寸法検査装置にあっては、前記演算処理部において測定値が許容範囲を外れたとき、該演算処理部がそれまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるシングルモードを有する構成とした。
【0011】また、本発明請求項3記載のワークの寸法検査装置にあっては、前記演算処理部の1サイクル分の比較エリアが複数のエリアに区分されると共に測定値がエリアの許容範囲を外れたとき不良信号を出すように設定されている構成とした。
【0012】
【作用】本発明のワークの寸法検査装置では、まず、検査時の許容範囲設定用に選定したワークまたはモデルを一方向に移動させ、該ワークの通過を確認してトリガー信号を発生させる。このトリガー信号によって、計測センサからワークの検査一までの距離の測定値と該ワークの移動に同期したパルス信号とを次々と取り込んで、前回サイクルまで取り込んで記憶していた測定値と比較させ、最大値のみを選択して上限データ保存回路に1サイクル分時系列的に保存させる。また、下限データ保存回路では、前記パルス信号に同期した測定値と前回サイクルまで取り込んで記憶していた測定値と比鮫させ、最小値のみを選択して1サイクル分時系列的に保存させる。また、平均値保存回路では、取り込んだ複数のワークにおける測定値であって、パルス信号受信位置のポイントごとにおける全測定値を積算して算出した平均値を1サイクル分時系列的に保存させる。
【0013】また、表示器で前記上限データ保存回路の最大値と、下限データ保存回路の最小値と、平均値保存回路の平均値とを表示させる。そして、このとき最大値と最小値との間が最も開いたポイント、または、重要と思われるポイントを設定しこれまで取り込んだ測定値によってコンピュータに標準偏差を求めさせ、その標準偏差の2倍区間や3倍区間を設定してその上限値を最大値の代りとして上限データ保存回路に保存させ、またその下限値を最小値の代わりとして下限データ保存回路に保存させる。また、修正関数によって最大値と最小値を修正することにより寸法検査の許容範囲を設定する。この後、出荷用のワークを前記と同様に一方向に移動させることにより該ワークの実測値を取り込み、演算処理部により該実測値が上限値と下限値の間にあるか比較させ、実測値が上限値と下限値との間から外れている場合は不良信号を発信させる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例においては、IC(集積回路)ワークのリード高さの検査を連続的に行うようにした装置で説明する。図1は本実施例のICワークの寸法検査装置を示す説明図、図2は許容範囲の最大値と最小値を求めるフローチャート、図3は任意ポイントの全測定値による標準偏差を求めるフローチャート、図4は出荷用ワークの寸法検査を示すフローチャート、図5は最大値と最小値および平均値のパターン図、図6はポイントPの標準偏差により求めた上限値と下限値によるパターン図、図7はポイントPにおける測定値のバラツキを示す説明図、図8R>8は出荷用ICワークの測定値を重ね書きしたパターン図、図9は測定部分の良否を示す説明図、図10は関数Y=AX+Bにより最大値を嵩下げし最小値を嵩上げして形成した許容範囲を示すパターン図である。本実施例のワークの寸法検査装置は、ICワークWの搬送装置1と、信号発信機2と、レーザー変位センサ3と、アンプ4と、パルス発信機5と、上限データ保存回路6と、下限データ保存回路7と、平均値保存回路8と、演算処理部(CPU)9と、パーソナルコンピュータ10と、けり出し装置Bと、を主要な構成としている。尚、前記上限データ保存回路6と、下限データ保存回路7と、平均値保存回路8と、演算処理部9とを一式まとめて構成したものを判定器Aとする。
【0015】前記搬送装置1は、ICワークWを所定の速度で一方向に水平移動させるもので、ICワークWのパッケージ部W1の上下面を挟持して定速度で回転するローラ1a,1aを備えている。図中、1bはラインの途中に設けたICワークWの搬入装置、1cは同搬出装置である。尚、前記ローラ1aはベルトコンベア等を使用することができる。
【0016】前記信号発信機2は、ICワークWの通過を検知することによって外部トリガー信号を出す外部トリガー信号発生手段となるものであって、リミットスイッチ、近接スイッチ、赤外線センサ等を使用する。
【0017】前記レーザー変位センサ3は、該センサからICワークWのリードW2の上端までの距離を連続して測定する計測手段となるものであって、実施例では、小スポットレーザーを備えたフルスケール5〜10mm程度の測定範囲のものを使用する。また、該レーザー変位センサ3は、移動するICワークWの両リード側に位置するように2個設けられ、判定器Aも2台設けられている。
