説明

一体型航空機用エンジン流路構造

本発明の一実施形態は、一体型航空機用エンジン流路構造である。別の実施形態は、一体型航空機用エンジン流路構造の製造方法である。別の実施形態には、航空機用エンジン流路構造のための、装置、システム、デバイス、ハードウェア、方法および組み合わせが含まれる。本記述、および、本明細書と共に提出される図により、本出願のさらなる実施形態、形態、特徴、態様、利益および利点が明らかとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/290,807号の優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
(政府の権利)
本出願は、米国空軍により交付された契約番号F33615−03−D−2357に基づき米国政府の支援によりなされたものである。米国政府は本出願に対してある一定の権利を有する。
【0002】
本発明は航空機用エンジンに関し、より詳細には、一体型航空機用エンジン流路構造に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
航空機用エンジン構造は依然として関心をもたれる分野である。一部の既存のシステムは、特定に用途に関して種々の短所、欠点および不利益を有する。したがって、この分野の技術においてさらなる貢献が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、一体型航空機用エンジン流路構造である。別の実施形態は、一体型航空機用エンジン流路構造の製造方法である。別の実施形態には、航空機用エンジン流路構造のための、装置、システム、デバイス、ハードウェア、方法および組み合わせが含まれる。本記述、および、本明細書と共に提出される図により、本出願のさらなる実施形態、形態、特徴、態様、利益および利点が明らかとなる。
【0005】
本明細書の記述は、複数の図を通して同様の参照符号が同様の部品を示している添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態による航空機用エンジンを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるラムバーナ/ノズルを示す断面図である。
【図3】図3A〜図3Cは、図2のラムバーナ/ノズルの実施形態の一部の接合継手(bond joint)のところの複合繊維層の位置合わせを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の原理を理解するのを促進するために、次に、図面に示される実施形態を参照し、また、これらの実施形態を説明するために具体的な用語を使用する。しかし、本発明の特定の実施形態を図示および説明することにより本発明の範囲が限定されないことが意図されることを理解されたい。また、図示および/または説明される実施形態(複数可)のいかなる変更形態および/または修正形態も本発明の範囲内にあるものと考えられる。さらに、本発明が関係する当業者が通常思い付くであろう、本明細書で図示および/または説明される本発明の原理の別のいかなる用途も本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0008】
ここで、図面、特に図1を参照すると、本発明の一実施形態によるエンジン10の非限定的な例が描かれている。一形態では、エンジン10は、ガスタービンエンジンおよびラムジェットエンジンとして動作することができるデュアルモードガスタービンラムジェットエンジンなどの、航空機用エンジンである。別の実施形態では、エンジン10は、ガスタービンエンジン、ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジン、ロケットエンジン、またはそれらの組み合わせであってよい。ガスタービンエンジンのこの形態では、エンジン10は、シングルスプールエンジンまたはマルチスプールエンジンの航空機用、陸上用または船用エンジンであってよく、ターボファンエンジン、ターボジェットエンジン、ターボシャフトエンジン、または、ターボプロペラエンジンであってよい。本発明の実施形態には、空力負荷および構造負荷の両方を支持するために金属構造または金属裏打ち材構造を使用せずさらには必要としない複合材料で形成される、ケース(case)構造、流路構造、および、ケース/流路の複合構造が含まれる。
【0009】
