説明

ワーク分離装置

【課題】比較的単純な構成のワーク分離装置を提供することである。
【解決手段】ワーク分離装置は、ワーク載置面11を有する昇降台12にして、搬送装置2の搬送面7とワーク載置面11とが同一高さにある第1位置と該第1位置より高位の第2位置との間を往復移動可能に構成された昇降台12と、昇降台12を上方に付勢する第1付勢手段13と、昇降台12が第1位置にあるとき、ワーク載置面11上のワークWを搬送方向Aで位置決めをするワーク位置決め手段14と、プレス加工装置3の上下に移動する上型5に固定的に取付けられている押圧手段15にして、上型5が下降したとき昇降台12を第1位置に押さえつけ、上型5が上昇したとき昇降台12を解放して第2位置までの移動を許容する押圧手段15とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置の搬送面上に整列されて搬送される一連のワークから、プレス加工装置で加工されるべきワークを分離するためのワーク分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1でも知られているように、従来トランスファプレス機械のようなプレス加工装置へワークを供給するために、ベルトコンベヤ及びフィードバー等が用いられている。特許文献1の装置のフィードバーは、プレス方向に直交する平面内だけで運動するものであり、またベルトコンベヤの搬送面とフィードバーの作動平面は基本的に同一レベルにある。このように構成することによって、フィードバーの構成及び制御が比較的簡単になるという利点が得られる。また、特許文献1の装置の場合、ベルトコンベヤの搬送面上に一列に整列されたワークは、ワーク分離装置によって個別のワークに分離されてからフィードバーによって把持されてプレス加工装置内に送り込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−96927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、フィードバーは比較的単純な構成のものであるのに対して、ワーク分離装置は二つの第1及び第2通過阻止手段から構成され、それらはエアシリンダによって上下及び回転駆動される比較的複雑な構成を有するとともに、作動のタイミングをフィードバーの作動に合わせるために制御されることも必要なものである。
【0005】
本発明は前述した従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、比較的単純な構成のワーク分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、搬送装置(2)の搬送面(7)上に整列されて搬送される一連のワーク(W)から、プレス加工装置(3)で加工されるべきワーク(W)を分離するためのワーク分離装置であって、ワーク載置面(11)を有する昇降台(12)にして、搬送装置(2)の搬送面(7)とワーク載置面(11)とが同一高さにある第1位置と該第1位置より高位の第2位置との間を往復移動可能に構成された昇降台(12)と、昇降台(12)を上方に付勢する第1付勢手段(13)と、昇降台(12)が第1位置にあるとき、ワーク載置面(11)上のワーク(W)を搬送方向(A)で位置決めをするワーク位置決め手段(14)と、プレス加工装置(3)の上下に移動する上型(5)に固定的に取付けられている押圧手段(15)にして、上型(5)が下降したとき昇降台(12)を第1位置に押さえつけ、上型(5)が上昇したとき昇降台(12)を解放して第2位置までの移動を許容する押圧手段(15)とを具備するワーク分離装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、押圧手段はプレス加工装置の上型とともに移動して昇降台を押さえることができ、昇降台は第1付勢手段に蓄えられたひずみエネルギーが解放されることにより上方に持ち上げられるので、昇降台の上下の移動のために例えばエアシリンダのような動力源を必要とせず、また昇降台の移動のタイミング等の制御も不要であり、単純な構成でワークの分離を実現することが可能になる。
【0008】
また、例えばフィードバー装置が昇降台の第2位置のレベルで下型に取り付けられている場合であっても、搬送装置の設置レベルは第2位置より下に位置するので、下型を交換あるいは保守等のために引き出さなければならないときに、フードバー装置が搬送装置に干渉することがないので、搬送装置をずらしたり取り外すことなく下型を引き出すことが可能となる。