【0018】前記アンプ4は、レーザー変位センサ3が測定したICワークWにおけるリードW2の上端までの距離(変量)を電圧値に変換して出力するものであって、実施例では、0〜10Vに変換するものを使用している。
【0019】前記パルス発信機5は、測定値取り込みのスタートを合わせると共に1サイクルを時系列的に保存させるタイミングとなる同調用パルスを出すパルス発生手段となるものであって、前記搬送装置1におけるローラ1aの回転角度に合せて発生させるように形成されている。
【0020】データ収集時は、前記上限データ保存回路6は、演算処理部9で判別された最大値のみを1サイクル分(ICワークWの1個の長さ分の測定期間に相当)時系列的に保存する。また、良・不良の判定時は、パーソナルコンピュータ10で最大値、最小値、平均値をY=AX+Bの修正関数で処理した修正値を上限値として上限データ保存回路6に保存、または、1サイクル中任意の範囲を必要個所だけ更に修正した修正値を上限値として上限データ保存回路6に保存する。
【0021】データ収集時は、前記下限データ保存回路7は、演算処理部9で判別された最小値のみを前記同様に1サイクル分時系列的に保存する。また、良・不良の判定時は、パーソナルコンピュータ10で最大値、最小値、平均値をY=AX+Bの修正関数で処理した修正値を下限値として下限データ保存回路7に保存、または、1サイクル中任意の範囲を必要個所だけ更に修正した修正値を下限値として下限データ保存回路7に保存する。
【0022】前記平均値保存回路8は、パルス信号受信位置のポイントごとにおける測定値の平均値、または判定中の測定値を1サイクル分時系列的に保存するものである。
【0023】前記演算処理部9は、許容範囲設定用のICワークから取り込んだ測定値を前回まで取り込んだ測定値と比較して最大値のみを上限データ保存回路6に送り、また、最小値のみを下限データ保存回路7に送って保存させたり、測定値を積算して積算値を平均値保存回路8に保存させたり、出荷用ICワークWの測定内容に従って下記の許容範囲のうちから設定された任意の許容範囲によって寸法比較を行うことにより製品の良否を判断するためのものであって、パーソナルコンピュータ10によって次のいずれかの許容範囲が設定される。前記上限データ保存回路6の最大値波形6aと下限データ保存回路7の最小値波形7aとによって形成される時系列的な許容範囲。また、前記最大値波形6aと最小値波形7aとの許容範囲において、最大値波形6aと最小値波形7aとの間が広くなった部分や寸法の重要部分において求めた標準偏差σにより前記平均値保存回路8の平均値を3σ嵩上げしたものを上限値6b、また平均値を3σ嵩下げしたものを下限値7bとする許容範囲(図6参照)。また、前記最大値波形6aと最小値波形7a、または平均値保存回路8の平均値による平均値波形8aを修正関数Y=AX+BのAまたはBをパルス信号受信位置のポイントごとに設定して嵩上げ、嵩下げすることにより修正された許容範囲。また、前記許容範囲は、1サイクル分を複数(実施例では8エリア)に区切って監視区域が設定される。そして、該演算処理部9は、不良品判定時に不良品発生と、どの領域で発生したかの出力を出しその不良品の測定値を1ワーク分(1サイクル分)保持して停止し、コンピュータ10へ不良品の測定値を転送後、検査を再開するシングルモードと、不良品の判定出力とどの領域で不良判定が出たかの領域出力を出すが、測定データは保持せずに連続して検査を行うレピートモードとの機能を持っている。そして、不良品を検知した場合、不良品の判定出力によってけり出し装置Bを作動させ不良ICワークをライン外に排出させる。図1において、9aはA/D変換器、9bはインターフェース、9cはI/O、9dは判定器側ソフトおよびアナログ値処理ソフト用のROM、9eは前記上限データ保存回路6と下限データ保存回路7と平均値保存回路8とを備えたRAM、9fは時計、9gはコンピュータ10との通信用接続部、9hは警報ランプが接続されるエリア出力部、9jは測定スタートボタン、9kは測定続行用リセットスイッチである。
【0024】前記コンピュータ10は、標準偏差の算出や演算処理部9における許容範囲の設定、各波形と出荷用ICワークWの測定値波形3a等の表示を行うパーソナルコンピュータであって、本体10aに表示器としてのCRT10bやキーボード等を備えている。前記本体10aは、判定器Aの接続部9gと専用通信線で接続され、演算処理部9に、重ね書きの回数(搬送装置1に通す許容範囲作成用ICワークWの数)を測定回数として設定したり、1個のICリードの測定長さを1サイクル分の測定値個数として設定したり、測定値の取り込みタイミング(実施例では1/500秒毎に1測定)を設定したり、データの取り込み開始はICワークWを通過したのを検知して発信される外部トリガーによって同調するように設定したり、入力信号のスケール(実施例では0〜10Vフルスケール)による分解能(実施例では1/4096)を設定したりする機能を備えている。