一体化された多材料インプラントおよび製造方法
層状様式の多材料体を製造するための方法およびシステムが提供され、この物体は、骨安定化インプラントとして用いることができる。この多材料体は、剛性部分および可撓性部分を含み、これらが互いに一体形成されている。この多材料体は、骨の生物学的または解剖学的特徴に合うように、特定の領域を軟化または剛化することができる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全ての内容があらゆる点において参照により本明細書に組み込まれる、2009年12月30日出願の、米国特許出願第61/291,126号、”Integrated Multi−Material Implant and Method of Manufacture”の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、多材料インプラントに関し、さらに、多材料インプラントの積層造形に関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の骨接合用インプラント、プレート、および骨固定化のための関連する部材は、通常、金属、ポリマー、アロジェニック(allogenic)、同種移植片(allograft)、またはストック材料の単一片から一体的に形成されたその他の材料から設計、製造される。骨接合用インプラントのサイズおよび形状は、通常、骨接合用インプラントを大きさを合わせて作製して骨接合用インプラントを適切なサイズの装置で骨に取り付けることによって修復される骨の生体力学的特性に基づいて設計される。
【0004】
骨接合用インプラントのいくつかは、スクリューを有するプレート、またはロッキングスクリューもしくはその他のロッキング機構を有する髄内釘など、複数の部材で設計されている。骨接合用インプラントは、骨折断片の整列および/または隣接する骨の整列を可能とすることを目的として、複数の部材を含む場合がある。しかし、プレート、釘、またはスクリューなどの骨接合用インプラントの主たる部材は、単一片のストック材料から設計および製造されるものであり、このことから、その後に得られる骨接合用インプラントおよび関連する部材の機械特性の制御が限られてしまう。従って、修復される骨の生体力学特性に可能な限り近い材料特性を有する骨接合用インプラントおよび部材を構築することが望ましい。
【0005】
ウォルフの法則によると、健康なヒトまたは動物の骨は、それに掛けられた負荷に順応する。従って、骨は、高負荷の領域で成長し、低負荷の領域で吸収またはリモデリングされる。骨折の修復または骨の接合を行う場合、硬すぎる骨接合用インプラントは、過剰な負荷が骨から骨接合用インプラントへと伝導されるため、骨吸収のリスクをもたらす。硬度が低い骨接合用インプラントは、骨折部の過剰な動きまたはインプラントの破壊により、骨折の治癒ができない結果となる可能性がある。
【0006】
骨接合用インプラントによる内部固定のための重要な生体力学的側面としては、骨構造へのしっかりした一次固定、および骨折治癒のための高度な生体力学的挙動が挙げられる。例えば、骨接合用インプラントは、骨と接合されるかまたはスクリュー固定される部分は硬くて強いが、骨折部に広がるセクションは、より高い可撓性または弾性を有することで、骨の特性をより密接に模倣し、負荷を再接合される骨折標的部へと送るものであることが望ましい場合がある。
【0007】
通常、一次固定は、ピン、スクリュー、釘、多孔性表面、スパイク、またはリベットによる固定機構を用いて達成される。接合用インプラントのプレートおよび釘は、骨折セグメントの内部固定および整列機構として働く。骨接合用インプラントを、材料、断面、開口部、およびその他の特徴を変化させて設計することで、インプラントは、特定の硬さおよび骨折部に対する安定性を提供し得るものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インプラントの同じ部材に材料の組み合わせを用いた複合体骨接合用インプラントを製造することは、望ましいであろう。そのようなインプラントが、接合する骨、または確実に固定する関節の生体力学的特徴を補完するものである場合、その価値は高まるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の実施形態では、硬化性粉末の第一の層を、外側表面を有するガイドによって定められたボア内に、プラットフォームと外側表面との間の深さを定めるように配置されたプラットフォーム上へ堆積させること;硬化性粉末の第一の層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めること;プラットフォームと外側表面との間の相対的な動きを起こして、プラットフォームと外側表面との間の深さを増加させること;硬化性粉末の第二の層を第一の固体領域上へ堆積させること;および、第一の固体領域上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めること、を含む、部材を製造する方法が提供される。
【0010】
さらに、製造システムも提供される。このシステムは、外側表面を有してガイドボアを定めるガイド;上側表面を有し、ボア内に配置されてボア内でガイドに対して相対的に移動可能であるプラットフォーム;粉末を収容するように適合された供給容器;粉末化された材料を供給容器からガイドボアへ移送するように構成された移送装置;垂直方向に移動可能であるプラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置;ならびに、プラットフォームに向かって放射線を適用するように構成された放射線源、を含むことが適切である。
【0011】
さらに、その下にある骨に取り付けられて、下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントも提供され、このインプラントは、下にある骨に取り付けられるように構成された第一の領域;および、第一の領域に隣接して配置された第二の領域を含み、第二の領域は、第一の領域よりも高い可撓性を有し、第二の領域は、第一の領域と一体化されている。
【0012】
前述の概要、ならびに本出願のインプラントおよび方法の好ましい実施形態についての以下の詳細な記述は、添付の図面と合わせて読むことでより理解が深まる。本出願の一体化された多材料インプラントを説明する目的で、好ましい実施形態を図面で示す。しかし、本出願は、示された機構および手段そのものに限定されるものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、1つの実施形態に従うインプラントの構築に用いられる製造プロセスの側面図を示す。
【図1B】図1Bは、1つの実施形態に従うインプラントの構築に用いられる製造プロセスの上面図を示す。
【図2A】図2Aは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図2B】図2Bは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3A】図3Aは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3B】図3Bは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3C】図3Cは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3D】図3Dは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図4A】図4Aは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4B】図4Bは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4C】図4Cは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4D】図4Dは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4E】図4Eは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4F】図4Fは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4G】図4Gは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4H】図4Hは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4I】図4Iは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4J】図4Jは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4K】図4Kは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4L】図4Lは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4M】図4Mは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4N】図4Nは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4O】図4Oは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4P】図4Pは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4Q】図4Qは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4R】図4Rは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4S】図4Sは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4T】図4Tは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4U】図4Uは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4V】図4Vは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4W】図4Wは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4X】図4Xは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4Y】図4Yは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図5A】図5Aは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5B】図5Bは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5C】図5Cは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5D】図5Dは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5E】図5Eは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5F】図5Fは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図6A】図6Aは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図6B】図6Bは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図7A】図7Aは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7B】図7Bは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7C】図7Cは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7D】図7Dは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7E】図7Eは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図8】図8は、本出願の第一の好ましい実施形態に従う一体化された多材料構造を有する骨プレートの断面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図9】図9は、本出願の第二の好ましい実施形態に従う一体化された多材料構造を有する骨プレートの断面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図10】図10は、本出願の第三の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラントの側面図を示し、骨接合用インプラントは骨に取り付けられている。
【図11】図11は、本出願の第四の好ましい実施形態に従う骨プレートの側面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図12】図12は、本出願の第五の好ましい実施形態に従う髄内釘の側面図を示し、髄内釘は骨に取り付けられている。
【図13】図13は、図8のプレートの大きく拡大した側面図を示す。
【図14】図14は、本出願の第六の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラントの断面図を示し、骨接合用インプラントは2つの骨断片間に取り付けられている。
【図15A】図15Aは、本出願の第七の好ましい実施形態に従う骨接合用髄核置換デバイス(bone joining nucleus replacement device)の上面図を示す。
【図15B】図15Bは、図15Aの骨接合用髄核置換デバイスの、矢状面に沿った断面図を示す。
【図16A】図16Aは、多材料領域を含むインプラントを示す。
【図16B】図16Bは、多材料領域を含むインプラントを示す。
【図17】図17は、多材料領域を含むインプラントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が、本明細書で述べる、および/もしくは示す具体的な装置、方法、用途、条件、またはパラメータに限定されないこと、ならびに、本明細書で用いられる専門用語が、特定の実施形態を例として述べることを目的とするものであり、請求される本発明を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。また、添付の請求項を含む本明細書で用いられる場合、単数形態である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数を含み、特定の数値への言及は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限りにおいて、少なくともその特定の数値を含む。「複数」の用語は、本明細書で用いられる場合、2つ以上を意味する。数値の範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の数値から、および/または他の特定の数値までを含む。同様に、先行語の「約」を用いることによって数値が近似値として表される場合、特定の数値が、別の実施形態を形成することは理解される。範囲はすべて、その両端値を含み、組み合わせ可能である。
【0015】
明確にするために別々の実施形態の状況で本明細書にて述べられる本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことは理解されるべきである。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の状況で述べられる本発明の種々の特徴は、別々に、またはいずれのサブ組み合わせとして提供してもよい。さらに、範囲として示される数値への言及は、その範囲内の各々およびすべての数値を含む。
【0016】
特定の専門用語は、以下の記述にて便宜上用いられるのみであり、限定するものではない。「右」、「左」、「上部」、および「下部」の単語は、参照される図面中の方向を指定するものである。「内側へ」および「外側へ」の単語は、装置およびその指定される部分の幾何学的中心に向かう、ならびにそこから離れる方向をそれぞれ意味する。「前側の」、「後側の」、「上の」、「下の」、「側方の」、「内側の」、「矢状の」、「軸方向の」、「冠状の」、「頭側の」、「尾側の」の単語、ならびに関連する単語および/または語句は、参照されるヒト体内での好ましい位置および配向を指定するものであり、限定することを意図するものではない。
【0017】
特定の専門用語は、以下の記述にて便宜上用いられるのみであり、限定するものではない。「右」、「左」、「下側」、および「上側」の単語は、参照される図面中の方向を指定するものである。「内側へ」または「遠位に」、および「外側へ」または「近位に」の単語は、患者の身体、または好ましいインプラントおよびその関連する部分の幾何学的中心に向かう、ならびにそこから離れる方向をそれぞれ意味する。「前側の」、「後側の」、「上の」、「下の」、「側方の」の単語、ならびに関連する単語および/または語句は、参照されるヒト体内での好ましい位置、方向、および/または配向を指定するものであり、限定することを意図するものではない。専門用語は、上記で挙げた単語、その派生語、および類似の意味を有する単語を含む。
【0018】
まず、部材を製造する方法が提供される。まず代表的な図4A〜4Yを参照して、これらの方法を述べる。
【0019】
ユーザーは、第一の硬化性粉末層1420を、プラットフォーム1410と外側表面1406との間の深さ1414を定める外側表面1406(上側表面、リム部、またはエッジ部としても特徴付けられ得る)を有するガイド1404によって定められるガイドボア1412内に配置されたプラットフォーム1410(例:ピストン)上へ堆積させてよい。添付の図に示すように、第一の硬化性粉末層(複数の粒子を含むことが適切である)をプラットフォーム上へ堆積させ、第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めてよい。ユーザーは、プラットフォームと外側表面との間の相対的な動きを起こして、プラットフォームと外側表面との間の深さまたは距離を大きくし、第二の硬化性粉末層を第一の固体領域上へ堆積させ;第一の固体領域上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めてよい。この方法を、まず、限定されない図4Aおよび4Bを参照して説明する。
【0020】
これらの図は、装置1400を示し、この装置は、ガイド1404中に配置された外側表面1402(上側表面と記述される場合もある)を有するプラットフォーム1410を含み、ガイドは、ボア1412および外側表面1404を定め、外側表面は、エッジ部1406を有する。この限定されない実施形態では、プラットフォーム1410は、ピストンとして特徴付けられ得るものであり、ピストンは、プラットフォーム1410を移動させるのに用いることができるロッド1406を有する。
【0021】
プラットフォームの移動は、機械的な、電気機械的な、液圧による、またはさらには磁気的な力を加えることによって行ってよい。プラットフォームを移動する方法は本技術分野で公知である。プラットフォーム1410のエッジ部は、ボア1412に緊密に嵌合されているか、またはシールされている(例:ガスケットにより)ことが適切である。図に示されるように、プラットフォームの外側表面1402は、ピストン集合体のエッジ部またはリム部1406の下、距離1414の位置に配置されてよい。ある実施形態では、ガイド1404の外側表面1404は、上側表面として特徴付けられる。
【0022】
ガイドは、リム部1406を含んでよく、これは、外側表面1404の一部と見なし得る。円形のプラットフォームを用いて請求される本発明を説明するが、プラットフォームが円形表面を有する必要はない。プラットフォームは、円形、四角形、または多角形の形状であってよい。
【0023】
プラットフォームは、ガイド1404の外側表面1406を越えて位置することを可能としてよい。プラットフォームはまた、プラットフォーム1410の表面1402の上に堆積された材料が、ガイド1404の外側表面1406を越えて露出されるように位置することを可能としてもよい。本明細書の他所で述べるように、この露出によって、ユーザーは、図4P(ブラシ1460による過剰粉末の除去)および4Q(真空掃除機1470による過剰粉末の除去)に示されるように、プラットフォーム1410の上にあるか、またはそれによって支持されている場合のある過剰の材料を取り払うことができる。
【0024】
第一の硬化性粉末層の堆積を図4Cおよび4Dに示す。これらの図に示すように、粉末層1420は、プラットフォームの上側表面1402の上に堆積される。粉末層の高さは、第一の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しいことが適切であるが、層はこれより厚くてもよい。図4Dに示すように、粉末層は、プラットフォームの上側表面1402の本質的に全体を被覆してよいが、完全な被覆は必要条件ではない。
【0025】
適切な粉末には、実質的にいかなる硬化性材料も含まれる。ポリマーおよび金属などの粉末はすべて適切であると見なされる。粉末層は、本質的に単分散である粉末または多分散粉末によるものであってよい。例えば、粉末層は、PEEK粒子の単分散集団を含んでよい。第一、第二、または両方の粉末層は、単分散であってもまたは多分散であってもよく、すなわち、どの粉末層も単または多分散であってよい。また、どの粉末層も、2つの材料の混合物を含んでいてもよい(例:2種類のポリマー)。
【0026】
別の選択肢として、層は、様々なサイズ/寸法のPEEK粒子を含んでよい。層は、PEEKおよび金属を例とする、2つの異なる種類の材料の粒子を含んでよい。粒子は、従って、サイズ、材料、またはその両方に関して、互いに異なっていてよい。PEEKおよびポリエチレンなどのポリマー粒子は、特に適切であると見なされる。ステンレススチールなどの金属粒子も適切である。
【0027】
粉末は、実質的にいかなる材料であってもよい。粉末材料の限定されないリストとしては:スチール(従来のおよびステンレス)、スチール合金、アルミニウム、チタン(およびその合金)、PEEK、ポリエチレン、およびその他のポリマーなどが挙げられる。任意の粒子は、それ自体が1、2、または3つ以上の材料を含んでいてよい。例えば、任意の粒子は、それ自体が、2つのポリマー、金属、またはその両方の混合物であってよい。例えば、単一の粒子は、それ自体が、混合物、または合金、または2つの金属であってよい。溶融または一緒に溶接することが可能である材料は、特に適切であると見なされる。適切な粉末材料の粒子サイズは、約0.005mmまたはさらには約0.01mmから、約0.1mm、0.5mm、またはさらには1mm、もしくは2mmまでの範囲内である。粒子サイズ分布は、ユーザーの必要性に応じてユーザーが設定してよい。
【0028】
ユーザーは、選択的溶融の適用を実施してもよい。代表的なPEEKの場合、プロセスチャンバーおよび粉末をPEEKの融点近くまで加熱し(例:350度)、ビームが、PEEKの溶融を誘発するのに要するエネルギーの最終量のみを導入する。この手法の変形を、PEEKに加えて様々な材料に適用してよい。例えば、ユーザーは、適用された粉末の一部のみが固化するように、特定の温度を特定の時間にわたって適用してよい。この方法により、ユーザーは、加工中の材料の一部分のみを選択的に溶融(その後固化するように)または融合することができる。例えば、ユーザーは、適用されたポリマー粉末を固化させるには十分であるが、適用された金属粉末は固化しない温度までワークスペースを加熱してよい。
【0029】
特定の種類の粉末を加工するための最適な条件は、粉末およびユーザーの必要性に応じて異なる。PEEK粉末の場合、約40Wのエネルギー、約1500mm/sのスキャン速度、および直径約0.1mmの焦点が適切であると考えられる。スチール粉末の場合、200Wのパワー、約1000mm/sのスキャン速度、および直径約0.15mmの焦点が適切であると考えられる。最適な粉末の適用は、ユーザーの必要性および加工される材料の特性に応じて異なる。第一の固化層を冷却し、その後に第一の層上に第二の層を形成することが適切であると考えられる(必須ではないが)。実際は、第一の層の固化は、第二の層が適用されて加工される相当前に行われる。
【0030】
任意の粉末層は、2種類の粒子を含んでよく、その粒子は、異なる材料であってよい。層中の2つの材料の重量比は、約10,000:1から約1:10,000、または約1000:1から約1:1000、または約10:1から約1:10、またはさらには約1:1であってよい。1つの材料の別の材料に対する最適な比率は、ユーザーの必要性に応じて異なり;任意の粉末層は、2、3、4、または5つ以上の異なる材料を含んでいてよい。層中(例:異なるサイズの粒子を含む層中)のサイズが異なる粒子の個数比は、実質的にいかなる比であってもよい。
【0031】
ある実施形態では、第一の層1420は、最初の層であり、従って、第一の堆積工程は、第一の層をプラットフォーム上へ直接配置することを含む。他の構成では、第一の層1420は、プラットフォームに支持されている、既に固化された固体領域の上に堆積される。
【0032】
図4Eおよび4Fは、第一の固体領域を定めるように第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化することを示している。この固化は、エネルギー(例:放射線)1432を、エネルギー源1430から第一の粉末層1420の少なくとも一部分へ適用することによって行われることが適切である。エネルギーの適用は、その層1420の一部分を第一の固体領域1440とすることが適切である。エネルギー源は、レーザー、メーザー、赤外放射線源、紫外放射線源、または粉末を硬化することができるその他の放射線であってよい。また、ユーザーは、エネルギー源として加熱流体(例:ガス)を用いてもよい。加熱物体(加熱プレート、針、またはパターンスタンプなど)も、適切なエネルギー源として用いてよい。電子ビーム、プラズマビーム、プロトン、またはその他の粒子ビームも、適切なエネルギー源である。また、超音波も、溶融および固化の調節またはそれ以外の変化を行うために適用してよく;振動エネルギーまたは振動力を、固化されなかった粉末を除去するために適用してよい。図4Fに示すように、ユーザーは、第一の粉末層1420の一部分のみを固化1440してよい。
