説明

ワーク用リフト

【課題】 制御部品が非常に少なくシンプルな構造であるとともに低コストで製造することができるワーク用リフトを提供する。
【解決手段】 ワーク搬入位置P1に搬入されたワークWが載置されるワーク載置台3と、このワーク載置台3を一端側に、重り部材8を他端側に吊り下げ保持するロープ7またはチェーンと、このロープ7またはチェーンの中間部が巻き掛けられるプーリ9またはスプロケットと、このプーリ9またはスプロケットを一方に回転させてワーク載置台3を上昇させる第一駆動状態、他方に回転させてワーク載置台3を下降させる第二駆動状態および回転させない停止状態に切り換わる駆動手段10と、この駆動手段10を上記三つの状態に切り換える切換手段12とを備えたワーク用リフト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場内に配置されている各種の加工装置間等にわたってワークを上下方向に移動させるような場合に用いられるワーク用リフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワーク用リフトとして、例えば、以下のように作動するように構成されたものがある。すなわち、まず、ワークの搬入位置にあるワーク載置台にワークを搬入すると、このワークの搬入が近接スイッチにより検知され、これに伴い、ワーク載置台を昇降させる昇降機構が駆動してワーク載置台をワークとともに上昇させる。そして、ワーク載置台がワークの搬出位置に到達したことが近接スイッチにより検知されると、前記昇降機構の駆動が停止し、ワーク載置台が前記搬出位置に到達して停止した状態となる。続いて、ワーク載置台からワークを搬出すると、このワークの搬出が近接スイッチにより検知され、昇降機構が駆動してワーク載置台を下降させる。そして、ワーク載置台が前記搬入位置に到達すると、この到達が近接スイッチにより検知され、昇降機構の駆動が停止し、ワーク載置台が前記搬入位置に停止した状態となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のワーク用リフトでは、多くの制御部品等が必要となり、それだけ高価になるという難点があった。
【0004】
この発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、必要とする制御部品が非常に少なくシンプルな構造であるとともに低コストで製造することができるワーク用リフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、この発明のワーク用リフトは、ワークをワーク搬入位置からこのワーク搬入位置よりも上方に設けられたワーク搬出位置へと移動させるリフトアップ機構を備えたワーク用リフトであって、前記リフトアップ機構が、前記ワーク搬入位置に搬入されたワークが載置されるワーク載置台と、このワーク載置台を一端側に、重り部材を他端側に吊り下げ保持するロープまたはチェーンと、このロープまたはチェーンの中間部が巻き掛けられるプーリまたはスプロケットと、このプーリまたはスプロケットを一方に回転させてワーク載置台を上昇させる第一駆動状態、他方に回転させてワーク載置台を下降させる第二駆動状態および回転させない停止状態に切り換わる駆動手段と、この駆動手段を上記三つの状態に切り換える切換手段とを備え、前記ワーク載置台へのワークの載置に連動して、前記切換手段が駆動手段を第一駆動状態に切り換え、また、上昇して所定位置を通過したワーク載置台に連動して切換手段が駆動手段を第二駆動状態に切り換え、さらに、前記ワーク載置台の下降とともに上昇し所定位置に到達した昇降部材に連動して切換手段が駆動手段を停止状態に切り換えるように構成してあることを特徴としている(請求項1)。
【0006】
また、前記ワーク搬出位置に、ほぼ水平に延び、ワーク載置台に載置された状態で上昇するワークの移動経路上に先端部が位置するワーク受け取り用のアームが設けられ、このアームは、ワーク載置台に載置されて上昇するワークに押し上げられたときには回動してワークを回避するように構成され、また、ワーク載置台に載置された状態のワークがアームの上方から下降してきたときにはワークがワーク載置台からアームへと受け渡されるように構成されていてもよい(請求項2)。
【0007】
