説明

一体化されたソーラーセルルーフィングシステム及びその製造方法

ソーラーセルの群のストリップによって構成されている一体化されたソーラーセル屋根システム。各ストリップは、可撓性の防水材料の細長い基板によって構成されている。接着剤の第一の層が基板上に横たわるように配置され、その上に予め結線された光電(PV)セルの群が配置される。接着剤の第二の層が適用され、ガラスの個々の堅牢なシートがPVセルの各群を覆っている第二の層上に横たわるように配置される。次いで、熱及び真空が適用されて接着剤が溶融され、それによって、PVセルの群とガラスのシートとが基板上に接合せとめられ、隔置されたソーラーセルの群を形成する。当該ストリップは、次いで、取り扱いのために折り畳み形状に折り畳むことができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、一体化されたソーラールーフィングシステムに関し、一つの特徴においては、表面に一体形成された複数の堅牢なソーラーセルの回路又はソーラーセルの群を含んでいる可撓性の屋根材又は膜を含んでいる一体化されたソーラーセルルーフィングシステムと、当該システムを製造する方法に関する。当該方法においては、前記屋根材が折り畳まれて折り畳みパッケージとし、それによって、当該緊密なソーラーセル群を重ねて“スタック”して、システムの輸送及び設置の助けとすることができるように、堅固なソーラーセルの群は相互に隔置され且つ電気的に連結される。
(関連出願)
2005年3月11日に出願された米国仮特許出願60/661,120号による利益を主張している。
【背景技術】
【0002】
近年においては、ソーラーエネルギを有用な電気エネルギに直接変換するための光電(PV)セル等において著しい進歩がなされて来た。典型的には、これらの光電セルが複数個、透明シート(例えば、ガラス、プラスチック等)と裏打ちシートとの間に入れられ、それによって、処理し易いサイズ(例えば、幅6.35センチメートル(2・1/2インチ)×長さ12.7センチメートル(5インチ))の平らな矩形形状のモジュール(時々は、“ラミネート”又は“パネル”と称される)が形成される。
【0003】
これは、この構造によって使用される電気エネルギの全て又は少なくとも一部分を提供するために、通常は現存の構造物(例えば、家、ビル等)の屋根に設置されるタイプのソーラーモジュールである。現存の構造物の屋根は、当該技術において理解されるように、これらが勾配を付けられているか平らな場合に、通常は、基板(例えば、合板の敷板等)によって形成され、この基板は次いで、当該技術において理解されるように、防水屋根材(例えば、こけら板、防水膜等)によって覆われる。ソーラーモジュールを設置するためには、最初に、支持材又は“離隔材”が屋根材の頂部に固定され、次いで、ソーラーモジュールが対応する支持部材に締結される。モジュールが定位置に配置された後に、これらのモジュールは、現場で相互に電気的に配線されて屋根上にソーラーアレイを完成する。
【0004】
現存の屋根上に個々のソーラーモジュールシステムを使用することは多くの環境においては好結果であることが証明されたけれども、このようなシステムの実際的な設置は、比較的高価で且つ時間がかかる。すなわち、このタイプの典型的な設置は、屋根材の頂部上に複数の支持材(例えば、レール、“離隔材”等)が取り付けられることを必要とする。支持材自体のコスト及び当該支持材を屋根上に適正に取り付けるのに要する労力に加えて、これらの取り付けは、通常、屋根材に多数の貫通を必要とし、これは、次いで、適正に完成されない場合には、屋根の防水の完全性に悪影響を及ぼし得る。更に、このようなソーラーシステムにおいては通常1以上のモジュールが使用されるので、これらのモジュールは、屋根に設置された後に、現場で電気的に連結されなければならない。認識されると予想されるように、これは、熟練技術者にとってさえ時間がかかるものであり、それによって、システム全体のコストが増加する。
【0005】