【0033】
ユーザーは、粉末を実質的にいかなるパターンに固化してもよく、本明細書の他所で述べるように、ユーザーは、放射線源と粉末層との間の相対的な動きを起こすことによって、特定の固化パターンを発生させてよい。例えば、放射線源32を、プラットフォーム上の特定の位置に移動させ、次にプラットフォームによって支持される材料へ放射線1432を適用してよい。放射線源1432は、粉末を線状に固化させるように、2つ以上の位置の間を移動しながら放射線を適用してよい。
【0034】
別の選択肢としての実施形態では、放射線源1432は、固定され、プラットフォーム1410が、放射線源に対して相対的に移動される。また、ユーザーは、放射線源32およびプラットフォーム1410を互いに相対的に移動させてもよい。放射線源は、x−y平面で移動させてよく、z軸で移動させてもよい。放射線源は、ピストン1410の表面1402に対して垂直に放射線が適用されるように構成されてよく;放射線源はまた、表面1402に対して角度を付けて放射線を適用してもよい。
【0035】
ユーザーはまた、放射線源および粉末層の間、またはその両方にマスクを挿入することで、固化パターンを発生させてもよい。第一の粉末層への放射線の適用により、第一の粉末材料の硬化から、完全固化材料1440の層が得られる結果となってよい。
【0036】
ビームは、様々な方法で適用してよい。いくつかの場合では、1つのピースの外部輪郭部における溶接部(すなわち、固化領域)が、そのピースの内部における溶接部によって軟化され得る。外部と内部の溶接部の間の距離が離れることで、物体内の勾配の加工性を改善することができ、内部溶接部の後に外部輪郭部の溶接を行うことで、勾配の加工性が改善される。ピースの外側からピースの内部へ向かって順に溶接することによっても、ある実施形態では、材料特性の改善が得られる。いくつかの状況では、溶接パスが互いに隣接していない場合、焦点を絞ることで、上下に順に配置された溶接部の準最適な成長を得ることができる。類似の効果は、エネルギーレベルがより高い場合に、溶接パスが互いに近接していても発生する。
【0037】
ある実施形態では、ユーザーは次に、プラットフォームおよびガイドの外部表面の間の相対的な動きを起こしてよく、それによって、プラットフォームと外部表面との間の深さが増加する。これは、図4Iおよび4Jに示され、これらの図は、プラットフォームおよびガイド(符号なし)の間の相対的な動きが、ガイドの外部表面と固体材料1440の上部表面との間の距離1414を生じさせることを示している。相対的な動きは、ガイド1404に対してプラットフォーム1410を移動させることにより、プラットフォーム1410に対してガイド1404を移動させることにより、またはその両方により行ってよい。
【0038】
ユーザーは次に、第二の硬化性粉末層を、第一の固体領域上に堆積させてよい。これは、図4Kに示される。その図に示されるように、第二の硬化性粉末層1450は、第一の固体領域1440上に堆積される。第二の硬化性粉末層の厚さは、第二の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しいことが適切であるが、層はそれより厚くてもよい。
【0039】
1つの実施形態では、ガイドの外側表面と固体材料1440の上側表面との間の距離1414は、第二の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しく(またはそれよりも僅かに大きい);この方法により、凹状の固体材料1440へ第二の硬化性粉末を適用した後に、過剰の第二の粉末を、スイーパーまたはワイパー(図示せず)を用いて除去することができ、これによって、距離1414の高さを有する第二の粉末層が後に残される。
【0040】
そのような実施形態では、ユーザーは、硬化性粉末の層を固化した後(その層は、第一のまたは最初の粉末層であり得る)、プラットフォームを上方向へ進めてよい。これは、固化粉末の領域を上方向へ上昇させ、ユーザーが未硬化または過剰の粉末の除去を、ブラシにより、真空掃除機により、下に落とすことにより、または粉末もしくは微粒子物質を除去もしくは回収するその他の方法により行うことができるように、行ってよい。
【0041】
プラットフォームの上昇は、ピストンボアのリム部より上に、本質的に粉末の固化された領域のみを露出させるのに十分な量(例:固化された粉末層の高さ程度)で行ってよい。加工される領域をこの量で下方向へ移動させ、次に粉末を適用することにより、一般的に0.03mmから0.1mmの厚さの粉末層が得られるが(図4G、4I、および4Kに示されるように)、粉末サイズを適切に選択し、プラットフォームの動きを適切に調節することにより、0.03mm未満および0.1mm超の粉末層を形成することもできる。粉末層の最適な厚さは、ユーザーの必要性および加工上の制限に依存し得るものであり、粉末層は、数分の1ミリメートルの範囲からミリメートルの範囲であってよい。
【0042】
図4Mおよび4Nに示すように、ユーザーは次に、第一の固体領域の上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めてよい。この固化は、放射線源1430から放射線1432を第二の層1450へ適用することで達成されることが適切である。そして、放射線は、第二の層1450の少なくとも一部分を、第一の固体領域1440上の第二の固体領域1452へ変換する。図4Nの上面図に示されるように、固化は、固化された第一の領域1440上に第二の粉末の別々の固化された領域1452を発生させるように実施してもよい。第二の粉末1452の未固化粒子が、第一の固体領域1440上に残っている場合がある。固化は、第二の固体領域と第一の固体領域とを融合させることができ;そのような融合は、ある実施形態では、焼結として、またはさらには溶接として特徴付けられ得る。ある実施形態では、隣接する粉末層は、互いに結合している。これは、隣接する層が同一または類似の材料である場合に起こり得る。材料は、1つの材料層の一部が隣接する層に拡散するように選択してもよい。
【0043】
ある実施形態では、1つの隣接する層の一部分が、隣接する層に物理的に一体化されてよい。これは、第一の層が多孔性であるか、または表面粗さを有し、第二の層の一部分が第一の層のそのような特徴部分と一体化する場合に起こり得る。添付の図、例えば図16Aに示されるように、材料の層は、1つの領域1202が、別の領域1204と共に嵌合されるように構築されてもよい。
【0044】
ユーザーは、実質的にいかなるパターンで粉末を固化してもよく;図4Nに示される円柱状領域は単なる例示である。固化された領域は、円形、多角形、四角形、またはその他の形状であってよい。1つの変形では、ユーザーは、粉末のO字型リングを固化し、そのリングの中央の未固化粉末を除去してよい。次にユーザーは、第一のリング上に追加のO字型リングを構築して、中空の円柱を発生させてよい。次に、所望される場合は、円柱の内部を液体またはその他の材料で充填してよい。
【0045】
また、本発明を用いて、内部に空隙部を含む物体を作製することもできる。そのような空隙を発生させる1つの方法は、粉末の第一の層を固化することである。ユーザーは次に、その層の上に、第二の粉末層を固化するが、第二の層に複数の孔を残す。次にユーザーは、ワークピースを取り出し、続いてワークピースを下向きに、別の材料固体層を上に向けて配置して、デバイスの構築を継続してよい。次に、第二の層の孔を塞ぐことで、内部に空隙が配置された物体が得られる。
【0046】
ワークピース(すなわち、固化された粉末で作られた物体)は、加工の過程で、移動されても、回転されても、またはそれ以外の操作を受けてよい(図示せず)。この方法により、ユーザーは、実質的にいかなる配向で伸びる実質的にいかなる特徴を有する物体をも作製することができる。例えば、ユーザーは、1つ以上の粉末材料の連続する層を固化することにより、立方体を構築してよい。次にユーザーは、立方体の第一の面から伸びる突出部(例:スパイク)を構築してよい。ユーザーは、次に、ワークピースを回転させ、立方体の別の面から第二の突出部を構築してよい(図示せず)。
【0047】
物体内に空隙を配置することは、物体に特定の物理的特性を付与するのに有用であり得るものであり、それは、物体内に存在する空隙により、剛性が低く、より可撓性の高い物体が発生し得るからである。また、空隙を用いて、剤または薬物を含有させ、そのような物質を物体内に保存することもできる。また、空隙を用いて、後に硬化することができるモノマーなどの物質を含有させることもできる。例えば、そのようなインプラントは、体内に導入され、その後に、インプラント内に配置された導入モノマーが、適切なエネルギーの適用によって固化されてよい。物体はまた、未固化粉末を含む領域(通常は内部領域)を有していてもよい。そのような物体は、移植され、物体内の未固化粉末が、適切な放射線の適用によって後に固化されてよい。
【0048】
ユーザーはまた、物体を成す層のエッジ部に未固化の領域を残すことにより、ピットを有するか、多孔性であるか、粗面であるか、またはそれ以外の特徴を有する表面を持つ物体を発生させることができる。そのような表面を用いて、骨またはその他の組織の内殖を促進することができる。そのような表面はまた、均一でない表面の被覆またはそれへの接着をコーティングが改善する場合があることから、コーティングを施してもよい。
【0049】
固化の後、図4Oに示されるように、続いてピストンを上方向へ移動させてよい。これは、図4O、4P、および4Qに示されるように、掃き出し、真空掃除機、ブラシ、吹き飛ばし、またはそれ以外でワークピースから粉末を除去することができる場所まで、第二の粉末層からの未固化粉末1450を上へ移動させるように行ってよい。粉末は、材料の固化された領域の形成後に除去されることが適切であり;そして、粉末の除去が、第一、第二、またはその他の固体領域を定める。
【0050】
本明細書の他所で述べるように、プラットフォームおよび外側表面の間の相対的な動きは、第一の固体領域、第二の固体領域、またはその両方(またはその他のいずれかの固体領域)を、外側表面よりも上に、または外側表面と同じ高さに持ち上げるものであってよい。図4Pでは、固化された領域1452の間に粉末の領域1450が存在する。ピストンは、粉末1450がガイドの表面の上に露出するように、上方向へ進行されている。ブラシ1460または真空掃除機1470を用いて、過剰の粉末1450を除去してよい。ユーザーはまた、静電気、ブロワー、または粉末を除去するその他の適切な方法を用いてもよい。
【0051】
図4Rは、第二の固化された領域1440上の固化された領域1452を、過剰の粉末(図示せず)が除去された状態で示す。図4Sは、固化された領域1452の俯瞰図を示す。
【0052】
図4Tに示されるように、ピストン面を次に、下向きに移動させ、それによって固体構造の上部が本質的にボアのエッジ部1406と同一平面(すなわち、同じ高さ)となるようにしてよい。次に、第三の粉末層(図4Uに示されるように)を導入して、固化された領域1452の間の空間を埋めてよい。これは図4Tに示され、この図は、これらの空間を埋める第三の粉末層を示すものである(第三の粉末層1420のレベリングは図示していない)。さらなる粉末層(図示せず)を適用して、加工してよく;これらの層は、それ自体の別々の容器内に保存されていてよい。
【0053】
第三の粉末層は、次に、エネルギー源1430からのエネルギー1432の適用によって固化される。これによって、固化された第三の粉末層1440aに実質的に埋め込まれた第二の材料の固化された領域1452が発生する。この説明では、第一および第三の層の粉末は同じであるが;しかし、物体のいずれの2つの層も同じあることは必要条件ではない。
【0054】
これは、図4Xにも示されており、この図は、固化された層1440aの中に存在する固化された領域1452の俯瞰図を示す。4Yは、図4Wで作製された物体の断面図であり、第一の層1440、第二の材料の固化された領域1452、および固化された第二の材料1452が配置される材料層1440aを示す。
【0055】
粉末は、供給容器から提供してよい。複数の材料を用いるプロセスの場合、各材料を別々の供給容器に保存してよい。例えば、第一の粉末は、第一の供給容器に保存されてよく、第二の粉末は(例:追加の粉末層に用いられる材料)、第二の容器に保存される。追加の粉末は、それぞれ、それ自体の容器に保存してよい(例:第三の粉末は第三の供給容器に保存され、第四の粉末は第四の供給容器に保存される、など)。供給容器は、ガイドの近傍に配置してよい。
【0056】
ここで、図1、2、および3を参照すると、これらの図は、選択的レーザー焼結プロセスまたは類似のプロセスを用いて、本明細書の他所で述べるものを含む、種々のインプラントよびその他の物体を製造することができる実施形態を示す。
【0057】
図1を参照すると、このプロセスは、一般に、エネルギー源32(例:レーザー)を用いてプラスチック、金属、またはセラミック粉末などの材料の粒子を所望される三次元の物体を表す集合体へと融合させる高速積層造形技術(additive, rapid manufacturing technique)から成る。
【0058】
エネルギー(例:放射線)源32(例:レーザー)は、作製されたパーツの断面を、スキャナー34を用いるコントローラー30によって、粉末床38の表面にてスキャンすることにより、粉末材料36を融合させる。パーツの各断面がスキャナー34によってスキャンされた後、粉末床38は1つの厚さ分下げられ、粉末適用装置39によって粉末床の上部に新しい粉末材料層が添加され、パーツが完成するまでこのプロセスが繰り返される。ここではレーザーについて述べるが、その他の放射線またはエネルギー源を用いて粉末を固化させてもよい。プッシャー(pusher)58を用いて、粉末の適用または除去を補助してもよい。このシステムはまた、放射線の適用を調節する(例:放射線源の動きの調節により、放射線適用のパターンを作り出すマスクの使用により、ワークピースの移動により、またはこれらのいずれか)コントローラーも含んでいてよい。
【0059】
コントローラーは、1つ以上の所定の場所へ放射線を適用してよい。本明細書の他所にて述べるように、ユーザーは、特定の形状の物体またはパーツを必要とする場合がある。その場合、ユーザーは、粉末適用および粉末固化の連続する工程を行って、所望されるパーツを得ることができる。その場合は、ユーザーは、特定の順序の工程が実行されて所望されるパーツが製造されるように、システムを設定またはそうでなければプログラムしてよい。このプログラムの一部として、システムは、1つ以上の予め選択された、または所定の場所へ放射線を適用してよい。このシステムはまた、放射線またはエネルギーの適用と合わせて、予め選択された量および種類の粉末を適用してもよい。
【0060】
粉末床38へ選択的に粉末を配置するか、または第一の材料を粉末床38にて融合させ、特定の層から材料粉末を除去し、その層へ第二の材料粉末を適用し、第二の材料粉末をコントローラー30のガイドに基づいてその特定の層にて融合させることにより、2つ以上の材料を組み合わせることができる。粉末材料は、好ましくは、ホッパー40a〜e(図3参照)で保存または保持され、ホッパーの数は、特定の部材のいずれかに用いられることが所望される材料の数に対応している。ホッパーは、単一の材料、またはさらには材料の混合物を含んでいてよい。
【0061】
材料を除去する場合、具体的には、スキャナー34による粉末床38の最初のスキャン後に粉末床38から粉末材料36を除去する場合、粉末材料36は、真空掃除機、スイーパー、静電掃除機、ブロワー、ワイパー、または粉末床38から過剰の粉末材料36を除去するその他のほとんどいかなる機構によっても除去してよく、それによって、粉末材料36の次の層の加工が行い易くなる。
【0062】
1つの実施形態は、第一の粉末材料36を粉末床38上へ堆積させ、第二の材料が部材設計に組み込まれる断面の部分にて、粉末床38の第二の部分を第二の粉末材料36で充填することを含む。コントローラー30は、望まれる材料36を、部材の特定の層に対応する三次元材料層へと融合するように、レーザー源32およびスキャナー34を動かすものである。
【0063】
異なる材料36による新しい層が、融合層の上部に堆積され、最終パーツが製造されるまでプロセスが繰り返される。スキャナーは、粉末床38上(ガイドボア内)に配置された粉末材料の状態の評価に用いることができ、次にその状態を用いて、放射線、イオン、またはその他のエネルギーの粉末への適用を調節することができる。図に示されるように、粉末は、2つのホッパーから供給してよく;2、3、またはさらには4つ以上のホッパーを用いてもよい。単一の粉末源(例:ホッパー)を持つ実施形態も適切である。
【0064】
限定されない図1および2では、粉末供給プラットフォーム(ピストンとして構成され得る)が、粉末床とおよそ同じ高さに配置される。そのような構成では、粉末は、供給ピストンから供給され、次に、加工のために粉末床38上へ掃き流されるか、またはそれ以外で移送される。粉末は、ホッパーの上に配置された供給源から供給される場合もあることから、これは必要条件ではない。そのような実施形態では、粉末は、粉末床に隣接して供給され、次に、例えばブレード、スクープ、スプレー、ワイパーなどで粉末床へ移送される。粉末はまた、粉末床から離れて(例:数ミリメートル、数センチメートル)供給され、次に粉末床へ送られてもよい。
【0065】
粉末を作業プラットフォームへと広げるための装置、さらには過剰の粉末を除去するための装置が存在することも適切である。1つの実施形態では、システムは、粉末をワイパーの前に堆積させるブレード(またはスクレーパー)39を含み、ワイパーは、ブレードの形状、ブラシの形状、またはさらにはブレードおよびブラシであってよい。この堆積は、単一の独立した容器からであっても、または各々が異なる粉末材料を含有する他の容器の群(例:列)の一部である単一の容器からであってもよい。システムは、ワイパーの前に1種類のみの粉末を供給するように構成されていても、または2種類以上の粉末をワイパーの前に供給するように構成されていてもよい。ワイパーはまた、過剰または不要の粉末を除去するためにも用いてよい。図のいくつかには、プラットフォーム全体にわたって、または別の支持層全体にわたって粉末を広げることが示されているが、これは必要条件ではない。ユーザーは、プラットフォームまたは支持層の一部分のみに粉末を広げてよく、システムは、この種の広げ方が行われるように構成されていてよい。
【0066】
本明細書の他所で述べるように、超音波またはその他の振動を用いて、平滑な粉末層を生じさせることができる。粉末は、ガイドのエッジ部またはリム部に確実に存在することが適切であると考えられ;リム部に十分な粉末が存在しない場合、熱を吸収する粉末が存在しないために、続いて行われるエネルギーの適用が、リム部のみを加熱し、隣接する粉末を加熱しない可能性がある。従って、これらの方法を実行するには、粉末の十分な分布が有用である。別の選択肢として、プロセスチャンバー内を比較的高い温度にすることで、加工される材料内の温度勾配を低減することができ;例えば、ユーザーは、粉末を適用し、粉末が特定の温度となるまで待機した後、粉末を加工してよい。ユーザーはまた、第一の粉末層の加工に要するエネルギーは、第一の層とは異なる断面であるか、またはさらには異なる材料であり得る第二の粉末層(第一に隣接)の加工に要するエネルギーと異なる可能性があることから、ピースの異なる層の構築に際して断面の変化を考慮してもよい。
【0067】
粉末は、プロセスチャンバーの雰囲気中へ注入またはスプレーして、続いて加工される領域上へ降下(例:雪のようにして)させてもよい。他の実施形態では、粉末は、作業プラットフォーム上への分散のためにコンベヤーベルト上へ分散してよい。ベルトは、プロセスチャンバー内で動きながら粉末を分配してよい。
【0068】
特に図2Aを参照すると、特定の粉末材料36は、典型的なレーザー源32およびスキャナー34での加工に適さない場合がある。そのような敏感な粉末材料36は、青色光源またはその他の光源42などの低エネルギー機構を用いて融合または加工してよい。そのような構成では、コントローラー30(分かりやすくするために図2には含めていない)は、加工される材料に応じて、粉末床38上に堆積装置39を介して堆積された望まれる材料を融合または加工するために、レーザー源32、スキャナー34、および/または青色光源42を動かすものである。
【0069】
堆積装置は、粉末床38へ粉末を移送するように移動されるバー、ブレード、またはワイパーであってよい。製造は、粉末を固化するために2つ以上の異なるエネルギーを用いることを伴っていてよい。例えば、システムは、第一の種類のエネルギー(例:第一の波長のレーザー放射線)を用いて第一の種類の粉末を融合させ、次に第二の種類のエネルギー(第二の波長のレーザー放射線)を用いて第二の種類の粉末を固化させてよい。エネルギー源は、調節可能であってよく;システムはまた、その代わりに、複数のエネルギー源を含んでいてもよい。
【0070】
ある実施形態では、金属またはセラミック粉末36が加工される場合、材料の融合には高エネルギーレーザー源32が通常は用いられ、ポリマー粉末材料などのより敏感な材料が加工される場合は、青色光源42を用いてよい。青色光源42は、限定されず、特定の粉末材料を融合または加工して最終部材を形成する、紫外または赤外光源などのほとんどいかなる光源から成っていてもよい。加えて、粉末材料の静電堆積を用いて部材の加工を行ってもよい。
【0071】
図1および2に示されるように、ホッパーまたは粉末容器は、粉末床38(プラットフォームとも称される)に隣接して、またはその近傍にあるピストンであってよい。図1に示されるように、粉末容器ピストンが配置されるボアの上部は、粉末床(またはプラットフォーム)が配置されるボアの上部と、同じ高さであるかまたは本質的に平面に位置していてよい。このことによって、ユーザーは、掃き流し、吹き飛ばし、またはそれ以外により、粉末容器から粉末床上へ粉末を移送することが可能となる。
【0072】
図1および2に示されるシステムは、協調した形で運転されるよう構成されてよく、ここで、システムが粉末床上のある量の粉末を固化させて固体領域を形成している間に、プラットフォームに適用される次の粉末層に相当する粉末容器内のプラットフォームは、所望される量の粉末を粉末移送装置に提供するように移動している。この方法により、システムは、前の量の粉末が粉末床上で加工されている間に、次の量の粉末を送り出す準備を行う。本明細書の他所にて述べるように、粉末の粉末床への移送は、固化工程後に粉末床からの過剰の粉末の除去も行う装置によって行ってよい。
【0073】
このような協調プロセスの1つの例として、第一のホッパーが、次に粉末床(プラットフォーム)38へと分配されることになる粉末を供給してよい。粉末床上の粉末が固化されている間に、第二のホッパーが、粉末床へ第二の粉末を分配する準備を行う。固化後、過剰の粉末が粉末床38から除去され、第二の粉末が固化された第一の粉末上に分配されて単一粒子分の厚さの層が形成されるように、粉末床がある距離分上昇される。
【0074】
図3を参照すると、複数のホッパー40a〜40fを用いて、加工のために粉末床38上へ堆積させるための望まれる粉末材料36が保存される。ホッパー40a〜40fを用いて、移行領域のためのブレンド材料、高弾性材料、物体の剛性もしくは硬い部分を形成するための金属粉末、または所望される製品の適合および製造を可能とするほとんどいかなる材料をも保存してよい。ブレード39またはその他の装置(例:ワイパー、スクレーパー)を用いて粉末を粉末床へ移送することが適切である。供給容器は、互いに対して実質的にいかなる位置に配置してもよく;これらは、互いに隣り合っていても、またはさらには互いに向かい合っていてもよい。
【0075】
粉末床は、ユーザーの必要性を満たすような寸法であってよい。粉末床は、ミリメートル、センチメートル、またはさらにはそれより大きい範囲の幅を有していてよく;代表的な粉末床の断面寸法(例:幅)は、約10mmから約500mmの範囲内である。粉末床は、円形、多角形、卵形、またはユーザーが必要とし得る実質的にいかなる形状であってもよい。粉末床はまた、プラットフォームの断面を変化させるように粉末床の一部分をマスクするインサートまたは覆い(クッキー型(cookier cutter)またはステンシルの形態)(図示せず)を含んでもよい。例えば、半径約1cmのプラットフォームの上に、外半径が1cm、内側の「孔」の半径が約0.5cmであるドーナツ形状のステンシルを配置してよい。内側の「孔」は、円形、四角形、または実質的にその他のいかなる形状であってもよい。
【0076】
粉末供給ピストンおよび粉末床は、実質的にいかなる構成で配置されてもよい。代表的な図3Dに示されるように、粉末供給ピストン40a〜40fは、粉末床(またはプラットフォーム)38の周囲に配置されてよい。他の実施形態では、中央の粉末供給ピストンが粉末床によって囲まれていてもよい。ブレードまたはワイパーが往復運度の形で運転されて粉末が供給ピストンから粉末床へ送られるように、粉末供給ピストンは、2つの粉末床がその側面に配置されていてもよい。
【0077】
図5は、開示される方法の種々の実施形態を示す。図15Aでは、物体1500は、物体の一方の端から他方の端まで、スライス1502によって構築または「ビルドアップ」されてよい。これにより、多くの比較的小さいスライスの固化によって物体が生産される結果となる。別の選択肢としての実施形態が図5Bに示され、この図は、数が少なく、より大きいスライス1502を用いての、ボトムアップによる物体1500の構築を示す。図5Aのような構築は、多くの個々のスライスを構築する必要があるため、追加の時間が掛かり得る。図5Bに従う構築は、必要なスライス数が少ないことから、より早い場合があるが、いくつかの場合では、スライスが大きいことが、より多くの変更の機会を提供し得る。従って、ある実施形態では、垂直方向に配向されるピースの構築は、水平構成に配向されるピースの構築よりも遅い場合がある。しかし、プロセス条件および設定は、ユーザーの必要性に応じて改変してよく、垂直配向の物体を水平配向の物体よりも素早く構築することが適切であると考えるユーザーもいる可能性がある。
【0078】
図5Cは、パーツがある角度で形成される1つの実施形態を示す。図に示されるように、物体の長さ方向に沿って変化する断面の層1512、1514、1516を形成して、最終生成物に達してよい。第一の(下側)層1512は、物体に剛性を付与する金属を例とする第一の材料1510aから成る。中間層1514は、物体にある程度の可撓性が付与されるように、プラスチックまたはその他の可撓性材料1510bから成る。上側層1516は、1510bおよび1510aの両方の材料で形成してよい。
