説明

ワークフロー処理のためのシステム及び方法

ワークフローを処理するためのシステム及び方法が開示される。特定の実施形態は、ワークフローへの事前選別データの挿入を可能にする。事前選別データに対するユーザの解釈は、事前に得られた特性と比較することができ、これは、ユーザの解釈的出力の監視及び改善を可能にする。開示されるシステム及び方法は、ワークフローにおける訓練、パフォーマンス解析、プロセス改善、並びにデータ解析及びデータマイニングを含むがこれらに限定されない応用を有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
仮特許出願でない本通常出願は、2007年12月27日出願の仮特許出願第61/016,892号の優先日を主張する。該仮特許出願のP1〜15及び図1〜4は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
<分野>
本開示は、総じて、ワークフローに関するものであり、特に、ワークフローの訓練システム又は品質管理システムに関するものである。
【0003】
<関連する技術の説明>
多くの種類の産業、事業、及び応用は、局、部、被雇用者、個人、又は個人のグループに出入りする作業又はデータの流れ、進行、速度、又は量(「ワークフロー」)を管理するソフトウェアシステムを使用する。病院などの医療サービス提供者は、管理データ、財務データ、医療データ、及び/若しくは研究データを管理するために臨床情報システム(CIS)並びに/又は病院情報システム(HIS)などのワークフローシステムを使用し、患者の放射線データ及び放射線画像を格納、操作、及び分配するために放射線医学情報システム(RIS)などのワークフローシステムを使用し、ワークフローの医用画像撮影の側面を管理するために画像保管通信システム(PACS)などのワークフローシステムを使用する。
【0004】
ワークフローは、生産性を高めるために使用することができる。例えば、一次診療医は、診断を促進するために、病気の患者に医用画像の撮影を勧めることがある。MRIによって画像が取得され、その画像はPACSサーバに送信される。MRIをもとに診断を行うことを専門とする臨床医は、PACSシステムに格納された病気の患者の画像に、診断審査ワークステーションを通じてアクセスすることができる。臨床医は、画像を評価し、その画像に基づいて診断を行い、正常診断又は異常診断をワークステーションのインターフェースに入力する。病気の患者の診断は、CISに伝送される。一次診療医は、のちにCISに対して照会を行い、診断臨床医による診断を見ることができる。一次診療医は、この診断を患者に提示する。画像を判定して診断を行う行為が、一次診療医から診断臨床医に移されるので、一次診療医は、他の患者を診察する時間が増える。更に、診断臨床医は、患者を診察する必要なく大量の画像を連続して効率良く審査することができる。PACSは、したがって、一次診療医の生産性及び診断臨床医の生産性の両方を向上させる。
【0005】
CIS、HIS、RIS、PACSその他のワークフローは、生産性を高め、データを効率良く格納及び提示することができるが、これらのワークフローには、重大な欠点がある。上述された診断臨床医のワークフローなどの一連のワークフローは、通常、圧倒的多数の正常データと、ごく僅かな割合の異常データとを提示する。これは、特に、ワークフローが急速度で提示される場合に、ワークフローにおいて異常データを過小識別する傾向を生じる。例えば、診断臨床医は、PACSを使用して、数多くの放射線画像を審査して健康状態を診断することができる。診断臨床医に提示される画像の大半は、正常な結果を示す。通常は、少数の画像のみが異常を含む。しかしながら、数多くの正常データを審査した後に、診断臨床医は、退屈する、無関心になる、又は疲労する可能性があり、僅かな異常及びことによると驚くべき異常をも過小診断、過剰診断、又は誤診しやすくなる恐れがある。
【0006】
<概要>
ワークフローを処理するためのシステム及び方法が開示される。特定の実施形態は、ワークフローへの事前選別データの挿入を可能にする。事前選別データに対するユーザの解釈は、事前に得られた特性と比較することができ、これは、ユーザの解釈的出力の監視及び改善を可能にする。
【0007】
医用画像ファイルを処理するためのシステムが提供される。システムは、以下の構成要素、すなわち非選別ファイルモジュール、事前選別ファイルデータモジュール、分配モジュール、少なくとも1つのワークステーション、比較モジュール、フィードバックモジュール、クローキング(cloaking、覆い隠す)モジュール、診断出力モジュール、フィードバックモジュール、警告モジュール、及びシステム監視モジュールの、一部又は全部を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、システムは、非選別ファイルデータ構造、事前選別ファイルデータ構造、分配モジュール、少なくとも1つのワークステーション、比較モジュール、及びフィードバックモジュールを含む。少なくとも1つの実施形態では、システムは、非選別ファイルデータ構造、分配モジュール、少なくとも1つのワークステーション、及び診断出力モジュールを含む。
【0008】
非選別データ構造は、少なくとも1つの撮像モダリティ(医用画像の撮影手段)によって作成される非選別医用画像ファイルにアクセスするように構成することができる。事前選別データ構造は、事前選別医用画像ファイルにアクセスするように構成することができる。事前選別データ構造は、事前選別医用画像ファイルの各々についての関連の診断にアクセスするように構成することができる。
【0009】
分配モジュールは、以下の構成要素、すなわち選択プロセッサ、ワークフローキュー生成プロセッサ、伝送プロセッサ、分配監視プロセッサ、及び分配オーバーライド(override、解除または無視)プロセッサの、一部又は全部を含むことができる。例えば、分配モジュールは、選択プロセッサ及び伝送プロセッサを含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、分配モジュールは、選択プロセッサ、ワークフローキュー生成プロセッサ、及び伝送プロセッサを含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、分配モジュールは、更に、分配監視プロセッサ及び分配オーバーライドプロセッサを含むことができる。
【0010】
選択プロセッサは、事前選別ファイルデータ構造から1つ又は2つ以上の医用画像ファイルを選択するように構成することができる。選択プロセッサは、非選別データ構造から1つ又は2つ以上の医用画像ファイルを選択するように構成することができる。選択プロセッサは、事前選別ファイルデータ構造及び非選別ファイルデータ構造から複数の医用画像ファイルを選択するように構成することができる。ワークフローキュー生成プロセッサは、ワークフローキューを生成するように構成することができる。ワークフローキューは、医用画像ファイルの選択を含むことができる。伝送プロセッサは、ワークフローキューを伝送するように構成することができる。伝送プロセッサは、医用画像ファイルの選択を伝送するように構成することができる。分配監視プロセッサは、事前選択医用画像ファイルの受信を監視するように構成することができる。
【0011】
分配オーバーライドプロセッサは、分配監視プロセッサ又は選択プロセッサと通信していてよい。一部の実施形態では、分配オーバーライドプロセッサは、分配監視プロセッサ及び選択プロセッサと通信していてよい。分配オーバーライドプロセッサは、分配監視プロセッサが事前選別医用画像ファイルの受信が緊急状態を意味する閾値を超えることを示しているときに、又は総合点数(後述される)が緊急状態を意味する閾値を超えているときに、選択プロセッサが事前選別ファイルモジュールから選択することを阻むように構成することができる。ここでは、その他のオーバーライド条件の使用も適している。
【0012】
ワークステーションは、以下の構成要素、すなわち受信プロセッサ、ユーザ入力、及びユーザディスプレイの、一部又は全部を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、ワークステーションは、前述の構成要素の全てを含む。受信プロセッサは、分配モジュールからワークフローキューを受信するように構成することができる。受信プロセッサは、分配モジュールから医用画像の選択を受信するように構成することができる。ユーザディスプレイは、ワークフローキュー内の又は医用画像ファイルの選択内の医用画像ファイルを表示するように構成することができる。ユーザディスプレイは、医用画像ファイルを連続的に表示するように構成することができる。ユーザ入力は、ユーザディスプレイに表示されている医用画像ファイルに関連付けられたユーザ診断を受信するように構成することができる。ワークステーションは、ユーザ入力を通じて電子タグデータを受信するように構成することができる。電子タグデータの例は、例えば、ブールデータ、バイナリデータ、ASCIIデータなどである。ワークステーションは、電子タグデータを、ユーザディスプレイに表示されている医用画像ファイルに関連付けるように構成することができる。
【0013】
一部の実施形態では、システムは、中央リポジトリを含むことができる。中央リポジトリは、事前選別データのソースであってよい。一部の実施形態では、事前選別ファイルデータ構造は、中央リポジトリ内の医用画像ファイルにアクセスするように構成される。中央リポジトリは、上述された電子タグデータに関連付けられた医用画像ファイルを受信するように構成することができる。
【0014】
比較モジュールは、少なくとも1つのワークステーションからユーザ診断を受信するように構成することができる。比較モジュールは、ユーザ診断が事前選別医用画像ファイルに関連付けられているかどうかを判断するように構成することができる。比較モジュールは、ユーザ診断が事前選別医用画像ファイルに関連付けられている場合に、比較データを生成することができる。一部の実施形態では、比較データは、ユーザ診断を関連の診断と比較することによって生成することができる。
【0015】
フィードバックモジュールは、比較モジュールから比較データを受信するように構成することができる。フィードバックモジュールは、比較データをワークステーションのユーザディスプレイに伝送するように構成することができる。
【0016】