また、最大値波形6aと最小値波形7aとの範囲が最大に開いている任意ポイントの全測定値による標準偏差σ(全測定値の約7割が含まれる測定値の範囲)を求めたり、その3倍区間(つまり3σ)を演算処理部9の許容範囲として設定したり、最大値波形6aと最小値波形7aと平均値波形8aのいずれかを選んでY=AX+Bの式で嵩上げして上限値を設定し、また嵩下げして下限値を設定する。また、前記いずれかの許容範囲を選定し、その1サイクル分を複数のエリアに区切って所定エリアのみを不良判定エリアに設定したり、1サイクル中に何回上・下限から外れたら不良判定を出すかの回数を設定したり、測定モードをシングルモードまたはレピートモードのいずれかとする機能を備えている。
【0025】次に実施例の作用をフローチャートにより説明する。まず、最大値波形6aと最小値波形7aと平均値波形8aの表示を重ね書きによって行い、ICワークWのリード高さのバラツキと再現性を確認する(図2参照)。コンピュータ10により、重ね書きの回数(装置に通す製品の数)を測定サイクル回数として設定、1個のICワークの全てのリードに亘る測定長さに応じたデータ個数を1サイクル分のデータ個数として設定、データの取り込みタイミングは1/500秒毎に1データを設定、データの取り込み開始は外部からのワーク(IC)通過確認信号による開始に設定、入力信号は0〜10Vフルスケールとし、分解能は1/4096に設定する(ステップ100)。スタートボタン9jをON(ステップ101)することにより搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ102)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認(ステップ103)し、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルスを発信する(ステップ104)。前記パルス信号に同期してレーザー変位センサ3からの変量をアンプ4を介しアナログ量として判定器Aに取り込む(ステップ105)。
【0026】判定器Aの演算処理部9では、上限データ保存回路6における前回サイクルの比較後の保存測定値より今回の測定値が大きいか判断(ステップ106)され、大きい方の測定値(最大値中の最大値)がこの上限データ保存回路6に時系列的に(つまりパルス信号受信位置のポイントごとに)保存される(ステップ107)。また、下限データ保存回路7における前回サイクルの比較後の保存測定値より今回の測定値が小さいか判断され(ステップ108)、小さい方の測定値(最小値中の最小値)がこの下限データ保存回路7に時系列的に保存される(ステップ109)。また、各測定点毎(パルス信号受信位置のポイント毎)の測定値が平均値保存回路8に積算して保存される(ステップ110)。この設定の測定値の個数(1個のICワークWの測定をする1サイクル時間で得られる測定値の個数)まで測定したかが判断され(ステップ111)、完了したら設定の測定回数(測定するICワークWの個数)に達したかが判断され(ステップ112)、設定数に達したら測定が完了される(ステップ113)。この後コンピュータ10に測定値が転送され(ステップ114)、この転送時にステップ110で保存した各々の積算値を測定回数(サイクル回数)で割って各々の平均値が算出され、各平均値がコンピュータ10に転送されると共に平均値保存回路8に保存される(ステップ115)。そしてこれ等の測定値によりコンピュータ10のCRT画面に、ステップ107で集めた最大値ばかりの波形線6aと、ステップ109で集めた最小値ばかりの波形線7aと、ステップ115で求めた平均値ばかりの波形線8aとを3本の色違い線で同時表示させる(図5参照)。尚、この波形は、後日の性能比較のため、記録手段により記録しておいてもよい。各波形線6a、7a、8aは曲線波形となる。
【0027】次に、波形の中の任意のポイントを指定し、そのポイントだけを集めて測定値の分布図や標準偏差σを求める(図3、図5〜図7参照)。ここで、最大値、最小値、平均値および標準偏差σについて例を示して説明する。仮にパルス発信機5から出力されるパルス数が1サイクルに2000個ある場合には図5に示す最大値は2000個となる。また仮に、1サイクルにおける或る時点で発生したパルスに対応する(つまり時系列的に見て同一時刻の)測定値が3000個(この数は全ワーク数の個数である)である場合には、図5に示す最大値はその3000個の中での最大値(最大値中の最大値)である。このことは最小値についても同様である。また、平均値は上記3000個の平均値であり、平均値は最大値、最小値と同様、パルス数に応じて2000個存在する。