【0079】
このようにすることで、この方法により、サイズ、材料、またはその両方が変化し得る断面を有する物体を作り出すことが可能となる。本明細書の他所にて述べるように、層は、互いに異なる断面領域を有してよく、従って、これにより、図15Cの物体のような角度を有する物体をユーザーが作り上げることが可能となる。形成中のパーツとプラットフォーム表面との間の接触領域の量を最小限に抑える構成が、特に適切であると考えられ;連続する比較的大きい層の構築を伴う方法も用いてよい。
【0080】
放射線を適用する代表的な方法が図6Aおよび6Bに示される。図6Aは、レーザー(またはその他の放射線源)ビーム1632を粉末1604上の様々な位置へ移動させて所望される領域を固化させることにより、固化された粉末領域1606を形成することを示している。エネルギーの適用は、スポット、バースト(burst)、ライン、またはその他の形状で行ってよい。別の選択肢として、エネルギーを、ビームの移動の間、常に適用して、固化または溶接された材料のラインを発生させてもよい。エネルギーは、レーザーまたはメーザーなどの装置1630によって供給されることが適切である。粉末1604は、ピストン1602の上側の面1600上に配置される。エネルギー源は、少なくとも1つの方向へ移動可能であることが適切であり;x、y、およびz方向へ移動するエネルギー源、ならびに傾けることが可能であるエネルギー源が適切である。
【0081】
図6Bに示されるように、ユーザーはまた、所望される位置にのみ放射線が指向されるように、マスク1608を用いてもよい。この図では、マスクは、粉末層1604の特定の領域1606のみが照射されるように、エネルギー源と標的である粉末層との間に配置されている。マスクは、実質的にいかなる形でパターン化されていてもよく、そしてこれにより、ユーザーは実質的にいかなるパターンの固化された粉末をも形成することが可能となる。マスクは、その中に形成された孔部1610、直線、および曲線などを有していてよい。示されるように、マスクは、適用された放射線に対して不透過性であることが適切である。マスクは、その開口部が、移動可能であるプラットフォームの上側の面の方向に放射線源から適用される放射線の少なくとも一部分をブロックするように位置することが可能であることが適切である。
【0082】
ある実施形態では(図示せず)、ユーザーは、次の加工のための粉末の適用を補助するためにマスクを用いてよい。本実施形態では、マスクまたはステンシルは、粉末層を支持することになる表面の上に配置されてよい。次に、ユーザーは、粉末を適用してよく、そしてこれにより、マスクされていなかった表面の部分のみが粉末によって覆われることになる。ステンシルは、所望される粉末層の単一粒子厚さとほぼ同じである厚さのものであってよい。作業では、ユーザーは次に、いかなる過剰粉末も除去し、残りの粉末を固化させる(これは、ステンシルを配置して、または配置せずに行ってもよい)。この方法では、解像度の細かい特徴を形成することができる。ある実施形態では、典型的な寸法が0.05mm以上である特徴を形成することができ;より細かい特徴を作製することもできる。
【0083】
図7A〜7Eは、別の限定されない実施形態を示す。図7Aは、ワークピース上に粉末を配置することを示している(図4Rのそれと類似)。粉末1750は、ピストンの上にあるワークピースの表面特徴1752上、ならびにその表面特徴の間に配置される。表面特徴1752は、既に固化された粉末層1740上、またはそれ自体がピストンと接触しているその他の材料上に配置されていてよい。図7Bに示されるように、ユーザーは次に、粉末層の特定の領域へエネルギー1732を適用することにより、構造間に配置された粉末も固化してしまうことなく、構造上の粉末を固化してよい(従って、構造を伸長する)。この手法の結果を図7Cに示し、この図は、その上部に硬化性粉末1760を有する構造1752、および構造の間に配置された過剰の粉末1750を持つピストン1410の上側の面1402を示す。次に、粉末は、エネルギー源1730からのエネルギー1732の適用によって固化される。これらの工程を繰り返すことで、ユーザーは、ワークピースの表面から伸びる構造1752を作製し、成長させることができる。他の実施形態の場合と同様に、過剰の粉末1750は、図7Dおよび7Eの間の相違で示されるように、除去されることが適切であり、これらの図は、粉末1750が、構造1752、およびピストン1410の上側の面1402から除去されることを示している。
【0084】
構造は、固化された材料の少なくとも一部分を後の時点で選択的に除去してよい形で構築することもできる。例えば、ユーザーは、物体の直径部分にわたって伸びる犠牲材料の細い条片を有する円柱形状の物体を構築してよい。これらの犠牲条片を除去すると(例:エッチングにより)、ユーザーは、直径部分にわたって伸びる孔部を有する円柱形状の物体を得ることになり、その孔部は、犠牲条片のあった位置に対応している。
【0085】
いくつかの場合では、構築の際に、パーツに歪みまたは望ましくない特徴が現れる可能性がある。特定のいかなる理論にも束縛されるものではないが、歪みは、製造の過程でパーツ内に形成される温度勾配に起因する可能性が疑われる。このような歪みに対処するために、パーツ全体と溶接または焼結されるパーツの一部分との間の温度勾配が低減されるように、プロセスチャンバーを加熱してよい。
【0086】
いくつかの例では、ユーザーは、パーツの完成時、またはパーツの使用前に除去される犠牲部分を含むパーツを形成することを選択してよい。これは、ピストンまたはプラットフォームの面とその面に接触するパーツの部分との間の機械的相互作用に起因する歪みが、パーツの犠牲部分内に封じ込められるような形で行うことができる。例えば、ユーザーは、10cmの長さのインプラント体の構築を所望し得る。その場合、ユーザーは、12cmの長さの物体を構築し、製造の過程にて、ピストンまたはプラットフォームの面に最も近かった物体の2cmの部分を除去してよい。
【0087】
この方法により、ユーザーは、欠陥を含む可能性の高い(または実際に欠陥を含む)パーツのセクションが除去されたパーツを設計することができる。物体は、実質的にいかなるサイズであってもよい。1つの例として、約0.5mmまたはさらには1mmの直径、および約4mmの長さを有するスクリューを構築してよい。数センチメートル、またはさらには数十センチメートルの長さを有する骨プレートを構築してよい。そのような骨プレートは、5mm×50mm、もしくは10mm×30mmの断面、またはその他の適切な断面を有していてよい。
【0088】
図示はしていないが、製造は、プロセスチャンバー内で行ってよい。プロセスチャンバーは、本質的に周囲圧力であってよいが、近真空を含む周囲圧力より上および下の圧力が適切である。チャンバーは、不活性ガス(貴ガスを含む)で充填されていてよい。この方法が、スチール、スチール合金、アルミニウム、銅合金、および銀などの加工に用いられる場合、窒素が適切な作業ガスであると考えられる。チタン合金による作業の場合、アルゴンが適切であると考えられる。ある実施形態では、粉末の固化からヒュームが発生する。そのようなヒュームは、除去されることが適切であり;いくつかの場合では、ヒュームは、粉末に向けて指向されるエネルギービームの操作に干渉する可能性がある。ヒュームは、チャンバーの内容物(いかなるガスも含む)を、チャンバーおよびフィルターを通して循環させることによって除去されることが適切である。
【0089】
また、これらの方法を用いて、ユーザーの特定の必要性または必要条件に応じたインプラントまたは物体を形成することもできる。例えば、ユーザーは、所望されるインプラントの寸法および機械特性をシステムに入力することができる。そして、システムは、ユーザーの必要条件に応じてインプラントを製造することができる。ユーザーは、特定の骨の骨折に基づいて、特定の部位に可撓性領域を有する特定の寸法のインプラントを必要とし得る。ユーザーの必要条件に応じて、請求されるシステムを用いて、適切なインプラントを作製することができる。システムは、医師とリモート接続することができ、医師は、物体製造のための製造指示をシステムへリモート入力することができる。この方法により、個々の患者の使用に向けた個別化された物体を構築することができる。そのような物体は、臨床医からの具体的な要請に応じ、実質的に要望があり次第構築してよい。
【0090】
インプラントの異なる部分の剛性および可撓性は、当然、ユーザーの必要性に応じて異なる。ある実施形態では、剛性領域は、約90から250GPaの弾性率を有していてよい。チタンおよびその合金は、およそ110GPaの弾性率を有し得るものであり;スチールおよびコバルトクロム合金は、約200GPaの弾性率を有し得る。可撓性領域は、約2.5から9GPaの弾性率を有していてよく;PEEKは、約3.5GPaの弾性率を有する。剛性および可撓性領域の間の弾性率(またはその他の特性)の比は、ユーザーの必要性に応じて設定してよい。例えば、可撓性領域は、剛性領域よりもほんの僅かに可撓性であってよい。他の実施形態では、可撓性領域は、剛性領域よりも著しく可撓性であってよい。ある実施形態では(図示せず)、可撓性および剛性領域の間の弾性率(またはその他の機械特性)の相違は、1%、5%、15%、50%、75%、100%、300%、またはそれより大きくてよい。
【0091】
添付の図では、開示される物体を骨折部の安定化に用いることが示されているが、物体は骨折治療に限定されるものではない。1つの実施形態では、物体は、骨粗しょう症またはその他の類似の病状に罹患している(または罹患していることが予測される)骨の支持に用いることができる。物体はまた、損傷した、もしくは除去された骨の一部またはすべてを置換するためのインプラントとして用いることもできる。
【0092】
開示される物体はまた、システムの一部としても提供され得る。そのようなシステムは、構成の異なる種々のインプラントを含むキットまたはパッケージを有していてよく、臨床医は、最適なインプラントをパッケージから選択することができる。
【0093】
種々のインプラント、物体、およびパーツが本明細書にて開示され;「インプラント」、「物体」、および「パーツ」の用語は同義語として用いられる。開示される方法およびシステムは、これらのおよびその他のパーツの製造に用いることができる。
【0094】
1つの実施形態では、パーツは、その下にある骨に取り付けられて、下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントを含んでよい。代表的な限定されない図1を参照すると、そのようなインプラントは、下にある骨16に取り付けられるように構成された第一の領域12a;および、第一の領域12aに隣接して配置された第二の領域12bを含むことが適切であり、第二の領域は、第一の領域よりも高い可撓性を有し、第二の領域は、第一の領域と一体化されている。ここで、図をさらに参照して、開示される物体について述べる。
【0095】
まず図8を参照すると、第一の好ましい実施形態に従う骨接合用一体化多材料医療インプラントは、骨プレート12、およびそれに付随する、プレート12を好ましくは骨折部15全体にわたって骨16に取り付けるための骨固定スクリュー14から成る。骨プレート12は、好ましくは、単一の一般的に剛性である材料から構築されて、骨固定スクリュー14がプレート12を骨16へ確実に固定する部分である剛性部分(第一の領域)12a、および骨折部15に広がる複合体または可撓性部分12bを含む。
【0096】
剛性部分12aは、好ましくは、解剖学的に成形されるか、またはそうでなければ、対象に合わせて構成される。剛性部分はまた、骨16を係合させる骨接触領域も含むことが適切であり、剛性部分はまた、骨スクリュー14を確実に係合させるために、比較的硬く、強いことも適切である。
【0097】
剛性部分12aは、好ましくは、剛性部分12aの一般的なサイズおよび形状を取ることができ、剛性部分12aの通常の作業条件に耐えることができる、硬く、強い、チタン、ステンレススチールなどの金属材料、またはその他の生体適合性材料から成る。適切なプラスチック、金属、およびさらにはプラスチック‐金属ブレンドまたは合金も、剛性領域に用いてよい。
【0098】
複合体または可撓性部分12b(第二の領域)は、好ましくは、剛性部分12aと一体的に形成される。この第二の領域は、設計者が所望するように複合体または可撓性部分12bの材料特性を一緒になって適合させる、1もしくはさらには複数の材料を含んでよい。具体的には、複合体または可撓性部分12bは、修復される骨16の特定の生体力学的特徴、直面する骨折部15の種類、またはユーザーによって所望されるその他の解剖学的もしくは生体力学的特徴に適合するある範囲の硬さを有するように適合可能である。従って、複合体または可撓性部分12bは、骨の主断片を、固定後に恒常的な位置または配列に維持するために、比較的高い硬度を有していてよい。そのような骨プレート12の適合は、再建手術に適切であり得る。
【0099】
複合体または可撓性部分12bは、骨折を修復し、骨プレート12を通して負荷を伝えるのではなく骨16および骨折部15を通して追加の負荷を伝えて骨の成長を刺激するために、または、脊髄固定手術において、融合される椎骨へ負荷を直接指向させることで、骨の成長を促進し、応力遮蔽を限定的とするために、硬度が低下されていてもよい。この方法により、ユーザーは、物体力を骨折部へ向けて、または骨折部から離れるように最適に指向させ、最適な治癒が促進されるように、物体を構成することができる。
【0100】
骨プレート12を、エッチング、陽極酸化処理、陽極プラズマ化学プロセス(anodic plasma chemical processes)、または電解析出もしくはプラズマ溶射などのその他のコーティングで処理して、骨プレート12の上またはその中への骨結合および骨成長を促進してよい。以下でより詳細に述べられるように、骨代用材料、抗生物質剤堆積物、またはユーザーにとって望ましいその他のコーティングもしくは材料の付着を促進するために、表面を、機械的にまたは製造プロセスの過程で粗面としてもよい。
【0101】
複数の材料によって複合体または可撓性部分12bを構築することにより、設計者は、複合体または可撓性部分12bの硬度および/もしくは強度を、治療される骨の解剖学的もしくは生体力学的特性を密接に模倣するように、または設計者が所望する骨プレート12と骨との間の負荷の共有を発生させるように、適合させることが可能となる。
【0102】
好ましい骨プレート12は、以下でより詳細に述べるように、一段階生産プロセスで製造して、複合体または可撓性部分12bの2つの材料を一緒に成形してよい。加えて、製造プロセスにより、これも以下でより詳細に述べるように、剛性部分12aなどの1つの材料または均質である部分が、複合体または可撓性部分12bと一体的に組み込まれる。
【0103】
物体10は、バー、プレート、または実質的にその他のいかなる形態であってもよい。物体は、一定の断面、または変動する断面を有していてよい。物体は、単一の可撓性領域、または複数の可撓性領域を有していてよい。可撓性領域は、1つの可撓性材料を含んでいてよい。可撓性領域は、2つ以上の可撓性材料を含んでいてよく;それは、ブレンドもしくは材料、またはさらには材料の別々の(例:交互の)領域から成っていてよい。剛性領域は、同様に、単一の材料、複数の材料、またはさらには異なる材料の複数の領域を含んでよい。アンカー14は、スクリューおよび釘などであってよい。適切なアンカーは、ユーザーの必要性に応じて選択され、当業者に公知である。
【0104】
可撓性材料12bおよびより剛性である材料12aの間の移行は、ここでは、不連続な移行として示される。物体(いくつかの例ではパーツとも称される)は、2つの材料または2つの領域の間の移行がより漸進的である領域を含んでいてもよいことから、これは、常にこのようである必要はない。本明細書の他所にて述べるように、このような移行は、パーツを層ごとに構築することによって発生させることができ、ここで、連続する(隣接する)層は、僅かに異なる比率の材料を含有する。例えば、第一の層は、100%の金属を含んでよい。次の隣接する層は、99%の金属と1%のプラスチックであってよい。次の層は、98%の金属と2%のプラスチックであってよい、などであり、これによって漸進的な移行が生ずる。所望される特性および用いられる材料(金属およびポリマーなど)の特徴に応じて、そのような漸進的移行を用いてよく、その結果、物体の2つ以上の領域間の材料勾配が得られる。類似の融点を有する材料を一緒に組み合わせて、材料または領域間のそのような漸進的移行を形成してよい。
【0105】
第一および第二の領域は、互いに一体化されていることが適切である。一体化は、第一および第二の領域が構造的に互いにインターロックしている実施形態と関連し得る。これは、図16Aに示される。この実施形態では、物体1200は、第一の剛性領域1020、および第二のより可撓性である領域1204を含む。第二の領域1204は、突出部1206が実質的に第一の領域1202の中に入り込み、それによって第一および第二の領域が互いに機械的にインターロックされるように形成される。この機械的なインターロッキングは、接着剤または機械的アンカー(例:釘およびスクリューなど)なしに達成されるが、そのような補強を用いてもよい。
【0106】
図16Bは、別の選択肢としての物体1200を示し、ここで、第二の(可撓性)領域1204は、完全に第一の(剛性)領域1201の中に入り込んでいる。別の選択肢として(図示せず)、剛性(第一の)領域が、可撓性(第二の)領域の中に入り込んでいてもよい。図17は、さらに別の実施形態を示し、ここで、物体1200は、第一の(剛性)領域1202の中に配置された複数の第二の(可撓性)領域1204を含む。
【0107】
ある実施形態では、第一および第二の領域は、この2つの領域の間の移行領域によって互いに結合しており、移行領域は、第一の領域の材料と第二の領域の材料との混合物を含む。例えば、物体は、第一および第二の領域の間に移行ゾーンを含んでよく、この場合、このゾーンは、第一の材料100%から、第一の材料の第二の材料に対する比99:1へ、第一の材料の第二の材料に対する比98:2へ、などのように移行する。この方法により、ユーザーは、1つの材料から別の材料への漸進的な移行を含む物体を製造することができる。
【0108】
ある実施形態において、粉末が固化される場合、それは、特定の位置で溶融されて下にある材料と接合されてよく、下にある材料は、既に固化された粉末層であってよい。これは、とりわけ、レーザービーム(例:ダイオードパルスファイバーレーザー)および電子ビームなどによって行ってよい。
【0109】
図8および9を参照すると、第二の好ましい実施形態において、一体化された多材料医療インプラント10および210は、第一の好ましい実施形態に従う一体化された多材料インプラント10に類似の方法で構築される。第二の好ましい実施形態を第一の好ましい実施形態と比較する場合、同じ部材の識別には同じ参照符号を用いるが、第二の好ましい実施形態の部材であることを特に識別するために「2」の接頭語を付けて用いる。
【0110】
ここで図8〜15を参照すると、第二の好ましい実施形態において、複合体または可撓性部分212bは、図8の第一の好ましい実施形態の複合体または可撓性部分12bとは異なる方法で配置される。具体的には、第二の好ましい実施形態において、複合体または可撓性部分212bは、第一の材料222および第二の材料224の別々の層から構築される(図6を参照)。従って、第二の(より可撓性である)領域は、こうして2つ以上の材料を含んでいてよい。領域はまた、図9に示されるように、2つ以上のサブ領域を含んでいてもよく、サブ領域は、各々、異なる材料を含んでいてよい。例えば、物体は、剛性領域212aおよび可撓性領域212bを有してよく、ここで、可撓性領域は、212bで示されるように、2つ以上の異なる材料の交互の条片を含む。領域内のサブ領域は、ユーザーの必要性に合う実質的にいかなるパターンで配置されてもよい。
【0111】
同様に、第一の(剛性)領域はまた、様々な構成のものであってもよい。第一の領域は、1、2、または3つ以上の材料を含んでよい。第一の領域はまた、1つ以上のサブ領域を含んでもよい。例えば、第一の領域は、ステンレススチールを含んでよいが、第一の領域のチタンセクションに形成された開口部を含んでいてよい。第一の領域はまた、異なる材料の条片を含むように構成されてもよい。
【0112】
第一の(剛性)領域はまた、第二の(可撓性)領域に隣接して配置されるサブ領域を含んでもよい。例えば、図8は、物体10を示し、ここで、第二の領域12bは、その両側面に剛性領域12aが配置される。物体は、2つ以上の可撓性領域を有してよく;そのような物体は、複数の骨折部を有する骨の治療に有用である。物体は、3つ以上の可撓性サブ領域を有してよい。同様に、物体は、1、2、3、またはさらには4つ以上の剛性サブ領域を含んでよい。
【0113】
第一の領域、第二の領域、またはその両方は、生体適合性材料を含んでよいが、生体適合性は必要条件ではない。本明細書の他所で述べるように、第一の領域は、骨へ固定されるように適合されることが適切である。物体は、従って、剛性領域に配置される開口部(符号なし)または孔部を含んでよく、その開口部または孔部を通して固定要素(釘、アンカー、およびスクリューなど)を設置して、物体を骨に取り付けてよい。1つの限定されない実施形態を図1に示し、この図は、多材料インプラントの剛性領域に形成された開口部を通して設置された固定スクリュー14を示す。そのような開口部は、アンカーの相補的なねじ山と係合するように内側にねじ山を有していてよい。Synthes製(www.synthes.com)のSynFix(商標)システムは、1つのそのような適切なアンカーシステムである。
【0114】
図8の物体10はそのような特徴を含まないが、物体はまた、1つ以上の空隙、ギャップ、スペース、細孔、溝、またはさらにはメッシュを定めていてもよい。そのよう空隙は、物体内部に閉じ込められていてよい。別の選択肢として、そのような空隙は、物体の表面に沿うなど、物体の外部に配置されていてもよい。空隙は、骨の内殖のための位置を提供してよい。空隙は、抗生物質、成長因子、および鎮痛剤などの化学反応体による充填またはコーティングが行われていてよい。
【0115】
物体はまた、追加の材料を含んでもよい。例えば、物体は、物体の内部または表面上に供給された粒子(例:銀ナノ粒子)を含んでよい。ロボットアームおよびスプレーなどのすべてが、物体の内部または表面上に追加の材料を導入するのに適切な方法である。インプラントの外部表面の一部分(またはさらにはすべて)をコーティングしてよく;そのような材料は、薬物および成長因子などを含んでよい。インプラントは、生体適合性材料(例:ポリエチレン)でコーティングしてよい。この方法では、インプラントは、完全な生体適合性ではない材料から形成してよいが、続いて生体適合性材料によるコーティングまたは積層を行ってよい。
【0116】
これも図8には示されていないが、物体またはインプラントは、骨と係合するように適合される特徴を含んでよい。そのような特徴は、隆起、歯、スパイク、フック、刻み目、およびスプラインなどであってよい。
【0117】
剛性部分212a全体は、好ましくは、第一の材料222から構築され、可撓性部分212bは、好ましくは、第一の材料222の層を含む。第二の好ましい実施形態において、第一の材料222は、好ましくは、チタン、ステンレススチール、アルミニウム、または適切な代替材料などの比較的硬く、強く、生体適合性である金属材料から成る。第二の材料224は、好ましくは、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)または第一の材料222よりも低い硬度を有するその他のポリマー材料などの低硬度材料から構築され、それによって、複合体または可撓性部分12bは、複合体または可撓性部分12bの中での第一および第二の材料222、224の材料構成および配置に応じて、様々な硬度を有するようにユーザーが構築し、適合させることができる。
【0118】
対照的に、第一の好ましい実施形態では、複合体または可撓性部分12bは、第二の好ましい実施形態で述べたような層状とする必要は必ずしもないが、しかしながら、複合体または可撓性部分12bの特性を合わせるように適合可能である第一および第二の材料から構築される。
【0119】
第一および第二の好ましい実施形態の骨プレート12、212は、好ましくは、骨16の骨折部15の生物学的修復を促進するために用いられる。好ましい骨プレート12、212は、骨折部15を架橋して仮骨形成を促進するためのある程度の可撓性が可能であり、このことにより、当業者であれば明らかであるように、典型的な剛性骨プレートよりも生物学的に正しい方法で骨折部15を安定化することができる。複合体または可撓性部分12b、212bを有する骨プレート12、212は、一般的に、骨折部15でリモデリングされた骨が、治癒の過程で骨16が受けたいずれの負荷についてもその大部分を保持するように、追加の負荷を骨および骨折部へ伝達することができる。
【0120】
図9〜11を参照すると、本出願の第三、第四、および第五の好ましい実施形態に従う一体化された多材料医療骨接合用インプラント310、410、510は、第一および第二の好ましい実施形態の骨接合用インプラント10、210と類似している。第三、第四、および第五の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310、410、510の同じまたは類似の要素は、同じ参照符号を用いて識別するが、第三の好ましい実施形態の識別には「3」の接頭語を、第四の好ましい実施形態の識別には「4」の接頭語を、第五の好ましい実施形態の識別には「5」の接頭語をつけて用いる。
【0121】
第三の好ましい実施形態では、骨プレートまたは骨接合用インプラント312は、好ましくは、2つの骨構造間の骨折部を架橋する。骨折部は、長骨320の一部分であってよく、または脊髄手術の過程での椎骨間の椎間スペースに位置されてもよい(図示せず)。第三の好ましい実施形態の骨接合用部材312は、一般的に縦軸に対して平行とされる骨接合用部材312の単一のスライス内に第一および第二の材料322、324を含む2つの複合体または可撓性部材312bを有する。第三の好ましい実施形態の骨接合用部材312は、2つの別々の複合体または可撓性部分312bを有することに限定されるものではなく、単一の複合体もしくは可撓性部材、または追加の複合体もしくは可撓性部材を有していてよく、それは、開発者による好ましい設計、処置される具体的な骨、または骨接合用インプラント310を特定の解剖学的構造もしくは骨へ合わせることを可能とするその他の因子に応じて異なる。
【0122】