クローキングモジュールは、事前選別医用画像ファイルに関連付けられた起点データを変更するように構成することができる。例えば、起点データは、事前選別医用画像ファイルが上記少なくとも1つのモダリティから発しているように見えるように、変更することができる。
【0017】
診断出力モジュールは、少なくとも1つのワークステーションからユーザ診断を受信するように構成することができる。診断出力モジュールは、ユーザ診断のテキスト評価に基づいて点数を生成することができる。診断出力モジュールは、点数を、ユーザディスプレイに表示されている医用画像ファイルに関連付けることができる。
【0018】
フィードバックモジュールは、ユーザディスプレイに表示されている医用画像ファイルなどの特定の医用画像ファイルにリンクしている医師からテキストコメントを受信するように構成することができる。医師は、例えば、医用画像ファイルのヘッダに埋め込まれたデータ、又はメタデータを使用して、その医用画像ファイルにリンクしていてよい。別の例として、医師は、データベーステーブルによって医用画像ファイルに関係していてよい。フィードバックモジュールは、ユーザディスプレイにテキストコメントデータを表示するように構成することができる。
【0019】
警告モジュールは、診断出力モジュールから点数を受信するように構成することができる。警告プロセスは、点数が閾値を超えて深刻な医学的状態を示している場合に、関連の医用画像ファイルにリンクしている医師に警告を送るように構成することができる。
【0020】
システム監視モジュールは、診断出力モジュールから受信される点数によって総合点数を生成するように構成することができる。総合点数は、オーバーライド条件をトリガするために使用することができる。総合点数は、ユーザに分配される事前選別ファイルの量を調整するために使用することができる。例えば、ワークフローキュー内の非選別医用画像ファイル対事前選別医用画像ファイルの割合は、総合点数に依存していてよい。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、ワークフローを処理するための方法が提供される。各種の実施形態では、少なくとも1つのモダリティによって生産され、事前に特性化されていない生産ワークフローデータが、ファイルキューに挿入される。事前に特性化され、先の特性を含む事前選別データも、ファイルキューに挿入される。ファイルキューは、解釈のために伝送される。ファイルキューに含まれるデータについて受信された解釈は、評価される。少なくとも一部には評価に基づいて、ファイルキューに挿入される事前選別データの量が調整される。
【0022】
別の実施形態では、事前選別データを少なくとも1つのモダリティによって生産されたように見せるために、事前選別データの識別情報は、事前選別データがファイルキューに挿入される前に変更される。変更は、中央集中的に又はローカルに実施されてよい。
【0023】
別の実施形態では、解釈済み生産ワークフローデータの少なくとも一部が、事前選別データとして再利用されてよい。生産ワークフローデータの一部の解釈は、審査及び特性化を経ているであろう。一部のデータは、事前選別データとして再利用されてよい。
【0024】
別の実施形態では、キューに含まれるデータについての解釈の評価は、事前選別データの解釈を先の特性と比較することを含む。ファイルキューに挿入される事前選別データの量は、少なくとも一部には、比較の結果に基づいて調整されてよい。例えば、ファイルキューに挿入される事前選別データの量は、比較の結果が上出来でない場合に増加されてよい。また、比較の結果は、ユーザへ伝達されてよい。
【0025】
別の実施形態では、キューに含まれるデータについての受信された解釈の評価は、生産ワークフローデータの特性の複雑性に基づいて点数を割り振ることを含み、点数は、少なくとも一部には、複雑性に比例している。ファイルキューに挿入される事前選別データの量の調整は、少なくとも一部には、先のワーク生産出力に割り振られた点数に反比例してよい。
【0026】
別の実施形態では、キューに含まれるデータについての受信された解釈の評価は、ワークフローのデータ解析能力及びデータマイニング能力の使用を強化することを可能にするであろう。データ解析及びデータマイニングは、ユーザの正確さ及び効率を向上させる、予測する、又は予想するために使用されてよい。
【0027】
別の実施形態では、ファイルキューに含まれるデータについての受信された解釈の少なくとも一部は、「未知」として、すなわちユーザがその解釈について不確かであるデータとして、マークを付けられてよい。「未知」としてマークを付けられたデータの少なくとも一部は、ファイルキューに再び挿入されてよく、同じ又は別のユーザによって再び解釈を試みるために伝送されてよい。
【0028】
実施形態、及び先行技術に優って達成される利点の概要を述べる目的で、本明細書にお
いて、特定の項目及び利点が説明される。もちろん、このような項目又は利点は、どの特定の実施形態にしたがう場合でも必ずしも全てを達成可能であるとは限らないことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者ならば、本発明が、本明細書において教示される又は示唆される1つ又は一群の利点を本明細書における教示又は示唆が可能なその他の利点を必ずしも達成することなく達成する又は最適化する方式で、具現化又は実施することが可能であることがわかる。本明細書において説明される流れ図は、一定の工程順序を意味するのではなく、発明の実施形態は、実施可能なあらゆる順序で実施することが可能である。
【0029】
次に、開示されるシステム及び方法の様々な特徴を実現する全体構造が、図面を参照にして説明される。図面及びそれらに関連した説明は、開示の範囲を限定するためではなく実施形態を説明するために提供されたものである。全図面を通して、参照符号は、参照される要素間の対応関係を示すために再使用される。また、各参照符号の頭の数字は、その要素が最初に出現する図面を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ワークフローシステムを示したブロック図である。
【図2】非選別データのソースを示している。
【図3】ワークフローへの事前選別データの挿入を示している。
【図4】ワークフロー分配モジュールの動作を示している。
【図5】事前選別データを含むファイルキューの処理を示している。
【図6A】事前選別データの解釈についての通知を提供することを示している。
【図6B】事前選別データの解釈についての通知を提供することを示している。
【図7】ワークフローへの中央リポジトリの統合を示したブロック図である。
【図8】ワークフローへの中央リポジトリの統合を示したブロック図である。
【図9A】合意的診断又は協調的診断を促進するために中央リポジトリを使用することを示している。
【図9B】合意的診断又は協調的診断を促進するために中央リポジトリを使用することを示している。
【図10】ユーザへのフィードバックの提供を示している。
【0031】
<詳細な説明>
次に、以下に概要を述べられる図面を参照にして、これらの及びその他の特徴が説明される。これらの図面及び関連の説明は、発明の範囲を限定するためではなく発明の好ましい実施形態を説明するために提供される。
【0032】
本明細書において開示される各種の実施形態では、ワークフローへの事前選別データの挿入を可能にするためのシステム及び方法が提供される。「事前選別」は、広義であり、当業者にとって馴染みのある通常の意味を与えられる(すなわち、特別な又は専用の意味に限定されない)。データは、のちの解釈のためにワークフローに意図的に挿入される前に審査され特定の特性を有するものとして識別された場合に、事前選別されたと見なすことができる。事前選別データに対するユーザの解釈は、正しい解釈と比較することができる。開示されるシステム及び方法は、ワークフローにおける訓練、パフォーマンス解析、プロセス改善、並びにデータ解析及びデータマイニングを含むがこれらに限定されない応用を有する。
【0033】
上で説明されたように、ユーザは、ワークフローにおいて提示されるデータを正確に処理することが望ましい。しかしながら、ワークフローは、通常、圧倒的多数の正常データと、ごく僅かな割合の異常データとを提示する。特に、ワークフローが急速度で提示される場合は、ユーザは、数多くの正常データを審査した後に、退屈する、無関心になる、又
は疲労する可能性があり、ワークフローにおいて提示される僅かな異常及びことによると驚くべき異常をも過小解釈、過剰解釈、又は誤解しやすくなる恐れがある。各種の実施形態は、ワークフロー処理はワークフローへの事前選別データの挿入によって改善することができる、という認識を持っている。事前選別データに対するユーザの解釈は、正しい解釈と比較することができ、これは、ユーザの解釈的出力の監視及び改善を可能にする。
【0034】
本明細書において説明される構成要素の相互接続には、多くのタイプのデータネットワーク接続が適している。適切なデータネットワーク接続は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)接続、広域ネットワーク(WAN)接続、ワイヤレスローカルエリア接続(WLAN)、インターネット、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続、セキュアソケットレイヤ(SSL)接続などであってよい。また、データネットワーク接続は、キーボードとコンピュータとの間の電子接続、メディアリーダとコンピュータとの間の電子接続、コンピュータのハードウェアコンポーネント間の電子接続(例えばハードドライブとモジュールとの間のバス接続)などであってよい。本説明において使用される「伝送する」、「伝達する」、「送信する」などの表現は、適切なデータネットワーク接続を通じてデータを送ることを意味する。
【0035】
開示に対する更に詳細な理解のために、先ず、少なくとも1つの実施形態にしたがってワークフローシステムを示した図1が参照される。システムは、事前選別データ103のソースと、随意的に、非選別データ106のソースとを含む。事前選別データ103及び非選別データ106は、サーバ109を通じて少なくとも1つのユーザワークステーション115に伝送することができる。ワークステーション115において処理されたデータは、データが更なる評価を必要とするかどうかを判断するために、随意的に判定モジュール124に伝送することができる。その後、データは、出力127及び/又はデータ評価130モジュールに伝送することができる。