このようにして求められた最大値、最小値、平均値(平均値は最大値と最小値の中心値ではない)から、適正な測定値分布を想定して標準偏差σを定める。次に、CRTで重ね書きした各波形で測定値のバラツキを知りたいポイントと測定するTCワークWの個数をサイクル回数としてコンピュータで設定する(ステップ200)。スタートボタン9jをON(ステップ201)することにより、搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ202)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認後(ステップ203)、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルス発信する(ステップ204)。また、設定ポイントの測定値を取り込みながらこのパルスがステップ200で設定したポイントにおける必要数に達するまで発信され(ステップ205)、測定値の所定数が保存される(ステップ206)。そして、設定の測定値個数(1個のICワークの測定をする1サイクル時間)まで測定したか確認され(ステップ207)、設定した測定回数(測定するICワークの数)に達するまで測定される(ステップ208)。
【0028】測定回数に達したら測定が終了され(ステップ209)、コンピュータ10に測定値が転送され(ステップ210)、CRT画面上の横軸に各サイクル順に設置したポイントの測定値を表示し(図7参照)、また必要があればCRT画面上で拡大して測定値の確認をする(ステップ211)。そして、1サイクル目から設定サイクル数までの範囲のなかで測定値のバラツキと標準偏差を調べたい範囲を設定し(ステップ212)、設定したサイクル数の各サイクル中で、指定ポイントP(図5参照)の測定値ばかり集めて、標準偏差σとバラツキをグラフに出す(ステップ213)。ステップ212で標準偏差を調べたい範囲を設定するのは異常な測定値を排除して妥当な標準偏差を得るためである。
【0029】次に、前記測定値の重ね書きと、バラツキ、標準偏差σをもとに平均値波形8aを3σだけ嵩上げ嵩下げして上限、下限の線を引き、良品と不良品の判定を行わせる(図6、図8、図9参照)。なお、上限値は各パルスに対応する許容範囲の上限値である。たとえば1サイクルで2000個のパルスが発生するとすれば、2000個の上限値が存在する。上限値波形とはその2000個の上限値を直線で結んで波形化したものである。また、最大値とは、全ワーク数を3000個とした場合、或るパルスに対応する(つまり時系列的に同一時刻、換言すればワーク上での同一位置)3000個の中の最大値(最大値中の最大値)である。まず、コンピュータ10で次の許容範囲のうちいずれかの設定を行う。最大値波形6aと最小値波形7aとによる許容範囲、またはCRT画面上に最大値波形と最小値波形と平均値波形を描かせ3本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線を修正関数Y=AX+Bの式でかさ上げして上限を設け、若しくは最大値波形と平均値波形の2本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線を修正関数Y=AX+Bの式でかさ下げして上限を設け、同じく最大値波形と最小値波形と平均値波形のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線をY=AX+Bの式でかさ下げし下限を設け、若しくは最小値波形と平均値波形の2本の波形線のどれか1本を選んで、自動的に選んだ線をY=AX+Bの式でかさ上げして下限を設けて許容範囲を設定。または前記標準偏差σの3倍区間を設けて許容範囲を設定。または前記標準偏差σの2倍区間を設けて許容範囲を設定。上限・下限値で良品・不良品の判定の必要の無い部分、又は、より厳しく判定をする必要の無い部分は、領域を設定してマニュアルにて、点を打ち折れ線にて上限・下限を設けて許容範囲を設定。不良判定時のワークのデータを保持する必要が有れば、シングル・モードに設定。不良判定時のデータが必要なければ、レピート・モードに設定。測定領域を均等でも不均等でも最大8分割までの領域出力の分割線を引き設定。1サイクル中に何回上・下限から外れたら不良判定をだすかの回数設定(ステップ300)。ステップボタン9jをON(ステップ301)して、判定器Aが良品不良品の判定可能な状態になっているのを確認後(ステップ302)、搬送装置1にICワークWが1個ずつ搬送開始される(ステップ303)。信号発信機2がICワークWの通過を検知して発信した外部トリガー信号が入力されたのを確認後(ステップ304)、パルス発信機5がICワークWの移動距離20μm毎に1パルス発信する(ステップ305)。前記パルス信号に同期してレーザー変位センサ3からの変量をアンプ4を介してアナログ量として判定器Aに取り込む(ステップ306)。前に設定した領域に入ったら領域判断の出力を出させる(ステップ307)。そして、測定値が演算処理部9で設定した上限値と下限値の間に入っているか判断し(ステップ308)、入っていない場合は設定したアラーム回数に達したとき(ステップ309)、不良品発生信号と発生領域判別信号を出力させ(ステップ310)、不良品のけり出し、またはマーキングを行う(ステップ311)。