エンジン10は、圧縮機12、燃焼器14およびタービン16を含む。エンジン10の後部に加えるラムバーナ(ramburner)が一形態において例えばマッハ3.0からマッハ4.0+の超音速で推力を増大させることができるが、より高い速度または低い速度も別の実施形態に適用可能である可能性がある。一形態では、エンジン10は、以下ではラムバーナ18と称される一体型複合ラムバーナ/ノズル18を含む。一部の実施形態では、ラムバーナ18は、エアブリージングガスタービンエンジンに対して追加の推進能力を提供することができ、ここでは、機械的な火炎保持要素を有する一部の従来の推力増強装置デザインで見られることがある圧力損失による、場合によって非常に大きくなるサイクル損失が潜在的に無いか、またはそのような損失が軽減される。一形態では、ラムバーナ18は、空力負荷および構造負荷の両方に耐えるために金属構造または金属裏打ち材構造を使用したり必要としたりしない流路構造である。一形態では、ラムバーナ18を形成するのに使用される複合材料はカーボン−カーボンであるが、別の実施形態では別の複合材料が使用されてもよい。限定しないが、例えば、別の適用可能な複合材料には、カーボン−カーボンに追加してまたはカーボン−−カーボンの代わりとして、カーボン−カーボンとは別のセラミックマトリックス複合材料(CMC)、金属マトリックス複合材料(MMC)、および/または、金属間マトリックス複合材料(IMC)が含まれてよい。適用可能な金属材料の非限定の例には、限定しないが、ニオブ合金が含まれる。さらに、本発明は、例えばこのようなタービン流路構造などの、別の流路構造にも同様に適用可能である。
【0010】
次に図2を参照すると、ラムバーナ18は、複合(composite)外側流路壁22と、複合内側流路壁24と、複数の複合連結構造26とで形成される一体型主構造20を含む。連結構造26は外側流路壁22と内側流路壁24との間を延在する。一形態では、連結構造26は外側流路壁22と内側流路壁24との両方に取り付けられ、それらの間に主流路28を形成するように外側流路壁22と内側流路壁24とを分離するような構造であり、主流路28はすなわち、エンジン10の主作動流体のための流路であり、連結構造26はさらに外側流路壁22と内側流路壁24との間で機械負荷を伝達するような構造である。
【0011】
一形態では、連結構造26は、タービン出口羽根(vane)などの複数の羽根30と、複数の後部支持ストラット(換言すれば、支柱)32とを含む。別の実施形態では、連結構造26は、羽根30およびストラット32に追加してまたはそれらの代わりに、外側流路壁22を内側流路壁24に連結させる別の形態をとることもできる。別の実施形態では、連結構造26は、羽根30およびストラット32で示される両方の形態の代わりに、単一の共通形態の構造であってもよい。このような連結構造26は共通の軸方向位置に配置されてよく、または、2つ以上の軸方向位置に配置されてもよい。
【0012】
一形態では、一体型主構造20は、例えばプラグノズルなどの、ノズル34を含み、これは一部の実施形態では内側流路壁24の一部分として形成され得る。別の実施形態では、ノズル34は、一体型主構造20の1つまたは複数の要素に相互接合(co−bond)される分離した部片であってもよい。別の実施形態では、ノズル34は一体型主構造20の一部分とみなされない場合があり、一体型主構造20に取り付けられても取り付けられなくてもよい。一形態では、一体型主構造20はまた、ストラット32の内側端部を固定して一体型主構造20に追加の剛性および安定性をもたらすための中央ハブ36を含む。別の実施形態では、中央ハブ36は一体型主構造20の一部分とみなされない場合がある。
【0013】
カーボン−カーボン材料システムの弱点は、層間剪断強度が比較的低いことである。カーボン−カーボン組立体で作られる非常に単純な構造継手はスタブスルージョイント(stab-through joint)であり、ここでは、合わせ面に効果的な接合が付与されて、1つの要素が別の要素を貫通する。カーボン−カーボン要素がこの形で接合される場合、交差する層(ply)間の熱膨張率の不一致により、高い層間剪断応力が発生する可能性がある。これは、カーボン−カーボンの熱膨張率が厚み方向と比較して長手方向において大きく異なることにより生じる場合がある。高い層間剪断応力を低減または排除するために、本発明の実施形態における互いに噛み合う構成要素のカーボン繊維層は主構造20の構造的接合継手内で位置合わせされ、すなわち、同じ方向に方向付けられる。一形態では、これらの継手には、タービン出口羽根30の外側流路壁22に対する接合継手、タービン出口羽根30の内側流路壁24に対する接合継手、後部ストラット32の外側流路壁22に対する接合継手、後部ストラット32の内側流路壁24に対する接合継手、および、後部ストラット32の中央ハブ36に対する接合継手が含まれる。
【0014】