第三の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310はまた、骨接合用インプラント310を骨へ確実に固定するために、両端部にスパイクまたは粗表面314を有していてもよい。第三の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310は、骨接合用部材312を骨へ確実に固定するためのスパイクまたは粗表面314を有することに限定されず、スクリュー、プラント(plants)、接着結合装置、または骨接合用部材312を骨へ確実に固定するためのその他の機構を有していてよい。加えて、骨折部は、上述した第一および第二の好ましい実施形態の骨接合用インプラント10、210などのプレートおよびスクリューによって二次的に支持されていてもよい。
【0123】
インプラント310は、骨折した骨320の2つの領域が接続されるように挿入してよい(図示せず)。本実施形態では、インプラントの端部は、骨折部の面に接着剤またはそれ以外によって固定されてよい。インプラントの端部はまた、物体を正しい位置に維持するために挿入されたものにより(例:アンカーまたは骨スクリューにより)、機械的に固定されてもよい。
【0124】
図11を参照すると、第四の好ましい実施形態では、骨接合用インプラント410は、第一および第二の好ましい実施形態の骨プレート12、212と類似の形で骨折部420に広がる骨プレート412から成る。しかし、第四の好ましい実施形態の好ましい骨プレート412は、骨折部420に広がる2つの複合体または可撓性割合(flexible proportions)412bを有する。そのような構造は、骨プレート412の部分を、処置される骨Bの解剖学的または生体力学的特徴に設計者がさらに合わせることを可能とすることができる。加えて、類似の構造を用いて、可撓性部分412bが骨の複数の骨折部420に広がるように各々が少なくとも1つの可撓性部分412bで分離された3つ以上の剛性部分412aにスクリュー孔を提供してもよい。
【0125】
図12を参照すると、第五の好ましい実施形態では、骨接合用部材512は、移植された構成では骨526の髄内管520内に配置されることが好ましい髄内釘の形態である。第五の好ましい実施形態の好ましい骨接合部材512は、釘512およびその機械的特徴を設計者が所望するように適合させるために、複数の複合体または可撓性部分512bならびに複数の剛性部分512aを含む。釘512は、好ましくは、髄内管520の両側の骨526を係合させる骨固定スクリュー14により、骨520と確実に固定される。
【0126】
図を参照すると、骨接合用部材または骨プレート12、212、312、412、512の複合体または可撓性部分12b、212b、312b、412b、512bは、疲労強度を低下させる恐れのある開放細孔が限定されており、第一の金属材料222、322、422、522の塑性変形を一般的には回避するポリマー材料から成る第二の材料224、324、424、524、切欠き強度を維持する一般的に平滑で連続的な第一の金属材料222、322、422、522による上述の複合体構造を有することが好ましく、第二のポリマー材料224、324、424、524は、それを取り囲む第一の金属材料222、322、422、522によって塑性変形が制限される。
【0127】
図14を参照すると、一体化された多材料医療骨接合用インプラント710は、上述の骨接合用インプラント10、210、310、410、510に類似しており、同じ要素は、同じ参照符号を用いて識別するが、第六の好ましい実施形態の特定の部材の識別には「6」の接頭語をつけて用いる。
【0128】
第六の好ましい実施形態の骨接合用部材612は、第一に、または最初に骨接合用インプラント610を骨620へ確実に固定するために用いられるスパイク614を両端部に有する。第六の好ましい実施形態の骨接合用インプラント610は、スパイク614のすぐ近傍の比較的狭い剛性部分612a、ならびに複合体または可撓性部分612bを作り上げる材料の様々な構造および組み合わせを含む。第六の好ましい実施形態の骨接合用インプラント610は、複合体または可撓性部分612bに複数の構造、形状、および材料を提供して、骨接合用インプラント612を治療される骨折部または骨の生物学的、解剖学的、または一般的な必要性に適合させるための、製造プロセスの適合性を例示するものである。
【0129】
例えば、剛性部分12aと複合体もしくは可撓性部分612bの高弾性中央部分との間の移行を平滑にするために、または複合体もしくは可撓性部分612bのその他の所望される特性を促進するために、複合体もしくは可撓性部分12bの全体にわたって異なる種々の材料および組み合わせを用いてよい。剛性部分12aと高弾性中央部分との間を移行する複合体もしくは可撓性部分612b内のそのような領域は、剛性部分612aと複合体もしくは可撓性部分612bの軟質コアとの間の応力遮蔽と調和していてよい。
【0130】
図15Aおよび15Bを参照すると、第七の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラント710は、上述の好ましい実施形態と類似しており、同じ特徴は同じ参照符号で識別されるが、第七の好ましい実施形態の特定の特徴の識別には、「7」の接頭語をつけて用いる。
【0131】
第七の好ましい実施形態の骨接合用インプラント710は、髄核置換装置として構築され、適合される。第七の好ましい実施形態の髄核置換骨接合用インプラント710は、骨接合用部材712を椎骨720へ確実に固定するためのスパイク714、および椎間板の髄核730の特性を模倣することが好ましい比較的に弾性または軟質であるコア716を有していてよい。軟質コア716は、流体弾性材料から構築され、ヒドロゲル、または椎間板の髄核730に類似の機械特性を有するその他の材料が考えられる。
【0132】
以下でより詳細に述べる好ましい製造プロセスは、チタンなどの比較的硬くて強い材料からのスパイク714の形成、および複合体または可撓性部分712bの複数の材料を組み込むことによる剛性部分712aと軟質コア716との間の移行ゾーンの形成を可能とする。第七の好ましい実施形態の骨接合用部材712は、チタン、チタン合金、ヒドロキシアパタイト、または当業者に一般的に公知であるその他の生体適合性材料など、骨にやさしいいくつかの生体適合性構成材料から構築されてよい。
【0133】
物体は、特定の方向がより高い可撓性、またはより高い剛性を持つように構成してよい。例えば、物体は、一方向には比較的折り曲げ易いが、逆の方向にはそうではないように構成してよい。これは、物体内の可撓性領域を、物体の特定の機械特性が生ずるように配置および構築することによって行うことができる。例えば、図12Bの物体1202は、物体の中央に可撓性領域1204を有するが、可撓性領域は、一方向に特定の可撓性が付与されるように、物体の一方のエッジ部または表面のより近くに配置してよい。物体の可撓性(第二の)領域は、指定された方向のみの可撓性を促進するために、三角形またはさらにはピラミッド形に形成してよい。
【0134】
図12Aは、請求される物体の限定されない実施形態を示す。示されるように、物体1200は、2つのより剛性である領域1202の間に配置された可撓性領域1204を含んでいてよい。物体は、示されるように、可撓性領域が、1つ以上の剛性領域内へ実質的に固定されるように構築してよい。図12の限定されない実施形態では、可撓性部分は、可撓性領域のトランペット形状部分1206が伸びて、可撓性領域の側面に配置される剛性領域内へ固定されるようにキャストされる。図12における可撓性領域の伸長部分は、トランペット形状であるが、可撓性および剛性領域が一緒に固定される種々の形状を用いてよい。図12に示されるように、可撓性領域の部分は、物体の外部環境に露出していてよい。
【0135】
図12Bは、可撓性領域1204がインプラント体1200内に完全に収容されている別の選択肢としての実施形態も示す。この図では、可撓性材料の円柱状領域が、より大きい物体内に収容されており、より大きな物体は、金属などの剛性材料1202から作られる。この構成は、可撓性領域がある位置において、物体自体にある程度の可撓性を付与する。例えば、図12Bに示される物体は、骨折部上に可撓性領域を配置した状態で、アンカーにより(図示せず)いずれかの端部にて固定することができる。
【0136】
物体は、剛性材料がある程度の可撓性を有し(すなわち、完全に剛性ではない)、物体に用いられる可撓性材料よりも比較的により剛性であるように構築してよい。この方法では、可撓性領域が物体内に完全に収容された図12Bに示される物体の領域は、それ自体が可撓性である。
【0137】
図13は、請求される物体のさらなる代表的な実施形態である。この図に示されるように、物体1200は、より剛性である領域1202内に複数の可撓性領域1204を収容している。物体はまた(図示せず)、可撓性領域内に複数の剛性領域を収容していてもよい。そのような実施形態は、ユーザーが、特定のスペース(特に不定形状のスペース)内にちょうどはめ込まれるが、剛性も提供する物体を所望する場合に有用であり得る。
【0138】
システムはまた、垂直方向に移動可能であるプラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置を含むことが適切である。本明細書の他所にて述べるように、ユーザーは、過剰のまたは固化されない粉末を除去することができるように、プラットフォームを上向きに進めることによって、粉末の固化された部分を露出させてよい。この除去は、ブラシにより、真空掃除機により、吹き飛ばすことにより、下に落とすことにより(例:静電気または静電気学を介して)、磁力の印加により、または本技術分野で公知のその他の方法により行ってよい。
【0139】
粉末の粉末容器からプラットフォームへの移送は、種々の方法で行なってよい。1つの実施形態では、粉末は、プラットフォームの上に配置された粉末容器からプラットフォーム上へ直接供給され;その他の実施形態では、粉末は、プラットフォームで支持される層(例:既に固化された層)上へ配置される。次に、粉末は、レベリングされ、所望される厚さ(例:1つの粒子の厚さ)の粉末層を達成してよい。レベリングは、自動車のワイパーまたはクラムスクレーパー(crumb scraper)の要領でブラシまたはスクレーパーを用いて粉末をレベリングすることによって行ってよい。ユーザーはまた、振動または振とうを粉末に適用して(例:超音波による)、粉末を落ち着かせ、粉末層の形成およびレベリングを行ってもよい。振動(例:超音波)はまた、粉末固化工程の後の過剰または不要な粉末の除去に用いてもよい。
【0140】
図1Aおよび1Bに示されるように、粉末はまた、例えば掃き流しおよびブラシなどにより、粉末供給ピストンからプラットフォームへ移送されてもよい。この移送は、加工される領域上まで粉末を押すスチールまたは合成ブレードによって行ってよい。スチールブレードは、断面が約4mm未満の微細要素がほとんどないかまったくない状態である比較的大きい片(すなわち、断面が4mm超)または粒子の材料濃度の増加を促進することから、そのようなブレードを用いてよい。合成ワイパーブレードは、比較的小さい断面(<4mm)または小さい特徴を持つ粉末を扱うのに適すると考えられる。ある実施形態では、より小さい粒子は、比較的遅いブレード/掃き流し速度を用いて処理してよい。約0.1mmのスチール繊維を持つブラシブレードは、特に粉末粒子が、約4mm未満の比較的小さい断面またはその他の特徴を有してよい場合に、特に適切であると考えられる。合成繊維を用いる類似のブラシも、請求される方法での使用に適切であり得る。ブラシの材料は、作業中の静電帯電を低減または回避するように選択してよい。
【0141】
システムは、粉末の加工が行われるチャンバーも含むことが適切である。チャンバーは、外部環境に対して密閉されていてよい。システムはまた、ヒュームの処理、ガスのチャンバーへの導入、もしくはその両方のための装置、または装置の配列を含むことも適切である。ヒューム処理システムは、チャンバーからのヒュームまたはガスを除去またはろ過するように構成してよい。システムはまた、作業ガス(不活性ガスなど)をチャンバーへ導入するように構成してもよい。
【0142】
システムはまた、温度制御システム、湿度制御システム、またはその両方を含んでいてもよい。ユーザーは、最適な加工が得られるように、チャンバー内の環境を操作してよい。ある実施形態では、システムはまた、開示される方法によって形成される物体を取り上げる、またはそれ以外で操作する装置を含んでいてもよい。そのような装置は、完成したパーツを取り上げ、パーツのパッケージングまたは使用の準備を行うために用いてよい。ある実施形態では、装置は、ワークピースを取り上げ、さらなる加工のためにワークピースを逆向きにするか、またはそれ以外で向きを変えるために用いてよい。システムは、ワークピースの中または上へ液体を供給するための装置を含んでよく;本明細書の他所で述べるように、物体は、その中へ流体を供給してよい空隙を含むように成形してよい。供給装置はまた、完成した物体を入れるパッケージ内に保存剤またはその他の流体(またはさらにはガス)を供給するために用いてもよい。
【0143】
いずれかの粉末噴霧器の動きに対する加工される材料の最適な向きは、ユーザーの必要性に応じて異なる。下向きの傾斜または角度を有するピースの場合、傾斜の後ろ側から傾斜に向かって粉末を噴霧する粉末噴霧器を持つことが有利であり得る(必須ではないが)。粉末はまた、構築される物体のエッジ部もしくは傾斜と平行に、またはさらにはエッジ部に対して角度を付けて噴霧してもよい。ある実施形態では、連続する層の適用は、互いに逆の方向へ粉末を噴霧する粉末噴霧器によって行ってよい。他の実施形態では、連続する層の適用は、互いに90度(または270度)に配向された噴霧器によって行ってよい。噴霧器は、形成される物体の短または長軸に沿って粉末を噴霧するように配向されてよく;噴霧器はまた、物体の軸に対して角度を有する方向に粉末を噴霧するように構成してもよい。
【0144】
当業者であれば、上述の実施形態を、その開示される広い概念から逸脱することなく変化させることができることは理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で定める本発明の趣旨および範囲内の変形を含むことを意図するものであることは理解される。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全ての内容があらゆる点において参照により本明細書に組み込まれる、2009年12月30日出願の、米国特許出願第61/291,126号、”Integrated Multi−Material Implant and Method of Manufacture”の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、多材料インプラントに関し、さらに、多材料インプラントの積層造形に関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の骨接合用インプラント、プレート、および骨固定化のための関連する部材は、通常、金属、ポリマー、アロジェニック(allogenic)、同種移植片(allograft)、またはストック材料の単一片から一体的に形成されたその他の材料から設計、製造される。骨接合用インプラントのサイズおよび形状は、通常、骨接合用インプラントを大きさを合わせて作製して骨接合用インプラントを適切なサイズの装置で骨に取り付けることによって修復される骨の生体力学的特性に基づいて設計される。
【0004】
骨接合用インプラントのいくつかは、スクリューを有するプレート、またはロッキングスクリューもしくはその他のロッキング機構を有する髄内釘など、複数の部材で設計されている。骨接合用インプラントは、骨折断片の整列および/または隣接する骨の整列を可能とすることを目的として、複数の部材を含む場合がある。しかし、プレート、釘、またはスクリューなどの骨接合用インプラントの主たる部材は、単一片のストック材料から設計および製造されるものであり、このことから、その後に得られる骨接合用インプラントおよび関連する部材の機械特性の制御が限られてしまう。従って、修復される骨の生体力学特性に可能な限り近い材料特性を有する骨接合用インプラントおよび部材を構築することが望ましい。
【0005】
ウォルフの法則によると、健康なヒトまたは動物の骨は、それに掛けられた負荷に順応する。従って、骨は、高負荷の領域で成長し、低負荷の領域で吸収またはリモデリングされる。骨折の修復または骨の接合を行う場合、硬すぎる骨接合用インプラントは、過剰な負荷が骨から骨接合用インプラントへと伝導されるため、骨吸収のリスクをもたらす。硬度が低い骨接合用インプラントは、骨折部の過剰な動きまたはインプラントの破壊により、骨折の治癒ができない結果となる可能性がある。
【0006】
骨接合用インプラントによる内部固定のための重要な生体力学的側面としては、骨構造へのしっかりした一次固定、および骨折治癒のための高度な生体力学的挙動が挙げられる。例えば、骨接合用インプラントは、骨と接合されるかまたはスクリュー固定される部分は硬くて強いが、骨折部に広がるセクションは、より高い可撓性または弾性を有することで、骨の特性をより密接に模倣し、負荷を再接合される骨折標的部へと送るものであることが望ましい場合がある。
【0007】
通常、一次固定は、ピン、スクリュー、釘、多孔性表面、スパイク、またはリベットによる固定機構を用いて達成される。接合用インプラントのプレートおよび釘は、骨折セグメントの内部固定および整列機構として働く。骨接合用インプラントを、材料、断面、開口部、およびその他の特徴を変化させて設計することで、インプラントは、特定の硬さおよび骨折部に対する安定性を提供し得るものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インプラントの同じ部材に材料の組み合わせを用いた複合体骨接合用インプラントを製造することは、望ましいであろう。そのようなインプラントが、接合する骨、または確実に固定する関節の生体力学的特徴を補完するものである場合、その価値は高まるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の実施形態では、硬化性粉末の第一の層を、外側表面を有するガイドによって定められたボア内に、プラットフォームと外側表面との間の深さを定めるように配置されたプラットフォーム上へ堆積させること;硬化性粉末の第一の層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めること;プラットフォームと外側表面との間の相対的な動きを起こして、プラットフォームと外側表面との間の深さを増加させること;硬化性粉末の第二の層を第一の固体領域上へ堆積させること;および、第一の固体領域上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めること、を含む、部材を製造する方法が提供される。
【0010】
さらに、製造システムも提供される。このシステムは、外側表面を有してガイドボアを定めるガイド;上側表面を有し、ボア内に配置されてボア内でガイドに対して相対的に移動可能であるプラットフォーム;粉末を収容するように適合された供給容器;粉末化された材料を供給容器からガイドボアへ移送するように構成された移送装置;垂直方向に移動可能であるプラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置;ならびに、プラットフォームに向かって放射線を適用するように構成された放射線源、を含むことが適切である。
【0011】
さらに、その下にある骨に取り付けられて、下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントも提供され、このインプラントは、下にある骨に取り付けられるように構成された第一の領域;および、第一の領域に隣接して配置された第二の領域を含み、第二の領域は、第一の領域よりも高い可撓性を有し、第二の領域は、第一の領域と一体化されている。
【0012】
前述の概要、ならびに本出願のインプラントおよび方法の好ましい実施形態についての以下の詳細な記述は、添付の図面と合わせて読むことでより理解が深まる。本出願の一体化された多材料インプラントを説明する目的で、好ましい実施形態を図面で示す。しかし、本出願は、示された機構および手段そのものに限定されるものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、1つの実施形態に従うインプラントの構築に用いられる製造プロセスの側面図を示す。
【図1B】図1Bは、1つの実施形態に従うインプラントの構築に用いられる製造プロセスの上面図を示す。
【図2A】図2Aは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図2B】図2Bは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3A】図3Aは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3B】図3Bは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3C】図3Cは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図3D】図3Dは、製造機構および材料保存装置の様々な図面を示す。
【図4A】図4Aは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4B】図4Bは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4C】図4Cは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4D】図4Dは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4E】図4Eは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4F】図4Fは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4G】図4Gは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4H】図4Hは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4I】図4Iは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4J】図4Jは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4K】図4Kは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4L】図4Lは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4M】図4Mは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4N】図4Nは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4O】図4Oは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4P】図4Pは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4Q】図4Qは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4R】図4Rは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4S】図4Sは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4T】図4Tは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4U】図4Uは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4V】図4Vは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4W】図4Wは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4X】図4Xは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図4Y】図4Yは、製造方法の限定されない実施形態を示す。
【図5A】図5Aは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5B】図5Bは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5C】図5Cは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5D】図5Dは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5E】図5Eは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図5F】図5Fは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図6A】図6Aは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図6B】図6Bは、製造のための別の選択肢としての手法を示す。
【図7A】図7Aは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7B】図7Bは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7C】図7Cは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7D】図7Dは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図7E】図7Eは、製造のための1つの代表的な手法を示す。
【図8】図8は、本出願の第一の好ましい実施形態に従う一体化された多材料構造を有する骨プレートの断面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図9】図9は、本出願の第二の好ましい実施形態に従う一体化された多材料構造を有する骨プレートの断面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図10】図10は、本出願の第三の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラントの側面図を示し、骨接合用インプラントは骨に取り付けられている。