【0032】また、寸法の許容範囲となる上限値と下限値を、測定値のバラツキのひどい部分や上下に広く膨らんだ部分、あるいは寸法の最重要と思われる部分等の標準偏差算出位置を任意に定めて求めた標準偏差によって設定できるため、ICワーク全体に係る寸法を合理的な許容範囲にすることにより検査することができる。また、寸法検査に用いる波形は、取り込んだ測定値の最大値波形や最小値波形をY=AX+Bで修正した上限値波形、下限値波形、あるいは任意のポイントの標準偏差σで平均値波形8aを上下に2σあるいは3σ分移動させることで形成した上限値波形や下限値波形等、あるいはそれ等を組み合わせた上限値波形、下限値波形を使用できるのでワークにマッチした寸法検査をすることができる。この場合、不良率をあらかじめ設定できるので、品質管理をより自在に行うことができる。また、波形の中に平均値による波形を表示してみることにより、ワークの寸法の片寄り具合が判るし、また同一モデルを測定してみることにより検査装置自体の変化も見つけ出すことができる。
【0033】また、不良監視エリアを設定することによりどのエリアで不良が発生したか直ちに判別することができる。また、シングルモードの場合、大量に検査する中でいつ発生するか判らない不良品のデータを直ちに検討することができる。
【0034】以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、実施例では、検査ワークはICワークにより説明したが、これに限らず、他の電子部品やメカ部品、容器内の部品や収容物の寸法や嵩高、加工中の物品の寸法や形状、等任意に選定することができる。
【0035】また、実施例では、搬送装置はICワークを一方向に水平移動させるもので説明したが、これに限らず、搬送途中で水平方向に回転する反転機構を設けてもよい。この場合はレーザー変位センサ3を増やす等して四方にリードが設けられたICも簡単に検査することができる。また、搬送装置はワークの形状にマッチしたものを複数用意しておき、カセット式に入替えるようにしてもよい。
【0036】また、実施例では、コンピュータ10は表示用CRT10bを備えたもので説明したが、これに限らず、いずれか一方が判定器A内に組み込まれていてもよい。
【0037】また、測定値を同調(同期)させるパルスは判定器の時計9fから取り出してもよい。
【0038】またトリガー信号は外部トリガーを利用したが、これに限らず、取り込んだアナログ値の変化を内部トリガーとして使用するようにしてもよい。また、外部トリガーと内部トリガーを組合せることもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明のワークの寸法検査装置にあっては、出荷用ワークと同等品のワークを計測し、その測定値を時系列的に重ね書きしてパターン化した波形と比較して出荷用ワークの寸法検査をするようにしたので、従来の精密な位置決め装置を設けたり、常に零点調整を厳しくしないでも測定値を常に同一状態で取り込んで正確な寸法検査をすることができる。また、そのため、検査装置を低コストで製造することができる。また、ワークは移動させながら計測するので、ライン途中に組み込んでライン搬送中に計測して検査することができる。また、許容範囲は取り込んだ測定値によりパターン化するので、検査面に凹凸があったり、曲面があっても簡単に検査することができる。また、過去の判定用波形と現在の判定用波形を比較することにより、検査装置全体の変化の具合や修理後の復旧の度合いが判明する。
【0040】また、許容範囲の上限と下限は、任意に定めたポイントの標準偏差σで平均値波形を嵩上げ嵩下げして設定したり、全体を修正関数によって嵩上げや嵩下げができるため、ワーク全体に係る寸法を合理的な許容範囲にして検査することができる。また、測定値における最大値のみによる最大値波形や最小値のみによる最小値波形、あるいは平均値等いずれも寸法検査に使用できるので、それ等を適宜選定使用することにより、ワークにマッチした検査を合理的に行うことができる。また、不良品の発生率をあらかじめ設定することにより、品質管理を自在に行うことができる。
【0041】また、不良品発生時それまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるようにしたので、いつ発生するか判らない不良品のデータを直ちに分析することができる。