【0036】
先だって論じられたように、「事前選別」は、データがユーザによるのちの審査のために意図的に挿入される前に、そのデータの特定の特性を識別することを意味することができる。反対に、非選別データ106は、事前に特性化されていないデータである。「非選別」もやはり、広義であり、当業者にとって馴染みのある通常の意味を与えられる(すなわち、特別な又は専用の意味に限定されない)。非選別データ106の一例は、生産ワークフローデータである。
【0037】
事前選別は、多くの形態をとることができる。例えば、事前選別は、正常、異常、癌状態、前癌状態、良性、未知、又は不確定などの、ピアレビューによる患者の医用画像ファイルに対する合意的診断であってよい。事前選別は、常閉接点やパターンリフティングなどの、フォトリソグラフィ処理後の半導体ウエハに対する技術者による処置であってよい。事前選別は、安全又は非安全などの、手荷物X線の評価であってよい。事前選別は、具体的なワークフローに応じて、「パーツを交換するべからず」、「現行温度を維持せよ」、「90度左に回転させよ」、「ここでサンプルを収集するべからず」などの、行為の推奨であってよい。事前選別は、数値、テキスト、バイナリ値、ブール値などであってよい。
【0038】
事前選別データ103は、非選別データ106とともにサーバ109に伝送することができる。一部の実施形態では、サーバ109は、中央PACSサーバであってよい。中央PACSサーバは、データネットワーク接続を通じて非選別及び事前選別のDICOMファイルを取得することができる。実体からファイルを取得することができるその他のタイプのサーバも、適している。例えば、サーバは、各種のネットワーク接続を通じて複数のセンサに関連付けられた複数のサブコンピュータからセンサデータを取得する、航空機上の中央コンピュータであってよい。サーバは、分配モジュール112を含むことができる
。分配モジュール112は、事前選別データ103及び非選別データ106を1つ又は2つ以上のユーザワークステーション115に分配するように構成することができる。
【0039】
ワークステーション115は、データディスプレイ118を含み、ユーザによるデータ審査を可能にしてよい。ワークステーション115は、また、ユーザ入力121を含み、ユーザによるデータ解釈の入力を可能にしてよい。
【0040】
ユーザは、DICOMファイルを審査する解釈専門の放射線科医又は心臓医などの医師であってよい。しかしながら、ユーザは、事業実体、半導体プロセスの技術者、手荷物検査官、製造テストの診断医、パイロットなどであってよい。図1を参照にして上で言及されたように、ワークステーションは、解釈のためにデータを提示するように構成されたデータディスプレイと、データの解釈を受信するように構成されたユーザ入力とを含んでよい。
【0041】
ユーザ入力121に入力された解釈は、随意的に、判定モジュール124に伝送することができる。判定モジュール124は、評価されたワークフローデータが事前選別又は非選別のいずれのワークフローデータであったかを判断してよい。ワークフローデータが事前選別されている場合は、以下で更に詳しく説明されるように、解釈は、データ評価モジュール130に伝送されてよい。ワークフローデータが選別されていない場合は、解釈は、システム出力127に送信されてよい。しかしながら、以下で更に詳しく説明されるように、判定モジュール124は、その他のデータ特性を評価することもできる。
【0042】
システム出力127は、ワークフローデータに対するユーザの解釈を受信する任意の実体、サーバ、コンピュータデバイス、コンピュータデバイスのネットワーク、ストレージシステム(例えばバックアップシステム又はデータベース)、ディスプレイシステム(例えばモニタ又はプリンタ)、ワークフローなどであってよい。システム出力は、同じワークフロー内又は異なるワークフロー内にあってよい。システム出力としては、多くのタイプの構成が適している。例えば、システム出力は、医療サービス提供者または医療サービス提供者集団のためのCISであってよい。この例では、CISは、ユーザ(例えば臨床医又は放射線科医)ワークステーションからの、生産ワークフロー医用画像に基づく診断を受信することができ、診断は、次いで、医師(例えば治療を行う医師)によって検査される。別の例として、システム出力は、特定のフライト機器を管理する航空機搭載のコンピュータであってよい。搭載コンピュータは、パイロットがキーパッドを通じて又は言語解釈ユニットを通じて伝達する特定のセンサ信号に対するパイロットの解釈を受信することができる。
【0043】
図2は、例えば生産ワークフローデータなどの非選別データ103のソースを示している。実体A 203及び実体B 206は、それぞれ、ワークフローデータを生成する複数のモダリティを含む。実体C 209は、1つのモダリティを含む。モダリティは、データネットワーク接続、電子接続、仮想接続などの適切な接続を通じて実体に関連付けられてよい。実体203、206、209は、データネットワーク接続212、215、218を通じて随意の非選別データコーディネータ221(図3に関連して更に詳しく論じられる)に生産ワークフローデータを伝送してよい。
【0044】
図2に示された実体(実体A 203、実体B 206、及び実体C 209)は、病院、診療所、画像撮影施設、医務局、医師などの医療サービス実体であってよい。実体は、また、法人、空港ターミナル、半導体製造研究所、組立ライン、事業単位、コンピュータのネットワーク、1台のコンピュータなどであってもよい。
【0045】
一部の実施形態では、実体は、モダリティから受信されたデータを処理する。例えば、
実体は、モダリティから受信されたデータをフォーマットする、修正する、圧縮する、削除する、及び/又は格納することができる。一部の実施形態では、実体は、モダリティから受信されたデータを処理しない。例えば、実体は、モダリティから受信されたデータを、そのデータに対してその他のどんな処理も実施することなく伝送する「仮想実体」であってよい。
【0046】
モダリティは、CTスキャナ、MRIスキャナ、X線スキャナ、DCR、マンモグラフィ装置、蛍光透視装置などの、DICOMファイルを生成する医用画像撮影装置であってよい。モダリティは、ビデオカメラ、ウエハプローブ、サーモカップル、又は光センサ、速度センサ、電圧センサ、若しくは高度センサなどのセンサであってよい。モダリティは、コンピュータ可読媒体に格納された電子ファイルを読み取るZIP、フロッピィ、CD、DVD、又はその他のコンピュータドライブなどのメディアリーダであってよい。別の例として、モダリティは、ファイルに情報を入力するためのキーパッドであってよい。
【0047】
モダリティは、生産ワークフローデータなどの「非選別」データを作成する。非選別データは、ユーザによるのちの審査のためにワークフローに挿入される前に、特定の特性を有するものとして識別されていないデータである。例えば、DICOMファイルは、そのファイルに埋め込まれた画像が診断臨床医による審査をまだ経ていない場合に、非選別であると見なすことができる。パターン形成された半導体ウエハは、そのウエハがまだパターン欠陥の識別及び/又は特性化のための技術者による審査を経ていない場合に、非選別であると見なすことができる。手荷物は、その手荷物がまだ評価のためにTSA探知機に通されていない場合に、非選別であると見なすことができる。
【0048】
ワークフローデータ(すなわち非選別データ及び/又は事前選別データ)は、画像ファイル、音声ファイル、又はフォーマットされたテキストファイルなどの、バイナリフォーマットファイルであってよい。例えば、一部の実施形態では、データは、DICOMフォーマットファイルである。DICOM(医用におけるデジタル画像と通信、Digital Imaging and Communications in Medicine)ファイルは、医療検査画像はもちろん、ファイルヘッダ内に、患者の人口統計学的データ、患者の名前、患者の年齢、検査番号、検査モダリティ、検査機器の名前、検査日などの、患者及び検査の情報も含む。データは、フォーマットされていないテキストファイルなどの、ASCIIファイルであってもよい。データは、有形物体であってもよい。例えば、フォトリソセルモダリティは、パターン形成された半導体ウエハを生成するであろう。
【0049】
図3は、ファイルライブラリ303から得られる事前選別データ103を含む実施形態の例を示している。図3は、また、ワークフロー分配モジュール112、事前選別データコーディネータ306、及び非選別データコーディネータ221の動作も示している。
【0050】
一部の実施形態では、事前選別データ103のソースは、1つ又は2つのファイルライブラリ303を含む。ファイルライブラリ303は、事前選別データを送信するように構成される。ファイルライブラリ303は、データベースであってよい、又はZIPディスク、外付けハードドライブ、CD、DVDなどのコンピュータ可読媒体上のファイルであってよい。ファイルライブラリは、ローカルであってよい、又はリモートネットワーク若しくはリモートサーバに格納されてよい。例えば、ファイルライブラリは、事前選別されたデジタル画像、X線、HL−7対応ファイルなどを含むことができる、又はCME(医療生涯教育)若しくはその他の生涯教育プログラム、民間のベンダ、ピアレビューの審査会若しくはプログラム、インターネットウェブサイトなどの第三者の提供者によって事前選別されたファイルを含むことができる、又はワークフローを構成する実体によって事前選別されたファイルを含むことができる(例えば、医師は、特定の患者画像を病院実体からパソコン上にローカルに格納して有することができる)。
【0051】
ファイルライブラリ303は、随意の事前選別データコーディネータ306と併せて実装することができる。事前選別データコーディネータ306は、例えば、データネットワーク又はその他の適切な接続を通じてファイルライブラリ303と通信することができる。事前選別データコーディネータ306は、ファイルライブラリ303を格納するのと同じ及び/又は分配モジュール112と同じコンピュータ上に位置してよい。或いは、事前選別データコーディネータ306は、別個のローカルコンピュータ又はリモートコンピュータであってよい。
【0052】