【0009】
請求項2に記載された発明では、ワーク位置決め手段(14)は、昇降台(12)が第1位置にあるとき、昇降台(12)のワーク載置面(11)上に突出しているが、昇降台(12)が第2位置にあるときワーク載置面(11)から突出しない。これにより、昇降台が第2位置にあって、例えばフィードバー装置がワークへ接近するときにワーク位置決め手段が障害になることはない。
【0010】
請求項3に記載された発明では、プレス加工装置(3)が、ワーク(W)を把持して該プレス加工装置(3)内部に搬送するフィードバー装置(6)を備え、昇降台(12)が第2位置にあるとき、フィードバー装置(6)が昇降台(12)のワーク載置面(11)上のワーク(W)を把持できるように、第2位置が設定されている。これによれば、フィードバー装置へのワークの受け渡しを簡単に行うことが可能になる。
【0011】
請求項4に記載された発明では、昇降台(12)が搬送方向(A)を横切る方向に延びる側面を有しており、昇降台(12)が第1位置から離脱すると、昇降台(12)の側面によって、搬送装置(2)の搬送面(7)上の先頭のワーク(W)の前進が阻止される。これによれば、分離台が第1位置から離脱するときの一連のワークの前進を特別な構成要素を追加することなく阻止できる。
【0012】
請求項5に記載された発明では、ワーク分離装置は、押圧手段(15)を下方に付勢する第2付勢手段(19)をさらに具備しており、押圧手段(15)は、上型(5)に対して固定的にではなく上下移動可能に取付けられており、第2付勢手段(19)は、前記押圧手段(15)が昇降台(12)を弾性的に押圧して第1位置に保持するように、第1付勢手段(13)より大きな力を発生するものである。これによれば、例えば押圧手段の長さの製作誤差等の影響を受けることなく分離台の第1位置への位置決めが確実に行われるようになる。また、昇降台(12)の第1位置での保持時間を長くすることが可能となり、搬送装置(2)からワーク載置面(11)へのワーク移動時間が確保でき、型を止めることなく、連続的に動かすことが可能となる。
【0013】
請求項6に記載された発明では、ワーク分離装置は、昇降台(12)に収容されて、第2付勢手段(19)に対抗する力を押圧手段(15)に加える第3付勢手段(22)をさらに具備しており、第3付勢手段(22)は、押圧手段(15)が昇降台(12)を弾性的に押圧して第1位置に保持するように、第1付勢手段(13)より大きな力を発生するものである。これによれば、請求項5に記載された発明よりもさらに製作誤差等の影響を受け難くなり、また、昇降台(12)の第1位置での保持時間をさらに長くすることが可能となる。
【0014】
請求項7に記載された発明では、昇降台(12)は、ワーク載置面(11)上のワーク(W)の搬送方向(A)に直交する方向の位置及び上下方向の位置を規制するワークガイド(23)を備えている。これによれば、昇降台の移動時に振動等による力がワークに作用したとしてもワークは所定の位置からずれることがない。
【0015】
請求項8に記載された発明では、昇降台(12)は、ワーク載置面(11)上のワーク(W)を吸着保持する磁石(24)を備えている。これによれば、昇降台の移動時に振動等による力がワークに作用したとしてもワークは所定の位置からずれることがない。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態によるワーク分離装置及び関連する搬送装置及びプレス加工装置を模式的に示す正面図であり、この図においてワーク分離装置は断面で示され、またその昇降台は低位置の第1位置にある。
【図2】図1のワーク分離装置の昇降台が高位の第2位置にある状態を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるワーク分離装置及び関連する搬送装置及びプレス加工装置を模式的に示す正面図であり、この図においてワーク分離装置1は断面で示され、またその昇降台は低位置の第1位置にある。
【図4】図3のワーク分離装置の昇降台が高位の第2位置にある状態を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態によるワーク分離装置及び関連する搬送装置及びプレス加工装置を模式的に示す正面図であり、この図においてワーク分離装置1は断面で示され、その昇降台は低位置の第1位置にある。
【図6】図5のワーク分離装置の昇降台が高位の第2位置にある状態を示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態によるワーク分離装置の昇降台及び関連する搬送装置及びフィードバー等をワーク搬送方向から見た模式的側面図である。
