説明

ワーク把持具

【課題】ワークの脱落を低減することができると共に、汎用性を向上させることができるワーク把持具を提供すること。
【解決手段】ワーク40の穴41に挿入されるものであり穴41の軸方向に延びる筒部11と筒部11の端部が複数に分割された分割部12とを有する内パイプ10と、穴41の開口幅よりも小さく、かつ内パイプ10の開口幅よりも大きい突状部21を有する棒部材20とを備え、内パイプ10及び棒部材20の一部が穴41に挿入される前の状態では突状部21は内パイプ10外に配置され、内パイプ10及び棒部材20の一部が穴41に挿入された状態では棒部材20が穴41への挿入方向とは反対方向に移動することによって突状部21は内パイプ10内に配置され、突状部21によって分割部12が押し広げられ、この分割部12によってワーク40を把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴が形成されたワークを把持するワーク把持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワーク把持具として特許文献1に示すものがあった。特許文献1に示すワーク把持具は、ワークを吸着保持する複数の吸着パッドを設け、その吸着パッドにてワークを把持するものである。
【特許文献1】特開2002−120186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示すワーク把持具は、ワークに平坦な面があればワークを把持することができ、ある程度汎用性があるものである。しかしながら、特許文献1に示すワーク把持具は、ワークの吸着面が小さいときには、保持力(吸着力)も弱くなり、周囲の工具などに当たるとワークが落下する可能性がある。また、特許文献1に示すワーク把持具は、吸着面に少しでも隙間が生じるとワークを把持することができない。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、ワークの脱落を低減することができると共に、汎用性を向上させることができるワーク把持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載のワーク把持具は、穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、穴に挿入されるものであり、穴の軸方向に延びる筒形状をなし、穴への挿入方向側の端部に穴の軸方向に延びる切り込みによって複数に分割された分割部を有する第一部材と、少なくとも一部が第一部材内に穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置され、穴の開口幅よりも小さく、かつ第一部材の開口幅よりも大きい突状部を有する第二部材とを備え、第一部材と第二部材とが穴に挿入された状態において、第一部材と第二部材とが穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって突状部が第一部材の分割部に接触することとなって突状部によって分割部が押し広げられ、分割部によってワークを把持できる状態とすることを特徴とするものである。
【0006】
このように、ワークの穴に挿入された状態で押し広げられた分割部にてワークを把持するため、ワークが落下する可能性を低減することができる。また、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持するので、ワークに必要な構成は穴のみである。この穴は、ワークに形成されている可能性が比較的高い。また、穴が形成されていないワークであっても、穴を形成するのは比較的容易である。したがって、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持することによって汎用性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に示すように、第一部材の外部に設けられ、突状部によって押し広げられた分割部と共にワークを挟み込む第三部材を備えるようにしてもよい。このようにすることによって、安定してワークを把持することができる。
【0008】
また、第三部材は、請求項3又は請求項4に示すように、第一部材と一体に設けられるようにしてもよいし、もしくは、第一部材と別体に設けられるようにしてもよい。
【0009】
また、請求項5に示すように、第一部材及び第二部材は、第二部材の挿入方向とは反対方向への移動に連動して第一部材を挿入方向とは反対方向へ移動させる連動機構を有するようにしてもよい。このようにすることによって、分割部と第三部材とでワークを挟む力を増加させることができ、より一層安定してワークを把持することができる。
【0010】
また、請求項6に示すように、第一部材及び第二部材は、第二部材を挿入方向とは反対方向へ移動させる力が所定の力に達すると、第一部材が第二部材の移動に連動するのを解除する解除機構を備えるようにしてもよい。
【0011】
このようにすることによって、第二部材を移動させる力は、所定の力に達すると、第一部材には作用しなくなる、もしくは、作用する力を低減することができる。
【0012】
また、請求項7に示すように、第三部材における前記ワークとの接触面は、粗し加工されてなるようにしてもよい。このようにすることによって、第三部材がワーク表面にて回転したりずれたりすることを防止でき、より一層安定してワークを把持することができる。
【0013】
また、請求項8に示すように、分割部の根元は、第一部材の軸方向の位置が第三部材におけるワークとの接触面と略同じ位置、もしくは、接触面よりも突出した位置に配置されるようにしてもよい。このようにすることによって、分割部が突状部によって押し広げられる際に第三部材に接触することを抑制でき、確実にワークを把持することができる。
【0014】
また、請求項9に示すように、第三部材は筒形状をなし、分割部は、第三部材の内周面と離間して設けられるようにしてもよい。このようにすることによっても、分割部が突状部によって押し広げられる際に第三部材に接触することを抑制でき、確実にワークを把持することができる。
【0015】
また、請求項10に示すように、分割部は、開口端部から徐々に開口面積が小さくなるテーパー部を有するようにしてもよい。このようにすることによって、分割部を押し広げられやすくすることができる。
【0016】
また、請求項11に示すように、突状部は、穴への挿入方向側に尖った錐体である先端部を備えるようにしてもよい。このようにすることによって、第二部材を穴に挿入しやすくすることができる。
【0017】
また、請求項12に示すように、突状部は、側面が穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状である第一部材の分割部に接触する押圧部を備えるようにしてもよい。このようにすることによって、分割部を押し広げやすくすることができる。
【0018】
また、請求項13に示すように、突状部の最大外形部は、穴の軸に対して垂直方向に分割部よりも外側に突出した形状をなすようにしてもよい。このようにすることによって、第一部材及び第二部材を穴に挿入する際に、分割部が穴に引っかかることを防止することができる。
【0019】
また、請求項14に示すように、第一部材及び第二部材が穴に挿入された状態で第二部材が穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによって突状部が第一部材の分割部に接触して分割部を押し広げることができる。
【0020】
また、請求項15に示すように、第一部材及び第二部材が穴に挿入された状態で第一部材が穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによっても突状部が第一部材の分割部に接触して分割部を押し広げることができる。
【0021】
また、請求項16に示すように、穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、穴に挿入されるものであり、穴の軸方向に延びる筒形状をなし、穴への挿入方向側の端部に他の部分よりも内径が小さく、穴の軸方向に延びる切り込みによって複数に分割された分割部を有する第一部材と、少なくとも一部が第一部材内に穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置され、分割部の開口幅よりも大きい第二部材とを備え、第一部材と第二部材とが穴に挿入された状態において、第一部材と第二部材とが穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって第二部材と第一部材の分割部とが接触することとなって第二部材によって分割部が押し広げられ、分割部によってワークを把持できる状態とすることを特徴とするワーク把持具。