特定の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、ファイルライブラリ303からの事前選別データの、分配モジュール112への挿入を調整するように構成される。事前選別データコーディネータ306は、ケースレビュー委員会又はピアレビュー委員会などの、判定を行う人間を含むことができる。好ましくは、事前選別データコーディネータ306は、データの入力及び出力を管理するコンピュータシステムを含む。事前選別データコーディネータ306は、ファイルライブラリ303及び/若しくは分配モジュール112と同じコンピュータ上に位置してよい、又は異なるローカルコンピュータ上に若しくはリモートコンピュータ上に位置してよい。ユーザに提示される事前選別データの量の調整は、事前選別データコーディネータ306によって実施されてよく、次いで、分配モジュール112に伝送されてよい。その結果、システム規模の中央集中的な調整がもたらされ、リモートに実施可能になるであろう。
【0053】
一部の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、この後に続く分配モジュール112による分配のために、ファイルライブラリ303から得られたデータ又はファイルに対してアクセス、選択、及び/又は電子的なマーク付け、フラグ付け、若しくはその他の変更を行うことができる。ファイル内にブール若しくはバイナリのスイッチ若しくはフラグを設定する、ファイルのヘッダに(例えばDICOMファイルヘッダに)スイッチ若しくはフラグを挿入する、ファイル名を変更する、特定のストリング、スイッチ、若しくはフラグをファイル内に挿入するなどの、多くのタイプの電子的マークが適している。各種の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、変更後のファイルをファイルライブラリの外に移動させることができる、又は元のファイルを複製し、変更後のファイルをファイルライブラリの外に格納することができる。
【0054】
例えば、汎用コンピュータを使用している人間の事前選別データコーディネータ306は、ファイルライブラリ306に格納されたDICOMファイルにアクセスすることができる。事前選別データコーディネータ306は、DICOMファイルを選択し、そのファイルが引き続きどのように分配モジュール112によって分配されるかを示すためにDICOMファイルヘッダ内のデータを変更することができる。分配モジュール112は、したがって、分配の指示を求めて特定の変更後データを探すためにDICOMファイルヘッダにアクセスするように構成することができる。
【0055】
一部の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、分配モジュール112によってアクセスすることができるファイルに関する情報をファイルライブラリ303に格納するように構成されたデータベースを含むことができる。例えば、事前選別データコーディネータ306は、DICOMファイルを処理し、そのDICOMファイルに関連付けられたデータベーステーブルにアクセスすることができる。テーブル内のデータは、そのファイルが引き続きどのように分配モジュール112によって分配されるかを示すために変更することができる。例えば、テーブルは、ファイル名と、そのファイルがどのユーザログインに分配されるかに関する情報とを格納するように構成することができる。分配モジュール112は、したがって、分配の指示を探すためにテーブルにアクセスするように構成することができる。
【0056】
図3に示された例では、事前選別データコーディネータ306は、ファイルライブラリ303からのファイルが分配モジュール112によってワークステーションA 312、ワークステーションB 315、及びワークステーションC 318に分配されるように、そのファイルにマークを付けることができる。別の例では、事前選別データコーディネータ306は、ファイルがワークステーションA 312のみに分配されるように、そのファイルに電子的にマークを付けることができる。事前選別データコーディネータ306は、例えば、挿入されるファイルの場所、時間、順序などの様々なパラメータを制御することができる。
【0057】
一部の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、所定の制約集合にしたがってファイルにマークを付ける。例えば、事前選別データコーディネータ306は、1つのファイルが一時間に二度にわたり各ワークステーションに分配されるように、データにマークを付けることができる。一部の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、動的に受信され学習されたイベントにしたがってファイルにマークを付けることができる。学習された動的な処理は、以下で更に詳細に論じられる。
【0058】
随意の非選別データコーディネータ221は、上述された事前選別コーディネータ306と同様に構成することができる。非選別データコーディネータ221は、例えば、データネットワーク又はその他の適切な接続を通じて非選別データ106のソースと通信することができる。非選別データコーディネータ221は、起点実体及び/又はモダリティ、患者ID、一次診療医、関連画像の番号及び場所、診断医の番号及び/又はIDなどの、非選別データ106に関する情報を格納する。非選別データコーディネータ221は、非選別データ106を格納するのと同じ及び/又は分配モジュール112と同じコンピュータ上に位置してよい。或いは、非選別データコーディネータ221は、別個のローカルコンピュータ上に又はリモートコンピュータ上に構成することができる。各種の実施形態では、事前選別データコーディネータ221は、非選別データを格納するように構成することができる。しかしながら、事前選別データコーディネータ221は、リモートに格納された非選別データを指し示すように構成することもできる。
【0059】
特定の実施形態では、非選別データコーディネータ221は、分配モジュール112への非選別データ106の挿入を調整するように構成される。非選別データコーディネータ221は、一次診療医などの、判定を行う人間を含むことができる。好ましくは、事前選別データコーディネータ221は、データの入力及び出力を管理するコンピュータシステムを含む。
【0060】
例えば、汎用コンピュータを使用している人間である非選別データコーディネータ221は、非選別データ106のソースに格納されたDICOMファイルにアクセスすることができる。非選別データコーディネータ221は、DICOMファイルを選択し、そのファイルが引き続きどのように分配モジュール112によって分配されるかを示すためにDICOMファイルヘッダ内のデータを変更することができる。分配モジュール112は、したがって、分配の指示を求めて特定の変更後データを探すためにDICOMファイルヘッダにアクセスするように構成することができる。その他の実施形態では、非選別データコーディネータ221は、分配モジュール112によってアクセスすることができる非選別データ106ファイルに関する情報を格納するように構成されたデータベースを含むことができる。例えば、非選別データコーディネータ221は、DICOMファイルに関連付けられたデータベーステーブルにアクセスすることができる。テーブル内のデータは、そのファイルが引き続きどのように分配モジュール112によって分配されるかを示すために変更することができる。例えば、テーブルは、そのファイルが幾つのワークステーションに分配されるべきかに関する情報を格納するように構成することができる。分配モジ
ュール112は、したがって、分配の指示を探すためにテーブルにアクセスするように構成することができる。
【0061】
事前選別データコーディネータ306及び/又は非選別データコーディネータ112は、様々な実施形態において省略が可能である。例えば、ファイルライブラリ303に格納されたファイルは、加入サービスの一環として自動的に分配モジュール112に伝送することができる。別の例では、非選別データ106は、その属性を変更される必要がない。更なる例では、分配モジュール112は、ファイルライブラリに格納されたファイルを、上で説明されたようなメカニズムを使用して制御する及び/又は処理するように構成されてよい。或いは、ファイルライブラリ303は、格納されたファイルを制御する及び/又は処理するように構成されてよい。
【0062】
上で説明されたように、分配モジュール112は、(生産ワークフローデータなどの)非選別データ106と、事前選別データ103とを取得することができる。分配モジュール112は、適切なデータネットワーク接続を通じて、非選別データ106及び事前選別データ103を処理のために1つ又は2つ以上のワークステーション312、315、318に分配する。分配モジュール112は、予めプログラムされた又は動的な計算を実施するコンピュータを含むことができる。一部の実施形態では、分配モジュール112は、手動計算を実施する人間を含むことができる。
【0063】
分配モジュール112は、ワークステーションによる要求を受けてファイルを検索するシーケンシャルモジュールとして動作することができる。一部の実施形態では、1つ又は2つ以上のワークステーション312、315、318は、ファイル要求を分配モジュール112に送信することができる。分配モジュールは、すると、非選別データ106のソース又は事前選別データ103のソースに対してファイルを要求し、そのファイルを要求元のワークステーションに送信することができる。要求元ワークステーションは、分配モジュール112による中間処理を経ることなく直接に、事前選別データ又は非選別データのソースに対してファイルを要求することもできる。一部の実施形態では、分配モジュール112は、非選別データ106及び事前選別データ103を含むファイルの蓄えから、ランダムに又は1つ若しくは2つ以上の選択基準にしたがってファイルを選択することができる。これらの選択基準は、本開示において更に詳細に説明される。
【0064】