【図8】本発明の第5実施形態によるワーク分離装置の昇降台及び関連する搬送装置等の模式的正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態によるワーク分離装置を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、ワーク分離装置1及びそれに関連する搬送装置2とプレス加工装置3を模式的に示す正面図であり、この図においてワーク分離装置1は断面で示されている。また、ワークWは、平板状のブランク板材であり、また搬送装置2の搬送面7上に多数個が一列に整列されている。
【0019】
図1に示されるプレス加工装置3は、複数の加工ステーション(不図示)を有する通常のトランスファプレス機械3であり、固定された下型4と、上下に可動する上型5と、ワークWを図の左側から右へ順送する一般的なフィードバー6とを具備している。フィードバー6は、図では1本のみが示されているが搬送方向Aに沿って延びるワークWの搬送軸線に対称に2本設けられており、また各フィードバー6はワークWを把持するためのフィンガー(不図示)を備えている。図1に示されるフィードバー6は、ワークWの把持、右方への前進、ワークWの解放、左方への後進という4段階の運動をプレス方向に直交する平面内で行うように、図示されない駆動装置によって駆動される。
【0020】
図1の搬送装置2は、一般的なベルトコンベヤ2であり、その搬送面7上に整列した一連のワークWを図の左から右へ搬送方向Aで搬送してその下流端でワーク分離装置1に供給するもので、プレス加工工程中は停止することなく常に作動している。また、ベルトコンベヤ2の搬送面7は、フィードバー6あるいは上型5と下型4の分割面よりも下方に配置されている。
【0021】
第1実施形態によるワーク分離装置1は、ワーク載置面11を有する昇降台12と、昇降台12を上方に付勢して持ち上げることのできる圧縮コイルスプリングの形態の第1スプリング13と、ワークWを搬送方向で位置決めするワーク位置決めピン14と、昇降台12を押圧する押圧ピン15と、基礎プレート16と、押圧ピン15の上端部を上型5に固定する押圧ピン固定具17とを具備している。また、前記基礎プレート16は下型4とは独立した固定台8に固定されている(図3、4と同様に、基礎プレート16が下型4に固定されてもよい)。
【0022】
昇降台12は、概ね直方体のブロック状に形成されていて、その上面のワーク載置面11は1枚だけのワークWが載る大きさに設定されている。また内部には第1スプリング13を納めるスプリング収納凹部18と、ワーク位置決めピン14を通す貫通穴とが設けられている。昇降台12は、図1で示される低位置の第1位置と、図2で示される高位置の第2位置との間を上下に円滑に移動できるようにガイドレール(不図示)によってガイドされている。
【0023】
昇降台12の第1位置は、ワーク載置面11がベルトコンベヤ2の搬送面7と同一高さにある位置であり、このとき昇降台12はその底面が基礎プレート16の上面に接することにより位置決めされる。昇降台12の第2位置は、第1位置よりも高い位置であって、フィードバー6のフィンガー(不図示)がワーク載置面11上のワークWを把持できる位置、即ちフィードバー6の前記作動平面とワーク載置面11とがほぼ一致する位置であり、このとき昇降台12は、ガイドレール(不図示)に設けられたストッパ(不図示)に当接して位置決めされる。
【0024】
第1スプリング13は、昇降台12のスプリング収納凹部18に収納されていて、その下端が基礎プレート16により支持され、その上端がスプリング収納凹部18の上端面に接しているので、昇降台12に対して上方への付勢力を与えることができる。
【0025】
ワーク位置決めピン14は、基礎プレート16に立設されていて、昇降台12上のワークの前端の位置決めを行うために、昇降台12の比較的前側部分を上下方向に貫通して延びている。ワーク位置決めピン14は、昇降台12が第1位置にあるとき、ワーク載置面11から突出するが、昇降台12が第2位置にあるとき、その先端がワーク載置面11より突出しない長さに設定されている。なお、ワーク位置決めピン14は、図1及び図2では1本のみが表されるが、実際には搬送軸線に対称に2本設けられている。
【0026】
押圧ピン15は、上型5に固定された押圧ピン固定具17にその上端部が固定されて鉛直下方に延びていて、上型5が最低位置にあるとき、その先端が昇降台12を第1位置に押えつけることができる長さを有している。