【0022】
このようにすることによっても、ワークの穴に挿入された状態で押し広げられた分割部にてワークを把持するため、ワークが落下する可能性を低減することができる。また、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持するので、ワークに必要な構成は穴のみである。この穴は、ワークに形成されている可能性が比較的高い。また、穴が形成されていないワークであっても、穴を形成するのは比較的容易である。したがって、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持することによって汎用性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項17乃至請求項22に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項2乃至請求項7に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【0024】
また、請求項23に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項9に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【0025】
また、請求項24に示すように、分割部は、開口端部から徐々に開口面積が大きくなるテーパー部を有するようにしてもよい。このようにすることによって、分割部を押し広げやすくすることができる。
【0026】
また、請求項25に示すように、第二部材は、穴への挿入方向側に尖った先端部を備えるようにしてよもよい。このようにすることによっても、分割部を押し広げやすくすることができる。
【0027】
また、請求項26に示すように、先端部は、側面が穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状としてもよい。このようにすることによっても、分割部を押し広げられやすくすることができる。
【0028】
請求項27及び請求項28に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項14及び請求項15に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【0029】
また、請求項29に示すように、少なくとも分割部を穴の軸方向に移動可能な状態で囲い、少なくとも分割部を囲った状態で穴に挿入される保護パイプを有するようにしてもよい。
【0030】
このようにすることによって、第一部材を穴に挿入する際に、分割部がワークの端部(穴の開口端部)に接触することを抑制できる。したがって、分割部がワークの端部に接触して破損することを抑制することができる。
【0031】
また、請求項30に示すように、第一部材もしくは保護パイプにおける穴の側面に対向する位置は、テーパー形状をなすようにしてもよい。
【0032】
このようにすることによって、ワーク把持具をワークの穴から引き上げる(引き抜く)際に、第一部材や保護パイプが穴の側壁に接触した場合であっても、ワークを一緒に引き上げることを抑制することができる。
【0033】
また、請求項31に示すように、ワーク把持具は、穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、穴に挿入されるものであり、互いに離間して配置される複数のワイヤーと、複数のワイヤーを保持する保持部材とを有する第一部材と、第一部材の一部が穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置される筒状部材と、筒状部材の先端にもうけられ穴への挿入方向側に行くに連れて深さが浅くなるテーパー状をなし複数のワイヤーに対応する複数の溝を有する先端部材とを有する前記第二部材とを備え、第一部材と第二部材とが穴に挿入された状態において、第一部材と第二部材とが前記穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって先端部材の複数の溝によって複数のワイヤーが押し広げられ、複数のワイヤーによってワークを把持できる状態とすることを特徴とするものである。
【0034】
このようにすることによっても、ワークの穴に挿入された状態で押し広げられたワイヤーにてワークを把持するため、ワークが落下する可能性を低減することができる。また、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持するので、ワークに必要な構成は穴のみである。この穴は、ワークに形成されている可能性が比較的高い。また、穴が形成されていないワークであっても、穴を形成するのは比較的容易である。したがって、ワークに形成された穴に第一部材、第二部材を挿入してワークを把持することによって汎用性を向上させることができる。
【0035】
なお、請求項32乃至請求項37に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項2乃至請求項7に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【0036】
なお、請求項38及び請求項39に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項10及び請求項11に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【0037】
なお、請求項40に記載のワーク把持具における作用、効果に関しては、請求項30に記載のワーク把持具における作用、効果と同様であるため説明を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。図3(a)〜(d)は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。なお、本実施の形態におけるワーク把持具は、生産ラインなどにおいて、コンピュータなどを備えた制御装置によってプログラム制御されてワークを把持、搬送するものである。
【0039】
図1及び図2に示すように、本実施の形態におけるワーク把持具は、穴41が形成されたワーク40を把持するものであり、内パイプ(第一部材)10と、少なくとも一部が内パイプ10内に穴41の軸方向に移動可能な状態で配置される棒部材(第二部材)20と、内部に穴41の軸方向に移動可能な状態で内パイプ10の少なくとも一部を保持する外パイプ(第三部材)30とを備える。
【0040】
内パイプ10は、超弾性金属など、棒部材20に対して容易に弾性変形し易い材料からなるものであり、ワーク40の穴41の軸方向に延びる筒部11と、筒部11における穴41への挿入方向側(図1では下側)の端部に穴41の軸方向に延びるスリット(切り込み)12aによって複数(図2では3つ)に分割された分割部12と、分割部12とは反対側(図1では上側)の端部に内パイプ天井部14(連動機構)とを有する。分割部12は、開口端部から徐々に開口面積が小さくなるテーパー部13を備える。また、内パイプ天井部14と後ほど説明する外パイプ天井部33との間には、内パイプ10を穴41への挿入方向側(図1では下側)へ押圧する第二バネ15が設けられる。
【0041】
なお、内パイプ10は、後ほど説明するように、分割部12が棒部材20の突状部21によって押し広げられ、突状部21からの押圧力がなくなると略元の形状に戻る必要があるため、超弾性金属で形成するのが好ましい。しかし、超弾性金属に限定されるものではなく、分割部12が棒部材20の突状部21によって押し広げられ、突状部21からの押圧力がなくなると略元の形状に戻ることが可能な材料であればよい。
【0042】