【図11】図11は、本出願の第四の好ましい実施形態に従う骨プレートの側面図を示し、プレートは骨に取り付けられている。
【図12】図12は、本出願の第五の好ましい実施形態に従う髄内釘の側面図を示し、髄内釘は骨に取り付けられている。
【図13】図13は、図8のプレートの大きく拡大した側面図を示す。
【図14】図14は、本出願の第六の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラントの断面図を示し、骨接合用インプラントは2つの骨断片間に取り付けられている。
【図15A】図15Aは、本出願の第七の好ましい実施形態に従う骨接合用髄核置換デバイス(bone joining nucleus replacement device)の上面図を示す。
【図15B】図15Bは、図15Aの骨接合用髄核置換デバイスの、矢状面に沿った断面図を示す。
【図16A】図16Aは、多材料領域を含むインプラントを示す。
【図16B】図16Bは、多材料領域を含むインプラントを示す。
【図17】図17は、多材料領域を含むインプラントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が、本明細書で述べる、および/もしくは示す具体的な装置、方法、用途、条件、またはパラメータに限定されないこと、ならびに、本明細書で用いられる専門用語が、特定の実施形態を例として述べることを目的とするものであり、請求される本発明を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。また、添付の請求項を含む本明細書で用いられる場合、単数形態である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数を含み、特定の数値への言及は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限りにおいて、少なくともその特定の数値を含む。「複数」の用語は、本明細書で用いられる場合、2つ以上を意味する。数値の範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の数値から、および/または他の特定の数値までを含む。同様に、先行語の「約」を用いることによって数値が近似値として表される場合、特定の数値が、別の実施形態を形成することは理解される。範囲はすべて、その両端値を含み、組み合わせ可能である。
【0015】
明確にするために別々の実施形態の状況で本明細書にて述べられる本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことは理解されるべきである。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の状況で述べられる本発明の種々の特徴は、別々に、またはいずれのサブ組み合わせとして提供してもよい。さらに、範囲として示される数値への言及は、その範囲内の各々およびすべての数値を含む。
【0016】
特定の専門用語は、以下の記述にて便宜上用いられるのみであり、限定するものではない。「右」、「左」、「上部」、および「下部」の単語は、参照される図面中の方向を指定するものである。「内側へ」および「外側へ」の単語は、装置およびその指定される部分の幾何学的中心に向かう、ならびにそこから離れる方向をそれぞれ意味する。「前側の」、「後側の」、「上の」、「下の」、「側方の」、「内側の」、「矢状の」、「軸方向の」、「冠状の」、「頭側の」、「尾側の」の単語、ならびに関連する単語および/または語句は、参照されるヒト体内での好ましい位置および配向を指定するものであり、限定することを意図するものではない。
【0017】
特定の専門用語は、以下の記述にて便宜上用いられるのみであり、限定するものではない。「右」、「左」、「下側」、および「上側」の単語は、参照される図面中の方向を指定するものである。「内側へ」または「遠位に」、および「外側へ」または「近位に」の単語は、患者の身体、または好ましいインプラントおよびその関連する部分の幾何学的中心に向かう、ならびにそこから離れる方向をそれぞれ意味する。「前側の」、「後側の」、「上の」、「下の」、「側方の」の単語、ならびに関連する単語および/または語句は、参照されるヒト体内での好ましい位置、方向、および/または配向を指定するものであり、限定することを意図するものではない。専門用語は、上記で挙げた単語、その派生語、および類似の意味を有する単語を含む。
【0018】
まず、部材を製造する方法が提供される。まず代表的な図4A〜4Yを参照して、これらの方法を述べる。
【0019】
ユーザーは、第一の硬化性粉末層1420を、プラットフォーム1410と外側表面1406との間の深さ1414を定める外側表面1406(上側表面、リム部、またはエッジ部としても特徴付けられ得る)を有するガイド1404によって定められるガイドボア1412内に配置されたプラットフォーム1410(例:ピストン)上へ堆積させてよい。添付の図に示すように、第一の硬化性粉末層(複数の粒子を含むことが適切である)をプラットフォーム上へ堆積させ、第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めてよい。ユーザーは、プラットフォームと外側表面との間の相対的な動きを起こして、プラットフォームと外側表面との間の深さまたは距離を大きくし、第二の硬化性粉末層を第一の固体領域上へ堆積させ;第一の固体領域上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めてよい。この方法を、まず、限定されない図4Aおよび4Bを参照して説明する。
【0020】
これらの図は、装置1400を示し、この装置は、ガイド1404中に配置された外側表面1402(上側表面と記述される場合もある)を有するプラットフォーム1410を含み、ガイドは、ボア1412および外側表面1404を定め、外側表面は、エッジ部1406を有する。この限定されない実施形態では、プラットフォーム1410は、ピストンとして特徴付けられ得るものであり、ピストンは、プラットフォーム1410を移動させるのに用いることができるロッド1406を有する。
【0021】
プラットフォームの移動は、機械的な、電気機械的な、液圧による、またはさらには磁気的な力を加えることによって行ってよい。プラットフォームを移動する方法は本技術分野で公知である。プラットフォーム1410のエッジ部は、ボア1412に緊密に嵌合されているか、またはシールされている(例:ガスケットにより)ことが適切である。図に示されるように、プラットフォームの外側表面1402は、ピストン集合体のエッジ部またはリム部1406の下、距離1414の位置に配置されてよい。ある実施形態では、ガイド1404の外側表面1404は、上側表面として特徴付けられる。
【0022】
ガイドは、リム部1406を含んでよく、これは、外側表面1404の一部と見なし得る。円形のプラットフォームを用いて請求される本発明を説明するが、プラットフォームが円形表面を有する必要はない。プラットフォームは、円形、四角形、または多角形の形状であってよい。
【0023】
プラットフォームは、ガイド1404の外側表面1406を越えて位置することを可能としてよい。プラットフォームはまた、プラットフォーム1410の表面1402の上に堆積された材料が、ガイド1404の外側表面1406を越えて露出されるように位置することを可能としてもよい。本明細書の他所で述べるように、この露出によって、ユーザーは、図4P(ブラシ1460による過剰粉末の除去)および4Q(真空掃除機1470による過剰粉末の除去)に示されるように、プラットフォーム1410の上にあるか、またはそれによって支持されている場合のある過剰の材料を取り払うことができる。
【0024】
第一の硬化性粉末層の堆積を図4Cおよび4Dに示す。これらの図に示すように、粉末層1420は、プラットフォームの上側表面1402の上に堆積される。粉末層の高さは、第一の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しいことが適切であるが、層はこれより厚くてもよい。図4Dに示すように、粉末層は、プラットフォームの上側表面1402の本質的に全体を被覆してよいが、完全な被覆は必要条件ではない。
【0025】
適切な粉末には、実質的にいかなる硬化性材料も含まれる。ポリマーおよび金属などの粉末はすべて適切であると見なされる。粉末層は、本質的に単分散である粉末または多分散粉末によるものであってよい。例えば、粉末層は、PEEK粒子の単分散集団を含んでよい。第一、第二、または両方の粉末層は、単分散であってもまたは多分散であってもよく、すなわち、どの粉末層も単または多分散であってよい。また、どの粉末層も、2つの材料の混合物を含んでいてもよい(例:2種類のポリマー)。
【0026】
別の選択肢として、層は、様々なサイズ/寸法のPEEK粒子を含んでよい。層は、PEEKおよび金属を例とする、2つの異なる種類の材料の粒子を含んでよい。粒子は、従って、サイズ、材料、またはその両方に関して、互いに異なっていてよい。PEEKおよびポリエチレンなどのポリマー粒子は、特に適切であると見なされる。ステンレススチールなどの金属粒子も適切である。
【0027】
粉末は、実質的にいかなる材料であってもよい。粉末材料の限定されないリストとしては:スチール(従来のおよびステンレス)、スチール合金、アルミニウム、チタン(およびその合金)、PEEK、ポリエチレン、およびその他のポリマーなどが挙げられる。任意の粒子は、それ自体が1、2、または3つ以上の材料を含んでいてよい。例えば、任意の粒子は、それ自体が、2つのポリマー、金属、またはその両方の混合物であってよい。例えば、単一の粒子は、それ自体が、混合物、または合金、または2つの金属であってよい。溶融または一緒に溶接することが可能である材料は、特に適切であると見なされる。適切な粉末材料の粒子サイズは、約0.005mmまたはさらには約0.01mmから、約0.1mm、0.5mm、またはさらには1mm、もしくは2mmまでの範囲内である。粒子サイズ分布は、ユーザーの必要性に応じてユーザーが設定してよい。
【0028】
ユーザーは、選択的溶融の適用を実施してもよい。代表的なPEEKの場合、プロセスチャンバーおよび粉末をPEEKの融点近くまで加熱し(例:350度)、ビームが、PEEKの溶融を誘発するのに要するエネルギーの最終量のみを導入する。この手法の変形を、PEEKに加えて様々な材料に適用してよい。例えば、ユーザーは、適用された粉末の一部のみが固化するように、特定の温度を特定の時間にわたって適用してよい。この方法により、ユーザーは、加工中の材料の一部分のみを選択的に溶融(その後固化するように)または融合することができる。例えば、ユーザーは、適用されたポリマー粉末を固化させるには十分であるが、適用された金属粉末は固化しない温度までワークスペースを加熱してよい。
【0029】
特定の種類の粉末を加工するための最適な条件は、粉末およびユーザーの必要性に応じて異なる。PEEK粉末の場合、約40Wのエネルギー、約1500mm/sのスキャン速度、および直径約0.1mmの焦点が適切であると考えられる。スチール粉末の場合、200Wのパワー、約1000mm/sのスキャン速度、および直径約0.15mmの焦点が適切であると考えられる。最適な粉末の適用は、ユーザーの必要性および加工される材料の特性に応じて異なる。第一の固化層を冷却し、その後に第一の層上に第二の層を形成することが適切であると考えられる(必須ではないが)。実際は、第一の層の固化は、第二の層が適用されて加工される相当前に行われる。
【0030】
任意の粉末層は、2種類の粒子を含んでよく、その粒子は、異なる材料であってよい。層中の2つの材料の重量比は、約10,000:1から約1:10,000、または約1000:1から約1:1000、または約10:1から約1:10、またはさらには約1:1であってよい。1つの材料の別の材料に対する最適な比率は、ユーザーの必要性に応じて異なり;任意の粉末層は、2、3、4、または5つ以上の異なる材料を含んでいてよい。層中(例:異なるサイズの粒子を含む層中)のサイズが異なる粒子の個数比は、実質的にいかなる比であってもよい。
【0031】
ある実施形態では、第一の層1420は、最初の層であり、従って、第一の堆積工程は、第一の層をプラットフォーム上へ直接配置することを含む。他の構成では、第一の層1420は、プラットフォームに支持されている、既に固化された固体領域の上に堆積される。
【0032】
図4Eおよび4Fは、第一の固体領域を定めるように第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化することを示している。この固化は、エネルギー(例:放射線)1432を、エネルギー源1430から第一の粉末層1420の少なくとも一部分へ適用することによって行われることが適切である。エネルギーの適用は、その層1420の一部分を第一の固体領域1440とすることが適切である。エネルギー源は、レーザー、メーザー、赤外放射線源、紫外放射線源、または粉末を硬化することができるその他の放射線であってよい。また、ユーザーは、エネルギー源として加熱流体(例:ガス)を用いてもよい。加熱物体(加熱プレート、針、またはパターンスタンプなど)も、適切なエネルギー源として用いてよい。電子ビーム、プラズマビーム、プロトン、またはその他の粒子ビームも、適切なエネルギー源である。また、超音波も、溶融および固化の調節またはそれ以外の変化を行うために適用してよく;振動エネルギーまたは振動力を、固化されなかった粉末を除去するために適用してよい。図4Fに示すように、ユーザーは、第一の粉末層1420の一部分のみを固化1440してよい。
【0033】
ユーザーは、粉末を実質的にいかなるパターンに固化してもよく、本明細書の他所で述べるように、ユーザーは、放射線源と粉末層との間の相対的な動きを起こすことによって、特定の固化パターンを発生させてよい。例えば、放射線源32を、プラットフォーム上の特定の位置に移動させ、次にプラットフォームによって支持される材料へ放射線1432を適用してよい。放射線源1432は、粉末を線状に固化させるように、2つ以上の位置の間を移動しながら放射線を適用してよい。
【0034】
別の選択肢としての実施形態では、放射線源1432は、固定され、プラットフォーム1410が、放射線源に対して相対的に移動される。また、ユーザーは、放射線源32およびプラットフォーム1410を互いに相対的に移動させてもよい。放射線源は、x−y平面で移動させてよく、z軸で移動させてもよい。放射線源は、ピストン1410の表面1402に対して垂直に放射線が適用されるように構成されてよく;放射線源はまた、表面1402に対して角度を付けて放射線を適用してもよい。
【0035】
ユーザーはまた、放射線源および粉末層の間、またはその両方にマスクを挿入することで、固化パターンを発生させてもよい。第一の粉末層への放射線の適用により、第一の粉末材料の硬化から、完全固化材料1440の層が得られる結果となってよい。
【0036】
ビームは、様々な方法で適用してよい。いくつかの場合では、1つのピースの外部輪郭部における溶接部(すなわち、固化領域)が、そのピースの内部における溶接部によって軟化され得る。外部と内部の溶接部の間の距離が離れることで、物体内の勾配の加工性を改善することができ、内部溶接部の後に外部輪郭部の溶接を行うことで、勾配の加工性が改善される。ピースの外側からピースの内部へ向かって順に溶接することによっても、ある実施形態では、材料特性の改善が得られる。いくつかの状況では、溶接パスが互いに隣接していない場合、焦点を絞ることで、上下に順に配置された溶接部の準最適な成長を得ることができる。類似の効果は、エネルギーレベルがより高い場合に、溶接パスが互いに近接していても発生する。
【0037】
ある実施形態では、ユーザーは次に、プラットフォームおよびガイドの外部表面の間の相対的な動きを起こしてよく、それによって、プラットフォームと外部表面との間の深さが増加する。これは、図4Iおよび4Jに示され、これらの図は、プラットフォームおよびガイド(符号なし)の間の相対的な動きが、ガイドの外部表面と固体材料1440の上部表面との間の距離1414を生じさせることを示している。相対的な動きは、ガイド1404に対してプラットフォーム1410を移動させることにより、プラットフォーム1410に対してガイド1404を移動させることにより、またはその両方により行ってよい。
【0038】
ユーザーは次に、第二の硬化性粉末層を、第一の固体領域上に堆積させてよい。これは、図4Kに示される。その図に示されるように、第二の硬化性粉末層1450は、第一の固体領域1440上に堆積される。第二の硬化性粉末層の厚さは、第二の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しいことが適切であるが、層はそれより厚くてもよい。
【0039】
1つの実施形態では、ガイドの外側表面と固体材料1440の上側表面との間の距離1414は、第二の層の硬化性粉末の粒子の1つの厚さとおよそ等しく(またはそれよりも僅かに大きい);この方法により、凹状の固体材料1440へ第二の硬化性粉末を適用した後に、過剰の第二の粉末を、スイーパーまたはワイパー(図示せず)を用いて除去することができ、これによって、距離1414の高さを有する第二の粉末層が後に残される。
【0040】
そのような実施形態では、ユーザーは、硬化性粉末の層を固化した後(その層は、第一のまたは最初の粉末層であり得る)、プラットフォームを上方向へ進めてよい。これは、固化粉末の領域を上方向へ上昇させ、ユーザーが未硬化または過剰の粉末の除去を、ブラシにより、真空掃除機により、下に落とすことにより、または粉末もしくは微粒子物質を除去もしくは回収するその他の方法により行うことができるように、行ってよい。
【0041】
プラットフォームの上昇は、ピストンボアのリム部より上に、本質的に粉末の固化された領域のみを露出させるのに十分な量(例:固化された粉末層の高さ程度)で行ってよい。加工される領域をこの量で下方向へ移動させ、次に粉末を適用することにより、一般的に0.03mmから0.1mmの厚さの粉末層が得られるが(図4G、4I、および4Kに示されるように)、粉末サイズを適切に選択し、プラットフォームの動きを適切に調節することにより、0.03mm未満および0.1mm超の粉末層を形成することもできる。粉末層の最適な厚さは、ユーザーの必要性および加工上の制限に依存し得るものであり、粉末層は、数分の1ミリメートルの範囲からミリメートルの範囲であってよい。
【0042】
図4Mおよび4Nに示すように、ユーザーは次に、第一の固体領域の上の第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めてよい。この固化は、放射線源1430から放射線1432を第二の層1450へ適用することで達成されることが適切である。そして、放射線は、第二の層1450の少なくとも一部分を、第一の固体領域1440上の第二の固体領域1452へ変換する。図4Nの上面図に示されるように、固化は、固化された第一の領域1440上に第二の粉末の別々の固化された領域1452を発生させるように実施してもよい。第二の粉末1452の未固化粒子が、第一の固体領域1440上に残っている場合がある。固化は、第二の固体領域と第一の固体領域とを融合させることができ;そのような融合は、ある実施形態では、焼結として、またはさらには溶接として特徴付けられ得る。ある実施形態では、隣接する粉末層は、互いに結合している。これは、隣接する層が同一または類似の材料である場合に起こり得る。材料は、1つの材料層の一部が隣接する層に拡散するように選択してもよい。
【0043】
ある実施形態では、1つの隣接する層の一部分が、隣接する層に物理的に一体化されてよい。これは、第一の層が多孔性であるか、または表面粗さを有し、第二の層の一部分が第一の層のそのような特徴部分と一体化する場合に起こり得る。添付の図、例えば図16Aに示されるように、材料の層は、1つの領域1202が、別の領域1204と共に嵌合されるように構築されてもよい。
【0044】
ユーザーは、実質的にいかなるパターンで粉末を固化してもよく;図4Nに示される円柱状領域は単なる例示である。固化された領域は、円形、多角形、四角形、またはその他の形状であってよい。1つの変形では、ユーザーは、粉末のO字型リングを固化し、そのリングの中央の未固化粉末を除去してよい。次にユーザーは、第一のリング上に追加のO字型リングを構築して、中空の円柱を発生させてよい。次に、所望される場合は、円柱の内部を液体またはその他の材料で充填してよい。
【0045】
また、本発明を用いて、内部に空隙部を含む物体を作製することもできる。そのような空隙を発生させる1つの方法は、粉末の第一の層を固化することである。ユーザーは次に、その層の上に、第二の粉末層を固化するが、第二の層に複数の孔を残す。次にユーザーは、ワークピースを取り出し、続いてワークピースを下向きに、別の材料固体層を上に向けて配置して、デバイスの構築を継続してよい。次に、第二の層の孔を塞ぐことで、内部に空隙が配置された物体が得られる。
【0046】
ワークピース(すなわち、固化された粉末で作られた物体)は、加工の過程で、移動されても、回転されても、またはそれ以外の操作を受けてよい(図示せず)。この方法により、ユーザーは、実質的にいかなる配向で伸びる実質的にいかなる特徴を有する物体をも作製することができる。例えば、ユーザーは、1つ以上の粉末材料の連続する層を固化することにより、立方体を構築してよい。次にユーザーは、立方体の第一の面から伸びる突出部(例:スパイク)を構築してよい。ユーザーは、次に、ワークピースを回転させ、立方体の別の面から第二の突出部を構築してよい(図示せず)。
【0047】
物体内に空隙を配置することは、物体に特定の物理的特性を付与するのに有用であり得るものであり、それは、物体内に存在する空隙により、剛性が低く、より可撓性の高い物体が発生し得るからである。また、空隙を用いて、剤または薬物を含有させ、そのような物質を物体内に保存することもできる。また、空隙を用いて、後に硬化することができるモノマーなどの物質を含有させることもできる。例えば、そのようなインプラントは、体内に導入され、その後に、インプラント内に配置された導入モノマーが、適切なエネルギーの適用によって固化されてよい。物体はまた、未固化粉末を含む領域(通常は内部領域)を有していてもよい。そのような物体は、移植され、物体内の未固化粉末が、適切な放射線の適用によって後に固化されてよい。
【0048】
ユーザーはまた、物体を成す層のエッジ部に未固化の領域を残すことにより、ピットを有するか、多孔性であるか、粗面であるか、またはそれ以外の特徴を有する表面を持つ物体を発生させることができる。そのような表面を用いて、骨またはその他の組織の内殖を促進することができる。そのような表面はまた、均一でない表面の被覆またはそれへの接着をコーティングが改善する場合があることから、コーティングを施してもよい。
【0049】
固化の後、図4Oに示されるように、続いてピストンを上方向へ移動させてよい。これは、図4O、4P、および4Qに示されるように、掃き出し、真空掃除機、ブラシ、吹き飛ばし、またはそれ以外でワークピースから粉末を除去することができる場所まで、第二の粉末層からの未固化粉末1450を上へ移動させるように行ってよい。粉末は、材料の固化された領域の形成後に除去されることが適切であり;そして、粉末の除去が、第一、第二、またはその他の固体領域を定める。
【0050】
本明細書の他所で述べるように、プラットフォームおよび外側表面の間の相対的な動きは、第一の固体領域、第二の固体領域、またはその両方(またはその他のいずれかの固体領域)を、外側表面よりも上に、または外側表面と同じ高さに持ち上げるものであってよい。図4Pでは、固化された領域1452の間に粉末の領域1450が存在する。ピストンは、粉末1450がガイドの表面の上に露出するように、上方向へ進行されている。ブラシ1460または真空掃除機1470を用いて、過剰の粉末1450を除去してよい。ユーザーはまた、静電気、ブロワー、または粉末を除去するその他の適切な方法を用いてもよい。
【0051】
図4Rは、第二の固化された領域1440上の固化された領域1452を、過剰の粉末(図示せず)が除去された状態で示す。図4Sは、固化された領域1452の俯瞰図を示す。
【0052】
図4Tに示されるように、ピストン面を次に、下向きに移動させ、それによって固体構造の上部が本質的にボアのエッジ部1406と同一平面(すなわち、同じ高さ)となるようにしてよい。次に、第三の粉末層(図4Uに示されるように)を導入して、固化された領域1452の間の空間を埋めてよい。これは図4Tに示され、この図は、これらの空間を埋める第三の粉末層を示すものである(第三の粉末層1420のレベリングは図示していない)。さらなる粉末層(図示せず)を適用して、加工してよく;これらの層は、それ自体の別々の容器内に保存されていてよい。
【0053】
第三の粉末層は、次に、エネルギー源1430からのエネルギー1432の適用によって固化される。これによって、固化された第三の粉末層1440aに実質的に埋め込まれた第二の材料の固化された領域1452が発生する。この説明では、第一および第三の層の粉末は同じであるが;しかし、物体のいずれの2つの層も同じあることは必要条件ではない。
【0054】
これは、図4Xにも示されており、この図は、固化された層1440aの中に存在する固化された領域1452の俯瞰図を示す。4Yは、図4Wで作製された物体の断面図であり、第一の層1440、第二の材料の固化された領域1452、および固化された第二の材料1452が配置される材料層1440aを示す。
【0055】
粉末は、供給容器から提供してよい。複数の材料を用いるプロセスの場合、各材料を別々の供給容器に保存してよい。例えば、第一の粉末は、第一の供給容器に保存されてよく、第二の粉末は(例:追加の粉末層に用いられる材料)、第二の容器に保存される。追加の粉末は、それぞれ、それ自体の容器に保存してよい(例:第三の粉末は第三の供給容器に保存され、第四の粉末は第四の供給容器に保存される、など)。供給容器は、ガイドの近傍に配置してよい。
【0056】
ここで、図1、2、および3を参照すると、これらの図は、選択的レーザー焼結プロセスまたは類似のプロセスを用いて、本明細書の他所で述べるものを含む、種々のインプラントよびその他の物体を製造することができる実施形態を示す。
【0057】
図1を参照すると、このプロセスは、一般に、エネルギー源32(例:レーザー)を用いてプラスチック、金属、またはセラミック粉末などの材料の粒子を所望される三次元の物体を表す集合体へと融合させる高速積層造形技術(additive, rapid manufacturing technique)から成る。