最近、これらの設置問題の多くを処理するために、“一体化されたソーラー屋根システム”が提案された。基本的には、これらのシステムは、可撓性の屋根材のシート上に複数の可撓性のソーラーモジュールを取り付けることを含んでおり(例えば、米国特許第4,860,509号、米国特許第5,482,5691号及びPCT公開WO2004/006324 A2)、この場合、屋根材は、屋根のための主要な防水層として機能する。製造時に、複数の可撓性のモジュールを可撓性の屋根材のシート上に固定することによって、モジュールは、システムが組み立てられつつある工場内で相互に電気的に配線することができる。このことは、屋根材が屋根上に敷かれるときに、幾つかのモジュールを定位置に配置することができるので、より高品質の制御を提供し且つ現場での実質的な設置時間が節約される。
【0006】
更に、モジュールの外面自体(例えば、可撓性で透明なプラスチックシート等)及びモジュールが取り付けられる屋根材は両方とも可撓性であるので、一体化されたソーラー屋根システム全体を、輸送のために巻き、次いで設置のために巻戻して延ばすことができる。電気的に連結されたモジュールのうちの幾つかは、システムが巻き戻されて延ばされるときに屋根の基板(例えば、合板)上に直に一度に設置することができ、可撓性の屋根材が屋根自体のための主要防水層を提供するので、このこともまた時間を節約する。すなわち、屋根材は、通常、屋根に対して必要とされるこけら板、裏打ち被覆等の代わりになる。一体化された屋根システムの単一ロール内に含まれるよりも多くのモジュールが必要とされる場合には、隣接するロールの対応する端縁同士を重ね且つ隣接するモジュールを電気的に連結することによって、付加的なロールを設置することができる。
【0007】
このような方法は、屋根上への個々のソーラーモジュールの設置においてかなりの時間を節約するけれども、モジュール自体に対して可撓性の外層を使用することは問題を生じるかも知れない。例えば、比較的軟らかい外層(例えば、透明なプラスチックの薄いシート)は、運送のために緊密に巻かれ且つ/又は設置のために巻き戻されて延ばされるときに、引っ掻き傷を付けられるか、さもなければ損傷されるようになるかも知れず、又は設置後の破片の到来によってすり減らされるかも知れない。また、可撓性のプラスチック外層は、水分を吸収するか又は長時間の使用の後に退色等の状態となるかも知れず、これは、モジュールの効率に悪影響を及ぼすかも知れない。更に、可撓性のプラスチック層は、作動寿命中に汚れた状態になった場合に、清掃問題を生じるかも知れない。
【0008】
一体化されたソーラー屋根システムのモジュールのために可撓性の外面を使用することに対するこれらの問題の幾つかは、米国特許第5,482,569号において解決されたことがわかる。上記の特許においては、一体化された屋根材が屋根上に設置された後に、補強ガラスのタイルが一体化されたソーラー屋根材のソーラーモジュールを覆うように配置され且つ固定される。モジュールに対して堅牢なガラス外層を提供することによって、モジュールは、作動寿命中に部材からより良好に保護される。しかしながら、不幸にも、ソーラーモジュール自体が設置された後に固体ガラスのタイルを設置することは、設置過程に付加的なステップを追加し、それによってシステム全体のコストが増加される。更に、固体ガラスのシートは、公知の従来の一体化されたソーラー屋根システムにおけるモジュールの可撓性の外面(すなわち、透明なプラスチック)にとって代わることができない。なぜならば、このようにすることは、上記した特許及び特許出願によって教示されるように、システムを輸送及び設置のために巻くことができる機能が排除されるからである。
【0009】
従って、固体ガラスの外層の利点を利用することができるが、同時に、容易な輸送及び設置のために包装することができる一体化されたソーラーセル屋根システムの必要性が存在する。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、一体化されたソーラーセル屋根システム及び当該ソーラーセル屋根システムを製造し且つ設置する方法を提供する。基本的には、当該装置は、予め配線されたソーラー回路からなるストラップであって、輸送、取り扱い及び設置のための折りたたみ構造に折り畳むことができるストリップによって構成されている。
【0011】
より特別には、本発明による屋根システムは、表面にソーラーセル回路が一体化されたストリップによって構成されている。各ストリップ(例えば、6個のソーラーセル回路、12個のソーラーセル回路等)は、セル回路がその表面に形成される前か又は後に連続ロール材料から切り取っても良いし、又は別の方法で提供しても良い可撓性の防水材料(例えば、単一合板ポリマー、ゴム膜等)からなる細長い基板によって構成される。