棒部材20は、穴41の開口幅(面積)よりも小さく、かつ内パイプ10の開口幅(面積)よりも大きい突状部21と、突状部21と連結し内パイプ10の軸方向に伸びる棒部25と、棒部25の突状部21とは反対側に設けられる棒部材20を移動させるための取手部26(連動機構)とを有する。また、取手部26と後ほど説明する外パイプ天井部33との間には、棒部材20を穴41への挿入方向側(図1では下側)へ押圧する第一バネ27が設けられる。棒部材20は、図示しないアクチュエーターなどによって停止位置から把持位置まで引き上げられたり、この引き上げを解除されたりする。なお、棒部材20は、引き上げを解除されると、第一バネ27、第二バネ15の押圧力によって停止位置に戻る。なお、停止位置とは、図1などに示すように、突状部21が内パイプ10外に配置し、内パイプ10を押圧していない位置である。また、把持位置とは、図3(c)、(d)に示すように、突状部21が内パイプ10内に配置し、内パイプ10を押圧して押し広げている位置である。
【0043】
突状部21は、穴41への挿入方向側(図1では下側)に尖った錐体である先端部22と、側面が穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状の柱体である押圧部23と、先端部22と押圧部23との境界部であり平面方向の大きさが最大となる最大外形部24を備える。この最大外形部24は、穴41の軸に対して垂直方向に分割部12よりも外側に突出した形状をなすものである。そして、突状部21は、押圧部23側で棒部25と連結される。また、押圧部23の側面は、内パイプ10のテーパー部13に対応する形状をなすものである。
【0044】
なお、突状部21は、先端部22である錐体と、押圧部23である柱体とが接続されたような形状をしているものの、別体に設けた錐体と柱体とを接続したものに限定されるものではなく、錐体と柱体とが接続したような部材を一体に設けてもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、突状部21は、先端部22と押圧部23とを設ける例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、穴41の開口幅(面積)よりも小さく、かつ内パイプ10の開口幅(面積)よりも大きければ本発明の目的は達成できるものである。
【0046】
また、本実施の形態においては、突状部21は、最大外形部24が穴41の軸に対して垂直方向に分割部12よりも外側に突出する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、穴41の開口幅(面積)よりも小さく、かつ内パイプ10の開口幅(面積)よりも大きければ本発明の目的は達成できるものである。
【0047】
外パイプ30は、内パイプ10の分割部12と共にワーク40を挟み込むものであり、ワーク40の穴41の軸方向に延び穴41の開口面積よりも大きい筒部31と、筒部31における穴41への挿入方向側(図1では下側)の端部にワーク40と接触する接触面32と、接触面32とは反対側(図1では上側)の端部に外パイプ天井部33とを有する。また、接触面32は、粗し加工することによって、外パイプ30がワーク40表面にて回転したりずれたりすることを防止でき、より一層安定してワークを把持することができるので好ましい。
【0048】
このようなワーク把持具は、図示しない制御装置によってプログラム制御されて動作するものである。例えば、ワーク把持具は、搬送装置(図示省略)の一部に接続され、この搬送装置が制御装置からの制御信号に基づいて動作することによって、ワーク40の搬送元に対応する位置とワーク40の搬送先に対応する位置との間で移動する。また、棒部材20は、取手部26にアクチュエーター(図示省略)などが機械的に接続され、このアクチュエーターが制御装置からの制御信号に基づいて取手部26を動作させることによって引き上げられたり、この引き上げを解除されたりする。そして、棒部材20の引き上げによってワーク40が把持され、棒部材20の引き上げの解除によってワーク40がワーク把持具から開放される。
【0049】
なお、ワーク40は、統一された穴41が形成された、プリント基板やプリント基板に回路部品が実装された回路基板などである。ワーク40としては、穴41が形成されているものであれば特に限定されるものではないが、穴径や穴形状などが統一された穴を有するワークであると好ましい。この点に関して、本実施の形態で用いたプリント基板や回路基板は、統一された穴を有していない場合であっても、統一された穴を設けるのは比較的容易、すなわち、意匠的、機能的に問題が少ない。
【0050】
ここで、本実施の形態におけるワーク把持具の動作に関して説明する。
【0051】
まず、図3(a)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入する前は、棒部材20は、停止位置にある。したがって、棒部材20の突状部21は、内パイプ10外に配置し、内パイプ10を押圧していない位置にある。
【0052】
次に、図3(b)に示すように、ワーク把持具の一部、すなわち外パイプ30よりも下側にある部材であり内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21をワーク40の穴41に挿入する。このとき、突状部21が錐体である先端部22を備えるため、ワーク把持具と穴41との位置がずれたとしても、ワーク把持具(内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21)を穴41に挿入しやすくすることができる。
【0053】
また、突状部21の最大外形部24を穴41の軸に対して垂直方向に分割部12よりも外側に突出した形状をなすようにしているため、ワーク把持具(内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21)を穴41に挿入する際に、分割部12が穴41に引っかかることを防止することができる。
【0054】
次に、図3(c)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を内パイプ10の内パイプ天井部14の位置まで引き上げる、すなわち、棒部材20を穴41への挿入方向とは反対方向に移動させる(把持位置)。これによって、突状部21は、内パイプ10内に移動し、押圧部23が分割部12を押圧することとなる。したがって、分割部12は、突状部21(押圧部23)によって押し広げられ、ワーク40の裏面側(図3では下側)、すなわちワーク把持具が挿入される側とは反対側でワーク40に引っかかり(図3(c)、(d))、抜け止めすることによってワーク40を把持する。このように、ワーク40の穴に挿入された状態で押し広げられた分割部12にてワーク40を把持するため、ワーク40がワーク把持具から落下する可能性を低減することができる。
【0055】
このとき、分割部12は、開口端部から徐々に開口面積が小さくなるテーパー部13を有するため、突状部21(押圧部23)によって押し広げられやすくすることができる。さらに、突状部21は、側面が穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状の柱体である押圧部23を有するため分割部12を押し広げやすくすることができる。
【0056】
そして、図3(d)に示すように、把持位置にある棒部材20を更に引き上げる、すなわち、棒部材20を穴41への挿入方向とは反対方向に移動させる。これによって、棒部材20は、内パイプ天井部14に接触した状態で引き上げられる。したがって、内パイプ10は、棒部材20の移動に連動して、穴41への挿入方向とは反対方向に移動する。このとき、内パイプ10は、ワーク40の裏面に引っかかった状態で穴41への挿入方向とは反対方向に移動するため、ワーク40も内パイプ10及び棒部材20と同じ方向に移動する。そして、棒部材20をワーク40が外パイプ30の接触面32に接触する位置まで引き上げる。このようにして、外パイプ30の接触面32がワーク40に接触し、外パイプ30と内パイプ10の分割部12によってワーク40を挟み込む。このようにすることによって、分割部12と外パイプ30とでワーク40を挟み込むので、ワーク40を安定して把持することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を内パイプ10の内パイプ天井部14の位置まで引き上げることによって、ワーク40を把持する例を用いて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を内パイプ10の内パイプ天井部14の位置まで引き上げるのではなく、内パイプ10を分割部12が突状部21に当るように押し出して分割部12を押し広げるようにしてもよい。このようにしてもワーク40を把持することができる。
【0059】