【0027】
次に、第1実施形態によるワーク分離装置1がどのように作動するかについて説明する。
図1は型が閉じた状態、即ち上型5が最低位置にある状態を示しているが、このときフィードバー6は、図の右方の前進位置にあって上型5に挟まれないように退避されており、昇降台12は押圧ピン15によって第1位置に押さえ付けられていて、従って第1スプリング13は圧縮された状態にあり、ワーク位置決めピン14がワーク載置面11より突出する。また昇降台12のワーク載置面11上には1枚のワークWが載っており、このワークWは後続するワークWから押されているが、ワーク位置決めピン14によって前進を阻止されて、搬送方向Aにおいて位置決めされている。
【0028】
次に、プレス加工装置3による一工程の加工が終わると、上型5及び従って押圧ピン15が上昇し始め、その結果昇降台12も第1スプリング13の力によって上方へ持ち上げられ、従って昇降台12のワーク載置面11上の1枚のワークWが、ベルトコンベヤ2の搬送面7上の後続するワークWから上方へ切り離される。昇降台12が第2位置に達すると昇降台12はストッパ(不図示)に当接するのでそれより上方へは移動せず、またそのときから押圧ピン15の先端が昇降台12から離れ始める。また、昇降台12が上昇し始めると、ベルトコンベヤ2の搬送面7上の一連のワークWの先頭のワークは、その前端が昇降台12のベルトコンベヤ2側(図の左側)の側面に当接することによって前進を阻止される。
【0029】
上型5がさらに上昇して、図2に示される最高位置に達したとき、フィードバー6は図の左方の後進した位置に戻され、さらにフィードバー6は、加工ステーションで加工された少なくとも一つの図示しないワークと共に昇降台12上のワークWをそのフィンガ(不図示)で把持するために二本の間隔が縮小される。そのときワーク位置決めピン14は昇降台12のワーク載置面11から突出していないので、フィードバー6の運動を妨げることはない。
【0030】
次に、ワークWを把持したフィードバー6は図の右方へ前進してワークWを型内の第1の加工ステーションへ搬送してワークWを解放した後、二本の間隔を広げて上型5の移動経路から退避する。
【0031】
次に、上型5が下降し始めてある高さまで下降すると、押圧ピン15の先端が第2位置にある昇降台12を押圧し始める。上型5が図1に示される最低位置に達すると昇降台12は押圧ピン15と基礎プレート16により挟まれて第1位置に位置決めされて、昇降台12のワーク載置面11とベルトコンベヤ2の搬送面7の高さが一致する。そうするとベルトコンベヤ2上の一連のワークWの先頭のワークは、その前進を阻止していた昇降台12の側面が下方に移動して除かれるので、図1に示されるように、昇降台12のワーク載置面11上に移動してワーク位置決めピン14により位置決めされる。
【0032】
このようにして、一連のワークWから一つのワークWが分離され、フィードバー6による把持に適した位置まで移動され、後続の分離されるべきワークWが準備されるというワーク分離装置1の作動の一サイクルが完了する。
【0033】
次に、第2実施形態によるワーク分離装置102について図3及び図4を参照して説明する。
第2実施形態によるワーク分離装置102では、昇降台12の第1位置への位置決めに関係する各部材の製作誤差の補償範囲を拡大することにより第1位置への位置決めの精度を高めること、また、昇降台12の第1位置での保持時間を長くすることにより、搬送装置2からワーク載置面11へのワーク移動時間を確保することを目的として、押圧ピン15は昇降台12を弾性的に押圧する構造となっている。そのため、第2実施形態によるワーク分離装置102は、圧縮コイルスプリングの形態の第2スプリング19をさらに具備すること及び押圧ピン15が上下移動可能に上型5に取り付けられることにおいて第1実施形態のワーク分離装置1とは異なっている。その他の構成は、基礎プレート16が下型4に固定されていることを除いて第1実施形態に同様である。
【0034】
第2実施形態によるワーク分離装置102では、第2スプリング19を収容すると共に押圧ピン15の上端部側を滑動可能に収容する有底円筒状のスプリング収納シリンダ20と、それを閉じる蓋部21とが設けられる。前記スプリング収納シリンダ20は、押圧ピン15の拡径した上端部が滑動可能であるような内径を有しており、またその下端部には押圧ピン15が挿通可能な穴が設けられている。スプリング収納シリンダ20は、それに押圧ピン15を通して第2スプリング19を収容してから蓋部21に固定された後に上型5に固定される。