【0012】
一つの実施形態においては、接着剤の第一の層(例えば、エチレンビニルアセテート及びクレーンガラス)が基板上に敷かれ、予め配線された光電セルの群(例えば、72個のPVセル)が当該基板上に隔置されている。PVセルの群は、完成したストリップが基板を損傷させることなく所望の折り畳み形態に折り畳めるようにするために隣接する群間に十分な空隙を付与するために、相互に隔置される。
【0013】
当該PVセルの群は相互に電気的に接続され、PVセルの群及び関連する配線を覆うように接着剤の第二の層(例えば、エチレンビニルアセテート)が配置される。次いで、接着剤の第二の層上に、個々の堅牢な補強された透明ガラスシートが各々の群のPVセルを覆うように配置される。連結されたPVセルの群の共通出力は、ストリップの端部に配置された配線接続箱を介して電力線等に接続される。
【0014】
次いで、組み立てられた構成部品に真空及び熱を適用してアセンブリから空気を除去し且つ溶融させ、接着剤を架橋結合させ、それによって、個々の隔置されたソーラーセル回路を基板に接合させることによってラミネートされる。各セル回路は、PVセルの群及び関連するガラスカバーシートによって形成されている。これらのセルの群は一回に1つラミネートされても良いけれども、時間及び費用を節約するために、単一動作で1以上のセルの群をラミネートするのが好ましい。
【0015】
ストリップは、ひとたび完成されると、取り扱い、輸送及び設置が容易になるように、セルの群の全てが相対的に垂直に重ねられて、セルの群上のガラスシートが相対的にほぼ平らに横たわる折り畳形態に折り畳むことができる。ひとたび現場でストリップが折り畳み状態から戻されると、可撓性の防水基板が屋根の表面(例えば、合板屋根)に取り付けられる(例えば接着される)。基板は防水なので、これは、その領域のための主要な屋根材を提供することができる。必要とされる場合には、第二のストリップが折り畳み状態から戻され、その基板が第一のストリップの基板及び/又は包囲する屋根材に重ねられて、漏れが防止されて良好な屋根ふき過程が維持される。
【0016】
本発明の一体化されたソーラーセル屋根システムの利点は多い。幾つかのソーラーセル回路は、予め配線し且つ基板の単一のストリップ上にラミネートすることができ、これは、製造及び設置の両方において時間及び費用の実質的な量を節約することができる。更に、防水材料によって作られている基板は、ソーラーセル回路が占める領域における主要な屋根材として機能する。このことにより、ソーラーセル回路の設置が簡素化され且つこの一般的なタイプのより一般的なソーラー設置に必要とされる屋根材の量が減じられる。更に、基板は可撓性であるので、ソーラーセル回路のストリップは、輸送及び取り扱いのために折り畳むことができる。付加的な利点は、以下の説明によって認識されるであろう。
【好ましい実施形態の説明】
【0017】
本発明の実際の構成動作及び明らかな利点は、必ずしも一定の比率ではなく且つ同様の部品を特定している図面を参照することによってより良く理解されるであろう。
以下、本発明を好ましい実施形態に関連させて本発明を説明するけれども、本発明は当該実施形態に限定されないことは理解されるであろう。これと対照的に、本発明は、特許請求の範囲に規定されている本発明の精神及び範囲内に含まれる全ての代替例、変形例及び等価物を包含することを意図している。
【0018】
図面を参照すると、図1は、ビル等の屋根11上に設置された本発明の一体化された屋根システムの実施形態の2つのストリップ10A及び10Bを示している頂面図である。屋根11は“平らな屋根”として示されているけれども、本発明は、他のタイプの屋根例えば勾配が付けられた屋根において同様に使用できることは理解されるべきである。図1に示されており且つ以下において更に詳細に記載されているように、各ストリップ10は、複数の堅牢なガラス被覆ソーラーセルの群13(明確化のために、ほんの幾つかにのみ符号が付されている)が表面に隔置されている可撓性の防水基板12からなる。
【0019】