例えば、羽根30は、外側流路壁22および内側流路壁24の各々にほぼ平行な方向においてエアロフォイル部分から延在するセグメント30Aおよび30Bを含む。セグメント30Aおよび30Bは、各羽根30の端部のところにおいて、外側流路壁22および内側流路壁24の各々にほぼ平行な方向にカーボン繊維層をロール処理する(rolling)ことにより形成され得る。羽根30のカーボン繊維層は、エアロフォイル長さ(span)に沿って延在する部分から外側流路壁22および内部流路壁24の各々の中の層にほぼ平行に延在する部分へと移行する。したがって、羽根30の層は外側流路壁22および内側流路壁24の層に位置合わせされ、それにより、接合継手のところで層間剪断応力が低減され得る。例えば、図3Aに描かれるように、セグメント30A内の羽根30の層30Pは、外側流路壁22の層22Pとほぼ平行になるように位置合わせされる。同様に、図3Bに描かれるように、セグメント30B内の羽根30の層30Pは、内側流路壁24の層24Pにほぼ平行になるように位置合わせされる。一形態では、これらの層は例えば図3Aに示されるように1つ平面で位置合わせされるのに加えて、第2の平面でも位置合わせされる。例えば、図3Cは、第2の平面において外側流路壁22の層22Pに位置合わせされた羽根30の層30Pを描いている。図3Cの図では、層30Pは隠れておりしたがって破線で示されており、対して層22Pは実線で示されている。一形態では、図3Cの平面は図3Aの平面に対して垂直である。
【0015】
各羽根30は、径方向インターフェース(換言すれば、境界部)38および軸方向インターフェース40のところにおいて外側流路壁22に接続され、それにより各羽根30は径方向および軸方向において外側流路壁22に対して位置決めされる。一形態では、径方向インターフェース38は、各羽根30の外側パイロット径(outer pilot diameter)と、外側流路壁22の内側パイロット径(inner pilot diameter)とを含む。別の実施形態では、別の種類の径方向位置合わせインターフェースが採用されてもよい。軸方向インターフェース40は、各羽根30のシュラウド端面(セグメント30A)に当接される外側流路壁22の肩部を含む。一形態では、これらのインターフェース要素は機械加工される。別の実施形態では、別の成形プロセスが採用されてもよい。
【0016】
各羽根30は、径方向インターフェース42および軸方向インターフェース44のところにおいて内側流路壁24に接続され、それにより各羽根30はそれぞれ径方向および軸方向において内側流路壁24に対して位置決めされる。一形態では、径方向インターフェース42は、各羽根30の外側パイロット径と、内側流路壁24の内側パイロット径とを含む。別の実施形態では、別の種類の径方向位置合わせインターフェースが採用されてもよい。軸方向インターフェース44は、各羽根30のプラットホーム端面(セグメント30B)に当接される内側流路壁24の肩部を含む。一形態では、これらのインターフェース要素は機械加工される。別の実施形態では、別の成形プロセスが採用されてもよい。
【0017】
羽根30と同様に、各ストラット32は、外側流路壁22とほぼ平行に延在するセグメント32Aを含む。図3Aに描かれる、羽根30のセグメント30Aに関連させて説明した手法と同様の手法で、各ストラット32の層は、ストラット長さに沿って延在する部分から外側流路壁22内の層にほぼ平行に延在する部分へ移行し、外側流路壁22内の層に位置合わせされる。主構造20は、各ストラット32の周りを延在するカラーの形態であってよい移行構造46を含む。移行構造46は、ストラット長さに沿って延在しかつストラット32の層に位置合わせされる層を含む。移行構造46はまた、内側流路壁24にほぼ平行に延在しかつ内側流路壁24の層に位置合わせされる層を含む。
【0018】
各ストラット32はインターフェース48のところにおいて外側流路壁22に接続され、それにより、各ストラット32は、円周方向、径方向および軸方向において外側流路壁22に対して位置決めされる。一形態では、インターフェース48は、ストラット32が嵌合する外側流路壁22内に形成されるパッドを含む。別の実施形態では、別の種類の径方向位置決めインターフェースが採用されてもよい。一形態では、これらのインターフェース要素は機械加工される。別の実施形態では、別の成形プロセスが採用されてもよい。
【0019】
各ストラット32は、内側流路壁24のスロット50を通って中央ハブ36のポケット52に嵌合するように取り付けられる。スロットの寸法は、望ましくない応力を発生させる可能性がある、例えば熱膨張によるストラットと内側流路壁との間での望ましくない接触を回避するために、ストラットの寸法より十分に大きい。中央ハブ36は積層構成であり、それにより、各ストラット32と対応する中央ハブストラットポケット52との間にほぼ平行の層配向が提供される。ストラットの足部のところの高い層間引張応力を排除するために、ストラットは内側端部のところで短く切断され、径方向の間隙54がストラット足部とハブとの間に設けられる。
【0020】
構成要素22〜38が一体に組み立てられると、これらの構成要素はユニット化された一体主構造20を形成するように相互接合され、この主構造20は、追加の構造的裏打ち材/支持体を必要とせず、エンジン10およびエンジン10が中に設置されている乗物が動作しているときに発生する熱荷重および機械荷重に耐えるように設計されている。相互接合は、限定しないが例えば、接続される1つまたは複数のカーボン−カーボン部品の接合面(複数可)にカーボン樹脂のフィルム(および、例えば炭化珪素(SiC)の粒子状物質などの、特定の用途で所望される別の任意適当な材料)を加えることにより、実施され得る。この場合、カーボン−カーボン部品は接合面のところで一体に保持され、ここでは、カーボン樹脂が、接続される各々のカーボン−カーボン部品の接合面に接触している。次いで、熱が加えられ、その間、樹脂がカーボン−カーボン部品の中に浸透し、接合面のその位置のところでカーボン−カーボン部品間の接合部が形成される。