【0042】また、不良監視エリアを設定することによりどのエリアで不良が発生したか直ちに判別でき、不良品のデータを直ちに検討することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICワークの寸法検査装置を示す説明図である。
【図2】許容範囲の最大値と最小値を求めるフローチャートである。
【図3】測定範囲にポイントを定め、そのポイントにおける全測定値の標準偏差を求めるフローチャートである。
【図4】出荷用ワークの寸法検査を示すフローチャートである。
【図5】最大値と最小値および平均値のパターン図である。
【図6】ポイントPの標準偏差により求めた上限値と下限値によるパターン図である。
【図7】ポイントPにおける測定値のバラツキを示す説明図である。
【図8】出荷用ICワークの測定値を重ね書きしたパターン図である。
【図9】測定部分の良否を示す説明図である。
【図10】最大値を嵩上げし最小値を嵩下げして形成した許容範囲を示すパターン図である。
【符号の説明】
A 判定器
1 搬送装置(定速度搬送手段)
2 信号発信機(トリガー信号発生手段)
3 レーザー変位センサ(計測手段)
4 アンプ(計測手段)
5 パルス発信機(パルス発生手段)
6 上限データ保存回路
7 下限データ保存回路
8 平均値保存回路
9 演算処理部
10 パーソナルコンピュータ(コンピュータ)
10b CRT(表示器)
P 標準偏差を求めるポイント
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワークの定速度搬送手段と;
計測センサからワークの測定位置までの距離を該ワークが一方向へ移動中に連続的に測定して測定値をアナログ信号として出力する計測手段と;
ワークの通過を検知してトリガー信号により前記計測手段の測定値の取り込みを開始させるトリガー信号発生手段と;
ワークの移動に同期してパルス信号を出すパルス信号発生手段と;
前記パルス信号と同時に取り込んだ1サイクル分の測定値を保存すると共に該パルス信号が時系列的に一致するワーク全数分の測定値によって算出された平均値を1サイクル分時系列的に保存する平均値保存回路と;
前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最大値と比較して最大値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最大値を最大値中の最大値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩上げして設定された上限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩上げ嵩下げして若しくは最小値を嵩上げして設定された上限値を保存する上限データ保存回路と;
前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最小値と比較して最小値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最小値を最小値中の最小値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩下げして設定された下限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩下げして若しくは最小値を嵩上げ嵩下げして設定された下限値を保存する下限データ保存回路と;
前記上限値を越えたとき又は前記下限値を下回ったときに不良信号を出す演算処理部と;
前記演算処理部におけるワークの測定個数、測定時間、測定回数の設定と、前記ワークの任意の測定ポイントにおける全測定値によって求めた標準偏差を嵩上げと嵩下げする範囲の設定と、前記最大値波形と最小値波形または前記平均値による平均値波形とを修正する修正関数の設定と、前記許容範囲の設定および前記許容範囲と測定値の波形の表示とを行うコンピュータと;を備えたことを特徴とするワークの寸法検査装置。
【請求項2】 前記演算処理部において測定値が許容範囲を外れたとき、該演算処理部がそれまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるシングルモードを有することを特徴とする請求項1記載のワークの寸法検査装置。
【請求項3】 前記演算処理部の1サイクル分の比較エリアが複数のエリアに区分されると共に測定値がエリアの許容範囲を外れたとき不良信号を出すように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のワークの寸法検査装置。
【請求項1】 ワークの定速度搬送手段と;