さらに、ワークをワーク搬入位置からこのワーク搬入位置よりも下方に設けられたワーク搬出位置へと移動させるリフトダウン機構を備え、このリフトダウン機構が、前記ワーク搬入位置に搬入されたワークが載置されるワーク載置台と、このワーク載置台を一端側に、ワーク載置台よりも重い重り部材を他端側に吊り下げ保持するロープまたはチェーンと、このロープまたはチェーンの中間部が巻き掛けられたプーリまたはスプロケットとを備え、前記ワーク搬入位置においてワーク載置台にワークが載置されると、ワークが載置され重り部材よりも重くなったワーク載置台は下降して搬出位置へと到達し、ワーク搬出位置においてワーク載置台からワークが降ろされると、重り部材よりも軽いワーク載置台は上昇してワーク搬入位置に到達するように構成されており、また、前記ワーク載置台は、水平方向に延び、その軸まわりに回動する軸部と、この軸部に固定され軸部とともに回動するワーク棚とを備え、前記軸部の近傍において軸部の回動軸と平行な軸まわりに回動自在に設けられた回動体の係止爪が前記軸部の外側に設けられた被係止部に係止したときにはワーク棚がほぼ水平方向に延びた状態で維持され、ワーク棚がワーク搬出位置に移動して前記回動体がワーク搬出位置付近に設けられた係止解除部材に当接して回動すると、前記被係止部と係止爪との係止が解除され、ワーク棚が回動してほぼ鉛直方向に向き、ワークの搬出を妨げない状態となり、さらに、ワーク棚がワーク搬出位置から上昇すると、前記軸部からワーク棚とほぼ直交する方向に延び軸部とともに回動する復帰用アームに設けられたローラが、ワーク搬出位置付近において上下方向に延び、かつ上側ほど前記軸部に近づくガイド面に当接しながら上昇することにより、復帰用アームが軸部とともに回動し、前記被係止部に係止爪が係止した状態となるように構成してあってもよい(請求項3)。
【0008】
この場合、前記リフトダウン機構側のプーリまたはスプロケットの軸に回転速度調整装置が連結されており、この回転速度調整装置が、プーリまたはスプロケットの軸とともに回転する軸部と、この軸部を囲むように設けられた円筒体と、前記軸部から円筒体に向かって延びるロッドと、このロッドに沿ってスライドし、円筒体の内壁に当接可能な摩擦部材とを備えていてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜4に係る発明では、必要とする制御部品が非常に少なくシンプルな構造であるとともに低コストで製造することができるワーク用リフトが得られる。すなわち、請求項1に係る発明は、ワーク搬入位置におけるワーク載置台へのワークの載置を引き金とし、このワークの載置されたワーク載置台がワーク搬出位置まで上昇した後、元のワーク搬入位置にまで下降して戻る過程を全てシンプルな構造により自動的に行うように構成してあり、複雑な電気回路等の制御部品を用いていないので、極めて低コストで製造することができる。さらに、請求項2に係る発明では、非常にシンプルな構造により、ワーク載置台に載置したワークをワーク搬出位置にて自動的に搬出することができる。
【0010】
また、請求項3および4に係る発明は、ワーク搬入位置におけるワーク載置台へのワークの載置を引き金とし、このワークの載置されたワーク載置台がワーク搬出位置まで下降し、前記ワークを搬出した後、元のワーク搬入位置にまで上昇して戻る過程を全てシンプルな構造により自動的に行うように構成してあり、複雑な電気回路等の制御部品を用いていないので、極めて低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図17は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態に係るワーク用リフト(以下、リフトという)は、図1および図2に示すように、ワークWをワーク搬入位置P1からこのワーク搬入位置P1よりも上方に設けられたワーク搬出位置P2へと移動させるリフトアップ機構1と、ワークWをワーク搬入位置P3からこのワーク搬入位置P3よりも下方に設けられたワーク搬出位置P4へと移動させるリフトダウン機構2とを備えている。
【0012】
まず、リフトアップ機構1について説明する。図1〜図3において、3は前記ワーク搬入位置P1に搬入されたワークWが載置されるワーク載置台である。このワーク載置台3は、図1および図3に示すように、上下方向に延びるガイドレール4に沿ってスライドするように構成されている。そして、ワーク載置台3は、ガイドレール4にガイドされる昇降フレーム3aと、この昇降フレーム3aに連設されてほぼ水平方向に延び、前記ワークWを載置することができるように構成された載置部3bとを備え、縦断面ほぼL字形状をしている。なお、前記ガイドレール4は、上下方向に延びる支柱体5に保持されている。6は前記支柱体5を保持する脚部である。
【0013】
図1において、7は前記ワーク載置台3を一端側に、重り部材8を他端側に吊り下げ保持するロープであり、このロープ7の中間部は前記支柱体5の上部に設けられたプーリ9に巻き掛けられている。そして、ワーク載置台3の昇降フレーム3aの上端部には、ロープ7の一端部を連結させる連結部3c(図3および図7参照)が設けられており、重り部材8の上端部には、ロープ7の他端部を連結させる連結部8a(図1および図7参照)が設けられている。なお、前記ロープ7は、ロープ状をしているものに限られず、例えば、帯状等をしていてもよい。