【0021】
一形態では、接合された一体型主構造20は、例えば高温での動作中に発生する可能性がある、酸化による損傷を軽減または防止するために、処理される。一形態では、一体型主構造20は酸化保護処理としてSiCで被覆されるが、別の実施形態では別の処理が採用されてもよい。限定しないが例えば、酸化抵抗を実現する別の処理には、SiCに加えてまたはその代わりに、窒化シリコン(Si3N4)、テトラエチルオルト珪酸塩(TEOS)および/または二色性(dichroic)ガラスが含まれてよい。別の実施形態では、一体型主構造20の一部分またはすべてが酸化抵抗のために被覆または処理されない場合があり、または、酸化抵抗のための処理に加えてまたはその代わりに、酸化抵抗以外の目的のために被覆または処理される場合もある。一体型構造としての一体型主構造20は、非破壊的な分解の影響を受けない単一で一部品の相互接合された単一構造である。
【0022】
ラムバーナ18はまた、相互接合後に一体型主構造20に加えられる予め製造された二次要素の形態であってよい追加の構成要素を含むことができる。別法として、一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の構成要素が一体型主構造20の一部分として含まれ得る。これらの追加の構成要素には、例えば、前方ガイド構造56、スクリーチカバー(screech cover)58およびテールコーン60が含まれてよい。別の実施形態では、テールコーン60はノズル34の一部分として含まれてよい。一形態では、予め製造された二次要素は、熱処理サイクルを介して定位置にグラッシング(glassing)される。このグラッシングは、合致面のところに漏れのない弱い接合部を形成する。グラッシングは、限定しないが例えば、接続される表面にSiC被覆物を加え、それらの部品を一体に保持し、SiC被覆物から石英ガラスを形成するためにそれらの部品を加熱することにより、実施され得る。別の実施形態では、別のグラッシング材料および/またはグラッシング技術が採用されてもよい。また別の実施形態では、グラッシングに加えてまたはその代わりに、予め製造された二次要素を定位置で保持するのに、別のプロセスおよび/または別の技術が採用されてもよい。
【0023】
ラムバーナ18はまた、例えば、軸方向クランプ構成を介し、さらには、例として十字キー(cross key)構成などの、径方向及び円周方向位置決め構成を介して、エンジン10に取り付けられるフランジ62を含む。本実施形態は各々の構成要素/要素54〜60を含むが、別の実施形態がそのような各々の構成要素/要素を含まない可能性があることおよび/または別の構成要素/要素を含んでよいことを理解されたい。例えば、別の実施形態は、例としてスクリーチカバー58などの、種々の要素を含んでも含まなくてもよい。さらに、別の実施形態は、各ストラット32を保護するためのTシールドなどの、追加の要素を含むことができる。例えば各々の構成要素54〜60などの、これらの各構成要素は、図2に描かれる構造を作るために隣接する各構成要素に接続されるように、予め製造されて成形される。
【0024】
前方ガイド構造56は、径方向インターフェース64および軸方向インターフェース66のところで内側流路壁24に接続され、それにより、前方ガイド構造56はそれぞれ径方向および軸方向において内側流路壁24に対して位置決めされる。一形態では、径方向インターフェース64はねじ継手であり、すなわち、前方ガイド構造56および内側流路壁24の各々に噛み合いねじ部が形成されている。別の実施形態では、別のタイプの径方向位置決めインターフェースが採用されてよい。軸方向インターフェース66は、前方ガイド構造56の端面に当接される内側流路壁24の肩部を含む。一形態では、これらのインターフェース要素は機械加工される。別の実施形態では、別の成形プロセスが採用されてもよい。一形態では、前方ガイド要素56内のカーボン繊維層が内側流路壁24のカーボン繊維層に位置合わせされる。
【0025】
スクリーチカバー58は外側流路壁22の定位置にピン留めされる。一形態では、スクリーチカバー58内のカーボン繊維層は外側流路壁22のカーボン繊維層に位置合わせされる。
【0026】