【0035】
また、第2スプリング19は、上型5が最低位置に下降したとき押圧ピン15を介して昇降台12を第1位置に押さえ付けることができる力、つまり第1スプリング13より大きな力を発生するように、ばね定数及びたわみが設定されている。
【0036】
このように構成されているので、例えば押圧ピン15の長さの製造誤差の影響を受けることなく昇降台12を基礎プレート16に完全に密着させることが可能になり、その結果昇降台12の第1位置への位置決め精度が高められる。また、昇降台12の第1位置での保持時間を長くすることが可能となり、搬送装置2からワーク載置面11へのワーク移動時間が確保でき、型を止めることなく、連続的に動かすことが可能となる。
【0037】
次に第3実施形態によるワーク分離装置103を図5及び図6を参照して説明する。
第3実施形態によるワーク分離装置103は、昇降台12の第1位置への位置決めに関係する各部材の製作誤差の補償可能範囲を第2実施形態のものよりさらに拡大し、また、昇降台12の第1位置での保持時間を長くすることにより、搬送装置2からワーク載置面11へのワーク移動時間を第2実施形態のものよりさらに確保するために、圧縮コイルスプリングの形態の第3スプリング22をさらに具備している。その他の構成は第2実施形態のワーク分離装置102と同様である。
【0038】
第3実施形態によるワーク分離装置103では、第3スプリング22は、上型5が下降したとき、第2スプリング19に対抗する力を押圧ピン15の下端に加えることができるように昇降台12に収納されていて、上型5が上昇したとき、第3スプリング22は伸長するがその上端は昇降台12のワーク載置面11より突出しない長さとなっている。また、第3スプリング22は、上型5が最低位置に下降したとき、第1スプリング13より大きな力を発生するように、ばね定数及びたわみが設定されている。
【0039】
次に、第4実施形態によるワーク分離装置104を図7を参照して説明する。なお、図7は昇降台12が第2位置にあるとき、ベルトコンベヤ2側から搬送方向で昇降台12等を見た図であり、ワーク分離装置104の一部の構成を示すものである。
【0040】
図7で示されるワークWは、今まで説明した板状のブランク板材ではなく、段付き円筒状のものであって、上側の本体部Waと、本体部Waより大径の下側のフランジ部Wbとを有している。また、第4実施形態のワーク分離装置104は、昇降台12の搬送方向に沿う両側に対称に二つのワークガイド23を具備していることで前述の各実施形態のワーク分離装置と異なっている。
【0041】
各ワークガイド23は、互いにほぼ垂直に交わる鉛直部23a及び水平部23bからなる棒状部材として形成されていて、ワークWのフランジ部Wbが水平部23bの下に収まる寸法で作られている。また、両方のワークガイド23の水平部23bの解放端部の間にワークWの本体部Waが位置するので、昇降台12の昇降時に発生することがある振動等がワークWに作用したとしてもワークWの図の左右方向へのずれ及び上方への跳ね上がりがワークガイド23によって阻止され、所定の位置が常に維持される。従って、フィードバー6のフィンガー6aは第2位置においてワークWを常に確実に把持することが可能になる。また、フィードバー6がそのフィンガー6aでワークWの本体部Waを把持して搬送方向Aに沿って前進するので、ワークWはワークガイド23及び昇降台12から離脱せしめられる。
【0042】
次に、第5実施形態によるワーク分離装置105を図8を参照して説明する。なお、図8は昇降台12が第2位置にあるときの昇降台12を中心にして描いた正面図であり、ワーク分離装置105の一部の構成を示すものであり、また昇降台12は断面で描かれている。
【0043】
第5実施形態によるワーク分離装置105の昇降台12は、ワークWを吸着するための磁石を備えている。磁石は、ワーク位置決めピン14よりもベルトコンベヤ2側で、ワーク載置面11より突出しないようにワーク載置面11に埋め込まれている。このため、昇降台12の昇降時に振動等がワークWに作用したとしてもワークWは磁石により吸着保持されて所定位置からずれることがない。
【符号の説明】
【0044】
2 ベルトコンベヤ
3 プレス加工装置
4 下型
5 上型
6 フィードバー
12 分離台
13 第1スプリング
14 ワーク位置決めピン
15 押圧ピン
16 基礎プレート
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置(2)の搬送面(7)上に整列されて搬送される一連のワーク(W)から、プレス加工装置(3)で加工されるべきワーク(W)を分離するためのワーク分離装置であって、