各種の実施形態は、処理速度はファイルキューの作成によって高めることができる、という認識を持っている。以下で更に詳細に論じられるように、ファイルキューは、ユーザのファイル要求とは独立に組み立てることができる。好ましくは、ファイルキューは、ユーザのファイル要求に先立って組み立てられる。キューは、ユーザによって処理される、データファイルなどの1つ又は2つ以上のデータ項目を含むことができる。キューは、例えば、1つの、幾十の、幾百の、又は幾千のデータ項目を含むことができる。好ましくは、キューは、複数のデータ項目を含む。キューの例は、DICOMファイルのキューを含む。作成されユーザワークステーションに分配されるキューは、同数のデータ項目を含んでいる必要はなく、例えば、図3では、キューA 321は、N個のファイルを含み、キューB 324は、3つのファイルを含み、キューC 327は、2つのファイルを含む。ファイルキューは、1つ又は2つ以上のワークステーションによるアクセスに備えて分配モジュール112又はその他の適切なサーバに格納することができる。一部の実施形態では、ファイルキューは、1つ又は2つ以上のワークステーションに伝送することができる。
【0065】
1つのユーザファイルキューを組み立てることを含む分配プロセス決定木400の一例が、図4に示されている。
【0066】
分配モジュールは、随意的に、設定及び状態403をチェックすることができる。例えば、分配プロセスは、時刻、日付、ユーザログイン情報、ワークステーションIDなどの、ユーザ及びプロセスの設定をチェックすることができる。別の例として、1つのユーザワークステーションへの、1つのグループのユーザワークステーションへの、又は全てのユーザワークステーションへの事前選別データの伝送を、一次的に又は永久的に休止させるために、スーパーユーザがプロセス設定を設定することができる。プロセス設定は、ローカルに、又はSSL(インターネット若しくはイントラネット)によって、又はEメール、インスタントメッセージ、SMSテキストメッセージなどによって設定されてよい。もちろん、どのように且つ/又はいつワークステーションにファイルを分配するかを判断するにあたり、更なるユーザ、プロセス、及びその他の設定が有用であり、開示される実施形態における使用が考えられる。
【0067】
一部の実施形態では、分配モジュールは、システム状態(ユーザファイル負荷、平均処理時間、入ってくる非処理ケースの数又は速度など)をチェックすることができる。例えば、システム状態は、まだ解釈されていない非選別ファイルの未処理分が一時間以内に二倍になることであってよい。その他のシステム状態は、例えば、あるユーザのキューが平均よりも25%短いこと、あるユーザのキューが平均よりも50%遅く補充されること、あるユーザのキューが他のユーザのキューよりも75%短いこと、ユーザが前の月に誤った解釈を3回を超えて行ったことなどであってよい。特定の実施形態は、システム状態の検出が、自然災害、流行病、テロリストによる攻撃、戦争、又は大量の生産ワークフローデータを形成する恐れがあるその他の出来事の最中に事前選別データによってユーザに過度な負担がかかる事態を有利に防ぐことができるであろう、という認識を持っている。
【0068】
上で説明されたように、分配モジュールは、随意的に、分配情報のために事前選別データコーディネータ406及び/又は非選別データコーディネー409にアクセスすることもできる。例えば、上で論じられたように、事前選別データコーディネータ406及び非選別データコーディネー409は、ファイルライブラリ内のどのファイルがどのワークステーションのどのユーザにどの時刻又は日付で分配されるかに関する情報を格納することができる。
【0069】
設定及び状態の情報、事前選別データコーディネータ、並びに/又は非選別データコーディネーを使用して、分配モジュール112は、ファイル組み立てアルゴリズムによってファイルキュー412を組み立てることができる。ファイルキューの組み立てには、様々なアルゴリズムが適している。例えば、ファイル組み立てアルゴリズムは、一定の又はランダムな間隔で非選別データ及び事前選別データを挿入することができる。
【0070】
しかしながら、ファイル組み立てアルゴリズムは、好ましくは、挿入される事前選別データの量を調整するように構成される。例えば、ファイル組み立てアルゴリズムは、ファイル負荷が特に軽い若しくは重い、他のユーザと比べて誤りが多い若しくは少ないなどの、特定の1つ若しくは2つ以上の状態が満たされたと判断された、又は通知された場合に、特定のユーザのキューに、より多くの又はより少ない事前選別データを挿入することができる。上で論じられたように、ファイル組み立てアルゴリズムは、処理されるべき非選別ファイルの数の未処理分の急激な増加を示すようなシステムの設定又は状態を評価することができる。したがって、ファイル組み立てアルゴリズムは、ユーザワークステーションへの事前選別データの伝送を一次的に又は永久的に休止させることができる。特定の実施形態では、ファイル組み立てアセンブリは、ユーザの解釈的出力の豊富さなどの、受信された且つ/又は学習されたイベントにしたがって、ワークフローに挿入される事前選別データの量を動的に調整してよい。この特徴は、以下で更に詳細に論じられる。
【0071】
ファイルキュー409を組み立てるプロセスの最中又は後に、分配モジュールは、事前
選別データ415及び非選別データ418にアクセスすることができる。例えば、分配モジュールは、リモートに格納された事前選別ファイル及び/又は非選別ファイルへの、リンク又はポインタを確立することができる。或いは、分配モジュールは、事前選別データのソース及び非選別データのソースからファイルをダウンロードして格納することができる。ファイルキューは、すると、ユーザによるアクセスを受ける用意が整い、ファイルキュー内の情報(ファイル又はポインタ)は、ワークステーション421に伝送することが可能になる。
【0072】
なおも図4を参照すると、ワークステーション421へのファイルキュー情報の伝送には、様々な方法が適している。例えば、ユーザは、分配モジュールに対してファイルを要求することができ、分配モジュールは、ファイルキュー内の次のファイルをユーザに送信することができる。別の例として、分配モジュールは、ファイルキュー内の全部の又は一部のファイルをユーザワークステーションに転送することができ、ユーザワークステーションは、キュー内の次のファイルを自動的に提示することができる。
【0073】
随意のキュー補充モジュール421は、ユーザのファイルキューが補充を必要とするかどうかを判断することができる。ここでは、キュー判定モジュール421用に、幾つかの閾値の使用が適している。例えば、新しいファイルキューは、先のファイルキューがユーザワークステーションに転送された後に組み立てることができる。新しいファイルキューは、例えば10、5、1、又は0などの特定の数のケースがユーザに送信されずに残っているときに組み立てることができる。キュー補充モジュール421は、ユーザのファイルキューが特定の時間に(例えば1時間ごと又は2時間ごとに)補充を必要とすると判断することができる。別の例として、キュー補充モジュール421は、新しいキューを作成する及び分配する要求を聞くことができる。要求は、ユーザ、ワークフローマネージャ又はスーパーユーザ、又は事前選別データコーディネータ(不図示)から来るであろう。要求は、例えば、SSL(インターネット又はイントラネット)、Eメール、インスタントメッセージ、SMSテキストメッセージなどを通じて送信されるであろう。ファイルキューが補充を必要とする場合は、上述されたプロセスが再び開始する。分配モジュールは、データフェイルを既存のファイルキューに追加することができる、又は新しいキューを作成して分配することができる。このプロセスは、休止される若しくは停止されるまで、又はユーザがワークステーションを終了させる若しくはログオフするまで繰り返すことができる。もちろん、プロセスは、たとえあるユーザに対して休止されていても、必要に応じてその他のユーザに対して続行することができる。
【0074】
再び図3を参照すると、分配モジュール112は、望ましい数のキューを作成するように構成することができる。例えば、分配モジュール112は、1つのユーザワークステーションに対してファイルキューの作成及び/若しくは分配を行うことができる、又は複数のワークステーションに対してファイルキューの作成及び/若しくは分配を行うことができる。例えば、図3に示された分配モジュール112は、キューA 321をワークステーションA 312に、キューB 324をワークステーションB 315に、そしてキューC 327をワークステーションC 318に分配する。
【0075】
一部の実施形態では、同じ事前選別データファイルを、解釈のために2つ以上のユーザに分配することができる。これは、事前選別データの正しい解釈を行うためにユーザ同士が互いに競い合う競争環境を有利に形成することができる。これは、また、事前選別データの解釈に対する不測の又は故意の協調を有利に回避することもできる。一部の実施形態では、同じ非選別データファイルを、解釈のために2つ以上のユーザワークステーションに分配することができる。これは、困難な可能性がある患者データの解釈を求めて医師が複数の診断臨床医に尋ねることを有利に可能にすることができる。
【0076】
ユーザワークステーション(例えばワークステーションA 312)は、ローカルな又はリモートのキューモジュール(不図示)と連携するように構成することができる。キューモジュールは、分配モジュール112によって作成され分配されるファイルキュー(例えばキューA 321)を処理するように構成することができる。例えば、キューモジュールは、キュー内のファイルを先着順に連続的に提示するように構成される。キューモジュールは、キュー内のファイルを、ランダムに、又は何らかの所定の基準にしたがって、又は受信された且つ/若しくは学習されたイベントにしたがって動的になど、その他の順番で提示するように構成することができる。
【0077】
図5を参照すると、ユーザは、ユーザワークステーション(不図示)上に提示されたファイル(例えばファイルB1 503、ファイルB2 509、及びファイルB3 515)を解釈する。解釈は、システム出力127に、データ評価モジュール130に、又はこれらの両方に送信されてよい。
【0078】
ユーザは、キューB 324内のファイルを連続的に解釈する。この例では、ユーザは、先ず、事前選別された異常状態を示す画像を含むファイルB1(pA)503を提示される。
【0079】
各種の実施形態では、ファイルが事前選別されているか又は選別されていないかをユーザが容易に検出することができないように、事前選別ファイルの起点をユーザから有利に「隠す」又は「クローキングする(cloaking、覆い隠す)」ことができる。クローキングは、以下で説明されるように、訓練目的のために、又はデータ解釈の正確さ及び効率を高めるために有利であろう。クローキングは、例えば、事前選別データコーディネータによって処理される全てのファイルに対して中央集中的に実施されてよい。一部の実施形態では、クローキングは、ファイルごとに実施されてよい。