テールコーン60は、径方向インターフェース68および軸方向インターフェース70のところでノズル34に接続され、それにより、テールコーン60はそれぞれ径方向および軸方向においてノズル34に対して位置決めされる。一形態では、径方向インターフェース68はねじ継手であり、すなわち、テールコーン60およびノズル34の各々に噛み合いねじ部が形成されている。別の実施形態では、別の種類の径方向位置決めインターフェースが採用されてよい。軸方向インターフェース68は、テールコーン60の端面に当接されるノズル34の肩部を含む。一形態では、これらのインターフェース要素は機械加工される。別の実施形態では、別の成形プロセスが採用されてもよい。一形態では、テールコーン60内のカーボン繊維層がノズル34のカーボン繊維層に位置合わせされる。
【0027】
本発明の一実施形態は、複合外側流路壁、複合内側流路壁、および、複合外側流路壁と複合内側流路壁との間を延在する複合連結構造を含むことができる、一体型航空機用エンジン流路構造である。複合連結構造は、複合内側流路壁から複合外側流路壁を分離するような構造である。複合外側流路壁および複合内側流路壁は、航空機用エンジンの作動流体ための主流路をそれらの間に画定する。複合外側流路壁、複合内側流路壁および複合連結構造は、追加の構造的裏打ち材を必要とせず、航空機用エンジンの動作中の熱荷重および機械荷重に耐えるように動作可能である単一構造を形成するように相互接合される。
【0028】
この実施形態の一改良では、複合外側流路壁、複合内側流路壁および複合連結構造は、カーボン−カーボン材料で形成される。
この実施形態の別の改良では、複合連結構造内のカーボン−カーボン材料の層は、複合外側流路壁および複合内側流路壁の少なくとも一方の中の層に位置合わせされる。
【0029】
この実施形態の別の改良では、複合連結構造は、複合外側流路壁および複合内側流路壁の少なくとも一方に平行に延在するセグメントを含む。
この実施形態の別の改良では、複合連結構造は羽根である。
【0030】
この実施形態の別の改良では、複合連結構造は支柱である。
この実施形態の別の改良には、複合連結構造に接合され、且つ、複合外側流路壁および複合内側流路壁の少なくとも一方に接合される、カーボン−カーボン移行構造が含まれてよい。カーボン−カーボン移行構造の層は、複合連結構造内の層に位置合わせされ、且つ、複合外側流路壁および複合内側流路壁の少なくとも一方の中の層に位置合わせされる。
【0031】
この実施形態の別の改良には、複合内側流路壁の一部分を形成する一体カーボン−カーボン・プラグノズルが含まれてよい。
この実施形態の別の改良には、カーボン−カーボン・プラグノズルに接合されるカーボン−カーボン・テールコーンが含まれてよい。
【0032】
この実施形態の別の改良には、カーボン−カーボン・テールコーンとカーボン−カーボン・プラグノズルとの間のねじ切りされた接合継手が含まれてよい。
この実施形態の別の改良には、複合内側流路壁に接合されるカーボン−カーボン前方構造が含まれてよい。
【0033】
この実施形態の別の改良には、カーボン−カーボン前方構造と複合内側流路壁との間のねじ切りされた接合継手が含まれてよい。
本発明の別の実施形態には、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁のうちの少なくとも一方が含まれてよい。これにはまた、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方から延在するカーボン−カーボン連結構造、ならびに、カーボン−カーボン連結構造とカーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方との間の接合継手が含まれてよい。接合継手のところでは、カーボン−カーボン連結構造内の層が、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方の中の層に位置合わせされる。
【0034】
この実施形態の一改良では、カーボン−カーボン連結構造が、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方に平行に延在するセグメントを含む。
【0035】
この実施形態の別の改良では、カーボン−カーボン連結構造に接合され、且つ、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方に接合されるカーボン−カーボン移行構造が含まれてよい。カーボン−カーボン移行構造の層が、カーボン−カーボン連結構造内の層に位置合わせされ、且つ、カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁の少なくとも一方の中の層に位置合わせされる。
【0036】
本発明の別の実施形態は、第2の複合構成要素に平行な方向に延在する第1の複合構成要素のセグメントを形成するために第1の複合構成要素の複合層をロール処理することを含む、一体型航空機用エンジン流路構造を製造する方法である。これはまた、このセグメント内の層を第2の複合構成要素の層に位置合わせすること、および、このセグメントを第2の複合構成要素に接合することを含むことができる。
【0037】
この実施形態の一改良では、この位置合わせは、1つの平面で位置合わせすることを含めた、このセグメントの層を第2の複合構成要素の層に位置合わせすることを含む。
