説明

一列の筐体を接続部材に接続するための接続機構

本発明は、一列の筐体(12)を端子部材(10)に接続する接続機構であって、端子部材(10)を一列の筐体(12)に接続するために、接続領域(22)が一列の筐体(12)上に設けられ、端子領域(22)は、一列の筐体(12)内に提供されているプリント回路基板に接続されている。本発明によると、端子部材(10)を、プラグコンタクト(24)によって端子領域(22)に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本革新は、一列の筐体を接続部材に接続するための接続機構に適用される。
【背景技術】
【0002】
例えば独国特許公開第102006057604号明細書が、スイッチキャビネット用の構成のための産業上の制御技術を利用する電気構成ユニットとして設計された一列の筐体を開示している。一列の筐体は、キャップレールなどの搭載レールに搭載される。一列の筐体は、その幅よりも長さのほうが格段に長くなっており、こうすることで、一列の筐体の、一列の筐体の長手方向に沿うよう設計されている縦軸を、搭載レールの縦軸に実質的な垂直な方向に持ってくることができる。一列の筐体は、その縦軸に沿って幾つかのレベルを有しており、これらレベルが、縦軸に垂直に延びている。一列の筐体の幅は、このようにして、ある接続領域がそれぞれのレベルにおいて一列の筐体のブロードサイドのほうに延びるよう設計されている。
【0003】
接続領域とは、接続部材を一列の筐体に取り付け可能な領域のことを指す。通常、接続領域は、ねじ込み端子またはバネ式端子の形の接続クランプを有しており、これを利用して、筐体に接続部材または導体を取り付ける。
【0004】
しかしながら、この技術の悪い点は、接続クランプをねじ込み端子またはバネ式端子の形で提供するので、接続部材が、道具を利用して時間をかけないと、接続領域に取り付けられない、という点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本革新は、簡単に処理可能な方法で、一列の筐体を接続部材に接続する接続機構を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を利用することで解決される。本革新における様々な有効な設計を従属項に示す。
【0007】
本革新における、一列の筐体に接続部材を接続する接続機構は、一列の筐体に、接続部材を一列の筐体に接続する接続領域を有し、接続領域は、筐体上に設けられたプリント回路基板に接続される。
【0008】
本革新においては、接続部材をプラグコンタクトにより接続領域に取り付けることができる。
【0009】
接続部材をプラグコンタクトにより接続領域に取り付けることができるので、接続部材は、一列の筐体に、および/または、一列の筐体の接続領域に、短時間で、しかも道具を利用することなく取り付けることができる。
【0010】
プラグコンタクトは、プリント回路基板等の筐体内に配置されるエレクトロニクスの第一端部に接続される導電性の電気機械コンタクトとして設計されると好適である。プラグコンタクトは、第一端部と向かい合う位置に存在している端部の接続部材と接続される。接続部材は、例えばねじ込み接続方式、バネ接続方式、または直接押し込み接続方式(direct-push-in-connection)で接続部材上に搭載可能な接導体と接続されると好適である。一列の筐体の接続領域に直接取り付ける公知技術とは違って、このような本革新における導体は、一列の筐体の接続領域に簡単に取り付けることができて、電気接触を生じさせることができる、追加の接続部材を有している。幅の非常に狭い一列の筐体のブロードサイドに導体を挿入して、接続クランプに取り付ける、という煩雑な作業を省くことができるようになる。
【0011】
本革新の有利な設計により、プラグコンタクトをピンとすることができる。例えばプラグコンタクトは、円形または矩形の断面を有してよい。プラグコンタクトをピンとして設計することができることから、接続部材を接続領域に簡単に迅速に取り付けたり、および/または、接続したりすることが可能となる。
【0012】
別の好適な方法としては、プラグコンタクトを一列の筐体の接続領域に取り付ける場合、接続部材に、プラグコンタクトに差し込める(plug in)開口を設ける、または、プラグコンタクトを接続部材に取り付ける必要がある場合には、一列の筐体の接続部材に、プラグコンタクトを挿入できる開口を設ける、といった方法もある。接続部材を接続領域に取り付ける場合、プラグコンタクトを対応する開口に簡単に挿入することができ、開口の長さがプラグコンタクトの長さに実質的に対応しているので、プラグコンタクトを開口に完全に挿入することができるので、好適である。このようにしてプラグコンタクトを外囲環境から完全に守ることができるようになり、セキュアに接触を遂行することができる。