つまり、先端がその径方向に拡大した形状の突状部21を有する棒部材20と、先端がその軸方向にそって分割している内パイプ10とが、内パイプ10の分割部12が棒部材20の突状部21から離れていることで閉じている、つまり内パイプ10の分割部12は軸方向と平行になっていて径方向への広がりがない状態となっている。
【0060】
一方、相対的に内パイプ10と棒部材20とが位置を変えることで内パイプ10の分割部12が棒部材20の突状部21に接触するようになり、徐々に分割部12が径方向に開いている。つまり内パイプ10の分割部12は、軸方向に対しその先端に向かうにつれ内パイプ10のそれぞれの分割部12が互いにその相対距離が増えている状態となっている。
【0061】
すなわち、内パイプ10、棒部材20のどちらが動いても相対的に内パイプ10の分割部12と棒部材20の突状部21とが接触するよう位置を変異させるようになっていれば良い。
【0062】
なお、内パイプ10の各分割部12の先端は、よりその肉厚が厚いと棒部材20の突状部21に当たって広がる割合が強くなる。
【0063】
また、本実施の形態においては、ワーク40の穴41は、貫通穴である例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、ワーク40の穴41は、非貫通穴であってもよい。穴41が貫通穴である場合、分割部12が穴41を貫通している状態において、突状部21によって押し広げられることによって、ワーク40の裏面側(図3では下側)、すなわちワーク把持具が挿入される側とは反対側でワーク40に引っかかり(図3(c)、(d))、抜け止めすることによってワーク40を把持する。これに対して、穴41が非貫通穴である場合は、分割部12が突状部21によって押し広げられることによって、非貫通穴の内周面を押圧することによって、ワーク40を把持する。
【0064】
(変形例1)
また、変形例1として、内パイプ100の分割部120の根元部110a(切れ込みの基点)を外パイプ30と略同じ位置、もしくは外パイプ30よりも下側に配置してもよい。図4(a)〜(c)は、本発明の変形例1におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。なお、変形例1におけるワーク把持具は、上述の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通する部分に関しては上述の実施の形態と同じ符号を付与して説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。変形例1において、上述の実施の形態と異なる点は分割部120の根元部110aの位置である。
【0065】
図4(a)に示すように、分割部120の根元部110aは、内パイプ10の軸方向の位置が外パイプ30におけるワーク40との接触面32と略同じ位置、もしくは、接触面32よりも突出した位置に配置されるようにする。
【0066】
このようにすることによって、図4(b)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を把持位置まで引き上げた場合でも、すなわち、分割部120が突状部21によって押し広げられた場合でも、分割部120が外パイプ30に接触することを抑制することができる。したがって、分割部120が外パイプ30に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40を確実に把持することができる。
【0067】
さらに、図4(c)に示すように、内パイプ100を引き上げた場合でも分割部120の根元部110aは、内パイプ10の軸方向の位置が外パイプ30におけるワーク40との接触面32と略同じ位置、もしくは、接触面32よりも突出した位置に配置されるようにすると好ましい。すなわち、このようにすることによって、内パイプ100を引き上げた時点でも分割部120が外パイプ30に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40をより確実に把持することができる。
【0068】
(変形例2)
また、変形例2として、内パイプ200の分割部220の根元部(切れ込みの基点)に段差部210aを設けるようにしてもよい。図5は、本発明の変形例2におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。なお、変形例2におけるワーク把持具は、上述の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通する部分に関しては上述の実施の形態と同じ符号を付与して説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。変形例2において、上述の実施の形態と異なる点は段差部210aを設ける点である。
【0069】
図5に示すように、内パイプ200の筒部210は、外パイプ30と接触するように設け、分割部220は外パイプ30と離間して設ける。すなわち、内パイプ200は、分割部220の根元部(切れ込みの基点)に筒部210の外周面から内パイプ200の軸方向に凹む段差部210aを設ける。
【0070】
このようにすることによって、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を把持位置まで引き上げた場合でも、すなわち、分割部220が突状部21によって押し広げられた場合でも、分割部220は外パイプ30に接触することを抑制することができる。したがって、分割部220が外パイプ30に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40を確実に把持することができる。
【0071】
また、内パイプ200を引き上げた場合でも、分割部220が外パイプ30に接触することを抑制することができる。したがって、分割部220が外パイプ30に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40を確実に把持することができる。
【0072】
(変形例3)
また、変形例3として、内パイプ10と外パイプ30とは一体で設けてもよい。図6は、本発明の変形例3におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。なお、変形例3におけるワーク把持具は、上述の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通する部分に関しては上述の実施の形態と同じ符号を付与して説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。変形例3において、上述の実施の形態と異なる点はパイプ300を備える点である。
【0073】
すなわち、図6に示すように、内パイプ10と外パイプ30とを一体に設けたパイプ300は、ワーク40の穴41の軸方向に延びる筒部310、筒部310の一端部に形成されワーク40に接触する接触面320、筒部310の一端部に形成される超弾性金属などからなる分割部330を備える。このようにしても、本発明の目的は達成できるものである。
【0074】
また、分割部330の根元部は、パイプ300の軸方向の位置が接触面320と略同じ位置、もしくは、接触面320よりも突出した位置に配置されるようにすると好ましい。このようにすることによって、棒部材20を把持位置まで引き上げた場合でも、分割部330は接触面320の端部に接触することを抑制することができる。したがって、分割部330が接触面320の端部に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40を確実に把持することができる。
【0075】
また、分割部330は、接触面320の端部と離間して設けると好ましい。このようにすることによって、棒部材20を把持位置まで引き上げた場合でも、分割部330は接触面320の端部に接触することを抑制することができる。したがって、分割部330が接触面320の端部に接触して変形することを抑制することができ、ワーク40を確実に把持することができる。
【0076】
(変形例4)
また、変形例4として、内パイプ400aと棒部材20aとの構造的を逆にしたような構造としても良い。図7(a)〜(b)は、本発明の変形例4におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。なお、変形例4においては、上述の実施の形態及び変形例1乃至変形例3と同様な部分が多いため、異なる部分を重点的に説明する。