【0014】
図3、図10(A)および(B)、図11(A)および(B)において、10は前記プーリ9を一方に回転させてロープ7によりワーク載置台3を上昇させる第一駆動状態、他方に回転させてロープ7によりワーク載置台3を下降させる第二駆動状態および回転させない停止状態に切り換わる駆動手段としてのモータである。そして、図3、図10(A)および(B)に示すように、このモータ10とプーリ9との間には減速機11が設けられている。この減速機11は、モータ10の回転速度を減速してプーリ9に伝達するためのものであり、この実施の形態では、減速機11の減速比は1:125となっている。なお、図10(B)において、Cはプーリ9と減速機11とを連結するためのカップリングである。
【0015】
図1において、12は前記モータ10を上記三つの状態に切り換える切換手段である。この切換手段12は、図4〜図6に示すように、前記ワーク搬入位置P1近傍に設けられ、ワーク載置台3に載置されたワークWによって押し下げられ、水平方向の軸X1まわりに回動する第一レバー13を備えている。そして、この第一レバー13には、上下方向の延びるリンクロッド14を介して第二レバー15が上方に連結され、第一レバー13と第二レバー15が連動するように構成されている。
【0016】
前記第二レバー15は、図4に示すように、ほぼT字形状をしており、基部15aと、この基部15aから前記ワーク載置台3の移動経路上に向けて延びる第一アーム15bと、基部15aから前記重り部材8の移動経路上に向けて延びる第二アーム15cと、基部15aから下方に向けて延びる第三アーム15dとを備えている。そして、第二レバー15は、水平方向の軸X2まわりに回動するように構成されており、前記軸X2は基部15aに設けられている。
【0017】
図4、図8(A)および(B)、図9(A)および(B)において、16は水平方向の軸X3まわりに回動する切換レバー17を備えた切換部であり、四つの端子16a〜16dを有している。そして、そのうちの端子16aおよび16bには、電源部18のプラス端子18aおよびマイナス端子18bがリード線19を介して接続されており、端子16cおよび16dには、モータ10の二つの端子(図示していない)がリード線19を介してそれぞれ接続されている。
【0018】
そして、前記切換レバー17を図4および図9(A)において右側に傾けた状態では、電源部18からの電流がモータ10へと送られ、モータ10が前記第一駆動状態となる。また、切換レバー17を図4および図9(A)において左側に傾けた状態では、右側に倒した状態とは逆向きの電流が電源部18からモータ10へと送られ、モータ10が前記第二駆動状態となる。さらに、切換レバー17を図4および図9(A)において真ん中に戻した状態では、電源部18からモータ10へと電流が送られることはなく、モータ10は前記停止状態となる。
【0019】
また、前記切換レバー17の頭部17aは、前記第二レバー15の第三アーム15dに連結されており、第二レバー15の回動と切換レバー17の回動とが連動するように構成されている。
【0020】
また、図1に示すように、前記ワーク搬出位置P2に、ほぼ水平に延び、ワーク載置台3に載置された状態で上昇するワークWの移動経路上に先端部が位置するワーク受け取り用のアーム20が設けられている。このアーム20は、ワーク載置台3に載置されて上昇するワークWに押し上げられたときには軸X4まわりに回動してワークWを回避するように構成され、反対に、ワーク載置台3に載置された状態のワークWがアーム20の上方から下降してきたときにはワークWがワーク載置台3からほぼ水平に延びる状態のアーム20へと受け渡されるように構成されている。
【0021】
上記の構成からなるリフトアップ機構1では、まず、初期位置にある前記ワーク載置台3へのワークWの載置に連動して、前記切換手段12がモータ10を第一駆動状態に切り換える。すなわち、ワーク載置台3に載置したワークWによって初期位置にある第一レバー13が押し下げられて軸X1を中心に図1において左回りに回動し、この第一レバー13にリンクロッド14を介して連結された第二レバー15も軸X2を中心に図4において左回りに回動する。そして、この第二レバー15の回動に伴い、切換部16の切換レバー17が真ん中に戻された状態から右側に傾いた状態に変わると、モータ10は前記第一駆動状態となり、ロープ7の一端部に連結されたワーク載置台3が上昇し、他端部に連結された重り部材8が下降する。このとき、上昇するワーク載置台3に載置されたワークWは、前記アーム20を押し上げ、アーム20は軸X4まわりに回動してワークWを回避する。