【0058】
エネルギー(例:放射線)源32(例:レーザー)は、作製されたパーツの断面を、スキャナー34を用いるコントローラー30によって、粉末床38の表面にてスキャンすることにより、粉末材料36を融合させる。パーツの各断面がスキャナー34によってスキャンされた後、粉末床38は1つの厚さ分下げられ、粉末適用装置39によって粉末床の上部に新しい粉末材料層が添加され、パーツが完成するまでこのプロセスが繰り返される。ここではレーザーについて述べるが、その他の放射線またはエネルギー源を用いて粉末を固化させてもよい。プッシャー(pusher)58を用いて、粉末の適用または除去を補助してもよい。このシステムはまた、放射線の適用を調節する(例:放射線源の動きの調節により、放射線適用のパターンを作り出すマスクの使用により、ワークピースの移動により、またはこれらのいずれか)コントローラーも含んでいてよい。
【0059】
コントローラーは、1つ以上の所定の場所へ放射線を適用してよい。本明細書の他所にて述べるように、ユーザーは、特定の形状の物体またはパーツを必要とする場合がある。その場合、ユーザーは、粉末適用および粉末固化の連続する工程を行って、所望されるパーツを得ることができる。その場合は、ユーザーは、特定の順序の工程が実行されて所望されるパーツが製造されるように、システムを設定またはそうでなければプログラムしてよい。このプログラムの一部として、システムは、1つ以上の予め選択された、または所定の場所へ放射線を適用してよい。このシステムはまた、放射線またはエネルギーの適用と合わせて、予め選択された量および種類の粉末を適用してもよい。
【0060】
粉末床38へ選択的に粉末を配置するか、または第一の材料を粉末床38にて融合させ、特定の層から材料粉末を除去し、その層へ第二の材料粉末を適用し、第二の材料粉末をコントローラー30のガイドに基づいてその特定の層にて融合させることにより、2つ以上の材料を組み合わせることができる。粉末材料は、好ましくは、ホッパー40a〜e(図3参照)で保存または保持され、ホッパーの数は、特定の部材のいずれかに用いられることが所望される材料の数に対応している。ホッパーは、単一の材料、またはさらには材料の混合物を含んでいてよい。
【0061】
材料を除去する場合、具体的には、スキャナー34による粉末床38の最初のスキャン後に粉末床38から粉末材料36を除去する場合、粉末材料36は、真空掃除機、スイーパー、静電掃除機、ブロワー、ワイパー、または粉末床38から過剰の粉末材料36を除去するその他のほとんどいかなる機構によっても除去してよく、それによって、粉末材料36の次の層の加工が行い易くなる。
【0062】
1つの実施形態は、第一の粉末材料36を粉末床38上へ堆積させ、第二の材料が部材設計に組み込まれる断面の部分にて、粉末床38の第二の部分を第二の粉末材料36で充填することを含む。コントローラー30は、望まれる材料36を、部材の特定の層に対応する三次元材料層へと融合するように、レーザー源32およびスキャナー34を動かすものである。
【0063】
異なる材料36による新しい層が、融合層の上部に堆積され、最終パーツが製造されるまでプロセスが繰り返される。スキャナーは、粉末床38上(ガイドボア内)に配置された粉末材料の状態の評価に用いることができ、次にその状態を用いて、放射線、イオン、またはその他のエネルギーの粉末への適用を調節することができる。図に示されるように、粉末は、2つのホッパーから供給してよく;2、3、またはさらには4つ以上のホッパーを用いてもよい。単一の粉末源(例:ホッパー)を持つ実施形態も適切である。
【0064】
限定されない図1および2では、粉末供給プラットフォーム(ピストンとして構成され得る)が、粉末床とおよそ同じ高さに配置される。そのような構成では、粉末は、供給ピストンから供給され、次に、加工のために粉末床38上へ掃き流されるか、またはそれ以外で移送される。粉末は、ホッパーの上に配置された供給源から供給される場合もあることから、これは必要条件ではない。そのような実施形態では、粉末は、粉末床に隣接して供給され、次に、例えばブレード、スクープ、スプレー、ワイパーなどで粉末床へ移送される。粉末はまた、粉末床から離れて(例:数ミリメートル、数センチメートル)供給され、次に粉末床へ送られてもよい。
【0065】
粉末を作業プラットフォームへと広げるための装置、さらには過剰の粉末を除去するための装置が存在することも適切である。1つの実施形態では、システムは、粉末をワイパーの前に堆積させるブレード(またはスクレーパー)39を含み、ワイパーは、ブレードの形状、ブラシの形状、またはさらにはブレードおよびブラシであってよい。この堆積は、単一の独立した容器からであっても、または各々が異なる粉末材料を含有する他の容器の群(例:列)の一部である単一の容器からであってもよい。システムは、ワイパーの前に1種類のみの粉末を供給するように構成されていても、または2種類以上の粉末をワイパーの前に供給するように構成されていてもよい。ワイパーはまた、過剰または不要の粉末を除去するためにも用いてよい。図のいくつかには、プラットフォーム全体にわたって、または別の支持層全体にわたって粉末を広げることが示されているが、これは必要条件ではない。ユーザーは、プラットフォームまたは支持層の一部分のみに粉末を広げてよく、システムは、この種の広げ方が行われるように構成されていてよい。
【0066】
本明細書の他所で述べるように、超音波またはその他の振動を用いて、平滑な粉末層を生じさせることができる。粉末は、ガイドのエッジ部またはリム部に確実に存在することが適切であると考えられ;リム部に十分な粉末が存在しない場合、熱を吸収する粉末が存在しないために、続いて行われるエネルギーの適用が、リム部のみを加熱し、隣接する粉末を加熱しない可能性がある。従って、これらの方法を実行するには、粉末の十分な分布が有用である。別の選択肢として、プロセスチャンバー内を比較的高い温度にすることで、加工される材料内の温度勾配を低減することができ;例えば、ユーザーは、粉末を適用し、粉末が特定の温度となるまで待機した後、粉末を加工してよい。ユーザーはまた、第一の粉末層の加工に要するエネルギーは、第一の層とは異なる断面であるか、またはさらには異なる材料であり得る第二の粉末層(第一に隣接)の加工に要するエネルギーと異なる可能性があることから、ピースの異なる層の構築に際して断面の変化を考慮してもよい。
【0067】
粉末は、プロセスチャンバーの雰囲気中へ注入またはスプレーして、続いて加工される領域上へ降下(例:雪のようにして)させてもよい。他の実施形態では、粉末は、作業プラットフォーム上への分散のためにコンベヤーベルト上へ分散してよい。ベルトは、プロセスチャンバー内で動きながら粉末を分配してよい。
【0068】
特に図2Aを参照すると、特定の粉末材料36は、典型的なレーザー源32およびスキャナー34での加工に適さない場合がある。そのような敏感な粉末材料36は、青色光源またはその他の光源42などの低エネルギー機構を用いて融合または加工してよい。そのような構成では、コントローラー30(分かりやすくするために図2には含めていない)は、加工される材料に応じて、粉末床38上に堆積装置39を介して堆積された望まれる材料を融合または加工するために、レーザー源32、スキャナー34、および/または青色光源42を動かすものである。
【0069】
堆積装置は、粉末床38へ粉末を移送するように移動されるバー、ブレード、またはワイパーであってよい。製造は、粉末を固化するために2つ以上の異なるエネルギーを用いることを伴っていてよい。例えば、システムは、第一の種類のエネルギー(例:第一の波長のレーザー放射線)を用いて第一の種類の粉末を融合させ、次に第二の種類のエネルギー(第二の波長のレーザー放射線)を用いて第二の種類の粉末を固化させてよい。エネルギー源は、調節可能であってよく;システムはまた、その代わりに、複数のエネルギー源を含んでいてもよい。
【0070】
ある実施形態では、金属またはセラミック粉末36が加工される場合、材料の融合には高エネルギーレーザー源32が通常は用いられ、ポリマー粉末材料などのより敏感な材料が加工される場合は、青色光源42を用いてよい。青色光源42は、限定されず、特定の粉末材料を融合または加工して最終部材を形成する、紫外または赤外光源などのほとんどいかなる光源から成っていてもよい。加えて、粉末材料の静電堆積を用いて部材の加工を行ってもよい。
【0071】
図1および2に示されるように、ホッパーまたは粉末容器は、粉末床38(プラットフォームとも称される)に隣接して、またはその近傍にあるピストンであってよい。図1に示されるように、粉末容器ピストンが配置されるボアの上部は、粉末床(またはプラットフォーム)が配置されるボアの上部と、同じ高さであるかまたは本質的に平面に位置していてよい。このことによって、ユーザーは、掃き流し、吹き飛ばし、またはそれ以外により、粉末容器から粉末床上へ粉末を移送することが可能となる。
【0072】
図1および2に示されるシステムは、協調した形で運転されるよう構成されてよく、ここで、システムが粉末床上のある量の粉末を固化させて固体領域を形成している間に、プラットフォームに適用される次の粉末層に相当する粉末容器内のプラットフォームは、所望される量の粉末を粉末移送装置に提供するように移動している。この方法により、システムは、前の量の粉末が粉末床上で加工されている間に、次の量の粉末を送り出す準備を行う。本明細書の他所にて述べるように、粉末の粉末床への移送は、固化工程後に粉末床からの過剰の粉末の除去も行う装置によって行ってよい。
【0073】
このような協調プロセスの1つの例として、第一のホッパーが、次に粉末床(プラットフォーム)38へと分配されることになる粉末を供給してよい。粉末床上の粉末が固化されている間に、第二のホッパーが、粉末床へ第二の粉末を分配する準備を行う。固化後、過剰の粉末が粉末床38から除去され、第二の粉末が固化された第一の粉末上に分配されて単一粒子分の厚さの層が形成されるように、粉末床がある距離分上昇される。
【0074】
図3を参照すると、複数のホッパー40a〜40fを用いて、加工のために粉末床38上へ堆積させるための望まれる粉末材料36が保存される。ホッパー40a〜40fを用いて、移行領域のためのブレンド材料、高弾性材料、物体の剛性もしくは硬い部分を形成するための金属粉末、または所望される製品の適合および製造を可能とするほとんどいかなる材料をも保存してよい。ブレード39またはその他の装置(例:ワイパー、スクレーパー)を用いて粉末を粉末床へ移送することが適切である。供給容器は、互いに対して実質的にいかなる位置に配置してもよく;これらは、互いに隣り合っていても、またはさらには互いに向かい合っていてもよい。
【0075】
粉末床は、ユーザーの必要性を満たすような寸法であってよい。粉末床は、ミリメートル、センチメートル、またはさらにはそれより大きい範囲の幅を有していてよく;代表的な粉末床の断面寸法(例:幅)は、約10mmから約500mmの範囲内である。粉末床は、円形、多角形、卵形、またはユーザーが必要とし得る実質的にいかなる形状であってもよい。粉末床はまた、プラットフォームの断面を変化させるように粉末床の一部分をマスクするインサートまたは覆い(クッキー型(cookier cutter)またはステンシルの形態)(図示せず)を含んでもよい。例えば、半径約1cmのプラットフォームの上に、外半径が1cm、内側の「孔」の半径が約0.5cmであるドーナツ形状のステンシルを配置してよい。内側の「孔」は、円形、四角形、または実質的にその他のいかなる形状であってもよい。
【0076】
粉末供給ピストンおよび粉末床は、実質的にいかなる構成で配置されてもよい。代表的な図3Dに示されるように、粉末供給ピストン40a〜40fは、粉末床(またはプラットフォーム)38の周囲に配置されてよい。他の実施形態では、中央の粉末供給ピストンが粉末床によって囲まれていてもよい。ブレードまたはワイパーが往復運度の形で運転されて粉末が供給ピストンから粉末床へ送られるように、粉末供給ピストンは、2つの粉末床がその側面に配置されていてもよい。
【0077】
図5は、開示される方法の種々の実施形態を示す。図15Aでは、物体1500は、物体の一方の端から他方の端まで、スライス1502によって構築または「ビルドアップ」されてよい。これにより、多くの比較的小さいスライスの固化によって物体が生産される結果となる。別の選択肢としての実施形態が図5Bに示され、この図は、数が少なく、より大きいスライス1502を用いての、ボトムアップによる物体1500の構築を示す。図5Aのような構築は、多くの個々のスライスを構築する必要があるため、追加の時間が掛かり得る。図5Bに従う構築は、必要なスライス数が少ないことから、より早い場合があるが、いくつかの場合では、スライスが大きいことが、より多くの変更の機会を提供し得る。従って、ある実施形態では、垂直方向に配向されるピースの構築は、水平構成に配向されるピースの構築よりも遅い場合がある。しかし、プロセス条件および設定は、ユーザーの必要性に応じて改変してよく、垂直配向の物体を水平配向の物体よりも素早く構築することが適切であると考えるユーザーもいる可能性がある。
【0078】
図5Cは、パーツがある角度で形成される1つの実施形態を示す。図に示されるように、物体の長さ方向に沿って変化する断面の層1512、1514、1516を形成して、最終生成物に達してよい。第一の(下側)層1512は、物体に剛性を付与する金属を例とする第一の材料1510aから成る。中間層1514は、物体にある程度の可撓性が付与されるように、プラスチックまたはその他の可撓性材料1510bから成る。上側層1516は、1510bおよび1510aの両方の材料で形成してよい。
【0079】
このようにすることで、この方法により、サイズ、材料、またはその両方が変化し得る断面を有する物体を作り出すことが可能となる。本明細書の他所にて述べるように、層は、互いに異なる断面領域を有してよく、従って、これにより、図15Cの物体のような角度を有する物体をユーザーが作り上げることが可能となる。形成中のパーツとプラットフォーム表面との間の接触領域の量を最小限に抑える構成が、特に適切であると考えられ;連続する比較的大きい層の構築を伴う方法も用いてよい。
【0080】
放射線を適用する代表的な方法が図6Aおよび6Bに示される。図6Aは、レーザー(またはその他の放射線源)ビーム1632を粉末1604上の様々な位置へ移動させて所望される領域を固化させることにより、固化された粉末領域1606を形成することを示している。エネルギーの適用は、スポット、バースト(burst)、ライン、またはその他の形状で行ってよい。別の選択肢として、エネルギーを、ビームの移動の間、常に適用して、固化または溶接された材料のラインを発生させてもよい。エネルギーは、レーザーまたはメーザーなどの装置1630によって供給されることが適切である。粉末1604は、ピストン1602の上側の面1600上に配置される。エネルギー源は、少なくとも1つの方向へ移動可能であることが適切であり;x、y、およびz方向へ移動するエネルギー源、ならびに傾けることが可能であるエネルギー源が適切である。
【0081】
図6Bに示されるように、ユーザーはまた、所望される位置にのみ放射線が指向されるように、マスク1608を用いてもよい。この図では、マスクは、粉末層1604の特定の領域1606のみが照射されるように、エネルギー源と標的である粉末層との間に配置されている。マスクは、実質的にいかなる形でパターン化されていてもよく、そしてこれにより、ユーザーは実質的にいかなるパターンの固化された粉末をも形成することが可能となる。マスクは、その中に形成された孔部1610、直線、および曲線などを有していてよい。示されるように、マスクは、適用された放射線に対して不透過性であることが適切である。マスクは、その開口部が、移動可能であるプラットフォームの上側の面の方向に放射線源から適用される放射線の少なくとも一部分をブロックするように位置することが可能であることが適切である。
【0082】
ある実施形態では(図示せず)、ユーザーは、次の加工のための粉末の適用を補助するためにマスクを用いてよい。本実施形態では、マスクまたはステンシルは、粉末層を支持することになる表面の上に配置されてよい。次に、ユーザーは、粉末を適用してよく、そしてこれにより、マスクされていなかった表面の部分のみが粉末によって覆われることになる。ステンシルは、所望される粉末層の単一粒子厚さとほぼ同じである厚さのものであってよい。作業では、ユーザーは次に、いかなる過剰粉末も除去し、残りの粉末を固化させる(これは、ステンシルを配置して、または配置せずに行ってもよい)。この方法では、解像度の細かい特徴を形成することができる。ある実施形態では、典型的な寸法が0.05mm以上である特徴を形成することができ;より細かい特徴を作製することもできる。
【0083】
図7A〜7Eは、別の限定されない実施形態を示す。図7Aは、ワークピース上に粉末を配置することを示している(図4Rのそれと類似)。粉末1750は、ピストンの上にあるワークピースの表面特徴1752上、ならびにその表面特徴の間に配置される。表面特徴1752は、既に固化された粉末層1740上、またはそれ自体がピストンと接触しているその他の材料上に配置されていてよい。図7Bに示されるように、ユーザーは次に、粉末層の特定の領域へエネルギー1732を適用することにより、構造間に配置された粉末も固化してしまうことなく、構造上の粉末を固化してよい(従って、構造を伸長する)。この手法の結果を図7Cに示し、この図は、その上部に硬化性粉末1760を有する構造1752、および構造の間に配置された過剰の粉末1750を持つピストン1410の上側の面1402を示す。次に、粉末は、エネルギー源1730からのエネルギー1732の適用によって固化される。これらの工程を繰り返すことで、ユーザーは、ワークピースの表面から伸びる構造1752を作製し、成長させることができる。他の実施形態の場合と同様に、過剰の粉末1750は、図7Dおよび7Eの間の相違で示されるように、除去されることが適切であり、これらの図は、粉末1750が、構造1752、およびピストン1410の上側の面1402から除去されることを示している。
【0084】
構造は、固化された材料の少なくとも一部分を後の時点で選択的に除去してよい形で構築することもできる。例えば、ユーザーは、物体の直径部分にわたって伸びる犠牲材料の細い条片を有する円柱形状の物体を構築してよい。これらの犠牲条片を除去すると(例:エッチングにより)、ユーザーは、直径部分にわたって伸びる孔部を有する円柱形状の物体を得ることになり、その孔部は、犠牲条片のあった位置に対応している。
【0085】
いくつかの場合では、構築の際に、パーツに歪みまたは望ましくない特徴が現れる可能性がある。特定のいかなる理論にも束縛されるものではないが、歪みは、製造の過程でパーツ内に形成される温度勾配に起因する可能性が疑われる。このような歪みに対処するために、パーツ全体と溶接または焼結されるパーツの一部分との間の温度勾配が低減されるように、プロセスチャンバーを加熱してよい。
【0086】
いくつかの例では、ユーザーは、パーツの完成時、またはパーツの使用前に除去される犠牲部分を含むパーツを形成することを選択してよい。これは、ピストンまたはプラットフォームの面とその面に接触するパーツの部分との間の機械的相互作用に起因する歪みが、パーツの犠牲部分内に封じ込められるような形で行うことができる。例えば、ユーザーは、10cmの長さのインプラント体の構築を所望し得る。その場合、ユーザーは、12cmの長さの物体を構築し、製造の過程にて、ピストンまたはプラットフォームの面に最も近かった物体の2cmの部分を除去してよい。
【0087】
この方法により、ユーザーは、欠陥を含む可能性の高い(または実際に欠陥を含む)パーツのセクションが除去されたパーツを設計することができる。物体は、実質的にいかなるサイズであってもよい。1つの例として、約0.5mmまたはさらには1mmの直径、および約4mmの長さを有するスクリューを構築してよい。数センチメートル、またはさらには数十センチメートルの長さを有する骨プレートを構築してよい。そのような骨プレートは、5mm×50mm、もしくは10mm×30mmの断面、またはその他の適切な断面を有していてよい。
【0088】
図示はしていないが、製造は、プロセスチャンバー内で行ってよい。プロセスチャンバーは、本質的に周囲圧力であってよいが、近真空を含む周囲圧力より上および下の圧力が適切である。チャンバーは、不活性ガス(貴ガスを含む)で充填されていてよい。この方法が、スチール、スチール合金、アルミニウム、銅合金、および銀などの加工に用いられる場合、窒素が適切な作業ガスであると考えられる。チタン合金による作業の場合、アルゴンが適切であると考えられる。ある実施形態では、粉末の固化からヒュームが発生する。そのようなヒュームは、除去されることが適切であり;いくつかの場合では、ヒュームは、粉末に向けて指向されるエネルギービームの操作に干渉する可能性がある。ヒュームは、チャンバーの内容物(いかなるガスも含む)を、チャンバーおよびフィルターを通して循環させることによって除去されることが適切である。
【0089】
また、これらの方法を用いて、ユーザーの特定の必要性または必要条件に応じたインプラントまたは物体を形成することもできる。例えば、ユーザーは、所望されるインプラントの寸法および機械特性をシステムに入力することができる。そして、システムは、ユーザーの必要条件に応じてインプラントを製造することができる。ユーザーは、特定の骨の骨折に基づいて、特定の部位に可撓性領域を有する特定の寸法のインプラントを必要とし得る。ユーザーの必要条件に応じて、請求されるシステムを用いて、適切なインプラントを作製することができる。システムは、医師とリモート接続することができ、医師は、物体製造のための製造指示をシステムへリモート入力することができる。この方法により、個々の患者の使用に向けた個別化された物体を構築することができる。そのような物体は、臨床医からの具体的な要請に応じ、実質的に要望があり次第構築してよい。
【0090】
インプラントの異なる部分の剛性および可撓性は、当然、ユーザーの必要性に応じて異なる。ある実施形態では、剛性領域は、約90から250GPaの弾性率を有していてよい。チタンおよびその合金は、およそ110GPaの弾性率を有し得るものであり;スチールおよびコバルトクロム合金は、約200GPaの弾性率を有し得る。可撓性領域は、約2.5から9GPaの弾性率を有していてよく;PEEKは、約3.5GPaの弾性率を有する。剛性および可撓性領域の間の弾性率(またはその他の特性)の比は、ユーザーの必要性に応じて設定してよい。例えば、可撓性領域は、剛性領域よりもほんの僅かに可撓性であってよい。他の実施形態では、可撓性領域は、剛性領域よりも著しく可撓性であってよい。ある実施形態では(図示せず)、可撓性および剛性領域の間の弾性率(またはその他の機械特性)の相違は、1%、5%、15%、50%、75%、100%、300%、またはそれより大きくてよい。
【0091】
添付の図では、開示される物体を骨折部の安定化に用いることが示されているが、物体は骨折治療に限定されるものではない。1つの実施形態では、物体は、骨粗しょう症またはその他の類似の病状に罹患している(または罹患していることが予測される)骨の支持に用いることができる。物体はまた、損傷した、もしくは除去された骨の一部またはすべてを置換するためのインプラントとして用いることもできる。
【0092】
開示される物体はまた、システムの一部としても提供され得る。そのようなシステムは、構成の異なる種々のインプラントを含むキットまたはパッケージを有していてよく、臨床医は、最適なインプラントをパッケージから選択することができる。
【0093】
種々のインプラント、物体、およびパーツが本明細書にて開示され;「インプラント」、「物体」、および「パーツ」の用語は同義語として用いられる。開示される方法およびシステムは、これらのおよびその他のパーツの製造に用いることができる。
【0094】
1つの実施形態では、パーツは、その下にある骨に取り付けられて、下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントを含んでよい。代表的な限定されない図1を参照すると、そのようなインプラントは、下にある骨16に取り付けられるように構成された第一の領域12a;および、第一の領域12aに隣接して配置された第二の領域12bを含むことが適切であり、第二の領域は、第一の領域よりも高い可撓性を有し、第二の領域は、第一の領域と一体化されている。ここで、図をさらに参照して、開示される物体について述べる。
【0095】
まず図8を参照すると、第一の好ましい実施形態に従う骨接合用一体化多材料医療インプラントは、骨プレート12、およびそれに付随する、プレート12を好ましくは骨折部15全体にわたって骨16に取り付けるための骨固定スクリュー14から成る。骨プレート12は、好ましくは、単一の一般的に剛性である材料から構築されて、骨固定スクリュー14がプレート12を骨16へ確実に固定する部分である剛性部分(第一の領域)12a、および骨折部15に広がる複合体または可撓性部分12bを含む。
【0096】
剛性部分12aは、好ましくは、解剖学的に成形されるか、またはそうでなければ、対象に合わせて構成される。剛性部分はまた、骨16を係合させる骨接触領域も含むことが適切であり、剛性部分はまた、骨スクリュー14を確実に係合させるために、比較的硬く、強いことも適切である。
【0097】
剛性部分12aは、好ましくは、剛性部分12aの一般的なサイズおよび形状を取ることができ、剛性部分12aの通常の作業条件に耐えることができる、硬く、強い、チタン、ステンレススチールなどの金属材料、またはその他の生体適合性材料から成る。適切なプラスチック、金属、およびさらにはプラスチック‐金属ブレンドまたは合金も、剛性領域に用いてよい。
【0098】
複合体または可撓性部分12b(第二の領域)は、好ましくは、剛性部分12aと一体的に形成される。この第二の領域は、設計者が所望するように複合体または可撓性部分12bの材料特性を一緒になって適合させる、1もしくはさらには複数の材料を含んでよい。具体的には、複合体または可撓性部分12bは、修復される骨16の特定の生体力学的特徴、直面する骨折部15の種類、またはユーザーによって所望されるその他の解剖学的もしくは生体力学的特徴に適合するある範囲の硬さを有するように適合可能である。従って、複合体または可撓性部分12bは、骨の主断片を、固定後に恒常的な位置または配列に維持するために、比較的高い硬度を有していてよい。そのような骨プレート12の適合は、再建手術に適切であり得る。
【0099】
複合体または可撓性部分12bは、骨折を修復し、骨プレート12を通して負荷を伝えるのではなく骨16および骨折部15を通して追加の負荷を伝えて骨の成長を刺激するために、または、脊髄固定手術において、融合される椎骨へ負荷を直接指向させることで、骨の成長を促進し、応力遮蔽を限定的とするために、硬度が低下されていてもよい。この方法により、ユーザーは、物体力を骨折部へ向けて、または骨折部から離れるように最適に指向させ、最適な治癒が促進されるように、物体を構成することができる。