【0080】
クローキングは、例えば、ファイルデータを書き換える、修正する、変造する、又はその他の形で難読化することによって達成されてよい。例えば、DICOM画像は、ファイルヘッダ(患者の名前、スキャンのタイプ、画像の次元数などに関する情報を格納している)と、二次元又は三次元の画像データを含む。一部の実施形態では、(上で論じられた)事前選別データコーディネータは、データが事前選別されていることをユーザに喚起させる可能性があるデータヘッダ内の情報(観察日、起点など)を変更するように構成することができる。
【0081】
ここでは、代替のクローキングメカニズムの使用も考えられる。例えば、クローキングは、ユーザのワークステーション上に表示されるデータを覆うことによっても達成可能である。DICOMファイルを処理するワークステーションは、患者情報を含むテキスト部分とともに画像をデータディスプレイに表示することができる。一部の実施形態では、ワークステーションは、ファイルが事前選別されているかどうかを検出して偽りの患者データを含むテキストボックスを表示するように構成することができる。テキストボックスは、ユーザによって検出不可能な形で元のテキスト部分に重ね合わせることができる。テキストのデータは、事前選別データコーディネータ、データ分配器、又は他の何らかのソースから、必要に応じて得ることができる。
【0082】
再び図5を参照すると、(ファイルB1 503が通常の生産ワークフローデータではないことに気付いていない)ユーザは、ファイルB1 503を、正常データを含むものと誤って解釈する。ユーザは、誤った解釈B1(N)506をワークステーションにおいて入力する。
【0083】
解釈が事前選別データに基づくものであったことを検出すると、判定モジュール124
(図1に関連して上で論じられている)は、誤った解釈B1(N)506を、更なる処理のためにデータ評価モジュール130に伝送されるように指示することができる。データ評価モジュール130は、データがCIS又はHISなどのシステム出力127に送信されるべきかどうかを判断するように構成された出力評価モジュール521を含むことが好ましい。ファイルB1(pA)503は、通常の生産ワークフローデータではなく、事前選別された異常データであるので、図5に示されるように、誤った解釈B1(N)506をシステム出力130に送信することは、望ましくないであろう。したがって、出力評価モジュール521は、ファイルB1(pA)503が、事前選別されたとしてフラグを付けられているかどうか、又はシステム出力に向かないようにその他の形でマークを付けられているかどうかを評価することができる。もちろん、その他の評価方法も適している。更に、特定の実施形態では、事前選別データをシステム出力に送信することが望ましいであろう。
【0084】
ユーザは、誤った若しくは正しい解釈について即時に又はあとで通知を受けることができる。通知は、ユーザが学習して同じ又は類似の過ちを再び起こさないように有利に助けるであろう。即時の通知は、ユーザがリアルタイムで学習することを助けるであろう。通知を提供するための方法の例が、図6A及び図6Bに示されている。もちろん、代替の方法も、ここでの使用に適しており、本開示によって考えられる。
【0085】
先ず、図6Aを参照すると、事前選別された異常状態を含むファイルB1(pA)503が、データディスプレイ118を通じてユーザに提示される。ユーザは、ファイルB1
503を、正常データのみを示すものとして誤って解釈する。ユーザは、誤った解釈B1(N)506をワークステーションにおいて入力する。判定モジュール124は、解釈B1(N)506が事前選別ファイルに基づくものであったことを突き止め、更なる評価が必要であると判断する。
【0086】
なおも図6Aを参照すると、ユーザの解釈B1(N)506は、事前選別データコーディネータ306に伝送されてよい。事前選別データコーディネータ306は、事前選別の結果に基づく望ましい解釈(異常)にアクセスすることができ、その情報を、ユーザの解釈B1(N)506を望ましい解釈と比較するように構成されたデータ評価モジュール130に伝送することができる。
【0087】
事前選別データコーディネータ306は、引き続き、比較に基づく通知603をユーザのデータディスプレイ118に伝送することができる。一部の実施形態では、データ評価モジュール130は、特定のデータを事前選別データコーディネータ306に戻すことができる。事前選別データコーディネータ306は、ユーザの解釈B1(N)506、データ評価モジュール103による比較、及び/又はユーザの解釈が正しかったか若しくは誤っていたかを、例えば、ユーザプロフィールテーブルに格納することができる。この情報は、のちにユーザのマネージャによってダウンロードされてユーザのパフォーマンス審査に使用することができる、又はのちに(例えばユーザのシフトの終了時に)通知603を通じてユーザに伝送することができる。一部の実施形態では、この情報は、のちにユーザにファイルを表示するかどうかを判定するときに、分配モジュール112によって用いられてよい。
【0088】
通知を提供するための代替の方法が、図6Bに示されている。プロセスは、図6Aに関連して上述されたのと同様であるが、図6Bは、ユーザに通知を提供するために事前選別データコーディネータ306が必要とされないことを示している。例えば、望ましい解釈は、事前選別ファイルに(例えばメタデータ内に又はヘッダデータ内に)埋め込むことができる。この埋め込みデータは、ユーザが通常は見ることができない又は容易にアクセスすることができないものである。しかしながら、判定モジュール124が、ファイルを事
前選別された又はその他の理由で更なる評価を必要とすると判断する場合は、埋め込みデータは、例えばポップアップボックス又はその他の表示メカニズムを通じてユーザに表示することができる。しかしながら、図6Bに示されるように、事前選別データコーディネータ306へのユーザ解釈の伝達は、随意ではあるが望ましいとされる。事前選別データコーディネータ306は、のちの審査に備えて又は分配を指示する目的でデータを保持することができる。
【0089】
一部の実施形態では、事前選別データコーディネータ306は、事前選別データに対するユーザの解釈の正しさを監視するために使用されてよい。ユーザの正確さが何パーセント未満かに落ちたとき、又はユーザが何度か立て続けにミスを犯したとき、事前選別データコーディネータ306は、休憩を取るようにユーザに通知することができる。一部の実施形態では、監視通知は、休憩中に、ユーザ入力へのユーザのアクセスを「締め出す」ように構成することができる。監視通知は、ユーザに伝達可能なメッセージ又は報告を含むことができる。好ましくは、監視通知は、解釈のために更に他のファイルが提示される前に、ユーザに即時に伝送される。しかしながら、メッセージ又は報告は、遅延後に送ることもできる。しかしながら、事前選別データコーディネータ306を含まない実施形態では、サーバ(例えば図1に示されたサーバ112)又は分配モジュール112などのその他のシステム要素も、監視を実施することができる。
【0090】
ワークフローへの事前選別データの投入及び事前選別データに対するユーザ解釈の監視は、ワークフローのデータ解析能力及びデータマイニング能力の使用の強化を可能にするであろう。データ解析及びデータマイニングは、データ集合に作用する様々な強力な数値的、統計的、確率的なアルゴリズム及び方法を含む。データ解析及びデータマイニングは、ユーザの正確さ及び効率を向上させる、予測する、又は予想するために使用されてよい。例えば、ユーザの正確さ及び効率は、定期的な休憩をスケジュールに組み入れることによって解釈の正確さを望ましいレベルに維持するなどのように、疲労に起因するミスを減らす勤務スケジュールを形成することによって高めることができる。ユーザは、シフトの早い段階のデータ処理ではほとんどミスを犯さず、したがって、解釈の正確さを望ましいレベルに維持するための頻繁な休憩を必要としないであろう。勤務日全日にわたってユーザの正確さを監視することによって、解釈の正確さを望ましいレベルに維持するための休憩の頻度及び長さを増やすことができるであろう。別の例として、ユーザの正確さ及び効率は、定期的な訓練をスケジュールに組み込むことによって高められると考えられ、訓練は、ユーザのニーズに更に特化して作ることができる。
【0091】
再び図5を参照すると、ユーザは、ファイルB1(pA)503の解釈を終えると、次に、正常データを含む非選別ファイルであるファイルB2(N)509を提示される。ユーザは、解釈B2(N)512を正しく入力し、該解釈は、引き続き、システム出力127に送信される。このプロセスは、ファイルB3(N)518について繰り返される。
【0092】
図5に示されるように、一部の実施形態では、ユーザの解釈の豊富さを評価する及び/又は監視することができる。以下で更に詳しく説明されるように、解釈的出力情報は、動的に監視及び学習されてよく、これは、ユーザに提示される事前選別データの量及び/又は特性を柔軟に、リアルタイムに、オンザフライで調整することを有利に可能にするであろう。
【0093】
ユーザの解釈には、順位や点数などを割り振ることができる。正常な組織又は発見の欠如(正常な診断)を示す医用画像は、中立な又は負の点数を割り振られてよい。正常な変異を示す画像は、低い正の点数を割り振られてよく、異常な組織又は病変を示す画像は、発見の深刻性に応じて増加する高い正の点数を割り振られてよい。例えば、「肺野がクリアである」は、点数0又は負の点数を割り振られてよい。「湿潤」は、点数1を割り振ら
れてよい。「胸膜滲出」は、点数3を割り振られてよい。腸又は胃の破裂の深刻な徴候である「横隔膜下空気」は、点数7を割り振られてよい。「気胸」すなわち肺虚脱は、点数6を割り振られてよい。肺の実際の偏位を伴う更に重度の肺虚脱である「緊張性気胸」は、点数10を割り振られてよい。「石灰化結節」は、肺との関連では点数3を割り振られてよいが、マンモグラムとの関連では点数8を割り振られてよい。別の例として、「転位骨折」は、点数3を割り振られてよい。「転位のない骨折」は、点数2を割り振られてよい。「異物」は、点数5を割り振られてよい。「手術用スポンジ」は、点数10を割り振られてよい。
【0094】