【0077】
つまり、図7(a)に示すように、内パイプ400aは、ワーク40の穴41の軸方向に延びる筒形状をなし、穴41への挿入方向側の端部に他の部分(筒部410)よりも内径が小さく、穴の軸方向に延びる切り込みによって複数に分割された分割部420を備える。一方、棒部材20aは、分割部420の開口幅よりも大きく先端部がテーパー状に尖った形状をなすものである。
【0078】
このような内パイプ400aと棒部材20aとによってワーク40を把持する場合、図7(b)に示すように、内パイプ400aと棒部材20aとがワーク40の穴41に挿入された状態において、穴41へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって内パイプ400aと棒部材20aとが接触することとなって棒部材20aによって分割部420が押し広げられ、分割部420によってワーク40を把持するものである。つまり、分割部420は、棒部材20aによって押し広げられ、ワーク40の裏面側、すなわちワーク把持具が挿入される側とは反対側でワーク40に引っかかり、抜け止めすることによってワーク40を把持する。
【0079】
換言すると、変形例4においては、ワーク40を保持しない状態では、棒部材20aは内パイプ400aの軸方向の奥のほうに位置しており、かつ内パイプ400aの分割部420の先端部は、内パイプ400aの筒部410の肉厚に比べ厚くなるよう肉厚に形成されている。つまり、棒部材20aは、内パイプ400aの分割部420の筒部410に隣接するようわずかな空間を隔てて囲われるように配置されている。
【0080】
一方、ワーク40を保持する状態、つまり内パイプ400aがワーク40の穴41に挿入され、その後、内パイプ400と棒部材20aとの位置が相対的に変位し、結果、棒部材20aが内パイプ400aの各分割部420の先端の肉厚部に接触し、図7(b)に示すように、内パイプ400aの分割部420が外側、あるいは径方向に開くこととなる。
【0081】
また、棒部材20aは、穴41への挿入方向側に尖った先端部を備えるようにすることによって、分割部420を押し広げやすくすることができる。また、棒部材20aは、図7(a)に示すように、先端部の側面が穴41への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状とすることによって、より一層分割部420を押し広げられやすくすることができる。また、分割部420は、図7(a)に示すように、開口端部から徐々に開口面積が大きくなるテーパー部を有するようにすることによって、棒部材20aによって押し広げやすくすることができる。
【0082】
(変形例5)
また、変形例5として、内パイプ10の保護パイプを設けるようにしてもよい。図8は、本発明の変形例5におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。図9(a)〜(e)は、本発明の変形例5におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。なお、変形例5においては、上述の実施の形態及び変形例1乃至変形例4と同様な部分が多いため、異なる部分を重点的に説明する。
【0083】
内パイプ10の分割部12は、ワークを把持するために広げたり、ワークの把持を解除するために元に戻したりすることを繰り返し行うと、棒部材20の突状部21によって押し広げられていない状態であっても多少広がった形状となってしまう可能性がある。このような状態において、例えば、図3(a),(b)に示すように、ワーク把持具(外パイプ30よりも下側にある部材であり内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21)をワーク40の穴41に挿入すると、ワーク40の端部(穴41の開口端部)に内パイプ10の先端(分割部12)が接触する可能性がある。また、内パイプ10は、分割部12が変形していない場合であっても、ワーク40の穴41への挿入角度などによっては端部(穴41の開口端部)に接触する可能性がある。このように、内パイプ10は、先端(分割部12)がワーク40の端部(穴41の開口端部)に接触すると、破損する可能性がある。
【0084】
そこで、図8に示すように、変形例5においては、内パイプ10の周囲であり、少なくとも分割部12を囲い、穴41の軸方向にスライド可能な保護パイプ50(例えば、ステンレスからなる)を設けるものである。この保護パイプ50は、内パイプ10よりも突状部21側(紙面では下側)に達するように配置される。つまり、保護パイプ50は、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入する際に、内パイプ10の先端よりもワーク40側に配置される。
【0085】
ここで、図9に基づいて、保護パイプ50を設けたワーク把持具の動作について説明する。図9(a)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入する前は、棒部材20は、停止位置にある。したがって、棒部材20の突状部21は、内パイプ10外に配置し、内パイプ10を押圧していない位置にある。
【0086】
次に、図9(b)に示すように、ワーク把持具の一部、すなわち外パイプ30よりも下側にある部材であり保護パイプ50の一部、保護パイプ50でカバーされた状態の内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21をワーク40の穴41に挿入する。次に、図9(c)に示すように、保護パイプ50のみを引き上げる。
【0087】
後は、上述の実施の形態と同様に、図9(d),(e)に示すように、棒部材20を穴41への挿入方向とは反対方向に移動させることによって、分割部12を押し広げ、さらに、棒部材20を穴41への挿入方向とは反対方向に移動させることによって、外パイプ30の接触面32がワーク40に接触し、外パイプ30と内パイプ10の分割部12によってワーク40を挟み込む。
【0088】
このようにすることによって、先端(分割部12)がワーク40の端部(穴41の開口端部)に接触することを抑制できる。したがって、先端(分割部12)がワークの端部に接触して破損することを抑制することができる。さらに、保護パイプ50を設けることによって、内パイプ10の先端(分割部12)が多少曲がっていたとしても、強制的に先端(分割部12)を突状部21(最大外形部24)内に入れ込むことができるので、ワーク把持具(内パイプ)の寿命を延ばすこともできる。
【0089】
(変形例6)
また、変形例6として、ワーク把持具を引き上げる際に引き上げ力の大部分を棒部材で担うようにしてもよい。図10は、比較例におけるワーク把持具の先端部の概略構成を示す断面図である。図11(a)〜(e)は、本発明の変形例6におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。なお、変形例6においては、上述の実施の形態及び変形例1乃至変形例5と同様な部分が多いため、異なる部分を重点的に説明する。なお、図11においては、保護パイプ50を有する例を用いて説明するが、保護パイプ50を有しない場合であっても変形例6を採用することは可能である。
【0090】
上述の実施の形態においては、図3(c)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20を内パイプ10の内パイプ天井部14の位置まで引き上げ、更に、図3(d)に示すように、把持位置にある棒部材20を引き上げるようにしていた。つまり、棒部材20と内パイプ10とを連動させて引き上げるようにしていた。このようにすると、図10に示すように、内パイプ10は、棒部材20とワーク40とに挟まれるA点を基点として引き上げ方向(紙面右側)に引っ張られ、点線で示すように塑性変形する可能性がる。
【0091】
そこで、変形例6におけるワーク把持具おいては、引き上げ力の大部分を棒部材20bの方で担い、内パイプ10aには所定の力以上の引き上げ力がかからない様に解除機構を設ける。
【0092】