【0100】
骨プレート12を、エッチング、陽極酸化処理、陽極プラズマ化学プロセス(anodic plasma chemical processes)、または電解析出もしくはプラズマ溶射などのその他のコーティングで処理して、骨プレート12の上またはその中への骨結合および骨成長を促進してよい。以下でより詳細に述べられるように、骨代用材料、抗生物質剤堆積物、またはユーザーにとって望ましいその他のコーティングもしくは材料の付着を促進するために、表面を、機械的にまたは製造プロセスの過程で粗面としてもよい。
【0101】
複数の材料によって複合体または可撓性部分12bを構築することにより、設計者は、複合体または可撓性部分12bの硬度および/もしくは強度を、治療される骨の解剖学的もしくは生体力学的特性を密接に模倣するように、または設計者が所望する骨プレート12と骨との間の負荷の共有を発生させるように、適合させることが可能となる。
【0102】
好ましい骨プレート12は、以下でより詳細に述べるように、一段階生産プロセスで製造して、複合体または可撓性部分12bの2つの材料を一緒に成形してよい。加えて、製造プロセスにより、これも以下でより詳細に述べるように、剛性部分12aなどの1つの材料または均質である部分が、複合体または可撓性部分12bと一体的に組み込まれる。
【0103】
物体10は、バー、プレート、または実質的にその他のいかなる形態であってもよい。物体は、一定の断面、または変動する断面を有していてよい。物体は、単一の可撓性領域、または複数の可撓性領域を有していてよい。可撓性領域は、1つの可撓性材料を含んでいてよい。可撓性領域は、2つ以上の可撓性材料を含んでいてよく;それは、ブレンドもしくは材料、またはさらには材料の別々の(例:交互の)領域から成っていてよい。剛性領域は、同様に、単一の材料、複数の材料、またはさらには異なる材料の複数の領域を含んでよい。アンカー14は、スクリューおよび釘などであってよい。適切なアンカーは、ユーザーの必要性に応じて選択され、当業者に公知である。
【0104】
可撓性材料12bおよびより剛性である材料12aの間の移行は、ここでは、不連続な移行として示される。物体(いくつかの例ではパーツとも称される)は、2つの材料または2つの領域の間の移行がより漸進的である領域を含んでいてもよいことから、これは、常にこのようである必要はない。本明細書の他所にて述べるように、このような移行は、パーツを層ごとに構築することによって発生させることができ、ここで、連続する(隣接する)層は、僅かに異なる比率の材料を含有する。例えば、第一の層は、100%の金属を含んでよい。次の隣接する層は、99%の金属と1%のプラスチックであってよい。次の層は、98%の金属と2%のプラスチックであってよい、などであり、これによって漸進的な移行が生ずる。所望される特性および用いられる材料(金属およびポリマーなど)の特徴に応じて、そのような漸進的移行を用いてよく、その結果、物体の2つ以上の領域間の材料勾配が得られる。類似の融点を有する材料を一緒に組み合わせて、材料または領域間のそのような漸進的移行を形成してよい。
【0105】
第一および第二の領域は、互いに一体化されていることが適切である。一体化は、第一および第二の領域が構造的に互いにインターロックしている実施形態と関連し得る。これは、図16Aに示される。この実施形態では、物体1200は、第一の剛性領域1020、および第二のより可撓性である領域1204を含む。第二の領域1204は、突出部1206が実質的に第一の領域1202の中に入り込み、それによって第一および第二の領域が互いに機械的にインターロックされるように形成される。この機械的なインターロッキングは、接着剤または機械的アンカー(例:釘およびスクリューなど)なしに達成されるが、そのような補強を用いてもよい。
【0106】
図16Bは、別の選択肢としての物体1200を示し、ここで、第二の(可撓性)領域1204は、完全に第一の(剛性)領域1201の中に入り込んでいる。別の選択肢として(図示せず)、剛性(第一の)領域が、可撓性(第二の)領域の中に入り込んでいてもよい。図17は、さらに別の実施形態を示し、ここで、物体1200は、第一の(剛性)領域1202の中に配置された複数の第二の(可撓性)領域1204を含む。
【0107】
ある実施形態では、第一および第二の領域は、この2つの領域の間の移行領域によって互いに結合しており、移行領域は、第一の領域の材料と第二の領域の材料との混合物を含む。例えば、物体は、第一および第二の領域の間に移行ゾーンを含んでよく、この場合、このゾーンは、第一の材料100%から、第一の材料の第二の材料に対する比99:1へ、第一の材料の第二の材料に対する比98:2へ、などのように移行する。この方法により、ユーザーは、1つの材料から別の材料への漸進的な移行を含む物体を製造することができる。
【0108】
ある実施形態において、粉末が固化される場合、それは、特定の位置で溶融されて下にある材料と接合されてよく、下にある材料は、既に固化された粉末層であってよい。これは、とりわけ、レーザービーム(例:ダイオードパルスファイバーレーザー)および電子ビームなどによって行ってよい。
【0109】
図8および9を参照すると、第二の好ましい実施形態において、一体化された多材料医療インプラント10および210は、第一の好ましい実施形態に従う一体化された多材料インプラント10に類似の方法で構築される。第二の好ましい実施形態を第一の好ましい実施形態と比較する場合、同じ部材の識別には同じ参照符号を用いるが、第二の好ましい実施形態の部材であることを特に識別するために「2」の接頭語を付けて用いる。
【0110】
ここで図8〜15を参照すると、第二の好ましい実施形態において、複合体または可撓性部分212bは、図8の第一の好ましい実施形態の複合体または可撓性部分12bとは異なる方法で配置される。具体的には、第二の好ましい実施形態において、複合体または可撓性部分212bは、第一の材料222および第二の材料224の別々の層から構築される(図6を参照)。従って、第二の(より可撓性である)領域は、こうして2つ以上の材料を含んでいてよい。領域はまた、図9に示されるように、2つ以上のサブ領域を含んでいてもよく、サブ領域は、各々、異なる材料を含んでいてよい。例えば、物体は、剛性領域212aおよび可撓性領域212bを有してよく、ここで、可撓性領域は、212bで示されるように、2つ以上の異なる材料の交互の条片を含む。領域内のサブ領域は、ユーザーの必要性に合う実質的にいかなるパターンで配置されてもよい。
【0111】
同様に、第一の(剛性)領域はまた、様々な構成のものであってもよい。第一の領域は、1、2、または3つ以上の材料を含んでよい。第一の領域はまた、1つ以上のサブ領域を含んでもよい。例えば、第一の領域は、ステンレススチールを含んでよいが、第一の領域のチタンセクションに形成された開口部を含んでいてよい。第一の領域はまた、異なる材料の条片を含むように構成されてもよい。
【0112】
第一の(剛性)領域はまた、第二の(可撓性)領域に隣接して配置されるサブ領域を含んでもよい。例えば、図8は、物体10を示し、ここで、第二の領域12bは、その両側面に剛性領域12aが配置される。物体は、2つ以上の可撓性領域を有してよく;そのような物体は、複数の骨折部を有する骨の治療に有用である。物体は、3つ以上の可撓性サブ領域を有してよい。同様に、物体は、1、2、3、またはさらには4つ以上の剛性サブ領域を含んでよい。
【0113】
第一の領域、第二の領域、またはその両方は、生体適合性材料を含んでよいが、生体適合性は必要条件ではない。本明細書の他所で述べるように、第一の領域は、骨へ固定されるように適合されることが適切である。物体は、従って、剛性領域に配置される開口部(符号なし)または孔部を含んでよく、その開口部または孔部を通して固定要素(釘、アンカー、およびスクリューなど)を設置して、物体を骨に取り付けてよい。1つの限定されない実施形態を図1に示し、この図は、多材料インプラントの剛性領域に形成された開口部を通して設置された固定スクリュー14を示す。そのような開口部は、アンカーの相補的なねじ山と係合するように内側にねじ山を有していてよい。Synthes製(www.synthes.com)のSynFix(商標)システムは、1つのそのような適切なアンカーシステムである。
【0114】
図8の物体10はそのような特徴を含まないが、物体はまた、1つ以上の空隙、ギャップ、スペース、細孔、溝、またはさらにはメッシュを定めていてもよい。そのよう空隙は、物体内部に閉じ込められていてよい。別の選択肢として、そのような空隙は、物体の表面に沿うなど、物体の外部に配置されていてもよい。空隙は、骨の内殖のための位置を提供してよい。空隙は、抗生物質、成長因子、および鎮痛剤などの化学反応体による充填またはコーティングが行われていてよい。
【0115】
物体はまた、追加の材料を含んでもよい。例えば、物体は、物体の内部または表面上に供給された粒子(例:銀ナノ粒子)を含んでよい。ロボットアームおよびスプレーなどのすべてが、物体の内部または表面上に追加の材料を導入するのに適切な方法である。インプラントの外部表面の一部分(またはさらにはすべて)をコーティングしてよく;そのような材料は、薬物および成長因子などを含んでよい。インプラントは、生体適合性材料(例:ポリエチレン)でコーティングしてよい。この方法では、インプラントは、完全な生体適合性ではない材料から形成してよいが、続いて生体適合性材料によるコーティングまたは積層を行ってよい。
【0116】
これも図8には示されていないが、物体またはインプラントは、骨と係合するように適合される特徴を含んでよい。そのような特徴は、隆起、歯、スパイク、フック、刻み目、およびスプラインなどであってよい。
【0117】
剛性部分212a全体は、好ましくは、第一の材料222から構築され、可撓性部分212bは、好ましくは、第一の材料222の層を含む。第二の好ましい実施形態において、第一の材料222は、好ましくは、チタン、ステンレススチール、アルミニウム、または適切な代替材料などの比較的硬く、強く、生体適合性である金属材料から成る。第二の材料224は、好ましくは、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)または第一の材料222よりも低い硬度を有するその他のポリマー材料などの低硬度材料から構築され、それによって、複合体または可撓性部分12bは、複合体または可撓性部分12bの中での第一および第二の材料222、224の材料構成および配置に応じて、様々な硬度を有するようにユーザーが構築し、適合させることができる。
【0118】
対照的に、第一の好ましい実施形態では、複合体または可撓性部分12bは、第二の好ましい実施形態で述べたような層状とする必要は必ずしもないが、しかしながら、複合体または可撓性部分12bの特性を合わせるように適合可能である第一および第二の材料から構築される。
【0119】
第一および第二の好ましい実施形態の骨プレート12、212は、好ましくは、骨16の骨折部15の生物学的修復を促進するために用いられる。好ましい骨プレート12、212は、骨折部15を架橋して仮骨形成を促進するためのある程度の可撓性が可能であり、このことにより、当業者であれば明らかであるように、典型的な剛性骨プレートよりも生物学的に正しい方法で骨折部15を安定化することができる。複合体または可撓性部分12b、212bを有する骨プレート12、212は、一般的に、骨折部15でリモデリングされた骨が、治癒の過程で骨16が受けたいずれの負荷についてもその大部分を保持するように、追加の負荷を骨および骨折部へ伝達することができる。
【0120】
図9〜11を参照すると、本出願の第三、第四、および第五の好ましい実施形態に従う一体化された多材料医療骨接合用インプラント310、410、510は、第一および第二の好ましい実施形態の骨接合用インプラント10、210と類似している。第三、第四、および第五の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310、410、510の同じまたは類似の要素は、同じ参照符号を用いて識別するが、第三の好ましい実施形態の識別には「3」の接頭語を、第四の好ましい実施形態の識別には「4」の接頭語を、第五の好ましい実施形態の識別には「5」の接頭語をつけて用いる。
【0121】
第三の好ましい実施形態では、骨プレートまたは骨接合用インプラント312は、好ましくは、2つの骨構造間の骨折部を架橋する。骨折部は、長骨320の一部分であってよく、または脊髄手術の過程での椎骨間の椎間スペースに位置されてもよい(図示せず)。第三の好ましい実施形態の骨接合用部材312は、一般的に縦軸に対して平行とされる骨接合用部材312の単一のスライス内に第一および第二の材料322、324を含む2つの複合体または可撓性部材312bを有する。第三の好ましい実施形態の骨接合用部材312は、2つの別々の複合体または可撓性部分312bを有することに限定されるものではなく、単一の複合体もしくは可撓性部材、または追加の複合体もしくは可撓性部材を有していてよく、それは、開発者による好ましい設計、処置される具体的な骨、または骨接合用インプラント310を特定の解剖学的構造もしくは骨へ合わせることを可能とするその他の因子に応じて異なる。
【0122】
第三の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310はまた、骨接合用インプラント310を骨へ確実に固定するために、両端部にスパイクまたは粗表面314を有していてもよい。第三の好ましい実施形態の骨接合用インプラント310は、骨接合用部材312を骨へ確実に固定するためのスパイクまたは粗表面314を有することに限定されず、スクリュー、プラント(plants)、接着結合装置、または骨接合用部材312を骨へ確実に固定するためのその他の機構を有していてよい。加えて、骨折部は、上述した第一および第二の好ましい実施形態の骨接合用インプラント10、210などのプレートおよびスクリューによって二次的に支持されていてもよい。
【0123】
インプラント310は、骨折した骨320の2つの領域が接続されるように挿入してよい(図示せず)。本実施形態では、インプラントの端部は、骨折部の面に接着剤またはそれ以外によって固定されてよい。インプラントの端部はまた、物体を正しい位置に維持するために挿入されたものにより(例:アンカーまたは骨スクリューにより)、機械的に固定されてもよい。
【0124】
図11を参照すると、第四の好ましい実施形態では、骨接合用インプラント410は、第一および第二の好ましい実施形態の骨プレート12、212と類似の形で骨折部420に広がる骨プレート412から成る。しかし、第四の好ましい実施形態の好ましい骨プレート412は、骨折部420に広がる2つの複合体または可撓性割合(flexible proportions)412bを有する。そのような構造は、骨プレート412の部分を、処置される骨Bの解剖学的または生体力学的特徴に設計者がさらに合わせることを可能とすることができる。加えて、類似の構造を用いて、可撓性部分412bが骨の複数の骨折部420に広がるように各々が少なくとも1つの可撓性部分412bで分離された3つ以上の剛性部分412aにスクリュー孔を提供してもよい。
【0125】
図12を参照すると、第五の好ましい実施形態では、骨接合用部材512は、移植された構成では骨526の髄内管520内に配置されることが好ましい髄内釘の形態である。第五の好ましい実施形態の好ましい骨接合部材512は、釘512およびその機械的特徴を設計者が所望するように適合させるために、複数の複合体または可撓性部分512bならびに複数の剛性部分512aを含む。釘512は、好ましくは、髄内管520の両側の骨526を係合させる骨固定スクリュー14により、骨520と確実に固定される。
【0126】
図を参照すると、骨接合用部材または骨プレート12、212、312、412、512の複合体または可撓性部分12b、212b、312b、412b、512bは、疲労強度を低下させる恐れのある開放細孔が限定されており、第一の金属材料222、322、422、522の塑性変形を一般的には回避するポリマー材料から成る第二の材料224、324、424、524、切欠き強度を維持する一般的に平滑で連続的な第一の金属材料222、322、422、522による上述の複合体構造を有することが好ましく、第二のポリマー材料224、324、424、524は、それを取り囲む第一の金属材料222、322、422、522によって塑性変形が制限される。
【0127】
図14を参照すると、一体化された多材料医療骨接合用インプラント710は、上述の骨接合用インプラント10、210、310、410、510に類似しており、同じ要素は、同じ参照符号を用いて識別するが、第六の好ましい実施形態の特定の部材の識別には「6」の接頭語をつけて用いる。
【0128】
第六の好ましい実施形態の骨接合用部材612は、第一に、または最初に骨接合用インプラント610を骨620へ確実に固定するために用いられるスパイク614を両端部に有する。第六の好ましい実施形態の骨接合用インプラント610は、スパイク614のすぐ近傍の比較的狭い剛性部分612a、ならびに複合体または可撓性部分612bを作り上げる材料の様々な構造および組み合わせを含む。第六の好ましい実施形態の骨接合用インプラント610は、複合体または可撓性部分612bに複数の構造、形状、および材料を提供して、骨接合用インプラント612を治療される骨折部または骨の生物学的、解剖学的、または一般的な必要性に適合させるための、製造プロセスの適合性を例示するものである。
【0129】
例えば、剛性部分12aと複合体もしくは可撓性部分612bの高弾性中央部分との間の移行を平滑にするために、または複合体もしくは可撓性部分612bのその他の所望される特性を促進するために、複合体もしくは可撓性部分12bの全体にわたって異なる種々の材料および組み合わせを用いてよい。剛性部分12aと高弾性中央部分との間を移行する複合体もしくは可撓性部分612b内のそのような領域は、剛性部分612aと複合体もしくは可撓性部分612bの軟質コアとの間の応力遮蔽と調和していてよい。
【0130】
図15Aおよび15Bを参照すると、第七の好ましい実施形態に従う骨接合用インプラント710は、上述の好ましい実施形態と類似しており、同じ特徴は同じ参照符号で識別されるが、第七の好ましい実施形態の特定の特徴の識別には、「7」の接頭語をつけて用いる。
【0131】
第七の好ましい実施形態の骨接合用インプラント710は、髄核置換装置として構築され、適合される。第七の好ましい実施形態の髄核置換骨接合用インプラント710は、骨接合用部材712を椎骨720へ確実に固定するためのスパイク714、および椎間板の髄核730の特性を模倣することが好ましい比較的に弾性または軟質であるコア716を有していてよい。軟質コア716は、流体弾性材料から構築され、ヒドロゲル、または椎間板の髄核730に類似の機械特性を有するその他の材料が考えられる。
【0132】
以下でより詳細に述べる好ましい製造プロセスは、チタンなどの比較的硬くて強い材料からのスパイク714の形成、および複合体または可撓性部分712bの複数の材料を組み込むことによる剛性部分712aと軟質コア716との間の移行ゾーンの形成を可能とする。第七の好ましい実施形態の骨接合用部材712は、チタン、チタン合金、ヒドロキシアパタイト、または当業者に一般的に公知であるその他の生体適合性材料など、骨にやさしいいくつかの生体適合性構成材料から構築されてよい。
【0133】
物体は、特定の方向がより高い可撓性、またはより高い剛性を持つように構成してよい。例えば、物体は、一方向には比較的折り曲げ易いが、逆の方向にはそうではないように構成してよい。これは、物体内の可撓性領域を、物体の特定の機械特性が生ずるように配置および構築することによって行うことができる。例えば、図12Bの物体1202は、物体の中央に可撓性領域1204を有するが、可撓性領域は、一方向に特定の可撓性が付与されるように、物体の一方のエッジ部または表面のより近くに配置してよい。物体の可撓性(第二の)領域は、指定された方向のみの可撓性を促進するために、三角形またはさらにはピラミッド形に形成してよい。
【0134】
図12Aは、請求される物体の限定されない実施形態を示す。示されるように、物体1200は、2つのより剛性である領域1202の間に配置された可撓性領域1204を含んでいてよい。物体は、示されるように、可撓性領域が、1つ以上の剛性領域内へ実質的に固定されるように構築してよい。図12の限定されない実施形態では、可撓性部分は、可撓性領域のトランペット形状部分1206が伸びて、可撓性領域の側面に配置される剛性領域内へ固定されるようにキャストされる。図12における可撓性領域の伸長部分は、トランペット形状であるが、可撓性および剛性領域が一緒に固定される種々の形状を用いてよい。図12に示されるように、可撓性領域の部分は、物体の外部環境に露出していてよい。
【0135】
図12Bは、可撓性領域1204がインプラント体1200内に完全に収容されている別の選択肢としての実施形態も示す。この図では、可撓性材料の円柱状領域が、より大きい物体内に収容されており、より大きな物体は、金属などの剛性材料1202から作られる。この構成は、可撓性領域がある位置において、物体自体にある程度の可撓性を付与する。例えば、図12Bに示される物体は、骨折部上に可撓性領域を配置した状態で、アンカーにより(図示せず)いずれかの端部にて固定することができる。
【0136】
物体は、剛性材料がある程度の可撓性を有し(すなわち、完全に剛性ではない)、物体に用いられる可撓性材料よりも比較的により剛性であるように構築してよい。この方法では、可撓性領域が物体内に完全に収容された図12Bに示される物体の領域は、それ自体が可撓性である。
【0137】
図13は、請求される物体のさらなる代表的な実施形態である。この図に示されるように、物体1200は、より剛性である領域1202内に複数の可撓性領域1204を収容している。物体はまた(図示せず)、可撓性領域内に複数の剛性領域を収容していてもよい。そのような実施形態は、ユーザーが、特定のスペース(特に不定形状のスペース)内にちょうどはめ込まれるが、剛性も提供する物体を所望する場合に有用であり得る。
【0138】
システムはまた、垂直方向に移動可能であるプラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置を含むことが適切である。本明細書の他所にて述べるように、ユーザーは、過剰のまたは固化されない粉末を除去することができるように、プラットフォームを上向きに進めることによって、粉末の固化された部分を露出させてよい。この除去は、ブラシにより、真空掃除機により、吹き飛ばすことにより、下に落とすことにより(例:静電気または静電気学を介して)、磁力の印加により、または本技術分野で公知のその他の方法により行ってよい。
【0139】
粉末の粉末容器からプラットフォームへの移送は、種々の方法で行なってよい。1つの実施形態では、粉末は、プラットフォームの上に配置された粉末容器からプラットフォーム上へ直接供給され;その他の実施形態では、粉末は、プラットフォームで支持される層(例:既に固化された層)上へ配置される。次に、粉末は、レベリングされ、所望される厚さ(例:1つの粒子の厚さ)の粉末層を達成してよい。レベリングは、自動車のワイパーまたはクラムスクレーパー(crumb scraper)の要領でブラシまたはスクレーパーを用いて粉末をレベリングすることによって行ってよい。ユーザーはまた、振動または振とうを粉末に適用して(例:超音波による)、粉末を落ち着かせ、粉末層の形成およびレベリングを行ってもよい。振動(例:超音波)はまた、粉末固化工程の後の過剰または不要な粉末の除去に用いてもよい。
【0140】
図1Aおよび1Bに示されるように、粉末はまた、例えば掃き流しおよびブラシなどにより、粉末供給ピストンからプラットフォームへ移送されてもよい。この移送は、加工される領域上まで粉末を押すスチールまたは合成ブレードによって行ってよい。スチールブレードは、断面が約4mm未満の微細要素がほとんどないかまったくない状態である比較的大きい片(すなわち、断面が4mm超)または粒子の材料濃度の増加を促進することから、そのようなブレードを用いてよい。合成ワイパーブレードは、比較的小さい断面(<4mm)または小さい特徴を持つ粉末を扱うのに適すると考えられる。ある実施形態では、より小さい粒子は、比較的遅いブレード/掃き流し速度を用いて処理してよい。約0.1mmのスチール繊維を持つブラシブレードは、特に粉末粒子が、約4mm未満の比較的小さい断面またはその他の特徴を有してよい場合に、特に適切であると考えられる。合成繊維を用いる類似のブラシも、請求される方法での使用に適切であり得る。ブラシの材料は、作業中の静電帯電を低減または回避するように選択してよい。
【0141】
システムは、粉末の加工が行われるチャンバーも含むことが適切である。チャンバーは、外部環境に対して密閉されていてよい。システムはまた、ヒュームの処理、ガスのチャンバーへの導入、もしくはその両方のための装置、または装置の配列を含むことも適切である。ヒューム処理システムは、チャンバーからのヒュームまたはガスを除去またはろ過するように構成してよい。システムはまた、作業ガス(不活性ガスなど)をチャンバーへ導入するように構成してもよい。
【0142】
システムはまた、温度制御システム、湿度制御システム、またはその両方を含んでいてもよい。ユーザーは、最適な加工が得られるように、チャンバー内の環境を操作してよい。ある実施形態では、システムはまた、開示される方法によって形成される物体を取り上げる、またはそれ以外で操作する装置を含んでいてもよい。そのような装置は、完成したパーツを取り上げ、パーツのパッケージングまたは使用の準備を行うために用いてよい。ある実施形態では、装置は、ワークピースを取り上げ、さらなる加工のためにワークピースを逆向きにするか、またはそれ以外で向きを変えるために用いてよい。システムは、ワークピースの中または上へ液体を供給するための装置を含んでよく;本明細書の他所で述べるように、物体は、その中へ流体を供給してよい空隙を含むように成形してよい。供給装置はまた、完成した物体を入れるパッケージ内に保存剤またはその他の流体(またはさらにはガス)を供給するために用いてもよい。
【0143】
いずれかの粉末噴霧器の動きに対する加工される材料の最適な向きは、ユーザーの必要性に応じて異なる。下向きの傾斜または角度を有するピースの場合、傾斜の後ろ側から傾斜に向かって粉末を噴霧する粉末噴霧器を持つことが有利であり得る(必須ではないが)。粉末はまた、構築される物体のエッジ部もしくは傾斜と平行に、またはさらにはエッジ部に対して角度を付けて噴霧してもよい。ある実施形態では、連続する層の適用は、互いに逆の方向へ粉末を噴霧する粉末噴霧器によって行ってよい。他の実施形態では、連続する層の適用は、互いに90度(または270度)に配向された噴霧器によって行ってよい。噴霧器は、形成される物体の短または長軸に沿って粉末を噴霧するように配向されてよく;噴霧器はまた、物体の軸に対して角度を有する方向に粉末を噴霧するように構成してもよい。