基板12は、当該基板がセルの群13が太陽に曝される状態で表面に平らに横たわるように、屋根11の表面(例えば、合板敷き板14)に接着されるか、さもなければ固定されている。基板12は、防水材からなるので、ストリップの下に横たわっている領域の屋根のための主要な屋根材を提供するであろう。セルの群13及び屋根上へのストリップ10の設置の更に詳細な説明を以下に説明する。
【0020】
本発明の実施形態によるストリップ10を製造し又は生産するためには、所望の幅Wで長さがL(図2)の可撓性の防水材12が最初に連続ロール材(図示せず)から巻き戻して延ばされるか、又は長さLの防水材が他の供給源から供給されても良い。特定のストリップの実際寸法は実際の用途に依存するけれども、以下の寸法は、本発明をより良く理解するための典型的な用途の一例として記載されている。
【0021】
本発明において使用することができるタイプのソーラーセルの群13の典型的な寸法は、幅が約31インチ(78.74センチメートル,図2のL2)であり、高さ(W2)が63インチ(160.02センチメートル)である。後に述べる目的のために、例えば少なくとも1インチ(2.54センチメートル)の隙間Gが隣接するセルの群13間に必要とされるであろう。基板材料12は屋根11のための主要な防水膜として機能するので、屋根建設産業において理解されるように、ストリップの端縁において(約6乃至7インチ(15.24乃至17.78センチメートル))の重なりが必要とされる。これらの寸法を使用すると、6個の隔置されたセルの群を有するストリップは、幅が約6.5フィート(1.83メートル)で長さLが約17フィート(5.18メートル)である。12個のセルの群がストリップ10上に形成される場合には、幅は同じままであるが、長さは約33フィート(10.06メートル)となるであろう。殆どの可撓性の防水屋根材タイプの材料を基板12として使用することができるけれども、典型的な例は、単一合板ポリマー材料(例えば、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)若しくはポリビニルクロライド(PVC))又はゴム膜(例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーラバー(EPDM))である。
【0022】
ひとたびストリップ当たりのソーラーセルの群の所望数が決定されると、セルの群が基板材料12の長さに沿って隔置され且つ組み立てられ、隣接するセルの群間に所望の隙間Gを残すことが確保される。モジュール13の全てが基本的に同じ方法で適切に形成されるので、1つだけを詳細に説明する。図4を参照すると、接着剤の第一の層16が基板12上に配置される。この層16は個々のソーラーセルの群13に対応する領域だけに限定することができるけれども、隙間G内の接着剤は問題を起こすことがなく且つ連続層技術は製造プロセスにおいて遙かに容易で迅速で過大の労力を要しないので、層16は、セルの群の全てが占める基板の全長に沿って連続して配置されるのが好ましい。
【0023】
第一の接着層16は、エチレンビニルアセテート(“EVA”)及び“クレーンガラス”によって構成されるのが好ましい。当該産業において知られている“クレーンガラス”は、EVA層を補強するために使用される可撓性ガラス繊維の極めて薄い層からなる。本発明においては、クレーンガラスはまた、光電セル17(“PVセル”)と接着層内のEVAとの間の表面摩擦を小さくし、PVセルが組み立て中に必要に応じてEVA層上でより容易に再配置することができるようになされてもいる。ひとたび、接着層16が定位置に配置されると、セルの群13のコアを形成する予め配線されたPVセル17の群が接着層16上の所定の位置に配置される。
【0024】
典型的には、PVセルの群は、矩形パターンに結線されている72個の電気的に連結されたPVセル17からなる(図2参照)。当該技術において理解されるように、各セル17は、正及び負のリード線(図4において集合的に符号18で示されている)を有し、これは、単一の入力部と出力部とを有する単一回路を効率良く形成するために、各々のバスバー19等を介して電気的に連結されている。PVセル17の隣接する群の対応する出力及び入力は、ストリップ10上のソーラーセルの群13の全てが、単一の出力21を介してストリップ10から発生される電力を発生する際に、単一ユニットとして有効に機能するように接続部20によって電気的に連結されるのが好ましい(図4参照)。