具体的には、棒部材20bは、棒部材20bに固定されて棒部材20bと共に移動するものであり棒部25bの側壁から垂直方向に突出する第1突部29a(解除機構)、第2突部29b(解除機構)が所定の間隔を隔てて設けられる。第1突部29aは、第2突部29bよりワーク把持具をワーク40の穴41に挿入する方向側に配置される(紙面下側)。また、棒部材20bは、棒部材20bに対して摺動可能(つまり、棒部材20bと共に移動しないようにすることが可能)であり、棒部25bの周囲に第1突部29aとの間にバネ(弾性部材)15a(解除機構)を介した状態で第1突部29aと第2突部29bとの間に配置される摺動リング28(解除機構)を備える。この摺動リング28は、通常状態(つまり、棒部材20bで内パイプ10を押し広げていない状態)ではバネ15bの弾性力によって第2突部29b側に押圧されている。
【0093】
内パイプ10aの天井部は、第2突部29bが通過することができ、摺動リング28が通過することができない開口部を形成する引っ掛け部14a(解除機構)を有する。つまり、内パイプ10aの天井部は、引っ掛け部14aによって第2突部29bの面積より広く、かつ摺動リング28の面積よりも狭い開口部が形成される。
【0094】
保護パイプ50は、引き上げた状態で棒部材20bの第1突部29aに接触する凸部51を有する。
【0095】
ここで、図11に基づいて、変形例6におけるワーク把持具の動作に関して説明する。まず、図11(a)に示すように、ワーク把持具の一部、すなわち外パイプ31aよりも下側にある部材であり保護パイプ50の一部、保護パイプ50でカバーされた状態の内パイプ10aの分割部、棒部材20bの突状部21b及び先端部22bをワーク40の穴41に挿入する。
【0096】
次に、図11(b)に示すように、凸部51が棒部材20bの第1突部29aに接触する位置まで保護パイプ50のみを引き上げる。なお、内パイプ10aに凸部51に対応する貫通孔(図示省略)などを設けることによって、凸部51が棒部材20bの第1突部29aに接触することが可能となる。
【0097】
次に、図11(c)に示すように、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、棒部材20bと保護パイプ50とを引き上げる、すなわち、棒部材20bを穴41への挿入方向とは反対方向に移動させる。このとき、棒部材20bの摺動リング28が内パイプ10aの引っ掛け部14aに接触する位置まで引き上げる。これによって、突状部21bは、内パイプ10a内に移動し、棒部材20bの突状部21b(押圧部)が内パイプ10aの分割部を押圧することとなる。したがって、内パイプ10aの分割部は、突状部21b(押圧部)によって押し広げられる。
【0098】
そして、図11(d)に示すように、棒部材20bを引き上げる。棒部材20bを引き上げると、摺動リング28が内パイプ10aの引っ掛け部14aに接触しているので、棒部材20bを引き上げる力が内パイプ10aに作用する。このようにして、棒部材20bを引き上げることによって、内パイプ10aも共に引き上げられる。これによって、内パイプ10aの分割部は、ワーク40の裏面側(図11では下側)、すなわちワーク把持具が挿入される側とは反対側でワーク40に引っかかる。
【0099】
その後、図11(e)に示すように、棒部材20aを更に引き上げる。このようにすると、摺動リング28と第1突部29aとの間に配置されたバネ15aが縮み、摺動リング28は内パイプ10aの引っ掛け部14aに引っ掛った状態で、内パイプ10aは引き上げられることなく、棒部25bに固定された第1突部29a、第2突部29b、突状部21bなどのみを引き上げることとなる。内パイプ10aが棒部材20aの移動に連動するのを解除される。そして、分割部と外パイプ31aとでワーク40を完全に挟み込むので、ワーク40を安定して把持することができる。
【0100】
つまり、変形例6におけるワーク把持具においては、棒部材20bを引き上げる力は、所定の力に達すると、バネ15aが縮むことによって吸収され、内パイプ10aには作用しなくなる、もしくは、作用する力を低減することができる。したがって、内パイプ10aが塑性変形することを抑制することができる。
【0101】
(変形例7)
また、変形例7として、内パイプ及び保護パイプの少なくとも一方にテーパー部を設けるようにしてもよい。図12は、比較例におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。図13(a),(b)は、本発明の変形例7におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。なお、変形例7においては、上述の実施の形態及び変形例1乃至変形例6と同様な部分が多いため、異なる部分を重点的に説明する。
【0102】
ワーク把持具(外パイプ30よりも下側にある部材であり内パイプ10の分割部12、棒部材20の突状部21)をワーク40の穴41に挿入した状態で、ワークの把持を解除するために内パイプ10の分割部12を元に戻すと、図12に示すように、内パイプ10が穴41の側壁に接触することがある。このような状態で、そのままワーク把持具を穴41から引き抜くと、内パイプ10と穴41の側壁との摩擦や、内パイプ10と穴41の側壁とのひっかかりによって、ワーク40も一緒に引き上げてしまうこととなる。このようにワーク40を一緒に引き上げてしまうと、ワーク40が治具(例えば、製造装置におけるワーク搭載部など)から飛びだす可能性がある。
【0103】
そこで、変形例7においては、図13(a),(b)に示すように、内パイプ10a、もしくは保護パイプ50aを有する場合は保護パイプ50aにおける穴41の側面に対向する位置にテーパーを設ける。このテーパーは、ワーク把持具の挿入方向側にいくにつれて内パイプ10aもしくは保護パイプ50aの径が小さくなるように設ける。換言すると、このテーパーは、ワーク把持具の挿入方向側にいくにつれて内パイプ10aもしくは保護パイプ50aと穴41の側壁との間隔が広くなるように設ける。また、このテーパーは、ワーク把持具(外パイプ30よりも下側にある部材であり内パイプ10aの分割部12a、棒部材20の突状部21、保護パイプ50a)をワーク40の穴41に挿入した状態で、ワーク40の穴41内に入らない程度の位置から設ける。つまり、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、テーパーの基点がワーク40の外側(紙面上側)となるように設ける。換言すると、テーパーの基点は、ワーク把持具をワーク40の穴41に挿入した状態で、穴41のワーク把持具が挿入される側の開口端部、もしくは開口端部よりワーク把持具の挿入方向とは反対方向に位置するように設ける。
【0104】
このように内パイプ10aもしくは保護パイプ50aにテーパーを設けることによって、ワーク把持具をワーク40の穴41から引き上げる際に、内パイプ10aや保護パイプ50aが穴41の側壁に接触した場合であっても、ワーク40を一緒に引き上げることを抑制することができる。
【0105】
(変形例8)
また、変形例8として、内パイプのかわりにワイヤーを用いるようにしてもよい。図14は、本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。図15は、本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。図16は、本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。図17は、本発明の変形例8におけるワーク把持具のワイヤーを広げた時の概略構成を示す断面図である。なお、変形例8においては、上述の実施の形態及び変形例1乃至変形例7と同様な部分が多いため、異なる部分を重点的に説明する。
【0106】
変形例8における棒部材20cは、図14及び図15などに示すように、先端部材21cと先端部材21cの一部が挿入されるパイプ60bを有する。先端部材21cは、複数個所(本実施の形態においては4箇所)にワイヤー10cを押し広げる部位であり棒部材20cの先端に行くに連れて深さが浅くなるテーパー状の溝201cを有すると共に、穴41への挿入方向側に尖った錐体である先端部22cを有する。そして、先端部材21cにおける先端部22cとは反対側の部位がパイプ60bに挿入される。換言すると、先端部材21cは、上述の実施の形態における突状部に相当するものであり、溝201cは、上述の実施の形態における押圧部に相当するものである。
【0107】
図15などに示すように、この棒部材20c内には、上述の実施の形態などにおける内パイプ(内パイプ10など)に相当するワイヤー10cが配置される。このワイヤー10cは、図15及び図16に示すように、一部がパイプ60a内に配置されており、パイプ60aの外部にある先端側が先端部材21cの溝201cに配置される。従って、変形例8においては、ワイヤー10cが棒部材20cの内部に配置されることとなり、上述の実施の形態における内パイプ(内パイプ10など)と棒部材(棒部材20など)との位置関係とは異なる。