この実施形態の別の改良では、この位置合わせは、2つの平面で位置合わせすることを含めた、このセグメントの層を第2の複合構成要素の層に位置合わせすることを含む。
【0038】
この実施形態の別の改良には、航空機用エンジン流路構造の酸化保護処理を実施することが含まれてよい。
この実施形態の別の改良では、この酸化保護処理が接合後に実施される。
【0039】
現在最も実用的および好適であると考えられる実施形態に関連させて本発明を説明してきたが、本発明が開示される実施形態(複数可)のみに限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修正形態および等価の構成を包含することを意図され、この範囲が、法の下で容認されているように、そのようなすべての修正形態および等価の構造を含むために最も広い解釈を与えられるべきであることを理解されたい。さらに、上記の記述中での「好適な(preferable)」、「好適に(preferably)」または「好適(preferred)」という単語の使用は、そのように説明される特徴がより望ましいものであってよいが、その特徴が必須でなくてよく、その特徴を欠く任意の実施形態も本発明の範囲内にあると考えられてよいこと示しており、この範囲が以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。特許請求の範囲を読む際、「a」、「an」、「少なくとも1つ(at least one)」および「少なくとも一部分(at least a portion)」などの言葉が使用される場合、特許請求の範囲において違う意味で特に述べられない限り、特許請求の範囲を1つのアイテムのみに限定する意図がないことが意図される。さらに、「少なくとも一部分(at least a portion)」および/または「一部分(a portion)」という言い回しが使用される場合、そのアイテムは、違う意味で特に述べられない限り、一部分および/またはアイテム全体を含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型航空機用エンジン流路構造であって:
複合外側流路壁と;
複合内側流路壁と;
前記複合外側流路壁と前記複合内側流路壁との間を延在する複合連結構造であって、前記複合連結構造が、前記複合内側流路壁から前記複合外側流路壁を分離するように形成される、複合連結構造と;
を有し、
前記複合外側流路壁および前記複合内側流路壁が、前記複合外側流路壁と前記複合内側流路壁の間に、航空機用エンジンの作動流体のための主流路を画定し、
前記複合外側流路壁、前記複合内側流路壁および前記複合連結構造が、追加の構造的裏打ち材を必要とせず、前記航空機用エンジンの動作中の熱荷重および機械荷重に耐えるように動作可能である単一構造を形成するように相互接合される、
一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項2】
前記複合外側流路壁、前記複合内側流路壁および前記複合連結構造が、カーボン−カーボン材料で形成される、請求項1に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項3】
前記複合連結構造の前記カーボン−カーボン材料の層が、前記複合外側流路壁および前記複合内側流路壁のうちの少なくとも一方の中の層に位置合わせされる、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項4】
前記複合連結構造が、前記複合外側流路壁および前記複合内側流路壁のうちの少なくとも一方に平行に延在するセグメントを含む、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項5】
前記複合連結構造が羽根である、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項6】
前記複合連結構造が支柱である、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項7】
前記複合連結構造に接合され、且つ、前記複合外側流路壁および前記複合内側流路壁のうちの少なくとも一方に接合される、カーボン−カーボン移行構造をさらに含み、前記カーボン−カーボン移行構造の中の層が、前記複合連結構造の中の層に位置合わせされ、且つ、前記複合外側流路壁および前記複合内側流路壁のうちの少なくとも一方の中の層に位置合わせされる、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項8】
前記複合内側流路壁の一部分を形成する、一体のカーボン−カーボン・プラグノズルをさらに含む、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項9】