【0025】
出力21は、当該技術において理解されるように、電力線23(図1)に電気的に結合される配線接続箱22内に受け入れられ得るように、バスバー19から経路付けされている。図1に示されているように、ストリップ10A上の配線接続箱22からの出力は、ストリップ10B上の配線接続箱22内の出力へと電気的に接続され、電力線23が、一体化されたソーラーセル屋根システムによって発生された電力を、配線接続箱22からユーザー端子に送る。認識されるように、ストリップ及び電力線23から出力を保護するために、導管24を使用することができる。(a)個々のPVセル17間、(b)隣接するソーラーセル群13間及びストリップ10間に必要とされる電気接続の全てが、ソーラーセル技術において公知の容認されている電気連結技術に従って行うことができる。
【0026】
ひとたびPVセル17の群が適正に配置され且つ連結されると、第二の接着層25が、セル17の群及び関係する結線を覆うように配置される。この層は、層16と類似しているが、EVAのみによって構成されるのが好ましい。所望のサイズ及び厚みを有する補強された堅牢な透明ガラスの個々のシート26が、PVセル17の個々の群を覆うように第二の接着層25の上に配置される。組み立て、輸送及び設置中にガラスシート間の保護を提供するために、保護材料(例えば、テドラー(登録商標)/ポリエステル)からなる狭いストリップ27を隣接するガラスシート26間に配置することができる。
【0027】
このように組み立てられた全ての構成部品において、各ソーラーセル群13は、次いで、当該セル群を、真空及び熱の両方を受ける“ラミネータ”等内に配置することによってラミネートされる。典型的には、真空及び熱は、セル群から空気を抜き取り且つ16及び25の両方の層内のEVA又はその他の接着層を溶融させ且つ架橋結合させるために、設定された時間(例えば、15分間)適用される。EVAは、層16内でクレーンガラスの周囲で溶融して、クレーンガラスが効率良く消失されるようにさせるであろう。EVAはまた、PVセル17及び関連する電気接続部の近くでも溶融し、それによって、セルと各々のガラスシート26とを基板12に接着させ、それによって、個々の隔置されたソーラーセル群13を形成する。
【0028】
ソーラーモジュール13は一回に1つずつ組み立て且つラミネートすることができるけれども、ラミネーターの単一のサイクル中に複数のセルの群をラミネートできるように、特定のラミネータ内に嵌合させることができる多くのセルの群を、連続的な細長い基板材料12上で組み立てることが好ましい。ある種の公知のラミネータにおいては、少なくとも3つの典型的なサイズのセルの群を15分のサイクル中に連続的な細長い基板12上でラミネートすることができる。従って、表面に12個のソーラーセルの群13を有するストリップ10を約1時間で完成することができる。ラミネートの前又は後に、細長い完成されたストリップ10の基板材料12の長さが連続ロールから切り離され、配線接続箱22が取り付けられてアセンブリが完成される。
【0029】
ひとたびストリップ10の製造が完了すると、これは、取り扱い、輸送及び設置のために、“折り畳み”形状に折り畳むことができる。可撓性材料によって構成されている基板12は、損傷されることなく又はその防水性能に悪影響を及ぼすことなく、容易に折り畳むことができる。図3に最も良く見られるように、基板12は、折り返され、セルの群13が相対的にほぼ平らに横たわり且つ相対的に垂直に重ねられるようにされている。
【0030】
上記したように、ストリップ10を所望の折り畳み形状への適切な折り畳みを可能にし且つモジュールが相対的に比較的平らに横に横たわるのを可能にするために、セルの群13間に十分な隙間Gが設けられている。もちろん、輸送及び取り扱い中にガラス面を保護するために、直接接触するモジュール13のガラスシート26間に、如何なる適切な包装材料(図示せず)をも取り外し可能に配置することができる。
【0031】