【0013】
別の好適な設計法として、固定部材を提供して、接続部材を一列の筐体に固定する、というものがある。固定部材は、この目的に提供される対応する孔にラッチできるスナップアームの形で設計されると好適である。好適には、固定部材は、固定部材との接続を解除するために必要な抽出力が15N超過となるように設計されると好適である。接続部材を一列の筐体に固定するための固定部材の例は幾つかある。一例としては、固定部材を一列の筐体の接続領域上に設けて、且つ、この目的に沿う対応する孔を接続部材に設ける、という方法がある。しかし逆に、固定部材を接続部材の上に設けて、この目的に沿う対応する孔を一列の筐体の接続領域に設ける方法も可能である。固定部材により、接続領域への接続部材の接続をさらに強固にすることができる。
【0014】
本革新の別の有利な設計法では、一列の筐体を搭載レールに取り付け、プラグコンタクトを、搭載レールの縦軸に垂直な縦軸を有するよう設計する。接続部材は、一列の筐体の、一列の筐体の幅沿いのブロードサイドの側に取り付けることができる。複数の一列の筐体を搭載レールに直列にとりつける場合には、これらの一列の筐体は、搭載レールの上に固定された状態の一列の筐体の接続領域に、後で簡単に取り付けることができ、搭載レールに対して複雑な処理を行う必要はない。従って一列の筐体を接続部材に接続するときのプラグの方向は、搭載レールの縦軸に垂直な方向に設計する。
【0015】
好適には、2以上の接続領域を一列の筐体に、筐体の1つのブロードサイドの上に次々に重ねていくように配置する。複数の接続領域を次々に重ねていくことで、接続領域を、側面の領域に沿って一列の筐体の長さ全体(特に、一列の筐体のブロードサイド)に延びるように配置することができ、その結果、複数の接続部材を1つのプラグコンタクトによって互いに長さ方向の軸が交差する筐体の両側に接続することができるようになる。
【0016】
特に好適には、少なくとも1つの接続部材を、一列の筐体のブロードサイドに沿って互いの上に重ねられた少なくとも2つの接続領域に取り付けるようにするとよい。接続部材は、1つの接続部材を利用して複数のコンタクトを実現することができるように、次々に重ねられた2以上のプラグコンタクトまたは開口を有すると好適である。
【0017】
接続部材を対応する接続領域にきれいに配置するために、本革新における別の好適な設計方法では、接続領域を符号化する。例えば、この符号化は、色符号化および/または数値および/またはアルファベットによる符号化および/または機械符号化であってよい。例えば符号化によって、接続解除後に、対応する接続部材を、この目的に見合う接続領域にきれいに配置して、誤った配線を防ぐことができるようになる。
【0018】
さらに、少なくとも1つの一列の筐体を、第2の一列の筐体の後に直列に配置する場合には、接続部材を、第1の筐体の第1の接続領域と第2の筐体の第2の接続領域とに同時に固定すると好適である。こうすると、異なる筐体の複数の接続領域を1つの接続部材に接続することができることから、複数の筐体の長さ方向の軸と交差する軸と平行に設けられた複数の接続領域が1つの接続部材と接触するので好ましい。
【0019】
以下に、好適な設計に基づく添付図面を参照しながら本革新について詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本革新における1つの設計の接続機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、一列の筐体12に複数の接続部材10を接続する、本革新における接続機構を示す。一列の筐体12は、その底面16が搭載レール(不図示)に固定することができ、一列の筐体12の縦軸16が、搭載レールの縦軸に垂直に設計されている。一列の筐体12は、一列の筐体の縦軸16に垂直に設計されている複数のレベル18を有している。各レベル18では、互いに向き合っている2つの接続部材10がそれぞれ、一列の筐体12のブロードサイドの側に配置されている。つまり、ここで言うところの一列の筐体12は、各レベル18および各ブロードサイド20に、1つだけ接続部材10が設けられているもののことである。一列の筐体12の、ブロードサイド20沿いの幅は5から7mmであると好適である。
【0022】