前記一体のカーボン−カーボン・プラグノズルに接合されるカーボン−カーボン・テールコーンをさらに含む、請求項8に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項10】
前記カーボン−カーボン・テールコーンと前記一体のカーボン−カーボン・プラグノズルとの間のねじ切りされた接合継手をさらに含む、請求項9に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項11】
前記複合内側流路壁に接合されるカーボン−カーボン前方構造をさらに含む、請求項2に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項12】
前記カーボン−カーボン前方構造と前記複合内側流路壁との間のねじ切りされた接合継手をさらに含む、請求項11に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項13】
一体型航空機用エンジン流路構造であって:
カーボン−カーボン外側流路壁およびカーボン−カーボン内側流路壁のうちの少なくとも一方と;
前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの前記少なくとも一方から延在するカーボン−カーボン連結構造と;
前記カーボン−カーボン連結構造と前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの少なくとも一方との間の接合継手と
を含み、
前記接合継手のところで、前記カーボン−カーボン連結構造の中の層が、前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの前記少なくとも一方の中の層に位置合わせされる、
一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項14】
前記カーボン−カーボン連結構造が、前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの前記少なくとも一方に平行に延在するセグメントを含む、請求項13に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項15】
前記カーボン−カーボン連結構造に接合され、且つ、前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの前記少なくとも一方に接合されるカーボン−カーボン移行構造をさらに含み、前記カーボン−カーボン移行構造の層が、前記カーボン−カーボン連結構造の中の層に位置合わせされ、且つ、前記カーボン−カーボン外側流路壁および前記カーボン−カーボン内側流路壁のうちの前記少なくとも一方の中の層に位置合わせされる、請求項14に記載の一体型航空機用エンジン流路構造。
【請求項16】
一体型航空機用エンジン流路構造を製造する方法であって:
第2の複合構成要素に平行な方向に延在する第1の複合構成要素のセグメントを形成するように、前記第1の複合構成要素の複合層をロール処理するステップと;
前記セグメント内の前記層を前記第2の複合構成要素の層に位置合わせするステップと;
前記セグメントを前記第2の複合構成要素に接合するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記位置合わせするステップが、1つの平面で位置合わせすることを含めた、前記セグメントの前記層を前記第2の複合構成要素の前記層に位置合わせするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記位置合わせするステップが、2つの平面で位置合わせすることを含めた、前記セグメントの前記層を前記第2の複合構成要素の前記層に位置合わせするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記一体型航空機用エンジン流路構造の酸化保護処理を実施するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化保護処理が前記接合後に実施される、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2013−515915(P2013−515915A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547273(P2012−547273)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062388
【国際公開番号】WO2011/136832
【国際公開日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(512002747)ロールス−ロイス・ノース・アメリカン・テクノロジーズ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】