一体化されたソーラー屋根システムのストリップ10は、上記した折り畳み形態でそれらの目的地へと輸送されるのが好ましいであろう。目的地に着くと、各ストリップ10は、屋根の表面(例えば、合板敷き板)上で延ばし戻され、基板12は、屋根に接着されるか、さもなければ固定されるであろう。ストリップ10の基板12は、それ自体が防水の屋根材であるので、基板12によって覆われた領域内に他の屋根材は必要とされないであろう。もちろん、ストリップ10(例えば、図1の10A)は、他のストリップ(例えば、10B)及び/又はその他の包囲屋根材を重ねて提供されるであろう。容認されている屋根葺き手順に従って、液密な屋根を提供するために、一つの群内の全てのPVセル17が予め配線され、一つのストリップ上のセルの群13の全てが工場において電気的に接続されているので、ストリップ10間の及び最終的な端子への電気接続のみが現場でなされる必要があり、それによって、システムを設置する実質的な時間が節約される。
【0032】
以上、ソーラーセルを覆うために好ましいガラスシート26を使用している本発明を説明したが、このようなシートは、ガラスの代わりの又はガラスに加えて他の材料によって作ることができることは理解されるはずである。従って、好ましくは、堅牢で耐引掻性で、防水性で、耐UV性で、耐候性である如何なる適当な材料も、このようなシート用として使用することができる。このような他の材料のガラスを適切に組み合わせて作られた1以上のシートを使用することができる。ここでは、好ましい接着剤としてEVAを記載しているけれども、基板又はシート26へのソーラーセルの接着に適した他の材料も使用することができる。他の適当な接着剤としては、例えば、ウレタン又はシリコーンがある。
【0033】
2005年3月11日に出願された米国仮特許出願第60/661,120号は、その全体が参考として本願に組み入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、典型的な構造物の屋根上に設置された本発明の一体化されたソーラー屋根システムの実施形態の頂面図である。
【図2】図2は、図1の一体化されたソーラー屋根システムのストリップの頂面図である。
【図3】図3は、取り扱いのために折り畳みパッケージ状に折り畳まれたときの、図2の一体化されたソーラー屋根システムのストリップの代表的な断面図である。
【図4】図4は、図2の線4−4に沿って断面された図2の一体化されたソーラー屋根システムのストリップの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化されたソーラーセル屋根システム用のストリップであり、
細長い可撓性の防水材料を含んでいる基板と、
当該基板上に形成された複数の堅牢なソーラーセルの群であり、隣接している当該ソーラーセルの群間に隙間を提供するために前記細長い基板に沿って相対的に隔置され、前記隙間は、前記複数のソーラーセルの群が相対的にほぼ平らに横たわり且つ相対的に垂直に重ねられた折り畳み形状に前記細長い基板を折り畳むことが出来るのに十分なようになされている、前記複数の堅牢なソーラーセルの群と、を含むストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、前記複数のソーラーセルの群の各々が、
前記基板上に設けられた接着剤の層と、
当該接着剤の層上に配置された電気的に接続された光電セルの群と、
当該電気的に接続された光電セルの群を覆うように配置された堅牢で透明なガラスのシートと、を含んでいるストリップ。
【請求項3】
請求項2に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記接着剤の層がエチレンビニルアセテートによって構成されているストリップ。
【請求項4】
請求項3に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記接着剤の層が更にクレーンガラスを含んでいるストリップ。
【請求項5】
請求項4に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記電気的に接続された光電セルの群を覆うように横たわるように配置された接着剤の第二の層を含んでいるストリップ。
【請求項6】
請求項5に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記細長い基板が単一合板のポリマー材料によって構成されているストリップ。
【請求項7】
請求項5に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記細長い基板がゴムの膜によって構成されているストリップ。