【0108】
そして、変形例8においては、図17に示すように、棒部材20cとワイヤー10cとが相対的に反対方向に移動することによって、ワイヤー10cが先端部材21cによって押し広げられる。このようにして、外パイプ(図示省略)の接触面がワーク40に接触し、外パイプとワイヤー10cとによってワーク40を挟み込む。
【0109】
このように、内パイプ(内パイプ10など)のかわりにワイヤー10cを用いることによっても本発明の目的は達成できるものである。
【0110】
例えば、変形例8においては、上述の変形例7の内容を適用してもよい。この場合、棒部材における穴41の側面に対向する位置であって、先端部材21cにおけるパイプ60bから外部に出ている領域であり先端部22cまでの領域(以下、水平部とも称する)にテーパーを設ける。つまり、先端部材21cの水平部は、先端に行くに連れて径が小さくなる形状を有するようにする。このようにすることによって、ワーク把持具をワーク40の穴41から引き上げる際に、ワーク40も一緒に引き上げることを抑制することができる。
【0111】
また、変形例8においては、外パイプなどに関する説明は行っていないが上述の実施の形態と同様にワイヤー10c及び棒部材の外部に設けられるものであり、ワイヤー10cと共にワーク40を挟み込む外パイプを備えるようにしてもよい。この外パイプにおけるワーク40との接触面は、粗し加工を施しても良い。
【0112】
このように、上述の実施の形態及び変形例は、単独で実施することも可能であるし、適宜他の変形例などと組み合わせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の変形例1におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。
【図5】本発明の変形例2におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の変形例3におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図7】(a)〜(b)は、本発明の変形例4におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。
【図8】本発明の変形例5におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図9】(a)〜(e)は、本発明の変形例5におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。
【図10】比較例におけるワーク把持具の先端部の概略構成を示す断面図である。
【図11】(a)〜(e)は、本発明の変形例6におけるワーク把持具の動作を示す工程別断面図である。
【図12】比較例におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図13】(a),(b)は、本発明の変形例7におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図14】本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図16】本発明の変形例8におけるワーク把持具の概略構成を示す断面図である。
【図17】本発明の変形例8におけるワーク把持具のワイヤーを広げた時の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0114】
10,100,200 内パイプ(第一部材)、11,110,210 筒部、110a 根元部、210a 段差部、12,120,220 分割部、12a スリット(切り込み)、13 テーパー部、14 内パイプ天井部、15 第二バネ、20 棒部材(第二部材)、21 突状部、22 先端部、23 押圧部、24 最大外形部、25 棒部、26 取手部、27 第一バネ、30 外パイプ(第三部材)、31 筒部、32 接触面、33 外パイプ天井部、40 ワーク、41 穴、300 パイプ、310 筒部、320 接触面、330 分割部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、
前記穴に挿入されるものであり、前記穴の軸方向に延びる筒形状をなし、前記穴への挿入方向側の端部に前記穴の軸方向に延びる切り込みによって複数に分割された分割部を有する第一部材と、
少なくとも一部が前記第一部材内に前記穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置され、前記穴の開口幅よりも小さく、かつ前記第一部材の開口幅よりも大きい突状部を有する第二部材とを備え、
前記第一部材と前記第二部材とが前記穴に挿入された状態において、前記第一部材と前記第二部材とが前記穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって前記突状部が前記第一部材の分割部に接触することとなって当該突状部によって前記分割部が押し広げられ、当該分割部によって前記ワークを把持できる状態とすることを特徴とするワーク把持具。
【請求項2】
前記第一部材の外部に設けられ、前記突状部によって押し広げられた前記分割部と共に前記ワークを挟み込む第三部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のワーク把持具。
【請求項3】
前記第三部材は、前記第一部材と一体に設けられることを特徴とする請求項2に記載のワーク把持具。
【請求項4】
前記第三部材は、前記第一部材と別体に設けられることを特徴とする請求項2に記載のワーク把持具。
【請求項5】
前記第一部材及び前記第二部材は、当該第二部材の前記挿入方向とは反対方向への移動に連動して前記第一部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる連動機構を有することを特徴とする請求項4に記載のワーク把持具。
【請求項6】
前記第一部材及び前記第二部材は、第二部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる力が所定の力に達すると、前記第一部材が前記第二部材の移動に連動するのを解除する解除機構を備えることを特徴とする請求項5に記載のワーク把持具。
【請求項7】
前記第三部材における前記ワークとの接触面は、粗し加工されてなることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項8】
前記分割部の根元は、前記第一部材の軸方向の位置が前記第三部材における前記ワークとの接触面と略同じ位置、もしくは、当該接触面よりも突出した位置に配置されることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項9】
前記第三部材は筒形状をなし、前記分割部は、当該第三部材の内周面と離間して設けられることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項10】
前記分割部は、開口端部から徐々に開口面積が小さくなるテーパー部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項11】
前記突状部は、前記穴への挿入方向側に尖った錐体である先端部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項12】
前記突状部は、側面が前記穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状である前記第一部材の分割部に接触する押圧部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項13】
前記突状部の最大外形部は、前記穴の軸に対して垂直方向に前記分割部よりも外側に突出した形状をなすことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項14】
前記第一部材及び前記第二部材が前記穴に挿入された状態で前記第二部材が前記穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによって前記突状部が前記第一部材の分割部に接触するものである請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項15】