上記の例は、例示を目的として提供されたものに過ぎず、本開示では、もちろん、より深刻な診断又は解釈を日常的な又は深刻でない診断と数値的に区別する代替の点数付けシステムも考えられる。一部の実施形態では、非常に豊富な、困難な、又は稀な診断に、より高い点数を割り振られる単純なデータよりも低い点数が割り振られてよい。更には、より複雑な点数付けアルゴリズムも使用可能である。点数は、特定の実施形態では、事前選別データ及び非選別データの両方に割り振ることができる。或いは、点数は、事前選別データのみに、又は非選別データのみに割り振ることができる。点数は、上記のいずれかのデータ集合の部分集合に割り振ることもできる。
【0095】
システムは、総合点数を追跡してもよい。総合点数は、算術的合計、移動平均、又はユーザの点数の他の何らかの経時的総合に関係付けられてよい。ユーザの総合点数にしたがって、より多くの又はより少ない事前選別データがユーザに提示されてよい。例えば、ユーザの解釈的出力の順位点数が高い(ユーザが大量の豊富な又は困難なデータを解釈していることを意味する)場合は、より少ない事前選別データがユーザに提示されてよい。点数の急増は、自然災害、流行病、テロリストによる攻撃、戦争、又は大量の豊富な若しくは困難な生産ワークフローデータを形成するその他の出来事の最中などのように、ユーザが突然大量の豊富な又は困難なワークフローデータを解釈していることを意味するであろう。したがって、システムは、ユーザへの事前選別データの分配を一次的に停止してよい。別の例としては、ユーザの総合点数が高い場合に、解釈の正確さを望ましいレベルに維持するために、ユーザがより頻繁に休憩を取る、より長く休憩を取る、又はより短いシフトで働くように、ユーザのスケジュールが調整されてよい。別の例としては、ユーザの解釈的点数が高い場合に、格別に困難な解釈データの二次検査が必要とされ、データは、上述のように、それに応じてマーク又はフラグを付けられてよい。
【0096】
ユーザの解釈の点数付けは、一部の実施形態では、出力の報告をトリガする又はその他の形で影響を及ぼすことができる。点数は、非選別データの診断の豊富さ又は深刻さの度合いを示すことができるので、点数及び/又は関連の解釈は、実体、ケースレビュー委員会、ピアレビュー委員会、政府機関、又は要求元の医師などの「外部」に伝達されることが望ましいであろう。一部の実施形態では、非選別データコーディネータが点数及び/又は解釈を伝達してよいが、この目的には、様々なモジュール、サーバ、又はモジュールが適している。伝達は、インターネット要求、Eメールメッセージ、インスタントメッセージ、SMSテキストメッセージなどを送信することによって実施されてよい。
【0097】
一部の実施形態では、ユーザの解釈の豊富さ又は難しさに関係したフィードバックを、その解釈の順位又は点数を付ける前に請うことが望ましいであろう。ユーザは、豊富さ又は難しさを判断するために、リアルタイムのアドバイスを(例えば直接対話、電話通話、インスタントメッセージ、チャットなどを通じて)求めてよい。アドバイスは、内部に(例えば出力、又は非選別若しくは事前選別のデータコーディネータなどに)求められてよい、又は外部に(例えばインターネット要求、Eメールメッセージ、インスタントメッセージ、SMSテキストメッセージなどを外部の関係者に送信することによって)求められてよい。したがって、各種の実施形態は、ユーザの解釈に関するフィードバックを請うた
めの手段を含む。
【0098】
次に、図7を参照すると、特定の実施形態は、事前選別ワークフローデータのソースとして中央リポジトリ703を含むことができる。(上で論じられた)ファイルライブラリ303とは対照的に、中央リポジトリ303は、事前選別データの送信及び受信の両方を行うように構成される。中央リポジトリは、ファイルライブラリと併せて使用されてよい、又はファイルライブラリを伴わずに使用されてよい。図7は、ファイルライブラリ403と併せて事前選別データ209の中央リポジトリ703を示している。中央リポジトリ703は、ファイルライブラリ303と同じコンピュータ上に、又は異なるローカルの若しくはリモートのコンピュータ上に位置することができる。
【0099】
中央リポジトリは、事前選別データの送信及び受信の両方を可能にするので、中央リポジトリ703は、異なるネットワーク同士がそれらの事前選別データを「蓄える」及び/又は共有することを可能にすることができる。中央リポジトリ703は、これらのネットワークに対し、各ネットワークが個別に有するであろうアクセスよりも多くの事前選別データに対するアクセスを有利に提供することができる。この特徴は、ファイルライブラリとして他のユーザに販売することができる商業的に価値のある事前選別データのソースをネットワークが作成することを有利に可能にすることができる。
【0100】
図8は、中央リポジトリ703をどのようにワークフローに統合することができるかを示している。分配モジュール215は、事前選別データコーディネータ406及び非選別データ106のソースからデータを受信する。データは、キューX 803に分配される。キュー内の第2のファイル、すなわちファイルX2(A)806は、異常データを含む。ユーザは、正しい解釈X2(A)809を行い、解釈X2(A)809は、システム出力127に送信される。
【0101】
ユーザは、次いで、中央リポジトリ712への挿入のために、そのファイルにフラグを付けてよい。或いは、挿入は、ユーザによるいかなる行為も伴わずに生じてよい。解釈X2(A)809は、事前選別データコーディネータ306に送信される。事前選別データコーディネータ306は、ファイルX2(A)806及び/又は関連の解釈X2(A)809を中央リポジトリ712に伝送することができる。
【0102】
ファイルX2(A)806は、引き続き、ワークフローにおいて事前選別ファイルとして使用することができ、その関連の解釈X2(A)709は、比較の目的で、望ましい解釈として随意に使用されてよい。中央リポジトリ703は、ファイルX2(A)806を事前選別データコーディネータ306に伝達することができる。上で説明されたように、データは、引き続き、ユーザへの提示のために分配モジュール112によって分配することができる。
【0103】
図9A及び図9Bは、中央リポジトリ703が合意的診断又は協調的診断を促進するのに有用であることを示している。ユーザは、キューX’803’を処理する。ユーザは、選別されていない正常状態を示す画像であるファイルX2’(N)806’を提示される。この例では、ユーザは、ファイルX2’(N)806’が正常又は異常のいずれの状態を含むか確かでない。したがって、ユーザは、状態が「未知」であると入力し、ワークステーションにおいて解釈X2’(U)809’を生成する。一部の実施形態では、ユーザは、代わりに又は併せて、追跡解釈のためにファイルにマーク又はフラグを付けることができる。ファイルは、データコーディネータ306を通じて中央リポジトリ712に伝送される。
【0104】
のちに、ファイルX2’(N)806’は、データコーディネータ406によって中央
リポジトリ703から受信された後に、分配モジュール112によって新しいキューX”803”に分配される。「未知」として解釈されたデータは、再び解釈を試みられるように、新しいユーザ又は同じユーザに提示されてよい。この例では、新しいユーザが、ファイルX2’(N)806’を提示される。この例では、ユーザは、画像を評価し、X2’(N)806が正常データを含むものと正しく判定し、ワークステーションにおいて解釈X2”809”を生成した。
【0105】
解釈X2”809”は、後に続く発注元の医師及び患者への伝達のために、システム出力127に送信される。画像は、「未知」のタグを外されて、診断済みのタグを付けられてよい。或いは、(例えば合意的診断を達成するために)ユーザによって引き続き解釈が試みられるように、「未知」のタグが維持されてよい。
【0106】
一部の実施形態では、事前選別データ又は非選別データの解釈の最中又は後に、ユーザが「フィードバック」を受信することが有利であろう。ワークフローユーザは、自身の解釈が発注元の医師によって確実に受信されることに関心がある。ユーザは、また、発注元の医師から更なるフィードバックを必要とすることもある。ユーザの解釈に基づいて、発注元の医師は、更なる関連の臨床情報をユーザに提供してよい、又は最終的解釈に対して反論してよい。
【0107】
特定の実施形態では、ユーザは、報告された発見の重大性を発注元の医師に緊急で通知したいことがある。即時の通知から解釈の受信の確認に到るまで様々な度合いの重大性がある。ユーザに提示されるデータは、フィードバック用にフラグ又はマークを付けられてよい。重大性に基づいて、システムは、電子的に、音声自動応答によって、ボイスメールによって、ページングによって、テキストメッセージによって、直接音声アクセスによって、又はその他の通知手段によって応答が挟み込まれるように要求してよい。通知の受信は、通知手段によって確認されてよい。
【0108】
発見の重大性に基づいて、時間枠内に応答を期待されるウオッチドッグタイマーが確立されるとよいであろう。応答が受信されない場合は、発見が適時に伝わることを保証するために、通知のために選択された手段を、より直接的な伝達形態に発展させることができる。
【0109】
フィードバックを提供するための方法の例が、図10に示されている。もちろん、代替の方法も、ここでの使用に適しており、本開示によって考えられる。
【0110】
図10に示されるように、ユーザは、キューY 1021を処理する。ユーザは、ファイルYM 1006を提示され、解釈YM 1009を行う。解釈YM 1009は、後に続く発注元の医師への伝達のために、システム出力127に送信される。続いて、解釈は、フィードバックモジュール1030に送信され、このフィードバックモジュールは、解釈がフィードバック用のフラグを付けられているかどうかを判断するように構成することができる。フィードバックモジュールは、発注元の医師がフィードバックを提供する必要があるかどうか、又はキュー処理が再開してよいかどうかを判断する。フィードバックの提供が必要である場合は、フィードバックモジュールは、そのタイプを(重大性のレベルに基づいて)判断し、適切なフィードバックを提供する。
【0111】
多種多様な変形が可能である。構成要素は、追加、排除、又は並べ替えが可能である。異なる構成要素による置き換えが可能である。配置及び構成は、異なることが可能である。同様に、処理工程は、追加、排除、又は並べ替えが可能である。当業者ならばわかるように、上述された方法及び設計は、更なる応用を有しており、関連の応用は、上で具体的に明記されたものに限定されない。例えば、本明細書において論じられた幾つかの実施形