図1では、一列の筐体12に7つの接続部材10が接続されており、1つの接続部材10が一列の筐体12からは離れている。接続部材10は、一列の筐体12それぞれの上の1つの接続領域22に取り付けることができ、接続領域22は、筐体10のブロードサイド20に設けられている。ピン形状のプラグコンタクト24を接続領域22に設けて、これに対して接続部材10を接続して、接続部材10と、一列の筐体12内に配置されるが図示されていないプリント回路基板との間のコンタクトを構築して、プラグコンタクト26および/または接続領域22が、一列の筐体12内のプリント回路基板と接続できるようにする。好適には、プラグコンタクト26の縦軸は、一列の筐体12の縦軸16に垂直になるよう設計して、接続部材10を、道具を利用することなく、一列の筐体12のブロードサイド20の側に固定することができるようにする。接続部材10においても、導体26がねじ込み接続方式、クランプフォース接続方式、または、直接押し込み方式で取り付け可能になっていると好適である。
【符号の説明】
【0023】
接続部材10、一列の筐体12、底面14、縦軸16、レベル18、ブロードサイド20、接続領域22、プラグコンタクト24、導体26。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部材(10)を一列の筐体(12)に接続する接続機構であって、
前記一列の筐体(12)には、前記接続部材(10)を前記一列の筐体(12)に接続するための接続領域(22)が設けられており、前記接続領域(22)が、前記一列の筐体(12)に設けられている電気または電子アセンブリと接続され、前記接続部材(10)は、前記接続領域(22)にプラグコンタクト(24)によって取り付け可能である、接続機構。
【請求項2】
前記プラグコンタクト(24)はピン形状に設計されている請求項1に記載の接続機構。
【請求項3】
前記プラグコンタクト(24)が前記一列の筐体(12)の前記接続領域(22)に固定され、前記接続部材(10)が、前記プラグコンタクト(24)を挿入する開口を有する、または、前記プラグコンタクト(24)が前記接続部材(10)に固定され、前記一列の筐体(12)の前記接続領域(22)が、前記プラグコンタクト(24)を挿入する開口を有している請求項1または2に記載の接続機構。
【請求項4】
前記一列の筐体(12)に前記接続部材(10)を固定するための固定部材を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の接続機構。
【請求項5】
前記一列の筐体(12)は、搭載レール上に固定することができ、前記プラグコンタクト(22)の縦軸は、前記搭載レールの縦軸に実質的に垂直である請求項1から4のいずれか一項に記載の接続機構。
【請求項6】
2以上の接続領域(22)が前記一列の筐体(12)に設けられており、前記2以上の接続領域(22)は、前記一列の筐体(12)の側面領域(20)に、次々に重なるよう設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の接続機構。
【請求項7】
少なくとも1つの接続部材(10)は、次々に重ねられた少なくとも2つの接続領域(22)に同時に固定することができるよう設計されている請求項6に記載の接続機構。
【請求項8】
前記接続領域(22)は、機械符号化を含む符号化を施されている請求項1から7のいずれか一項に記載の接続機構。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の一列の筐体(12)は、第2の一列の筐体(12)の後に直列配置されており、前記第1の一列の筐体(12)の第1の接続領域(22)と、前記第2の一列の筐体(12)の第2の接続領域(22)とに同時に固定することができる1つの接続部材(10)が提供される請求項1から8のいずれか一項に記載の接続機構。

【図1】
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【公表番号】特表2013−514615(P2013−514615A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543765(P2012−543765)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069961
【国際公開番号】WO2011/073342
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(594070612)フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (38)
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D−32825 Blomberg, Germany
【Fターム(参考)】