前記第一部材及び前記第二部材が前記穴に挿入された状態で前記第一部材が前記穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによって前記突状部が前記第一部材の分割部に接触するものである請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項16】
穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、
前記穴に挿入されるものであり、前記穴の軸方向に延びる筒形状をなし、前記穴への挿入方向側の端部に他の部分よりも内径が小さく、前記穴の軸方向に延びる切り込みによって複数に分割された分割部を有する第一部材と、
少なくとも一部が前記第一部材内に前記穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置され、前記分割部の開口幅よりも大きい第二部材とを備え、
前記第一部材と前記第二部材とが前記穴に挿入された状態において、前記第一部材と前記第二部材とが前記穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって前記第二部材と前記第一部材の分割部とが接触することとなって当該第二部材によって前記分割部が押し広げられ、当該分割部によって前記ワークを把持できる状態とすることを特徴とするワーク把持具。
【請求項17】
前記第一部材の外部に設けられ、前記第二部材によって押し広げられた前記分割部と共に前記ワークを挟み込む第三部材を備えることを特徴とする請求項16に記載のワーク把持具。
【請求項18】
前記第三部材は、前記第一部材と一体に設けられることを特徴とする請求項17に記載のワーク把持具。
【請求項19】
前記第三部材は、前記第一部材と別体に設けられることを特徴とする請求項17に記載のワーク把持具。
【請求項20】
前記第一部材及び前記第二部材は、当該第二部材の前記挿入方向とは反対方向への移動に連動して前記第一部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる連動機構を有することを特徴とする請求項19に記載のワーク把持具。
【請求項21】
前記第一部材及び前記第二部材は、第二部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる力が所定の力に達すると、前記第一部材が前記第二部材の移動に連動するのを解除する解除機構を備えることを特徴とする請求項20に記載のワーク把持具。
【請求項22】
前記第三部材における前記ワークとの接触面は、粗し加工されてなることを特徴とする請求項16乃至請求項21のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項23】
前記第三部材は筒形状をなし、前記分割部は、当該第三部材の内周面と離間して設けられることを特徴とする請求項16乃至請求項22のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項24】
前記分割部は、開口端部から徐々に開口面積が大きくなるテーパー部を有することを特徴とする請求項16乃至請求項23のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項25】
前記第二部材は、前記穴への挿入方向側に尖った先端部を備えることを特徴とする請求項16乃至請求項24のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項26】
前記先端部は、側面が前記穴への挿入方向に行くに連れて徐々に広がるテーパー状であることを特徴とする請求項16乃至請求項25のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項27】
前記第一部材及び前記第二部材が前記穴に挿入された状態で前記第二部材が前記穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによって前記第二部材が前記第一部材の分割部に接触するものである請求項16乃至請求項26のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項28】
前記第一部材及び前記第二部材が前記穴に挿入された状態で前記第一部材が前記穴へ挿入される方向に対し反対方向に移動することによって前記第二部材が前記第一部材の分割部に接触するものである請求項16乃至請求項26のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項29】
少なくとも前記分割部を前記穴の軸方向に移動可能な状態で囲い、少なくとも前記分割部を囲った状態で前記穴に挿入される保護パイプを有することを特徴とする請求項1乃至請求項28のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項30】
前記第一部材もしくは前記保護パイプにおける前記穴の側面に対向する位置は、テーパー形状をなすことを特徴とする請求項1乃至請求項29のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項31】
穴が形成されたワークを把持するワーク把持具であって、
前記穴に挿入されるものであり、互いに離間して配置される複数のワイヤーと、前記複数のワイヤーを保持する保持部材とを有する第一部材と、
前記第一部材の一部が前記穴の軸方向に相対的に移動可能な状態で配置される筒状部材と、前記筒状部材の先端にもうけられ前記穴への挿入方向側に行くに連れて深さが浅くなるテーパー状をなし前記複数のワイヤーに対応する複数の溝を有する先端部材とを有する前記第二部材とを備え、
前記第一部材と前記第二部材とが前記穴に挿入された状態において、前記第一部材と前記第二部材とが前記穴へ挿入される方向に対し相対的に反対方向に移動することによって前記先端部材の前記複数の溝によって前記複数のワイヤーが押し広げられ、当該複数のワイヤーによって前記ワークを把持できる状態とすることを特徴とするワーク把持具。
【請求項32】
前記第一部材及び前記第二部材の外部に設けられ、前記複数の溝によって押し広げられた前記複数のワイヤーと共に前記ワークを挟み込む第三部材を備えることを特徴とする請求項31に記載のワーク把持具。
【請求項33】
前記第三部材は、前記第一部材と一体に設けられることを特徴とする請求項32に記載のワーク把持具。
【請求項34】
前記第三部材は、前記第一部材と別体に設けられることを特徴とする請求項32に記載のワーク把持具。
【請求項35】
前記第一部材及び前記第二部材は、当該第二部材の前記挿入方向とは反対方向への移動に連動して前記第一部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる連動機構を有することを特徴とする請求項34に記載のワーク把持具。
【請求項36】
前記第一部材及び前記第二部材は、第二部材を前記挿入方向とは反対方向へ移動させる力が所定の力に達すると、前記第一部材が前記第二部材の移動に連動するのを解除する解除機構を備えることを特徴とする請求項35に記載のワーク把持具。
【請求項37】
前記第三部材における前記ワークとの接触面は、粗し加工されてなることを特徴とする請求項31乃至請求項36のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項38】
前記ワイヤーの先端は、前記複数の溝に対応したテーパー状を有することを特徴とする請求項31乃至請求項37のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項39】
前記先端部材は、前記穴への挿入方向側に尖った錐体である先端部を備えることを特徴とする請求項31乃至請求項38のいずれか一項に記載のワーク把持具。
【請求項40】
前記第二部材における前記穴の側面に対向する位置は、テーパー形状をなすことを特徴とする請求項31乃至請求項39のいずれか一項に記載のワーク把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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