ワーク載置面(11)を有する昇降台(12)にして、前記搬送装置(2)の前記搬送面(7)と前記ワーク載置面(11)とが同一高さにある第1位置と該第1位置より高位の第2位置との間を往復移動可能に構成された昇降台(12)と、
前記昇降台(12)を上方に付勢する第1付勢手段(13)と、
前記昇降台(12)が前記第1位置にあるとき、前記ワーク載置面(11)上のワーク(W)を搬送方向(A)で位置決めをするワーク位置決め手段(14)と、
前記プレス加工装置(3)の上下に移動する上型(5)に固定的に取付けられている押圧手段(15)にして、前記上型(5)が下降したとき前記昇降台(12)を前記第1位置に押さえつけ、前記上型(5)が上昇したとき前記昇降台(12)を解放して前記第2位置までの移動を許容する押圧手段(15)と、を具備することを特徴とするワーク分離装置。
【請求項2】
前記ワーク位置決め手段(14)は、前記昇降台(12)が前記第1位置にあるとき、前記昇降台(12)の前記ワーク載置面(11)上に突出しているが、前記昇降台(12)が前記第2位置にあるとき前記ワーク載置面(11)から突出しないことを特徴とする、請求項1に記載のワーク分離装置。
【請求項3】
前記プレス加工装置(3)は、ワーク(W)を把持して該プレス加工装置(3)内部に搬送するフィードバー装置(6)を備えており、
前記昇降台(12)が前記第2位置にあるとき、前記フィードバー装置(6)が前記昇降台(12)の前記載置面(11)上のワーク(W)を把持できるように、前記第2位置が設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のワーク分離装置。
【請求項4】
前記昇降台(12)が前記搬送方向(A)を横切る方向に延びる側面を有しており、
前記昇降台(12)が前記第1位置から離脱すると、前記昇降台(12)の前記側面によって、前記搬送装置(2)の前記搬送面(7)上の先頭のワーク(W)の前進が阻止されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク分離装置。
【請求項5】
前記押圧手段(15)を下方に付勢する第2付勢手段(19)をさらに具備する請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク分離装置であって、
前記押圧手段(15)は、前記上型(5)に対して固定的にではなく上下移動可能に取付けられており、
前記第2付勢手段(19)は、前記押圧手段(15)が前記昇降台(12)を弾性的に押圧して前記第1位置に保持するように、前記第1付勢手段(13)より大きな力を発生することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク分離装置。
【請求項6】
前記昇降台(12)に収容されて、前記第2付勢手段(19)に対抗する力を前記押圧手段(15)に加える第3付勢手段(22)をさらに具備する請求項5に記載のワーク分離装置であって、
前記第3付勢手段(22)は、前記押圧手段(15)が前記昇降台(12)を弾性的に押圧して前記第1位置に保持するように、前記第1付勢手段(13)より大きな力を発生することを特徴とする、請求項5に記載のワーク分離装置。
【請求項7】
前記昇降台(12)が、前記ワーク載置面(11)上のワーク(W)の前記搬送方向(A)に直交する方向の位置及び上下方向の位置を規制するワークガイド(23)を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のワーク分離装置。
【請求項8】
前記昇降台(12)が、前記ワーク載置面(11)上のワーク(W)を吸着保持する磁石(24)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のワーク分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−143443(P2011−143443A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5897(P2010−5897)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(599099076)株式会社ニッパ (2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】