【請求項8】
請求項1に記載の一体化されたソーラー屋根システム用のストリップであり、
前記基板が、前記ストリップが屋根の上に設置されるときに、隣接のストリップとの重なりを提供するのに十分な長さであるストリップ。
【請求項9】
一体化されたソーラーセル屋根システム用のストリップを組み立てる方法であり、
細長い可撓性の防水基板を準備するステップと、
前記基板上に接着剤の第一の層を横たわるよいに配置するステップと、
電気的に接続された光電セルの複数の群を、隣接する光電セルの群間に隙間を残しつつ前記細長い基板に沿って間隔を開けて配置するステップと、
光電セルの前記各群を覆うように個々のガラスのシートを配置するステップと、
前記ストリップに真空と熱とを適用し、それによって、前記基板上の前記セルの群の各々及び各々のガラスのシートをラミネートし且つ接着して、前記基板に沿って個々の隔置されたソーラーセルの群を形成するステップと、を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であり、
前記ガラスのシートを前記セルの群を覆うように配置する前に、前記複数の光電セルの群を覆うように接着剤の第二の層を配置するステップを含んでいる方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であり、
前記接着剤の第一の層が、エチレンビニルアセテート及びクレーンガラスによって構成されており、前記接着剤の第二の層がエチレンビニルアセテートによって構成されている方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であり、
前記細長い基板が連続ロール基板から供給される方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であり、
前記真空及び熱が複数のセルの群に同時に適用される方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であり、
前記ソーラーセルの群の全てが形成されたときに、前記基板が折り畳み形態に折り畳まれ、その結果、前記セルの群が互いにほぼ平らに位置し且つ相対的に垂直に重ねられるようになされている方法。
【請求項15】
ソーラーセルの群のストリップによって構成される一体化されたソーラーセル屋根システムの設置方法であり、前記ストリップの各々が、順に、複数の堅牢なガラスで覆われたソーラーセルの群が表面に一体化されて形成されている細長い可撓性の防水基板によって構成されており、前記セルの群は、前記細長い基板が輸送及び取り扱いのために、前記セルの群が重なってほぼ平らに横たわる折り畳み形状に折り畳むことができるように相互に隔てられており、
前記基板が前記屋根の面上でほぼ平らに横たわり且つ前記ソーラーセルの群の全てが太陽に曝されるように屋根構造上で第一の前記ストリップの折り畳みを延ばし戻すステップと、
前記基板が前記ストリップの下面に横たわる屋根支持体に対する主要な防水を提供するように前記基板を前記屋根に取り付けるステップと、を含む設置方法。
【請求項16】
請求項15に記載の設置方法であり、
前記屋根上に前記一体化されたソーラーセル屋根システムの第二のストリップの折り畳みを延ばし戻して前記第二のストリップの基板が前記第一のストリップの基板に重なるようにするステップと、
前記第二の基板を前記屋根に取り付けるステップと、を含む設置方法。
【請求項17】
請求項16に記載の設置方法であり、
前記第一及び第二のストリップ上のソーラーセルの群を電気的に接続するステップを含んでいる設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−533720(P2008−533720A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500866(P2008−500866)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008204
【国際公開番号】WO2006/098974
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】