計測センサからワークの測定位置までの距離を該ワークが一方向へ移動中に連続的に測定して測定値をアナログ信号として出力する計測手段と;
ワークの通過を検知してトリガー信号により前記計測手段の測定値の取り込みを開始させるトリガー信号発生手段と;
ワークの移動に同期してパルス信号を出すパルス信号発生手段と;
前記パルス信号と同時に取り込んだ1サイクル分の測定値を保存すると共に該パルス信号が時系列的に一致するワーク全数分の測定値によって算出された平均値を1サイクル分時系列的に保存する平均値保存回路と;
前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最大値と比較して最大値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最大値を最大値中の最大値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩上げして設定された上限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩上げ嵩下げして若しくは最小値を嵩上げして設定された上限値を保存する上限データ保存回路と;
前記パルス信号と同期させた測定値のうち前回サイクルまでの最小値と比較して最小値のみを時系列的に取り込んだ1サイクル中のパルス毎の最小値を最小値中の最小値として保存すると共に、ワークの任意の測定ポイントにおける標準偏差によって前記1サイクル中のパルス毎の平均値を嵩下げして設定された下限値を保存し、また修正関数によって最大値を嵩下げして若しくは最小値を嵩上げ嵩下げして設定された下限値を保存する下限データ保存回路と;
前記上限値を越えたとき又は前記下限値を下回ったときに不良信号を出す演算処理部と;
前記演算処理部におけるワークの測定個数、測定時間、測定回数の設定と、前記ワークの任意の測定ポイントにおける全測定値によって求めた標準偏差を嵩上げと嵩下げする範囲の設定と、前記最大値波形と最小値波形または前記平均値による平均値波形とを修正する修正関数の設定と、前記許容範囲の設定および前記許容範囲と測定値の波形の表示とを行うコンピュータと;を備えたことを特徴とするワークの寸法検査装置。
【請求項2】 前記演算処理部において測定値が許容範囲を外れたとき、該演算処理部がそれまで取り込んだ測定値を保留して測定を停止させるシングルモードを有することを特徴とする請求項1記載のワークの寸法検査装置。
【請求項3】 前記演算処理部の1サイクル分の比較エリアが複数のエリアに区分されると共に測定値がエリアの許容範囲を外れたとき不良信号を出すように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のワークの寸法検査装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【特許番号】第2769750号
【登録日】平成10年(1998)4月17日
【発行日】平成10年(1998)6月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−122296
【出願日】平成3年(1991)4月23日
【公開番号】特開平4−323512
【公開日】平成4年(1992)11月12日
【審査請求日】平成6年(1994)4月15日
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【復代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 定昭 (外4名)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−273407(JP,A)
【文献】特開 平1−105175(JP,A)
【登録日】平成10年(1998)4月17日
【発行日】平成10年(1998)6月25日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)4月23日
【公開番号】特開平4−323512
【公開日】平成4年(1992)11月12日
【審査請求日】平成6年(1994)4月15日
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【復代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 定昭 (外4名)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−273407(JP,A)
【文献】特開 平1−105175(JP,A)
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