【0144】
当業者であれば、上述の実施形態を、その開示される広い概念から逸脱することなく変化させることができることは理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で定める本発明の趣旨および範囲内の変形を含むことを意図するものであることは理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の硬化性粉末層を、プラットフォーム上であって、外側表面を有するガイドによって定められたボア内に前記プラットフォームと前記外側表面との間の深さを定めるように配置された、プラットフォーム上に堆積させること;
第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めること;
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こして、前記プラットフォームと前記外側表面との間の深さを増加させること;
第二の硬化性粉末層を前記第一の固体領域上へ堆積させること;および、
前記第一の固体領域上の前記第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めること、
を含む、部材を製造する方法。
【請求項2】
前記の固化が、前記第二の固体領域を前記第一の固体領域へ融合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の層の前記硬化性粉末が、複数の粒子を含み、前記第一の層は、前記第一の層の前記硬化性粉末の粒子の1つの厚さと実質的に等しい深さを定める、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の層の前記硬化性粉末が、複数の粒子を含み、前記第二の層は、前記第二の層の前記硬化性粉末の粒子の1つの厚さと実質的に等しい深さを定める、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一の層が、最初の層であり、前記第一の堆積工程が、前記第一の層を前記プラットフォーム上に直接配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の堆積工程が、前記プラットフォームによって支持される既に固化された固体領域上へ前記第一の層を堆積させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガイドの前記外側表面が、上側表面であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こすことが、前記ガイドに対して前記プラットフォームを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こすことが、前記プラットフォームに対して前記ガイドを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の前記相対的な動きが、前記第一の固体領域、前記第二の固体領域、またはその両方を、前記外側表面を越えて上昇させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第一の固体領域を定めるように第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化させた後に、第二の固体領域を定めるように前記第一の固体領域上へ前記第二の層の少なくとも一部分を固化させた後に、またはその両方の後に、残留する未硬化粉末の少なくとも一部分を除去することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項12】
前記除去が、ブラシによる、真空掃除機による、静電引力による、吹き飛ばしによる、拭き取りによる、またはこれらのいずれかの組み合わせによるものを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
硬化性粉末層の適用前に、適用された前記単粒子厚の硬化性粉末層が、本質的に前記外側表面と同じ高さとなるのに十分な距離で、前記プラットフォームを下向きに進行させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記固化が、放射線の適用によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線が、レーザー放射線、紫外放射線、赤外放射線、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の硬化性粉末層のための材料が、第一の供給容器に保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の追加の硬化性粉末層のための材料が、第二の供給容器に保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第三の硬化性粉末層を適用することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第三の硬化性粉末層が、第三の供給容器に保存される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、粉末粒子の本質的に単分散である集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、粉末粒子の本質的に多分散である集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、2つ以上の材料の混合物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約10,000:1から約1:10,000である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約1000:1から約1:1000である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約10:1から約1:10である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約1:1である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
外側表面を有し、ガイドボアを定めるガイド;
上側表面を有するプラットフォームであって、前記プラットフォームは、前記ボア内に配置され、前記ボア内で前記ガイドに対して相対的に移動可能である、プラットフォーム;
粉末を収容するように適合された供給容器;
粉末化された材料を前記供給容器から前記ガイドボアへ移送するように構成された移送装置;
前記プラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置;ならびに、
前記プラットフォームに向かって放射線を適用するように構成された放射線源、
を含む、製造システム。
【請求項28】
前記移送装置および前記粉末除去装置が、粉末材料の前記供給容器から前記ガイドボアへの移送、および前記プラットフォームからの粉末の除去の両方を行うよう構成された同じ装置を含む、請求項27に記載の製造システム。
【請求項29】
前記プラットフォームが、ピストンであることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記プラットフォームの前記上側表面が、前記ガイドの前記外側表面より上に位置することが可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
供給容器が、前記ガイド近傍に配置される移動可能なプラットフォームを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記移送装置が、ブラシ、スクレーパー、スプレー、スクープ、ワイパー、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
2つ以上の供給容器をさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
1つ以上の供給容器が、互いに向かい合って配置される、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
1つ以上の開口部を有する放射線不透過性マスクをさらに含み、前記マスクは、前記開口部が、前記垂直に移動可能であるプラットフォームの上側の面の方向に放射線源から適用される放射線の少なくとも一部分をブロックするように位置することが可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項36】
前記放射線源が、少なくとも1つの方向へ移動可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項37】
放射線が1つ以上の所定の位置へ適用されるように、放射線源の動きを調節することが可能であるコントローラーをさらに含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ガイドボア内に配置された材料の状態を評価するスキャナーをさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
下にある骨に取り付けられて、前記下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントであって、前記インプラントは:
前記下にある骨に取り付けられるように構成された第一の領域;および、
前記第一の領域に隣接して配置された第二の領域であって、前記第二の領域は、前記第一の領域よりも高い可撓性を有し、前記第二の領域は、前記第一の領域と一体化されている、第二の領域、
を含む、インプラント。
【請求項40】
前記第一および第二の領域が、構造的に互いにインターロックされている、請求項39に記載のインプラント。
【請求項41】
前記第一および第二の領域が、前記2つの領域間の移行領域によって互いに結合され、前記移行領域が、前記第一の領域の材料と前記第二の領域の材料との混合物を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項42】
前記第一の領域および前記第二の領域の少なくとも一方が、生体適合性材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項43】
前記第一の領域が、2つ以上の材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項44】
前記第一の領域が、2つ以上のサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項45】
前記第二の領域が、2つ以上の材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項46】
前記第二の領域が、2つ以上のサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項47】
前記物体の表面が、1つ以上の空隙を定める、請求項39に記載のインプラント。
【請求項48】
前記物体の表面が、骨と係合するように適合された特徴を有する、請求項39に記載のインプラント。
【請求項49】
前記特徴が、隆起、歯、スパイク、フック、刻み目、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項48に記載のインプラント。
【請求項50】
前記第一の領域が、前記物体を前記下にある骨へ確実に固定するよう構成されたアンカーを受けるように構成した少なくとも1つの開口部を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項51】
前記第一の領域が、前記第二の領域に隣接して配置される2つのサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項52】
前記第二の領域が、前記第一の領域内に入り込んでいることを特徴とする、請求項39に記載のインプラント。
【請求項53】
前記第一の領域が、前記第二の領域内に入り込んでいることを特徴とする、請求項39に記載のインプラント。
【請求項1】
第一の硬化性粉末層を、プラットフォーム上であって、外側表面を有するガイドによって定められたボア内に前記プラットフォームと前記外側表面との間の深さを定めるように配置された、プラットフォーム上に堆積させること;
第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化して、第一の固体領域を定めること;
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こして、前記プラットフォームと前記外側表面との間の深さを増加させること;
第二の硬化性粉末層を前記第一の固体領域上へ堆積させること;および、
前記第一の固体領域上の前記第二の層の少なくとも一部分を固化して、第二の固体領域を定めること、
を含む、部材を製造する方法。
【請求項2】
前記の固化が、前記第二の固体領域を前記第一の固体領域へ融合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の層の前記硬化性粉末が、複数の粒子を含み、前記第一の層は、前記第一の層の前記硬化性粉末の粒子の1つの厚さと実質的に等しい深さを定める、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の層の前記硬化性粉末が、複数の粒子を含み、前記第二の層は、前記第二の層の前記硬化性粉末の粒子の1つの厚さと実質的に等しい深さを定める、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一の層が、最初の層であり、前記第一の堆積工程が、前記第一の層を前記プラットフォーム上に直接配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の堆積工程が、前記プラットフォームによって支持される既に固化された固体領域上へ前記第一の層を堆積させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガイドの前記外側表面が、上側表面であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こすことが、前記ガイドに対して前記プラットフォームを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の相対的な動きを起こすことが、前記プラットフォームに対して前記ガイドを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プラットフォームと前記外側表面との間の前記相対的な動きが、前記第一の固体領域、前記第二の固体領域、またはその両方を、前記外側表面を越えて上昇させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第一の固体領域を定めるように第一の硬化性粉末層の少なくとも一部分を固化させた後に、第二の固体領域を定めるように前記第一の固体領域上へ前記第二の層の少なくとも一部分を固化させた後に、またはその両方の後に、残留する未硬化粉末の少なくとも一部分を除去することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項12】
前記除去が、ブラシによる、真空掃除機による、静電引力による、吹き飛ばしによる、拭き取りによる、またはこれらのいずれかの組み合わせによるものを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
硬化性粉末層の適用前に、適用された前記単粒子厚の硬化性粉末層が、本質的に前記外側表面と同じ高さとなるのに十分な距離で、前記プラットフォームを下向きに進行させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記固化が、放射線の適用によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線が、レーザー放射線、紫外放射線、赤外放射線、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の硬化性粉末層のための材料が、第一の供給容器に保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の追加の硬化性粉末層のための材料が、第二の供給容器に保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第三の硬化性粉末層を適用することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第三の硬化性粉末層が、第三の供給容器に保存される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、粉末粒子の本質的に単分散である集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、粉末粒子の本質的に多分散である集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第一または第二の硬化性粉末層の少なくとも1つが、2つ以上の材料の混合物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約10,000:1から約1:10,000である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約1000:1から約1:1000である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約10:1から約1:10である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記2つの材料の互いに対する重量比が、約1:1である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
外側表面を有し、ガイドボアを定めるガイド;
上側表面を有するプラットフォームであって、前記プラットフォームは、前記ボア内に配置され、前記ボア内で前記ガイドに対して相対的に移動可能である、プラットフォーム;
粉末を収容するように適合された供給容器;
粉末化された材料を前記供給容器から前記ガイドボアへ移送するように構成された移送装置;
前記プラットフォームから粉末を除去するように構成された粉末除去装置;ならびに、
前記プラットフォームに向かって放射線を適用するように構成された放射線源、
を含む、製造システム。
【請求項28】
前記移送装置および前記粉末除去装置が、粉末材料の前記供給容器から前記ガイドボアへの移送、および前記プラットフォームからの粉末の除去の両方を行うよう構成された同じ装置を含む、請求項27に記載の製造システム。
【請求項29】
前記プラットフォームが、ピストンであることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記プラットフォームの前記上側表面が、前記ガイドの前記外側表面より上に位置することが可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
供給容器が、前記ガイド近傍に配置される移動可能なプラットフォームを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記移送装置が、ブラシ、スクレーパー、スプレー、スクープ、ワイパー、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
2つ以上の供給容器をさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
1つ以上の供給容器が、互いに向かい合って配置される、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
1つ以上の開口部を有する放射線不透過性マスクをさらに含み、前記マスクは、前記開口部が、前記垂直に移動可能であるプラットフォームの上側の面の方向に放射線源から適用される放射線の少なくとも一部分をブロックするように位置することが可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項36】
前記放射線源が、少なくとも1つの方向へ移動可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項37】
放射線が1つ以上の所定の位置へ適用されるように、放射線源の動きを調節することが可能であるコントローラーをさらに含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ガイドボア内に配置された材料の状態を評価するスキャナーをさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
下にある骨に取り付けられて、前記下にある骨に安定性を与えるよう構成されたインプラントであって、前記インプラントは:
前記下にある骨に取り付けられるように構成された第一の領域;および、
前記第一の領域に隣接して配置された第二の領域であって、前記第二の領域は、前記第一の領域よりも高い可撓性を有し、前記第二の領域は、前記第一の領域と一体化されている、第二の領域、
を含む、インプラント。
【請求項40】
前記第一および第二の領域が、構造的に互いにインターロックされている、請求項39に記載のインプラント。
【請求項41】
前記第一および第二の領域が、前記2つの領域間の移行領域によって互いに結合され、前記移行領域が、前記第一の領域の材料と前記第二の領域の材料との混合物を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項42】
前記第一の領域および前記第二の領域の少なくとも一方が、生体適合性材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項43】
前記第一の領域が、2つ以上の材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項44】
前記第一の領域が、2つ以上のサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項45】
前記第二の領域が、2つ以上の材料を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項46】
前記第二の領域が、2つ以上のサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項47】
前記物体の表面が、1つ以上の空隙を定める、請求項39に記載のインプラント。
【請求項48】
前記物体の表面が、骨と係合するように適合された特徴を有する、請求項39に記載のインプラント。
【請求項49】
前記特徴が、隆起、歯、スパイク、フック、刻み目、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項48に記載のインプラント。
【請求項50】
前記第一の領域が、前記物体を前記下にある骨へ確実に固定するよう構成されたアンカーを受けるように構成した少なくとも1つの開口部を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項51】
前記第一の領域が、前記第二の領域に隣接して配置される2つのサブ領域を含む、請求項39に記載のインプラント。
【請求項52】
前記第二の領域が、前記第一の領域内に入り込んでいることを特徴とする、請求項39に記載のインプラント。
【請求項53】
前記第一の領域が、前記第二の領域内に入り込んでいることを特徴とする、請求項39に記載のインプラント。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図4K】
【図4L】
【図4M】
【図4N】
【図4O】
【図4P】
【図4Q】
【図4R】
【図4S】
【図4T】
【図4U】
【図4V】
【図4W】
【図4X】
【図4Y】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図4K】
【図4L】
【図4M】
【図4N】
【図4O】
【図4P】
【図4Q】
【図4R】
【図4S】
【図4T】
【図4U】
【図4V】
【図4W】
【図4X】
【図4Y】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公表番号】特表2013−516235(P2013−516235A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547229(P2012−547229)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/062198
【国際公開番号】WO2011/082152
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507215725)シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (53)
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES GMBH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/062198
【国際公開番号】WO2011/082152
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507215725)シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (53)
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES GMBH
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]