態の例は、医療との関連で提示されている。しかしながら、開示は、例えばテスト及び製造、事業取引、旅行、セキュリティなどの、多くのタイプの産業において多種多様なワークフローに実装することができる。更に、本開示は、例えば非生産施設において使用されるワークフローなどの仮想ワークフローに関係することが考えられる。システムのユーザは、例えば、LAN、WAN、又はインターネットを通じてシミュレーションワークフローにアクセスしてそれを処理する生徒であってよい。これらの実施形態では、訓練データは、例えば中央リポジトリ、ファイルライブラリ、及び/又はモダリティなどの様々なソースから来ることができる。また、本発明は、本明細書において説明される本質的特性から逸脱することなくその他の具体的形態で具体化することが可能である。上述された実施形態は、あらゆる意味で例示的にすぎず、いかなる形でも限定的でないものと見なされる。
【0112】
本発明は、特定の好ましい実施形態及び例を背景にして開示されてきたが、当業者にならば、本開示が、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、発明のその他の代替の実施形態及び/又は用途、並びにそれらの自明の変更形態及び均等物にまで及ぶことが理解される。また、本発明の幾つかの変形が図示されるとともに詳細に説明されてきたが、当業者にならば、本開示に基づいて、本発明の範囲内のその他の変更形態も容易に明らかである。また、実施形態の具体的な特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組み合わせが可能であり、やはり発明の範囲内に入ると考えられる。開示された実施形態の様々な特徴及び態様は、開示された発明の様々な形態を形成するために、互いに組み合わせる又は置き換えることができる。したがって、本明細書において開示された本発明の範囲は、上述の開示された特定の実施形態によって限定されてはならず、以下の特許請求の範囲を偏見なく読むことによってのみ判断されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像ファイルを処理するためのシステムであって、
少なくとも1つの撮像モダリティによって作成される非選別医用画像ファイルにアクセスするように構成された非選別ファイルモジュールと、
事前選別医用画像ファイル及び前記事前選別医用画像ファイルの各々についての関連の診断にアクセスするように構成された事前選別ファイルモジュールと、
分配モジュールであって、
前記事前選別ファイルデータ構造及び前記非選別ファイルデータ構造から複数の医用画像ファイルを選択することによって医用画像ファイルの選択を作成するように構成された選択プロセッサと、
前記医用画像ファイルの選択を伝送するように構成された伝送プロセッサと、
を含む分配モジュールと、
少なくとも1つのワークステーションであって、
前記分配モジュールから前記ワークフローキューを受信するように構成された受信プロセッサと、
前記医用画像ファイルの選択内の前記医用画像ファイルの各々を表示するように構成されたユーザディスプレイと、
前記ユーザディスプレイに表示されている前記医用画像ファイルに関連付けられたユーザ診断を受信するように構成されたユーザ入力と、
を含む少なくとも1つのワークステーションと、
前記少なくとも1つのワークステーションから前記ユーザ診断を受信して、前記ユーザ診断が事前選別医用画像ファイルに関連付けられている場合に前記ユーザ診断を前記関連の診断と比較することによって比較データを生成するように構成された比較モジュールと、
前記比較モジュールから前記比較データを受信して、前記比較データを前記ワークステーションユーザディスプレイに伝送するように構成されたフィードバックモジュールと、
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記分配モジュールは、更に、
前記事前選択医用画像ファイルの受信を監視するように構成された分配監視プロセッサと、
前記分配監視プロセッサ及び前記選択プロセッサと通信している分配オーバーライドプロセッサであって、前記分配監視プロセッサが前記事前選別医用画像ファイルの受信が緊急状態を意味する閾値を超えることを示しているときに、前記選択プロセッサが前記事前選別ファイルデータ構造から選択することを阻むように構成された分配オーバーライドプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、
前記ワークステーションは、前記ユーザ入力を通じて電子タグデータを受信して、前記電子タグデータを、前記ユーザディスプレイに表示されている前記医用画像ファイルに関連付けるように構成される、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、更に、
前記電子タグデータに関連付けられた前記医用画像ファイルを受信するように構成された中央リポジトリを備えるシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
前記事前選別ファイルデータ構造は、前記中央リポジトリ内の医用画像ファイルにアクセスするように構成される、システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステムであって、更に、
事前選別医用画像ファイルが前記少なくとも1つのモダリティから発しているように見えるように、事前選別医用画像ファイルに関連付けられた起点データを変更するように構成されたクローキングモジュールを備えるシステム。
【請求項7】
医用画像ファイルを処理するためのシステムであって、
少なくとも1つの撮像モダリティによって作成される非選別医用画像ファイルにアクセスするように構成された非選別ファイルデータ構造と、
分配モジュールであって、
前記非選別ファイルデータ構造から複数の医用画像ファイルを選択するように構成された選択プロセッサと、
前記医用画像ファイルの選択を含むワークフローキューを生成するように構成されたワークフローキュー生成プロセッサと、
前記ワークフローキューを伝送するように構成された伝送プロセッサと、
を含む分配モジュールと、
少なくとも1つのワークステーションであって、
前記分配モジュールから前記ワークフローキューを受信するように構成された受信プロセッサと、
前記ワークフローキュー内の前記複数の医用画像ファイルの各々を連続的に表示するように構成されたユーザディスプレイと、
前記ユーザディスプレイに表示されている前記医用画像ファイルに関連付けられたユーザ診断を受信するように構成されたユーザ入力と、
を含む少なくとも1つのワークステーションと、
前記少なくとも1つのワークステーションから前記ユーザ診断を受信して、前記ユーザ診断のテキスト評価に基づいて点数を生成し、前記点数を、前記ユーザディスプレイに表示されている前記医用画像ファイルに関連付けるように構成された診断出力モジュールと、
を備えるシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、更に、
前記ユーザディスプレイに表示されている前記医用画像ファイルに関係している医師からテキストコメントデータを受信して、前記テキストコメントデータを前記ユーザディスプレイに表示するように構成されたフィードバックモジュールを備えるシステム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のシステムであって、更に、
前記診断出力モジュールから前記点数を受信して、前記点数が閾値を超えて深刻な医学的状態を示している場合に、前記関連の医用画像ファイルにリンクしている医師に警告を送るように構成された警告モジュールを備えるシステム。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のシステムであって、更に、
事前選別医用画像ファイル及び前記事前選別医用画像ファイルの各々についての関連の診断にアクセスするように構成された事前選別ファイルデータ構造と、
前記少なくとも1つのワークステーションから前記ユーザ診断を受信して、前記ユーザ診断が事前選別医用画像ファイルに関連付けられている場合に前記ユーザ診断を前記関連の診断と比較することによって比較データを生成するように構成された比較モジュールと、
前記比較モジュールから前記比較データを受信して、前記比較データを前記ワークステ
ーションユーザディスプレイに伝送するように構成されたフィードバックモジュールと、
を備え、前記選択プロセッサは、前記事前選別ファイルデータ構造及び前記非選別ファイルデータ構造から前記複数の医用画像ファイルを選択するように構成される、システム。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載のシステムであって、更に、
前記診断出力モジュールから受信される点数によって総合点数を生成するように構成されたシステム監視モジュールを備えるシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、更に、
前記システム監視モジュール及び前記選択プロセッサと通信している分配オーバーライドプロセッサであって、前記システム監視モジュールが総合点数が緊急状態を意味する閾値を超えることを示しているときに、前記選択プロセッサが前記事前選別ファイルデータ構造から選択することを阻むように構成された分配オーバーライドプロセッサを備えるシステム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のシステムであって、
前記ワークフローキュー内の非選別医用画像ファイル対事前選別医用画像ファイルの割合は、前記総合点数に依存する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−508350(P2011−508350A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540876(P2010−540876)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088241
【国際公開番号】WO2009/086427
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510179629)
【Fターム(参考)】