【0022】
そして、上昇して所定位置を通過したワーク載置台3に連動して切換手段12がモータ10を第二駆動状態に切り換える。すなわち、上昇したワーク載置台3の昇降フレーム3aにより第二レバー15の第一アーム15bが押し上げられ、第二レバー15が軸X2を中心に図4において右回りに回動する。そして、この第二レバー15の回動に伴い、切換部16の切換レバー17が右側に傾いた状態から左側に傾いた状態に変わると、モータ10は前記第二駆動状態となり、ロープ7の一端部に連結されたワーク載置台3が下降し、他端部に連結された重り部材8が上昇する。
【0023】
ここで、下降するワーク載置台3に載置されたワークWは、ワーク載置台3から前記アーム20に受け渡され、その後はワーク載置台3のみがガイドレール4に沿って下降する。その後、前記ワーク載置台3の下降とともに上昇し所定位置に到達した重り部材8に連動して切換手段12がモータ10を停止状態に切り換える。すなわち、下降した重り部材8により第二レバー15の第二アーム15cが押し上げられ、第二レバー15が軸X2を中心に図4において左回りに回動する。そして、この第二レバー15の回動に伴い、切換部16の切換レバー17が左側に傾いた状態から真ん中に戻った状態に変わると、モータ10は前記停止状態となり、また、前記第一レバー13およびワーク載置台3は初期位置に戻る。
【0024】
次に、リフトダウン機構2について説明する。図1および図2において、21は前記ワーク搬入位置P3に搬入されたワークWが載置されるワーク載置台である。このワーク載置台21は、図1に示すように、上下方向に延びるガイドレール22に沿ってスライドするように構成されている。なお、前記ガイドレール22は、上下方向に延びる支柱体23に保持されている。24は前記支柱体23を保持する脚部である。
【0025】
ここで、前記ワーク載置台21の構成を詳述する。図12〜図15に示すように、ワーク載置台21は、水平方向に延び、その軸X5まわりに回動する軸部25と、この軸部25に固定され軸部25とともに回動する一対のワーク棚26と、前記軸部25の近傍において軸部25の回動軸X5と平行な軸X6まわりに回動自在に設けられ、外周面に係止爪27を有する回動体28と、前記軸部25からワーク棚26とほぼ直交する方向に延び軸部25とともに回動し、先端にローラ29を有する復帰用アーム30とを備えている。
【0026】
図1において、31は前記ワーク載置台21を一端側に、ワーク載置台21よりも重い重り部材32を他端側に吊り下げ保持するロープであり、このロープ31の中間部は前記支柱体23の上部に設けられたプーリ33(図17(A)参照)に巻き掛けられている。そして、ワーク載置台21の上端部には、コイルばねS(図1参照)を介してロープ31の一端部を連結させる連結部21a(図14および図15(A)参照)が設けられており、重り部材32の上端部には、コイルばねS(図1参照)を介してロープ31の他端部を連結させる連結部32a(図1参照)が設けられている。なお、前記ロープ31は、ロープ状をしているものに限られず、例えば、帯状等をしているものであってもよい。
【0027】
また、図1において、34はロープ31により引き上げられるワーク載置台21および重り部材32の上側への移動を規制し所定位置に停止させるためのストッパ部材である。
【0028】
図16(A)および(B)、図17(B)において、35はプーリ33にカップリングCおよび減速機36を介して連結された回転速度調整装置である。この回転速度調整装置35は、プーリ33の軸とともに回転する軸部37と、この軸部37を囲むように設けられた円筒体38と、前記軸部37から円筒体38に向かって延びる複数(この実施の形態では五つ)のロッド39と、このロッド39に沿ってスライドし、円筒体38の内壁に当接可能な摩擦部材40と、前記ロッド39の外側に設けられ、前記摩擦部材40を円筒体38側へと付勢する付勢手段(この実施の形態ではスプリング)41とを備えている。なお、前記減速機36は、プーリ33の回転速度に対して回転速度調整装置35の軸部37の回転速度が大きくなるようにプーリ33の回転速度を回転速度調整装置35に伝達するためのものであり、この実施の形態では、減速機36の減速比は1:16となっている。
【0029】
上記の構成からなるリフトダウン機構2では、前記ワーク搬入位置P3においてワーク載置台21にワークWが載置されると、ワークWが載置され重り部材32よりも重くなったワーク載置台21は下降して搬出位置P4へと到達し、ワーク搬出位置P4においてワーク載置台21からワークWが降ろされると、重り部材32よりも軽いワーク載置台21は上昇してワーク搬入位置P3に到達するように構成されている。
【0030】
ここで、ワーク搬入位置P3にあるときのワーク載置台21は、前記回動体28の係止爪27が前記軸部25の外側に設けられた被係止部42(図15(B)参照)に係止したときにはワーク棚26がほぼ水平方向に延びた状態で維持され、ワーク載置台21がワーク搬出位置P4に移動して前記回動体28がワーク搬出位置P4付近に設けられた係止解除部材43(図12、図13(A)、図15(A)および(B)参照)に当接して回動すると、前記被係止部42と係止爪27との係止が解除され、ワーク棚26が回動してほぼ鉛直方向に向き、ワークWの搬出を妨げない状態となる。
【0031】
また、ワーク載置台21がワーク搬出位置P4から上昇すると、前記復帰用アーム30に設けられたローラ29が、ワーク搬出位置P4付近において上下方向に延び、かつ上側ほど前記軸部25に近づくガイド面44に当接しながら上昇することにより、復帰用アーム30が軸部25とともに回動し、前記被係止部42に係止爪27が係止した状態となる。
【0032】
ところで、ワーク載置台21の下降および上昇はいずれも重力を利用したものであり、下降速度および上昇速度は徐々に上がることになる。そこで、この実施の形態では、ワーク載置台21の速度が上がりすぎるのを防止するために、前記回転速度調整装置35によってプーリ33の回転速度を調整するように構成してある。すなわち、ワーク載置台21の下降速度(または上昇速度)が上がると、プーリ33および軸部37の回転速度が上がり、これに伴い、各ロッド39に沿ってスライドする摩擦部材40と円筒体38の内壁との摩擦が大きくなり、プーリ33および軸部37の回転にブレーキがかかることになる。上記の構成に加え、ロープ31の両端部にコイルばねBを介してワーク載置台21および重り部材32を連結してあるので、ワーク載置台21および重り部材32が、下降および上昇後、停止する際に弾むことが防止される。
【0033】
また、図1および図2では、リフトアップ機構1とリフトダウン機構2との間にブリッジB1およびB2を設け、このブリッジB1,B2を介して各機構1,2のワーク搬出位置P2,P4から搬出したワークWを他方のワーク搬入位置P3,P1へと搬入するように示しているが、これは試験のための構成である。従って、実際には、それぞれの機構1,2のワーク搬入位置P1,P3から搬入され、ワーク搬出位置P2,P4から搬出されたワークWは加工装置や組付け装置等に送られ、適宜に処理される。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、種々に変形して実施することができる。具体的には、前記ロープ7およびロープ31に代えてチェーンを用いてもよく、この場合、プーリ9およびプーリ33をそれぞれスプロケットに代えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施の形態に係るワーク用リフトの構成を概略的に示す正面図である。
【図2】前記ワーク用リフトの構成を概略的に示す平面図である。
【図3】前記ワーク用リフトの構成を概略的に示す右側面図である。
【図4】リフトアップ機構の要部の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】前記リフトアップ機構の要部の構成を概略的に示す左側面図である。
【図6】前記リフトアップ機構の要部の構成を概略的に示す右側面図である。
【図7】前記リフトアップ機構の要部の構成を概略的に示す横断面図である。
【図8】(A)および(B)は、切換部の構成を概略的に示す縦断面図および側面図である。
【図9】(A)および(B)は、切換手段の要部の構成を概略的に示す正面図および縦断面図である。
【図10】(A)および(B)は、前記リフトアップ機構の上部の構成を概略的に示す平面図および縦断面図である。
【図11】(A)および(B)は、前記リフトアップ機構の上部の構成を概略的に示す左側面図および右側面図である。
【図12】リフトダウン機構の要部の構成を概略的に示す横断面図である。
【図13】(A)は、図12の一部を透視して示す横断面図、(B)は、前記リフトダウン機構の要部の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図14】前記リフトダウン機構の要部の構成を概略的に示す説明図である。
【図15】(A)は、前記リフトダウン機構の要部の構成を概略的に示す説明図、(B)は、被係止部の構成を概略的に示す説明図である。
【図16】(A)および(B)は、前記リフトダウン機構の要部の構成を概略的に示す縦断面図および横断面図である。
【図17】(A)および(B)は、前記リフトダウン機構の上部の構成を概略的に示す左側面図および部分透視右側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 リフトアップ機構
3 ワーク載置台
7 ロープ
8 重り部材
9 プーリ
10 駆動手段
12 切換手段
P1 ワーク搬入位置
P2 ワーク搬出位置
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをワーク搬入位置からこのワーク搬入位置よりも上方に設けられたワーク搬出位置へと移動させるリフトアップ機構を備えたワーク用リフトであって、前記リフトアップ機構が、前記ワーク搬入位置に搬入されたワークが載置されるワーク載置台と、このワーク載置台を一端側に、重り部材を他端側に吊り下げ保持するロープまたはチェーンと、このロープまたはチェーンの中間部が巻き掛けられるプーリまたはスプロケットと、このプーリまたはスプロケットを一方に回転させてワーク載置台を上昇させる第一駆動状態、他方に回転させてワーク載置台を下降させる第二駆動状態および回転させない停止状態に切り換わる駆動手段と、この駆動手段を上記三つの状態に切り換える切換手段とを備え、前記ワーク載置台へのワークの載置に連動して、前記切換手段が駆動手段を第一駆動状態に切り換え、また、上昇して所定位置を通過したワーク載置台に連動して切換手段が駆動手段を第二駆動状態に切り換え、さらに、前記ワーク載置台の下降とともに上昇し所定位置に到達した昇降部材に連動して切換手段が駆動手段を停止状態に切り換えるように構成してあることを特徴とするワーク用リフト。
【請求項2】
前記ワーク搬出位置に、ほぼ水平に延び、ワーク載置台に載置された状態で上昇するワークの移動経路上に先端部が位置するワーク受け取り用のアームが設けられ、このアームは、ワーク載置台に載置されて上昇するワークに押し上げられたときには回動してワークを回避するように構成され、また、ワーク載置台に載置された状態のワークがアームの上方から下降してきたときにはワークがワーク載置台からアームへと受け渡されるように構成されている請求項1に記載のワーク用リフト。
【請求項3】
ワークをワーク搬入位置からこのワーク搬入位置よりも下方に設けられたワーク搬出位置へと移動させるリフトダウン機構を備え、このリフトダウン機構が、前記ワーク搬入位置に搬入されたワークが載置されるワーク載置台と、このワーク載置台を一端側に、ワーク載置台よりも重い重り部材を他端側に吊り下げ保持するロープまたはチェーンと、このロープまたはチェーンの中間部が巻き掛けられたプーリまたはスプロケットとを備え、前記ワーク搬入位置においてワーク載置台にワークが載置されると、ワークが載置され重り部材よりも重くなったワーク載置台は下降して搬出位置へと到達し、ワーク搬出位置においてワーク載置台からワークが降ろされると、重り部材よりも軽いワーク載置台は上昇してワーク搬入位置に到達するように構成されており、また、前記ワーク載置台は、水平方向に延び、その軸まわりに回動する軸部と、この軸部に固定され軸部とともに回動するワーク棚とを備え、前記軸部の近傍において軸部の回動軸と平行な軸まわりに回動自在に設けられた回動体の係止爪が前記軸部の外側に設けられた被係止部に係止したときにはワーク棚がほぼ水平方向に延びた状態で維持され、ワーク棚がワーク搬出位置に移動して前記回動体がワーク搬出位置付近に設けられた係止解除部材に当接して回動すると、前記被係止部と係止爪との係止が解除され、ワーク棚が回動してほぼ鉛直方向に向き、ワークの搬出を妨げない状態となり、さらに、ワーク棚がワーク搬出位置から上昇すると、前記軸部からワーク棚とほぼ直交する方向に延び軸部とともに回動する復帰用アームに設けられたローラが、ワーク搬出位置付近において上下方向に延び、かつ上側ほど前記軸部に近づくガイド面に当接しながら上昇することにより、復帰用アームが軸部とともに回動し、前記被係止部に係止爪が係止した状態となるように構成してある請求項1または2に記載のワーク用リフト。
【請求項4】
前記リフトダウン機構側のプーリまたはスプロケットの軸に回転速度調整装置が連結されており、この回転速度調整装置が、プーリまたはスプロケットの軸とともに回転する軸部と、この軸部を囲むように設けられた円筒体と、前記軸部から円筒体に向かって延びるロッドと、このロッドに沿ってスライドし、円筒体の内壁に当接可能な摩擦部材とを備えている請求項3に記載のワーク用リフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−82212(P2006−82212A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272399(P2004−272399)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】